特許第6338797号(P6338797)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 小野寺 克義の特許一覧

<>
  • 特許6338797-移動式ステージ装置 図000002
  • 特許6338797-移動式ステージ装置 図000003
  • 特許6338797-移動式ステージ装置 図000004
  • 特許6338797-移動式ステージ装置 図000005
  • 特許6338797-移動式ステージ装置 図000006
  • 特許6338797-移動式ステージ装置 図000007
  • 特許6338797-移動式ステージ装置 図000008
  • 特許6338797-移動式ステージ装置 図000009
  • 特許6338797-移動式ステージ装置 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6338797
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】移動式ステージ装置
(51)【国際特許分類】
   B60P 3/00 20060101AFI20180528BHJP
【FI】
   B60P3/00 C
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-6174(P2018-6174)
(22)【出願日】2018年1月18日
【審査請求日】2018年3月19日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517417175
【氏名又は名称】小野寺 克義
(74)【代理人】
【識別番号】100093148
【弁理士】
【氏名又は名称】丸岡 裕作
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 克義
【審査官】 白土 博之
(56)【参考文献】
【文献】 特公平4−50215(JP,B2)
【文献】 実開昭63−147337(JP,U)
【文献】 実公昭28−9504(JP,Y2)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0067829(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 3/00
E04H 3/28
G09F 21/00
G09F 27/00
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷台に出演者が乗ることが可能なステージ面を設けた移動式ステージ装置において、
上記荷台に設置され側壁及び天井壁で囲繞された部屋空間を有した小屋を設け、該小屋の側壁に上記部屋空間と外との間の出入りを行うための出入口を設け、上記小屋の天井壁の上面を上記ステージ面として構成し、上記天井壁に上記部屋空間とステージ面との間の出入りを行うためのハッチを形成し、上記部屋空間に上記ハッチに対する昇降を行うための昇降体を設けたことを特徴とする移動式ステージ装置。
【請求項2】
上記ハッチを上記ステージ面の一端部側に形成し、該ステージ面の一端部側に、上記ハッチの周囲を覆い該ステージ面に乗った出演者の背景となる筒状の衝立を設け、該衝立に上記ハッチと上記ステージ面の他端部側との間の出入りを行うための開口を形成し、該衝立を、上記ステージ面に対して取付け及び取外し可能、且つ、取外し時に上記部屋空間内に収納可能にしたことを特徴とする請求項1記載の移動式ステージ装置。
【請求項3】
上記衝立を、組立及び分解可能にしたことを特徴とする請求項2記載の移動式ステージ装置。
【請求項4】
上記ステージ面の他端部側に、上記衝立とともにステージ面に乗った出演者を囲繞する柵体を設け、該柵体を、上記ステージ面に対して取付け及び取外し可能、且つ、取外し時に上記部屋空間内に収納可能にしたことを特徴とする請求項2または3記載の移動式ステージ装置。
【請求項5】
上記柵体を、組立及び分解可能にしたことを特徴とする請求項4記載の移動式ステージ装置。
【請求項6】
上記天井壁の外縁部に回動可能に設けられ、回動させられて上記天井壁の上面に重なる重畳位置、及び、上記柵体が設けられる位置から外側に突出し表面が上記ステージ面に連続する展開位置の2位置に位置する装飾板を備えたことを特徴とする請求項4または5記載の移動式ステージ装置。
【請求項7】
