【文献】
上田 健揮,スマートホームにおける複数のセンシングデータに基づいた生活行動データ抽出システムの提案,マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2014)シンポジウム論文集 情報処理学会シンポジウムシリーズ [CD−ROM],日本,一般社団法人情報処理学会,2014年 7月 2日,Vol.2014 No.1,p.1884−1891
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の行動分析装置、分析方法、及びプログラムを、図面を参照して説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る行動分析システムについて説明する。
図1は、第1の実施形態における行動分析システム1の概略構成の一例を示すシステム構成図である。
行動分析システム1は、家庭10(住居)に設置されている通信装置11と、通信装置11にネットワーク20を介して接続されるサーバ30と、を備えている。なお、この
図1では、一つの家庭10の通信装置11が示されているが、サーバ30は、複数の家庭10のそれぞれに設置されている通信装置11にネットワーク20を介して接続される。
【0009】
ネットワーク20は、インターネット、LAN(Local Area Network)、携帯電話網等のネットワークである。通信装置11は、家庭10内の電気製品(電気機器)とネットワーク20とを中継する通信機器(例えば、HGW(Home GateWay))である。電気製品は、例えば、分電盤12、家電製品13、センサ14、情報端末15などである。
【0010】
例えば、通信装置11は、分電盤12における主幹電力量または分岐電力量の計測データをネットワーク20へ中継する。また、通信装置11は、電気ケトル13a、オーブンレンジ13b、炊飯器13cなどの家電製品13の消費電力量の計測データまたは操作履歴データをネットワーク20へ中継する。また、通信装置11は、人感センサ14a、温湿照度センサ14bなどのセンサ14の計測データをネットワーク20へ中継する。また、通信装置11は、サーバ30からネットワーク20を介して情報端末15へ送信されるデータ、及び情報端末15からネットワーク20を介してサーバ30へ送信されるデータを中継する。
【0011】
なお、この
図1では家電製品13の例として、電気ケトル13a、オーブンレンジ13b、炊飯器13cを図示しているが、これらは単に一例を示しているものであり、これらに限られるものではない。
【0012】
人感センサ14aは、所定の検知範囲に人がいるか否か、または検知範囲内での人の動き等をセンシングして計測データを出力する。温湿照度センサ14bは、周囲の温度、湿度、及び照度をセンシングして計測データを出力する。
【0013】
情報端末15は、表示部を備えた端末装置の一例であり、例えば、携帯電話やスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、テレビジョンなどである。例えば、情報端末15は、サーバ30から送信される情報を表示部に表示する。なお、情報端末15は、行動分析システム1における専用の端末装置であってもよい。
【0014】
サーバ30は、通信装置31と、行動分析装置32と、を備えている。通信装置31は、行動分析装置32とネットワーク20とを中継する通信機能を備えている。行動分析装置32は、通信装置31及びネットワーク20を介して、家庭10と、情報のやり取り行う。
【0015】
例えば、行動分析装置32は、家庭10内の電気製品に関連する情報に基づいて、複数日にわたる特定の生活行動の時間的な変化の特徴を抽出する。ここで、電気製品に関連する情報とは、例えば、電気製品の操作履歴に関する情報、または電気製品で消費される電力に関する情報などが含まれる。また、複数日にわたる特定の生活行動の時間的な変化とは、その生活行動の発生時刻の日ごとの差異の大小、または生活行動の発生時間の長さの日ごとの差異の大小などである。また、行動分析装置32は、例えば1日のうちの任意の分析時間帯を設定して、生活行動の時間的な変化の特徴を抽出することが可能である。そして、行動分析装置32は、家庭10における生活行動の時間的変化の特徴に基づいて生活行動の傾向を推定する。また、行動分析装置32は、この生活行動の分析結果に基づいて、ユーザの生活行動の傾向(生活スタイル)にあった情報を提供する。
【0016】
なお、行動分析装置32は、
図1に示すように、サーバ30の一部の構成としてもよいし、サーバ30と等価としてサーバ30の構成をすべて含む構成としてもよい。
【0017】
以下、行動分析装置32の構成について詳しく説明する。
図2は、第1の実施形態に係る行動分析装置32の概略構成の一例を示すブロック図である。行動分析装置32は、入力部100と、記憶部200と、演算部300と、出力部400と、を備えている。
【0018】
まず、入力部100の構成について説明する。
