(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
造影剤投与の前後において被検体を透過したX線を検出することでX線画像の投影データを生成し、造影剤投与後の時系列的な複数のX線画像と、造影剤投与前のX線画像との各差分に基づいて前記被検体に対する時系列的な複数のDSA画像の画像データを生成するX線撮影部と、
前記複数のDSA画像の画像データにおける、前記被検体の同一領域に対応する画素毎の画素値の時間変化に基づいて、画素毎にパラメータ値を取得し、前記パラメータ値に応じた色が画素毎に割り当てられように一のカラー画像の画像データを生成し、前記一のカラー画像の画像データの各画素の色を変換することで、互いに異なる複数の時相にそれぞれ対応する複数の時相画像の各カラー画像データを生成する請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の画像解析装置と
を備えることを特徴とするX線診断装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。なお、各図において同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
<本実施形態の構成>
図1は、本実施形態におけるX線診断装置10の構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、X線診断装置10は、入力部22と、画像解析装置24と、システム制御部26と、投影データ記憶部28と、投影データ生成部30と、X線検出器34と、Cアーム36と、天板38と、絞り装置40と、X線管42と、高電圧発生器44と、絞り制御機構46と、天板移動機構48と、Cアーム動作機構50と、検出器移動機構54とを有する。
【0013】
X線診断装置10の主な特徴は画像解析装置24の機能にあるため、以下、他の構成要素の機能を簡単に説明後、画像解析装置24の機能について詳細に説明する。
天板38上には被検体Pが載置される。
Cアーム36は、X線管42、絞り装置40、X線検出器34を保持するアームである。Cアーム36によって、X線管42及び絞り装置40と、X線検出器34とは、被検体Pを挟んで互いに対向するように配置される。
【0014】
高電圧発生器44は、高電圧を発生して、発生した高電圧をX線管42に供給する。
X線管42は、高電圧発生器44から供給される高電圧を用いてX線を発生する。
絞り装置40は、例えば複数の絞り羽根をスライドさせることで、発生したX線が被検体Pの撮影領域に対して選択的に照射されるように絞り込む。
【0015】
絞り制御機構46は、絞り装置40の絞り羽根の開度を調整することで、X線の照射範囲を制御する。
X線検出器34は、例えばマトリクス状に配列された多数のX線検出素子によって、被検体Pを透過したX線を電気信号に変換して蓄積し、蓄積した電気信号を投影データ生成部30に入力する。
【0016】
投影データ生成部30は、X線検出器34から入力される電気信号を用いて投影データを生成し、生成した投影データを投影データ記憶部28に記憶させる。投影データは例えば、各画素が1つの画素値を有するX線画像の画像データであり、投影データの各画素値は、被検体の撮影領域のX線透過率を反映したものとなる。
【0017】
ここでは一例として、投影データ生成部30は、投影データに基づいてDSA画像の画像データも生成して投影データ記憶部28に記憶させるものとする。
但し、画像解析装置24のDSA画像取得部24aがX線画像の投影データを取得して、DSA画像取得部24aが投影データに基づいてDSA画像の画像データを生成する構成でもよい。
【0018】
入力部22は、操作者が撮影条件や画像表示条件等の各種コマンドを入力するためのキーボード、ボタンなどを有し、入力された内容をシステム制御部26に転送する。
システム制御部26は、撮影条件の設定、撮影動作、表示処理においてX線診断装置10全体を制御する。
【0019】
次に、画像解析装置24の各構成要素について説明する。
画像解析装置24は、システムバスSBと、DSA画像取得部24aと、パラメータ値取得部24bと、カラー割当て部24cと、時相画像生成部24dと、特定処理部24eと、表示部24fとを有する。
【0020】
システムバスSBは、画像解析装置24の各構成要素を互いに電気的に接続する通信配線である。
DSA画像取得部24aは、造影剤投与の前後の同一被検体に対する撮影により得られた時系列的な複数のDSA画像の画像データを投影データ記憶部28から取得する。
【0021】
パラメータ値取得部24bは、各DSA画像の画像データにおける、被検体の同一領域に対応する画素毎の画素値の時間変化に基づいて、パラメトリックイメージング用のパラメータ値を画素毎に取得する(後述の
図2参照)。
【0022】
上記パラメトリックイメージング(Parametric Imaging)とは、例えば、単数又は複数のパラメータをカラー又はグレースケールで画像化する処理である。パラメトリックイメージングは、広義には、投影データ生成部30により生成されるX線画像の投影データも含む。X線画像の投影データの場合、各画素の画素値は、パラメータとしてのX線透過率の値を示すと言えるからである。
