【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ・展示会名 システムコントロールフェア2015 開催場所 東京ビッグサイト 西1・2・3・4ホール・アトリウム 展示日 平成27年12月2日〜12月4日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記カードに記憶されたユーザ情報は、近距離無線通信またはBluetooth(登録商標)により、上記タブレットまたは上記安全操作部に入力されることを特徴とする請求項4に記載の教示装置。
上記タブレットは、上記ロボットの状態、上記教示装置の状態、または上記ロボットに教示する教示データのうちの少なくとも1つを外部に送信可能であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の教示装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の教示操作装置は、非常停止指令装置に設けられた非常停止スイッチおよびデッドマンスイッチの各オン/オフ状態を、非常停止指令装置からPDAに通知する構成を備えるものではなかった。特許文献1の教示操作装置では、PDAに非常停止指令装置が装着されているか否かを検出する装着検出装置をPDAに設けているだけであった。なぜなら、PDAの追加コストを避けるためには市販のPDAに搭載された機能を用いなければならず、非常停止スイッチおよびデッドマンスイッチの各オン/オフ状態を非常停止指令装置からPDAに通知する構成を別途設けることができなかったからである。
【0007】
このため、特許文献1の教示操作装置では、非常停止スイッチおよびデッドマンスイッチの各オン/オフ状態をPDA側で監視することができず、その結果、非常停止スイッチおよびデッドマンスイッチの各オン/オフ状態に応じたロボット制御の信頼性および安全性をPDAが高めることは困難であった。
【0008】
また、ユーザに判り易く適切な表示ができず、またコマンドの送出も制御(警告)ができない。つまり、安全な操作を保証することができなかった。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、着脱自在のタブレットおよび安全操作部から構成された教示装置において、安全操作部に設けられた非常停止スイッチ、デッドマンスイッチおよびモードスイッチの各オン/オフ状態を、タブレットが監視することにより、非常停止スイッチ、デッドマンスイッチおよびモードスイッチの各オン/オフ状態に応じたロボット制御の信頼性および安全性をタブレットが高めることができる教示装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明に係る教示装置は、ロボットの動作に必要な教示データを教示するロボットの教示装置であって、ロボットを停止させるための第1スイッチ、オン状態である場合に限り、上記ロボットに対する教示作業を可能する第2スイッチ、および上記ロボットを手動モードまたは自動モードのいずれかとするための第3スイッチのうちの少なくとも1つを有する安全操作部と、上記安全操作部に着脱自在のタブレットとを備え、上記タブレットは、上記安全操作部が有するスイッチのうちの少なくとも1つのオン/オフ状態を監視する。
【0011】
ここで、「第1スイッチ」、「第2スイッチ」、「第3スイッチ」は、それぞれ、非常停止スイッチ、デッドマンスイッチ、モードスイッチである。
【0012】
上記構成によれば、タブレットが監視することにより、非常停止スイッチ、デッドマンスイッチおよびモードスイッチの各オン/オフ状態に応じたロボット制御の信頼性および安全性をタブレットが高めることができる。
【0013】
上記タブレットは、上記安全操作部が有するスイッチのオン/オフ状態に応じて、上記ロボットを制御することが好ましい。
【0014】
上記タブレットと上記安全操作部とは、上記タブレットのコネクタユニットと上記安全操作部のコネクタユニットとの間における接続および接続解除により、着脱自在となっており、上記タブレットまたは上記安全操作部は、上記タブレットのコネクタユニットまたは上記安全操作部のコネクタユニットに設けられた接続検知機構を用いて、上記タブレットが上記安全操作部に挿入されたか否かを確認することが好ましい。
