【実施例】
【0025】
「実験例1」
コンクリートにより収縮挙動とひび割れ抵抗性を調べた。下記の5〜40mmの粗骨材と5mm下の細骨材を使用し、単位セメント量330kg/m
3、収縮低減剤4kg/m
3使用した。単位水量175kg/m
3、s/a=43%、空気量4.5±1.5%のコンクリートを調製した。このコンクリートを用いて、長さ変化率を測定し、収縮挙動を比較するとともに、ひび割れ抵抗性も検討した。
【0026】
<使用材料>
セメント:普通ポルトランドセメント、市販品。
収縮低減剤A:電気化学工業社製「エスケーガード」、低分子量アルキレンオキシド共重合体系。
骨材A:ケイ石系の粗骨材と細骨材、真比重2.65。
骨材B:石灰石系の粗骨材と細骨材、真比重2.71。
骨材C:普通セメントクリンカーの粗骨材と細骨材:C
3S58.1%、C
2S18.7%、C
4AF10.0%、C
3A10.2%。CO
2含有量0.3%。炭酸化処理していないもの。5〜40mmと5mm下にそれぞれ粉砕。
骨材D:普通セメントクリンカーの粗骨材と細骨材:C
3S58.1%、C
2S18.7%、C
4AF10.0%、C
3A10.2%。CO
2含有量3.0%。5〜40mmと5mm下にそれぞれ粉砕してから水に浸しながら炭酸化処理したもの。炭酸ガスとしてCO
2濃度10体積%のセメント工場の排ガスを使用。
骨材E:エコセメントクリンカーの粗骨材と細骨材:C
3S64.9%、C
2S5.0%、C
4AF12.7%、C
3A13.3%。CO
2含有量3.0%。5〜40mmと5mm下にそれぞれ粉砕してから水に浸しながら炭酸化処理したもの。炭酸ガスとしてCO
2濃度10体積%のセメント工場の排ガスを使用。
骨材F:低熱セメントクリンカーの粗骨材と細骨材:C
3S28.0%、C
2S58.2%、C
4AF1.5%、C
3A10.5%。CO
2含有量3.0%。5〜40mmと5mm下にそれぞれ粉砕してから水に浸しながら炭酸化処理したもの。炭酸ガスとしてCO
2濃度10体積%のセメント工場のの排ガスを使用。
骨材G:中庸熱セメントクリンカーの粗骨材と細骨材:C
3S43.0%、C
2S39.0%、C
4AF9.0%、C
3A7.0%。CO
2含有量3.0%。5〜40mmと5mm下にそれぞれ粉砕してから水に浸しながら炭酸化処理したもの。炭酸ガスとしてCO
2濃度10体積%のセメント工場の排ガスを使用。
骨材H:早強セメントクリンカーの粗骨材と細骨材:C
3S71.2%、C
2S7.2%、C
4AF10.0%、C
3A8.7%。CO
2含有量3.0%。5〜40mmと5mm下にそれぞれ粉砕してから水に浸しながら炭酸化処理したもの。炭酸ガスとしてCO
2濃度10体積%のセメント工場の排ガスを使用。
骨材I:中庸熱セメントクリンカーの粗骨材と細骨材:C
3S43.0%、C
2S39.0%、C
4AF9.0%、C
3A7.0%。CO
2含有量2.0%。5〜40mmと5mm下にそれぞれ粉砕してから水に浸しながら炭酸化処理したもの。炭酸ガスとしてCO
2濃度10体積%のセメント工場の排ガスを使用。
骨材J:中庸熱セメントクリンカーの粗骨材と細骨材:C
3S43.0%、C
2S39.0%、C
4AF9.0%、C
3A7.0%。CO
2含有量5.0%。5〜40mmと5mm下にそれぞれ粉砕してから水に浸しながら炭酸化処理したもの。炭酸ガスとしてCO
2濃度10体積%のセメント工場の排ガスを使用。
【0027】
<測定方法>
乾燥収縮:JIS A 6202(B)に準じて材齢91日の長さ変化率を測定して評価した。
ひび割れ観察:厚さ100mmで面積50m
2のデッキスラブを造成した。デッキスラブは波型鋼板の上にコンクリートを打設して複合化させたもの。材齢5日までシート養生を行い、その後、シートを取り除いた。材齢91日においてひび割れの発生観察を行った。1m
2当たり、2本を超えてひび割れが発生した場合は×、ひび割れが1〜2本発生した場合は△、ひび割れの発生がない場合は○とした。
スランプロス:18cm±1.0cmで練り上げ、90分後のスランプを測定し、練り上げ直後との差をスランプロスと定義した。ただし、練り上げたコンクリートは静置し、90分後にスコップで練り返してから測定した。
【0028】
【表1】
【0029】
表1より、本発明のコンクリート組成物を用いると、乾燥収縮が小さく、ひび割れ抵抗性も高いことがわかる。また、スランプロスも小さいことがわかる。一方、炭酸化処理していない普通セメントクリンカーの骨材を用いると、ケイ石系や石灰石系の骨材よりも、むしろ、収縮やスランプロスが大きい。
【0030】
「実験例2」
骨材Dを使用し、収縮低減剤の種類と使用量を表2に示すように変化したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表2に併記した。
【0031】
<使用材料>
収縮低減剤b:フローリック社製「ヒビガード」、グリコールエーテル・アミノアルコール誘導体系
収縮低減剤c:太平洋セメント社製「テトラガード」、低級アルコールのアルキレンオキシド付加物系。
【0032】
【表2】
【0033】
表2より、本発明のコンクリート組成物を用いると、乾燥収縮が小さく、ひび割れ抵抗性も高いことがわかる。また、スランプロスも小さいことがわかる。一方、収縮低減剤を配合しないと、デッキスラブコンクリートのようなひび割れやすい構造物ではひび割れが多く発生する。