上記小屋に、上記装飾板の展開位置において該装飾板を裏面側から支承する支承部材を設け、該支承部材を、上記小屋に対して取付け及び取外し可能、且つ、取外し時に上記部屋空間内に収納可能にしたことを特徴とする請求項6記載の移動式ステージ装置。
【請求項8】
上記小屋を、金属パイプを接続して矩形枠状に形成され上記車両の荷台に設置されるフレームを備えて構成し、該フレームの4つの側面のうち必要な側面に上記側壁を設け、上記フレームの上面に上記天井壁を設け、上記フレームの1つの側面に設けられる側壁を、内側壁板及び外側壁板で構成し、上記内側壁板に、上記出入口を形成するとともに該出入口を開閉する開閉戸を設け、上記外側壁板の一側縁部を、該外側壁板が上記内側壁板を覆う閉位置及び該閉位置から約90度開く開位置の2位置に位置可能に該外側壁板に隣接する側壁側に回動可能に設けたことを特徴とする請求項1乃至7何れかに記載の移動式ステージ装置。
【請求項9】
上記部屋空間を形成する側壁の内面に、鏡を付設したことを特徴とする請求項1乃至8何れかに記載の移動式ステージ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、カラオケを含む各種演奏,演劇,演説等を行うことができるステージ面を備え、屋外に簡単に設営できる移動式ステージ装置に係り、特に、車両の荷台にステージ面を設けた移動式ステージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の移動式ステージ装置としては、例えば、特公平4−50215号公報(特許文献1)に掲載されたものが知られている。これは、車両としてのトラックの荷台上に、側壁パネル及び天井パネルをボックス状に設け、使用の際に、運転席側の側壁パネル,これに連続する1つの側壁パネル及びこの側壁パネルに連続し回動させられて上向きに支持された天井パネルをステージの背景となる衝立とし、他の側壁パネルをパネル面が荷台の床面と面一になるように展開して地面に脚体で支持し、この荷台の床面及びこれに連続する側壁パネルのパネル面を出演者が乗ることが可能なステージ面として構成し、このステージ面において、例えば、カラオケを含む各種演奏,演劇,演説等を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平4−50215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の移動式ステージ装置にあっては、荷台の床面及びこれに連続する側壁パネルのパネル面をステージ面としており、車輪があるのである程度の高さはあるが、比較的多数の観衆が集まり易い屋外においてはステージ面に乗った出演者が見えにくくなることがあるという問題があった。特に、小型の車両になるとこれが顕著になる。また、荷台全てをステージ面にするので、出演者の控え室等の部屋が必要な場合には、車両の近くに別途用意しなければならず、そのため、移動ステージ装置の設営条件が限られてしまうという問題もある。
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、ステージ面をより高くして出演者を見え易くするとともに、控え室等として利用できる部屋を設けて利便性の向上を図った移動式ステージ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための本発明の移動式ステージ装置は、車両の荷台に出演者が乗ることが可能なステージ面を設けた移動式ステージ装置において、
上記荷台に設置され側壁及び天井壁で囲繞された部屋空間を有した小屋を設け、該小屋の側壁に上記部屋空間と外との間の出入りを行うための出入口を設け、上記小屋の天井壁の上面を上記ステージ面として構成し、上記天井壁に上記部屋空間とステージ面との間の出入りを行うためのハッチを形成し、上記部屋空間に上記ハッチに対する昇降を行うための昇降体を設けた構成としている。昇降体としては、階段,梯子あるいは電動駆動のリフター等が挙げられる。
【0006】
これにより、出演者がステージ面に登場するときは、先ず、出入口から部屋空間に入り、それから、昇降体で昇ってハッチを通ってステージ面に移動する。そして、このステージ面において、例えば、カラオケを含む各種演奏,演劇,演説等を行う。この場合、小屋は車両の荷台上に設けられ、ステージ面はこの小屋の天井壁の上面で構成されているので、従来に比較して、高さの高い位置にあることから、ステージ面上の出演者を観衆から見え易くすることができる。一方、出演者がステージ面から退場するときは、ハッチを通って、昇降体で部屋空間に降りる。また、小屋には部屋空間があるので、控え室等として利用することができ、それだけ、利便性を向上させることができる。