【0015】
上記タブレットは、上記安全操作部から電力が供給されると共に、上記タブレットは2次電池を有し、当該2次電池は上記安全操作部から供給される電力を用いて充電されることが好ましい。
【0016】
ユーザを一意に識別するユーザIDを記憶する記憶部を備え、上記記憶部に記憶されているユーザ情報と外部から入力されたユーザ情報とが一致するとき、当該ユーザIDに応じた様々なレベルにおいて、上記タブレットまたは上記安全操作部が有する機能の制限または許可を行うことが好ましい。
【0017】
上記ユーザ情報はカードに記憶されており、当該カードに記憶されたユーザ情報が上記タブレットまたは上記安全操作部に入力されることが好ましい。
【0018】
上記カードに記憶されたユーザ情報は、近距離無線通信またはBluetooth(登録商標)により、上記タブレットまたは上記安全操作部に入力されることが好ましい。
【0019】
上記第1スイッチは、上記カードの装着の有無および上記カードに記憶された内容にかかわらず、常に有効となっていることが好ましい。
【0020】
上記タブレットは、上記ロボットの状態、上記教示装置の状態、または上記ロボットに教示する教示データのうちの少なくとも1つを外部に送信可能であることが好ましい。
【0021】
上記安全操作部は、メカニカルなスイッチを少なくとも1つ有し、上記メカニカルなスイッチは、上記タブレットを用いて、機能割り当てが行われることが好ましい。
【0022】
上記タブレットは、上記教示装置の開発に必要な開発環境としてのコンピュータとの間において双方向に情報交換可能であることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、着脱自在のタブレットおよび安全操作部から構成された教示装置において、安全操作部に設けられた非常停止スイッチ、デッドマンスイッチおよびモードスイッチの各オン/オフ状態を、タブレットが監視することにより、非常停止スイッチ、デッドマンスイッチおよびモードスイッチの各オン/オフ状態に応じたロボット制御の信頼性および安全性をタブレットが高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。本発明に係る教示装置の教示対象は、産業用ロボットに限定されるものではなく、産業用ロボット以外にも、各種工作機械などモーション制御される機械に広く適用できる。以下、本発明の実施の形態では、教示装置の教示対象としてロボットを例に実施の形態として説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る教示装置2を含む制御システム1の構成を示すブロック図である。
図2は、制御システム1に含まれる教示装置2、ロボット制御装置5およびロボット6の接続構成を示す説明図である。
図3は、教示装置2に含まれるタブレット3と、PC(personal computer)8との接続構成を示す説明図である。
図4の(a)は、タブレット3が安全操作部4に装着された状態を示す説明図であり、(b)は、タブレット3が安全操作部4から分離された状態を示す説明図である。
【0027】
図1に示すように、制御システム1は、ロボット6と、ロボット6の動作を制御するロボット制御装置5と、ロボット制御装置5に接続され、ロボット6の動作を教示するための教示装置2とを備えている。
【0028】
図2に示すように、ロボット制御装置5と教示装置2とは接続ケーブル50を介して、ロボット6とロボット制御装置5とは接続ケーブル51を介して、それぞれ接続されている。
【0029】
なお、1台のロボットに複数の教示装置がつながるものもある。この様な場合には、特に、本発明の分離型の教示装置2はコスト的に有利であることはいうまでもない。
【0030】
また、ロボット6は、有線のネットワークを介して専用のコンピュータに接続される。ロボット6に対する大まかな設定は、上述の有線ネットワークを介して、専用コンピュータから実行される。したがって、教示装置2に対する大まかな設定も、ロボット6から実行される場合もある。本発明の分離型の教示装置2によれば、ロボット6を介さずに、上述の大まかな設定、さらには、微設定についても、上述の専用コンピュータから実行可能となる。
