(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6338722
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】直流迷走電流腐食リスクの計測評価方法
(51)【国際特許分類】
C23F 13/02 20060101AFI20180528BHJP
G01N 17/04 20060101ALI20180528BHJP
G01N 27/00 20060101ALI20180528BHJP
G01N 27/26 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
C23F13/02 J
G01N17/04
G01N27/00 L
G01N27/26 351P
G01N27/26 351C
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-37199(P2017-37199)
(22)【出願日】2017年2月28日
【審査請求日】2018年2月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梶山 文夫
【審査官】
一宮 里枝
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−180706(JP,A)
【文献】
特開2015−40317(JP,A)
【文献】
特開2006−145492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23F 13/02
G01N 17/04
G01N 27/00
G01N 27/26
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋設金属体とプローブ間に流れるプローブ電流を計測することで埋設金属体の直流迷走電流腐食リスクを計測評価する方法であって、
プローブから流出する方向の電流をマイナスとし、プローブに流入する方向の電流をプラスとして、
サブ単位時間の間に複数計測されるプローブ電流の瞬時値から前記サブ単位時間毎にプローブ直流電流密度Id.c.を求め、
前記サブ単位時間を複数連ねた単位時間毎に、前記プローブ直流電流密度Id.c.の最小値Id.c.minと平均値Id.c.aveを求め、
前記単位時間において、前記最小値Id.c.minと前記平均値Id.c.aveが共にマイナス値であった場合には、前記最小値Id.c.min×前記サブ単位時間+前記平均値Id.c.ave×(前記単位時間−前記サブ単位時間)を前記単位時間毎の評価値とし、
前記単位時間において、前記最小値Id.c.minがマイナス値で前記平均値Id.c.aveがプラス値の場合には、前記最小値Id.c.min×前記サブ単位時間を前記単位時間毎の評価値とすることを特徴とする直流迷走電流腐食リスクの計測評価方法。
【請求項2】
前記サブ単位時間は、商用交流周波数の1周期であり、前記プローブ電流の瞬時値を0.1ミリ秒毎に計測することを特徴とする請求項1に記載された直流迷走電流腐食リスクの計測評価方法。
【請求項3】
前記単位時間の後にプローブインスタントオフ電位Eoffを求めるためのオフ時間を加えて、1つの単位計測時間とし、
当該単位計測時間を複数連ねて計測時間とすることを特徴とする請求項1又は2に記載された直流迷走電流腐食リスクの計測評価方法。
【請求項4】
前記単位時間を1.6秒とし、前記単位計測時間を2秒とし、前記計測時間を24時間とすることを特徴とする請求項3に記載された直流迷走電流腐食リスクの計測評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カソード防食管理されているパイプラインのような埋設金属体の直流迷走電流腐食リスクを計測評価する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電解質である地中に埋設されている金属体は、地中を流れる迷走電流による腐食リスクに曝されている。迷走電流の発生原因は様々であるが、直流電気鉄道などの直流電気設備からの漏れ電流である直流迷走電流は、電流値や変動幅が大きく且つ高速の変動を示すため、腐食リスクを管理する上で詳細な計測評価が必要となる。直流迷走電流は、これが埋設金属体に流入すると、対電解質電位のプラスよりのところで埋設金属体から再び地中に流出することになり、その流出箇所で高い腐食リスクが発生する。
