特許第6338586号(P6338586)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6338586液晶シール剤、および液晶表示パネルの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6338586
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】液晶シール剤、および液晶表示パネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1339 20060101AFI20180528BHJP
【FI】
   G02F1/1339 505
【請求項の数】9
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-532712(P2015-532712)
(86)(22)【出願日】2014年8月21日
(86)【国際出願番号】JP2014004281
(87)【国際公開番号】WO2015025522
(87)【国際公開日】20150226
【審査請求日】2017年3月15日
(31)【優先権主張番号】特願2013-173361(P2013-173361)
(32)【優先日】2013年8月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】村田 達司
(72)【発明者】
【氏名】溝部 祐司
(72)【発明者】
【氏名】張 磊
【審査官】 廣田 かおり
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−256777(JP,A)
【文献】 特開2004−163766(JP,A)
【文献】 特開2009−139922(JP,A)
【文献】 信越化学工業株式会社,シリコーンパウダー,インターネット,日本,2014年10月,URL,www.silicone.jp/catalog/pdf/kmp_j.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1339
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)アクリル樹脂(1a)、または1分子内にエポキシ基と(メタ)アクリル基とを有する(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂(1b)から選ばれる少なくとも1種の樹脂と、(2)有機フィラーと、(3)ラジカル重合開始剤と、を含む液晶シール剤であって、
前記(1)の樹脂の1分子内の水素結合性官能基当量が1.0×10−4mol/g以上4.5×10−3mol/g以下であり、
前記(2)の有機フィラーの比表面積の平均値が0.4m2/g以上1.5m2/g以下であり、
前記アクリル樹脂(1a)と前記(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂(1b)とを合わせた樹脂ユニット100質量部に対して、前記(2)有機フィラーの含有量は30〜100質量部である、液晶シール剤。
【請求項2】
前記(2)有機フィラーは、軟化点が30〜120℃である、シリコーン微粒子、アクリル微粒子、スチレン微粒子、ウレタン微粒子、アクリル・シリコーン複合微粒子、およびポリオレフィン微粒子からなる群より選ばれる一種類以上の微粒子である、請求項1に記載の液晶シール剤。
【請求項3】
前記(2)有機フィラーの形状が球状である、請求項1に記載の液晶シール剤。
【請求項4】
前記(1)の樹脂が、前記(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂(1b)である、請求項1に記載の液晶シール剤。
【請求項5】
前記(3)ラジカル重合開始剤を、前記アクリル樹脂(1a)と前記(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂(1b)とを合わせた樹脂ユニット100質量部に対して0.01〜3.0質量部含む、請求項1に記載の液晶シール剤。
【請求項6】
前記アクリル樹脂(1a)と前記(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂(1b)とを合わせた樹脂ユニット100質量部に対して、3〜30質量部の(4)エポキシ硬化剤をさらに含む、請求項1に記載の液晶シール剤。
【請求項7】
前記アクリル樹脂(1a)と前記(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂(1b)とを合わせた樹脂ユニット100質量部に対して、3〜30質量部の(5)無機フィラーをさらに含む、請求項1に記載の液晶シール剤。
【請求項8】
液晶滴下工法による液晶表示パネルの製造に用いられる、請求項1に記載の液晶シール剤。
【請求項9】
請求項1に記載の液晶シール剤を用いて、一方の基板にシールパターンを形成する工程と、
前記シールパターンが未硬化の状態において、前記一方の基板のシールパターン領域内、または前記一方の基板と対になる他方の基板に液晶を滴下する工程と、
前記一方の基板と、前記他方の基板とを重ね合わせる工程と、
前記シールパターンを硬化させる工程と、
を含む液晶表示パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶シール剤、およびそれを用いた液晶表示パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やパーソナルコンピュータをはじめとする各種電子機器の画像表示パネルとして、液晶表示パネルが広く使用されている。液晶表示パネルは、表面に電極が設けられた2枚の透明基板の間に液晶材料(以下、単に「液晶」という)を挟み込み、その周りを液晶シール剤によってシールされた構造を有する画像表示パネルである。
【0003】
上記液晶シール剤は、その使用量は僅かであるものの液晶と直接接触するため、液晶表示パネルの信頼性に大きな影響を与える。したがって、液晶表示パネルの高画質化を実現するため、現在、液晶シール剤には、高度かつ多様な特性が求められている。
【0004】
従来から、液晶表示パネルは、主に液晶注入工法によって製造されている。液晶注入工法は、一般に、(1)1枚の透明な基板の上に液晶シール剤を塗布して枠を形成し、(2)当該基板をプレキュア処理することによって液晶シール剤を乾燥させた後、他方の基板を貼り合わせ、(3)この2枚の基板を加熱圧締し、基板同士を接着させることにより基板の間に液晶シール剤の枠(セル)を形成し、(4)空のセル内に適量の液晶を注入した後、液晶の注入口を封止することにより液晶表示パネルを製造する方法である。
【0005】
一方、最近では、生産性の向上が見込まれる液晶表示パネルの製造方法として液晶滴下工法が検討されている。液晶滴下工法は、(1)透明な基板の上に液晶シール剤を塗布して液晶を充填するための枠を形成し、(2)前記枠内に微小の液晶を滴下し、(3)液晶シール剤が未硬化状態のままで2枚の基板を高真空下で重ね合わせた後、(4)液晶シール剤を硬化させてパネルを製造する方法である。液晶滴下工法では、光および熱硬化性の液晶シール剤を使用してもよく、上記(3)の工程で、液晶シール剤に紫外線などの光を照射する仮硬化を行った後、加熱による後硬化を行ってもよい。
【0006】