【0007】
そして、必要に応じ、上記ハッチを上記ステージ面の一端部側に形成し、該ステージ面の一端部側に、上記ハッチの周囲を覆い該ステージ面に乗った出演者の背景となる筒状の衝立を設け、該衝立に上記ハッチと上記ステージ面の他端部側との間の出入りを行うための開口を形成し、該衝立を、上記ステージ面に対して取付け及び取外し可能、且つ、取外し時に上記部屋空間内に収納可能にした構成としている。
【0008】
これにより、本装置を使用しないときや本装置の移動の際には、衝立を部屋空間に収納しておく。そのため、本装置をコンパクトにすることができ、移動を容易にすることができる。本装置を使用するときは、部屋空間から衝立を取出し、ステージ面の一端部側に取付ける。そして、出演者がステージ面に登場するときは、昇降体で昇ってハッチから出て、衝立の開口を通ってステージ面に移動する。この場合、衝立は、ハッチの周囲を覆っているので、ハッチから出てくる出演者が、本装置の周囲の観衆からは見えにくくなっており、そのため、観衆に不快感を与える事態が防止される。また、出演者が衝立の開口からステージ面に登場するので演出的に面白いものになる。一方、出演者がステージ面から退場するときは、衝立の開口を通り、ハッチから昇降体で部屋空間に降りる。この場合も、衝立は、ハッチの周囲を覆っているので、ハッチから降りていく出演者が、本装置の周囲の観衆からは見えにくくなっており、そのため、観衆に不快感を与える事態が防止される。本装置を使用しないときは、衝立をステージ面の一端部側から取外し、部屋空間に収納しておく。
【0009】
この場合、上記衝立を、組立及び分解可能にしたことが有効である。分解して小さくすることができるので、部屋空間に収納し易くすることができる。
【0010】
また、必要に応じ、上記ステージ面の他端部側に、上記衝立とともにステージ面に乗った出演者を囲繞する柵体を設け、該柵体を、上記ステージ面に対して取付け及び取外し可能、且つ、取外し時に上記部屋空間内に収納可能にした構成としている。
これにより、本装置を使用しないときや本装置の移動の際には、衝立とともに柵体を部屋空間に収納しておく。そのため、本装置をコンパクトにすることができ、移動を容易にすることができる。柵体を取付けるときは、部屋空間から柵体を取出し、ステージ面の他端部側に取付ける。柵体を取付けた状態では、柵体は衝立とともにステージ面に乗った出演者を囲繞するので、出演者の安全を図ることができる。本装置を使用しないときは、柵体をステージ面の他端部側から取外し、柵体とともに部屋空間に収納しておく。
【0011】
この場合、上記柵体を、組立及び分解可能にしたことが有効である。分解して小さくすることができるので、部屋空間に収納し易くすることができる。
【0012】
更に、必要に応じ、上記天井壁の外縁部に回動可能に設けられ、回動させられて上記天井壁の上面に重なる重畳位置、及び、上記柵体が設けられる位置から外側に突出し表面が上記ステージ面に連続する展開位置の2位置に位置する装飾板を備えた構成としている。天井壁が矩形の場合、少なくとも矩形の4辺のうち1辺を構成する外縁部に装飾板を設けることが望ましい。好ましくは、4辺のうち2辺を構成する外縁部に装飾板を設ける。より好ましくは、4辺のうち3辺を構成する外縁部に装飾板を設ける。更に好ましくは、4辺のうち4辺全部を構成する外縁部に装飾板を設ける。装飾板に、更に装飾板を回動可能に連設して展開させるようにしても良い。
【0013】
これにより、本装置を使用しないときや本装置の移動の際には、装飾板を、重畳位置に位置させて天井壁の上面に重ねる。そのため、本装置をコンパクトにすることができ、移動を容易にすることができる。本装置を使用するときは、装飾板を展開位置に位置させ、その後、衝立と柵体を取付ける。この状態では、装飾板は、柵体が設けられる位置から外側に突出し表面がステージ面に連続する。そのため、本装置の周囲の観衆から出演者を見たときには、ステージ面が広く見える。特に、車両が小型の、例えば、軽トラックのような場合には、ステージを大きく広く見せることができ、極めて有効になる。また、装飾板の下になる車両側方の地面は、装飾板に覆われることになるので、控えとなる空間として利用できる。本装置を使用しないときは、衝立及び柵体をステージ面から取外し、それから、装飾板を、重畳位置に位置させて天井壁の上面に重ねる。
【0014】
