【文献】
松川 孝一,ABC/ABM実践ガイドブック,(株)中央経済社,2010年 9月25日,第1版,p.38−74、235−248
【文献】
安井 望,会計関連業務/システム,日本,(株)中央経済社 山本 憲央,2015年10月15日,第1版,p.130−139
【文献】
吉川 武男,金融機関のABCマネジメント,日本,東洋経済新報社,1999年 7月 1日,第1版,p.22−72、207−232
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
売上を生じさせる直接的な営業を行う営業部門を有した基幹部署と、直接的な営業活動を行わずに上記基幹部署を支援する支援部門を有した支援部署とを備えた組織の管理であって、上記売上に係る売上伝票の明細行に対応した複数の明細行データで構成される売上データを含んだ業務基本データを用いて所定期間内の営業利益に係る管理を行う利益管理システムにおいて、
上記業務基本データから導出される上記支援部署の支援部署全経費を基幹部署の営業部門に配賦して上記業務基本データから導出される上記営業部門に生じた部門実経費に加算した部門配賦後経費を算出する経費配賦手段と、
該経費配賦手段が算出した部門配賦後経費を記憶する配賦後経費記憶手段と、
該配賦後経費記憶手段が記憶した部門配賦後経費を上記明細行毎に振り分けた行毎経費を算出する行毎経費算出手段と、
上記明細行毎の粗利額である行毎粗利から上記行毎経費算出手段が算出した行毎経費を減算した行毎営業利益を算出する行毎営業利益算出手段と、
上記行毎経費及び行毎営業利益を対応する明細行データに付加した活用明細行データを作成する活用明細行データ作成手段と、
該活用明細行データ作成手段が作成した活用明細行データを記憶する行毎データ記憶手段と、
を備えたことを特徴とする利益管理システム。
上記活用明細行データから、少なくとも、得意先,営業部門,担当者,商品名及びこれらの組み合わせから選択される項目に係る営業利益を集計加工する集計加工手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の利益管理システム。
上記営業部門ファクター構成比は、各営業部門の売上金額比,各営業部門の売上数量比,各営業部門の伝票の明細行の合計である部門毎合計行数の比率としての明細行数比,各営業部門毎の売上伝票枚数比から選択されることを特徴とする請求項10記載の利益管理システム。
上記複数の経費科目別実経費のうち少なくとも人件費については、上記部門別人数比を用いて一次配賦経費を算出することを特徴とする請求項13記載の利益管理システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この従来の利益管理システムにあっては、発生した経費を日別,店別,担当者別,得意先別,商品分類別等の販売管理項目の区分をつけて明細入力しているので、これらの項目については営業利益を容易に見ることはできるが、逐一経費を明細入力しなければならないので、それだけ作業が煩雑になっており、また、営業利益について、集計を行っていない別の項目についてデータを得ようとしたときに、集計加工が困難で、算出できても手間がかかり、汎用性に劣るという問題があった。
本発明は上記の点に鑑みて為されたもので、担当者別,得意先別,商品別等の種々の項目についての営業利益のデータを容易に計算して出力できるようにし、労力の軽減を図り、汎用性の向上を図った利益管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的を達成するための本発明の利益管理システムは、売上を生じさせる直接的な営業を行う営業部門を有した基幹部署と、直接的な営業活動を行わずに上記基幹部署を支援する支援部門を有した支援部署とを備えた組織の管理であって、上記売上に係る売上伝票の明細行に対応した複数の明細行データで構成される売上データを含んだ業務基本データを用いて所定期間内の営業利益に係る管理を行う利益管理システムにおいて、
上記業務基本データから導出される上記支援部署の支援部署全経費を基幹部署の営業部門に配賦して上記業務基本データから導出される上記営業部門に生じた部門実経費に加算した部門配賦後経費を算出する経費配賦手段と、
該経費配賦手段が算出した部門配賦後経費を記憶する配賦後経費記憶手段と、
該配賦後経費記憶手段が記憶した部門配賦後経費を上記明細行毎に振り分けた行毎経費を算出する行毎経費算出手段と、
上記明細行毎の粗利額である行毎粗利から上記行毎経費算出手段が算出した行毎経費を減算した行毎営業利益を算出する行毎営業利益算出手段と、
上記行毎経費及び行毎営業利益を対応する明細行データに付加した活用明細行データを作成する活用明細行データ作成手段と、
該
活用明細行データ作成手段が作成した活用明細行データを記憶する行毎データ記憶手段とを備えた構成としている。
営業部署の営業部門は1つであっても良く、また、2以上あっても良い。
【0006】
上記業務基本データは、少なくとも、上記基幹部署及び支援部署の販売及び一般管理の経費に係る財務データと、基幹部署及び支援部署の給与,賞与に係る給与データと、売上伝票データの入力により構築される売上データを有した販売データとを備えている。売上データは、少なくとも、伝票番号,売上年月日,得意先,営業部門,当該営業部門の構成員のうち直接的な営業を行う担当者の項目で特定され、商品名,売上単価,数量,原価単価,売上金額,粗利額の項目を有する明細行毎の複数の明細行データで構成される。
【0007】
これにより、営業部署の担当者が売上を生じさせる直接的な営業を行うと、発行される売上伝票に基づく売上データが明細行データとなって蓄積される。そして、所定期間、例えば1ヶ月のデータに基づいて、所定期間内の利益を管理する。この際には、先ず、経費配賦手段が、業務基本データを用い、支援部署の支援部署全経費を基幹部署の営業部門に配賦して営業部門に生じた部門実経費に加算した部門配賦後経費を算出する。次に、行毎経費算出手段が、部門配賦後経費を明細行毎に振り分けた行毎経費を算出し、行毎営業利益算出手段が、行毎経費及び明細行毎の粗利額である行毎粗利に基づいて、明細行毎に行毎営業利益を算出し、活用明細行データ作成手段が、行毎経費及び行毎営業利益を対応する明細行データに付加した活用明細行データを作成する。この活用明細行データは、行毎データ記憶手段に記憶される。
【0008】
そして、この活用明細行データは、例えば、得意先,営業部門,担当者,商品名及びこれらの組み合わせから選択される項目等、種々の項目に係る営業利益として、集計加工して利用に供することができる。例えば、営業部門が複数あれば、所定期間における営業部門毎の営業利益表を作成することができる。この場合、営業部門毎に対応する明細行の行毎営業利益を合算するだけで各部門の営業利益を算出することができるので、演算を極めて容易に行うことができる。また、例えば、特定の営業部門における得意先毎の営業利益表を作成することができる。この場合、特定の営業部門において、得意先毎に対応する明細行の行毎営業利益を合算するだけで各得意先の営業利益を算出することができるので、演算を極めて容易に行うことができる。更にまた、例えば、特定の営業部門における商品毎の営業利益表を作成することができる。この場合、特定の営業部門において、商品毎に対応する明細行の行毎営業利益を合算するだけで各商品の営業利益を算出することができるので、演算を極めて容易に行うことができる。また、例えば、特定の商品の担当者毎の営業利益表を作成することができる。この場合、特定の商品において、担当者毎に対応する明細行の行毎営業利益を合算するだけで各担当者の特定の商品に対する営業利益を算出することができるので、演算を極めて容易に行うことができる。
【0009】
即ち、本発明によれば、売上データである明細行データの最小単位の明細行毎に営業利益を振り分けたので、例えば、部門別,担当者別,得意先別,商品分類別等の種々の項目についての営業利益のデータを容易に計算して出力でき、労力を軽減し、汎用性の向上を図ることができる。特に、汎用の業務管理システムで蓄積されるような業務基本データを用いるので、効率よくデータの取り込みを行って活用明細行データを作成することができ、より一層、労力の低減を図り、汎用性の向上を図ることができる。その結果、例えば、部門別,担当者別,得意先別,商品分類別等の種々の項目についての営業利益のデータを見ることによって、営業戦略,経営戦略などの事業戦略に役立たせることができ、極めて有用になる。
【0010】
そして、必要に応じ、上記行毎データ記憶手段に記憶された活用明細行データから、少なくとも、得意先,営業部門,担当者,商品名及びこれらの組み合わせから選択される項目に係る営業利益を集計加工する集計加工手段を備えた構成としている。集計加工手段により、例えば、担当者別,得意先別,商品分類別等の種々の項目についての営業利益のデータを容易に計算して出力でき、労力の低減を図り、汎用性の向上を図ることができる。
【0011】
更に、必要に応じ、上記行毎経費算出手段は、
上記営業部門の明細行の合計である部門合計行数を算出する部門合計行数算出手段と、