液晶滴下工法用の液晶シール剤としては、例えば液状エポキシ樹脂を用いることが提案されている(特許文献1)。液晶シール剤の接着性を高めたり、応力緩和性を向上させたりするために、ゴム状成分などを添加することや;液晶シール剤の耐熱性を高めるために、ガラス繊維やガラス粒子などの充填剤を添加することが提案されている(特許文献2)。また、コアシェル構造を有する樹脂微粒子を配合した液晶シール剤が提案されている(特許文献3)。また、液晶が液晶シール剤へ入り込むことを抑制するために、液晶シール剤に有機フィラーを添加することが提案されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3955038号公報
【特許文献2】国際公開第2004/039885号公報
【特許文献3】特開2010−277072号公報
【特許文献4】特許第5531166号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述の通り、ゴム状成分や樹脂微粒子などの有機フィラーを配合した液晶シール剤が知られている。有機フィラーは液晶シール剤中で応力緩和剤としての役割を果たす。従って、有機フィラーが液晶シール剤の体積中で大きい割合を占めると、より応力緩和剤としての効果を期待できる。
【0009】
ところが、有機フィラーは液状成分(アクリル樹脂や(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂など)となじみにくいため、有機フィラーを多量に配合して分散させることは困難であった。そのため、液晶シール剤から得られる液晶シールの応力緩和性が十分に高まらず、接着強度が十分でなかった。仮に、有機フィラーを多く配合できたとしても、液晶シール剤の粘度が高まりやすく、塗布性が損なわれやすかった。
【0010】
そこで本発明は、比表面積の小さい有機フィラーを液晶シール剤に配合することで、多量の有機フィラーを液晶シール剤に分散させて、液晶シールの応力緩和性や接着強度を高める。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第一は、以下に示す液晶シール剤および液晶表示パネルの製造方法に関する。
【0012】
[1](1)アクリル樹脂(1a)、または1分子内にエポキシ基と(メタ)アクリル基とを有する(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂(1b)から選ばれる少なくとも1種の樹脂と、(2)有機フィラーと、(3)ラジカル重合開始剤と、を含む液晶シール剤であって、前記(2)の有機フィラーの比表面積の平均値が0.4m2/g以上1.5m2/g以下である、液晶シール剤。
【0013】
[2]前記(1)樹脂の1分子内の水素結合性官能基当量が1.0×10−4mol/g以上5.0×10−3mol/g以下である、[1]に記載の液晶シール剤。
[3]前記アクリル樹脂(1a)と前記(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂(1b)とを合わせた樹脂ユニット100質量部に対して、前記(2)有機フィラーの含有量は30〜100質量部である、[1]または[2]に記載の液晶シール剤。
[4]前記(2)有機フィラーは、軟化点が30〜120℃である、シリコーン微粒子、アクリル微粒子、スチレン微粒子、ウレタン微粒子、アクリル・シリコーン複合微粒子、およびポリオレフィン微粒子からなる群より選ばれる一種類以上の微粒子である、[1]〜[3]のいずれかに記載の液晶シール剤。
[5]前記(2)有機フィラーの形状が球状である、[1]〜[4]のいずれかに記載の液晶シール剤。
[6]前記(1)の樹脂が、前記(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂(1b)である、[1]〜[5]のいずれかに記載の液晶シール剤。
[7]前記(3)ラジカル重合開始剤を、前記アクリル樹脂(1a)と前記(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂(1b)とを合わせた樹脂ユニット100質量部に対して0.01〜3.0質量部含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の液晶シール剤。
[8]前記アクリル樹脂(1a)と前記(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂(1b)とを合わせた樹脂ユニット100質量部に対して、3〜30質量部の(4)エポキシ硬化剤をさらに含む、[1]〜[7]のいずれかに記載の液晶シール剤。
[9]前記アクリル樹脂(1a)と前記(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂(1b)とを合わせた樹脂ユニット100質量部に対して、3〜30質量部の(5)無機フィラーをさらに含む、[1]〜[8]のいずれかに記載の液晶シール剤。
【0014】
[10]液晶滴下工法による液晶表示パネルの製造に用いられる、[1]に記載の液晶シール剤。
[11]前記[1]に記載の液晶シール剤を用いて、一方の基板にシールパターンを形成する工程と、
前記シールパターンが未硬化の状態において、前記一方の基板のシールパターン領域内、または前記一方の基板と対になる他方の基板に液晶を滴下する工程と、
前記一方の基板と、前記他方の基板とを重ね合わせる工程と、
前記シールパターンを硬化させる工程と、
を含む液晶表示パネルの製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明の液晶シール剤は、液晶滴下工法による液晶表示パネルの製造に用いられることが好ましい。本発明の液晶シール剤は、液晶表示パネルの液晶シールの形成に用いられる。形成される液晶シールは、液晶のリークを効果的に抑制するとともに、その接着強度が高い。また、液晶セルの基板同士のギャップ幅も適正に調整できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1.液晶シール剤について
本発明の液晶シール剤は、(1)少なくとも1種類の樹脂と、(2)有機フィラーと、(3)ラジカル重合開始剤とを含む。さらに、(4)エポキシ硬化剤や(5)無機フィラーなどを含みうる。
【0017】
(1)樹脂成分について
液晶シール剤は、少なくとも1種類の樹脂(1)を含むが、当該樹脂(1)は、アクリル樹脂(1a)、または1分子内にエポキシ基と(メタ)アクリル基とを有する(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂(1b)から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む。好ましくは、当該樹脂(1)は、(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂(1b)を含む。(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂(1b)は、硬化物の耐湿性を向上させる。
【0018】
アクリル樹脂(1a)は、1つ以上の(メタ)アクリル基を含む化合物をいう。ただし、アクリル樹脂(1a)はエポキシ基を含まない。
【0019】
