特許第6338575号(P6338575)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6338575医学的移植物適用のためのマグネシウム生分解性ステントを作製するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6338575
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】医学的移植物適用のためのマグネシウム生分解性ステントを作製するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/91 20130101AFI20180528BHJP
【FI】
   A61F2/91
【請求項の数】13
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-514013(P2015-514013)
(86)(22)【出願日】2013年3月15日
(65)【公表番号】特表2015-518745(P2015-518745A)
(43)【公表日】2015年7月6日
(86)【国際出願番号】US2013032374
(87)【国際公開番号】WO2013176769
(87)【国際公開日】20131128
【審査請求日】2016年3月4日
(31)【優先権主張番号】61/649,730
(32)【優先日】2012年5月21日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513182776
【氏名又は名称】ユニバーシティ・オブ・シンシナティ
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100093089
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 滋
(72)【発明者】
【氏名】シャノフ,ヴェセリン・エヌ
(72)【発明者】
【氏名】ロイ−チャウドゥリー,プラビール
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ,マーク・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】イン,ジャーンジャーン
(72)【発明者】
【氏名】カンポス−ナシフ,ベゴナ
(72)【発明者】
【氏名】ワーン,ヤーン
【審査官】 芝井 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−137345(JP,A)
【文献】 特表2008−539889(JP,A)
【文献】 特表2009−502428(JP,A)
【文献】 特表2006−503636(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0071346(US,A1)
【文献】 特開平07−000531(JP,A)
【文献】 特表2010−515539(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/151617(WO,A2)
【文献】 D M Allen, M Simpkins and H Almond,A novel photochemical machining process for magnesium aerospace and biomedical microengineering applications,JOURNAL OF MICROMECHANICS AND MECROENGINEERING,英国,INSTITUTE OF PHYSICS PUBLISHING,2010年 9月 7日,20/10,105010(8pp)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/91
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医学的移植物適用のためのマグネシウム生分解性ステントを作製する方法であって
生分解性である純粋マグネシウムまたはマグネシウム合金を含むマグネシウム箔を提供し;
マグネシウム箔の特徴および寸法を構成するリソグラフィー技術を実行し、ここでリソグラフィー技術を用いて、ステント特徴をマグネシウム箔の両側に移し、ここでリソグラフィー技術が、光学的フォトリソグラフィー、電子ビームリソグラフィー、x線リソグラフィー、およびナノインプリントリソグラフィー、またはこれらの技術の組み合わせの少なくとも1つより選択される;
マグネシウム箔をエッチングし;そしてマグネシウム箔を回転させて、シリンダーを形成する工程を含み;
マグネシウムシリンダーの側面の少なくとも一部をレーザー溶接する工程をさらに含み:
シリンダーが上部および下部リングを有し、リングがシリンダーの縦の長さに沿った各末端にあるように、ステントを設計する工程をさらに含み、そしてレーザー溶接工程後に、エッチング、機械的切断、またはレーザー切断によってシリンダーの上部および下部リ ングを取り除く工程をさらに含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記エッチングが気相化学エッチングを含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、エッチングが湿式化学エッチングを含む、方法。
【請求項4】
請求項に記載の方法において、シリンダーがバルーン拡張可能であるようにシリンダーを構成し、そしてシリンダーの縦の長さに沿って2つの端の間に縦のギャップがあるようにシリンダーをロックせずに放置し、そしてステントの縦の長さを見下ろした側面から見た際にらせんが形成されているように、縦の長さに沿った2つの端が互いに重複するように、シリンダーを構成する工程をさらに含む、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、外科縫合糸、マグネシウムワイヤ、またはスナップのいずれかで、両方の端を編むことによって、縦の端に沿ってロックされるようにシリンダーを構成することをさらに含む、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、2またはそれより多いインターロッキング雄−雌連結を含むモザイクパズル立体配置によって、縦の端に沿ってシリンダーをロックし、そしてシリンダーの縦の長さに関して異なる角度で配置された2またはそれより多いインターロッキング雄−雌連結を有するようにシリンダーを構成する工程をさらに含む、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、上部および下部リングを取り除く工程がエッチングによって行われ、そして切断部のエッチング後、ステントの各末端が一連の丸いループを含む、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、エッチング、機械的切断、またはレーザー切断によってステントの各末端から材料を取り除いて、上部および下部リングを取り除く工程の後、ステントの各末端から材料を取り除く工程をさらに含む、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、前記リングが不連続であるように、ステントの縦の長さにほぼ平行なほぼ横断面の切断を用いて、2またはそれより多い部位で、上部および下部リングを完全に切断する工程をさらに含む、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、ステントがステントの縦の収縮に関してストレスがないように、そしてステントを拡張した際に、ステントの屈曲が防止され、そして支柱間の蛇行ワイヤ連結の過度のストレスまたは破壊もまた防止されるように、ステント上のすべての外周の支柱間の溶接された継ぎ目のすべての縦のセクションを取り除く工程をさらに含む、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、リングによって形成される円の30または45度ごとに、リングを切断することをさらに含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、拡張前のステントの直径の少なくとも2倍まで、シリンダーをバルーン拡張可能であるように構成する工程をさらに含む、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、化学薬品をあらかじめ装填し、そして後に遊離させるように構成されたゲル泡ラップで、シリンダーの内部を裏打ちする工程をさらに含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対するクロスリファレンス
[0001]本出願は、その全体が本明細書に援用される、米国仮特許出願第61/649,730号、2012年5月21日出願に、35 U.S.C.§119(e)の下に優先権を請求する。
【0002】
発明の分野