上記部門配賦後経費を上記部門合計行数で除算して各明細行当たりの行平均経費を算出し、該行平均経費を明細行毎の行毎経費とする行平均経費算出手段とを備えて構成している。部門配賦後経費を部門合計行数で除算した行平均経費を明細行毎の行毎経費とするので、計算が容易であり、単純化できる。
【0012】
更にまた、必要に応じ、上記行毎経費算出手段は、
上記営業部門の売上伝票の合計枚数である部門合計伝票枚数を算出する部門合計伝票枚数算出手段と、
上記営業部門の売上伝票毎の明細行の合計である伝票毎合計行数を算出する伝票毎合計行数算出手段と、
上記部門配賦後経費を上記部門合計伝票枚数で除算して各売上伝票当たりの伝票平均経費を算出する伝票平均経費算出手段と、
上記各売上伝票毎に、上記伝票平均経費を対応する売上伝票の伝票毎合計行数で除算して各明細行当たりの伝票毎行平均経費を算出し、該伝票毎行平均経費を対応する明細行の行毎経費とする伝票毎行平均経費算出手段と、
を備えて構成している。
これにより、上記の部門配賦後経費を部門合計行数で除算した行平均経費を明細行毎の行毎経費とする場合に比較して、より精度の高い経費配布を行うことができる。即ち、全明細行がn行あるとき、一般には、売上伝票1枚当たりの行数が多い方が、少ない場合と比較して労力,手数の点で効率が良いので実質的に経費に差が出るが、この手段によれば、売上伝票毎の行数を考慮して行毎経費を算出するので、それだけ、精度の高い経費配布を行うことができる。
【0013】
また、必要に応じ、上記明細行の項目の一部若しくは全部についてウエイト値を設定し、該設定されたウエイト値を記憶するウエイトデータ記憶手段を備え、
上記行毎経費算出手段は、上記ウエイトデータ記憶手段に記憶されたウエイト値に従って重み付をした明細行毎の行毎経費を算出する機能を備えて構成している。
ウエイト値は、例えば、作業量等経費が比較的あまりかからない項目には小さい値を付し、作業量等経費が比較的多くかかる項目には大きな値を付す。これにより、このウエイト値により重み付をしたので、できるだけ平均化した行毎経費にすることができるようになる。
【0014】
詳しくは、上記行毎経費算出手段は、
上記明細行毎にウエイト値の合計である行毎ウエイト合計値を算出する行毎ウエイト合計値算出手段と、
該行毎ウエイト合計値算出手段が算出した行毎ウエイト合計値を合算した部門ウエイト総計値を算出する部門ウエイト総計値算出手段と、
上記部門配賦後経費を上記部門ウエイト総計値で除算して単位ウエイト当たりの部門単位ウエイト経費を算出する部門単位ウエイト経費算出手段と、
上記行毎ウエイト合計値と部門単位ウエイト経費とを乗算して明細行毎の行毎経費を算出する行毎経費集計手段とを備えた構成とすることができる。
【0015】
また、上記行毎経費算出手段は、
上記営業部門の担当者毎の明細行の合計である担当者毎合計行数を算出する担当者毎合計行数算出手段と、
上記業務基本データから導出される担当者毎の担当者毎実経費を上記担当者毎合計行数で除算して各担当者の明細行当たりの行毎担当者別実経費を算出する行毎担当者別実経費算出手段と、
上記営業部門の担当者の担当者別実経費を合算した部門担当者合計実経費を算出する部門担当者合計実経費算出手段と、
該部門担当者合計実経費算出手段が算出した部門担当者合計実経費を上記部門配賦後経費から減算して該部門担当者合計実経費以外の部門他経費を算出する部門他経費算出手段と、
上記明細行毎にウエイト値の合計である行毎ウエイト合計値を算出する行毎ウエイト合計値算出手段と、
該行毎ウエイト合計値算出手段が算出した行毎ウエイト合計値を合算した部門ウエイト総計値を算出する部門ウエイト総計値算出手段と、
上記部門他経費を上記部門ウエイト総計値で除算した単位ウエイト当たりの部門単位ウエイト他経費を算出する部門単位ウエイト他経費算出手段と、
上記行毎ウエイト合計値と部門単位ウエイト他経費とを乗算して明細行毎の行毎他経費を算出する行毎他経費集計手段と、
上記行毎担当者別実経費と上記行毎他経費とを加算して明細行毎の行毎経費を算出する行毎経費集計手段とを備えた構成とすることができる。
【0016】
更に、上記行毎経費算出手段は、
上記営業部門の明細行の合計である部門合計行数を算出する部門合計行数算出手段と、
上記業務基本データから導出され営業部門の部門実経費を上記部門合計行数で除算して明細行当たりの行毎平均実経費を算出する行毎平均実経費算出手段と、
上記業務基本データから導出され営業部門の部門実経費を上記部門配賦後経費から減算して該部門実経費以外の部門他経費を算出する部門他経費算出手段と、
上記明細行毎にウエイト値の合計である行毎ウエイト合計値を算出する行毎ウエイト合計値算出手段と、
該行毎ウエイト合計値算出手段が算出した行毎ウエイト合計値を合算した部門ウエイト総計値を算出する部門ウエイト総計値算出手段と、
上記部門他経費を上記部門ウエイト総計値で除算した単位ウエイト当たりの部門単位ウエイト他経費を算出する部門単位ウエイト他経費算出手段と、
上記行毎ウエイト合計値と部門単位ウエイト他経費とを乗算して明細行毎の行毎他経費を算出する行毎他経費集計手段と、
上記行毎平均実経費と上記行毎他経費とを加算して明細行毎の行毎経費を算出する行毎経費集計手段とを備えた構成とすることができる。
【0017】
そしてまた、必要に応じ、上記経費配賦手段は、
上記支援部署の支援部門毎に且つ複数の経費科目毎に集計された複数の経費科目別実経費を夫々上記基幹部署の営業部門に配賦する経費科目別配賦経費を算出する経費科目別配賦経費算出手段と、
該経費科目別配賦経費算出手段が算出した複数の経費科目別配賦経費を上記営業部門に生じた部門実経費に加算して部門配賦後経費を算出する配賦後経費算出手段とを備えた構成としている。
【0018】
これにより、経費配賦手段による経費の配賦を行うときは、先ず、経費科目別配賦経費算出手段が、支援部署の支援部門毎に且つ複数の経費科目毎に集計された複数の経費科目別実経費を夫々基幹部署の営業部門に配賦する経費科目別配賦経費を算出し、配賦後経費算出手段が、この複数の経費科目別配賦経費を営業部門に生じた部門実経費に加算して部門配賦後経費を算出する。この場合、営業部門が複数ある場合、複数の経費科目別実経費について、夫々個別に配布するので、経費科目の種類に応じて、配布比率を異ならせるなどして各営業部門に配賦することができ、そのため、支援部門の経費の配賦をできるだけ公正に行うことができるようになり、配賦精度を向上させることができる。
【0019】
そして、必要に応じ、上記経費科目別配賦経費算出手段は、
上記基幹部署の営業部門に係る複数種類の営業部門ファクター毎に
各々の営業部門ファクターの営業部門毎の構成比である営業部門ファクター構成比を算出する営業部門ファクター構成比算出手段を備え、
該営業部門ファクター構成比算出手段が算出し予め経費科目に対応付けた1若しくは複数種類の営業部門ファクター構成比を用いて経費科目別配賦経費を算出する構成としている。
営業部門に係る営業部門ファクターの構成比で、経費科目別実経費を配賦するので、営業部門ファクターとして、支援部門の経費に係りあう例えば業務量に関する度合いに比例するようなファクターを選択すれば、支援部門の経費の配賦をより一層公正に行うことができるようになり、配賦精度を向上させることができる。
【0020】
また、必要に応じ、上記営業部門ファクター構成比は、各営業部門の売上金額比,各営業部門の売上数量比,各営業部門の伝票の明細行の合計である部門毎合計行数の比率としての明細行数比,各営業部門毎の売上伝票枚数比から選択される構成としている。営業部門ファクター構成比を、支援部門の経費に係りあう度合いに比例するようなファクターの比にすることができ、より適正な配賦を行うことができる。
【0021】
更に、必要に応じ、上記経費科目別配賦経費算出手段は、
上記基幹部署の営業部門の全部及び支援部署の支援部門の一部若しくは全部に係る共通ファクターの構成比である1若しくは複数種類の共通ファクター構成比を算出する共通ファクター構成比算出手段と、
該共通ファクター構成比算出手段が算出し予め一部の経費科目に対応付けた1若しくは複数種類の共通ファクター構成比を用いて対応する経費科目別実経費を一次配賦して一次配賦経費を算出する一次配賦経費算出手段と、
該一次配賦経費算出手段が算出した一次配賦経費を、上記営業部門ファクター構成比算出手段が算出し予め該一次配賦経費に係る経費科目に対応付けた1若しくは複数種類の営業部門ファクター構成比を用いて二次配賦して二次配賦経費を算出する二次配賦経費算出手段とを備え、
上記一次配賦経費及び二次配賦経費から該当する経費科目の経費科目別配賦経費を算出する構成としている。
【0022】
これにより、経費配賦手段による経費の配賦を行う際、先ず、共通ファクター構成比算出手段が、基幹部署の営業部門の全部及び支援部署の支援部門の一部若しくは全部に係る共通ファクターの構成比である1若しくは複数種類の共通ファクター構成比を算出する。そして、一部の経費科目に係る経費科目別実経費については、先ず、一次配賦経費算出手段が、1若しくは複数種類の共通ファクター構成比を用いて対応する経費科目別実経費を一次配賦して一次配賦経費を算出する。次に、二次配賦経費算出手段が、一次配賦経費を、この一次配賦経費に係る経費科目に対応付けた1若しくは複数種類の営業部門ファクター構成比を用いて二次配賦して二次配賦経費を算出する。その後、一次配賦した一次配賦比と二次配賦比とを合算して経費科目別配賦経費を算出する。この場合、直ぐに営業部門に配賦するのではなく、共通ファクターの構成比で支援部門にも一次配賦して、それから、営業部門ファクター構成比で営業部門に二次配賦するので、一部の支援部門に突出した経費が生じているような場合に、より均一化でき、支援部門の経費の配賦をより一層公正に行うことができるようになり、配賦精度を向上させることができる。