アクリル樹脂の例には、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジアクリレートおよび/またはジメタクリレート;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジアクリレートおよび/またはジメタクリレート;ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジアクリレートおよび/またはジメタクリレート;ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジアクリレートおよび/またはジメタクリレート;トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジまたはトリアクリレートおよび/またはジまたはトリメタクリレート;ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジアクリレートおよび/またはジメタクリレート;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートおよび/またはトリメタクリレート;トリメチロールプロパントリアクリレートおよび/またはトリメタクリレート、またはそのオリゴマー;ペンタエリスリトールトリアクリレートおよび/またはトリメタクリレート、またはそのオリゴマー;ジペンタエリスリトールのポリアクリレートおよび/またはポリメタクリレート;トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート;カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート;カプロラクトン変性トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート;アルキル変性ジペンタエリスリトールのポリアクリレートおよび/またはポリメタクリレート;カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールのポリアクリレートおよび/またはポリメタクリレート;ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレートおよび/またはジメタクリレート;カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレートおよび/またはジメタクリレート;エチレンオキサイド変性リン酸アクリレートおよび/またはジメタクリレート;エチレンオキサイド変性アルキル化リン酸アクリレートおよび/またはジメタクリレート;ネオペンチルグコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールのオリゴアクリレートおよび/またはオリゴメタクリレート等が含まれる。
【0020】
液晶シール剤におけるアクリル樹脂(1a)の含有量は、求められる硬化性の程度にもよるが、液晶シール剤100質量部に対して、0〜80質量部であることが好ましく、0〜75質量部であることがより好ましく、0〜60質量部であることがさらに好ましい。
【0021】
アクリル樹脂(1a)の重量平均分子量は、例えば310〜500程度であってもよい。アクリル樹脂(1a)の重量平均分子量Mwは、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定できる。
【0022】
(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂(1b)は、好ましくはエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを、例えば塩基性触媒の存在下で反応させることにより得られる(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂である。(メタ)アクリルとは、メタアクリルまたはアクリルのいずれでもよい。
【0023】
原料となるエポキシ樹脂は、分子内にエポキシ基を2つ以上有する2官能以上のエポキシ樹脂であればよく、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、2,2’−ジアリルビスフェノールA型、ビスフェノールAD型、および水添ビスフェノール型等のビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ビフェニルノボラック型、およびトリスフェノールノボラック型等のノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;ナフタレン型エポキシ樹脂等が含まれる。3官能や4官能などの多官能エポキシ樹脂を(メタ)アクリル変性して得られる(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂は、架橋密度が高く、密着強度が低下し易いことから、2官能エポキシ樹脂が好ましい。
【0024】
2官能エポキシ樹脂は、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、およびビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましく、なかでもビスフェノールA型およびビスフェノールF型等のビスフェノール型エポキシ樹脂が、製造効率という観点からは好ましい。ビスフェノール型エポキシ樹脂は、ビフェニルエーテル型等のエポキシ樹脂と比べて塗布性に優れる等の利点があるからである。
【0025】
原料となるエポキシ樹脂は、1種類であってもよいし、2種類以上の組み合わせであってもよい。また、原料となるエポキシ樹脂は、分子蒸留法、洗浄法等により高純度化されていることが好ましい。
【0026】
(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂(1b)の重量平均分子量は、例えば310〜500程度であってもよい。(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂(1b)の重量平均分子量Mwは、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定できる。
【0027】
液晶シール剤における(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂(1b)の含有量は、液晶シール剤100質量部に対して、0〜80質量部であることが好ましく、0〜75質量部であることがより好ましく、0〜60質量部であることがさらに好ましい。
【0028】
(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂は、分子内にエポキシ基と(メタ)アクリル基とを有するため、光硬化性と熱硬化性とを併せ持つことができる。さらに、(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂が、非結晶性のエポキシ樹脂であっても、エポキシ基の数に対する水酸基の数の割合が多いことから、液晶に対する溶解を高度に抑制できる。
【0029】
アクリル樹脂(1a)および(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂(1b)は、水酸基、ウレタン結合、アミド基、カルボキシル基などの水素結合性官能基を有する。水素結合性官能基の例には、少なくともエポキシ樹脂のエポキシ基が(メタ)アクリル酸と反応することにより生成する水酸基が含まれるが、アクリル樹脂(1a)および(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂(1b)の原料となる(メタ)アクリル酸やエポキシ樹脂に含まれる水酸基、ウレタン結合、カルボキシル基、およびアミド基等も含まれる。水素結合性官能基を有する樹脂は、疎水性である液晶材料との相溶性が低いため、液晶材料への溶解が抑制される。そのため、液晶滴下工法用に適した液晶シール剤が得られる。
【0030】