この場合、上記小屋に、上記装飾板の展開位置において該装飾板を裏面側から支承する支承部材を設け、該支承部材を、上記小屋に対して取付け及び取外し可能、且つ、取外し時に上記部屋空間内に収納可能にしたことが有効である。
これにより、本装置を使用しないときや本装置の移動の際には、支承部材を、衝立及び柵体とともに部屋空間に収納しておく。そのため、本装置をコンパクトにすることができ、移動を容易にすることができる。本装置を使用するときは、部屋空間から支承部材を取出し、小屋に対して取付けるとともに装飾板を展開位置に位置させ、その後、衝立と柵体を取付ける。この状態では、装飾板は、支承部材に支承されるので、装飾板の支持が強固になり、安定化させることができる。本装置を使用しないときは、衝立及び柵体をステージ面から取外し、それから、装飾板を、重畳位置に位置させるとともに支承部材を小屋から取外す。支承部材は、衝立及び柵体とともに部屋空間に収納しておく。必要に応じ、支承部材を、組立及び分解可能にすることができる。分解して小さくすることができるので、部屋空間に収納し易くすることができる。
【0015】
また、必要に応じ、上記小屋を、金属パイプを接続して矩形枠状に形成され上記車両の荷台に設置されるフレームを備えて構成し、該フレームの4つの側面のうち必要な側面に上記側壁を設け、上記フレームの上面に上記天井壁を設け、上記フレームの1つの側面に設けられる側壁を、内側壁板及び外側壁板で構成し、上記内側壁板に、上記出入口を形成するとともに該出入口を開閉する開閉戸を設け、上記外側壁板の一側縁部を、該外側壁板が上記内側壁板を覆う閉位置及び該閉位置から約90度開く開位置の2位置に位置可能に該外側壁板に隣接する側壁側に回動可能に設けた構成としている。
【0016】
これにより、本装置を使用しないときや本装置の移動の際には、内側壁板の出入口を開閉戸で閉めておき、外側壁板を閉位置にして閉める。本装置を使用するときには、先ず、外側壁板を開位置にして開く。その後、内側壁板の出入口の開閉戸を開閉して、部屋空間への出入り等を行う。外側壁板の開位置においては、外側壁板の外面のある側からは、出入口を覆って隠すことができ、出演者等の出入り等を見えにくくすることができる。また、外側壁板は約90度開いていることから、外側壁板の外面は、隣接する側壁の外面と面一になって連続することになり、そのため、外側壁板の外面のある側からは、ステージを大きく見せることができる。更に、外側壁板の外面及び隣接する側壁の外面に、広告等の表示をすれば、表示を目立たせることができる等の効果も奏する。
【0017】
更に、必要に応じ、上記部屋空間を形成する側壁の内面に、鏡を付設した構成としている。部屋空間において、出演者を鏡に映してその身だしなみ等を整えることができ、控え室として用いる場合の機能を増すことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ステージ面において、例えば、カラオケを含む各種演奏,演劇,演説等を行うが、小屋は車両の荷台上に設けられ、ステージ面はこの小屋の天井壁の上面で構成されているので、従来に比較して、高さの高い位置にあることから、ステージ面上の出演者を観衆から見え易くすることができる。また、小屋には部屋空間があるので、控え室等として利用することができ、それだけ、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態に係る移動式ステージ装置を使用状態で示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係る移動式ステージ装置を使用状態で示す断面図である。
図3】本発明の実施の形態に係る移動式ステージ装置において、小屋のフレーム及び支承部材を示す分解斜視図である。
図4】本発明の実施の形態に係る移動式ステージ装置を移動させることのできる非使用時の状態で示す斜視図である。
図5】本発明の実施の形態に係る移動式ステージ装置において、支承部材を小屋のフレームに取付けた状態を示す斜視図である。
図6】本発明の実施の形態に係る移動式ステージ装置において、装飾板を展開位置に位置させた状態を示す斜視図である。
図7】本発明の実施の形態に係る移動式ステージ装置において、衝立及び柵体のステージ面に取付ける前の状態を示す分解斜視図である。
図8】本発明の実施の形態に係る移動式ステージ装置をステージ面に衝立及び柵体を取付けた状態で示す斜視図である。
図9】本発明の実施の形態に係る移動式ステージ装置をステージ面に衝立及び柵体を取付けた状態で示す別の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態に係る移動式ステージ装置について詳細に説明する。