【0031】
(制御システム1)
教示装置2は、ロボット6を制御するロボット制御装置5に接続されるものであり、ティーチングペンダントと称されることが多い。教示装置2は、ロボット6の自動運転を行わせるために必要となる動作方式、移動ポイント、パレタイズ方式、速度等の各種教示データの入力作業に使用されるものである。また、タッチパネルからの入力によってロボット6をマニュアル操作する機能も提供されている。
【0032】
一般に、ロボットの制御プログラムは、ロボットの設置現場である工場等ではなく、メーカーやユーザのオフィスでPC等を用いて作成される。そして、作成したプログラムをロボット制御装置にインストールして、ロボットを動作させている。
【0033】
ロボットの設置現場において、プログラムの簡単な修正や一部追加を行うことがある。このような場合に、ユーザが手に持って操作するティーチングペンダントが用いられることが多い。
【0034】
なお、通常、ティーチングペンダントは、微調整のみを行うものである。大まかな設定は、ロボット機械自身の操作盤で行うことが多く、従って、ロボット機器からその大まかな設定を、ティーチングペンダントへ取り込み、ステップバイステップで動作しながら微調整する。
【0035】
ロボット制御装置5は、CPUやメモリを備えるコンピュータとして構成されている。ロボット制御装置5は、予めメモリに記憶された動作プログラムや教示装置2によって教示されたティーチングポイントに基づいて、ロボット6の各軸に備えられたサーボモータを駆動し、ロボット6の自動制御を行う。また、ロボット制御装置5は、教示装置2から手動による操作指令があった場合には、その指令に応じてロボット6の各軸を駆動する。
【0036】
ロボット6は、多関節型の産業用ロボットとして構成されたものである。
【0037】
(教示装置2)
教示装置2は、タブレット3および安全操作部4から構成されている。タブレット3と安全操作部4とは着脱自在となっており、この着脱自在の構成は、タブレット3のコネクタユニット37と安全操作部4のコネクタユニット47との間における接続および接続解除により、実現されている。
【0038】
タブレット3は、その可搬性により、1つのタブレットで、複数の異なった機能を持つロボット機器に装着でき、装着時にそのロボットのID(機種の違い、役割の違い等)を受けて、その多様性に対する設定をタブレット内部に与えておくことも可能となる。
【0039】
また、タブレット3は、任意のソフトを実装できるものでもあるので、PC等とUSB(Universal Serial Bus)等で結合し、次のような機能を持たせることができる。このことは、分離型であることの大きなメリットである。
【0040】
まず、ロボットメイカにおいては、ティーチングペンダント自身の仕様を、自由に設計できる。また、開発環境を提供することも可能となる。さらに、その仕様自体をロボットメイカから受注することも可能と考えられる。
【0041】
次に、自社の工場等においてロボットを利用するロボットユーザーにおいては、ティーチングの内容(ロボット動作のプログラム)を、PC等で管理、修正、流用が可能になる。また、ティ-チングの前に大まかなデータ等を事前に、分離状態で、タブレット自身へ、または、PCから入力することで、ティ-チングの時間の短縮と容易性が向上する。
【0042】
また、複数のロボットに、1台のタブレットで対応することができるので、システムコストが安価となる。
【0043】
なお、タブレット3は、一般消費者向けの汎用機を用いることができるが、ティーチングペンダント用の機能を持つものである。したがって、タブレット3は、通常のタブレットとして、プログラマブル・コントローラーの一部としてFA(Factory Automation)用の機器と着脱して使用することも可能である。
【0044】
(タブレット3)
タブレット3は、タッチパネル31と、制御部32と、記憶部33と、接続通信部34と、外部通信部35と、読取部36と、を有している。
【0045】
