(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6338891
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】重機で動作するふるいスクリーンバケット
(51)【国際特許分類】
E02F 3/40 20060101AFI20180528BHJP
B07B 1/12 20060101ALI20180528BHJP
B07B 1/46 20060101ALI20180528BHJP
B07B 1/50 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
E02F3/40 Z
E02F3/40 B
B07B1/12 Z
B07B1/46 B
B07B1/50
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-46532(P2014-46532)
(22)【出願日】2014年3月10日
(65)【公開番号】特開2014-177862(P2014-177862A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2017年1月23日
(31)【優先権主張番号】20135247
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】510000415
【氏名又は名称】アッリゥ フィンランド オイ
【氏名又は名称原語表記】Allu Finland Oy
(74)【代理人】
【識別番号】110000039
【氏名又は名称】特許業務法人アイ・ピー・ウィン
(72)【発明者】
【氏名】マルック ヨンニネン
(72)【発明者】
【氏名】アンッティ ラウタミエス
【審査官】
石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−087710(JP,A)
【文献】
特開平09−010692(JP,A)
【文献】
特開2003−326189(JP,A)
【文献】
実開昭53−071258(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0192424(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/40
B07B 1/00−15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重機で動作するふるいスクリーンバケットであって、
スクリーニング面(2)を確立する、互いに離間した複数のスクリーニングプレート(3)を備え、前記スクリーニング面(2)にはスクリーニングスロットが設けられ、前記スクリーニング面(2)の上には、選別される材料を置くことができ、
前記ふるいスクリーンバケットが、さらに、
前記スクリーニング面の下の回転可能なシャフト(4)と、
前記シャフト(4)から突出し、前記スクリーニングスロットを通って、前記スクリーニング面(2)の上に延出するブレード(5)と、
締結プレートと、
を備え、
前記ブレード(5)が、それらの丸みを帯びた先端に向かってくさび状に先細りになっており、
前記締結プレート(7)、前記ブレード(5)、およびベアリング(8)によって前記締結プレート(7)に固定された前記シャフト(4)とはカートリッジユニットを構成し、
前記カートリッジユニットは、前記締結プレート(7)を、プレートの面の方向に前記バケットのフレームプレート(10)の収容開口部内に押し込むことによって、前記バケット(1)の後側から、単一の要素として設置することができる、ふるいスクリーンバケット。
【請求項2】
前記ブレード(5)の側縁部が、実質的に直線状であり、これらの間の角度が、20〜28度の範囲である、請求項1に記載のふるいスクリーンバケット。
【請求項3】
前記ブレードの間の前記スロットが、前記スクリーニングプレート(3)の厚さより、摺動のための隙間分だけ大きく、前記スクリーニングプレート(3)が、ブレード(5)の間の空間内に延在する、請求項1または2に記載のふるいスクリーンバケット。
【請求項4】
前記シャフト(4)の前記ベアリング(8)は、前記締結プレート(7)の外側に取り付けられ、前記締結プレート(7)は、駆動エンクロージャ(11)の内壁を構成する、請求項1に記載のふるいスクリーンバケット。
【請求項5】