アクリル樹脂(1a)および(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂(1b)の水素結合性官能基当量は、1.0×10−4〜5×10−3mol/gであることが好ましく、1.0×10−3〜4.5×10−3mol/gであることがより好ましく、1.5×10−3〜4.0×10−3mol/gであることがさらに好ましい。水素結合性官能基当量が1.0×10−4mol/g以上であると、1分子のアクリル樹脂(1a)および(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂(1b)に水素結合性官能基の数が充分含まれるため、液晶への溶解の抑制効果が得られやすい。水素結合性官能基当量が5×10−3mol/g以下であると、アクリル樹脂(1a)および(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂(1b)の硬化物が充分な耐湿性を有しやすいだけでなく、有機フィラーとのなじみも極端には損なわれにくい。
【0031】
アクリル樹脂(1a)および(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂(1b)の水素結合性官能基当量(mol/g)は、「1分子のアクリル樹脂(1a)または(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂(1b)に含まれる水素結合性官能基の数」/「アクリル樹脂(1a)または(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂(1b)の重量平均分子量(Mw)」として表される。たとえば、水素結合性官能基として、(メタ)アクリル酸とエポキシ樹脂とを反応させて得られる水酸基のみを有する(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の水素結合性官能基当量は、反応させた(メタ)アクリル酸のモル数を、(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)で割ることにより求めることができる。
【0032】
(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の水素結合性官能基当量は、例えば、原料となるエポキシ樹脂に反応させる(メタ)アクリル酸のモル数を調整したり;原料となる(メタ)アクリル酸やエポキシ樹脂が有する水素結合性官能基の量を調整したりすることなどによって制御できる。
【0033】
原料としてのエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる、(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の水酸基価当量は、3×10−3〜5×10−3mol/gであることが好ましい。
【0034】
液晶シール剤100質量部に対する、アクリル樹脂(1a)と(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂(1b)との合計含有量は、10〜75質量部であることが好ましく、10〜70質量部であることがより好ましく、40〜60質量部であることがさらに好ましい。
【0035】
(2)有機フィラーについて
液晶シール剤に含まれる有機フィラーは、特に制限されないが、熱硬化温度近傍で融解することによる液晶シール剤の液だれを防止する観点から、融点または軟化点が30〜120℃であるものが好ましい。本発明の液晶表示パネルにおいて、液晶セルの基板同士の間のギャップに設けられた液晶シール剤は、有機フィラーが可逆的または不可逆的に変形する(押しつぶされるか、またはひしゃげている)ことで、リークを防止する。有機フィラーの軟化点を30〜120℃とすることで、有機フィラーの変形を容易にして、液晶シール剤のシール能を高める。
【0036】
有機フィラーの例には、シリコーン微粒子、アクリル微粒子、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体等のスチレン微粒子、ウレタン微粒子、アクリル・シリコーン複合微粒子、およびポリオレフィン微粒子からなる群より選ばれる微粒子などが含まれる。
【0037】
有機フィラーの比表面積の平均値は0.4m/g以上1.5m/g以下であることが好ましく、0.5m/g以上1.0m/g以下であることがより好ましい。比表面積は、JIS Z8830に準じて測定される。比表面積が小さい(1.5m/g以下である)有機フィラーは、液晶シール剤に多量に添加されても、液晶シール剤の粘度を高めにくく、かつ有機フィラー同士の凝集物を形成しにくい。有機フィラーの比表面積は、有機フィラーの粒子径だけでなく、粒子表面の粗さにも大きく依存しうる。
【0038】
つまり有機フィラーは、液晶シール剤に含まれる樹脂成分となじみにくい。そのため、比表面積が大きい(1.5m/g超である)有機フィラーを、凝集を生じさせることなく液晶シール剤に配合可能な量は低くなる。有機フィラーの含有量が少ないと、接着強度が低下する。液晶シール剤の硬化収縮による応力が、有機フィラーによって十分に緩和されないためである。
【0039】
一方、液晶シール剤において有機フィラーが凝集していると、有機フィラーが液晶シール剤に均一に分布することができない。そのため、液晶シール剤の硬化収縮による応力が、有機フィラーによって十分に緩和されず、接着強度が低下する。
【0040】
また、仮に比表面積が大きい(1.5m/g超である)有機フィラーを液晶シール剤に配合できたとしても、液晶シール剤の粘度が高まりやすい。液晶シール剤の粘度が高すぎると、液晶セルの基板と基板とを重ね合わせたときに、液晶シール剤が所定の形状に変形しにくくなる。そのため、液晶セルの基板と基板とのギャップ幅を適正に制御しにくくなる。
【0041】
有機フィラーの比表面積を一定の範囲内にすることで、液晶シール剤における有機フィラーの含有率を高めて、その結果、液晶セルの基板同士のギャップ幅を適正に制御しつつ、液晶シール剤(液晶シール剤の硬化物)の接着強度を高める。本発明の液晶シール剤は、液晶セルの基板同士のギャップ幅が1μm〜5μmであっても、基板同士のギャップ幅を適正に制御することができる。
【0042】
さらに、有機フィラーの比表面積の平均値を上記範囲とすることで、液晶シール剤に含まれる樹脂成分と有機フィラーとの接触面積を小さくすることができ、チクソトロピーインデックス(TI値)を低くしうる。TI値が低いと、低シェアでの粘度が低くなる。それにより、液晶シール剤を撹拌した際に、多くの気泡を巻き込むことが少なく、また一旦含有した気泡も外に抜けやすい傾向にある。つまり、液晶シール剤中に含まれる気泡が少ないと、液晶セル製造時にディスペンサーで液晶シール剤を塗布する際、脱泡不足に起因する断線を起きにくくしうる。
【0043】
本発明の有機フィラーは、球状であることが好ましく、より好ましくは真球状である。球状であるとは、1個の粒子の直径の最大値(a)に対する最小値(b)の比b/a=0.9〜1.0であることをいう。有機フィラーの粒子径は、顕微鏡法、具体的には電子顕微鏡の画像解析により測定することができる。
【0044】
また、本発明の有機フィラーの表面は平滑であることが好ましい。表面が平滑であると比表面積が低下して、有機フィラーを配合可能な量が増加する。有機フィラーは、液晶シール剤においては球状であったり、平滑な表面を有したりすることが好ましいが、液晶表示パネルにおける液晶シール枠においては球状でなくても、平滑な表面を有していなくてもよい。液晶表示パネルの製造過程において、液晶シール剤中の有機フィラーが変形するからである。