【0023】
この場合、上記共通ファクター構成比は、全部の部門若しくは一部の部門の部門別人数比であることが有効である。
また、この場合、上記複数の経費科目別実経費のうち少なくとも人件費については、上記部門別人数比を用いて一次配賦経費を算出することが有効である。経費の配賦をより一層公正に行うことができるようになり、配賦精度を向上させることができる。
【0024】
また、
本発明の開発過程で提案された利益管理方法を参考に挙げる。この利益管理方法は、売上を生じさせる直接的な営業を行う営業部門を有した基幹部署と、直接的な営業活動を行わずに上記基幹部署を支援する支援部門を有した支援部署とを備えた組織の管理であって、上記売上に係る売上伝票の明細行に対応した複数の明細行データで構成される売上データを含んだ業務基本データを用いて所定期間内の営業利益に係る管理を行う利益管理方法において、
上記業務基本データから導出される上記支援部署の支援部署全経費を基幹部署の営業部門に配賦して上記業務基本データから導出される上記営業部門に生じた部門実経費に加算した部門配賦後経費を算出する経費配賦ステップと、
上記部門配賦後経費を上記明細行毎に振り分けた行毎経費を算出し、上記明細行毎の粗利額である行毎粗利から上記行毎経費を減算した行毎営業利益を算出し、
該行毎営業利益を対応する明細行データに付加した活用明細行データを作成する活用明細行データ作成ステップとを備えた構成としている。
そして、必要に応じ、上記活用明細行データから、少なくとも、得意先,営業部門,担当者,商品名及びこれらの組み合わせから選択される項目に係る営業利益を集計加工する集計加工ステップを備えた構成としている。
【0025】
また、本発明は、上記の利益管理システムの機能をコンピュータに実行させるプログラムにある。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、売上伝票の最小単位の明細行の行毎営業利益に振り分けたので、例えば、部門別,担当者別,得意先別,商品分類別等の種々の項目についての営業利益のデータを容易に計算して出力でき、労力を軽減し、汎用性の向上を図ることができる。特に、汎用の業務管理システムで蓄積されるような業務基本データを用いるので、効率よくデータの取り込みを行って活用明細行データを作成することができ、より一層、労力の低減を図り、汎用性の向上を図ることができる。その結果、例えば、部門別,担当者別,得意先別,商品分類別等の種々の項目についての営業利益のデータを見ることによって、営業戦略,経営戦略などの事業戦略に役立たせることができ、極めて有用になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施の形態に係る利益管理システムをその処理フローとともに示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る利益管理システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る利益管理システムが適用される組織例を示す図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る利益管理システムにおいて用いられる売上伝票例を示す図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る利益管理システムにおいて用いられる売上伝票データの入力画面例を示す図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係る利益管理システムにおいて用いられる情報源としてのマスタを示し、(a)は得意先マスタを示す表図、(b)は商品マスタを示す表図、(c)は担当者マスタを示す表図、(d)は部門マスタを示す表図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係る利益管理システムにおいて、伝票入力画面の入力項目及び入力情報源を示す表図である。
【
図8】本発明の実施の形態に係る利益管理システムにおいて、明細行データである売上データの項目及びその入力情報源を示す表図である。
【
図9】本発明の実施の形態に係る利益管理システムにおける経費配賦手段の構成を示すブロックである。
【
図10】本発明の実施の形態に係る利益管理システムにおいて、経費の配賦処理を行うときのフローチャートである。
【
図11】本発明の実施の形態に係る利益管理システムにおいて、経費配賦比率作成テーブルをその数値例とともに示す表図である。
【
図12】本発明の実施の形態に係る利益管理システムにおいて、経費配賦計算テーブルをその数値例とともに示す表図である。
【
図13】本発明の実施の形態に係る利益管理システムにおいて、ウエイト設定用マスタを示す表図(a〜f)である。
【
図14】本発明の実施の形態に係る利益管理システムにおいて、第1方式(Aa方式)に係る行毎経費算出手段の構成を示すブロック図である。
【
図15】本発明の実施の形態に係る利益管理システムにおいて、第1方式(Aa方式)を用いて活用明細行データを作成するときのフローチャートである。
【
図16】本発明の実施の形態に係る利益管理システムにおいて、第2方式(Ab方式)に係る行毎経費算出手段の構成を示すブロック図である。
【
図17】本発明の実施の形態に係る利益管理システムにおいて、第2方式(Ab方式)を用いて活用明細行データを作成するときのフローチャートである。
【
図18】本発明の実施の形態に係る利益管理システムにおいて、第3方式(B方式)に係る行毎経費算出手段の構成を示すブロック図である。
【
図19】本発明の実施の形態に係る利益管理システムにおいて、第3方式(B方式)を用いて活用明細行データを作成するときのフローチャートである。
【
図20】本発明の実施の形態に係る利益管理システムにおいて、第4方式(Ca方式)に係る行毎経費算出手段の構成を示すブロック図である。
【
図21】本発明の実施の形態に係る利益管理システムにおいて、第4方式(Ca方式)を用いて活用明細行データを作成するときのフローチャートである。
【
図22】本発明の実施の形態に係る利益管理システムにおいて、第5方式(Cb方式)に係る行毎経費算出手段の構成を示すブロック図である。
【
図23】本発明の実施の形態に係る利益管理システムにおいて、第5方式(Cb方式)を用いて活用明細行データを作成するときのフローチャートである。
【
図24】本発明の実施の形態に係る利益管理システムにおいて、方式別の経費計算用データ例を示す表図であり、(a)はAa方式に係る表図、(b)はAb方式に係る表図である。
【
図25】本発明の実施の形態に係る利益管理システムにおいて、方式別の経費計算用データ例を示す表図であり、(a)はB方式に係る表図、(b)はCa方式に係る表図、(c)はCb方式に係る表図である。
【
図26】本発明の実施の形態に係る利益管理システムにおいてCa方式に係る経費計算用データ例を示す表図である。
【
図27】本発明の実施の形態に係る利益管理システムにおいて用いられる計算の結果を記録するパターン表を示す表図であり、(a)はAa方式,Ab方式に係る表図、(b)はB方式に係る表図、(c)はCa方式に係る表図、(d)はCb方式に係る表図である。
【
図28】本発明の実施の形態に係る利益管理システムにおいて、経費計算結果例を示す表図であり、(a)はAa方式,Ab方式に係る表図、(b)はB方式に係る表図である。
【
図29】本発明の実施の形態に係る利益管理システムにおいて、経費計算結果を示す表図であり、(a)はCa方式に係る表図、(b)はCb方式に係る表図である。
【
図30】本発明の実施の形態に係る利益管理システムにおいて、活用明細行データをその情報源とともに示し、(a)はAa方式,Ab方式に係る表図、(b)はB方式に係る表図である。
【
図31】本発明の実施の形態に係る利益管理システムにおいて、活用明細行データをその情報源とともに示し、(a)はCa方式に係る表図、(b)はCb方式に係る表図である。
【
図32】本発明の実施の形態に係る利益管理システムにおいて、Aa方式及びAb方式の違いを比較して示す経費計算結果例を示す表図であり、(a)はAa方式に係る表図、(b)はAb方式に係る表図である。
【
図33】本発明の実施の形態に係る利益管理システムにおいて、活用明細行データの集計加工例を示し,(a)は部門(営業所)毎の営業利益比較1を示す表図、(b)は部門(営業所)毎の営業利益比較2を示す表図である。
【
図34】本発明の実施の形態に係る利益管理システムにおいて、活用明細行データの集計加工例として、得意先毎の営業利益比較を示す表図である。
【
図35】本発明の実施の形態に係る利益管理システムにおいて、活用明細行データの集計加工例を示し、(a)は商品毎の営業利益比較1を示す表図、(b)は商品毎の営業利益比較2を示す表図である。
【
