(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記固定装着部に装着されるユニットをさらに備え、前記ユニットが、レーザ、放射線療法ガン、ロボットアーム、ディスプレイ、カメラ、および鉛カーテンからなる群からの1つを備える、請求項1に記載のイメージングシステム。
前記スキャナが、ガントリを備えたCTイメージングシステムを備え、さらには、前記固定装着部が前記CTイメージングシステムのガントリに固定的に装着される、請求項1又は2に記載のイメージングシステム。
前記スキャニング構成要素が、手荷物、ハンドバッグ、バックパック、小包、および輸送コンテナからなる群からの少なくとも1つの内側部分の画像を生成する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のイメージングシステム。
前記スキャナが、CTマシン、MRIマシン、PETマシン、SPECTマシン、および超音波マシンからなる群からの少なくとも1つを備える、請求項1又は2に記載のイメージングシステム。
前記スキャナでスキャンされる前記対象の内側部分の画像を使用した、前記対象に関するイメージングシステムのユーザへのガイダンスを提供するためのガイダンスシステムをさらに備える、請求項1〜9のいずれか一項に記載のイメージングシステム。
前記ガイダンスシステムが、外科手術ナビゲーションシステム、外科手術ロボット工学システム、外科手術計画システム、および、ガイダンスを提供するために、前記対象の内側部分の画像のデータを利用する別のシステムからなる群からの少なくとも1つを備える、請求項10に記載のイメージングシステム。
前記スキャナおよび前記ガイダンスシステムが、前記スキャナにより生成された画像を直接前記ガイダンスシステムにワイヤレスで転送するように構成される、請求項10又は11に記載のイメージングシステム。
【背景技術】
【0004】
脳卒中は現在、米国で主な死亡原因の第3位になっており、1年あたりでおおよそ177,000件の死亡数をもたらすとともに、脳卒中は現在、米国で長期障害の一番の原因であり、現在ほぼ500万人の人々を冒している。脳卒中は、脳または脊髄への血液供給の突然の中断により引き起こされるものであり、そのことにより、組織の酸素が欠乏し、組織損傷を生じる。
【0005】
脳卒中は、典型的には2つの形態、すなわち、(i)血管の破裂によって起こる出血性脳卒中、および、(ii)血管の閉塞によって起こる虚血性脳卒中のうちの1つの形で起こる。
【0006】
迅速な診断が、脳卒中治療の重要な要素である。これは、虚血性脳卒中に対する治療は出血性脳卒中に対する治療に対して禁忌である場合があり、さらに、特定の治療の有効性は時間の影響を受けやすい場合があるということが理由になっている。より詳細には、急性虚血性脳卒中に対する現在の好適な治療、すなわち、血塊を消失させるためのtPAの投与は、出血性脳卒中に対しては禁忌である。さらに臨床データが示唆するところでは、虚血性脳卒中を治療するために使用される薬物(すなわち、tPA)は、それが脳卒中の発症後3時間以内に投与される場合に最も効果的である。しかしながら現在の診断時間、すなわち、患者が脳卒中にかかっていることを識別すること、および、脳卒中の出血性または虚血性の性質を識別することを行うために必要とされる時間は、この3時間の限定された時間を超えることが多い。結果として、現在の虚血性脳卒中の罹病者で、適時にtPAによって治療されるのは一部にすぎない。
【0007】
イメージングは一般的には、脳卒中を適正に診断する(ひいては適正に治療する)ために必要である。より詳細には、イメージングは一般的には、(i)脳卒中を他の医学的状態から区別すること、(ii)異なるタイプの脳卒中(すなわち、出血性または虚血性)の間で区別すること、および、(iii)適切な治療(例えば、虚血性脳卒中の事例ではtPAの投与)を決定することを行うために必要である。
【0008】
コンピュータ断層撮影(CT)は、脳卒中の診断での主要なイメージングモダリティとして登場した。CTスキャナは一般的には、種々の位置から身体内へのX線の方向を設定すること、身体を通過するX線を検出すること、次いで、患者の解剖学的構造(anatomy)のコンピュータモデルを築造するように、検出されたX線を処理することにより動作する。次いでこのコンピュータモデルは、患者の解剖学的構造の画像を提供するように視覚化され得る。非造影CTスキャニング、CT血管造影スキャニング、およびCT灌流スキャニングを含むそのようなCTスキャニングは、脳卒中を効果的に診断する(ひいては適正に治療する)ために必要とされる情報の実質的にすべてを提供することが可能であるということが見いだされている。
【0009】
残念ながら実際上は、CTマシンは典型的には病院の放射線科内に置かれ、患者は典型的には病院の救急室内に受け入れられ、救急室と放射線科との間の「往復」時間は、病院が最良の状態であっても、かなりの遅延を必然的に含むことが多くなり得る。結果として、患者を救急室から放射線科に、およびその後再び戻るように移送する際に費やされる時間により、緊急を要する時間を消費してしまう場合があり、そのことで、患者の適正な治療を危うくする可能性がある(例えばそのことで、虚血性脳卒中の罹病者が適時にtPAによって治療されることを妨げる可能性がある)。
【0010】
したがって、特に脳卒中の用途で使用するのに十分適している、新しい、および改善されたCTマシンに対する切迫した必要性が存在する。より詳細には、「往復」遅延を効果的に消失させ、患者を適正に診断するために必要とされる時間を劇的に削減するために、救急室内にあらかじめ布置され、患者が自分の現在の場所でスキャンされ得るように患者のもとに移動され得る、小型の移動式(mobile)CTマシンに対する切迫した必要性が存在する。CTマシンは、それを急速に拡散させ、広範囲で使用すること、例えば、実質的にすべての病院の救急室にあらかじめ布置すること、および、中心から離れた、低容積の環境(例えば、田舎の病院、船等)でも広く利用可能にすることを容易にするように、比較的安価であるということもまた重要である。
【0011】
この点に関して、現在のCTスキャナは典型的には、相当の量の物理的ケーブル接続が付きものであるということもまた十分認識されるべきである。この物理的ケーブル接続は一般的には、(i)電力をCTスキャナに送り出すために使用される電気ケーブル、ならびに、(ii)CTスキャナをワークステーションに接続する形態をとり、そのことにより、医療関係者が、ワークステーションを使用してCTスキャナにスキャニング命令を発行することを可能にし、およびそのことにより、CTスキャナが、画像とスキャナデータとをワークステーションに、医療関係者による観視のために送出することを可能にする。同様にワークステーションは、CTスキャナが遠隔地から制御されるということを可能にするように、ならびに、画像およびスキャナデータが医療関係者により遠隔地で観視されるということを可能にするように、病院PACs(画像保管通信)システムまたは他のITネットワークに接続され得る。あるいはCTスキャナは、病院PACsシステムまたは他のITネットワークに直接接続され得る。