【0045】
液晶シール剤における有機フィラーの含有量は、アクリル樹脂(1a)と(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂(1b)との合計である樹脂ユニット100質量部に対して、30〜100質量部であることが好ましく、40〜80質量部であることがより好ましく、50〜80質量部であることがさらに好ましい。
【0046】
(3)ラジカル重合開始剤について
液晶シール剤に含まれるラジカル重合開始剤は、アクリル樹脂(1a)や(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂(1b)などを光硬化反応させるための光ラジカル重合開始剤や熱硬化反応させるための熱ラジカル重合開始剤を含む。
【0047】
光ラジカル重合開始剤としては公知のものが使用できる。この例には、アルキルフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、チタノセン系化合物、オキシムエステル系化合物、ベンゾイン系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサトン系化合物、α-アシロキシムエステル系化合物、フェニルグリオキシレート系化合物、ベンジル系化合物、アゾ系化合物、ジフェニルスルフィド系化合物、有機色素系化合物、鉄−フタロシアニン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、アントラキノン系化合物等が含まれる。
【0048】
アルキルフェノン系化合物の例には、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(IRGACURE 651)等のベンジルジメチルケタール;2-メチル-2-モルホリノ(4-チオメチルフェニル)プロパン-1-オン(IRGACURE 907)等のα-アミノアルキルフェノン;1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(IRGACURE 184)等のα−ヒドロキシアルキルフェノンなどが含まれる。アシルフォスフィンオキサイド系化合物の例には、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド等が含まれる。チタノセン系化合物には、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム等が含まれる。オキシムエステル化合物の例には、1,2-オクタンジオン-1-[4-(フェニルチオ)-2-(0-ベンゾイルオキシム)](IRGACURE OXE 01)などが含まれる。
【0049】
熱ラジカル重合開始剤の例には、有機過酸化物系化合物やアゾ化合物などが含まれる。熱ラジカル重合開始剤としては、10時間半減期温度の下限が80℃、上限が150℃のものが好適に用いられる。
【0050】
有機過酸化物系化合物は、具体的には例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド系化合物や、1,1-ジ(t-ブチルオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール系化合物や、t-ブチルパーオキシバレート等のアルキルパーオキシエステル系化合物や、ジラウロイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド系化合物や、(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネイト等のパーオキシジカーボネイト系化合物や、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネイト等のパーオキシカーボネイト系化合物や、ジ-t-ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド系化合物や、t-アミルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド系化合物等が含まれる。
【0051】
アゾ化合物は、具体的には例えば、1,1'-アゾビス(2,4-シクロヘキサン)-1-カルボニトリル、2,2'-アゾビス[(2-イミダゾリン-2-ル)プロパン]ジサルフェイトジハイドレイト等の水溶性アゾ化合物や、1-[(シアノ-1-メチル)アゾ]ホルムアミド等の油溶性アゾ化合物や、高分子アゾ化合物等が挙げられる。
【0052】
液晶シール剤における(3)ラジカル重合開始剤の含有量は、アクリル樹脂(1a)と(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂(1b)との合計である樹脂ユニット100質量部に対して、0.01〜3.0質量部であることが好ましく、0.1〜2質量部であるとより好ましい。含有量を0.01質量部以上とすることにより液晶シール剤の硬化性が良好となり、3.0質量部以下とすることにより、基板への塗布時の安定性が良好となる。
【0053】
(4)エポキシ硬化剤について
エポキシ硬化剤は、エポキシ樹脂に混合されていても、樹脂を通常保存する状態(室温、可視光線下等)ではエポキシ樹脂を硬化させないが、熱を与えられるとエポキシ樹脂を硬化させる硬化剤である。エポキシ硬化剤を含有する液晶シール剤は、保存安定性に優れ、かつ熱硬化性に優れる。エポキシ硬化剤は、公知のものであってよいが、液晶シール剤の粘度安定性を高めるとともに、耐湿性を維持する観点から、熱硬化温度にもよるが、融点が50℃以上250℃以下であるエポキシ硬化剤が好ましく、融点が100℃以上200℃以下であるエポキシ硬化剤がより好ましく、融点が150℃以上200℃以下であるエポキシ硬化剤がさらに好ましい。
【0054】
そのようなエポキシ硬化剤の好ましい例には、有機酸ジヒドラジド系化合物、イミダゾール系化合物、ジシアンジアミド化合物、およびポリアミン系化合物等が含まれる。
【0055】
有機酸ジヒドラジド系化合物の例には、アジピン酸ジヒドラジド(融点181℃)、1,3-ビス(ヒドラジノカルボエチル)-5-イソプロピルヒダントイン(融点120℃)、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジド(融点160℃)、ドデカン二酸ジヒドラジド(融点190℃)、およびセバシン酸ジヒドラジド(融点189℃)などが含まれる。イミダゾール系化合物の例には、2,4-ジアミノ-6-[2'-エチルイミダゾリル-(1')]-エチルトリアジン(融点215〜225℃)、および2-フェニルイミダゾール(融点137〜147℃)などが含まれる。ジシアンジアミド系化合物の例には、ジシアンジアミド(融点209℃)等が含まれる。ポリアミン系化合物は、アミンとエポキシとを反応させて得られるポリマー構造を有する熱潜在硬化剤であり、その具体例には、(株)ADEKA製アデカハードナーEH4339S(軟化点120〜130℃)、および(株)ADEKA製アデカハードナーEH4357S(軟化点73〜83℃)等が含まれる。これらは単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
【0056】
液晶シール剤におけるエポキシ硬化剤の含有量は、アクリル樹脂(1a)と(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂(1b)との合計である樹脂ユニット100質量部に対して、3〜30質量部であることが好ましい。エポキシ硬化剤を含む液晶シール剤は、いわゆる一液硬化性樹脂組成物となりうる。一液硬化性樹脂組成物は使用に際して主剤と硬化剤を混合する必要がないので作業性に優れる。