【0023】
パラメトリックイメージングは、狭義には、X線画像の投影データを元にして、X線透過率以外のパラメータの値を画素毎に算出し、カラー画像にすることである。本実施形態では、狭義のパラメトリックイメージングについて、
図2以降で説明する。また、以下の説明では、狭義のパラメトリックイメージングにより生成される画像を「パラメトリック画像」と称する。
【0024】
カラー割当て部24cは、パラメータ値に応じた色が被検体Pの同一領域に対応する画素毎に割り当てられように、且つ、複数の画素に有彩色が割り当てられるように、パラメトリック画像の画像データ(カラーマップ)を生成する。パラメトリック画像の画像データは、各画素が例えば赤、緑、青の3原色に対してそれぞれ画素値を有する画像データである。ここでは一例として、一連の時系列的なDSA画像のセットに対して、一のパラメトリック画像の画像データが生成されるものとする。
【0025】
時相画像生成部24dは、一のパラメトリック画像の画素毎に色変換を施すことで、複数の時相にそれぞれ対応する複数の「パラメトリック時相画像」のカラー画像データを生成する。パラメトリック時相画像の詳細については、後述する。また、ここでの複数の時相とは、例えば、パラメトリック画像の生成元の各DSA画像の時相である。
【0026】
特定処理部24eは、手術前後の各パラメトリック画像同士の差分に基づいて、血流量変化領域を特定する。ここでの血流量変化領域とは例えば、血管拡張手術の場合には血流改善領域あり、血管塞栓手術の場合には血流閉塞領域である。
【0027】
表示部(モニタ)24fは、入力部22を介して操作者からコマンドを受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、X線画像などを表示する。また、本実施形態の主な特徴の1つとして、表示部24fは、上記血流量変化領域が識別される複数の時相にそれぞれ対応する複数の画像の各カラー画像データを動画表示する。
【0028】
以下、
図2〜
図6を参照しながら、パラメトリック画像の生成及び血流量変化領域の抽出に至るまでの画像解析装置24の機能について、より詳細に説明する。
図2は、パラメトリック画像の生成過程におけるパラメータ値の取得方法の一例として、造影剤濃度の時間変化の算出方法を示す模式図である。
図2の上段は、各時相のDSA画像を示し、
図2の下段は、一画素に着目した造影剤濃度の時間変化の一例を示す。
【0029】
例えば、X線診断装置10の撮影により、同一の被検体Pの同一の撮影領域に対して、造影剤投与前の時刻t=0、造影剤投与後の時刻t=1,2,3,4,5で順に6のX線画像の投影データが投影データ生成部30により生成される場合を考える。この場合、造影剤投与後の各X線画像から、t=0のX線画像(マスク画像)をそれぞれ差し引くことで、t=1,2,3,4,5にそれぞれ対応する5コマのDSA画像(差分画像)の画像データが得られる(
図2の上段参照)。なお、
図2の上段では、t=1を時相1(Time Phase 1)、t=2を時相2(Time Phase 2)としている(以下同様)。
【0030】
ここで、パラメータ値取得部24bは、5コマのDSA画像を通して、同位置の画素毎に画素値の時相変化(t=1〜5まで)を算出することで、画素毎の造影剤濃度の時間変化を算出する。
図2の下段は、各DSA画像(この例では、画素数5×5)の左下の一画素に着目した造影剤濃度の時間変化の一例を示す。
図2の下段において、縦軸は造影剤濃度(Intensity of Contrast Medium)を示し、横軸は時相(経過時刻t)を示す。
【0031】
より詳細には、造影剤は、X線吸収率が体組織よりも高いので、造影剤濃度が高い位置に対応するX線検出素子の受線量は少なく、造影剤はX線画像において周囲よりも暗く投影される。DSA画像の各画素値は、(造影剤投与前の)マスク画像における同位置の画素値との差分であるから、同位置の一画素に着目し、この画素の画素値の時相変化に符号反転等の適切な処理を施せば、造影剤濃度の時間変化と等価になる。
【0032】
パラメータ値取得部24bは、上記のように算出される造影剤濃度の時間変化に基づいて、各画素に対して例えば以下の3つのパラメータ値の少なくとも1つを取得する。
【0033】
第1には、TTP(Time To Peak)であり、これは、どの時相で造影剤濃度がピークに達するかを示す。上記の左下の一画素の例では、時相3において造影剤濃度がピークに達するため、3というパラメータ値が与えられる。
【0034】
第2には、PH(Peak Height)であり、これは、造影剤濃度のピーク値を示す。上記の左下の一画素の例では、時相3における縦軸の値に該当する。なお、縦軸の値の範囲は、例えばダイナミックレンジに合わせて任意に設定することができる。
【0035】
第3には、AUC(Area Under Curve)であり、これは、DSA画像の最初の時相から最後の時相までの造影剤濃度の時間積分値を示す。上記の左下の一画素の例では、
図2の下段において、右下がりの破線の斜線で示した領域の面積に相当する。
【0036】
パラメータ値取得部24bは、残りの全ての画素についても、同様に造影剤濃度の時間変化を算出することで、上記3つのパラメータ値の少なくとも1つを算出する。