図36】本発明の実施の形態に係る利益管理システムにおいて、担当者毎の営業利益比較を示す表図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係る利益管理システ
ム及びプログラムについて詳細に説明す
る。本発明の実施の形態に係るプログラムは、本利益管理システムの機能をコンピュータに実行させるためのものである。
【0029】
図1,
図2及び
図3に示すように、実施の形態に係る利益管理システムSは、コンピュータのシステムであって、売上を生じさせる直接的な営業を行う営業部門を有した基幹部署と、直接的な営業活動を行わずに基幹部署を支援する支援部門を有した支援部署とを備えた組織の管理であって、業務基本データを用いて所定期間内(実施の形態では月単位)の営業利益に係る管理を行う。
図3に示すように、実施の形態では、基幹部署の営業部門としては、例えば、営業所A,営業所B,営業所C,営業所D・・・、支援部署の支援部門としては、業務部,総務部,役員・・・としている。ここで、基幹部署の各営業部門の構成員の内訳は、直接的な営業を行う担当者と、事務職など直接的な営業を行わない非担当者とから構成される。
【0030】
また、業務基本データは、本システムに備えられた記憶手段に記憶され、基幹部署及び支援部署の販売及び一般管理の経費に係り、入出金伝票,振替伝票を入力して勘定科目等に基づいて財務諸表を作成することのできる財務データと、基幹部署及び支援部署の役員,従業員の給与,賞与等の支給額,勤務時間等を計算したる給与データと、売上伝票データの入力により構築される売上データを含み営業対象商品の売上額の集計等からなる販売データとからなる。
【0031】
売上伝票は、例えば、
図4に示すように、お客様(得意先)コード,伝票番号,売上年月日,得意先住所,得意先名,組織(会社)住所,組織(会社)名,担当者の項目で特定され、複数の明細を表記する明細行の表を備えている。明細行の表は、商品コード,商品名,数量,単位,単価,売上金額,消費税の項目を有するとともに、売上金額及び消費税の小計欄,これらの合計欄を有している。
【0032】
図5には、表示部に表示され、売上伝票を作成するための伝票データ入力画面を示す。伝票データ入力画面には、手入力及び/または自動入力によりデータが入力される。実施の形態においては、伝票データの入力される項目は、例えば、ヘッダー部項目と、アイテム部項目と、エンド部項目とを備え、ヘッダー部項目は、伝票区分,売上年月日,伝票番号,得意先,営業部門,当該営業部門の構成員である担当者の項目を含み、アイテム部項目は、複数の明細を表記する明細行を備え、各明細行毎に、売上区分,商品名,数量,単位,単価,売上金額,消費税の項目を含み、エンド部項目は、各明細行に入力された金額の合計欄,各行に入力された消費税の合計欄,金額の合計と消費税の合計とを合算した合計欄を含んで構成されている。
【0033】
伝票入力に当たっては、予め関連付けて記憶されたマスタからの自動入力が行われる。
図6に示すように、マスタとしては、得意先マスタ(
図6(a)),商品マスタ(
図6(b)),担当者マスタ(
図6(c))及び部門マスタ(
図6(d))が用いられる。また、伝票入力に当たっては、売上金額,消費税,金額の合計,消費税の合計、売上金額の合計と消費税の合計を合算した合計については、自動計算されて自動入力される。
図7は、伝票入力画面の項目及びその入力源を示す表図である。
【0034】
そして、伝票データが入力されると、
図8に示すように、売上データは明細行毎の複数(n個)の明細行データとなって記憶部に記憶される。売上データとしての明細行データは、例えば、伝票番号,売上年月日,得意先,営業部門,当該営業部門の構成員のうち直接的な営業を行う担当者の項目で特定され、商品名,売上単価,数量,原価単価(原価(仕入)額),売上金額,粗利額(AG)等の項目を有する。
【0035】
また、組織において所定期間内にかかった全部の費用を組織全経費(KA)とし、基幹部署において所定期間内にかかった全部の費用を基幹部署全経費(KK)とし、支援部署において所定期間内にかかった全部の費用を支援部署全経費(KS)としたとき、
組織全経費(KA)=基幹部署全経費(KK)+支援部署全経費(KS)
の関係にある。
経費の内訳は、
経費=実経費+他経費
の関係にあり、
実経費の内訳は、
実経費=人件費・・・・・・・・・・(イ)
とする場合、あるいは、
実経費=人件費+直接費・・・・・・(ロ)
とする場合がある。実施の形態においては、(ロ)を採用している。
尚、人件費としては、給料や保険料などが挙げられる。直接費としては、交通費や接待費などが挙げられる。
【0036】
本システムは、
図2に示すように、業務基本データから導出される支援部署の支援部署全経費(KS)を基幹部署の営業部門に配賦して業務基本データから導出される営業部門に生じた部門実経費(KB)に加算した部門配賦後経費(KH)を算出する経費配賦手段1と、経費配賦手段1が算出した部門配賦後経費(KH)を記憶する配賦後経費記憶手段2とを備えている。
【0037】
経費配賦手段1は、
図9及び
図12に示すように、支援部署の支援部門毎に且つ複数の経費科目毎に集計された複数の経費科目別実経費(kkj)を夫々基幹部署の営業部門に配賦する経費科目別配賦経費(kkh)を算出する経費科目別配賦経費算出手段3と、経費科目別配賦経費算出手段3が算出した複数の経費科目別配賦経費(kkh)を上記営業部門に生じた部門実経費(KB)に加算して部門配賦後経費(KH)を算出する配賦後経費算出手段4とを備えている。
【0038】
詳しくは、経費科目別配賦経費算出手段3は、基幹部署の営業部門に係る複数種類の営業部門ファクター毎
に、各々の営業部門ファクターの営業部門毎の構成比である営業部門ファクター構成比を算出する営業部門ファクター構成比算出手段5を備え、営業部門ファクター構成比算出手段5が算出し予め経費科目に対応付けた1若しくは複数種類の営業部門ファクター構成比を用いて経費科目別配賦経費(kkh)を算出する機能を備えている。
【0039】
また、経費科目別配賦経費算出手段3は、基幹部署の営業部門の全部及び支援部署の支援部門の一部若しくは全部に係る共通ファクターの構成比である1若しくは複数種類の共通ファクター構成比を算出する共通ファクター構成比算出手段6と、共通ファクター構成比算出手段6が算出し予め一部の経費科目に対応付けた1若しくは複数種類の共通ファクター構成比を用いて対応する経費科目別実経費(kkj)を一次配賦して一次配賦経費(kka)を算出する一次配賦経費算出手段7と、一次配賦経費算出手段7が算出した一次配賦経費(kka)を、営業部門ファクター構成比算出手段5が算出し予め一次配賦経費に係る経費科目に対応付けた1若しくは複数種類の営業部門ファクター構成比を用いて二次配賦して二次配賦経費(kkb)を算出する二次配賦経費算出手段8とを備えており、一次配賦経費(kka)及び二次配賦経費(kkb)から該当する経費科目の経費科目別配賦経費(kkh)を算出する機能を備えている。実施の形態では、一次配賦経費算出手段7は、共通ファクター構成比の他に営業部門ファクター構成比も用いて一次配賦経費(kka)の算出を行っている
【0040】
図11に示すように、共通ファクター構成比及び営業部門ファクター構成比は算出されて経費配賦比率作成テーブルに書き込まれる。共通ファクター構成比は、全部の部門若しくは一部の部門の部門別人数比であり、実施の形態では、部門別人数比(Ra),役員を除く部門別人数比(Rb)を採用している。また、複数の経費科目別実経費(kkj)のうち少なくとも人件費(実施の形態では人件費)については、部門別人数比(Ra)及び役員を除く部門別人数比(Rb)を組み合わせて用いている。
【0041】
営業部門ファクター構成比としては、各営業部門の売上金額比(Rc),各営業部門の売上数量比(Rd),各営業部門の伝票の明細行の合計である部門毎合計行数の比率としての明細行数比(Re),各営業部門毎の売上伝票枚数比(Rf)等が用いられる。
【0042】
これらの営業部門ファクター構成比及び共通ファクターの構成比は、経費配賦比率作成テーブルにおいて、例えば、月ごとに算出される。部門別人数比(Ra)及び役員を除く部門別人数比(Rb)は、例えば、給与計算の締め日における構成人数を用いる。各営業部門の売上金額比(Rc),各営業部門の売上数量比(Rd),各営業部門の伝票の明細行の合計である部門毎合計行数の比率としての明細行数比(Re),各営業部門毎の売上伝票枚数比(Rf)は、一月の決算日における値から求められる。
【0043】
図12には、支援部署の支援部門毎の経費の振り分けにおいて、計算結果を書き込む経費配賦比率作成テーブルを示している。
図12において、算出の一例を示すと、例えば、人件費であれば、先ず、役員報酬については、役員を除く部門別人数比(Rb)で振り分け、総務人件費については、部門別人数比(Ra)で振り分け、業務人件費については、明細行数比(Re)で振り分け、これらについて、一次集計処理をする。次に、この一次集計処理した支援部署の支援部門毎の残った経費を、役員報酬については、各営業部門の売上金額比(Rc)で振り分け、総務人件費については、各営業部門の売上数量比(Rd)で振り分け、業務人件費については、各営業部門の売上数量比(Rd)で振り分け、これらについて二次集計処理をする。