最も外側の前記スクリーニングプレート(3’)は、前記締結プレート(7)のシャフト貫通部に近傍の前記シャフト(4)の下に深く延び、これにより、泥土が前記シャフト貫通部を通じて前記ベアリング(8)へ侵入することを妨げる泥除けを確立する、請求項4に記載のふるいスクリーンバケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
スクリーニングスロットが設けられ、スクリーニングされる材料を上部に配置することができるスクリーニング面を確立する、互いに離間した複数のスクリーニングプレートと、
スクリーニング面の下の回転可能なシャフトと、
シャフトから突出し、スクリーニングスロットを通ってスクリーニング面の上に延出するブレードと、を備える、重機で動作するふるいスクリーンバケットに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなふるいスクリーンは、本出願人による下記特許文献1(ドイツ実用新案DE20200600125U1号)から既知である。この従来知られている装置は、市場で入手可能な他のふるいスクリーンに対して、優れた分離性能、および、高い容量を提供する。また、スクリーンの閉塞の問題は、湿式材料であっても回避され、必要であれば、小さな断片でさえスクリーニングすることができる。しかしながら、この従来知られているふるいスクリーンは、回転ブレードと材料との間の入射角が、すべての場合で最適ではなく、いくつかの材料は、スクリーニングされた材料の固着や不必要な破砕の傾向を示すという点で、欠点を伴う。これは、動作を妨げ、電力の無駄な消費につながる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】ドイツ実用新案DE20200600125U1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、この欠点を解消し、上記特許文献1によって既知のふるいスクリーンの利点を活かしつつ、さらに、選別された材料の固着や不必要な破砕の傾向を低減することができる、上述した形式のふるいスクリーンバケットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、添付の請求項1に提示されたふるいスクリーンバケットによる本発明で達成される。従属請求項は、本発明の好適実施形態を提示する。
【0006】
本発明の1つの好適実施形態の他の目的は、ふるいスクリーンの構成要素の保守や交換を容易にすることであり、または、破砕機を有するふるいスクリーンの交換さえ可能にすることである。
【0007】
本発明のふるいスクリーンは、一般的に知られているスクリーニング方法とは対照的に、スクリーニング面が移動しない。スクリーニング面は固定スクリーニングプレートから構成され、選別される材料は、スクリーニング面の下に存在するとともにスクリーニング面を通って延びる、シャフトにより回転するブレードによって、ふるいスクリーン上をまたはふるいスクリーン一面にわたって移動できるようになる。この設計により、堅牢なスクリーニング面を構築することが可能となり、それによって、微細な選別の前の事前選別は、絶対に必要というわけではなくなる。市場で利用可能な方法とは対照的に、ブレードが必要とする駆動力は、ふるいスクリーン上の材料の量にほとんど依存せず、単に材料の種類に依存するため、ふるいスクリーンの上にすでに材料をおいた状態で選別動作を開始することもできる。したがって、これによりバッチ方式での選別も可能になるが、例えば、材料がバケット内に収集され、選別がその後まで開始されないバケット機械の付属品としての使用が可能である。微細材料は、回転するブレードにより、ふるいスクリーンを通して強制的また急速に排出される。そのため、このふるいスクリーンは、単に重力を利用する方法よりも、スクリーニング面をより効率的に使用できるようになり、また、それによって、スクリーニング面積あたりの高容量化も可能になる。それにより、スループット時間は、ブレードの速度および印加される電力によって影響を受ける可能性がある。これは、高容量で小型のふるいスクリーンを製造することを可能にする。
【0008】
本発明の1つの例示的な実施形態を、添付図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】掘削機に取り付けられた本発明のふるいスクリーンバケットを断面で示す。
【
図2】バケットから取り外された
図1のふるいスクリーンバケットのふるいスクリーンを示す。ふるいスクリーンカートリッジユニットは、バケットの後側を横切ってバケット内に設置されることが可能である。
【