タッチパネル31は、入力部311および表示部312から構成されている。入力部311は、ユーザが教示装置2に指示信号を入力する入力デバイスである。入力部311は、ユーザのタッチ操作によって生じた信号を、後述する入力処理部321に供給する。表示部312は、教示装置2が処理する情報を表示する表示デバイスである。表示部312には、後述する表示処理部322によって処理された情報が表示される。表示部312には、ロボット6を制御するための操作を受け付ける操作画像が表示される。表示部312は、例えば、液晶ディスプレイ(liquid crystal display、LCD)、有機ELディスプレイなどの表示装置で構成される。
【0046】
なお、タブレット3では、動画等も再生可能であり、教示装置2のマニュアル等も表示部312に判り易く表示可能である。
【0047】
制御部32は、入力処理部321、表示処理部322、ユーザ認証部323、データ処理部324、および情報取得部325を含んでいる。制御部32は、タブレット3を一般的なタブレット端末として使用するための各種部材を含んでいてもよい。
【0048】
入力処理部321は、入力部311が検出したユーザのタッチ操作によって生じた信号を処理し、表示処理部322に、供給する。
【0049】
表示処理部322は、接続通信部34または入力処理部321から供給された情報に基づいて、表示部312に表示する画像を生成するものである。具体的には、表示処理部322は、接続通信部34または入力処理部321から情報を取得すると、取得した情報に基づいて、後述する記憶部33のデータメモリ331に記憶されている教示プログラムデータ、画像メモリ332に記憶されている画像データ、および/または、接続通信部34から供給されたロボット6の状態を示すデータを取得し、表示部312に表示する画像を生成する。そして、生成した画像を表示部312に表示させる。特に、表示処理部322は、データメモリ331に記憶されている教示プログラムデータおよび画像メモリ332に記憶されている画像データを取得し、上記操作画像を生成する。
【0050】
ユーザ認証部323は、タブレット3の各部の機能を制限するものである。また、ユーザ認証部323は、ユーザが入力した情報に基づいてユーザを特定するものである。ユーザ認証部323は、ユーザが認証のためにタブレット3に入力した情報を取得すると、後述する記憶部33のユーザメモリ333において、取得した情報と一致する情報を検索する。そして、一致する情報が取得できた場合、タブレット3における各部の機能制限を解除する。一方、一致する情報が取得できなかった場合、タブレット3における各部の機能制限を維持する。また、タブレット3と安全操作部4が接続されている場合、すなわち、両者が教示装置2として機能している場合は、上記一致する情報が取得できたとき、タブレット3および安全操作部4における各部の機能制限を解除し、教示装置2を使用可能とする。なお、タブレット3および安全操作部4における各部の機能制限は具体的に限定されるものではなく、教示装置2が使用される状況等に応じて、適宜決定されればよい。また、ユーザ認証の情報の入力方法についても、特に限定されるものではない。例えば、タッチパネル31を介したパスワードの入力であってもよいし、読取部36を介したIDの読み取りであってもよい。
【0051】
データ処理部324は、入力部311が検出したユーザのタッチ操作に係る信号を処理し、ロボット制御装置5に送信する教示データを生成する。また、データ処理部324は、生成した教示データを接続通信部34に供給する。
【0052】
情報取得部325は、安全操作部4に設けられたスイッチ群41に含まれる各スイッチのオン/オフ状態を表すスイッチ情報を取得する。また、情報取得部325は、ロボット6のID、ステータス等のロボット6に関するロボット情報を取得する。情報取得部325は、取得したスイッチ情報、ロボット情報を制御部32内の各部材(入力処理部321、表示処理部322等)に供給する。
【0053】
ここで注目すべきは、タブレット3が、安全操作部4と接続されているとき、情報取得部325を用いて上述のスイッチ情報を取得することにより、安全操作部4に設けられたスイッチ群41に含まれる各スイッチのオン/オフ状態をモニター(監視)することができる点である。本実施形態では、スイッチ群41は、後述するように、非常停止スイッチ(非常停止SW)41a、デッドマンスイッチ(デッドマンSW)41b、およびモードスイッチ(モードSW)41cのうちの少なくとも1つを含んでいる。タブレット3は、これら3つのスイッチの各オン/オフ状態をモニターすることにより、非常停止スイッチ41a(第1スイッチ)、デッドマンスイッチ41b(第2スイッチ)およびモードスイッチ41c(第3スイッチ)の各オン/オフ状態に応じたロボット制御の信頼性および安全性をタブレット3が高めることができる。タブレット3側で、非常停止スイッチ41a、デッドマンスイッチ41b、およびモードスイッチ41cでモニターするメリットは、ユーザが判り易い、誤操作防止、安全性、素早く警告を出せる、等である。