【0044】
また、例えば、水道光熱費,運送費,旅費交通費であれば、各営業部門の売上金額比(Rc)で振り分け、集計処理をする。そして、最後に、人件費,水道光熱費,運送費,旅費交通費等の個々の経費を集計し、部門配賦後経費(KH)を算出する。
【0045】
また、本システムにおいては、
図2に示すように、配賦後経費記憶手段2に記憶された部門配賦後経費(KH)を明細行毎に振り分けた行毎経費(KG)を算出する行毎経費算出手段10と、明細行毎の粗利額である行毎粗利(AG)から行毎経費算出手段10が算出した行毎経費(KG)を減算した行毎営業利益(RG)を算出する行毎営業利益算出手段11と、行毎経費(KG)及び行毎営業利益(RG)を対応する明細行データに付加した活用明細行データを作成する活用明細行データ作成手段12と、活用明細行データ作成手段12が作成した活用明細行データを記憶する行毎データ記憶手段13とを備えている。
【0046】
また、実施の形態では、
図2に示すように、明細行の項目の一部若しくは全部についてウエイト値Waを設定し、この設定されたウエイト値を記憶するウエイトデータ記憶手段14を備えている。実施の形態においては明細行の一部の項目に入力される要素毎に同じ若しくは異なるウエイト値Waが設定され、ウエイトデータ記憶手段14は、
図13に示すように、入力手段(図示せず)によりウエイト値Waが入力されて構築されるウエイトマスタで構成されている。ウエイトマスタは、例えば、伝票区分,売上区分,商品にウエイト値を付した例を示している。得意先,部門,担当者等、他の項目にウエイトを付すことができることは勿論である。ウエイト値Waは、例えば、作業量等経費が比較的あまりかからない項目要素には小さい値を付し、作業量等経費が比較的多くかかる項目要素には大きな値を付す。これにより、このウエイト値Waにより重み付をしたので、できるだけ平均化した行毎経費(KG)にすることができるようになる。
【0047】
詳しくは、上記の行毎経費(KG)を算出する方式としては、実施の形態では、第1方式(「Aa方式」という),第2方式(「Ab方式」という),第3方式(「B方式」という),第4方式(「Ca方式」という)及び第5方式(「Cb方式」という)の5種類の方式が設けられており、本システムは、何れの方式をも採用しうる。B方式,Ca方式及びCb方式においては、行毎経費算出手段10は、上記のウエイトデータ記憶手段14に記憶されたウエイト値に従って重み付をした明細行毎の行毎経費(KG)を算出する機能を備えて構成されている。以下、各方式について説明する。
【0048】
<Aa方式>
本システムにおいて、
図14及び
図15に示すように、行毎経費算出手段10は、各営業部門毎の明細行の合計である部門合計行数(Ng)を算出する部門合計行数算出手段20と、部門配賦後経費(KH)を部門合計行数(Ng)で除算して各明細行当たりの行平均経費(Kv)を算出し、行平均経費(Kv)を明細行毎の行毎経費(KG)とする行平均経費算出手段21とを備えて構成されている。
即ち、
部門合計行数(Ng)=Σ営業部門毎の明細行
行平均経費(Kv)=部門配賦後経費(KH)÷部門合計行数(Ng)
行毎経費(KG)=行平均経費(Kv)
としている。
図24(a)には、後述もするが、部門合計行数算出手段20及び行平均経費算出手段21の計算結果の一例を示す。また、
図27(a)に示すように、計算の結果を記録するパターン表が作成され、この表に数値が書き込まれて記憶領域に格納される。
図28(a)には、行平均経費算出手段21の計算結果を書き込んだ一例を示している。
【0049】
<Ab方式>
本システムにおいて、
図16及び
図17に示すように、行毎経費算出手段10は、各営業部門毎の売上伝票の合計枚数である部門合計伝票枚数(Nd)を算出する部門合計伝票枚数算出手段25と、各営業部門毎に売上伝票毎の明細行の合計である伝票毎合計行数(DNg)を算出する伝票毎合計行数算出手段26と、部門配賦後経費(KH)を部門合計伝票枚数(Nd)で除算して各売上伝票当たりの伝票平均経費(Kd)を算出する伝票平均経費算出手段27と、各売上伝票毎に、伝票平均経費(Kd)を対応する売上伝票の伝票毎合計行数(DNg)で除算して各明細行当たりの伝票毎行平均経費(DKv)を算出し、この伝票毎行平均経費(DKv)を対応する明細行の行毎経費(KG)とする伝票毎行平均経費算出手段28とを備えて構成されている。
【0050】
即ち、
部門合計伝票枚数(Nd)=Σ営業部門毎の売上伝票枚数
伝票毎合計行数(DNg)=Σ伝票毎の明細行
伝票平均経費(Kd)=部門配賦後経費(KH)÷部門合計伝票枚数(Nd)
伝票毎行平均経費(DKv)=伝票平均経費(Kd)÷伝票毎合計行数(DNg)
行毎経費(KG)=伝票毎行平均経費(DKv)
としている。
図24(b)には、後述もするが、部門合計伝票枚数算出手段25及び伝票平均経費算出手段27の計算結果の一例を示す。また、
図27(a)に示すように、計算の結果を記録するパターン表が作成され、この表に数値が書き込まれて記憶領域に格納される。
図28(a)には、伝票毎行平均経費算出手段28の計算結果を書き込んだ一例を示している。
【0051】
<B方式>
本システムにおいて、
図18及び
図19に示すように、行毎経費算出手段10は、ウエイトデータ記憶手段14に記憶されたウエイト値に従って、各明細行毎にウエイト値Waの合計である行毎ウエイト合計値(ウエイト計)(Wg)を算出する行毎ウエイト合計値算出手段30と、各営業部門毎に、行毎ウエイト合計値(ウエイト計)(Wg)を合算した部門ウエイト総計値(WT)を算出する部門ウエイト総計値算出手段31と、部門配賦後経費(KH)を上記部門ウエイト総計値(WT)で除算して単位ウエイト当たりの部門単位ウエイト経費(ウエイト単価)(Kw)を算出する部門単位ウエイト経費算出手段32と、行毎ウエイト合計値(ウエイト計)(Wg)と部門単位ウエイト経費(ウエイト単価)(Kw)とを乗算して明細行毎の行毎経費(KG)を算出する行毎経費集計手段33とを備えて構成されている。
【0052】
即ち、
行毎ウエイト合計値(ウエイト計)(Wg)=Σ明細行毎のウエイト値Wa
部門ウエイト総計値(WT)=Σ行毎ウエイト合計値(ウエイト計)(Wg)
部門単位ウエイト経費(ウエイト単価)(Kw)=部門配賦後経費(KH)÷部門ウエイト総計値(WT)
行毎経費(KG)=行毎ウエイト合計値(ウエイト計)(Wg)×部門単位ウエイト経費(ウエイト単価)(Kw)
としている。
【0053】
図25(a)には、後述もするが、行毎ウエイト合計値算出手段30,部門ウエイト総計値算出手段31,部門単位ウエイト経費算出手段32の計算結果の一例を示す。また、
図27(b)に示すように、計算の結果を記録するパターン表が作成され、この表に数値が書き込まれて記憶領域に格納される。
図28(b)には、部門ウエイト総計値算出手段31,部門単位ウエイト経費算出手段32及び行毎経費集計手段33の計算結果を書き込んだ一例を示している。
【0054】
<Ca方式>
本システムにおいて、
図20及び
図21に示すように、行毎経費算出手段10は、各営業部門の担当者毎の明細行の合計である担当者毎合計行数(Nt)を算出する担当者毎合計行数算出手段40と、業務基本データから導出される担当者毎の担当者毎実経費(KT)を担当者毎合計行数(Nt)で除算して各担当者の明細行当たりの行毎担当者別実経費(Kgt)を算出する行毎担当者別実経費算出手段41と、各部門毎に各部門の担当者の担当者毎実経費(KT)を合算した部門担当者合計実経費(KBt)を算出する部門担当者合計実経費算出手段42と、部門担当者合計実経費(KBt)を部門配賦後経費(KH)から減算して各部門毎の部門担当者合計実経費(KBt)以外の部門他経費(KL)を算出する部門他経費算出手段43とを備えている。
【0055】
即ち、ここでは、実経費を式(ロ)である「人件費+直接費」とし、
担当者毎合計行数(Nt)=Σ(担当者毎の明細行)
行毎担当者別実経費(Kgt)=担当者毎実経費(KT)÷担当者毎合計行数(Nt)
部門担当者合計実経費(KBt)=Σ担当者毎実経費(KT)
部門他経費(KL)=部門配賦後経費(KH)−部門担当者合計実経費(KBt)
としている。
尚、各営業部門の構成員は、直接的営業を行う担当者と、直接的営業を行わない事務職などの非担当者とから構成されており、担当者毎実経費(KT),部門担当者合計実経費(KBt)は、担当者のみについての実経費のことであり、非担当者実経費は含まない。
【0056】
また、本システムにおいて、
図20及び
図21に示すように、行毎経費算出手段10は、ウエイトデータ記憶手段14に記憶されたウエイト値に従って、各伝票の明細行毎にウエイト値Waの合計である行毎ウエイト合計値(ウエイト計)(Wg)を算出する行毎ウエイト合計値算出手段44と、各営業部門毎に上記行毎ウエイト合計値(ウエイト計)(Wg)を合算した部門ウエイト総計値(WT)を算出する部門ウエイト総計値算出手段45と、部門他経費(KL)を部門ウエイト総計値(WT)で除算した単位ウエイト当たりの部門単位ウエイト他経費(ウエイト単価)(KLx)を算出する部門単位ウエイト他経費算出手段46と、行毎ウエイト合計値(ウエイト計)(Wg)と部門単位ウエイト他経費(ウエイト単価)(KLx)とを乗算して明細行毎の行毎他経費(KLg)を算出する行毎他経費集計手段47と、行毎担当者別実経費(Kgt)と行毎他経費(KLg)とを加算して明細行毎の行毎経費(KG)を算出する行毎経費集計手段48とを備えている。