図1乃至図9に示すように、実施の形態に係る移動式ステージ装置Sは、軽トラックからなる車両1の荷台2に、例えば、カラオケを含む各種演奏,演劇,演説等を行うことができるステージ面3を備えている。ステージ面3は、出演者が起立して乗ることが可能なスペースを有している。実施の形態では、カラオケ用の装置となっている。車両1は、運転席のあるルーフ4aを有した運転席ボックス4の後側に矩形状の床面5を備えた荷台2を備え、荷台2の側縁及び後縁には側あおり6及び後あおり7が夫々蝶番を介して開閉可能に設けられている。
【0021】
荷台2の床面5には、側壁11及び天井壁12で囲繞された部屋空間Eを有した小屋10が設置される。小屋10は、図2及び図3に示すように、金属パイプPを接続金具Jを介して接続して矩形枠状に形成され車両1の荷台2に設置されるフレーム13を備えて構成されている。フレーム13の幅D,長さLは、荷台2の床面5の幅,長さより僅かに小さくして床面5に載置されるような寸法に設定されている。高さHは、運転席ボックス4のルーフ4aより上に突出し内部に人が少なくとも着座して入ることができるような寸法に設定されている。
【0022】
フレーム13の4つの側面のうち必要な側面に例えば木製の板からなる側壁11がビス等により付設されている。図2に示すように、運転席ボックス4に対面するフレーム13の前側面には側壁11は設けられておらず、運転席ボックス4の後面4bが代用している。フレーム13の前側面に側壁11を設けても良いことは勿論である。フレーム13の下面には床壁は設けられておらず、荷台2の床面5が代用している。床面5にはカーペットを付設することができる。フレーム13の下面に床壁を設けても良いことは勿論である。フレーム13の上面には例えば木製の矩形状の板からなる天井壁12がビス等により付設されている。天井壁12の両側縁,後縁は、平面から見て荷台2からは突出しない。天井壁12の前縁は、平面から見て運転席ボックス4のルーフ4aの上に延びている。
【0023】
フレーム13の1つの側面(実施の形態では後側面)に設けられる側壁11(A)は、内側壁板14及び外側壁板15で構成されている。内側壁板14の中央には、後あおり7を開いた状態で、部屋空間Eと外との間の出入りを行うための出入口16が形成されている。また、出入口16の開口縁には、出入口16を開閉する開き戸型の開閉戸17がヒンジを介して設けられている。更に、外側壁板15の一側縁部15aは、外側壁板15が内側壁板14を覆う閉位置Ra及び閉位置Raから約90度開く開位置Rbの2位置に位置可能に、外側壁板15に隣接する1つの側壁11(B)側にヒンジを介して回動可能に設けられている。側壁11(C)には、扉18で開閉可能な別の出入口19が設けられており、この出入口19からも部屋空間Eに対する出入りができるようにしている。外側壁板15は、後あおり7を閉じた状態で回動できる大きさに形成されている。側壁11の外面には、例えば、「カラオケ○○」等、本装置Sの機能や広告等の表示(図示せず)が付されている。更にまた、部屋空間Eを形成する側壁11の内面には、鏡Mが付設されている。
【0024】
そして、本実施の形態においては、小屋10の天井壁12の上面が、ステージ面3として構成されている。天井壁12には、部屋空間Eとステージ面3との間の出入りを行うための円形の開口であるハッチ20が形成されている。ハッチ20は、ステージ面3の運転席側の一端部側に形成されている。ハッチ20の開口縁には、ハッチ20を開閉する蓋21がヒンジを介して設けられている。また、図1及び図2に示すように、部屋空間Eには、ハッチ20に対する昇降を行うための昇降体である階段23が設けられている。階段23は、上端が天井壁12の下面に固定され、下端が床面5に設置される一対の側面板24と、側面板24間に架設される複数の踏み板25とで形成されている。
【0025】
また、ステージ面3の車両1の運転席ボックス4側の一端部側には、ハッチ20の周囲を覆い、ステージ面3に乗った出演者の背景となる筒状の衝立30が設けられている。衝立30には、ハッチ20とステージ面3の他端部側との間の出入りを行うための開口31が形成されている。この衝立30は、ステージ面3に対して取付け及び取外し可能、且つ、取外し時に部屋空間E内に収納可能に形成されている。また、衝立30は、組立及び分解可能に形成されている。
【0026】