【0012】
上述の物理的ケーブル接続は一般的には、従来のCTスキャナに関しては重大な諸問題を引き起こすことはなく、その理由は、そのような従来のCTスキャナは、定位置設置のために設計されるからというものである。したがって、定位置CTスキャナに関しては、物理的ケーブル接続の配設は、CTスキャナ設置の時に、物理的ケーブル接続が比較的目立たないようにするように対処され得る(例えば物理的ケーブル接続は、それが患者および医療関係者の邪魔にならないように慎重に布置され得る)。
【0013】
これに対して、CTスキャナが、そのCTスキャナが患者の枕もとに運ばれ得るように高度に移動式であるべきである場合、従来の物理的ケーブル接続は重大な問題を引き起こすものであり、その理由は、その従来の物理的ケーブル接続が、時間的に緊急を要する医学的治療を果たすことを妨害し、そのような医学的治療を果たすことに集中する医療関係者に対して物理的危険を引き起こす可能性があるからというものである。
【0014】
例として、ただし限定としてではなく、脳卒中の症状を呈する患者が救急室内に到着することを考えてみる。この状況では、CTスキャニングが可能な限り迅速に実行されることが、他の医学的検査および/または治療が患者に施されている間であっても行われるということが絶対に必要である。医療関係者は、この状況では、自分が時間的に緊急を要する患者の看護を果たすことに集中して、迅速かつ効率的に作業しなければならない。移動式CTスキャナに従来の物理的ケーブル接続が装備されている場合、その移動式CTスキャナを患者のもとに運ぶことは、この従来の物理的ケーブル接続を看護の箇所に持ち込むことを必要とすることになる。この物理的ケーブル接続は、看護の箇所内に相当に割り込むことを引き起こし、時間的に緊急を要する医学的治療を果たすことを難しくし、患者の周囲で作業する医療関係者に対して物理的危険を引き起こすことになる。このことは特に、移動式CTスキャナが、例えば、脳卒中の可能性のある患者が救急室に到着したばかりの事例で、慌ただしく配備される場合に真である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
このように、(i)移動式CTスキャナを動作させるために必要とされる電力を提供すること、および、(ii)CTスキャナを、ワークステーション、病院PACsシステムまたは他のITネットワークに接続することを、すべて、通常は従来のCTスキャナに関連する物理的ケーブル接続を使用することなく行うための、新しい、改善された手法に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、(i)移動式CTスキャナを動作させるために必要とされる電力を提供すること、および、(ii)CTスキャナを、ワークステーション、病院PACsシステムまたは他のITネットワークに接続することを、すべてを、従来のCTスキャナに通常は関連する物理的ケーブル接続を使用することなく行うための、新規の手法が提供される。
【0017】
そして、コードレスおよびワイヤレスの性能を伴う新規の移動式CTマシンが提供され、そのことは、その新規のCTマシンが、(i)移動式CTスキャナを動作させるために必要とされる電力を提供すること、および、(ii)CTスキャナを、ワークステーション、病院PACsシステムまたは他のITネットワークに接続することを行うための物理的ケーブル接続を必要としないようなものである。
【0018】
そして、スキャンデータが、イメージングシステムから外科手術ガイダンスシステムにワイヤレスで転送されるということを可能にする、ワイヤレスイメージングシステムが提供される。
【0019】
本発明の1つの形態では、
対象の内側部分の画像を生成するためのスキャナと、
対象の内側部分の画像を使用して、対象に関する個人へのガイダンスを提供するためのガイダンスシステムとを備え、
スキャナがオンボードワイヤレス通信ユニットを備え、ガイダンスシステムがオンボード通信ユニットを備え、スキャナのオンボードワイヤレス通信ユニット、および、ガイダンスシステムのオンボード通信ユニットが、スキャナにより生成された画像を直接ガイダンスシステムにワイヤレスで転送するように構成される、
ワイヤレスイメージングシステムが提供される。
【0020】
本発明の別の形態では、画像をガイダンスシステムに提供するための方法であって、
対象の内側部分の画像を生成するためのスキャナと、
対象の内側部分の画像を使用して、対象に関する個人へのガイダンスを提供するためのガイダンスシステムとを備え、
スキャナがオンボードワイヤレス通信ユニットを備え、ガイダンスシステムがオンボード通信ユニットを備え、スキャナのオンボードワイヤレス通信ユニット、および、ガイダンスシステムのオンボード通信ユニットが、スキャナにより生成された画像を直接ガイダンスシステムにワイヤレスで転送するように構成される、
ワイヤレスイメージングシステムを用意するステップ、
スキャナを使用して対象の内側部分の画像を生成するステップ、ならびに、
スキャナにより生成された画像をガイダンスシステムにワイヤレスで転送するステップ
を含む方法が提供される。
【0021】
本発明の別の形態では、
対象の内側部分の画像を生成するためのスキャニング構成要素と、
スキャニング構成要素を覆って配設される外側カバーと、
外側カバー内に形成される開口部と、
スキャニング構成要素に固定的に装着され、外側カバー内に形成される開口部を通って延在する固定装着部と
を備えるスキャナ
を備えるイメージングシステムが提供される。
【0022】
本発明の別の形態では、対象の画像を提供するための方法であって、
対象の内側部分の画像を生成するためのスキャニング構成要素と、
スキャニング構成要素を覆って配設される外側カバーと、
外側カバー内に形成される開口部と、
スキャニング構成要素に固定的に装着され、外側カバー内に形成される開口部を通って延在する固定装着部と
を備えるスキャナを用意するステップ、および、
スキャナを使用して対象の内側部分の画像を生成するステップ
を含む方法が提供される。
【0023】
本発明のこれらおよび他の目的および特徴は、本発明の好適な実施形態の以下の詳細な説明により、より十分に開示され、または明らかにされることになり、その詳細な説明は、付随する図面とともに考察されるべきものであり、それらの図面では、類似する番号が類似する部分を指し、さらには以下の通りである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
全体的な移動式CTイメージングシステム
最初に
図1および