【0057】
即ち、
行毎ウエイト合計値(ウエイト計)(Wg)=Σ明細行毎のウエイト値Wa
部門ウエイト総計値(WT)=Σ行毎ウエイト合計値(ウエイト計)(Wg)
部門単位ウエイト他経費(ウエイト単価)(KLx)=部門他経費(KL)÷部門ウエイト総計値(WT)
行毎他経費(KLg)=行毎ウエイト合計値(ウエイト計)(Wg)×部門単位ウエイト他経費(ウエイト単価)(KLx)
行毎経費(KG)=行毎担当者別実経費(Kgt)+行毎他経費(KLg)
としている。
【0058】
図25(b)及び
図26には、後述もするが、担当者毎合計行数算出手段40,行毎担当者別実経費算出手段41,部門担当者合計実経費算出手段42,部門他経費算出手段43,行毎ウエイト合計値算出手段44,部門ウエイト総計値算出手段45,部門単位ウエイト他経費算出手段46の計算結果の一例を示す。また、
図27(c)に示すように、計算の結果を記録するパターン表が作成され、この表に数値が書き込まれて記憶領域に格納される。
図29(a)には、行毎担当者別実経費算出手段41,行毎ウエイト合計値算出手段44,部門単位ウエイト他経費算出手段46,行毎他経費集計手段47及び行毎経費集計手段48の計算結果を書き込んだ一例を示している。尚、
図27(c)及び
図29(a)において、行毎担当者別実経費(Kgt)は、「人件費」と「直接費」との内訳で記載するようにしている。
【0059】
<Cb方式>
本システムにおいて、
図22及び
図23に示すように、行毎経費算出手段10は、各営業部門毎の明細行の合計である部門合計行数(Ng)を算出する部門合計行数算出手段50と、業務基本データから導出され各営業部門毎の部門実経費(KB)を部門合計行数(Ng)で除算して各部門毎に明細行当たりの行毎平均実経費(Kag)を算出する行毎平均実経費算出手段51と、業務基本データから導出され各営業部門毎の部門実経費(KB)を部門配賦後経費(KH)から減算して各部門毎の部門実経費(KB)以外の部門他経費(KL)を算出する部門他経費算出手段52とを備えている。
【0060】
即ち、ここでは、実経費を式(ロ)である「人件費+直接費」とし、
部門毎合計行数(Ng)=Σ営業部門の明細行
行毎平均実経費(Kag)=部門実経費(KB)÷部門合計行数(Ng)
部門他経費(KL)=部門配賦後経費(KH)−部門実経費(KB)
としている。
尚、各営業部門の構成員は、直接的営業を行う担当者と、直接的営業を行わない事務職などの非担当者とから構成されており、部門実経費(KB)とは、担当者と非担当者との両方の実経費の合算を言う。
【0061】
また、本システムにおいて、
図22及び
図23に示すように、行毎経費算出手段10は、各伝票の明細行毎にウエイト値Waの合計である行毎ウエイト合計値Wgを算出する行毎ウエイト合計値算出手段53と、各営業部門毎に上記行毎ウエイト合計値Wgを合算した部門ウエイト総計値(WT)を算出する部門ウエイト総計値算出手段54と、部門他経費(KL)を部門ウエイト総計値(WT)で除算した単位ウエイト当たりの部門単位ウエイト他経費(KLy)を算出する部門単位ウエイト他経費算出手段55と、行毎ウエイト合計値(Wg)と部門単位ウエイト他経費(KLg)とを乗算して明細行毎の行毎他経費(KLg)を算出する行毎他経費集計手段56と、行毎平均実経費(Kag)と行毎他経費(KLg)とを加算して明細行毎の行毎経費(KG)を算出する行毎経費集計手段57とを備えている。
【0062】
即ち、
行毎ウエイト合計値(ウエイト計)(Wg)=Σ明細行毎のウエイト値Wa
部門ウエイト総計値(WT)=Σ行毎ウエイト合計値(ウエイト計)(Wg)
部門単位ウエイト他経費(ウエイト単価)(KLy)=部門他経費(KL)÷部門ウエイト総計値(WT)
行毎他経費(KLg)=行毎ウエイト合計値(ウエイト計)(Wg)×部門単位ウエイト他経費(ウエイト単価)(KLy)
行毎経費(KG)=行毎平均実経費(Kag)+行毎他経費(KLg)
としている。
【0063】
図25(c)には、後述もするが、部門合計行数算出手段50,行毎平均実経費算出手段51,部門他経費算出手段52,行毎ウエイト合計値算出手段53,部門ウエイト総計値算出手段54,部門単位ウエイト他経費算出手段55の計算結果の一例を示す。また、
図27(d)に示すように、計算の結果を記録するパターン表が作成され、この表に数値が書き込まれて記憶領域に格納される。
図29(b)には、行毎平均実経費算出手段51,行毎ウエイト合計値算出手段53,部門単位ウエイト他経費算出手段55,行毎他経費集計手段56,行毎経費集計手段57の計算結果を書き込んだ一例を示している。尚、
図27(d)及び
図29(b)において、行毎平均実経費(Kag)は、「人件費」と「直接費」との内訳で記載するようにしている。
【0064】
また、
図2に戻り、行毎営業利益算出手段11は、明細行毎の粗利額である行毎粗利(AG)から行毎経費算出手段10が算出した行毎経費(KG)を減算した行毎営業利益(RG)を算出する。
行毎営業利益算出手段11の算出に係る式(1)は以下の通りである。
行毎営業利益(RG)=行毎粗利(AG)−行毎経費(KG)・・・・・・・・(1)
図27に示すように、計算の結果を記録するパターン表が作成され、この表に行毎営業利益算出手段11の算出した数値が書き込まれて記憶領域に格納される。
図28及び
図29には、行毎営業利益算出手段11の計算結果を書き込んだ一例を示している。
【0065】
活用明細行データ作成手段12は、
図30及び
図31に示すように、行毎経費(KG)及び行毎営業利益(RG)を対応する明細行データに付加した活用明細行データを作成する。また、活用明細行データ作成手段12は、上記の「ウエイト計」及び「ウエイト単価」についても明細行データに付加して活用明細行データとする。
そして、行毎データ記憶手段13は、活用明細行データ作成手段12が作成した活用明細行データを記憶する。
【0066】
そしてまた、
図2に示すように、本システムにおいては、行毎データ記憶手段13に記憶された活用明細行データから、少なくとも、得意先,営業部門,担当者,商品名及びこれらの組み合わせから選択される項目に係る営業利益を集計加工する集計加工手段60を備えている。
【0067】
従って、本システムによれば、
図1,
図4乃至
図7に示すように、伝票入力が行われると、
図8に示すように、明細行データからなる売上データが作成される。1ヶ月分のデータが揃うと、経費の配賦処理及び活用明細行データの作成が行われる。以下詳しく説明する。
【0068】
<経費の配賦処理(経費配賦ステップ)>
図10のフローチャートを参照するとともに、
図11及び
図12に示す例で説明すると、以下のようになる。
先ず、経費配賦手段1の経費科目別配賦経費算出手段3において、共通ファクター構成比算出手段6は、基幹部署の営業部門の全部及び支援部署の支援部門の一部若しくは全部に係る共通ファクターの構成比である1若しくは複数種類の共通ファクター構成比を算出する(S1)。
図11の例では、共通ファクターとしては、部門別人数と、役員を除く部門別人数が採用され、共通ファクター構成比算出手段6は、例えば、給与計算の締め日において、部門別人数比(Ra)及び役員を除く部門別人数比(Rb)を算出する(S1)。
【0069】
また、営業部門ファクター構成比算出手段5は、基幹部署の営業部門に係る複数種類の営業部門ファクター毎
に、各々の営業部門ファクターの営業部門毎の構成比である営業部門ファクター構成比を算出する(S2)。
図11の例では、営業部門ファクターとしては、各営業部門の売上金額,各営業部門の売上数量,各営業部門の伝票の明細行の合計である部門合計行数(Ng),各営業部門の売上伝票枚数が採用され、営業部門ファクター構成比算出手段5は、例えば、一月の決算日において、各営業部門の売上金額比(Rc),各営業部門の売上数量比(Rd),各営業部門の伝票の明細行の合計である部門毎合計行数の比率としての明細行数比(Re),各営業部門毎の売上伝票枚数比(Rf)を算出する(S2)。
【0070】
次に、経費配賦手段1の経費科目別配賦経費算出手段3において、一次配賦経費算出手段7による一次配賦を行い、一次配賦経費(kka)を算出する(S3)。
図12に示す例では、一部の経費科目である人件費について、先ず、役員報酬については、役員を除く部門別人数比(Rb)で振り分け、総務人件費については、部門別人数比(Ra)で振り分け、業務人件費については、明細行数比(Re)で振り分け、これらについて、一次集計処理をし、一次配賦経費(kka)を算出する(S3)。一次配賦経費(kka)は、支援部署の支援部門にも配賦される。実施の形態では、一次配賦経費算出手段7は、共通ファクター構成比の他に営業部門ファクター構成比も用いて一次配賦経費(kka)の算出を行っている。
【0071】
それから、二次配賦経費算出手段8により、一次配賦された一次配賦経費(kka)の二次配賦を行い、二次配賦経費(kkb)を算出する(S4)。二次配賦は、1若しくは複数種類の営業部門ファクター構成比を用いて二次配賦する。