詳しくは、図7に示すように、衝立30は、フレーム13の前側の金属パイプPに、接続金具Jを介して着脱可能に立設される十字状の金属パイプPからなる支柱管32と、この支柱管32にビス等により止着される衝立本体33とを備えている。支柱管32は、縦管32aと、縦管32aに対して接続金具Jを介して着脱可能に設けられる横管32bとからなる。衝立本体33は、ステージ面3の一端部側に立設され支柱管32にビス等により止着される例えば木製の背板34と、背板34の左右に直角にヒンジを介して折り畳み可能に連設される例えば木製の一対の横板35とから構成されている。横板35のステージ面3の他端側の端縁間がハッチ20とステージ面3の他端部側との間の出入りを行うための開口31として構成されている。衝立本体33は、背板34において2分割されており、一方分割体33Aと他方分割体33Bとからなる。
【0027】
また、衝立30は、横板35のステージ面3の他端側の上端間に、ビス等で着脱可能に架設される架設部材36と、架設部材36の表面に着脱可能にビス等で取付けられ開口31の上側の中央を覆う背景板37とを備えている。背景板37には、「カラオケ○○」等、本装置Sの機能や広告等の表示(図示せず)が付されている。また、背景板37を除く開口31には、開口31を開閉可能に塞ぐカーテン(図示せず)を設けることができる。
【0028】
そしてまた、ステージ面3の他端部側には、衝立30とともにステージ面3に乗った出演者を囲繞する柵体40が設けられている。柵体40は、ステージ面3に対して取付け及び取外し可能、且つ、取外し時に部屋空間E内に収納可能に形成されている。また、柵体40は、組立及び分解可能に形成されている。詳しくは、出演者を囲繞するように、接続金具Jを介して着脱可能に連設される複数の金属パイプPからなるコの字型の押え管41と、一端が押え管41の接続金具Jを介して着脱可能に接続されるとともに、他端がフレーム13に接続金具Jを介して接続される金属パイプPからなる複数の脚管42とから構成されている。
【0029】
また、本装置Sにおいては、天井壁12の外縁部に回動可能に設けられ、回動させられて天井壁12の上面に重なる重畳位置X(図4図5)、及び、柵体40が設けられる位置から外側に突出し表面がステージ面3に略面一になって連続する展開位置Y(図1図2図6乃至図9)の2位置に位置する複数(実施の形態では4枚)の例えば木製の矩形状の装飾板50が備えられている。一対の装飾板50(A)(B)は、天井壁12の側壁11(C)側に位置する側縁にヒンジを介して並設されているとともに、装飾板50(C)は天井壁12の後端縁にヒンジを介して設けられている。装飾板50(D)は、後端縁に設けられた装飾板50(C)の側端縁に、展開時に側縁の装飾板50(B)とその表面が連続するように、ヒンジを介して回動可能に設けられている。
【0030】
更に、小屋10には、各装飾板50の展開位置Yにおいて、各装飾板50を裏面側から支承する金属パイプPからなる複数(実施の形態では6本)の支承部材51が設けられている。支承部材51は、図3及び図5に示すように、小屋10のフレーム13に対して取付け及び取外し可能、且つ、取外し時に部屋空間E内に収納可能に形成されている。支承部材51(a)は、フレーム13の上側側縁の金属パイプPに接続金具Jを介して着脱可能に接続され、装飾板50(A)を支承する。支承部材51(b)は、フレーム13の上側側縁の金属パイプPに接続金具Jを介して着脱可能に接続され、装飾板50(B)を支承する。一対の支承部材51(c)(d)は、フレーム13の上側後縁の金属パイプPに接続金具Jを介して着脱可能に接続され、装飾板50(C)を支承する。一対の支承部材51(e)(f)は、一対の支承部材51(c)(d)の金属パイプPに接続金具Jを介して着脱可能に接続され、装飾板50(D)を支承する。一対の支承部材51(c)(d)と一対の支承部材51(e)(f)とは、互いに組立,分解可能になっている。
【0031】
尚、本装置Sはカラオケ用なので、小屋10には、スピーカー60(図9)が設置され、ステージ面3には、図1及び図2に示すように、マイク61が設置されるとともに、モニター32が設置される。スピーカー60,マイク61及びモニター62等は使用しないときや移動の際には、取外されて部屋空間Eに収納される。運転席には、マイク61,スピーカー60及びモニター62に表示する画像データ等を制御する制御装置63が設けられている。
【0032】