【0057】
(5)無機フィラー
本発明の液晶シール剤は、さらに無機フィラーを含んでいてもよい。無機フィラーの添加により、液晶シール剤の粘度、硬化物の強度、および線膨張性の制御等を行うことができる。
【0058】
無機フィラーは、特に制限されないが、その例には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸ジルコニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、チタン酸カリウム、カオリン、タルク、ガラスビーズ、セリサイト活性白土、ベントナイト、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の無機フィラーが含まれ、好ましくは二酸化ケイ素、タルクである。
【0059】
無機フィラーの形状は、特に限定されず、球状、板状、針状等の定形状あるいは非定形状のいずれであってもよい。無機フィラーは平均一次粒子径が1.5μm以下であることが好ましく、かつその比表面積が0.5m/g〜20m/gであることが好ましい。無機フィラーの平均一次粒子径は、JIS Z8825−1に記載のレーザー回折法で測定できる。また、比表面積測定は、JIS Z8830に記載のBET法により測定できる。
【0060】
液晶シール剤における無機フィラーの含有量は、アクリル樹脂(1a)と(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂(1b)との合計である樹脂ユニット100質量部に対して、3〜30質量部であることが好ましい。
【0061】
(6)エポキシ樹脂
液晶シール剤は、エポキシ樹脂を含有していてもよい。エポキシ樹脂は、液晶に対する溶解性、拡散性が低く、得られる液晶パネルの表示特性が良好であるだけでなく、硬化物の耐湿性を高めうる。ただし、エポキシ樹脂は、(メタ)アクリル基を含まないものとする。
【0062】
このようなエポキシ樹脂は、重量平均分子量が500〜10000、好ましくは1000〜5000の芳香族エポキシ樹脂でありうる。エポキシ樹脂の重量平均分子量は、前述と同様に測定できる。
【0063】
このような芳香族エポキシ樹脂の例には、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF、ビスフェノールAD等で代表される芳香族ジオール類およびそれらをエチレングリコール、プロピレングリコール、アルキレングリコール変性したジオール類と、エピクロルヒドリンとの反応で得られた芳香族多価グリシジルエーテル化合物;フェノールまたはクレゾールとホルムアルデヒドとから誘導されたノボラック樹脂、ポリアルケニルフェノールやそのコポリマー等で代表されるポリフェノール類と、エピクロルヒドリンとの反応で得られたノボラック型多価グリシジルエーテル化合物;キシリレンフェノール樹脂のグリシジルエーテル化合物類等が含まれる。
【0064】
上記芳香族エポキシ樹脂は、中でもクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリフェノールエタン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂が好ましい。さらにこれらを混合して用いてもよい。
【0065】
エポキシ樹脂は、液状であってもよく、固形であってもよい。固形エポキシ樹脂の場合、軟化点が40℃以上150℃以下であることが好ましい。
【0066】
エポキシ樹脂の含有量は、液晶シール剤100質量部に対して、1〜20質量部であることが好ましく、3〜10質量部であることがより好ましい。エポキシ樹脂の含有量が多すぎると、液晶シール剤の粘度が高くなり、塗布性が低下することがあり、エポキシ樹脂の含有量が少なすぎると、液晶シール剤の硬化物の耐湿性が不十分となることがある。
【0067】
(7)その他の成分について
液晶シール剤は、必要に応じて熱ラジカル重合開始剤、シランカップリング剤等のカップリング剤、イオントラップ剤、イオン交換剤、レベリング剤、顔料、染料、可塑剤、消泡剤等の添加剤をさらに含んでいてもよい。また、液晶パネルのギャップを調整するためにスペーサー等を配合してもよい。
【0068】
本発明の液晶シール剤のE型粘度計を用いた25℃、2.5rpmでの粘度は、200〜450Pa・sであることが好ましく、300〜400Pa・sであることがより好ましい。粘度が上記範囲にあると、液晶セルの基板と基板とを重ね合わせたときに、液晶シール剤が所定の形状に変形しやすい。そのため、液晶セルの基板と基板とのギャップ幅を適正に制御できる。
【0069】
本発明の液晶シール剤の下記式で定義されるチクソトロピーインデックス(TI値)は、1.5以下であることが好ましく、1.3以下であることがより好ましい。TI値が一定以下であると、低シェアでの粘度が低くなる。それにより、液晶シール剤を撹拌した際に、気泡を巻き込みにくく、仮に気泡が巻き込まれても外部に抜けやすい。そのような液晶シール剤をディスペンサーで塗布する際、脱泡不足による断線を高度に抑制しうる。
【0070】
TI値は、E型粘度計を用い、室温(25℃)、0.5rpmにおける液晶シール剤の粘度η1、および5rpmにおける液晶シール剤の粘度η2を測定し、これらの測定値を下記式(1)に当てはめて求められる。
TI値=(0.5rpmにおける粘度η1(25℃))/(5rpmにおける粘度η2(25℃))・・・(1)
【0071】
本発明の液晶シール剤は、液晶滴下工法用の液晶シール剤に好ましく用いられる。液晶シール剤の硬化は、光硬化、熱硬化、光硬化と熱硬化の併用のいずれでもよいが、熱硬化が好ましく用いられる。
【0072】
2.液晶表示パネルの製造方法
本発明の液晶表示パネルは、表示基板と、それと対になる対向基板と、表示基板と対向基板との間に介在している枠状のシール部材と、表示基板と対向基板との間のシール部材で囲まれた空間に充填された液晶層とを含む。本発明の液晶シール剤の硬化物を、シール部材とすることができる。
【0073】
表示基板および対向基板は、いずれも透明基板である。透明基板の材質は、ガラス、または、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォンおよびPMMA等のプラスチックでありうる。
【0074】
表示基板または対向基板の表面には、マトリックス状のTFT、カラーフィルタ、ブラックマトリクスなどが配置されうる。表示基板または対向基板の表面には、さらに配向膜が形成される。配向膜には、公知の有機配向剤や無機配向剤などが含まれる。
【0075】
このような液晶表示パネルは、本発明の液晶シール剤を用いて製造されうる。液晶表示パネルの製造方法には、一般に、液晶滴下工法と、液晶注入工法とがあるが、本発明の液晶表示パネルの製造方法は、液晶滴下工法が好ましい。
【0076】
液晶滴下工法による液晶表示パネルの製造方法は、
a1)一方の基板に、本発明の液晶シール剤のシールパターンを形成する第1の工程と、
a2)シールパターンが未硬化の状態において、基板のシールパターンで囲まれた領域、またはシールパターンで囲まれた領域に対向する他方の基板の領域に、液晶を滴下する第2の工程と、
a3)一方の基板と、他方の基板とを、シールパターンを介して重ね合わせる第3の工程と、
a4)シールパターンを硬化させる第4の工程と、を含む。
【0077】