[0002]本出願は、尿管、胆管、および気管支などの部位において、そして動静脈瘻の成熟を促進するなどの適用において、配置するためのマグネシウム生分解性ステントの設計および使用に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]ステントは、多くの場合、血管などの部分に対する補助を提供するか、またはこうした部分の圧潰(collapse)を防止するため、血管または他の部分に挿入するために用いられるデバイスである。特別な場合、例えば、危険なほどに狭窄したか、または閉塞を克服することに関連する手術中に、ステントを動脈内に配置する。ステント適用は血管に限定されず、尿管、胆管、および気管支などの部分も含まれる。現在、ステントは腐食耐性金属、例えばチタン−ニッケル合金およびステンレス鋼で作製される。これらのステントは、ある場合には、取り除かれる必要がある可能性もあり、これは体への二次的介入を要する。
【0004】
[0004]除去する必要があるというこの問題のため、体に吸収されることが可能な生分解性ステントを製造する努力が引き続きなされている。これは、非内因性材料に対する免疫反応を減少させ、そしてステント除去のための二次的な侵襲法を回避するなどの重大な利点を提供するであろう。ポリ(D,L−乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)およびポリ(D,L−乳酸)(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)に基づく心臓血管適用のためのポリマー生分解性ステントが当該技術分野に知られる。しかし、これらのステントは機械特性に関して、非分解性金属ステントと同等ではない。
【0005】
[0005]生分解性マグネシウム移植物は、慣用的な金属移植物に比較した際、提供する特定の利点のため、大きな注目を集める。マグネシウムは体内で腐食し、したがって、移植物を取り除く第二の手術を排除することが可能になる。マグネシウム特性をコントロールするための主なアプローチは、多様な異なる元素をドープし、そして合金にすることに基づく。最近、冠動脈の一時的足場のためのマグネシウムに基づく生分解性ステントが導入されてきている。
【0006】
[0006]ステント製造に関連する主な努力は、ステント立体配置を彫刻することに重点を置いている。現在、この操作は、ステント管のレーザー切断、その後、研磨を使用するが、これは、レーザービームが、ステント表面上に部分的に沈着する材料を蒸発させるためである。このアプローチは高価であり、そして生産性は低い。後者は、ステントを1つずつプロセシングする、レーザーのスキャン速度に関連する。別のアプローチは、ステント材料でできたワイヤの編組(braiding)である。編組は、この金属の低い弾力性の克服を補助する、マグネシウムステントを作製するためのある程度の利点を有する。このアプローチは、編組機に送り込むため、数百ミクロンの直径の細いマグネシウムワイヤを多量に必要とする。現在、マグネシウムワイヤは、わずか数社の販売者からしか市場で入手可能でなく、直径は限定されており、そして価格は非常に高い。さらに、マグネシウムワイヤは引張強度が低いため、入手可能な微細編組機を再設計し、そして編組の間、ワイヤが破壊されないようにシステムを修飾することが要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
[0007]本明細書において、高品質で信頼性がある生分解性ステントの長年にわたる必要性を克服し、そして上述の特定の問題を克服する、生分解性マグネシウムステントを作製し、そして用いる方法を記載する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0008]本明細書の特定の態様は、医学的移植物適用のためのマグネシウム生分解性ステントを作製するための方法であって、生分解性である純粋マグネシウムまたはマグネシウム合金を含むマグネシウム箔を提供し、マグネシウム箔の特徴および寸法を構成するリソグラフィー技術を実行し、ここでリソグラフィー技術を用いて、ステント特徴をマグネシウム箔の両側に移し、ここでリソグラフィー技術が、光学的フォトリソグラフィー、電子ビームリソグラフィー、x線リソグラフィー、およびナノインプリントリソグラフィー、またはこれらの技術の組み合わせの少なくとも1つより選択される;マグネシウム箔をエッチングし;そしてマグネシウム箔を回転させて、シリンダーを形成する工程を含む、前記方法を記載する。
【0009】
[0009]本明細書の特定の態様は、生分解性である純粋マグネシウムまたはマグネシウム合金を含むマグネシウム箔を含むシリンダーを含む、医学的移植物適用のためのマグネシウム生分解性ステントであって、シリンダーがバルーン拡張可能に構成され、そしてシリンダーがシリンダーの縦の長さに沿って2つの端間に縦のギャップを有し、そしてステントの縦の長さを見下ろした側面から見た際にらせんが形成されているように、縦の長さに沿った2つの端が互いに重複するように、シリンダーが構成される、前記マグネシウム生分解性ステントを記載する。
【0010】
[0010]本明細書のさらにより特定の態様は、生分解性である純粋マグネシウムまたはマグネシウム合金を含むマグネシウム箔を含むシリンダーを含み、ここでシリンダーはバルーン拡張可能であるように構成され、上部および下部リングを有し、リングはシリンダーの縦の長さに沿った各端にあり、そして上部および下部リングは不連続であり、そしてステントがステントの縦の収縮に関してストレスがないように、そしてステントを拡張した際に、ステントの屈曲が防止され、そして支柱間の蛇行ワイヤ連結の過度のストレスまたは破壊もまた防止されるように、ステント上の外周の支柱間の溶接された継ぎ目の縦のセクションがまったくない、医学的移植物適用のためのマグネシウム生分解性ステントを記載する。
【0011】
[0011]本明細書のさらにより特定の態様は、医学的移植物のためのマグネシウム生分解性ステントの配置法であって、生分解性である純粋マグネシウムまたはマグネシウム合金を含むマグネシウム箔を含むシリンダーを含む、医学的移植物適用のためのマグネシウム生分解性ステントであって、シリンダーがバルーン拡張可能に構成され、そしてシリンダーがシリンダーの縦の長さに沿って2つの端間に縦のギャップを有し、そしてステントの縦の長さを見下ろした側面から見た際にらせんが形成されているように、縦の長さに沿った2つの端が互いに重複するように、シリンダーが構成される、前記マグネシウム生分解性ステントを含むステントを提供し;患者を麻酔し;患者を外科的に前処置し、患者に先制鎮痛剤を投与し;続く動静脈配置に適切であるように手術部位を切開し;動脈および静脈の間で、端側吻合で動静脈瘻を生成し;ステントを波形にし(crimping);ステントを静脈内に挿入し;ステントの第一の端が、切開された静脈の開放端と整列するように、ステントを配置し;静脈を動脈に縫合し;吻合に渡って動脈を切開し;動脈における切開を通じてステントにバルーンを挿入し;バルーンを拡張してステントを拡張し;そして動脈における切開を縫合する工程を含む、前記方法を記載する。
【0012】
[0012]本明細書のさらにより特定の態様は、外科的に生成された動静脈瘻中に移植するためのマグネシウム生分解性ステントの配置法であって、生分解性である純粋マグネシウムまたはマグネシウム合金を含むマグネシウム箔を含むシリンダーを含む、医学的移植物適用のためのマグネシウム生分解性ステントであって、シリンダーがバルーン拡張可能に構成され、上部および下部リングを有し、リングがシリンダーの縦の長さに沿った各末端にあり、そして上部および下部リングは不連続であり、そしてステントがステントの縦の収縮に関してストレスがないように、そしてステントを拡張した際に、ステントの屈曲が防止され、そして支柱間の蛇行ワイヤ連結の過度のストレスまたは破壊もまた防止されるように、ステント上の外周の支柱間の溶接された継ぎ目の縦のセクションがまったくないように;そしてまた外科的傷害の全領域を必要に応じて保護しうる、そしてまたステントが完全に外部に向かう拡張の障害物になることが決してないであろうように、AVFが非常によく拡張した場合、自己拡張する能力を有する設計である、前記マグネシウム生分解性ステントを含むステントを提供し;動脈および静脈の間で、端側吻合で動静脈瘻を生成し;必要に応じてステント上のスリーブを用いて、ステントを静脈内に挿入し、そして必要に応じてステントを波形にし;ステントの第一の端が、切開された静脈の開放端と整列するように、ステントを配置し;静脈を動脈に縫合し;吻合に渡って動脈を切開し;動脈における切開を通じてステントにバルーンを挿入し;バルーンを拡張してステントを拡張し;そして動脈における切開を縫合するか;あるいはスリーブおよび/または波形にするデバイスを伴いまたは伴わずに、静脈の切断端内に直視下でステントを配置し、吻合を実行し、そして次いで静脈アプローチを通じてステントを拡張させる工程を含む、前記方法を記載する。あるいは、ステントを、必要に応じて動脈内に伸長し、そして全吻合周辺領域を覆うように構成してもよく;動脈流がステント中のギャップを通じてよく来るように、ステントを構成/設計する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
[0013]付随する図と関連して考慮した際、以下の詳細な説明を参照することによってよりよく理解されるであろうため、本発明およびその多くの態様のより完全な認識が容易に得られるであろう:
図1】[0014]図1は、薄いマグネシウム箔のエッチングおよび回転によって、マグネシウムステントを形成する工程の特定の態様を例示する。