【0003】
埋設金属パイプラインのように、表面に絶縁性能の高いプラスチックコーティングが施されている埋設金属体では、埋設金属体の周囲にコーティング欠陥を模擬したプローブ(クーポンとも呼ばれる)を配置し、このプローブと埋設金属体とを電気的に接続し、その接続電線を流れる電流(プローブ電流)を計測することで、埋設金属体の腐食リスクを評価することが知られている(下記非特許文献1参照)。
【0004】
また、プローブ電流を用いた腐食リスクの具体的な計測評価方法としては、プローブ電流の瞬時値I(t)を0.1ms毎に計測し、商用交流周波数(例えば、50Hz又は60Hz)の1周期を一つのサブ単位時間(50Hzの場合は20ms)として、このサブ単位時間で計測されたプローブ電流の瞬時値I(t)から1つのプローブ直流電流密度I
d.c.と1つのプローブ交流電流密度I
a.c.を求め、所定の単位時間(例えば、10s)毎に、プローブ直流電流密度I
d.c.とプローブ交流電流密度I
a.c.の平均値(I
d.c.ave,I
a.c.ave)、最大値(I
d.c.max,I
a.c.max)、最小値(I
d.c.min,I
a.c.min)を求めて、計測時間(例えば、24h)内で求められる平均値(I
d.c.ave,I
a.c.ave)、最大値(I
d.c.max,I
a.c.max)、最小値(I
d.c.min,I
a.c.min)を、プローブ直流電流密度I
d.c.とプローブ交流電流密度I
a.c.を指標とするカソード防食基準と比較することが提案されている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−145492号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「Protection against corrosion by stray current from direct current systems」BRITISH STANDARD EN 50162:2004 P25-26
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
直流迷走電流は、直流電気鉄道の運行状態や雨天などによる周辺土壌(電解質)の水分状態など、時々刻々と変化する状況に応じて短時間で変化し、且つその変化に規則性(周期性)がないことが特徴である。このため、直流迷走電流による腐食リスクを精緻に把握するには、0.1ms毎に計測されるプローブ電流I(t)が、アノード電流(プローブから電解質に向けて流出する電流)であるのか、カソード電流(電解質からプローブに流入する電流)であるのかを常時確認し、アノード電流となったプローブ電流の瞬時値I(t)の時間積分を求めることが考えられる。
【0008】
しかしながら、短時間で変化する直流迷走電流の影響を把握するには、プローブ電流の測定間隔は、少なくとも0.1ms程度に間隔を短くする必要があり、この間隔で24時間計測し続けると、多大なデータ量を記憶又は処理する必要があるので、現場での計測評価を前提にすると、ハード負担が大きくなりすぎる。
【0009】
これに対して、前述した従来技術のように、単位計測時間毎に求められるプローブ直流電流密度I
d.c.の平均値I
d.c.aveで腐食リスクを評価すると、アノード電流のピーク値を見逃すことになり、腐食リスクが過小に評価される虞がある。また、単位時間毎に求められるプローブ直流電流密度I
d.c.の最小値I
d.c.minの時間変化からアノード電流の発生状況を把握しようとすると、1つの最小値I
d.c.minがマイナス値(アノード電流)になった場合には、そのマイナス値が単位時間内で継続されているように評価されることになり、腐食リスクを過剰に評価してしまう問題があった。
【0010】
本発明は、このような事情に対処することを課題としている。すなわち、本発明は、埋設金属体における直流迷走電流腐食リスクを、過剰でも過小でも無く、適確に評価できる直流迷走電流腐食リスクの計測評価方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような課題を解決するために、本発明は、以下の構成を具備するものである。