【0037】
図3は、TTPをパラメータとしたパラメトリック画像の生成方法の一例を示す模式図である。
図3の上段は、例えば画素数5×5として、DSA画像の複数コマを通して同位置となる画素毎に算出されたTTPの値の一例を示す。
【0038】
図3の中段は、カラー割当て部24cに記憶されたTTP用のカラーテーブルの一例を示す。
図3では一例として、TTPの値が1の画素には赤色(RED)が割り当てられ、TTPの値が2の画素には黄色(YELLOW)が割り当てられ、TTPの値が3の画素には緑色(GREEN)が割り当てられ、TTPの値が4の画素には青色(BLUE)が割り当てられ、TTPの値が5の画素には紫色(PURPLE)が割り当てられる。
【0039】
カラーの割り当て方法は任意であるが、有彩色が含まれるように割り当てることが望ましい。グレーススケール表示では、血管部分を周囲から識別しづらいからである。上記のカラー割り当ての例では、赤、緑、青の3原色が用いられるが、例えば赤、緑、青の3原色の各値の内、1つの値が常に0となるようにしてもよいし、2つの値が常に0となるようにしてもよい。
【0040】
ここでは便宜上、グレースケールの横方向のバーでカラーテーブルを示すが、実際には有彩色によるカラーバーとしてカラーテーブルを記憶してもよい。或いは、カラー割当て部24cは、所定のビット数表示における赤、緑、青の3原色の各値のセットが各々のTTPの値に対して示されるテーブルデータとして、カラーテーブルを記憶してもよい。例えば8ビットの場合、TTP=1に対しては、赤、緑、青の各値として(255, 0, 0)が割り当てられる。
【0041】
図3の下段は、
図3の上段の各画素のTTPの値と、
図3の中段のカラーテーブルとに従って規定される各画素の色を示す。即ち、各画素の色を
図3下段に示すカラーで表示したものがTTPのパラメトリック画像である。
【0042】
なお、カラー割当て部24cは、AUC用のカラーテーブル、PH用のカラーテーブル等の他のパラメータ用のカラーテーブルも記憶している。上記の例では、TTPをパラメータとしてパラメトリック画像を生成しているが、前述のAUCやPHをパラメータとして、パラメトリック画像を生成してもよい。また、パラメータの種類については、TTP、AUC、PHに限定されるものではなく、例えば、造影剤濃度の時間変化における、ピークまで立ち上がる傾きの平均値をパラメータとしてもよい。
【0043】
以上の
図2、
図3のように、パラメータ値取得部24b、カラー割当て部24cにより、時系列的な複数のDSA画像に対して一のパラメトリック画像が生成される。
次に、本実施形態の特徴の1つとして、時相画像生成部24dは、一のパラメトリック画像から、複数のDSA画像にそれぞれ対応する時相の複数画像のカラー画像データを生成する。以下の説明では、一のパラメトリック画像から生成される時系列的なカラー画像の各々を「パラメトリック時相画像」と称する。
【0044】
図4は、時相画像生成部24dによるパラメトリック時相画像の生成方法の第1の例を段階的に示す模式図である。
図4の最上段は、
図2で示した5フレームの時系列的なDSA画像である。
図4の上段の一例では、各DSA画像を通して左下の一画素の画素値(Pixel Value)は、時相1から時相5まで順に0,179,255,127,26となっており、この中の最大値は時相3の255である。
【0045】
これらの画素値を最大値に基づいて正規化すると、時相1から順に0%、75%,100%,50%,10%となる(
図4の上から2番目参照)。ここで、前述の例では、TTPをパラメータとするパラメトリック画像において左下の画素に割り当たられた色は、緑(GREEN)である(
図4の上から3番目参照)。
【0046】
ここでは一例として、時相画像生成部24dは、パラメトリック画像の左下の画素の色に対して、DSA画像における同位置の画素の正規化された各画素値に応じた色変換を施す。
【0047】
即ち、パラメトリック画像の左下の画素の色に対し、彩度が0%(時相1のDSA画像における左下の画素の正規化画素値)になるように公知の色変換処理が施され、この色変換後の色が、時相1のパラメトリック時相画像の左下の画素の色となる。
【0048】
同様に、パラメトリック画像の左下の画素の色に対し、彩度が75%(時相2のDSA画像における当該画素の正規化画素値)になるように色変換が施され、この色変換後の色が、時相2のパラメトリック時相画像の左下の画素の色となる。
【0049】
同様に、パラメトリック画像の左下の画素の色に対し、彩度が100%(時相3のDSA画像における当該画素の正規化画素値)になるように色変換が施され、この色変換後の色が、時相3のパラメトリック時相画像の左下の画素の色となる。
【0050】
同様に、パラメトリック画像の左下の画素の色に対し、彩度が50%(時相4のDSA画像における当該画素の正規化画素値)になるように公知の色変換処理が施され、色変換後の色が、時相4のパラメトリック時相画像の左下の画素の色となる。
【0051】
同様に、パラメトリック画像の左下の画素の色に対し、彩度が10%(時相5のDSA画像における当該画素の正規化画素値)になるように色変換が施され、この色変換後の色が、時相5のパラメトリック時相画像の左下の画素の色となる。