図2に目を向けると、本発明によって形成される新規の移動式CTイメージングシステム5が示されている。移動式CTイメージングシステム5は全体的には、基部15により支持されるトーラス10を備える。トーラス10および基部15はともに、移動式CTイメージングシステム5に対するフレームを構成する。中央開口部20がトーラス10内に形成される。中央開口部20は、スキャンされることになる患者の解剖学的構造を、すなわち、移動式CTイメージングシステム5が脳卒中の用途で使用されることになるときは患者の頭部を受け入れる。
【0026】
次に
図3に目を向けると、トーラス10は全体的には、X線管アセンブリ25、X線検出器アセンブリ30、および回転ドラムアセンブリ35を備える。X線管アセンブリ25およびX線検出器アセンブリ30は、(X線管アセンブリ25により生成され、X線検出器アセンブリ30により検出される)X線ビーム40が、中央開口部20内に配設される患者の解剖学的構造を通過させられるように、直径方向で対向する関係で回転ドラムアセンブリ35に装着される。さらに、X線管アセンブリ25およびX線検出器アセンブリ30は、それらが中央開口部20の周りに同心円状に回転させられるように回転ドラムアセンブリ35上に装着されるので、X線ビーム40は、移動式CTイメージングシステム5が、スキャンされる解剖学的構造の所望のコンピュータモデルを生成することを可能にするように、放射状の位置の最大限度の範囲に沿って患者の解剖学的構造を通過させられることになる。
【0027】
X線管アセンブリ25、X線検出器アセンブリ30、および回転ドラムアセンブリ35の動作を制御するための、ならびに、所望のコンピュータモデルを生成するように、取得されたスキャンデータを処理するための、様々な電子ハードウェアおよびソフトウェアは、当技術分野でよく知られている種類のものであり得るものであり、トーラス10および/または基部15内に位置させられ得る。
【0028】
さらにここで
図3に目を向けると、基部15は、患者に対して周囲で移動式CTイメージングシステム5を移動させるための移送アセンブリ50を備える。より詳細には、その特許がここに参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第7,397,895号で開示されているように、移送アセンブリ50は好ましくは、(i)移動式CTイメージングシステム5を比較的迅速に部屋の距離にわたって移動させることで、移動式CTイメージングシステムが患者のもとに迅速かつ容易に運ばれ得るように行うための全体移動機構55、および、(ii)移動式CTイメージングシステムを精密に、患者に対してスキャニングの間に移動させることで、患者が移動させられることなくスキャンされ得るように行うための微細移動機構60を備える。上述の米国特許第7,397,895号で詳細に論考されているように、全体移動機構55は好ましくは、複数の自由に転がる脚車を備え、微細移動機構60は好ましくは、(段階的または連続的のいずれかの動きにより、段階的または連続的のいずれかのスキャニングを提供するために構成され得る)複数のムカデ型ベルト駆動装置を備える。液圧装置65は、全体移動機構55または微細移動機構60のいずれかが床と係合されるということを可能にし、そのことにより、移動式CTイメージングシステム5の適切な移動を容易にする。これに対して、やはり上述の米国特許第7,397,895号で詳細に論考されているように、全体移動機構55が全体として除外される場合があり、微細移動機構60のみが設けられる場合があり、その事例では微細移動機構60は、(i)移動式CTイメージングシステム5を患者のもとにスキャニングの前に移動させること、および、(ii)移動式CTイメージングシステムを患者に対してスキャニングの間に移動させることの両方を行うために使用される。
【0029】
移動式CTイメージングシステム5は、コードレスおよびワイヤレスの性能もまた備え、そのことは、移動式CTイメージングシステムが、(i)移動式CTイメージングシステムを動作させるために必要とされる電力を提供するため、および、(ii)移動式CTイメージングシステムを、ワークステーション、病院PACsシステムまたは他のITネットワークに接続するための物理的ケーブル接続を必要としないようなものである。
【0030】
より詳細には、および、この先さらに詳細に論考されるように、移動式CTイメージングシステム5は、移動式CTイメージングシステムを動作させるために必要とされる電力を提供することを、前述のことの間に、従来の物理的ケーブル接続の使用を必要とすることなく行うための新規のオンボード電力ユニット70と、移動式CTイメージングシステムを、ワークステーション、病院PACsシステムまたは他のITネットワークに接続することを、前述のことの間に、従来の物理的ケーブル接続の使用を必要とすることなく行うための新規のオンボードネットワーキングユニット71とをさらに備える。
オンボード電力ユニット70
上記で言及されたように、ならびに、ここで
図3および
図4に目を向けると、移動式CTイメージングシステム5は、移動式CTイメージングシステムを動作させるために必要とされる電力を提供することを、前述のことの間に、従来の物理的ケーブル接続の使用を必要とすることなく行うためのオンボード電力ユニット70を備える。そのようなオンボード電力ユニットを設けることはこれまでは不必要であったが、その理由は、従来のCTスキャナは、定位置デバイスであって、それらのデバイスの電力ケーブル接続が、CTスキャナ設置の時に、電力ケーブル接続が比較的目立たないようにするように慎重に配置構成され得るデバイスであるからというものである(例えば電力ケーブル接続は、それが患者および医療関係者の邪魔にならないように慎重に布置され得る)。しかしながら移動式CTイメージングシステム5は、電力ケーブル接続を、それが邪魔にならない状態を保つように慎重に配置構成するための時間が存在することはほとんどない、緊急を要する看護の状況で迅速かつ容易に配備されることが意図される。このように、移動式CTイメージングシステムを生み出したことが、次に、移動式CTイメージングシステムを動作させるために必要とされる電力を提供することを、前述のことの間に、従来の物理的ケーブル接続の使用を必要とすることなく行うための新規のオンボード電力ユニットに対する必要性を生み出した。オンボード電力ユニット70は、この必要性に対処するように設計される。
【0031】
ここで
図4に目を向けると、オンボード電力ユニット70は、移動式CTイメージングシステム5を動作させるために必要とされる電力を出力するように構成される、1つまたは複数のバッテリ75を備える。本発明の1つの好適な形態では、移動式CTイメージングシステム5は48V DCを必要とし、バッテリ75は4つの12Vバッテリを備える。バッテリ75は好ましくは、当技術分野でよく知られている種類のものである。
【0032】