図2】[0015]図2は、マグネシウムステントの特徴を組み立てる本開示のフォトリソグラフィーの工程の特定の態様を例示する。
図3】[0016]図3aおよび3bは、側面端に沿ってステントシリンダーをロックするための2つの限定されないアプローチを例示する。3aは、外科縫合糸または薄いマグネシウムワイヤの使用を例示し、一方、3bは、端のモザイクパズル型ロックを例示する。
図4】[0017]図4aおよび4bは、全体として4aに、そして拡大して4bに示すような、本明細書記載の特定の方法を通じて製造したマグネシウムステントを例示する。
図5】[0018]図5は、光化学エッチングによって作製され、そして特定の態様においてらせん状にステント壁と重複するまでフォールディングされた、ロックされていないシリンダーに成形された、バルーン拡張可能ステントの模式図を例示する。
図6】[0019]図6は、拡張されていない、レーザー溶接されたマグネシウムステントを例示する。下部左パネルは、上部左パネルの拡大画像であり、ステントの連続溶接を明らかに示す。下部右パネルは、上部右パネルの拡大画像であり、そしてスポット溶接ステントの態様を示す。
図7】[0020]図7は、特定のパターンを示し、そして各末端に末端リングを有する、拡張されていないステントの多様なサイズおよび立体配置を例示する。
図8】[0021]図8は、本明細書に記載するステントの特定の態様の図を例示し、そして末端リングが、特定の態様において、ステントの立体配置を拡張するかまたは別の方式で変化させる、バルーンの使用および/膨張前に取り除かれることを示す。
図9】[0022]図9は、本明細書記載のステントの特定の態様のさらなる図を例示する(9a〜9c)。
図10】[0023]図10は、拡張されているマグネシウムステントを例示する。上部パネルは、中央部でバルーンによって拡張されたステントを示す。下部パネルは、ステントの1つの端を拡張するバルーンの膨張を例示する。
図11】[0024]図11は、橈側皮静脈および橈骨動脈を示す、ヒト手首の図を例示する。
図12】[0025]図12は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)移植片を例示する。
図13】[0026]図13は、ステントが、移植片の代替物として、他の場所の中でもとりわけ、特定の態様において、外科的に生成された動静脈瘻形成に配置可能であることを例示する;瘻には、ステントを構成可能な多様な寸法および角度が含まれうる。
図14】[0027]図14は、図14aでは、図13に示す画像のより小さいバージョンを例示し、そして14bおよび14cでは、ステントのさらなる立体配置を示す。
図15】[0028]図15は、生分解性成熟増進ステントの異なるタイプ、サイズ、および立体配置を例示し、該ステントは、特定の態様において、外科的動静脈瘻形成時に、静脈セグメント内に配置可能である。
図16】[0029]図16は、ステント送達を例示する。
図17】[0030]図17a〜17bは、本明細書に記載するように配置されたステントの2例である特定の立体配置を例示する。
図18】[0031]図18は、さらなる配置されたステントを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0032]本開示の特定の態様をここに記載する。しかし、本発明は、異なる形で具象化可能であり、そして本明細書に示す態様に限定されると見なされてはならない。むしろ、これらの態様は、本開示が徹底的であり、そして完全であり、そして当業者に本発明の範囲を完全に伝えるであろうように提供される。
【0015】
[0033]別に定義されない限り、本明細書で用いるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の一般の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で用いる専門用語は、特定の態様を記載するためのみのものであり、そして本発明を限定することは意図されない。明細書および付随する請求項において使用した際、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形もまた含むよう意図される。
【0016】
[0034]別に示さない限り、明細書および請求項において用いられるような成分、特性、状態等の量を示すすべての数値は、すべての場合で、示す値の最大±10%を意味するように意図される、用語「約」によって修飾されると理解されるものとする。さらに、明細書および請求項の任意の範囲の開示は、その範囲自体、およびまたその中に含まれるいずれか、ならびに終点を含むと理解されるものとする。別に示さない限り、本明細書および請求項に示す数値特性は概算であり、これは本発明の態様で得られるように求められる望ましい特性に応じて、多様であることも可能である。本発明の広い範囲を示す数値範囲およびパラメータが概算であるにも関わらず、特定の実施例に示す数値は、できる限り正確に報告する。しかし、いかなる数値も、本質的に、そのそれぞれの測定値において見られる誤差から生じる特定の誤差を必然的に含有する。
【0017】
[0035]本明細書において、用語「生分解性」は、一般的に、ステントが崩壊し、腐敗し、または変質を引き起こされるような、そしてこうした分解中、有意なレベルまでは毒素が産生されないような、ステントの分解を指す。
【0018】
[0036]本明細書において、用語、動静脈「成熟」は、血液透析アクセスポイントに関して、手術時点から発展する動脈−静脈連結の進行および機能性増加を指す。
[0037]本明細書に例示する特定の態様は、限定されるわけではないが、任意の血管(心臓血管、動静脈瘻等)、尿管、胆管および気管管(tracheal duct)の足場を含む、医学的適用のための生分解性マグネシウムに基づくステントの製造に関する。ステントは、特定の態様において、光学的フォトリソグラフィー、電子ビームリソグラフィー、x線リソグラフィー、ナノインプリントリソグラフィー、またはこれらの技術の組み合わせを含む、任意のリソグラフィーアプローチを用いることによって生成されたマスクを通じたマグネシウム箔の化学的エッチングによって産生される。本明細書記載の態様は、安価で、そして大量生産のために拡大可能な、マグネシウムに基づく生分解性ステントの産生を行うことも可能である。
【0019】
[0038]特定の態様は、以下に記載するように、マグネシウムステントを作製する方法に向けられる。ステントは、特定の態様において、薄いマグネシウム箔で組み立てられている。ステント作製には、図1に例示するいくつかの工程が含まれてもよい。図1は、薄いマグネシウム箔のエッチングおよび回転によって、マグネシウムステントを形成する工程を示す。
【0020】
[0039]特定の態様において、用いる材料は、光化学エッチングによってプロセシングされている、およそ200ミクロン厚の純粋マグネシウム箔、またはさらなる特定の態様において、およそ250マイクロメートル厚のマグネシウム合金AZ31で作製された箔であることも可能である。他のマグネシウム合金もまた使用可能である。特定の態様において、純粋マグネシウムは、約100〜約300ミクロン厚であることも可能であり、そして合金は、約200〜約300ミクロン厚であることも可能である。このアプローチには、箔の両側に特徴を移すフォトリソグラフィーの後、化学エッチングを含むことも可能である。生じる、エッチングされた箔は、フォトリソグラフィーマスクによって決定される望ましい特徴を有することも可能である。この技術を用いて、異なる寸法の、多様な特徴および立体配置が産生可能である。
【0021】
[0040]図2は、光学リソグラフィーを用いた際の特定の態様におけるプロセシング工程を例示する。出発材料は、厚い(think)マグネシウム箔であってもよく、その両側が、スピンコーティング技術後、樹脂をバッキングすることによって、ポジ型フォトレジストの薄層で、覆われていてもよい。次に、フォトレジストに変化を引き起こし、曝露された領域を可溶性にするフォトマスクを通じて、箔の両側のフォトレジストを、適切な波長の光に曝露してもよい。この工程の後に、適切な溶媒によってフォトレジストの可溶性領域を剥がし、こうしてマグネシウム箔の両側に直接付着したポリマーマスクを生成する工程が続いてもよい。続く工程は、両側からマスクの開放領域を通じて金属へのアクセスを有するエッチング溶液にマグネシウム箔を曝露することも可能である。この工程は、箔のすべての厚さを通じて、金属からの完全なエッチングを引き起こしうる。エッチング液は、フォトレジストマスクに影響を及ぼさず、このマスクは、マグネシウムの特定の領域を保護し、そしてステント立体配置の生成を可能にする。最後の工程は、両側の残ったフォトレジストマスクのみを取り除き、そしてエッチングされた箔を解放する溶媒を用いる、リフトオフ法に関連する。
【0022】
[0041]特定の態様において、さらなる方法には、箔を回転させて、シリンダーまたはさらに継ぎ目がないシリンダーを形成する工程が含まれる。2つのオプションを示す。第一のものは、形成されたシリンダーを「ロックされない」(2つの縦の端に沿ってシールされない)ままにして、これによってステントが容易に拡張することを可能にする。第二のアプローチは、超音波スポット溶接によって側面端に沿って、エッチングされたマグネシウムシリンダーを「ロックし」、したがって、いかなるはんだ材料に関する必要性も回避する工程を詳述する。レーザースポット溶接もまた、現在考えられうる。特定の態様において、溶接を、不活性環境中、マグネシウム電極で行う。