【0052】
なお、上記の例では、パラメトリック画像の左下の画素の色は、8ビットでの3原色の各値が赤0, 緑255, 青0で示され、元々彩度100%であるため、時相3のパラメトリック時相画像の左下の画素は、パラメトリック画像の左下の画素と同じ色になる。
【0053】
これにより、時相1〜時相5の各パラメトリック時相画像における、左下の画素の色が決まる。他の画素についても、上記同様の色変換処理を施すことで、時相1〜時相5の各パラメトリック時相画像の全画素の色が決まる。時相画像生成部24dは、このようにして、時相1〜時相5の各パラメトリック時相画像のカラー画像データを生成する。
【0054】
なお、時相画像生成部24dは、彩度の代わりに、明度を上記同様に変えることで、時相1〜時相5の各パラメトリック時相画像を生成してもよい。即ち、パラメトリック画像の左下の画素の色に対し、彩度が0%,75%,100%,50%,10%になるように色変換がそれぞれ施され、この色変換後の各色が、時相1〜時相5の各パラメトリック時相画像の左下の画素の色となる。
【0055】
また、時相画像生成部24dは、彩度の代わりに、透過度を上記同様に変えることで、時相1〜時相5の各パラメトリック時相画像を生成してもよい。
【0056】
以上、TTPをパラメータ値とするパラメトリック画像(カラーマップ)から、各DSA画像における同位置の画素の正規化画素値に応じて彩度、明度、透過度のいずれか1つが変化するように色変換を施すことで、時相1〜時相5の各パラメトリック時相画像を生成する例を述べた。本発明の実施形態は、かかる態様に限定されるものではない。
【0057】
時系列的な複数のDSA画像における同位置の画素値の時間変化から、前述のAUCをパラメータ値として得られるパラメトリック画像(カラーマップ)を用いて、上記同様に時相1〜時相5の各パラメトリック時相画像を生成してもよい。
【0058】
或いは、時系列的な複数のDSA画像における同位置の画素値の時間変化から、前述のPHをパラメータ値として得られるパラメトリック画像(カラーマップ)を用いて、上記同様に時相1〜時相5の各パラメトリック時相画像を生成してもよい。
【0059】
何をパラメータとしてパラメトリック画像を生成するかで3通りあり、彩度、明度、透過度のどれが変わるように色変換するかで3通りある場合、
図4の手法では、少なくとも、3×3=9通りのパラメトリック時相画像の生成方法がある。
【0060】
但し、前述のように、何をパラメータとしてパラメトリック画像を生成するかは、TTP、AUC、PHの他にも、造影剤濃度の時間変化曲線における立ち上がりの傾き等がある。また、彩度、明度、透過度のいずれか2つが変化するように、各DSA画像における同位置の画素の正規化画素値に応じて色変換を実行してもよい。或いは、彩度、明度、透過度の3つが変化するように、各DSA画像における同位置の画素の正規化画素値に応じて色変換を実行してもよい。
【0061】
これらを加味すると、
図4の手法では、パラメトリック時相画像の生成方法は、20通り以上ある。
このように生成される各パラメトリック時相画像を時相1から時相5まで時系列順に表示することで、動画像のように表示することができる。
【0062】
図5は、時相画像生成部24dによるパラメトリック時相画像の生成方法の第2の例を段階的に示す模式図である。
図4と同様に、
図5の上段に示す5フレームの時系列的な各DSA画像を通して左下の一画素に着目して説明する。
左下の画素は、TTPが3であるから、
図5の中段に示すように、時相3においてのみハイコントラスト画素となるように表示される。ここでのハイコントラスト画素とは、ある時相のパラメトリック時相画像内において、明度を上げて表示される画素である。
【0063】
即ち、時相1、2、4、5の4つのパラメトリック時相画像において、左下の画素は、ハイコントラスト画素には該当しないから、明度を落として表示される。より詳細には、時相1、2、4、5の各パラメトリック時相画像における左下の画素の色は、パラメトリック画像(カラーマップ)で割り当てられた緑色に対して明度が下がるように色変換処理が施された色となる。明度の下げ方については、一律的に同じ明度としてもよいし、正規化された画素値(
図4の上から2段目に参照)が低い程、明度が下がるようにしてもよい。
【0064】
一方、時相3のパラメトリック時相画像における左下の画素の色は、パラメトリック画像(カラーマップ)で割り当てられた緑色に対して明度が上がるように色変換処理が施された色となる。これにより、時相1〜5の各パラメトリック時相画像における左下の画素の色がそれぞれ決まる。
図5の下段に示すように、時相画像生成部24dは、他の画素についても、同様の色変換処理を施すことで、時相1〜5の各パラメトリック時相画像の全画素の色を算出する。
【0065】
このようにハイコントラスト画素は明るく、それ以外の画素は暗くして時系列順にパラメトリック時相画像を表示すれば、動画像のように見せることができる。即ち、TTPを反映した色合いとして算出される時系列順のパラメトリック時相画像は、造影剤の到達時間情報を反映した動画像となる。
【0066】