図12に示す例では、役員報酬については、各営業部門の売上金額比(Rc)で振り分け、総務人件費については、各営業部門の売上数量比(Rd)で振り分け、業務人件費については、各営業部門の売上数量比(Rd)で振り分け、これらについて集計処理をし、二次配賦経費(kkb)を算出する(S4)。二次配賦経費(kkb)は、基幹部署の営業部門のみに配賦される。そして、経費科目別配賦経費算出手段3は、一次配賦経費(kka)及び二次配賦経費(kkb)を集計して該当する経費科目である人件費についての経費科目別配賦経費(kkh)を算出する(S5)。この場合、直ぐに営業部門に配賦するのではなく、共通ファクターの構成比で支援部門にも一次配賦して、それから、営業部門ファクター構成比で営業部門に二次配賦するので、一部の支援部門に突出した経費が生じているような場合に、より均一化でき、支援部門の経費の配賦をより一層公正に行うことができるようになり、配賦精度を向上させることができる。
【0072】
また、経費科目別配賦経費算出手段3は、人件費以外の経費科目については、営業部門ファクター構成比を用いて経費科目別配賦経費(kkh)を算出する(S5)。
図11に示す例では、水道光熱費,運送費,旅費交通費であれば、各営業部門の売上金額比(Rc)で振り分けて集計処理をする。この場合、営業部門に係る営業部門ファクターの構成比で、経費科目別実経費(kkj)を配賦するので、営業部門ファクターとして、支援部門の経費に係りあう例えば作業量に関する度合いに比例するようなファクターを選択したので、支援部門の経費の配賦をより一層公正に行うことができるようになり、配賦精度を向上させることができる。
【0073】
そして、最後に、配賦後経費算出手段4が、経費科目別配賦経費算出手段3が算出した複数の経費科目別配賦経費(kkh)を、営業部門に生じた部門実経費(KB)に加算して部門配賦後経費(KH)を算出する(S6)。即ち、
図12にも示すように、人件費,水道光熱費,運送費,旅費交通費等の個々の経費を集計し、部門配賦後経費(KH)を算出する。部門配賦後経費(KH)は、配賦後経費記憶手段2に記憶される(S7)。
【0074】
<活用明細行データの作成処理(活用明細行データ作成ステップ)>
次に、活用明細行データの作成処理について説明する。Aa方式,Ab方式,B方式,Ca方式,Cb方式の何れかの方式によって、処理が異なるので、以下、各方式別に説明する。
【0075】
<Aa方式>
図15に示すフローチャートを用い、先ず、行毎経費算出手段10による行毎経費(KG)の算出処理が行われる。行毎経費(KG)の算出処理においては、部門合計行数算出手段20が、各営業部門毎の明細行の合計である部門合計行数(Ng)を算出する(S101)。次に、行平均経費算出手段21が、部門配賦後経費(KH)を部門合計行数(Ng)で除算して各明細行当たりの行平均経費(Kv)を算出し、行平均経費(Kv)を明細行毎の行毎経費(KG)とする(S102)。
図24(a)には、部門合計行数算出手段20及び行平均経費算出手段21の計算結果の一例を示す。
【0076】
それから、行毎営業利益算出手段11が、行毎粗利(AG)から行毎経費(KG)を減算して行毎営業利益(RG)を算出する(S103)。
図28(a)に計算結果の一例を示す。そして、
図30(a)に示すように、活用明細行データ作成手段12は、行毎経費(KG)及び行毎営業利益(RG)を、対応する明細行の明細行データに付加した活用明細行データを作成する(S104)。この活用明細行データは、行毎データ記憶手段13に記憶される(S105)。
【0077】
<Ab方式>
図17に示すフローチャートを用い、先ず、行毎経費算出手段10による行毎経費(KG)の算出処理が行われる。行毎経費(KG)の算出処理においては、部門合計伝票枚数算出手段25が、各営業部門毎に、売上伝票の合計枚数である部門合計伝票枚数(Nd)を算出する(S111)とともに、伝票毎合計行数算出手段26が、各営業部門毎に、売上伝票毎の明細行の合計である伝票毎合計行数(DNg)を算出する(S112)。次に、伝票平均経費算出手段27が、部門配賦後経費(KH)を部門合計伝票枚数(Nd)で除算して、各売上伝票当たりの伝票平均経費(Kd)を算出する(S113)。そして、伝票毎行平均経費算出手段28が、伝票平均経費(Kd)を対応する売上伝票の伝票毎合計行数(DNg)で除算して各明細行当たりの伝票毎行平均経費(DKv)を算出し、この伝票毎行平均経費(DKv)を対応する明細行の行毎経費の行毎経費(KG)とする(S114)。
図28(a)には、伝票毎行平均経費算出手段28の計算結果の一例を示す。
【0078】
それから、行毎営業利益算出手段11が、行毎粗利(AG)から行毎経費(KG)を減算して行毎営業利益(RG)を算出する(S115)。
図28(a)に計算結果の一例を示す。そして、
図30(a)に示すように、活用明細行データ作成手段12は、行毎経費(KG)及び行毎営業利益(RG)を、対応する明細行の明細行データに付加した活用明細行データを作成する(S116)。この活用明細行データは、行毎データ記憶手段13に記憶される(S117)。
【0079】
次に、
図32を用い、Aa方式,Ab方式の違いについて、より詳しく説明する。
図32に示すように、今、部門配布後経費(KH)が60円(KH=60)とし、合計伝票枚数(Nd)が3枚(Nd=3)で処理された場合で説明する。3枚の売上伝票は、明細行が3行の売上伝票(D1),2行の売上伝票(D2),1行の売上伝票(D3)とする。
【0080】
Aa方式の場合は、
部門合計行数(Ng)=Σ明細行=6
行平均経費(Kv=KG)=部門配賦後経費(KH)÷部門合計行数(Ng)=60÷6=10
となり、行毎経費(KG)は一律になる。
【0081】
一方、Ab方式においては、
部門合計伝票枚数(Nd)=Σ売上伝票枚数=3
伝票毎合計行数(DNg)=Σ伝票毎の明細行
伝票(D1)では、伝票毎合計行数(DNg)=3
伝票(D2)では、伝票毎合計行数(DNg)=2
伝票(D3)では、伝票毎合計行数(DNg)=1
伝票平均経費(Kd)=部門配賦後経費(KH)÷部門合計伝票枚数(Nd)=60÷3=20
伝票毎行平均経費(DKv)=伝票平均経費(Kd)÷伝票毎合計行数(DNg)
伝票(D1)では、伝票毎行平均経費(DKv=KG)=20÷3=6.7
伝票(D2)では、伝票毎行平均経費(DKv=KG)=20÷2=10
伝票(D3)では、伝票毎行平均経費(DKv=KG)=20÷1=20
となり、行毎経費(KG)は伝票の明細行毎に異なり、その後算出される行毎営業利益(RG)も伝票毎に異なる。
これにより、上記の部門配賦後経費(KH)を部門合計行数(Ng)で除算した行平均経費(Kv)を明細行毎の行毎経費(KG)とするAa方式に比較して、Ab方式は、売上伝票毎の明細行数を考慮して行毎経費を算出することから、売上伝票1枚当たりの行数が多い方が、少ない場合と比較して、明細行1行当たりの行毎経費(KG)が少なくなる。即ち、売上伝票1枚で処理する商品の数(明細行数)多い方が、少ない場合と比較して労力,手数の点で効率が良いので、これが反映されることになり、それだけ、精度の高い経費配布を行うことができる。
【0082】
<B方式>
図19に示すフローチャートを用い、先ず、行毎経費算出手段10による行毎経費(KG)の算出処理が行われる。行毎経費算出手段10において、行毎ウエイト合計値算出手段30が、各明細行毎に付与されたウエイト値Waの合計である行毎ウエイト合計値(ウエイト計)(Wg)を算出する(S201)。次に、部門ウエイト総計値算出手段31が、各営業部門毎に、行毎ウエイト合計値(ウエイト計)(Wg)を合算した部門ウエイト総計値(WT)を算出する(S202)。それから、部門単位ウエイト経費算出手段32が、部門配賦後経費(KH)を部門ウエイト総計値(WT)で除算して単位ウエイト当たりの部門単位ウエイト経費(ウエイト単価)(Kw)を算出する(S203)。最後に、行毎経費集計手段33が、行毎ウエイト合計値(ウエイト計)(Wg)と部門単位ウエイト経費(ウエイト単価)(Kw)とを乗算して明細行毎の行毎経費(KG)を算出する(S204)。
図25(a)には、部門ウエイト総計値算出手段31及び部門単位ウエイト経費算出手段32の計算結果の一例を示す。
【0083】
それから、行毎営業利益算出手段11が、行毎粗利(AG)から行毎経費(KG)を減算して行毎営業利益(RG)を算出する(S205)。
図28(b)には、計算結果の一例を示す。そして、
図30(b)に示すように、活用明細行データ作成手段12は、行毎ウエイト合計値(ウエイト計)(Wg),部門単位ウエイト経費(ウエイト単価)(Kw),行毎経費(KG)及び行毎営業利益(RG)を、対応する明細行の明細行データに付加した活用明細行データを作成する(S206)。この活用明細行データは、行毎データ記憶手段13に記憶される(S207)。
【0084】
<Ca方式>
図21に示すフローチャート及び
図25(b)に示す算出データ表を用い、先ず、行毎経費算出手段10による行毎経費(KG)の算出処理が行われる。行毎経費算出手段10において、担当者毎合計行数算出手段40が、各営業部門の担当者毎の明細行の合計である担当者毎合計行数(Nt)を算出する(S301)。次に、行毎担当者別実経費算出手段41が、業務基本データから導出される担当者毎の担当者毎実経費(KT)を担当者毎合計行数(Nt)で除算して各担当者の明細行当たりの行毎担当者別実経費(Kgt)を算出する(S302)。この場合、実経費を式(ロ)である「人件費+直接費」としている。