【0023】
[0042]特定の態様において、エッチングされたマグネシウムシリンダーを「ロックする」ための別のアプローチは、シリンダーの長さに沿って外科縫合糸でまたは細いマグネシウムワイヤで両側面端を編むことによる(図3aを参照されたい)。エッチングされたマグネシウムシリンダーを「ロックする」ための別のアプローチは、図3bに示すように、適切なソケット−スタッド(雄−雌)立体配置であらかじめ成形された両側面端をスナップ式に留めることによってもよい。このロックは、カップリングの「モザイクパズル」型と似ている可能性もあり、そして側面端を単純なスタンピング操作によって成形することも可能である。
【0024】
[0043]図4aおよび4bは、全体として4aに、そして拡大して4bに示すような、本明細書記載の特定の方法を通じて製造したマグネシウムステントを例示する。
[0044]図5は、光化学エッチングによって作製され、そして特定の態様においてらせん状にステント壁と重複するまでフォールディングされた、ロックされていないシリンダーに成形された、バルーン拡張可能ステントの模式図を例示する。特定の態様において、ステントは、小血管、中型血管のおよび大血管、または小血管および大血管に関して、血管サイズに関して最適なステント設計を決定する、ステント設計を計算するためのコンピュータとカップリングされた情報ライブラリー由来のデータを用いて、コンピュータ計算によって設計される。
【0025】
[0045]図6は、拡張されていない、レーザー溶接されたマグネシウムステントを例示する。下部左パネルは、上部左パネルの拡大画像であり、ステントの連続溶接を明らかに示す。下部右パネルは、上部右パネルの拡大画像であり、そしてスポット溶接ステントの態様を示す。スポット溶接には、態様に応じて、多様な厚さのまたは等しい厚さの1〜数ダースのスポット溶接を形成することが含まれうる。
【0026】
[0046]図7は、特定のパターンを示し、そして各末端(例えば画像の左から右に見た際に、上部および下部リングと呼ぶことも可能な、回転したシリンダーの、シリンダーの縦の長さに沿った)に末端リングを有する、拡張されていないステントの多様なサイズおよび立体配置を例示する。特定の態様において、単数または複数のリングは、非常に細い直径を有し、特定の態様において、縦の末端を一緒に保持する溶接の幅の直径よりもより細い直径を有する。他の態様において、ステントの縦の各末端で、1〜4のリングが形成され、各々、等しいかまたは多様な厚さであり、1またはそれより多いリングが切断されそして/または取り除かれて、拡張速度に影響を及ぼす。切断された際のリングおよび中心部分の拡張速度は、設計によって必要に応じて等しくてもまたは等しくなくてもよい。さらに、ステントは、拡張前には直径約3〜約30マイクロメートルであることも可能であり、そして元来の拡張されていない直径の約1〜約4倍に拡張可能であることも可能である。特定の態様において、ステントは、長さ約50ミリメートルであり、そして他の場合、長さ10〜100ミリメートルである。
【0027】
[0047]図8は、本明細書に記載するステントの特定の態様の図を例示し、そして末端リングが、特定の態様において、ステントの立体配置を拡張させるかまたは別の方式で変化させる、バルーンの使用および/膨張前に取り除かれることを示す。
【0028】
[0048]図9は、本明細書記載のステントの特定の態様のさらなる図を例示する(9a〜9c)。
[0049]図10は、拡張されているマグネシウムステントを例示する。上部パネルは、中央部でバルーンによって拡張されたステントを示す。下部パネルは、ステントの1つの末端を拡張させるバルーンの膨張を例示する。
【0029】
[0050]図11は、橈側皮静脈および橈骨動脈を示す、ヒト手首の図を例示する。この静脈および動脈は、特定の態様において、連結されて、動静脈瘻(AVF)を通じて、外科的に生成された血管アクセスポイントを生成することも可能である。他の限定されない例には、橈側皮静脈および上腕動脈、尺側皮静脈および上腕動脈、尺側皮静脈および尺骨動脈を連結するか、あるいはAVFを肘前窩下に生成する工程が含まれる。
【0030】
[0051]図12は、本明細書に記載するPTFE移植片態様が、現在の移植技術および限界に対する代替法を提供することを例示する。
[0052]図13は、移植片の代替物として、他の場所の中でもとりわけ、特定の態様において、外科的に生成された動静脈瘻形成に配置可能であるステントに関して、ブタに配置されたマグネシウムステントを例示する。図13は、ブタにおける使用を示すが、ヒトを含む他の動物において、ステントが使用可能である。
【0031】
[0053]図14は、図14aでは、図13に示す画像のより小さいバージョンを例示し、そして14bおよび14cでは、ステントのさらなる立体配置を示す。
[0054]図15は、生分解性成熟増進ステントの異なるタイプ、サイズ、および立体配置を例示し、該ステントは、特定の態様において、外科的動静脈瘻形成時に、静脈セグメント内に配置可能である。不全の潜在的な問題には、ステントに関連する静脈部分にステントを配置することによって、潜在的に取り組むことも可能である。必要な角度で構成されて、瘻の成熟を促進するように、または他の体の部分において用いられて、そして血管、尿管等の天然の立体配置を満たすことが可能であるように、ステントをコイルまたはコイル様構造に巻いてもよい。角度は、特定の態様において、例えば30〜120度であることも可能である。
【0032】
[0055]図16は、ステント送達を例示する。ステントを、必要に応じて、動脈または静脈、または体の他の部位に配置することも可能である。
[0056]図17a〜17bは、本明細書に記載するように配置されたステントの2つの特定の立体配置を例示する。ステントを多様な必要な立体配置に配置してもよく、これには、限定されるわけではないが、各々、約ゼロから約120度の角度の、最大約1つ〜約5つの角度を含むことが含まれる。
【0033】
[0057]図18は、さらなる配置されたステントを例示する。
[0058]特定の態様において、ステント展開には、バルーン膨張が含まれてもよい。フォトエッチングしたマグネシウム箔から始まって、そしてこれを「ロックされていない」シリンダーになるように回転させ、数回転に渡るフォールディングを可能にして、ステントの壁に重複するようにして、ステントをらせん状に巻くことも可能である。次に、膨張させていないバルーンを、シリンダー状ステント内に挿入することも可能である。慣用的な送達技術を用いて、血管内にステントを配置した後、バルーンを膨張させ、そしてステントをアンフォールディングさせて、こうして血管壁まで拡張させてもよい。この方式で、伸縮性の変形を経ることなく、マグネシウムステントを展開することも可能である。
【0034】
[0059]マグネシウムステントの製造のための特定の上述のアプローチの利点には、限定されるわけではないが、高価なレーザー切断操作の回避が含まれる。特定の使用する光化学エッチングは、拡大縮小可能なプロセスであり、短時間しか必要とせず、3フィート掛ける3フィートおよびそれより大きい寸法の箔に適用可能であり、そして洗練された施設を必要としない。
【0035】
[0060]本開示が態様の多様な側面を含むことを理解すべきである。
[0061]第一の側面において、医学的適用のためのマグネシウムに基づく生分解性ステントには、限定されるわけではないが、任意の血管(心臓血管、動静脈瘻等)、尿管、胆管および気管管の足場が含まれる。
【0036】
[0062]第二の側面において、開示は、限定される訳ではないが、純粋マグネシウム、あるいはAZ系由来のなどの任意の組成物を含み、また希土類(限定されない例において、これらには、軽希土類、例えばLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、およびGd、または重希土類、例えばTb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、およびYが含まれうる)をドープしないかまたはドープしたマグネシウム合金を含む組成物を含むマグネシウム箔から作製可能な第一の側面のマグネシウムステントを提供する。
【0037】
[0063]第三の側面において、開示は、第一または第二の側面のマグネシウムステントを提供し、ここで、マグネシウム箔の両側にステント特徴を移すことが可能な任意のリソグラフィー技術を用い、その後、マグネシウムの選択的エッチングを行うことによって、ステント特徴およびマグネシウムステント立体配置の寸法を作製することも可能である。
【0038】
[0064]第四の側面において、開示は、第三の側面のマグネシウムステントを提供し、ここで、リソグラフィー技術は光学的フォトリソグラフィーである。
[0065]第五の側面において、開示は、第三の側面のマグネシウムステントを提供し、この場合、リソグラフィー技術は、電子ビームリソグラフィーである。
【0039】
[0066]第六の側面において、開示は、第三の側面のマグネシウムステントを提供し、この場合、リソグラフィー技術はx線リソグラフィーである。
[0067]第七の側面において、開示は、第三の側面のマグネシウムステントを提供し、この場合、リソグラフィー技術はナノインプリントリソグラフィーである。