なお、以上の説明では簡単化のため、DSA画像、パラメトリック画像、パラメトリック時相画像の画素数が25の例を述べたが、これらの画素数は26以上でもよいし、24以下でもよい。また、DSA画像、パラメトリック画像、パラメトリック時相画像の3者で縦横の画素数が同一である必要はない。DSA画像の画素数が極めて多い場合、パラメトリック画像、及び、パラメトリック時相画像の画素数は、例えば、DSA画像の画素数を縦方向に半分、横方向に半分に間引いてもよい。
また、以上の説明では簡単化のため、5時相の例で説明したが、時相は6以上でもよい。
【0067】
図6は、血管拡張手術等の後における、特定処理部24eによる血流改善領域の判定方法を段階的に示す模式図である。前述の例と同様に、手術前において、被検体Pの同一の撮影領域から5フレームの手術前DSA画像1、2、3、4、5が生成され、手術後において同様に、手術前と同一の被検体Pの同一の撮影領域から5フレームの手術後DSA画像1’、2’、3’、4’、5’が生成された場合を考える。
【0068】
この場合、パラメータ値取得部24b及びカラー割当て部24cは、前述と同様にして、手術前DSA画像1〜5からPHをパラメータとして、手術前パラメトリック画像を1つ生成する(
図6の上段の左側参照)。同様に、パラメータ値取得部24b及びカラー割当て部24cは、手術後DSA画像1’〜5’からPHをパラメータとして、手術後のパラメトリック画像を1つ生成する(
図6の上段の右側参照)。
【0069】
次に、特定処理部24eは、手術前後で同位置に該当する画素同士で、手術後のパラメトリック画像の各画素値から、手術前のパラメトリック画像の各画素値を差し引くことで、差分画像を生成する。特定処理部24eは、この差分画像において、画素値が閾値以上の画素領域を血流改善領域として抽出する(
図6の中段参照)。
【0070】
なお、PHの代わりに、AUCをパラメータとして手術前、手術後の各パラメトリック画像を生成し、同様に差分画像に閾値処理を施すことでも、血流改善領域を抽出(算出)できる。
【0071】
さらに、特定処理部24eは、血流改善領域内の血管の輪郭(血管壁)が強調された血管壁強調画像データを生成する。具体的には例えば、特定処理部24eは、上記の差分画像において抽出した血流改善領域に対してラプラシアンフィルターなどの輪郭強調処理を適用することで、血管壁強調画像データを生成できる(
図6の下段参照)。
【0072】
一方、血管塞栓手術等の後における血流閉塞領域は、差分画像生成時の引かれる側を逆にすることを除き、同様に判定される。即ち、特定処理部24eは、手術前のパラメトリック画像の各画素値から、手術後パラメトリック画像の各画素値を差し引くことで差分画像を生成し、この差分画像において画素値が閾値以上の画素領域を血流閉塞領域として算出する。
【0073】
<本実施形態の表示方式>
図7は、パラメトリック時相画像の動画表示において、血流改善領域を枠で囲うことで識別表示する一例を示す模式図である。ここでは一例として、表示部24fの画面左側において手術前のDSA画像の各時相にそれぞれ対応する各パラメトリック時相画像が時系列順に表示され、画面右側において手術後のDSA画像の各時相にそれぞれ対応する各パラメトリック時相画像が時系列順に表示される。この点、以下の
図8〜
図10も同様である。
【0074】
図7に示すように、表示部24fは、手術前、手術後の双方のパラメトリック時相画像の動画表示において、特定処理部24eにより抽出された血流改善領域を長方形の枠で囲われた関心領域(ROI: Region of Interest)300として識別表示することができる。
【0075】
なお、
図7では煩雑となるので時相3までを図示しているが、実際には時相4以降も表示される(以下の
図8〜
図10も同様)。また、対比のために、手術前のパラメトリック時相画像も動画表示しているが、血流改善領域を識別しつつ手術後のパラメトリック時相画像のみを表示してもよい(以下の
図8〜
図10も同様)。
【0076】
また、
図7では、手術前の動画像に対しても、手術後の血流改善領域と同一の画素領域を枠で囲って識別表示しているが、次の
図8のように、手術後の動画像においてのみ、血流改善領域を識別表示してもよい。
【0077】
図8は、パラメトリック時相画像の動画表示において、血流改善領域を点滅させることで識別表示する一例を示す模式図である。
図8の例では、表示部24fは、血流改善領域を点滅表示させることで、関心領域300として識別表示する。点滅表示(BLINKING DISPLAY)に際しては、例えば、関心領域300の画素の明度を断続的に上げ下げすればよい。或いは、時相数が十分多い場合には、
図8の例のように、偶数の時相でのみ、関心領域300の明度を下げて表示すればよい。
【0078】
図9は、パラメトリック時相画像の動画表示において、特定処理部24eにより抽出される血管壁の強調表示の一例を示す模式図である。
図9に示すように、表示部24fは、手術後の各パラメトリック時相画像において、枠で囲う等によって関心領域(血流改善領域)300を識別表示しつつ、特定処理部24eにより抽出された血管壁を関心領域300内で例えば太線により強調表示することができる。
【0079】