【0012】
埋設金属体とプローブ間に流れるプローブ電流を計測することで埋設金属体の直流迷走電流腐食リスクを計測評価する方法であって、
プローブから流出する方向の電流をマイナスとし、プローブに流入する方向の電流をプラスとして、サブ単位時間の間に複数計測されるプローブ電流の瞬時値から前記サブ単位時間毎にプローブ直流電流密度I
d.c.を求め、前記サブ単位時間を複数連ねた単位時間毎に、前記プローブ直流電流密度I
d.c.の最小値I
d.c.minと平均値I
d.c.aveを求め、前記単位時間において、前記最小値I
d.c.minと前記平均値I
d.c.aveが共にマイナス値であった場合には、前記最小値I
d.c.min×前記サブ単位時間+前記平均値I
d.c.ave×(前記単位時間−前記サブ単位時間)を前記単位時間毎の評価値とし、前記単位時間において、前記最小値I
d.c.minがマイナス値で前記平均値I
d.c.aveがプラス値の場合には、前記最小値I
d.c.min×前記サブ単位時間を前記単位時間毎の評価値とすることを特徴とする直流迷走電流腐食リスクの計測評価方法。
【発明の効果】
【0013】
このような特徴を備えた本発明は、時々刻々と変化する直流迷走電流による埋設金属体の腐食リスクを、過大でも過小でも無く、適確に評価することが可能になり、埋設金属体の保安性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】プローブ電流と管対地電位を計測するためのシステム構成を示した説明図である。
【
図2】直流迷走電流の腐食リスク計測方法を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の説明では、計測評価対象となる埋設金属体として、埋設金属パイプラインを例示して説明するが、本発明の計測評価対象は特にパイプラインに限定されるものではない。
【0016】
図1に示すように、計測対象となる埋設金属パイプライン(以下、パイプライン)1は、表面が絶縁性の高いコーティング2で被覆されており、電解質である土壌Sに埋設されている。パイプライン1は、カソード防食されていることが前提であり、パイプライン1の周囲には、図示省略した外部電源装置などの埋設電極から流出される防食電流が供給されている。
【0017】
パイプライン1近傍の土壌S中には、プローブ(或いはクーポン)3が設置される。プローブ3は、パイプライン1におけるコーティング2の欠陥部を模擬するものであり、パイプライン1と同じ材質の金属で所定の表面積(例えば、10cm
2)を有している。プローブ3はパイプライン1及び照合電極(例えば、飽和硫酸銅電極)4と電気的に接続され、プローブ3とパイプライン1との間には、プローブ電流を計測するためのシャント5とスイッチ(通常オン)6とが直列接続される。また、プローブ3と照合電極4との間には、ブローブ電位を計測するための電圧計7が接続される。
【0018】
プローブ電流は、シャント5を流れる電流であり、プローブ3から土壌Sに流出する方向の電流(アノード電流)をマイナス、土壌Sからプローブ3に流入する方向の電流(カソード電流)をプラスとする。プローブ電流は、パイプライン1のコーティング2に欠陥部が有る場合に、欠陥部におけるアノード電流によって生じる腐食リスクを定量的に評価することができる。
【0019】
プローブ電位は、プローブ3と電解質である土壌Sとの電位を計測することで、パイプライン1のコーティング2に欠陥部が有る場合に、カソード防食によって、その欠陥部の対電解質電位が防食電位以下に保たれているかを定量的に評価することができる。プローブ電位は、スイッチ6がオン状態の電位をプローブオン電位E
onといい、スイッチ6をオフにして計測される電位をプローブインスタントオフ電位E
offという。
【0020】
プローブインスタントオフ電位E
offは、パイプライン1がカソード防食されている状態で、スイッチ6をオフにして計測される。
図1に示すように照合電極4を地表面に設置すると、地中に埋設されたプローブ3と照合電極4間の電圧には、電解質(土壌S)を流れる電流によるIRドロップが含まれる。プローブインスタントオフ電位E