【0054】
なお、タブレット3が、安全操作部4に装着(合体)し、かつ、通常のティーチングペンダントと同様、下記の条件Xを満たすと、ユーザの権限に依存して、タブレット3上で各コマンドの入力を行い、教示操作が可能になる。
条件X:モードスイッチ41cが手動モード、かつ、デッドマンスイッチがオン。
【0055】
記憶部33は、各種データを非一時的、または一時的に記憶するものであるデータメモリ331、画像メモリ332、ユーザメモリ333、および作業メモリ334を含んでいる。なお、記憶部33は、タブレット3を一般的なタブレット端末として使用するための各種データを記憶していてもよい。
【0056】
データメモリ331は、SRAM(Static Random Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)によって構成されており、教示装置2の外部または内部で発生した各種データを記憶している。この各種データには上述の教示プログラムデータも含まれる。データメモリ331は、このように異なる種類のデータを記憶することから、必ずしも単一のメモリで構成される必要はなく、データの種類に応じて異なる種類のメモリで構成されたり、同一のメモリであっても、データの種類に応じて記憶領域を異ならせたりすることが好ましい。
【0057】
画像メモリ332は、画像ファイルなどを記憶するためのメモリであり、FEPROM(Flash Erasable Programmable Read-Only Memory)が用いられる。画像ファイルは、教示装置2に表示される1つ以上の画像(1フレーム分の画像データによって構成される単位画像)のデータをまとめたファイルである。
【0058】
ユーザメモリ333は、教示装置2を使用するユーザを一義的に特定するための情報を記憶するためのメモリである。作業メモリ334は、表示処理などの演算処理時の作業用に用いられる。また、作業メモリ334は、ロボット6の状態や、ロボット6に教示された教示データも記憶できる。
【0059】
接続通信部34は、後述する安全操作部4の接続通信部44との間において各種データを送受信する。接続通信部34は、受信した各種データを制御部32に供給したり、記憶部33に記憶したりする。
【0060】
また、接続通信部34は、タブレット3が安全操作部4に挿入されたか否かを確認する。例えば、接続通信部34は、安全操作部4内のUSBのID、または、タブレット3のコネクタユニット37および安全操作部4のコネクタユニット47に設けられた確認用の専用ピン(1ピン以上)を用いて、確認する。例えば、
図4の(b)では、安全操作部4のコネクタユニット47にピン49が設けられている。
【0061】
具体的には、タブレット3が安全操作部4以外に装着されるとき、この専用ピンはNCとなる。コネクタユニット37またはコネクタユニット47のいずれかの両端に、2本の確認用の専用ピンを配置すればよい。
【0062】
ただし、このような専用ピンによる方法は、単なる1例に過ぎず、タブレット3と安全操作部4との間の近距離無線通信(Near Field Communication、NFC)接続の有無、タブレット3または安全操作部4に設けられた機構的スイッチのオン/オフによって行ってもよい。要は、上述のピン等といった、タブレット3と安全操作部4との接続を検知することが可能な機構(接続検知機構)が設けられていればよい。
【0063】
さらに、タブレット3が安全操作部4に装着されたとき、タブレット3への電力供給(内部に2次電池があればその充電も)を、安全操作部4を介して、外部から与えることができる。例えば、ロボット制御装置5または配電盤等からから行うことができる。電子回路(USB等)に必要な電源電圧5Vを得るために、外部電源(通常24V)から変換するDC−DCコンバーターを、安全操作部4に内蔵し、タブレット3および安全操作部4の両方で使えるようにすればよい。