【0040】
[0068]第八の側面において、開示は、第三の側面のマグネシウムステントを提供し、この場合、リソグラフィー技術は、光学的フォトリソグラフィー、電子ビームリソグラフィー、x線リソグラフィー、およびナノインプリントリソグラフィーの組み合わせであるが、これらのリソグラフィー技術に限定されない。
【0041】
[0069]第九の側面において、開示は、第三の側面のマグネシウムステントを提供し、この場合、マグネシウム箔は、一方または両方の側からの気相化学的エッチングによってプロセシングされる。
【0042】
[0070]第十の側面において、開示は、第三の側面のマグネシウムステントを提供し、この場合、マグネシウム箔は、湿式化学エッチングによってプロセシングされる。
[0071]第十一の側面において、開示は、第三の側面のマグネシウムステントを提供し、この場合、マグネシウム箔は、気体中、または湿式化学エッチング環境中のいずれかで、光化学エッチング(光子によって増進されるエッチング)によってプロセシングされる。
【0043】
[0072]第十二の側面において、開示は、第三の側面のマグネシウムステントを提供し、この場合、エッチングされたマグネシウム箔を回転させて、継ぎ目がないシリンダーを形成する工程を含む方法を使用することによって、マグネシウムステントを提供する。
【0044】
[0073]第十三の側面において、開示は、第三の側面または第十二の側面のマグネシウムステントを提供し、この場合、エッチングされたマグネシウムシリンダーは、ロックされないままであり(側面端に沿ってシールされない)、これによってステントが容易に拡張することが可能になる。
【0045】
[0074]第十四の側面において、開示は、第三の側面または第十二の側面のマグネシウムステントを提供し、この場合、エッチングされたマグネシウムシリンダーは、いかなるはんだ材料も用いることなく、超音波スポット溶接によって、側面端に沿って「ロックされている」。
【0046】
[0075]第十五の側面において、開示は、第三の側面または第十二の側面のマグネシウムステントを提供し、この場合、エッチングされたマグネシウムシリンダーは、いかなるはんだ材料も用いることなく、レーザースポット溶接によって、側面端に沿って「ロックされている」。
【0047】
[0076]第十六の側面において、開示は、第三の側面または第十二の側面のマグネシウムステントを提供し、この場合、エッチングされたマグネシウムシリンダーは、不活性環境中、マグネシウム電極を用いた溶接によって、側面端に沿って「ロックされている」。
【0048】
[0077]第十七の側面において、開示は、第三の側面または第十二の側面のマグネシウムステントを提供し、この場合、エッチングされたマグネシウムシリンダーは、外科縫合糸を用いて両端を編むことによって、側面端に沿って「ロックされている」。
【0049】
[0078]第十八の側面において、開示は、第三の側面または第十二の側面のマグネシウムステントを提供し、この場合、エッチングされたマグネシウムシリンダーは、マグネシウムワイヤを用いて両端を編むことによって、側面端に沿ってロックされている。
【0050】
[0079]本発明の第十九の側面において、開示は、第三の側面または第十二の側面のマグネシウムステントを提供し、この場合、エッチングされたマグネシウムシリンダーは、両端をカップリングする/スナップ式に留めることによって、側面端に沿って「ロックされている」。
【0051】
[0080]第二十の側面において、開示は、第三の側面、第十二の側面、または第十九の側面のマグネシウムステントを提供し、この場合、両方の側面端は、適切なソケット−スタッド(雄−雌)立体配置で成形されている。
【0052】
[0081]第二十一の側面において、開示は、第三の側面または第十三の側面のマグネシウムステントを提供し、この場合、マグネシウムステントはバルーン拡張可能であり、そしてロックされていないシリンダーは、らせん状にステント壁と重複するまでフォールディングされ、これによってステントの展開が可能になる。
【0053】
[0082]本明細書の特定の態様の側面において:気相化学エッチングを用い、湿式化学エッチングを用い、シリンダーはバルーン拡張可能なシリンダーであってもよく、シリンダーの縦の長さに沿って2つの端間に縦のギャップがあるようにロックされないままであってもよく、ステントの縦の長さを見下ろした側面から見た際にらせんが形成されているように、シリンダーの縦の長さに沿った2つの端が互いに重複するように、構成されてもよい。より特定の態様において、外科縫合糸、マグネシウムワイヤ、またはスナップのいずれかで、あるいは2またはそれより多いインターロッキング雄−雌連結を含むモザイクパズル立体配置によって、両方の端を編み、そしてシリンダーの縦の長さに関して異なる角度で配置された2またはそれより多いインターロッキング雄−雌連結を有するようにシリンダーを構成することによって、縦の端に沿ってシリンダーをロックしてもよい。より特定の態様において、マグネシウムシリンダーの側面の少なくとも一部に対してレーザー溶接を実行してもよく、ステントが上部または下部リングあるいは両方(リングは、それぞれ、シリンダーの縦の長さに沿った各末端にある)を有してもよく、そしてレーザー溶接工程後に、エッチング、機械的切断、またはレーザー切断によって、リングを取り除いてもよい。より特定の態様において、リング除去後、さらなるエッチングを実行してもよいし、またはリングを適所に放置し、そして不連続であるように部分的にまたは完全に、そして任意の角度で切断してもよい。特定の態様において、リングに応じて、方法は、ステントがステントの縦の収縮に関してストレスがないように、そしてステントを拡張した際に、ステントの屈曲が防止され、そして支柱間の蛇行ワイヤ連結の過度のストレスまたは破壊もまた防止されるように、ステント上のすべての外周の支柱間の溶接された継ぎ目のすべての縦のセクションを取り除く工程を含む。特定の態様において、術後、血流を測定するかまたは血流を視覚化するドップラーまたは他のデバイスを用いて、手術した血管の機能性を評価することも可能である。特定の態様は、頸動脈および頸静脈を伴い、そしてステントを静脈内に挿入する工程の前に、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、非選択的ホスホジエステラーゼ阻害剤、カルシウムチャネルブロッカー、血小板阻害剤、または魚油の1つまたはそれより多くでステントをコーティングする工程を伴う。本明細書の特定の態様は、血管内的に静脈(または動脈)内にステントを挿入する工程を伴い、そして/または吻合を渡って血管内挿入をさらに実行し、そして血管内的に静脈を拡張させる工程をさらに含み、そして/または静脈を通じて拡張デバイスを挿入して、ステント全体を拡張させる工程をさらに含む。他の態様において、血管内の流動を最適にするため、拡張後にステントの立体配置の操作があり、そして/または外科的領域を覆い、そして/または該方法は、静脈および動脈の吻合を完了させる工程を含む。さらにさらなる特定の態様において、同じ手術中に、動脈および静脈中にステントを配置し、そして/または他の態様において、方法は、静脈および動脈の吻合の結果として、静脈内への血流変化を可能にするように、そして術後に起こる静脈構造およびサイズのいかなる変化も可能にするように、ステントを設計する工程を含む(設計は、領域を通じて血流を変化させるかまたは別の方式で機能性を増加させるかまたは最大化させるための最適化を考慮することも可能である)。他の態様において、ステントを完全にまたは部分的にスリーブによって覆ってもよく、そして1またはそれより多い静脈または動脈あるいは両方に関する所定の手術において、1より多いスリーブを用いてもよい。さらにより特定の態様において、腹腔鏡検査を通じて、ステントを配置してもよい。
【実施例】
【0054】
[0083]記載する態様は、例示のために提供され、そして限定を意味しないことを当業者が理解するであろう、以下の実施例を参照することによってよりよく理解されるであろう。
【0055】
実施例1
光化学エッチングを用いて、医学的移植のため、マグネシウム生分解性ステントを作製する方法
[0084]光化学エッチングを用いて、生分解性ステントを作製するための工程には、特定の態様において、コンピュータソフトウェアを用いて、特徴および寸法を設計することによって、マスクを作製する工程が含まれる。プリンティングによってまたはフォトプロセスによって、マスクを透明な箔またはガラスプレートに移してもよい。溶液を用いて、Mg箔のクリーニングを行ってもよい。次いで、ポリマー4などの光感受性ポリマーで箔をラミネート加工してもよい。マスクを通じて、光感受性ポリマーを紫外光に曝露してもよい(そしてこれを、箔の片側または両側に関して行ってもよい)。マスクに曝露されたポリマーは可溶性になる。この工程4は、ラミネート加工したMg箔の両側に対して行う。ポリマーの可溶性部分を取り除き、ラミネート加工したマグネシウム箔の両側に、ポリマー表面上にステント特徴を有するウィンドウを開放してもよい。HCLまたはHNO酸などのマグネシウムエッチング剤中に浸すことによって、あるいはノズルを用いてHCLまたはHNOを両側にスプレーすることによって、両側で、ラミネート加工した箔をエッチングしてもよい。ラミネート加工した箔をリンスし、そしてポリマー用の溶媒中に浸すことによって残ったポリマーを除去し、こうしてエッチングされたマグネシウム箔を解放してもよい。次いで、マグネシウム箔をリンスし、そしてエッチングされたマグネシウム箔から、セグメントを切ってもよい。特定の態様において、マグネシウム箔を回転させて、シリンダーに成形し、そしてマグネシウムシリンダーの側面をレーザー溶接してもよい。