offは、プローブ3とパイプライン1との電気的な接続を一時的に遮断してプローブ3と照合電極4間の電圧を計測することで、IRドロップを除いた真のプローブ対電解質電位を求めることができるものであり、パイプライン1のカソード分極状態を把握する上で重要な評価値になる。
【0021】
パイプライン1におけるプローブ電流とプローブ電位は、
図2に示すように計測される。
【0022】
シャント5で計測されるプローブ電流の瞬時値I(t)と電圧計7で計測されるプローブ3の電位の瞬時値E(t)は、0.1ミリ秒(ms)毎にサンプリングされる。このようなサンプリング間隔は、直流迷走電流の高速変動を精緻に把握する上で有効になる。
【0023】
0.1ms毎にサンプリングされる瞬時値I(t),E(t)は、設定されたサブ単位時間(Sub1,Sub2,Sub3,…)毎の複数値から下記式(1)〜(4)によって評価値(プローブ直流電流密度I
d.c.,プローブ交流電流密度I
a.c.,プローブオン電位E
on,プローブインスタントオフ電位E
off,)を求めることで、保存すべきデータ容量の削減を図っている。なお、下記式において、Aは、プローブ3の表面積であり、E
on(t)は、スイッチ6がオン状態で計測される瞬時値E(t)であり、E
off(t)は、スイッチ6がオフ状態で計測される瞬時値E(t)である。
【0025】
サブ単位時間(Sub1,Sub2,Sub3,…)は、商用交流周波数の1周期(例えば、商用交流周波数が50Hzの場合には、20msであり、商用交流周波数が60Hzの場合には、約16.67ms)とすることが好ましい。これは、直流迷走電流に対する交流誘導の影響を相殺し、プローブ交流電流密度I
a.c.を求めることで、交流腐食対策として別途評価するためである。前述した式(1)〜(4)では、サブ単位時間を20msに設定して、0.1ms毎にサンプリングされる200個の瞬時値(I(1)〜I(200),E
ON(1)〜E(200),E
OFF(1)〜E(200))から各値を求めている。
【0026】
1つの連続した計測時間(例えば、24時間の計測時間)を設定すると、その中に、スイッチ6をオンにした状態で計測するオン時間とスイッチ6をオフにして計測するオフ時間とを組み合わせて単位計測時間(Unit1,Unit2,…,Unit43200)を設定する。図示の例では、単位計測時間を2sに設定し、その中で1.7sをオン時間にし、残りの0.3sをオフ時間にしている。
【0027】
オン時間では、サブ単位時間を複数連ねた単位時間毎に、プローブ直流電流密度I
d.c.の平均値I
d.c.ave,最大値I
d.c.max,最小値I
d.c.min、プローブ交流電流密度I
a.c.の平均値I
a.c.ave,最大値I
a.c.max,最小値I
a.c.min、プローブオン電位E
onの平均値E
onave,最大値E
onmax,最小値E
onminをそれぞれ求める。図示の例では、80個のサブ単位時間を連ねた1.6sの単位時間を設定し、80個のI
d.c.,I
a.c.,E
onから、それぞれ平均値,最大値,最小値を求めている。そして、オフ時間では、その中で1つのサブ単位時間を設定して、インスタントオフ電位E
offを求めている。
【0028】
直流迷走電流の腐食リスクを評価する際には、計測評価対象であるパイプライン1の対電解質電位が防食電位以下であることが前提になる。この前提を確認するにために、単位計測時間毎にオフ時間を設けて、そこでプローブインスタントオフ電位E
offを求めている。スイッチ6のオン状態で計測されるプローブ直流電流密度I
d.c.とスイッチ6のオフ状態で計測されるプローブインスタントオフ電位E
offとを同時に計測することはできないが、単位計測時間を2sと短時間に設定することで、頻繁に変化する状況の中でほぼ同じ時刻で起きている状況に対して、プローブインスタントオフ電位E
offによるIRドロップを除いた正確な対電解質電位の評価と、プローブ直流電流密度I
d.c.による直流迷走電流腐食リスクの評価を行うことが可能になる。
【0029】
各単位計測時間(Unit1,Unit2,…,Unit43200)においては、単位時間1.6sの間は、サブ単位時間(Sub1,Sub2,Sub3,…)毎の瞬時値I(t),E(t)(E
on(t)とE
off(t))のデータは保存されている。そして、各単位計測時間のオン時間で、平均値(I