オンボード電力ユニット70は、変圧器/充電器80もまた備える。変圧器/充電器80は、オンボード電力ユニットのプラグ85が標準的な壁コンセントに差し込まれるときに、変圧器/充電器80がバッテリ75を充電することになるように構築される。例として、ただし限定としてではなく、変圧器/充電器80は、90〜260V、単相、50〜60ヘルツのAC電力を得ること、および、それを48V DC電力に変換することを行うように構成され得る。したがって使用の合間に、移動式CTイメージングシステム5は、標準的な壁コンセントの隣に布置され得るものであり、プラグ85が、バッテリ75を充電するために変圧器/充電器80と連関して使用され得る。移動式CTイメージングシステム5がこの先使用されることになるとき、プラグ85は壁コンセントから抜かれ、次いで移動式CTイメージングシステムは、(すなわち、移送アセンブリ50を使用して)患者のもとにスキャニングのために移動させられる。
【0033】
一部の環境では、移動式CTイメージングシステム5を使用することを、プラグ85が標準的な壁コンセントに差し込まれている状態で行うことが容認可能である場合がある。このためにオンボード電力ユニット70は、プラグ85が壁コンセントに差し込まれているときに、移動式CTイメージングシステム5が、変圧器/充電器80から直接電力を取り出すことを、さらにバッテリ75から電力を取り出すことを伴って、または伴わずに行うことになるようにもまた構成される。
【0034】
オンボード電力ユニット70は、移動式CTイメージングシステム5のフレームに装着され、そのことによってオンボード電力ユニットは、システムの残りのものとともに移動することになる。本発明の1つの好適な形態では、オンボード電力ユニット70は基部15に装着される。
オンボードネットワーキングユニット71
上記で言及されたように、ならびに、ここで
図3および
図5に目を向けると、移動式CTイメージングシステム5は、移動式CTイメージングシステムを、ワークステーション、病院PACsシステムまたは他のITネットワークに接続することを、前述のことの間に、従来の物理的ケーブル接続の使用を必要とすることなく行うための新規のオンボードネットワーキングユニット71を備える。
【0035】
そのようなオンボードネットワーキングユニットを設けることはこれまでは不必要であったが、その理由は、従来のCTスキャナは、定位置デバイスであって、それらのデバイスのネットワークケーブル接続が、CTスキャナ設置の時に、ネットワークケーブル接続が比較的目立たないようにするように慎重に配置構成され得るデバイスであるからというものである(例えばネットワークケーブル接続は、それが患者および医療関係者の邪魔にならないように慎重に布置され得る)。しかしながら移動式CTイメージングシステム5は、ネットワークケーブル接続を、それが邪魔にならない状態を保つように慎重に配置構成するための時間が存在することはほとんどない、緊急を要する看護の状況で迅速かつ容易に配備されることが意図される。このように、移動式CTイメージングシステムを生み出したことが、次に、移動式CTイメージングシステムを、ワークステーション、病院PACsシステムまたは他のITネットワークに接続することを、前述のことの間に、従来の物理的ケーブル接続の使用を必要とすることなく行うための新規のオンボードネットワーキングユニットに対する必要性を生み出した。
【0036】
ここで
図5に目を向けると、オンボードネットワーキングユニット71は、移動式CTイメージングシステム5をワークステーション95にワイヤレスで接続し、そのことにより、医療関係者が、ワークステーションを使用して移動式CTイメージングシステム5にスキャニング命令を発行することを可能にし、およびそのことにより、移動式CTイメージングシステムが、画像とスキャナデータとをワークステーションに、医療関係者による観視のために送出することを可能にするように構成されるワイヤレスインターフェース90を備える。同様にワークステーション95は、移動式CTイメージングシステム5が遠隔地から制御されるということを可能にするように、ならびに、画像およびスキャナデータが医療関係者により遠隔地で観視されるということを可能にするように、病院PACsシステムまたは他のITネットワーク100に接続され得る。あるいはワイヤレスインターフェース90は、病院PACsシステムまたは他のITネットワーク100に直接接続され得る。
【0037】
ワイヤレスインターフェース90は好ましくは、当技術分野でよく知られている種類のもの、例えば、802.11b、802.11g等のような適切なIEEE標準に準拠するWIFIインターフェースである。
【0038】
オンボードネットワーキングユニット71は、移動式CTイメージングシステム5のフレームに装着され、そのことによってオンボードネットワーキングユニットは、システムの残りのものとともに移動することになる。本発明の1つの好適な形態では、オンボードネットワーキングユニット71は基部15に装着される。
使用
移動式CTイメージングシステム5は好ましくは、以下のように使用される。
【0039】
使用中でないとき、移動式CTイメージングシステム5は好ましくは、救急室(または他の使用が意図される所)内に、邪魔にならない場所に、そのシステムの全体移動機構55(すなわち、そのシステムの脚車)上に持ち上げられて格納され、そのシステムのプラグ85は、バッテリ75が満充電されるように標準的な壁コンセントに差し込まれる。
【0040】
脳卒中に似た症状を呈する患者が救急室に到着するとき、患者は、救急室内で、自分の台車付き担架上で、移動式CTイメージングシステム5を使用して迅速にスキャンされる。より詳細には、移動式CTイメージングシステム5は壁からプラグが抜かれ、次いでCTイメージングシステムは、そのシステムの脚車によって患者のもとに移動させられ、そのことによって患者(依然として自分の台車付き担架上で横たわる状態である)が、CTイメージングシステム5の中央開口部20の内側に布置される。その後、オンボード電力ユニット70を使用して液圧装置65が活動化され、そのことによってCTイメージングシステム5は、そのシステムの微細移動機構60(すなわち、ムカデ型ベルト駆動装置)上で支持される。オンボード電力ユニット70およびオンボードネットワーキングユニット71を使用して、スキャニングが次いで始められ、微細移動機構60は、CTマシン5を患者に対してスキャニングの間に精密に進ませる。画像データが、(ワークステーション95、および/または、病院PACsシステムもしくは他のITネットワーク100に、オンボードネットワーキングユニット71を使用して退避させられる。
【0041】
このように本発明によって、コードレスおよびワイヤレスの性能を伴う新規の移動式CTマシンが提供され、そのことで、その新規のCTマシンが、(i)移動式CTスキャナを動作させるために必要とされる電力を提供する、および、(ii)CTスキャナを、ワークステーション、病院PACsシステムまたは他のITネットワークに接続するための物理的ケーブル接続を必要としない。
他のタイプのスキャニングシステムに対する用途