【0056】
[0085]特定の態様において、シリンダーの縦の長さに沿って箔の側面に上部および下部リングが存在するように、シリンダーを設計する。これは、回転プロセス中、驚くほど多くの補助を提供する。特定の態様において、リングは、アルミニウムまたはアルミニウム合金の固形セグメントであり、そして他のセグメントにおいて、これらは、長さに沿って部分的エッチングを有してもまたは持たなくてもよい、連続した長さのものである。さらなる工程において、エッチングされたマグネシウムシリンダーの上部および/または下部リングを、エッチングおよび/または機械的および/またはレーザー切断によって取り除いてもよい。固形リングおよびステントの残りは、一般的に同じ特性を持たず、したがって、バルーン拡張に際して、セクションが同じ速度または同じ度合いまで、同じ方式では拡張しないため、これを実行してもよい。次いで、マグネシウムエッチングステントの電解研磨を実行してもよい。特定の態様において、マグネシウムステント設計は、末端リングのいずれかの幅よりも大きい幅である、縦の長さに沿った、単一の連続した縦の溶接を有する。
【0057】
実施例2
動静脈瘻を増進させるためのマグネシウム生分解性ステントの使用
[0086]血液透析を実行するための安全で有効な方法およびデバイスの価値は、低く見積もることはできない。米国疾病管理センター(CDC)は、2012年、米国のみで、血液透析治療に頼る人は約37万人いることを報告した。血液を透析装置に通過させて、粒子および毒素を濾過するため、一方または両方の腎臓の機能レベルに応じて、患者が、生命維持手段として血液透析を必要とする可能性もある。しかし、こうした手段は、侵入的である可能性があり、そして時間が掛かる可能性もあり、特定の場合、最大3〜5時間を要し、そして週に3回行う必要がある。
【0058】
[0087]患者血管系に対する適切でそして信頼性がある進入ポイントが利用可能であることを確実にするために、3つの主な技術が、現在、使用されている。現在の主なタイプのアクセスには、カテーテル、動静脈(AV)移植片および動静脈(AV)瘻が含まれる。しかし、各技術には多様な欠点がある。
【0059】
[0088]CDCによれば、約7万5千人の人々が中心ライン(中心静脈カテーテル)を通じて血液透析を受けている。中心ラインは、移植片または瘻よりもより高い感染リスクを有する。CDCは、2008年、米国血液透析患者において、3万7千の中心ライン関連血流感染が起きている可能性があると概算する。カテーテルはまた、ときに、安定化のためにカフを必要とし、他のオプションよりも低い流速を有し、そして単純に、多様な活動(水泳または入浴等)を妨害しうる。
【0060】
[0089]移植片は、多くの場合、柔らかいプラスチックチューブである連結デバイスを用いて、動脈に静脈を連結することによって生成される。移植片が治癒した後、2つの針を;一方は移植片の動脈側そして一方は静脈側に配置することによって、血液透析を行う。動脈系および低抵抗の静脈系の間に連結があるため、移植片によって、血流増加が可能になる。しかし、移植片は、血栓症および狭窄のため、注意および維持が必要である傾向がある。
【0061】
[0090]動静脈瘻(AVF)は、透析移植片およびカテーテルに比較した際、よりよい長期生存および感染リスク減少が見られるため、永続的透析血管アクセスの好ましい様式である。これは、「まず、瘻」と呼ばれる、AVF普及を増加させる政府主導を生じている。不運なことに、近年の大規模研究によって、手術4〜5ヶ月後に血液透析に適しているのはAVFのわずか40%のみであり、大部分のAVFは、瘻周辺静脈セグメント狭窄のため、成熟するのに失敗していたことが立証された。これは、静脈拡張の失敗によって構成される、侵襲性新生内膜肥厚(NH)のためであると考えられる。病原性レベルで、AVF成熟失敗の3つの主な原因は、(a)流動増加に反応した適切な拡張を経ることが不可能である小静脈、(b)NHおよび外側へのリモデリング(拡張)の欠如の両方になりやすい、異常な血行動態プロファイル、(c)NHおよび外側へのリモデリングの傷害に対する素因を生じる、尿毒症患者における酸化ストレスおよび炎症の結果としての異常な局所内皮機能である。
【0062】
[0091]本明細書の特定の態様は、動静脈(AVF)成熟の有意な増進を提供する、静脈セグメント内の生分解性成熟増進ステント(bMES)の配置を含む。特定の態様において、AVFの外科的生成時点で、静脈セグメントに、ステントを配置してもよい。例えば直径約2ミリメートルの静脈は、1分あたり、30〜50ミリリットルの典型的な流速を有することも可能である。ステントは、特定の態様において、挿入されてもよく、そして特定の場合、直径が約4ミリメートルまたはそれより大きく増加するように拡張されてもよい。特定の態様において、静脈サイズを、ステントによって約1〜約4倍増加させることも可能であり、そしてAVF生成後、流速を約1〜約30倍、増加させることも可能である。例えば、ステントを伴わずにAVFを生成した場合の劣った流動および血栓症とは対照的に、ステントを配置すると、先に記載するように、1分あたり30〜50ミリリットルの流速を、AVF生成後、500〜1000ミリリットルに増加させることも可能であった。特定の態様において、本明細書記載の任意のステントを提供してもよく、そして医学的適用のための方法には、AVFの外科的生成、本明細書に記載するような生分解可能ステントの挿入、および外科的生成時点のAVFの静脈セグメント内へのステントの配置が含まれうる。
【0063】
[0092]特定の態様において、可鍛性のコーティングされた(薬剤/遺伝子/細胞/化学薬品)成熟増進ステント(bMES)、または本明細書記載の任意のステントを、外科的AVF生成時点で、以下の効果を有するように、静脈セグメント内に配置するか、またはさらに、近位動脈セグメント内に伸長させる:(a)非常に重大な最初の1ヶ月中に、小静脈を開放したままにし、そしてより重要なことに、これらの小静脈およびまた動脈の即時拡張を引き起こして、手術直後に高い血流を発展させる可能性を大きく増加させ、そしてこの同じ高い血流(理想的には滑らかな層流形式)が、次いで、AVFのよりよい外側への拡張を可能にし、そしてまた、新生内膜肥厚を防止することを可能にする、(b)外科医が、可鍛性ステントを用いた解剖学的(外科的)立体配置を最適化して、層流を生じ、そして手術域および流出静脈における剪断ストレスを減少させ、したがって、「優れた」剪断ストレスプロファイルを増加させることを可能にし、ここで、「優れた」プロファイルは、AVF成熟の可能性を増加させ、そして配置前にコンピュータモデリングすることが可能な側面である。「優れた」プロファイルは、新生内膜肥厚の阻害を導き、そして外側へのリモデリングを増進させるであろう。(c)異常な血管生物学に対抗することが可能な薬剤、細胞、遺伝子または化学薬品送達の導管として、bMESの物理的構造が使用可能である。特定の態様において、bMESまたは本明細書記載の任意の他のステントを、ACE−I、ペントキシフィリン、カルシウムチャネルブロッカー、ジピリダモール、または魚油でコーティングしてもよい。特定の態様において、平滑筋細胞/線維芽細胞/筋線維芽細胞遊走および増殖をブロックする因子を適用してもよい。他のコーティングは、酸化防止剤および抗炎症コーティングを有してもよい。(d)コーティングを含むステント足場は、外科的傷害および静脈取り扱い領域を、侵襲性の新生内膜肥厚および内側への圧潰および/または収縮に対して防御することも可能である;コーティングはまた、局所生物学的環境を改変し、そして尿毒症、酸化ストレスおよび炎症の影響を相殺することも可能である。(e)その縦の側面に沿ったステントの開放立体配置は、最初の拡張に加えて、進行する拡張を可能にしうる。
【0064】
[0093]本明細書の態様を用いて、血行動態を最適化して、血管、尿管等の熱力学を増加させることも可能である。異なる技術を用いて、最適な剪断ストレスプロファイルを可能にするであろう理想的な立体配置を決定することも可能である。移植前および移植後の流速を決定して、ステント配置の有効性の概算を提供するかまたは概算において用いてもよい。
【0065】
[0094]新生内膜形成を減少させるかまたは血管直径を増加させる、内部または外部あるいは両方でのコーティング(例えば拡張のための一酸化窒素、パクリタキセルまたはシロリムスあるいは他の抗増殖および抗炎症剤、または免疫抑制剤または有糸分裂阻害剤)を含む、本明細書のステントを設計してもよい;本明細書に記載するすべての態様に関して、記載するコーティングの一般的なバージョンもまた使用可能である。コーティングの組み合わせもまた、考えられうる。
【0066】
[0095]本明細書記載の特定の態様は、ステント製造および分解の現在の方法を有意に改善する。本明細書記載のステントの特定の態様は、信頼可能に3ヶ月以内に分解される。完全分解が、例えば約1〜約3ヶ月後に起こるように設計することも可能である。また、血管サイズに基づいて、コンピュータ計算を用いて、ステント設計、産生、および立体配置のパラメータを決定してもよい。
【0067】