d.c.ave,I
a.c.ave,E
onave),最大値(I
d.c.max,I
a.c.max,E
onmax),最小値(I
d.c.min,I
a.c.min,E
onmin)を求めた後は、これらの値を保存して、プローブオン電位の最大値E
onmaxを示したサブ単位時間の瞬時値E
on(t)と、プローブ直流電流密度の最小値I
d.c.minを示したサブ単位時間の瞬時値I(t)とを保存し、他の瞬時値データは消去する。
【0030】
そして、計測時間(24h)が終了すると、以下のようにして、パイプライン1の直流迷走電流腐食リスクを評価する。
【0031】
[1]1つの単位計測時間(2s)に設定される単位時間(1.6s)において、プローブ直流電流密度の最小値I
d.c.minと平均値I
d.c.aveが共にマイナス値であった場合には、最小値I
d.c.min×サブ単位時間+平均値I
d.c.ave×(単位時間−サブ単位時間)を単位計測時間(単位時間)毎の評価値として、直流迷走電流腐食リスクを評価する。すなわち、サブ単位時間が20msの場合には、最小値I
d.c.minが20ms続き、平均値I
d.c.aveが1980ms続いたものとして、直流迷走電流腐食リスクを評価する。
【0032】
[2]1つの単位計測時間(2s)に設定される単位時間(1.6s)において、プローブ直流電流密度の最小値I
d.c.minがマイナス値で、平均値I
d.c.aveがプラス値の場合には、最小値I
d.c.min×サブ単位時間を単位計測時間(単位時間)毎の評価値として、直流迷走電流腐食リスクを評価する。すなわち、サブ単位時間が20msの場合には、最小値I
d.c.minが20ms続いたものとして、直流迷走電流腐食リスクを評価する。
【0033】
このような評価方法によると、プローブ3から電解質である土壌Sに流れるアノード電流の状況を短時間の単位計測時間(例えば2s)毎に、精度良く把握することができる。この際、プローブ直流電流密度の最小値I
d.c.minと平均値I
d.c.aveの正負で、アノード電流の状況を把握するので、過剰な瞬時値データの保存を行うこと無く、精緻に状況を把握することができる。また、1つの単位計測時間をプローブ電流密度の最小値I
d.c.minで評価する場合と比較して、過剰なリスク評価を避けることができる。
【0034】
なお、カソード防食されたパイプライン1の防食管理は、ISO 15589-1:2015において、カソード防食基準範囲が維持されているのであれば、直流迷走電流によって誘起されるアノードシフトは許容されると定められている。カソード防食基準範囲の維持は、プローブインスタントオフ電位E
offがカソード防食基準に合格していることを確認することによってなされる。前述した計測方法では、プローブインスタントオフ電位E
offは、短時間の単位計測時間(2s)毎に頻繁に求められており、直流迷走電流による頻繁な状況変化に対して、パイプライン1がカソード防食基準範囲にあるか否かを適正に把握することができる。
【符号の説明】
【0035】
1:埋設金属パイプライン(パイプライン),2:コーティング,
3:プローブ(クーポン),4:照合電極,5:シャント,
6:スイッチ,7:電圧計,S:土壌(電解質)
【要約】
【課題】埋設金属体における直流迷走電流腐食リスクを、過剰でも過小でも無く、適確に評価できる直流迷走電流腐食リスクの計測評価方法を提供する。
【解決手段】プローブ電流を計測することで埋設金属体の直流迷走電流腐食リスクを計測評価する方法であって、サブ単位時間の間に複数計測されるプローブ電流の瞬時値からサブ単位時間毎にプローブ直流電流密度I
d.c.を求め、サブ単位時間を複数連ねた単位時間毎に、プローブ直流電流密度I
d.c.の最小値I
d.c.minと平均値I
d.c.aveを求め、単位時間において、最小値I
d.c.minと平均値I
d.c.aveが共にマイナス値であった場合には、最小値I
d.c.min×サブ単位時間+平均値I
d.c.ave×(単位時間−サブ単位時間)を単位時間毎の評価値とし、単位時間において、最小値I
d.c.minがマイナス値で平均値I
d.c.aveがプラス値の場合には、最小値I
d.c.min×サブ単位時間を単位時間毎の評価値とする。
【選択図】
図2