【0064】
外部通信部35は、PC、ワークステーション等のコンピュータとの間において各種データを送受信する。外部通信部35には、例えば、無線通信、有線通信、またはUSB等のインターフェースが設けられている。
【0065】
タブレット3は、外部通信部35を用いることにより、教示装置2の外部のPCやワークステーション等のコンピュータと結合し、それらコンピュータ上の適切なアプリケーションによって、コンピュータから設定内容(複数のユーザの権限等)を得たり、そのロボットへの教示結果やステータス等をコンピュータへ与えたりして、双方向の情報交換が可能となる。
【0066】
また、タブレット3は(特に、安全操作部4に装着された状態で)、外部のPC等からの要望等により、外部通信部35を用いてロボット6の状況やティーチングの内容を外部のPC等に送信する。ただし、装着状態では、タブレット3は、他のPCからティーチングの内容が指示されることは無い。
【0067】
さらに、タブレット3は、安全操作部4に装着された状態において、ロボット情報を、外部通信部35を用いて他のコンピュータへ送り、当該コンピュータにおいて上述の監視を行うようにしてもよい。
【0068】
また、タブレット3は、安全操作部4から分離された状態において、通常のタブレットと同様、外部のPC等と様々の情報交換ができ、ロボット6の操作の設定も可能である。
【0069】
さらに、タブレット3は、教示装置2の開発に必要な開発環境としての開発用コンピュータとの間において双方向に情報交換可能である。タブレット3は、外部通信部35を用いることにより、開発用コンピュータと結合する。開発用コンピュータからは、例えば、教示装置2の機能を決めるプログラムのダウンロードが行われる。開発用コンピュータからのプログラムのダウンロードにより、複数のロボット6の各々に対応する機能を備えた教示装置2を実現することができる。開発用コンピュータには、教示装置2の機能やロボット6に教示される教示データの内容を設定可能な専用の開発環境のソフトウェアがインストールされている。
【0070】
また、開発用コンピュータからは、教示装置2の教示内容の初期設定等、さらには、ユーザの各ID情報および操作許容内容等、を教示装置2にダウンロードすることができる。
【0071】
このように、タブレット3を分離可能とすることにより、柔軟性に富んだシステムを構築することができる。
【0072】
読取部36は、ユーザIDの読み取りを行う。例えば、タブレット3と安全操作部4とが接続されているとき、NFC、Bluetooth(登録商標)等のインターフェースを持つカードが、タブレット3または安全操作部4のいずれかに装着(容易に脱着可能)可能とすればよい。例えば、
図4に示すように、安全操作部4にカード挿入ホルダー48を設け、カード挿入ホルダー48にカード9が挿入されるようにすればよい。
【0073】
当該カードにユーザIDを記憶し、そのユーザによって、操作のレベル、権限が異なるようにすればよい。このようなユーザIDが記憶されたカードを用いることにより、第三者(例えば、同僚)にユーザIDが知られてしまう危険性を低減することできる。カードを用いることにより、画面等に入力されたユーザIDを表示する必要はなくなり、これにより、第三者にユーザIDを盗み見されることがなくなるからである。
【0074】
例えば、誰がその操作を行ったかをログで残したり、使用者の操作内容をユーザIDによって制限したりすることも可能となる。
【0075】
また、ユーザの作業者区分としては、(1)まったくその機械の操作を許さない従業員、(2)ティーチングのみを行う作業者、(3)故障時にも操作ができて、メンテナンスを行える。ロボットのI/Oが故障するとのその箇所の情報が得られ、その部分のみテスト動作させて確認する等を行う、(4)ロボットの稼働率や、歩留り等の情報を、ティーチングペンダントを介して入手できる、といったものが考えられる。
【0076】
さらに、ユーザIDによって、ユーザのレベルや役割ごとに、様々な機能や操作制限を与えることも可能となる。
【0077】
(安全操作部4)
安全操作部4は、スイッチ群41と、制御部42と、記憶部43と、接続通信部44と、読取部45と、外部通信部46と、を有している。また、安全操作部4は、タブレット3の保持機構(図示省略)を有していることが好ましい。