従って、この実施の形態に係る移動式ステージ装置Sによれば、図4に示すように、これを使用しないときや移動の際には、衝立30,柵体40,支承部材51を適宜分解して部屋空間Eに収納しておくとともに、装飾板50を、重畳位置Xに位置させて天井壁12の上面に重ねる。衝立30,柵体40及び支承部材51は、分解して小さくすることができるので、部屋空間Eに収納し易くすることができる。そのため、本装置Sをコンパクトにすることができ、移動を容易にすることができる。尚、移動の際には、装飾板50をシートで覆うようにすることが望ましい。また、部屋空間Eには、スピーカー60やマイク61,のぼりや椅子などの備品を収容しておくことができる。
【0033】
本装置Sを使用するときは、外側壁板15を開位置Rbにし、開閉戸17を開けて、衝立30,柵体40,支承部材51を取出す。それから、先ず、図5に示すように、支承部材51を小屋10に対して取付ける。この場合には、支承部材51(a)は、フレーム13の上側側縁の接続金具Jに接続し、支承部材51(b)は、フレーム13の上側側縁の接続金具Jに接続し、一対の支承部材51(c)(d)は、フレーム13の上側後縁の接続金具Jに接続し、一対の支承部材51(e)(f)は、支承部材51の接続金具Jに接続する。
【0034】
次に、図6に示すように、装飾板50を重畳位置Xから回動させて展開位置Yに位置させる。各装飾板50(A)(B)(C)(D)は、対応する支承部材51(a)(b)(c)(d)(e)(f)に支承される。そのため、装飾板50は、支承部材51に支承されるので、装飾板50の支持が強固になり、安定化させることができる。
【0035】
それから、図7に示すように、衝立30及び柵体40を取付ける。衝立30の取付けにおいては、先ず、縦管32aに接続金具Jを介して横管32bを接続して支柱管32を組立てる。支柱管32は、縦管32aをフレーム13の前側の接続金具Jに接続して立設する。次に、衝立本体33の一方分割体33Aの背板34と横板35を開き、その背板34を支柱管32にビス等で取付けるとともに、衝立本体33の他方分割体33Bの背板34と横板35を開き、その背板34を支柱管32にビス等で取付け、衝立本体33を組立てるとともに支柱管32に取付ける。次にまた、横板35のステージ面3の他端側の上端間に架設部材36をビス等で取付ける。最後に、架設部材36に背景板37を取付けるとともに、必要に応じ、背景板37を除く開口31に、カーテンを設ける。これにより、図8及び図9に示すように、衝立30が取付けられる。
【0036】
また、柵体40の取付けにおいては、複数の金属パイプPを接続金具Jを介して接続してコの字型の押え管41に形成するとともに、各接続金具Jに金属パイプPからなる脚管42を接続し、この脚管42をフレーム13の接続金具Jに接続する。これにより、図8及び図9に示すように、柵体40が組み立てられるとともに取付けられる。
【0037】
次に、図1及び図2に示すように、出演者がステージ面3に乗って、演奏する場合について説明する。出演者は、先ず、外側壁板15の出入口16の前に来る。この出入口16の前は、装飾板50の下になっており、装飾板50に覆われることになるので、部屋空間Eに入る前の控えとなる空間として利用できる。それから、出入口16の開閉戸17を開けて、部屋空間Eに入る。部屋空間Eに入る際には、外側壁板15の開位置Rbにおいては、外側壁板15の外面のある側からは、外側壁板15が出入口16を覆って隠すことになるので、出演者等の出入り等を見えにくくすることができる。部屋空間Eは、控え室等として利用することができ、それだけ、利便性を向上させることができる。この部屋空間Eにおいて、登場を待つ。この場合、部屋空間Eを形成する側壁11の内面には鏡Mが付設されているので、出演者を鏡Mに映してその身だしなみ等を整えることができ、控え室として用いる場合の機能を増すことができる。
【0038】
その後、部屋空間Eからステージ面3に登場する。この際には、出演者は、階段23を昇ってハッチ20の蓋21を開け、このハッチ20から出て、衝立30の開口31を通ってステージ面3に移動する。この場合、衝立30は、ハッチ20の周囲を覆っているので、ハッチ20から出てくる出演者が、本装置Sの周囲の観衆からは見えにくくなっており、そのため、観衆に不快感を与える事態が防止される。また、出演者が衝立30の開口31からステージ面3に登場するので演出的に面白いものになる。ステージ面3においては、柵体40が衝立30とともにステージ面3に乗った出演者を囲繞するので、出演者の安全を図ることができる。
【0039】