本発明が、医療用途で使用することに、または、はっきり言えば、CTマシンとともに使用することに限定されないということが十分認識されるべきである。したがって、例えば本発明は、非医療用途のために使用されるCTマシンに、例えば、無生物をスキャンするために使用されるCTマシンに関して使用される場合がある。さらに本発明は、非CTタイプのイメージングシステムとともに使用される場合がある。本質的に本発明は、コードレスおよびワイヤレスの動作を必要とする任意の移動式イメージングデバイスに対する用途を有する。
ワイヤレスイメージングシステム
前述の文献では、コードレスおよびワイヤレスの性能が装備された移動式イメージングシステム(例えば、移動式CTマシン)が開示されている。
【0042】
とりわけ移動式イメージングシステムは、イメージングシステムを動作させるために必要とされる電力を提供し、そのことにより、イメージングシステムが患者をスキャンしている間に、壁プラグから移動式イメージングシステムまで電力ケーブルを張ることを不要にするように適合される、オンボード電力ユニットを備える。このことは、移動式イメージングシステムの有用性を大きく高めるものであり、その理由は、そのことが、スキャニングは壁プラグの場所に関係なく行われ得るということ、および、電力ケーブルは壁プラグからイメージングシステムまで、そのシステムが患者をイメージングしている間に延在する必要はないということを意味し、そのように延在することによって、電力ケーブルの存在が原因で、患者の周囲での診断および/または治療の作業の流れが中断する可能性があるからというものである。
【0043】
そしてとりわけ移動式イメージングシステムは、イメージングシステムを、ワークステーションに、または、病院PACSシステム(すなわち、病院画像保管通信システム)に、もしくは、何らかの他のITネットワーク等にワイヤレスで接続し、そのことにより、移動式イメージングシステムから壁ジャックまでデータケーブルを張ることを不要にするように適合される、オンボードネットワーキングユニットもまた備える。やはりこのことは、移動式イメージングシステムの有用性を大きく高めるものであり、その理由は、そのことが、画像はイメージングシステムから別のデバイスまたはシステムに、壁ジャックの場所に関係なく送出され得るということ、および、データケーブルは移動式イメージングシステムから壁ジャックまで、特にそのシステムが患者をイメージングしている間に延在する必要はないということを意味し、そのように延在することによって、データケーブルの存在が原因で、患者の周囲での診断および/または治療の作業の流れが中断する可能性があるからというものである。
【0044】
本発明の別の態様では、イメージングシステムを、ワークステーション、病院PACSシステム(すなわち、病院画像保管通信システム)、何らかの他のITネットワーク等にワイヤレスで接続するためのオンボードネットワーキングユニットが装備された移動式イメージングシステムが、有利には、外科手術ガイダンスシステム(例えば、外科手術ナビゲーションシステム、外科手術ロボット工学システム、外科手術計画システム、および/または、医療処置の間のガイダンスを提供するための画像データ、例えば、外科手術処置の間のリアルタイムのガイダンスを提供するためのリアルタイムのDICOM画像を利用する任意の他のシステム)と連関して使用され得る。この点に関して、コードレスおよびワイヤレスの性能が装備された移動式イメージングシステムを提供することは、特に、手術室内での使用に適しており、そのことにより、処置を受ける患者に対する手術中のイメージングを提供するということが十分認識されよう。
【0045】
より詳細には
図6は、イメージングシステム100(例えば、定位置CTマシン)、病院PACSシステム101、および外科手術ガイダンスシステム102(例えば、外科手術ナビゲーションシステム)を接続するための典型的な従来の手法を示す。この従来の手法では、イメージングシステム100(例えば、定位置CTマシン)は、(例えば、データケーブル103によって)病院PACSシステム101に接続され、外科手術ガイダンスシステム102(例えば、外科手術ナビゲーションシステム)は、(例えば、データケーブル104によって)病院PACSシステム101に接続される。使用の際、イメージングシステム100(例えば、定位置CTマシン)は典型的には、外科手術の前のあるときに(例えば、外科手術の前の夜)、手術をされることになる解剖学的構造をイメージングするために用いられる。イメージングシステム100(例えば、定位置CTマシン)からの画像は、イメージングシステム100(例えば、定位置CTマシン)から病院PACSシステム101に(例えば、データケーブル103により)格納のために送出される。外科手術の時に外科手術ガイダンスシステム102は、(例えば、データケーブル接続104により)格納された画像を病院PACSシステム101から索出し、イメージングの時に解剖学的構造上に布置される(ひいては画像内に含まれる)基準マーカを使用して、または、解剖学的構造上に、および画像上に容易に位置させられる解剖学的ランドマークを使用して、画像を、外科手術ガイダンスシステム102および解剖学的構造と「整合する」状態にし、そのことによって、イメージングシステム100(例えば、定位置CTマシン)により前もって取得された画像が、外科手術ガイダンスシステム102(例えば、外科手術ナビゲーションシステム、外科手術ロボット工学システム、外科手術計画システム、および/または、ガイダンスを提供するためのDICOM画像などの画像データを利用する任意の他のシステム)により、実際の外科手術の間に使用され得る。あるいは、イメージングシステム100(例えば、定位置CTマシン)または病院PACSシステム101からの画像は、外科手術ガイダンスシステム102に、物理媒体(例えば、CD、DVD、USBキー等)を使用して転送され得る。
【0046】
この手法は効果的であり、現在広範囲で使用されているが、その手法は、病院PACSシステム101を含む病院のITネットワークにかなりの負担をかけるものであり、その理由は、イメージングシステム100(例えば、定位置CTマシン)からの画像は、
(i)イメージングシステム100(例えば、定位置CTマシン)から病院PACSシステム101に転送されること、
(ii)病院PACSシステム101上に外科手術の時まで格納されること、および、
(iii)病院PACSシステム101から外科手術ガイダンスシステム102に、外科手術の時に転送されること
が行われなければならないからというものである。
【0047】