図10は、パラメトリック時相画像の動画表示において、血流改善領域のみをDSA画像によりグレースケールの動画で表示しつつ、残りの領域をパラメトリック時相画像によりカラー表示する一例を示す模式図である。上述のように、複数のDSA画像の各時相に対応して複数のパラメトリック時相画像が生成される場合、表示部24fは、パラメトリック時相画像の動画表示において、関心領域(血流改善領域)300のみを同時相のDSA画像の同一領域に置換して表示できる。
【0080】
より詳細には、パラメトリック時相画像では各画素が例えば赤、青、緑の3原色の画素値をそれぞれ有するが、DSA画像の各画素は一の画素値のみを有する。DSA画像の各画素値は、造影剤投与後のある時相の画素値と、マスク画像の画素値とのX線透過率の差分に相当するからである。従って、DSA画像の画素値により表示される関心領域300は、有彩色のデータがないので、グレースケール表示となる。但し、残りの領域がカラー表示されるため、グレースケールで表示される関心領域300のみが識別的表示態様となる。
【0081】
なお、
図7〜
図10では便宜上、グレースケールの模式図で示したが、各パラメトリック時相画像はカラーの画像データであるため、実際には
図10の関心領域300を除いてカラー表示される。
また、
図7〜
図10では血流改善領域を識別表示する例を述べたが、血管塞栓手術後における血流閉塞領域を識別表示する場合も、
図7〜
図10と同様の表示態様を適用することができる。
【0082】
<本実施形態の動作説明>
図11は、血管拡張手術の前後において、本実施形態のX線診断装置10により造影剤投与を伴った撮影及び血流改善領域の表示が行われる場合の動作の一例を示すフローチャートである。以下、前述の各図を適宜参照しながら、
図11に示すフローチャートのステップ番号に従って、X線診断装置10の動作を説明する。
【0083】
[ステップS1]血管拡張手術前において、被検体Pの同一領域に対して、公知の動作により時系列的な複数のX線画像の投影データが生成される。具体的には、システム制御部26(
図1参照)は、入力部22を介して入力された撮影領域、管電流、管電圧、X線パルス幅等の一部の撮影条件に基づいて、造影剤投与の前後における各時相での全撮影条件を設定する。高電圧発生器44は、システム制御部26の制御に従って高電圧をX線管42に供給し、X線管42はX線を発生し、絞り装置40によって被検体Pに対するX線照射範囲が制御される。
【0084】
X線検出器34は、被検体Pを透過したX線を検出して電気信号に変換し、これを投影データ生成部30に入力する。投影データ生成部30は、入力された電気信号からX線画像の投影データを生成して、投影データ記憶部28に記憶させる。このようにして、造影剤投与の前後において、各画素の輝度がX線検出器34のX線検出素子(図示せず)毎の受線量に応じた輝度となるように、被検体Pの同一領域に対して多時相の投影データが生成される。
【0085】
なお、造影剤投与後のX線画像は複数の時相に対応するように複数必要であるが、造影剤投与前のX線画像は1つのみでもよい。
さらに、投影データ生成部30は、投影データに基づいて、被検体の同一領域に対する時系列的な複数のDSA画像の画像データを生成し、これらDSA画像の画像データを投影データ記憶部28に記憶させる。この後、ステップS2に進む。
【0086】
[ステップS2]画像解析装置24のDSA画像取得部24aは、上記の時系列的な複数のDSA画像の画像データを投影データ記憶部28から取得する。パラメータ値取得部24bは、時系列的な複数のDSA画像の画像データから、パラメータ値を同位置の画素毎に算出する(
図2参照)。なお、TTP,PH,AUC等の内のどれをパラメータ値として用いるかについては、ステップS1で入力部22を介して選択される構成としてもよいし、パラメータ値取得部24bが自動決定する構成でもよい。
【0087】
次に、カラー割当て部24cは、前述の手順により、時系列的な複数のDSA画像に対して一のパラメトリック画像の画像データを生成する(
図3参照)。
【0088】
次に、時相画像生成部24dは、前述の手順により、時系列的な複数のDSA画像にそれぞれ対応する時相の複数のパラメトリック時相画像の画像データを生成する。この生成方法については、
図4で説明した第1の方法でも、
図5で説明した第2の方法でもよい。この後、ステップS3に進む。
【0089】
[ステップS3]血管拡張手術後において、ステップS1と同様にして、ステップS1と同一の被検体Pの同一の撮影領域に対して時系列的なX線画像が生成される。これにより、造影剤投与前後において、被検体Pの同一領域に対して多時相の投影データが生成される。さらに、投影データ生成部30は、前述同様に、被検体の同一領域に対する時系列的な複数のDSA画像の画像データを生成し、これら画像データを投影データ記憶部28に記憶させる。この後、ステップS4に進む。
【0090】
[ステップS4]ステップS3と同様にして、画像解析装置24により、手術後における、時系列的な複数のDSA画像にそれぞれ対応する時相の複数のパラメトリック時相画像の画像データが生成される。この後、ステップS5に進む。
【0091】
[ステップS5]画像解析装置24の特定処理部24fは、手術後のパラメトリック画像の各画素値から、手術前パラメトリック画像の各画素値を差し引くことで差分画像を生成し、差分画像において、画素値が閾値以上の画素領域を血流改善領域として抽出する(