【0078】
スイッチ群41は、非常停止スイッチ(非常停止SW)41a、デッドマンスイッチ(デッドマンSW)41b、およびモードスイッチ(モードSW)41cのうちの少なくとも1つを含んでいる。
【0079】
非常停止スイッチ41aは、いつでもロボット6を緊急停止させるために用いられる。なお、非常停止スイッチ41aは、上述のカードの装着の有無や、カードに記憶された内容にかかわらず、有効となっている。
【0080】
デッドマンスイッチ41bは、オン状態に保持している場合に限り、ロボット6に対する教示作業が可能である。ロボット6が不測の動作を行った場合には、デッドマンスイッチ41bをオフ状態にすることにより、直ちにロボットを停止させることができる。
【0081】
モードスイッチ41cは、ロボット6の動作モードを、手動モードまたは自動モードのいずれかから選択するためのスイッチである。手動モードでは、教示装置2によって直接的にロボット6を操作することが可能になり、これによりティーチングポイントを教示することができる。自動モードでは、予め記憶されている動作プログラムに基づいてロボット6を動作させることができる。
【0082】
制御部42は、ロボット制御部421、情報提供部422、およびユーザ認証部423を含んでいる。
【0083】
ロボット制御部421は、スイッチ群41に含まれる非常停止スイッチ41a、デッドマンスイッチ41b、およびモードスイッチ41cの各オン/オフ状態に基づいて、ロボット制御装置5と通信することによってロボット6を制御する。
【0084】
ここで注目すべきは、ロボット制御部421は、モードスイッチ41cによりロボット6の動作モードが自動モードとされることにより、非常停止スイッチがオフ状態であれば、ロボット6を自動走行させることができる。
【0085】
情報提供部422は、スイッチ群41に含まれる各スイッチのオン/オフ状態を表すスイッチ情報をタブレット3に供給する。また、情報提供部422は、ロボット6のID、ステータス等のロボット6に関するロボット情報をタブレット3に供給する。
【0086】
これにより、タブレット3は、ロボット情報を常に得て、ロボット6のIDを認識し、その機能に応じて、コマンド等を表示、実行可能となる。また、そのロボット6のステータス等も表示可能となる。
【0087】
ユーザ認証部423は、安全操作部4の各部の機能を制限するものである。また、ユーザ認証部423は、ユーザが入力した情報に基づいてユーザを特定するものである。具体的には、ユーザ認証部423は、ユーザが認証のために安全操作部4に入力した情報を取得すると、後述する記憶部のユーザメモリ433において、取得した情報と一致する情報を検索する。そして、一致する情報が取得できた場合、安全操作部4における各部の機能制限を解除する。一方、一致する情報が取得できなかった場合、安全操作部4における各部の機能制限を維持する。なお、安全操作部4における各部の機能制限は具体的に限定されるものではなく、教示装置2が使用される状況等に応じて、適宜決定されればよい。また、ユーザ認証の情報の入力方法についても、特に限定されるものではない。
【0088】
記憶部43は、データメモリ431、設定メモリ432、ユーザメモリ433、および作業メモリ434を含んでいる。
【0089】
データメモリ431は、SRAMやDRAMによって構成されており、教示装置2の外部または内部で発生した各種データを記憶している。データメモリ431は、このように異なる種類のデータを記憶することから、必ずしも単一のメモリで構成される必要はなく、データの種類に応じて異なる種類のメモリで構成されたり、同一のメモリであっても、データの種類に応じて記憶領域を異ならせたりすることが好ましい。上記のデータとしては、上述したスイッチ情報、およびロボット情報が挙げられる。
【0090】
設定メモリ432は、安全操作部4またはロボット6を一意に識別するための情報(ID)を記憶している。
【0091】
ユーザメモリ433は、安全操作部4を使用するユーザを一義的に特定するための情報を記憶するためのメモリである。また、作業メモリ434は、ロボット制御装置5との間でやり取りされるデータの一時的な記憶に用いられる。