図26に、計算結果の一例を示す。
【0085】
また、部門担当者合計実経費算出手段42が、各部門毎に各部門の担当者の担当者毎実経費(KT)を合算した部門担当者合計実経費(KBt)を算出する(S303)。
図26に、計算結果の一例を示す。それから、部門他経費算出手段43が、部門担当者合計実経費(KBt)を部門配賦後経費(KH)から減算して各部門毎の部門担当者合計実経費(KBt)以外の部門他経費(KL)を算出する(S304)。
図25(b)に、計算結果の一例を示す。
【0086】
更に、行毎経費算出手段10においては、行毎ウエイト合計値算出手段44が、各伝票の明細行毎にウエイト値Waの合計である行毎ウエイト合計値(ウエイト計)(Wg)を算出する(S305)。次に、部門ウエイト総計値算出手段45が、各営業部門毎に行毎ウエイト合計値(ウエイト計)(Wg)を合算した部門ウエイト総計値(WT)を算出する(S306)。それから、部門単位ウエイト他経費算出手段46が、上記の部門他経費(KL)を部門ウエイト総計値(WT)で除算した単位ウエイト当たりの部門単位ウエイト他経費(ウエイト単価)(KLx)を算出する(S307)。
図25(b)に、計算結果を示す。次に、行毎他経費集計手段47は、行毎ウエイト合計値(ウエイト計)(Wg)と部門単位ウエイト他経費(ウエイト単価)(KLx)とを乗算して明細行毎の行毎他経費(KLg)を算出する(S308)。最後に、行毎経費集計手段48が、行毎担当者別実経費(Kgt)と行毎他経費(KLg)とを加算して明細行毎の行毎経費(KG)を算出する(S309)。
図29(a)に、計算結果の一例を示す。
【0087】
それから、行毎営業利益算出手段11が、行毎粗利(AG)から行毎経費(KG)を減算して行毎営業利益(RG)を算出する(S310)。
図29(a)に、計算結果の一例を示す。そして、
図31(a)に示すように、活用明細行データ作成手段12は、行毎ウエイト合計値(ウエイト計)(Wg),部門単位ウエイト経費(ウエイト単価)(Kw),行毎経費(KG)及び行毎営業利益(RG)を、対応する明細行の明細行データに付加した活用明細行データを作成する(S311)。この活用明細行データは、行毎データ記憶手段13に記憶される(S312)。
【0088】
<Cb方式>
図23に示すフローチャートを用い、先ず、行毎経費算出手段10による行毎経費(KG)の算出処理が行われる。行毎経費算出手段10においては、部門合計行数算出手段50が、各営業部門毎の明細行の合計である部門合計行数(Ng)を算出する(S401)。次に、行毎平均実経費算出手段51が、業務基本データから導出され各営業部門毎の部門実経費(KB)を部門合計行数(Ng)で除算して各部門毎に明細行当たりの行毎平均実経費(Kag)を算出する(S402)。それから、部門他経費算出手段52が、業務基本データから導出され各営業部門毎の部門実経費(KB)を部門配賦後経費(KH)から減算して各部門毎の部門実経費(KB)以外の部門他経費(KL)を算出する(S403)。
図25(c)に計算結果の一例を示す。
【0089】
更に、行毎経費算出手段10においては、行毎ウエイト合計値算出手段53が各伝票の明細行毎にウエイト値Waの合計である行毎ウエイト合計値(Wg)を算出する(S404)。次に、部門ウエイト総計値算出手段54が、各営業部門毎に上記行毎ウエイト合計値を合算した部門ウエイト総計値(WT)を算出する(S405)。それから、部門単位ウエイト他経費算出手段55が、部門他経費(KL)を部門ウエイト総計値(WT)で除算した単位ウエイト当たりの部門単位ウエイト他経費(ウエイト単価)(KLy)を算出する(S406)。
図25(c)に計算結果の一例を示す。次に、行毎他経費集計手段57が、行毎ウエイト合計値(ウエイト計)(Wg)と部門単位ウエイト他経費(ウエイト単価)(KLy)とを乗算して明細行毎の行毎他経費(KLg)を算出する(S407)。最後に、行毎経費集計手段が、行毎平均実経費(Kag)と行毎他経費(KLg)とを加算して明細行毎の行毎経費(KG)を算出する(S408)。
図29(b)に計算結果の一例を示す。
【0090】
それから、行毎営業利益算出手段11が、行毎粗利(AG)から行毎経費(KG)を減算して行毎営業利益(RG)を算出する(S409)。
図29(b)に計算結果の一例を示す。そして、
図31(b)に示すように、活用明細行データ作成手段12は、行毎ウエイト合計値(ウエイト計)(Wg),部門単位ウエイト経費(ウエイト単価)(Kw),行毎経費(KG)及び行毎営業利益(RG)を、対応する明細行の明細行データに付加した活用明細行データを作成する(S410)。この活用明細行データは、行毎データ記憶手段13に記憶される(S411)。
【0091】
<集計加工処理(集計加工ステップ)>
そして、本システムにおいては、集計加工手段60によって、行毎データ記憶手段13に記憶された活用明細行データから、少なくとも、得意先,営業部門,担当者,商品名及びこれらの組み合わせから選択される項目に係る営業利益についての集計加工を行うことができる。以下その一例を示す。これは、Aa方式によって算出されたデータに基づいている。
【0092】
(1)部門(営業所)毎の営業利益比較1
図33(a)に示すように、これは、活用明細行データから、伝票区分の全ての項目(掛売上,現金売上,サービス,クレーム対応,相殺)について、各営業所毎に、売上,原価,粗利,経費,営業利益,行数,行毎売上(行毎平均)を集計したものである。粗利があっても、営業利益がマイナスの部門があり、実績の評価を行うことができる。また、今後の営業戦略をたてる等の用に供することができる。
【0093】
(2)部門(営業所)毎の営業利益比較2
図33(b)に示すように、これは、活用明細行データから、伝票区分の掛売上について、各営業所毎に、売上,原価,粗利,経費,営業利益,行数,行毎売上(行毎平均)を集計したものである。粗利があっても、営業利益がマイナスの部門があり、実績の評価を行うことができる。また、今後の営業戦略をたてる等の用に供することができる。
【0094】
(3)得意先毎の営業利益比較
図34に示すように、これは、活用明細行データから、特定の部門(本例では営業所B)について、各得意先毎に、売上,原価,粗利,経費,営業利益を集計したものである。粗利があっても、営業利益がマイナスの得意先があり、実績の評価実績の評価を行うことができる。また、今後の営業戦略をたてる等の用に供することができる。
【0095】
(4)商品毎の営業利益比較1
図35(a)に示すように、これは、活用明細行データから、特定の部門(本例では営業所B)について、各商品毎に、売上,原価,粗利,経費,営業利益を集計し、そのうち、営業利益が最も悪かった10の商品(ワースト10)について順に並べて集計したものである。実績の評価を行うことができる。また、今後の営業戦略をたてる等の用に供することができる。
【0096】
(5)商品毎の営業利益比較2
図35(b)に示すように、これは、活用明細行データから、特定の部門(本例では営業所B)について、各商品毎に、売上,原価,粗利,経費,営業利益を集計し、そのうち、営業利益が最も良かった10の商品(ベスト10)について順に並べて集計したものである。実績の評価を行うことができる。また、今後の営業戦略をたてる等の用に供することができる。
【0097】
(6)担当者毎の営業利益比較
図36に示すように、これは、活用明細行データから、特定の商品について、担当者(本例では営業所Bのb1,b2,b4,b6)毎に、売上,原価,粗利,経費,営業利益を集計したものである。担当者の実績の評価を行うことができる。また、今後の営業戦略をたてる等の用に供することができる。
【0098】
このように、本システムによれば、活用明細行データにおいては、売上伝票の最小単位の明細行の行毎に営業利益が振り分けられているので、例えば、上記のように、担当者別,得意先別,商品分類別等の種々の項目についての営業利益のデータを容易に計算して出力でき、汎用性の向上を図ることができる。その結果、種々の営業利益のデータをみて、営業戦略などの事業戦略に役立たせることができる。この場合、明細行の行毎営業利益(RG)を合算するだけでこれらの項目に係る営業利益を算出することができるので、演算を極めて容易に行うことができる。
【0099】
尚、上記実施の形態では、実経費の内訳を、(ロ)の実経費=人件費+直接費にしたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、(イ)実経費=人件費としても良く、適宜変更して差支えない。また、部門経費配賦算出手段の配賦比率やその選択の仕方も上記に限定されるものではなく適宜変更して差支えない。更に、ウエイト値Waの設定も上記に限定されない等、本発明は、上述した本発明の実施の形態に限定されず、当業者は、本発明の新規な教示及び効果から実質的に離れることなく、これら例示である実施の形態に多くの変更を加えることが容易であり、これらの多くの変更は本発明の範囲に含まれる。