図6参照)。また、特定処理部24eは、前述のように、血流改善領域内の血管壁が強調された血管壁強調画像データを生成する。この後、ステップS6に進む。
【0092】
[ステップS6]画像解析装置24の表示部24fは、ステップS5で抽出された血流改善領域を識別態様にしつつ、手術後のパラメトリック時相画像を時系列的に表示する。即ち、動画表示される。このとき、
図7〜
図10のように、対比のために、手術前のパラメトリック時相画像を画面片側に、手術後のパラメトリック時相画像を画面の反対側に表示してもよい。
【0093】
また、関心領域(血流改善領域)300を識別表示については、
図7のように長方形の枠で囲ってもよいし、
図8のように点滅表示させてもよいし、
図9のように血管壁を関心領域300内で強調表示してもよい。或いは、
図10のように、血流改善領域のみをDSA画像によりグレースケールの動画で表示しつつ、残りの領域をパラメトリック時相画像によりカラー表示してもよい。以上が
図11のフローの説明である。
【0094】
図12は、血管塞栓手術の前後において、本実施形態のX線診断装置10により造影剤投与を伴った撮影及び血流閉塞領域の表示が行われる場合の動作の一例を示すフローチャートである。前述の各図を適宜参照しながら、
図12に示すフローチャートのステップ番号に従って、X線診断装置10の動作を説明する。
【0095】
[ステップS11]血管塞栓手術前において、
図11のステップS1と同様に、被検体Pの同一の撮影領域に対して造影剤投与前後の時系列的な複数のX線画像の投影データ及びDSA画像の画像データが生成される。この後、ステップS12に進む。
【0096】
[ステップS12]
図11のステップS2と同様にして、画像解析装置24は、手術前の各時相のパラメトリック時相画像の画像データを生成する。この後、ステップS13に進む。
【0097】
[ステップS13]血管塞栓手術後において、前述同様に、ステップS11と同一の被検体Pの同一の撮影領域に対して造影剤投与前後の時系列的な複数のX線画像の投影データ及びDSA画像の画像データが生成される。この後、ステップS14に進む。
【0098】
[ステップS14]前述同様に、画像解析装置24により、手術後における各時相のパラメトリック時相画像の画像データが生成される。この後、ステップS15に進む。
【0099】
[ステップS15]特定処理部24fは、手術前のパラメトリック画像の各画素値から、手術後のパラメトリック画像の各画素値を差し引くことで差分画像を生成し、差分画像において、画素値が閾値以上の画素領域を血流閉塞領域として抽出する。この後、ステップS16に進む。なお、
図12のフローでは、手術の効果は血流閉塞なので、抽出された関心領域(血流閉塞領域)に対する血管壁強調の処理は実行されない。
【0100】
[ステップS16]表示部24fは、前述の
図7、
図8、
図10と同様にして、ステップS15で抽出された血流閉塞領域を識別態様にしつつ、手術後のパラメトリック時相画像を時系列的に表示する。
以上が本実施形態のX線診断装置10の動作説明である。
【0101】
<本実施形態の効果>
従来技術では、手術前又は手術後にパラメトリック画像が1つ生成され、パラメトリック画像は静止画表示されていた。静止画表示では、手術の効果である血流改善領域又は血流改善領域の目視による判別は、必ずしも容易ではなかった。
【0102】
そこで本実施形態では、1のパラメトリック画像から、画素値の時間変化に応じて、複数の時相のDSA画像にそれぞれ対応する複数の時相のパラメトリック時相画像がそれぞれ生成される。そして、手術前、手術後のパラメトリック時相画像がそれぞれ動画表示されるので、血流量変化領域を従来よりも目視で判別し易くなる。
【0103】
さらに本実施形態では、手術前のパラメトリック画像と、手術後のパラメトリック画像との差分画像に基づいて血流改善領域又は血流閉塞領域が自動抽出される。この抽出された血流改善領域又は血流閉塞領域は、パラメトリック時相画像の動画表示において、例えば
図7〜
図10のような手法で識別表示される。従って、読影者は、手術の効果である血流改善領域又は血流改善領域を目視で容易に判別できる。
【0104】
以上の画期的且つ新規な構成により、手術前と手術後との差異が僅かであっても、上記識別表示の効果により、読影者の見落としが少なくなる。従って、パラメトリック画像の静止画表示や、DSA画像の動画表示、DSA画像の各時相の静止画表示等を切り替えながら、僅かな差異を発見するといった従来の作業負担はなくなる。この結果、ユーザの利便性は大いに向上する。
【0105】
<本実施形態の補足事項>
[1]X線診断装置10内の一構成要素として画像解析装置24が配置される例を述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。画像解析装置24は、X線CT装置(X-Ray Computed Tomography Apparatus)や磁気共鳴イメージング装置などの他のモダリティ内に配置されてもよい。
【0106】