工程a2)における、シールパターンが未硬化の状態とは、液晶シール剤の硬化反応がゲル化点までは進行していない状態を意味する。このため、工程a2)では、液晶シール剤の液晶への溶解を抑制するために、シールパターンを光照射または加熱して半硬化させてもよい。一方の基板および他方の基板は、それぞれ表示基板または対向基板である。
【0078】
工程a3)において基板を重ね合わせたときに、液晶シール剤に含まれる有機フィラーが、可逆的または不可逆的に変形する。変形とは、押しつぶされるか、またはひしゃげていることなどをいう。つまり、液晶シール剤における有機フィラーは球状であることが好ましいが;一方で、液晶表示パネルの液晶シールにおける有機フィラーは球状である必要はなく、押しつぶされている。
【0079】
液晶シール剤における有機フィラーの含有量が高く、かつ液晶表示パネルにおける液晶シールにおいて有機フィラーが押しつぶされているので、液晶リーク(液晶が液晶シールに進入したり、液晶シールを突き破って漏洩したりすること)が効果的に抑制される。また、基板同士の接着強度が高まる。
【0080】
さらに、液晶シール剤に含まれる有機フィラーの比表面積が小さいので、液晶シール剤の粘度が適度に低い。そのため、液晶セルの基板同士を重ねあわせるときに、基板間のギャップ幅を適正に制御しやすい。
【0081】
工程a4)では、加熱による硬化のみを行ってもよいが、光照射による硬化(仮硬化)を行った後、加熱による硬化(本硬化)を行うことが好ましい。光照射による仮硬化で液晶シール剤を瞬時に硬化させることで、液晶への溶解を抑制できるからである。
【0082】
光硬化時間は、液晶シール剤の組成にもよるが、例えば10分程度である。光照射エネルギーは、アクリル樹脂や(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂などを硬化させることができる程度のエネルギーであればよい。光は、好ましくは紫外線である。熱硬化温度は、液晶シール剤の組成にもよるが、例えば120℃であり、熱硬化時間は2時間程度である。
【0083】
本発明の液晶表示パネルは、液晶リークが抑制されており、かつ基板同士のギャップ幅が適正に制御されているので、高品質の表示装置を提供する。
【実施例】
【0084】
以下の樹脂成分を用意した。
(1)樹脂
(1-1)2官能アクリルモノマー:ビスフェノールA型エポキシ樹脂変性ジアクリレート(3002A、共栄社化学株式会社製、水素結合性官能基当量3.3×10−3
(1-2)アクリル変性エポキシ樹脂
攪拌機、気体導入管、温度計、冷却管を備えた500mLの四つ口フラスコにビスフェノールF型エポキシ樹脂(EXA−835LV DIC社製)160g、アクリル酸36g、トリエタノールアミン0.2gを仕込み乾燥エア気流下、110℃、5時間加熱攪拌してアクリル変性エポキシ樹脂を得た。得られたアクリル変性エポキシ樹脂を超純水にて12回洗浄した。アクリル変性エポキシ樹脂の水素結合性官能基当量は2.1×10−3であった。
【0085】
(2)有機フィラー
(2-1)フィラー:GBM-55S(架橋ポリアクリル酸ブチル−メタクリル酸メチルグラフト共重合体、アイカ工業社製、平均粒子径8μm、球状)
(2-2)フィラー:KMP600(シリコーンゴムパウダー、信越化学工業社製、平均粒子径5μm、球状)
(2-3)フィラー:KMP597(シリコーンゴムパウダー、信越化学工業社製、平均粒子径5μm、球状)
(2-4)フィラー:F351(メタクリル酸アルキル共重合体、アイカ工業社製、平均粒子径0.3μm、球状)
(2-5)フィラー:E-601(シリコーンゴムパウダー、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、平均粒子径2μm、球状)
【0086】
(2-6)フィラー:熱可塑性ポリマーA(合成例1(軟化点温度:80℃))
攪拌機、窒素導入管、温度計、還流冷却管を備えた1000mlの四つ口フラスコにイオン交換水400g、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム1.0gを仕込み65℃まで昇温した。
さらに、前記四つ口フラスコ内に過硫酸カリウム0.4gを添加した後、ホモジナイザーで乳化したt−ドデシルメルカプタン1.2g、n−ブチルアクリレート156g、ジビニルベンゼン4.0g、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム3.0g、イオン交換水200gからなる混合溶液を4時間で連続滴下した。滴下後2時間反応を継続させた後、メチルメタクリレート232gを一括で添加し、1時間反応を継続させ、次いでアクリル酸8gを1時間で連続添加した。65℃一定で2時間反応を継続させた後冷却し、水酸化カリウムにてpH=7に中和して固形分40.6重量%のエマルション溶液を得た。
このエマルション溶液の1,000gを噴霧乾燥器にかけて、0.1質量%以下の水分含有量を有する、球状の熱可塑性ポリマー粒子(A)約400gを得た。得られた熱可塑性ポリマー粒子(A)の軟化点をJIS K 2207(環球法)に準拠して測定したところ、80℃であった。熱可塑性ポリマー粒子(A)の比表面積をJIS Z8830に準拠して測定したところ、28m/gであった。また、平均粒子径は0.18μmであった。
【0087】
(2-7)フィラー:熱可塑性ポリマーB(合成例2(軟化点温度:40℃))
攪拌機、窒素導入管、温度計、還流冷却管を備えた1000mlの四つ口フラスコにイオン交換水400g、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム1.0gを仕込み65℃まで昇温した。
さらに、前記四つ口フラスコ内に過硫酸カリウム0.4gを添加した後、ホモジナイザーで乳化したt−ドデシルメルカプタン1.2g、n−ブチルアクリレート156g、ジビニルベンゼン4.0g、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム3.0g、イオン交換水200gからなる混合溶液を4時間で連続滴下した。滴下後、2時間反応を継続させた後、メチルメタクリレート142g、n−ブチルアクリレート90gを一括で添加した後1時間反応を継続させた。次いでアクリル酸8gを1時間で連続添加した。65℃一定で2時間反応を継続させた後、冷却し、水酸化カリウムにてpH=7に中和して固形分40.8質量%のエマルション溶液を得た。このエマルション溶液1,000gを噴霧乾燥器にかけて、0.1質量%以下の水分含有量を有する、球状の熱可塑性ポリマー粒子(B)約400gを得た。得られた熱可塑性ポリマー粒子(B)の軟化点をJIS K 2207(環球法)に準拠して測定したところ、35℃であった。得られた熱可塑性ポリマー粒子(B)の比表面積をJIS Z8830に準拠して測定したところ、33m/gであった。また、平均粒子径は0.25μmであった。
【0088】
(2-8)フィラー:S-2100(アクリル・シリコーン複合パウダー、三菱レイヨン社製、平均粒子径6μm、球状)
(2-9)フィラー:P-800T(ウレタンパウダー、根上工業社製、平均粒子径7μm、球状)
(2-10)フィラー:SE-006T(アクリルパウダー、根上工業社製、平均粒子径6μm、球状)
(2-11)フィラー:BE-006T(アクリルパウダー、根上工業社製、平均粒子径6μm、球状)
【0089】
有機フィラーの平均粒子径は、以下の方法で測定した。即ち、液晶シール剤の硬化膜を、透過型電子顕微鏡(TEM)(JEM−2200FS(日本電子(株)製))にて10000倍で観察した。得られた画像を解析し、有機フィラーを50個選別し、それらの粒子径を測定した。得られた測定値の平均値を「有機フィラーの平均粒子径」とした。
【0090】