図4】ふるいスクリーンシャフト上のブレード5の配置に関する詳細を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明によるふるいスクリーンは、スロットが設けられたスクリーニング面を備え、スクリーニング面の上に、選別される材料を置くことができる。スクリーニング面は、別々のスクリーニングプレート3の端部が、平棒6および12の間に固定されるように構成され、平棒6および12は、それぞれのスクリーニングプレート3を、互いがスクリーニングスロットに一致する距離だけ離れるように保持する。この場合、平棒6および12は、スクリーニング面2の縁部の全長にわたって連続的に延びるが、平棒は、いくつかの部分に分割されてもよい。平棒6および12は、バケットフレームの締結縁部に取り付け可能である。スクリーニングプレート3は、構造強度の観点からできるだけ薄く、したがって、スクリーニング面の単位面積当たり最大の容量を提供する。スクリーニングスロットは、平棒6間の距離全体にわたって連続的に延びることにより、材料の流れに対して不必要な障害物が形成されるのを回避する。
【0011】
スクリーニング面2の下にあるのは、突出したブレード5が取り付けられた回転可能なシャフト4であり、ブレード5は、シャフト4と共に回転し、スクリーニングスロットを通ってスクリーニング面2の上に延びている。ブレード5は、スクリーニング面2の上に1〜40mmの範囲で延びている。ブレードのこの特徴により、ブレードは、一方では、スクリーニングスロットに入ることができる材料を、ふるいスクリーンを通して移動させることができ、他方では、スロットに入らない材料を、スクリーニング面に沿って押し動かすことができる。本発明の好適実施形態では、スクリーニングプレートは、スクリーニング面2の上のブレード5の突出量を変化させるためにシャフト4を含んで広がっている平面に対して垂直方向に調節可能であってよい。シャフト間距離およびブレード5の長さは、好適には、スクリーニングプレート3間のスクリーニングスロットの全空間部分をブレード5が通過するように寸法決めされる。これにより、プレート3間には、材料が付着する盲点が残らない。小さな盲点は許容できるが、これらの盲点の外で、いずれにしてもブレード5が、ふるいスクリーンを連続して開いた状態で維持することを引き受けるため、許容され得る。したがって、小さい盲点の唯一の欠点は、盲点が閉塞した場合の、ふるいスクリーンの単位面積当たりの容量のわずかな減少である。
【0012】
両方のシャフト4は、同じ方向に駆動され、それによって、ふるいスクリーンに入らない材料は、スクリーニング面上に栓を形成する代わりに、同じ方向に連続して回転している。選別の後、ふるいスクリーンバケットの内部に残る唯一のものは、ふるいスクリーンを通過することができない岩または他の硬い断片である。
【0013】
本発明の好適実施形態では、ブレード5は、シャフト4上で軸方向に自由に移動可能である。シャフト4によってブレード5に伝達されるのは、トルクだけである。シャフト4は、断面が多角形であり、各ブレード5は、環状部5aを有し、環状部5aは、シャフトの周りに延在し、そこから実際のブレード5が突き出る。したがって、ブレード5は、その回転位置のすべてにおいて、すなわち、シャフト4の回転角のすべてにおいて、スクリーニングプレート3に抑えられた状態で、スクリーニングプレート3の間に少なくとも部分的に位置している。したがって、スクリーニングプレート3は、スクリーニング面2に対して垂直な位置を保持する。このように、ブレード5は、スクリーニングプレート3の間のスクリーニングスロットの幅に実質的に等しい厚さを有する厚板のようなものである。
【0014】
シャフト4の間の距離は、ブレード5の先端によって描かれる円の直径よりもわずかに小さい。したがって、平行なシャフト4は、各ブレード5の端部が同一のスロット内において鉢合わせしないように、各ブレードの位置を同期させる必要がある。
図1では、不正確な位置が意図的に示されているが、前記位置的同期がない限り、ブレードの端部は、重なっており、すなわち、互いに衝突する。
【0015】