或いは、画像解析装置24が画像保管通信システム(PACS: Picture Archiving and Communication Systems)に接続された画像解析サーバとして機能する態様でもよい。上記画像保管通信システムは、X線診断装置などのモダリティにより得られた画像データを画像保管サーバに保存し、参照端末において必要な画像を呼び出して表示するシステムである。この場合、画像解析装置24は、画像保管通信システムを介して、同一の被検体Pに対する時系列的な複数のDSA画像を取得し、上記実施形態と同様に血流量変化領域を識別態様にしつつ、パラメトリック時相画像を動画表示してもよい。
【0107】
[2]上記実施形態では、取得される全てのDSA画像の各時相にそれぞれ対応するパラメトリック時相画像を生成し、生成した全てのパラメトリック時相画像を時系列順に表示する例を述べた。DSA画像の全時相にそれぞれ対応するようにパラメトリック時相画像を生成する必要はない。
【0108】
取得されるDSA画像の数が多い場合、即ち、DSA画像の時相数が多い場合、動画として自然に見える程度に、パラメトリック時相画像の時相数を間引いてもよい。例えば100時相のDSA画像を取得した場合、偶数の時相のDSA画像のみを用いて50のパラメトリック時相画像を生成し、時系列順に表示してもよい。
【0109】
[3]上記実施形態では、造影剤投与前後の撮影で得られる時系列的な2次元の画像データに基づいて時系列的な複数のDSA画像が生成され、これらDSA画像にそれぞれ対応する複数のパラメトリック画像が生成されて2次元的に動画表示される例を述べた。本発明の実施形態は、かかる態様に限定されるものではない。
【0110】
例えば、X線CT装置での撮影や磁気共鳴イメージング装置での撮像のように、ボリュームデータが時系列的に得られる場合、時系列的な複数のパラメトリック画像(の視差画像)を裸眼式3次元表示装置で動画表示してもよい。この場合、表示部24fは裸眼式3次元表示装置として構成され、各撮影時刻に対応する一のパラメトリック時相画像に対して複数の視差画像の画像データが生成される。
【0111】
具体的には、ボリュームデータの例えば中央の断面の各画素値に基づいて上記のように時系列的なパラメトリック時相画像1〜5を生成する(前述のように、フレーム数は5に限定されるものではない)。そして、ボリュームデータの全断面の画素値に基づいて奥行き情報を算出し、奥行き情報に基づいて、複数の時相のパラメトリック時相画像のそれぞれに対して複数の視差画像を生成する。
【0112】
各時相(時刻)に対して複数の視差画像が生成されれば、裸眼式3次元表示装置により、パラメトリック時相画像を立体的に動画表示することができる。視差画像の生成方法や、裸眼式の3次元画像表示装置については、例えば特開2007−94022号公報などに記載の従来技術を用いればよい。
【0113】
[4]上記実施形態では、手術によって血流が改善又は閉塞した領域が自動抽出され、パラメトリック時相画像の動画表示において血流改善領域又は血流閉塞領域が識別的態様で表示される例を述べた。本発明の実施形態は、かかる態様に限定されるものではない。血流改善領域又は血流閉塞領域の抽出処理は必須ではなく、単にパラメトリック時相画像を動画表示してもよい。
【0114】
動画表示に際しては、例えば、各時相のDSA画像と共に表示してもよい。具体的には例えば、表示部24fの画面の右側ではDSA画像を時系列順に表示し、画面左側では、画面右側に表示されているDSA画像に対応する時相のパラメトリック時相画像を追従して表示してもよい。画面左側におけるパラメトリック時相画像の動画表示に際しては、手術前の画像との差分によって上記実施形態のように抽出される血流改善領域又は血流閉塞領域を識別表示することが好ましい。
【0115】
或いは、手術後のDSA画像、パラメトリック画像、パラメトリック時相画像を共に表示してもよい。例えば、画面上段において上記同様に手術後の各DSA画像を時系列順に表示し、画面中段において上記同様にパラメトリック時相画像を時系列順に表示し、画面下段において手術後の一のパラメトリック画像を静止画表示してもよい。
【0116】
[5]請求項の用語と実施形態との対応関係を説明する。なお、以下に示す対応関係は、参考のために示した一解釈であり、本発明を限定するものではない。
カラー割当て部24cにより生成されるパラメトリック画像の画像データは、請求項記載のカラーマップの一例である。
【0117】
時相画像生成部24dにより生成されるパラメトリック時相画像の画像データは、請求項記載の時相画像のカラー画像データの一例である。
【0118】
特定処理部24eにより生成される手術前のパラメトリック画像と、手術後のパラメトリック画像との差分画像は、請求項記載の差分マップの一例である。
特定処理部24eにより抽出される血流改善領域及び血流閉塞領域は、請求項記載の血流量変化領域の一例である。
【0119】
被検体Pに対するX線撮影を実行することでX線画像の投影データ及びDSA画像の画像データを生成するシステム制御部26、投影データ記憶部28、投影データ生成部30、X線検出器34、Cアーム36、天板38、絞り装置40、X線管42、高電圧発生器44、絞り制御機構46、天板移動機構48、Cアーム動作機構50、検出器移動機構54は、請求項記載のX線撮影部の一例である。
【0120】
[6]本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。