[0096]本明細書記載の特定の態様において、動物における先の実験および/またはヒトにおける実行由来のデータに由来する、静脈セグメント直径および体積血流(二重超音波)、そしてまた、NHの度合いを用いて、ステント産生のパラメータを決定してもよい。
【0068】
[0097]本明細書記載の特定の態様において、AVF成熟速度を増進させるだけでなく、小血管または多数の心臓血管併存症のため、現在AVF候補ではない患者において、AVFの外科的生成を可能にするため、生分解性ステントを利用してもよい。特に、生分解性ステント技術は、小児科集団において、AVFの配置増加を可能にし、小児科の場合、現在、永続的な血液透析血管アクセスの50%より多くが、トンネル型透析カテーテルの使用であり、これに付随する問題は感染および血栓症である。ステントを、移植片などの他の外科的処置と組み合わせて用いてもよい。
【0069】
[0098]特定の態様において、ステントを、ヒトを含む動物において配置してもよい。配置に関する特定の限定されない態様において、工程は以下の通りである:動物を麻酔し、外科的に前処置し、そして先制鎮痛剤を投与し;続くAVF配置に適切であるように切開を作製し;異なる立体配置の首において、頸動脈および頸静脈(内頸静脈または外頸静脈)の間で、あるいは大腿動脈および静脈の間で、あるいは近接しており、そして比較的表面にある、任意の他の動脈および静脈の間で、端側吻合で、AV瘻を生成し;動脈および静脈の間で、端側吻合で動静脈瘻を生成し;必要に応じてステント上のスリーブを用いて、ステントを静脈内に挿入し、そして必要に応じてステントを波形にし;ステントの第一の端が、切開された静脈の開放端と整列するように、ステントを配置し;静脈を動脈に縫合し;吻合に渡って動脈を切開し;動脈における切開を通じてステントにバルーンを挿入し;バルーンを拡張してステントを拡張し;そして動脈における切開を縫合するか;あるいはスリーブおよび/または波形にするデバイスを伴いまたは伴わずに、静脈の切断端内に直視下でステントを配置し、吻合を実行し、そして次いで静脈アプローチを通じてステントを拡張する工程。あるいは、ステントを、必要に応じて動脈内で拡張し、そして全吻合周辺領域を覆うように構成してもよく;動脈流がステント中のギャップを通じてよく来るように、ステントを構成/設計する。また、配置前または配置後に、血流を最適化するため、ステントを異なる解剖学的立体配置に構成してもよい。異なる静脈の静脈セグメントを含む、血管系のさらなる部位内への適用および配置が考えられる。
【0070】
[0099]特定の態様において、ステントを放射状に拡張する場合、ステントは、長さ軸方向に短くなる傾向があるであろう。しかし、ステントを閉鎖するために必要な、縦に溶接された継ぎ目は、長さを変化させず、したがって、放射状拡大下で、ステントの屈曲を引き起こすであろう。また、支柱を相互連結する小さい蛇行ワイヤもまた、縦の継ぎ目付近で過剰にストレスを受けるようになるであろう。この問題を回避するため、特定の態様において、溶接された継ぎ目の縦のセクションは、ステント上の外周支柱すべての間で取り除かれなければならない。支柱の箇所を除く、縦の継ぎ目の除去は、ステントを拡張した際に、ステントのストレスが掛からない縦の収縮を可能にし、そしてステントが屈曲し、そして支柱間の蛇行ワイヤ連結に過剰にストレスを掛けるかまたはこれを破壊することを防止するであろう。他の操作上の進歩は、ステント形状を変化させ、血行動態および層流を最適化することを可能にし、そして最初に拡張されたステントの直径よりも静脈が連続して広がり続ける場合、自己拡張を可能にする、縦の開放された継ぎ目があることを可能にする。
【0071】
[00100]ステントは、動脈流入、AVFのための動静脈吻合、またはAV移植物のための動脈−移植片および移植片−静脈吻合、流出静脈、巨大なより近位の静脈および中心静脈を含む、透析アクセス回路内のすべてのポイントで使用可能である。
【0072】
[00101]重要な特徴/長所は、生分解性であり、これによって、ステントがAVF生成後の最初の1〜6ヶ月間、多数の有益な効果(血管サイズを増加させ、立体配置および血行動態を最適化して生物学的環境を最適化する剤の放出を可能にする)を発揮することを可能にするが、次いでまた、狭窄および血栓症のリスク、ならびにそれ自体がリスクプロファイルを有する高価な抗凝血剤の長期の必要性を含めて、異物が循環中に長期にあることによる、長期の問題を防止することも可能である。以下は出願当初の本発明の各種形態の記載である。
(形態1) 医学的移植物適用のためのマグネシウム生分解性ステントを作製する方法であって
生分解性である純粋マグネシウムまたはマグネシウム合金を含むマグネシウム箔を提供し;
マグネシウム箔の特徴および寸法を構成するリソグラフィー技術を実行し、ここでリソグラフィー技術を用いて、ステント特徴をマグネシウム箔の両側に移し、ここでリソグラフィー技術が、光学的フォトリソグラフィー、電子ビームリソグラフィー、x線リソグラフィー、およびナノインプリントリソグラフィー、またはこれらの技術の組み合わせの少なくとも1つより選択される;
マグネシウム箔をエッチングし;そして
マグネシウム箔を回転させて、シリンダーを形成する
工程を含む、前記方法。
(形態2) エッチングが気相化学エッチングを含む、形態1の方法。
(形態3) エッチングが湿式化学エッチングを含む、形態1の方法。
(形態4) シリンダーがバルーン拡張可能であるようにシリンダーを構成し、そしてシリンダーの縦の長さに沿って2つの端の間に縦のギャップがあるようにシリンダーをロックせずに放置し、そしてステントの縦の長さを見下ろした側面から見た際にらせんが形成されているように、縦の長さに沿った2つの端が互いに重複するように、シリンダーを構成する工程をさらに含む、形態3の方法。
(形態5) 外科縫合糸、マグネシウムワイヤ、またはスナップのいずれかで、両方の端を編むことによって、縦の端に沿ってロックされるようにシリンダーを構成することをさらに含む、形態3の方法。
(形態6) 2またはそれより多いインターロッキング雄−雌連結を含むモザイクパズル立体配置によって、縦の端に沿ってシリンダーをロックし、そしてシリンダーの縦の長さに関して異なる角度で配置された2またはそれより多いインターロッキング雄−雌連結を有するようにシリンダーを構成する工程をさらに含む、形態3の方法。
(形態7) マグネシウムシリンダーの側面の少なくとも一部をレーザー溶接する工程をさらに含む、形態3の方法。
(形態8) シリンダーが上部および下部リングを有し、リングがシリンダーの縦の長さに沿った各末端にあるように、ステントを設計する工程をさらに含み、そしてレーザー溶接工程後に、エッチング、機械的切断、またはレーザー切断によってシリンダーの上部および下部リングを取り除く工程をさらに含む、形態7の方法。
(形態9) 上部および下部リングを取り除く工程がエッチングによって行われ、そして切断部のエッチング後、ステントの各末端が一連の丸いループを含む、形態8の方法。
(形態10) エッチング、機械的切断、またはレーザー切断によってステントの各末端から材料を取り除いて、上部および下部リングを取り除く工程の後、ステントの各末端から材料を取り除く工程をさらに含む、形態8の方法。
(形態11) リングが不連続であるように、ステントの縦の長さにほぼ平行なほぼ横断面の切断を用いて、2またはそれより多い部位で、上部および下部リングを完全に切断する工程をさらに含む、形態7の方法。
(形態12) ステントがステントの縦の収縮に関してストレスがないように、そしてステントを拡張した際に、ステントの屈曲が防止され、そして支柱間の蛇行ワイヤ連結の過度のストレスまたは破壊もまた防止されるように、ステント上のすべての外周の支柱間の溶接された継ぎ目のすべての縦のセクションを取り除く工程をさらに含む、形態11の方法。
(形態13) リングによって形成される円の30または45度ごとに、リングを切断することをさらに含む、形態7の方法。
(形態14) 拡張前のステントの直径の少なくとも2倍まで、シリンダーをバルーン拡張可能であるように構成する工程をさらに含む、形態13の方法。
(形態15) 化学薬品をあらかじめ装填し、そして後に遊離させるように構成されたゲル泡ラップで、シリンダーの内部を裏打ちする工程をさらに含む、形態14の方法。
(形態16) 生分解性である純粋マグネシウムまたはマグネシウム合金を含むマグネシウム箔を含むシリンダーを含む、医学的移植物適用のためのマグネシウム生分解性ステントであって、シリンダーがバルーン拡張可能に構成され、そしてシリンダーがシリンダーの縦の長さに沿って2つの端間に縦のギャップを有し、そしてステントの縦の長さを見下ろした側面から見た際にらせんが形成されているように、縦の長さに沿った2つの端が互いに重複するように、シリンダーが構成される、前記マグネシウム生分解性ステント。
(形態17) 外科縫合糸、マグネシウムワイヤ、またはスナップのいずれかで、両方の端を編むことによって、縦の端に沿ってロックされるようにシリンダーが構成されている、形態16のマグネシウム生分解性ステント。
(形態18) 少なくとも1つのインターロッキング雄−雌連結を含むモザイクパズル立体配置を含むロックを通じて、縦のギャップがロックされている、形態16のマグネシウム生分解性ステント。