そして、このステージ面3において、出演者は、例えば、カラオケを歌う。この場合、小屋10は車両1の荷台2上に設けられ、ステージ面3はこの小屋10の天井壁12の上面で構成されているので、従来に比較して、高さの高い位置にあることから、ステージ面3上の出演者を観衆から見やすくすることができる。また、本装置Sにおいては、装飾板50は、柵体40が設けられる位置から外側に突出し表面がステージ面3に略面一になって連続している。そのため、本装置Sの周囲の観衆から出演者を見たときには、ステージ面3が広く見える。特に、車両1が小型の、例えば、軽トラックのような場合には、ステージ面を大きく広く見せることができ、極めて有効になる。
【0040】
また、外側壁板15は約90度開いていることから、外側壁板15の外面は、隣接する側壁11の外面と面一になって連続することになり、そのため、外側壁板15の外面のある側からは、ステージ面を大きく見せることができる。更に、外側壁板15の外面及び隣接する側壁11の外面に、広告等の表示をすれば、表示を目立たせることができる等の効果も奏する。
【0041】
カラオケの演奏が終わったならば、出演者はステージ面3から退場する。この際には、衝立30の開口31を通り、ハッチ20から階段23で部屋空間Eに降りる。この場合も、衝立30は、ハッチ20の周囲を覆っているので、ハッチ20から降りていく出演者が、本装置Sの周囲の観衆からは見えにくくなっており、そのため、観衆に不快感を与える事態が防止される。
【0042】
一方、本装置Sを使用しないときは、上記とは逆に、衝立30及び柵体40をステージ面3から取外し、それから、装飾板50を、重畳位置Xに位置させるとともに支承部材51を小屋10から取外す。衝立30,柵体40及び支承部材51は、適宜分解して部屋空間Eに収納する。分解して小さくすることができるので、部屋空間Eに収納し易くすることができる。
【0043】
尚、上記実施の形態においては、昇降体を階段23で構成したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、梯子や電動駆動のリフター等で構成しても良く適宜変更して差支えない。また、上記実施の形態においては、カラオケ用の装置として説明したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、その他の各種演奏,演劇,演説等を行うことができるようにしても良く、適宜変更して差支えない。更に、上記実施の形態においては、車両1を軽トラックで構成したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、荷台のある車両であればどのような車両でも良いことは勿論である。要するに、本発明は、上述した本発明の実施の形態に限定されず、当業者は、本発明の新規な教示及び効果から実質的に離れることなく、これら例示である実施の形態に多くの変更を加えることが容易であり、これらの多くの変更は本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
S 移動式ステージ装置
1 車両
2 荷台
3 ステージ面
4 運転席ボックス
5 床面
10 小屋
E 部屋空間
11 側壁
12 天井壁
P 金属パイプ
J 接続金具
13 フレーム
14 内側壁板
15 外側壁板
Ra 閉位置
Rb 開位置
16 出入口
17 開閉戸
18 扉
19 出入口
M 鏡
20 ハッチ
21 蓋
23 階段(昇降体)
30 衝立
31 開口
32 支柱管
32a 縦管
32b 横管
33 衝立本体
33A 一方分割体
33B 他方分割体
34 背板
35 横板
36 架設部材
37 背景板
40 柵体
41 押え管
42 脚管
50 装飾板
X 重畳位置
Y 展開位置
51 支承部材
60 スピーカー
61 マイク
62 モニター
63 制御装置
【要約】
【課題】 ステージ面をより高くして出演者を見え易くするとともに、控え室等として利用できる部屋を設けて利便性の向上を図る。
【解決手段】 軽トラックからなる車両1の荷台2に出演者が乗ることが可能なステージ面3を設けたもので、荷台1に設置され側壁11及び天井壁12で囲繞された部屋空間Eを有した小屋10を設け、この小屋10の側壁11に出入口16を設け、小屋10の天井壁12の上面をステージ面3として構成し、天井壁12に部屋空間Eとステージ面3との間の出入りを行うためのハッチ20を形成し、部屋空間Eにハッチ20に対する昇降を行うための階段23を設け、ステージ面3に、ハッチ20の周囲を覆い取付け及び取外し可能な筒状の衝立30及び柵体40を設け、この衝立30に出入りを行うための開口31を形成した。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9