この点に関して、イメージングシステム100(例えば、定位置CTマシン)から病院PACSシステム101に、および、病院PACSシステム101から外科手術ガイダンスシステム102に転送されている画像は、典型的には、相当のシステムリソースを、特に病院PACSシステム101の内部で消費する、大きなデータファイルであるということが十分認識されよう。さらに、イメージングシステム100(例えば、定位置CTマシン)から病院PACSシステム101に、および/または、病院PACSシステム101から外科手術ガイダンスシステム102に画像が転送されることを待機する間に、かなりの遅延が存在する場合があり、そのことが、外科手術の前および間での遅延という結果になる可能性がある。このことは、遅延が手術中に起こるときに特に問題となる。
【0048】
あるいは、イメージングシステム100(例えば、定位置CTマシン)または病院PACSシステム101からの画像は、外科手術ガイダンスシステム102に、物理媒体(例えば、CD、DVD、USBキー等)を使用して転送される場合がある。しかしながらこの手法は、時間を消費するだけでなく不便である。
【0049】
本発明によれば、および、ここで
図7に目を向けると、移動式CTイメージングシステム5(上記を参照)のワイヤレス性能が、画像を移動式CTイメージングシステム5から直接外科手術ガイダンスシステム102に送出し、そのことにより、画像送信の時に病院PACSシステム101を完全に回避し、ならびに/または、画像をCTイメージングシステム5および/もしくは病院PACSシステム101から外科手術ガイダンスシステム102に転送するための物理記憶媒体(例えば、CD、DVD、USBキー等)の使用を不要にするために活用され得る。本発明のこの形態では、イメージングシステム100(例えば、移動式CTイメージングシステム5)は、オンボード通信ユニット106(例えば、移動式CTイメージングシステム5のオンボードネットワーキングユニット71)を備え、外科手術ガイダンスシステム102はオンボード通信ユニット107を備え、イメージングシステム100のオンボード通信ユニット106は、外科手術ガイダンスシステム102のオンボード通信ユニット107とワイヤレスで通信し、そのことにより、オンボード通信ユニット106と107との間での、データ、例えば、画像、コンピュータモデル等の交換を可能にするように構成される。結果として、イメージングシステム100(例えば、移動式CTイメージングシステム5)からの画像は、より迅速に外科手術ガイダンスシステム102に送出され得るものであり、そのことは、外科手術ガイダンスシステム102によって外科手術処置を遂行するときに相当に有利となり得る。加えて、そのような画像送信は病院PACSシステム101を完全に回避するので、病院のITネットワークへの負荷、および特に、病院PACSシステム101への負荷が相当に低減される。当然ながら、移動式イメージングシステム5により取り込まれる画像は、それでもなお病院PACSシステム101に何らかの時点で保管のために(例えば、データケーブル103を介して)発送されることになるが、このことは、病院のITネットワークへの負荷、および特に、病院PACSシステム101への負荷が低減されるときの時間に、例えば夜に行われ得るということが予想される。
【0050】
重要なことには、本発明が特に有利であるのは、スキャニングが手術中に(例えば、コードレスおよびワイヤレスの性能を有し、物理的に手術室内に置かれている移動式CTイメージングシステム5によって)行われ、リアルタイムのイメージングデータが、イメージングシステム100(例えば、CTマシン5)から外科手術ガイダンスシステム102(例えば、外科手術ナビゲーションシステム、外科手術ロボット工学システム、外科手術計画システム、および/または、ガイダンスを提供するためのDICOM画像などの画像データを利用する任意の他のシステム)に転送される必要がある場合である。
【0051】
所望であれば、外科手術ガイダンスシステム102(例えば、外科手術ナビゲーションシステム、外科手術ロボット工学システム、外科手術計画システム、および/または、ガイダンスを提供するための画像データを利用する任意の他のシステム)が、画像を病院PACSシステム101から、所望であれば(例えば、データケーブル104を介して)引き出すことがさらに可能であり、そのことによって、複数のイメージングモダリティが外科手術ガイダンスシステム102の内部で融合させられるということが可能になるということもまた十分認識されるべきである。例として、ただし限定としてではなく、イメージングシステム100が、手術室内に存在する移動式のコードレス、ワイヤレスのCTマシン5(または、ワイヤレス通信が装備された別のCTマシン)を備える場合、外科手術ガイダンスシステム102が、他のイメージングモダリティ(例えば、MRI、PET、SPECT、超音波等)により生成される画像を、病院PACSシステム101から引き出すことがさらに可能であり、そのことによって、複数のモダリティからの画像が外科手術ガイダンスシステム102に利用可能である。あるいはイメージングシステム100が、手術室内に存在するMRIマシンを備える場合、外科手術ガイダンスシステム102が、他のイメージングモダリティ(例えば、CT、PET、SPECT、超音波等)により生成される画像を、病院PACSシステム101から引き出すことがさらに可能であり、そのことによって、複数のモダリティからの画像が外科手術ガイダンスシステム102に利用可能である。
【0052】
所望であれば、イメージングシステム100は、画像データを病院PACSシステム101から引き出し、その画像データを外科手術ガイダンスシステム102にワイヤレスで送出することが可能である。
【0053】
前述のことに関して、本発明は、ワイヤレス通信能力が装備された実質的に任意のタイプのイメージングシステム、例えば、移動式CTマシン、定位置CTマシン、MRIマシン、超音波マシン、SPECTマシン、PETマシン、X線マシン等に適用可能であるということが十分認識されるべきである。
【0054】
本発明の1つの好適な形態では、本発明のイメージングシステムは、マサチューセッツ州ダンバースのNeuroLogica Corporationにより製造された、CERETOM(登録商標)移動式CTマシンおよび/またはBODYTOM(登録商標)移動式CTマシンを備える。
【0055】
本発明の1つの好適な形態では、イメージングシステム100(例えば、移動式CTマシン5)は、外科手術ガイダンスシステム102に、ワイヤレスIEEE802.11a/b/g/n転送プロトコルを使用して接続され、接続は、アドホックの地点間ネットワークとして、または、ルータによるアクセスポイントとしてのいずれかで構成される。本発明の別の好適な形態では、イメージングシステム100(例えば、移動式CTマシン5)は、外科手術ガイダンスシステム102に、Bluetooth、赤外線(IR)、または、他の通信装置および/もしくはプロトコルを使用して接続される。画像転送構文は、医用画像転送のためのDICOM3.1標準、および/または他の業界標準に対応したものである。
非医療用途