本発明の好適実施形態においては、実質的な盲点がなく、かつ、ブレードの同期が問題となるようなシャフト間の距離を短くする必要のない、ブレード5を通過させるプレート間のスロットとを実現するために、スクリーニング面2を、下向きに凹状のアーチとして構成し、わずかに波状とすることがなされている。スクリーニング面は、選別のスループットを増すために、シャフト間距離の中程に位置する波状のピークを有する。波状の谷の湾曲具合は、その最下点がシャフト4と一列に並ぶ円弧の形をとるものである。これにより達成できるのは、効果的な選別を行うのに有利となるスクリーニング面上の材料分布である。加えて、スクリーニングスロットに入らない硬い断片が、ブレードとスクリーニング面との間に挟まる代わりに、スクリーニング面に沿って運ばれるようになるように、スクリーニング面に接近するブレード5の外側面と、スクリーニング面との間が、常に十分に大きい角度を残すように気をつけなければならなない。こういうわけで、ブレード5は、丸みを帯びた先端に向かってくさび状に先細りになっている。ブレード(5)の側面は実質的に直線状であり、側面と側面との間の角度は、20〜28度の範囲である。これは、また、ブレードが、特定の最大距離よりも高くスクリーニング面の上方に突出してはならないという事実によって、部分的に影響される。
【0016】
スクリーニングプレート3は、シャフト4を収容するための凹部が設けられた下端を有し、それによって、スクリーニングプレート3は、各シャフト4の間の空間内に部分的に延在している。負荷のかかった状況では、スクリーニングプレート3は、各中間部分でシャフト4上に支持されてもよい。すなわち、凹部は、必要に応じて各底部がシャフト4にもたれかかるようにしてもよい。
【0017】
本発明のふるいスクリーンバケットを使用する場合、旋回モータが、バケットの上部のエンクロージャ内に配置されてよく、チェーンおよびギアのような回転駆動が、バケットの側壁のエンクロージャ11内に配置されてよい。選別される土質材料はバケット内に収集され、次いでバケットはスクリーニング位置に反転される。このスクリーニング位置ではふるいスクリーンはわずかに傾けられた位置をとり、材料が、スクリーニング面2の上に突出したブレード5によって若干上り方向に搬送されるようにする。この場合、材料は、搬送方向の端部に詰め込まれず、ふるいスクリーンを通過するすべての材料がバケットから空になるまで、ふるいスクリーンの上で循環する。
【0018】
図4は、正方形状のシャフト4上のブレード5の形状および配置をより詳細に示す。各ブレードをそれぞれのシャフトに螺旋状に据え付けるため、ブレードの様々な角度位置が使用される。ブレード5は、シャフト4上に、例えば、30度または45度の角度間隔で互い違いに取り付けられてもよい。ブレード5は、シャフト4の周りに、材料をふるいスクリーンの両側から中央に向かって供給するような螺旋ピッチで据え付けられる。言い換えれば、シャフトが通常のスクリーニング方向に回転している場合、ブレードがスクリーニング面上に、最初はシャフトの端部から、そして最後にシャフトの中央から上昇するようにブレード5がシャフト4に取り付けられており、このようにして、ふるいスクリーンの上面で材料が中央に寄せ集められる効果が確立される。
【0019】
最も外側のスクリーニングプレート3'は、他のものとは異なり、締結プレート7のシャフト貫通部近傍のシャフト4の周りおよび下に深く延びるように設計されている。したがって、これらのスクリーニングプレート3'は、泥土が締結プレート7のシャフト貫通部へ浸入することを阻止し、それによって、締結プレート7の外側に取り付けられたベアリング8への侵入をも阻止する泥除けを提供する。
【0020】
締結プレート7と、ブレード5を備えるとともに締結プレート7に固定された(ベアリングで取り付けられた)シャフト4とは、カートリッジユニットを構成する。このカートリッジユニットは、締結プレート7を、プレートの面の方向にバケットのフレームプレート10の収容開口部内に押し込み、締結プレート7を、ボルトでバケットのフレームプレート10に固定することによって、バケット1の後側から、単一の要素として設置することができる。締結プレート7は、縁部が、互い違いの締結フランジをなすように、2重の層をなしている。締結プレート7は、駆動エンクロージャ11のための内壁を構成する。設置後、駆動エンクロージャ11の後側は、後壁11aによって閉じられる。ブレード5の間に配置されるスクリーニングプレート3は、バケットの前側から1つずつ所定の位置に据え付けられる。バケットフレームには、例えば、エラストマー製の弾性平棒12が取り付けられ、弾性平棒12の溝13は、スクリーニングプレート3の端部3aを受け入れ、これらを定位置に導く。最後に、スクリーニングプレート3は、平棒6をそれらの端部3aの上に固定することによって、固定される。
【符号の説明】
【0021】
1 バケット
2 スクリーニング面
3 スクリーニングプレート
3' 最も外側のスクリーニングプレート
3a 端部
4 シャフト
5 ブレード
5a 環状部
6 平棒
7 締結プレート
8 ベアリング
10 フレームプレート
11 駆動エンクロージャ
11a 後壁
12 弾性平棒
13 溝