(形態19) 少なくとも1つのインターロッキング雄−雌連結が、2またはそれより多いインターロッキング雄−雌連結を含み、そして2またはそれより多いインターロッキング雄−雌連結が、シリンダーの縦の長さに関して異なる角度で配置されている、形態18のマグネシウム生分解性ステント。
(形態20) マグネシウムシリンダーの側面の部分をレーザー溶接する、形態16のマグネシウム生分解性ステント。
(形態21) 生分解性である純粋マグネシウムまたはマグネシウム合金を含むマグネシウム箔を含むシリンダーを含み、ここでシリンダーはバルーン拡張可能であるように構成され、上部および下部リングを有し、リングはシリンダーの縦の長さに沿った各末端にあり、そして上部および下部リングは不連続であり、そしてステントがステントの縦の収縮に関してストレスがないように、そしてステントを拡張した際に、ステントの屈曲が防止され、そして支柱間の蛇行ワイヤ連結の過度のストレスまたは破壊もまた防止されるように、ステント上の外周の支柱間の溶接された継ぎ目の縦のセクションがまったくない、医学的移植物適用のためのマグネシウム生分解性ステント。
(形態22) 寸法が、およそ5〜10ミリメートルのシリンダーの直径および約50ミリメートルの長さを含む、形態21のマグネシウム生分解性ステント。
(形態23) 医学的移植物のためのマグネシウム生分解性ステントの配置法であって:
生分解性である純粋マグネシウムまたはマグネシウム合金を含むマグネシウム箔を含むシリンダーを含む、医学的移植物適用のためのマグネシウム生分解性ステントであって、シリンダーがバルーン拡張可能に構成され、そしてシリンダーがシリンダーの縦の長さに沿って2つの端間に縦のギャップを有し、そしてステントの縦の長さを見下ろした側面から見た際にらせんが形成されているように、縦の長さに沿った2つの端が互いに重複するように、シリンダーが構成される、前記マグネシウム生分解性ステントを含むステントを提供し;
患者を麻酔し;
患者を外科的に前処置し;
患者に先制鎮痛剤を投与し;
続く動静脈配置に適切であるように手術部位を切開し;
動脈および静脈の間で、端側吻合で動静脈瘻を生成し;
ステントを波形にし(crimping);
ステントにスリーブを取り付け;
ステントを静脈内に挿入し;
ステントの第一の端が、切開された静脈の開放端と整列するように、ステントを配置し;
静脈を動脈に縫合し;
吻合に渡って動脈を切開し;
動脈における切開を通じてステントにバルーンを挿入し;
バルーンを拡張してステントを拡張し;そして
動脈における切開を縫合する
工程を含む、前記方法。
(形態24) 血管内的に静脈内にステントを挿入する工程を実行する工程をさらに含む、形態23の方法。
(形態25) 吻合を渡って血管内挿入をさらに実行し、そして血管内的に静脈を拡張させる工程をさらに含む、形態24の方法。
(形態26) 静脈を通じて拡張デバイスを挿入して、ステント全体を拡張させる工程をさらに含む、形態23の方法。
(形態27) 血管内の流動を最適にするため、拡張後にステントの立体配置を操作する工程をさらに含む、形態26の方法。
(形態28) 外科的傷害領域を覆う工程をさらに含む、形態23の方法。
(形態29) 静脈および動脈の吻合を完了させる工程をさらに含む、形態23の方法。
(形態30) 同じ手術中に、動脈中にステントを配置する工程をさらに含む、形態23の方法。
(形態31) 静脈および動脈の吻合の結果として、静脈内に血流変化を可能にするように、そして術後に起こる静脈構造およびサイズのいかなる変化も可能にするように、ステントを設計する工程をさらに含む、形態23の方法。
(形態32) 静脈が橈側皮静脈または尺側皮静脈である、形態23の方法。
(形態33) 静脈および動脈が、それぞれ、橈側皮静脈および上腕動脈、尺側皮静脈および上腕動脈、または尺側皮静脈および尺骨動脈を指す、形態23の方法。
(形態34) 動静脈瘻が肘前窩下に生成される、形態23の方法。
(形態35) 患者が小児科患者であるように患者を選択する工程をさらに含む、形態23の方法。
(形態36) 患者が非ヒト動物である、形態23の方法。
(形態37) 静脈および動脈が、それぞれ、頸動脈および頸静脈である、形態23の方法。
(形態38) ステントを静脈内に挿入する工程の前に、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、非選択的ホスホジエステラーゼ阻害剤、カルシウムチャネルブロッカー、血小板阻害剤、魚油、免疫抑制剤、有糸分裂阻害剤、酸化防止剤、抗増殖剤、または抗炎症剤の少なくとも1つでステントをコーティングする工程をさらに含む、形態23の方法。
(形態39) ステントを静脈内に挿入する工程の前に、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、非選択的ホスホジエステラーゼ阻害剤、カルシウムチャネルブロッカー、血小板阻害剤、魚油、免疫抑制剤、有糸分裂阻害剤、酸化防止剤、抗増殖剤、または抗炎症剤の少なくとも2つでステントをコーティングする工程をさらに含む、形態23の方法。
(形態40) 化学薬品をあらかじめ装填し、そして後に遊離させるように構成されたゲル泡ラップで、シリンダーの内部を裏打ちする工程をさらに含む、形態23の方法。
(形態41) 外科的に生成された動静脈瘻中に移植するためのマグネシウム生分解性ステントの配置法であって:
生分解性である純粋マグネシウムまたはマグネシウム合金を含むマグネシウム箔を含むシリンダーを含む、医学的移植物適用のためのマグネシウム生分解性ステントであって、シリンダーがバルーン拡張可能に構成され、上部および下部リングを有し、リングはシリンダーの縦の長さに沿った各端にあり、そして上部および下部リングは不連続であり、そしてステントがステントの縦の収縮に関してストレスがないように、そしてステントを拡張した際に、ステントの屈曲が防止され、そして支柱間の蛇行ワイヤ連結の過度のストレスまたは破壊もまた防止されるように、ステント上の外周の支柱間の溶接された継ぎ目の縦のセクションがまったくない、前記マグネシウム生分解性ステントを含むステントを提供し;
動脈および静脈の間で、端側吻合で動静脈瘻を生成し;
ステントを静脈内に挿入し;
ステントの第一の端が、切開された静脈の開放端と整列するように、ステントを配置し;
静脈を動脈に縫合し;
吻合に渡って動脈を切開し;
動脈における切開を通じてステントにバルーンを挿入し;
バルーンを拡張してステントを拡張し;そして
動脈における切開を縫合する
工程を含む、前記方法。
(形態42) 静脈および動脈が、ともに縫合されて、動静脈瘻を生成することが可能な静脈および動脈の任意の組み合わせを指す、形態41の方法。
(形態43) 静脈が橈側皮静脈または尺側皮静脈である、形態41の方法。
(形態44) 静脈および動脈が、それぞれ、橈側皮静脈および上腕動脈、尺側皮静脈および上腕動脈、または尺側皮静脈および尺骨動脈を指す、形態41の方法。
(形態45) 動静脈瘻が肘前窩下に生成される、形態41の方法。
(形態46) 患者が小児科患者であるように患者を選択する工程をさらに含む、形態41の方法。
(形態47) 患者が非ヒト動物である、形態41の方法。
(形態48) 静脈および動脈が、それぞれ、頸動脈および頸静脈である、形態41の方法。
(形態49) ステントを静脈内に挿入する工程の前に、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、非選択的ホスホジエステラーゼ阻害剤、カルシウムチャネルブロッカー、血小板阻害剤、または魚油の少なくとも1つでステントをコーティングする工程をさらに含む、形態41の方法。
(形態50) ステントを静脈内に挿入する工程の前に、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、非選択的ホスホジエステラーゼ阻害剤、カルシウムチャネルブロッカー、血小板阻害剤、または魚油の少なくとも2つでステントをコーティングする工程をさらに含む、形態41の方法。
(形態51) 化学薬品をあらかじめ装填し、そして後に遊離させるように構成されたゲル泡ラップで、シリンダーの内部を裏打ちする工程をさらに含む、形態41の方法。
(形態52) 血管内的に静脈内にステントを挿入する工程を実行する工程をさらに含む、形態41の方法。
(形態53) 吻合を渡って血管内挿入をさらに実行し、そして血管内的に静脈を拡張させる工程をさらに含む、形態52の方法。
(形態54) 静脈を通じて拡張デバイスを挿入して、ステント全体を拡張させる工程をさらに含む、形態41の方法。
(形態55) 血管内の流動を最適にするため、拡張後にステントの立体配置を操作する工程をさらに含む、形態54の方法。
(形態56) 外科的傷害領域を覆う工程をさらに含む、形態41の方法。
(形態57) 静脈および動脈の吻合を完了させる工程をさらに含む、形態41の方法。
(形態58) 同じ手術中に、動脈中にステントを配置する工程をさらに含む、形態41の方法。
(形態59) 静脈および動脈の吻合の結果として、静脈内への血流変化を可能にするように、そして術後に起こる静脈構造およびサイズのいかなる変化も可能にするように、ステントを設計する工程をさらに含む、形態41の方法。
図1
図2
図3
図4(a)】
図4b
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b
図9c
図10
図11
図12
図13
図14a
図14b
図14c
図15
図16
図17a
図17b
図18a
図18b
図18c
図18d