有機フィラーの比表面積は、JIS Z8830に準拠して、窒素の吸着量からBET法で測定した。具体的には、100個の有機フィラーの比表面積を上記方法で測定し、それらの平均値を「有機フィラーの比表面積の平均値」とした。
【0091】
(3)ラジカル重合開始剤
(3-1)熱ラジカル重合開始剤:1,1'-アゾビス(2,4-シクロヘキサン)-1-カルボニトリル(V-40:和光純薬工業株式会社製)
(3-2)光ラジカル重合開始剤:2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(IRGACURE 651、BASF社製)
【0092】
(4)その他
(4-1)エポキシ樹脂(1):エピクロン850CRP(ビスフェノールA型エポキシ樹脂:DIC社製)
(4-2)熱潜在性硬化剤(1): 1,3-ビス(ヒドラジノカルボエチル)-5-イソプロピルヒダントイン(アミキュアVHD 味の素社製)
(4-3)添加剤:γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-403、信越化学工業社製)
【0093】
[実施例1]
(1-1)2官能アクリルモノマー60質量部、(2-1)フィラー30質量部、(3-1)熱ラジカル重合開始剤1質量部、(4-1)エポキシ樹脂5質量部、(4-2)熱潜在性硬化剤3質量部、(4-3)添加剤1質量部からなる樹脂組成物を、三本ロールミルを用いて均一な液となるように十分に混合して、液晶シール剤を得た。
【0094】
[実施例2〜13、比較例1〜7]
表1または2に記載の組成で、実施例1と同様に液晶シール剤を得た。
【0095】
[液晶シール剤の評価方法]
各実施例および比較例で得られた液晶シール剤について、以下の項目を評価した。
【0096】
1)粘度
得られた液晶シール剤の粘度を、E型粘度計により25℃、2.5rpmで測定した。
【0097】
2)接着強度
スクリーン版を使用して液晶シール剤を25mm×45mm×厚さ5mmの無アルカリガラス上に直径1mmの円状のシールパターンを塗布し、対となる同様のガラスを貼り合せてから治具で固定して試験片を作製した。
具体的に、実施例2、3、比較例2に関しては、治具で固定した試験片を、紫外線照射装置(ウシオ電機(株)製)を用いて、100mW/cmの紫外線を照射し、液晶シール剤を硬化させた。このとき、紫外線の照度エネルギーを2000mJ/cmとした。光によって液晶シール剤を硬化させた試験片を、オーブンを用いて120℃、60分加熱処理することにより、接着強度測定用の試験片を作製した。一方、実施例1、4〜13、比較例1、3〜7に関しては、治具で固定した試験片を、オーブンを用いて120℃、60分加熱処理することにより接着強度測定用の試験片を作製した。
【0098】
引張試験機(インテスコ(株))を用いて、引張速度を2mm/分とし、硬化した液晶シール剤をガラス底面に対して平行な方向に引き剥がすことにより、平面引張強度を測定した。ここで、接着強度は、平面引張強度の大きさに応じて4段階で評価した。即ち、引張強度が25MPa以上となる場合を接着強度が非常に良好である(A)とし、引張強度が20MPa以上25MPa未満となる場合を接着強度が良好である(B)とし、引張強度が10MPa以上20MPa未満となる場合を接着強度が中程度である(C)とし、引張強度が10MPa未満となる場合を接着強度が低く劣る(D)とした。
【0099】
3)パネルのギャップコントロールの評価方法
各実施例および比較例の液晶シール剤に、5μmの球状スペーサーを1質量部さらに添加して、スペーサーが添加された液晶シール剤を調した。
【0100】
得られた組成物をディスペンサー(日立プラントテクノロジー(株))に充填し、40mm×50mm×厚さ0.7mmの無アルカリガラスの基板の上に35mm×40mm、線幅0.7mmの四角形の枠状のシールパターンを断面積3500μmで描画した。当該基板のシールパターン内に、貼り合せ後のパネル内容量に相当する液晶材料(MLC−11900−000:メルク社)をディスペンサー(日立プラントテクノロジー(株))を使用して精密に滴下した。真空貼り合せ装置(信越エンジニアリング(株))を用いて10Paの減圧下で前述のガラス基板と対向するガラス基板を重ね合わせ、荷重をかけ固定した。
【0101】
実施例2、3、比較例2に関しては、治具で固定した試験片を、紫外線照射装置(ウシオ電機(株)製)を用いて、100mW/cmの紫外線を照射し、液晶シール剤を硬化させた。このとき、紫外線の照度エネルギーを2000mJ/cmとした。光によって液晶シール剤を硬化させた後、オーブンを用いて120℃、60分加熱処理することによって液晶表示パネルを作製した。
【0102】
一方、実施例1、4〜13、比較例1、3〜7に関しては、治具で固定した試験片を、オーブンを用いて120℃、60分加熱処理することによって液晶表示パネルを作製した。
【0103】
完成した液晶表示パネルをサンプルとして、セルギャップ検査装置(大塚電子製)を使用して、サンプルにおけるメインシール内のギャップ間隔の面内分布を測定した。そして間隔の最大値、最小値の何れも5μm±0.2μmの範囲に無い場合を×、5μm±0.2μmの範囲内に有る場合を○、として2段階で評価した。
【0104】
4)チクソトロピーインデックス(TI値)
E型粘度計を用い、室温(25℃)、0.5rpmにおける液晶シール剤の粘度η1、および5rpmにおける液晶シール剤の粘度η2を測定した。これらの測定値を、下記式(1)に当てはめてTI値を求めた。
TI値=(0.5rpmにおける粘度η1(25℃))/(5rpmにおける粘度η2(25℃))・・・(1)
【0105】
5)脱泡性テスト
得られた液晶シール剤を、真空下(100Pa)で自転公転型攪拌機にて攪拌した。1分間攪拌後に、25℃、100Paの真空度下で2分間放置後、目視により気泡の発生状況を観察した。そして、気泡が全く発生しない場合を○、1mm以上の気泡は発生しないものの1mm未満の気泡が発生する場合を△、1mm以上の気泡の発生する場合を×として評価した。なお、攪拌機による攪拌時は、機械摩擦熱および攪拌による蓄熱により、液晶シール剤の温度が50℃以上に上昇しないよう管理した。
【0106】
各実施例の液晶シール剤の組成と評価結果を表1に示し;各比較例の液晶シール剤の組成と評価結果を表2に示す。
【表1】
【表2】
【0107】
表1に示されるように、比表面積が0.4〜1.5m/gの範囲の有機フィラー(2)を含む実施例1〜13は、接着強度が高く、パネルのギャップ幅を制御できていることがわかる。また、TI値が1.5以下であり、脱泡性も良好である。
【0108】
これに対して、表2に示されるように比較例1〜7では、比表面積の大きい有機フィラー(2)を含む。比較例1,2,4,6および7は、比表面積の大きい有機フィラーを、実施例と同様に30質量部添加している。そのため、液晶シール剤の粘度が高まっており、パネルのギャップコントロール性が低下している。また、TI値が1.5を超えており、脱泡性も低下している。また、比較例1、2および4では、接着強度の低下もみられた。有機フィラーが凝集したためであると考えられる。
【0109】
比較例3および5における有機フィラーの含有量は15質量部であり、実施例における有機フィラーの含有量の半分であり、接着強度が十分に高まっていない。硬化収縮による応力が十分に緩和されないためであると考えられる。
【0110】
本出願は、2013年8月23日出願の特願2013−173361に基づく優先権を主張する。当該出願明細書および図面に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、液晶のリークが抑制され、液晶パネルのパネルギャップ幅が適正に制御された、高品質の液晶表示装置を提供することができる。