先の論考では本発明は、医療用途、例えば、解剖学的構造をスキャンすることで、医師にその解剖学的構造に関する情報を提供すること、および/または、画像を外科手術ガイダンスシステムに提供することにより、外科手術ガイダンスを医師に外科手術処置の間に提供することが論考されている。これに対して、本発明を非医療用途で使用することもまた可能であり、その非医療用途は、例えば、セキュリティ目的で(空港のセキュリティ警備区域等での、手荷物(luggage)、ハンドバッグ、バックパック、小包(package)、輸送コンテナ等のような)対象をスキャンすること、および/または、画像を操作ガイダンスシステムに提供することにより、操作ガイダンスをユーザに(遠隔で爆弾を不発にすること等のような)操作処置の間に提供することである。
固定的な、ガントリに装着される基準マーカ
近年では、外科手術ガイダンスシステム(例えば、外科手術ナビゲーションシステム、外科手術ロボット工学システム、外科手術計画システム、および/または、ガイダンスを医師に医療処置の間に提供するための画像を利用する任意の他のシステム)は、手術室内ではよりありふれたものとなった。一般的には外科手術ガイダンスシステムは、外科手術処置を指図かつ/または遂行するためにコンピュータ技術を使用する。このことは、最初に、手術をされることになる解剖学的構造の正確なコンピュータモデルを生成し、次いで、そのコンピュータモデルを使用して、追跡される器械と連関して、外科手術処置を実行することにより行われるものであり、その外科手術処置を実行することは、例えば、ガイダンスのために外科手術の間に外科医に視覚的および/もしくは聴覚的な合図を提供することにより手動の外科手術をガイドすることであり、ならびに/または、外科手術の間に追跡される器械を動かす電気機械的駆動機構(例えば、ロボットシステム)によって外科手術を実際に遂行することであり、ただし外科医は、追跡される器械の手動のオーバーライド制御を保持する状態にある。いずれの事例でも外科手術ガイダンスシステムは、手術をされることになる解剖学的構造の正確なコンピュータモデルを生成することを必要とする。
【0056】
解剖学的構造のコンピュータモデルは、CT、MRI、PET、SPECT、X線、超音波等を含む種々のイメージングシステムを使用して生成され得るものであり、最終的な目的は、イメージングシステムにより生成される画像を使用して解剖学的構造の3Dモデルを生成することである。一般的にはCTイメージングシステムが、多くの処置に対して好適である。イメージングシステムにより生成される画像、および/または、イメージングシステムにより生成される画像から生成されるコンピュータモデルは、病院PACSシステム(すなわち、病院画像保管通信システム)内に、外科手術ガイダンスシステムによる後続のアクセスのために格納され得る。
【0057】
より詳細には
図6は、イメージングシステム100(例えば、CTマシン)によって画像および/またはコンピュータモデルを生成することと、それらの画像および/またはコンピュータモデルを病院PACSシステム101内に格納することと、次いで、それらの画像および/またはコンピュータモデルを外科手術ガイダンスシステム102に、外科手術処置の間の使用のために転送することとを行うための、典型的な従来の手法を示す。この従来の手法では、イメージングシステム100(例えば、CTマシン)は典型的には、手術をされることになる解剖学的構造をイメージングするために、解剖学的構造を外科手術の前日(または当日)にスキャンするために使用される。イメージングシステム100(例えば、CTマシン)からの画像、および/または、イメージングシステム100(例えば、CTマシン)により生成されるコンピュータモデルは、イメージングシステム100(例えば、CTマシン)から病院PACSシステム101に格納のために送出される。外科手術の時に外科手術ガイダンスシステム102は、格納された画像および/またはコンピュータモデルを病院PACSシステム101から索出し、イメージングの時に解剖学的構造上に布置される(ひいては、病院PACSシステム101内に格納される画像および/またはコンピュータモデル内に含まれる)基準マーカを使用して、または、解剖学的構造上に、ならびに、画像および/もしくはコンピュータモデル上に容易に位置させられる解剖学的ランドマークを使用して、画像および/またはコンピュータモデルを、外科手術ナビゲーションシステム102および解剖学的構造と「整合する」状態にし、そのことによって、イメージングシステム100により前もって生成された画像および/またはコンピュータモデルが、外科手術ガイダンスシステム102を、実際の外科手術の間にガイドするために使用され得る。
【0058】
この手法は効果的であり、現在広範囲で使用されているが、その手法は、外科手術に先立って生成された画像および/またはコンピュータモデルの使用に依拠するものである。一部の環境では(例えば、解剖学的構造が、成長の遅い骨のように、実質的に固定的かつ不変である場合)、この手法は満足のゆくものであり得る。しかしながら他の環境では(例えば、解剖学的構造が固定的でない場合、および/または、解剖学的構造の成長が早い場合)、この手法は、特に、外科手術が繊細であり、精密度がミリメートルの単位で測定されなければならない場合(例えば、脳外科手術)、満足のゆくものではないことがある。実際の外科手術に先立って作製された画像および/またはコンピュータモデルの使用は、特に、解剖学的構造が外科手術自体の間に変化する場合、例えば、組織が外科手術の間にずらされる、かつ/または除去される場合、満足のゆくものではなく、その事例では、外科手術前の画像および/またはコンピュータモデルは完全に役に立たない場合がある。例として、ただし限定としてではなく、多くの脳外科手術では、脳は、いったん頭蓋が開かれるとずれる場合があり、そのことにより、外科手術前の画像および/またはコンピュータモデルは、不正確であり信頼性が低いものとなる。
【0059】
このために、手術をされている解剖学的構造のリアルタイムの画像および/またはコンピュータモデルを生成するように、手術室内にイメージングシステム100を用意することが可能であるということが認識されてきた。さらに、イメージングシステム100自体の上に基準マーカを設けることにより、イメージングシステム100により生成される画像および/またはコンピュータモデルを、自動的に、外科手術ガイダンスシステム102および解剖学的構造と適正に整合する状態にすることが可能になり得るものであり、そのことによって、イメージングシステム100からのリアルタイムの画像および/またはコンピュータモデルが、外科手術ガイダンスシステム102により外科手術の間に使用され得るということもまた認識されてきた。例えば、基準マーカ105が上に配置されているイメージングシステム100(例えば、CTイメージングシステム5)を示す
図8を参照されたい。これらの基準マーカの場所は、外科手術ガイダンスシステム102に関連する適切な検出器、例えば、
図8で示される検出器108により検出される。
【0060】
残念ながら、