【0092】
なお、上述した記憶部33および記憶部43の各種メモリに記憶されるデータは一例であり、上述した例に限定されるものではない。例えば、タブレット3の記憶部33に設定メモリがあってもよいし、安全操作部4の記憶部43に画像メモリがあってもよい。
【0093】
接続通信部44は、接続通信部34と同様に、タブレット3の接続通信部34との間において各種データを送受信する。接続通信部44は、受信した各種データを制御部42に供給したり、記憶部43に記憶したりする。
【0094】
さらに、接続通信部44は、接続通信部34と同様、タブレット3が安全操作部4に接続されているか否かを確認するために、安全操作部4内のUSBのID、または、タブレット3のコネクタユニット37および安全操作部4のコネクタユニット47に設けられた確認用の専用ピン(1ピン以上)を用いて、確認する。
【0095】
具体的には、タブレット3が安全操作部4以外に装着されるとき、この専用ピンはNCとなる。コネクタユニット37またはコネクタユニット47のいずれかの両端に、2本の確認用の専用ピンを配置すればよい。
【0096】
これにより、安全操作部4は、ロボット6に対する教示中に、タブレット3が脱着されると、ロボット制御装置5に対して、即時停止のコマンドを送信することができる。
【0097】
読取部45は、ユーザIDの読み取りを行う。
【0098】
外部通信部46は、ロボット制御装置5との間において各種データを送受信する。
【0099】
図3は、タブレット3とPC8との接続構成を示す説明図である。
図3に示すように、タブレット3は、安全操作部4から脱着でき、可搬性があるため、タブレット3とケーブル(例えば、USBケーブルやEthernt)を介してPC8とつなぐことができる。これにより、PC8上にインストールされたソフトウェアにより、タブレット3を様々なタブレットへ設定したり、ティーチングした結果を管理したりすることも可能になる。
【0100】
タブレット3の制御部32および安全操作部4の制御部42は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0101】
後者の場合、タブレット3の制御部32および安全操作部4の制御部42は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0102】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、上述の実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0103】
例えば、
図5に示すように、安全操作部4は、メンブレムスイッチ等で実現されるメカニカルなスイッチ群401を備えてもよい。スイッチ群401に含まれるスイッチ401a(メカニカルなスイッチ)、スイッチ401b(メカニカルなスイッチ)およびスイッチ401c(メカニカルなスイッチ)は、物理的操作により操作されるスイッチであり、その素材、硬さ等で操作時にクリック感を達成することができるので、操作時の安心感および確実感をユーザに与えることができる。
【0104】
スイッチ群401はスイッチパネル402に配置される。スイッチ401a、スイッチ401bおよびスイッチ401cの各々のオン/オフは、上述した非常停止スイッチ41a等と同様、タブレット3によりモニターされる。スイッチ401a等の定義(機能や表示)は、タブレット3により行われる。スイッチ401a等は、安全操作部4にタブレット3が装着されない限り、操作無効としてもよい。スイッチ401a等に対する機能割り当ては、上述した開発用コンピュータからタブレット3へのソフトウェアのダウンロードにより、行ってもよい。
【0105】
なお、
図5に示すように、タブレット3のタッチパネル31の下部に、スイッチ401a等の各々の名前、機能等を表示する画像群301(画像301a、画像301bおよび画像301c)を表示させてもよい。
図5では、スイッチ401aに画像301aが、スイッチ401bに画像301bが、スイッチ401cに画像301cが、それぞれ対応する。タブレット3に画像301a等を表示させることにより、ユーザに、スイッチ401a等の名前、機能等を視覚的に認識することができるので、ユーザの利便性が向上する。