図8で示されるシステムは作動するが、実際上はそのシステムは、制限された分解能により特徴付けられる。このことは、イメージングシステム100(例えば、CTイメージングシステム5)上に配置される基準マーカ105は、典型的にはIR(赤外線)検出、RF(無線周波数)検出等によって働くものであるが、それらの基準マーカ105が外科手術ガイダンスシステム102により検出され得るように、イメージングシステム100(例えば、CTイメージングシステム5)の外側カバー110に取り付けられるということが理由である。しかしながら、イメージングシステム100(例えば、CTイメージングシステム5)の外側カバー110は、典型的には、薄板の金属またはプラスチックの軽量のカバーであり、そのカバーは、イメージングシステム100のスキャニング構成要素に対して、イメージングシステム100の動作の間、イメージングシステム100の移送の間、および/または、イメージングシステム100の保守の間(外側カバー110が、イメージングシステム100から装着解除され得る、およびその後、イメージングシステム100に再度装着され得るとき)のいずれかで移動する場合がある。結果として、イメージングシステム100の外側カバー110に取り付けられた基準マーカ105は、イメージングシステム100のスキャニング構成要素に対して移動する場合があり、ひいては、イメージングシステム100からの画像および/またはコンピュータモデルの、外科手術ガイダンスシステム102および解剖学的構造との高度に正確な整合を提供することは、システムの絶え間ない再較正なしでは可能ではない。この手法は、リアルタイムの画像および/またはコンピュータモデルを必要とし、空間的な精度が要求されない、ある特定のタイプの外科手術に対しては容認可能であり得る一方で、空間的な精度が要求される他のタイプの外科手術(例えば、脳外科手術)に対しては容認可能ではない場合がある。
【0061】
このために、本発明によれば、および、ここで
図9〜
図13に目を向けると、手術をされている解剖学的構造の実質的にリアルタイムの画像およびコンピュータモデルを提供すること、ならびに、それらの画像を、外科手術ガイダンスシステム102および解剖学的構造と高度に正確に整合する状態にすることを行うための、改善されたイメージングシステム100が提供される。より詳細には、本発明によって、1つまたは複数の開口部115がイメージングシステム100の外側カバー110内に形成され、1つまたは複数の固定装着部120が、イメージングシステム100のスキャニング構成要素に接続され、外側カバー110内の開口部115を通って外に延在させられる。基準マーカ105は固定装着部120の機器外の側に取り付けられ、そのことによって基準マーカ105は、イメージングシステム100のスキャニング構成要素に対して、(例えば、イメージングシステム100の動作の間、イメージングシステム100の移送の間、および/または、イメージングシステム100の保守の間)移動しない。結果として、基準マーカ105をこの様式でイメージングシステム100のスキャニング構成要素に固定的に装着することにより、解剖学的構造のリアルタイムの画像およびコンピュータモデルが提供され得るものであり、それらの画像およびコンピュータモデルは、外科手術ガイダンスシステム102および解剖学的構造と高度に正確に整合する状態にされ得る。
【0062】
所望であれば、基準マーカ105は基準マーカのアレイの部分として用意され得るものであり、基準マーカのアレイは、イメージングシステム100に、基準マーカのアレイを複数の固定装着部120に装着することにより装着され得る。
【0063】
前述のことに関して、本発明は、実質的に任意のタイプのイメージングシステム、例えば、CTイメージングシステム5などの移動式CTマシン、定位置CTイメージングシステム、MRIマシン、超音波マシン、SPECTマシン、PETマシン、X線マシン等に適用可能であるということが十分認識されるべきである。
【0064】
本発明の1つの好適な形態では、イメージングシステム100はCTマシンであり、固定装着部120は、CTマシンのガントリ130に固定的に固着されるシャフト125である。そして本発明の1つの特に好適な形態では、本発明のイメージングシステムは、マサチューセッツ州ダンバースのNeuroLogica Corporationにより製造された、CERETOM(登録商標)移動式CTマシンおよび/またはBODYTOM(登録商標)移動式CTマシンを備える。
【0065】
本発明の1つの好適な形態では、イメージングシステムは、ワイヤレス通信システムを使用して外科手術ガイダンスシステムに接続される。例として、ただし限定としてではなく、イメージングシステム100は、好ましくはオンボード通信ユニット106を備え、外科手術ガイダンスシステム102は、好ましくはオンボード通信ユニット107を備え、イメージングシステム100のオンボード通信ユニット106は、外科手術ガイダンスシステム102のオンボード通信ユニット107とワイヤレスで通信し、そのことにより、オンボード通信ユニット106と107との間での、データ、例えば、画像、コンピュータモデル等の交換を可能にするように構成される。好ましくは、ワイヤレス通信システムは、ワイヤレスIEEE802.11a/b/g/n転送プロトコルを使用するように構成され、接続は、アドホックの地点間ネットワークとして、または、ルータによるアクセスポイントとしてのいずれかで構成される。画像転送構文は、医用画像転送のためのDICOM3.1標準、または他の転送プロトコルに対応したものである。
【0066】
所望であれば、本発明の固定装着部120は、他の対象、例えば、医療用レーザ、放射線療法「ガン(gun)」、ロボットアーム、ディスプレイ、カメラ、鉛カーテン等のような医療器械を、イメージングシステム100に装着するためにもまた使用され得る。
非医療用途
先の論考では本発明は、医療用途、例えば、解剖学的構造をスキャンすることで、医師にその解剖学的構造に関する情報を提供すること、および/または、画像を外科手術ガイダンスシステムに提供することにより、外科手術ガイダンスを医師に外科手術処置の間に提供することが論考されている。これに対して、本発明を非医療用途で使用することもまた可能であり、その非医療用途は、例えば、セキュリティ目的で(空港のセキュリティ警備区域等での、手荷物、ハンドバッグ、バックパック、小包、輸送コンテナ等のような)対象をスキャンすることで、および/または、画像を操作ガイダンスシステムに提供することにより、操作ガイダンスをユーザに(遠隔で爆弾を不発にすること等のような)操作処置の間に提供することである。
変形
本発明のさらなる実施形態が当業者には、本開示に鑑みて明らかになるということが十分認識されよう。本発明は、本明細書で開示された、および/または図面で示された、特定の構築物に決して限定されず、本発明の範囲内の任意の修正または等価物もまた備えるということが理解されるべきである。