入力部100は、電気製品稼働状態推定条件入力部101と、行動ラベル推定条件入力部102と、行動系列発生時間帯抽出条件入力部103と、発生時間帯内特徴抽出条件入力部104と、行動傾向推定条件入力部105と、を備えている。
【0019】
電気製品稼働状態推定条件入力部101は、各電気製品の稼働状態を判定するための電力閾値の入力を受け付ける。この電力閾値は、サーバ30がネットワーク20を介して家庭10から取得する各電気製品(分電盤12や家電製品13など)の消費電力量の計測データに基づいて各電気製品の稼働状態を判定するための閾値である。各電気製品の消費電力量の計測データがこの電力閾値により判定されることにより、各電気製品の稼働状態が、離散化された複数の状態として表される。例えば、各電気製品の稼働状態は、ON/OFFのような2状態で表される。また、電気製品の稼働状態は、3以上の複数の状態で表されてもよい。例えば、炊飯器13cの稼働状態は、複数の電力閾値を用いて、OFF/保温/炊飯の3状態で表されてもよい。
【0020】
行動ラベル推定条件入力部102は、抽出対象とする行動ラベルの定義及びその行動ラベルの発生条件の入力を受け付ける。行動ラベルとは、例えば「睡眠」、「外出」、「洗濯」、「TV視聴」、「調理」などの生活行動を表す。行動ラベルの発生条件とは、行動ラベルの発生の有無を判定する条件、即ち生活行動を推定する際の推定条件である。
【0021】
例えば、行動ラベル推定条件入力部102では、行動ラベルの発生条件として、行動ラベルの発生の有無を判定する際の閾値が設定される。また、行動ラベル推定条件入力部102では、教師学習(半教師学習を含む)を用いて判定する際の学習用行動記録データに関して、正例に対する負例のサンプル数の設定方法(例えば、ランダムサンプリングで正例と同数、など)が設定される。また、行動ラベル推定条件入力部102では、必要に応じて行動ラベルの最大対象継続時間などが設定される。さらに、行動ラベル推定条件入力部102では、抽出対象とする行動ラベルの発生有無を判定するのに必要な家電製品13のリストが設定される。なお、行動ラベルの発生条件の具体例については、後述する演算部300の説明の中で詳述する。
【0022】
行動系列発生時間帯抽出条件入力部103は、複数日の行動ラベル系列データから特定の行動ラベルの発生時間帯を抽出する際の抽出条件の入力を受け付ける。ここで、行動ラベル系列データとは、例えば一日単位で発生した行動ラベルを時系列に並べたデータである。具体的には、行動系列発生時間帯抽出条件入力部103には、各単位時間における行動ラベルの度数(発生数)と所定の閾値とが、行動ラベルの発生時間帯を抽出する際の抽出条件として設定される。例えば、行動ラベルの度数が所定の閾値以上であればその行動ラベルが発生した(その時間において、その行動がなされた)とする。一方、行動ラベルの度数が所定の閾値未満であればその行動ラベルが発生しない(その時間において、その行動はなされない)とする。この抽出条件に基づいて、行動ラベルの発生時間帯が区分される。
【0023】
また、行動系列発生時間帯抽出条件入力部103には、平日または休日のみ、ある時間帯(例えば「9時から18時の直前まで」)での降雨の有無、等を、分析対象時間帯として抽出するといった抽出条件が設定されてもよい。また、行動ラベル系列データの長さ(例えば「8時から22時の直前まで」)、行動ラベル系列データの切り出しの条件(例えば「睡眠開始時から次の睡眠開始時の直前まで」)が抽出条件として設定されてもよい。
【0024】
発生時間帯内特徴抽出条件入力部104は、複数日における時間帯別の特定の行動ラベルの発生有無に基づいて複数日にわたる特定の行動ラベルの時間的な変化の特徴を抽出する際の抽出条件の入力を受け付ける。例えば、発生時間帯内特徴抽出条件入力部104には、「朝の時間帯、昼の時間帯、夕方の時間帯のそれぞれで調理がされる割合」など、特定の行動ラベルの発生に対してその割合をカウントする際のカウント条件が設定される。ここで、「朝の時間帯」は、例えば「7時から21時の直前まで」として設定される。「昼の時間帯」は、例えば「11時から13時の直前まで夕方の時間帯」として設定される。「夕方の時間帯」は、例えば「16時から18時の直前までの時間帯」として設定される。なお、特定の行動ラベルの時間的な変化の特徴を抽出する際の抽出条件は、複数の行動ラベルごとに設定することができる。さらに、発生時間帯内特徴抽出条件入力部104には、特定の行動ラベルの時間的な変化の特徴量の算出方法が設定される。
【0025】
行動傾向推定条件入力部105は、生活行動の傾向を推定するための推定条件の入力を受け付ける。この推定条件に基づいて、発生時間帯内特徴抽出条件入力部104で設定された抽出条件により抽出された特定の行動ラベルの時間的な変化の特徴から、家庭10内のユーザの生活行動の傾向が推定される。そして、その生活行動の傾向に応じたサービスコンテンツや推薦情報が家庭10の情報端末15に配信される。
【0026】
次に、記憶部200の構成について説明する。
記憶部200は、電気製品電力計測データ記憶部201と、電気製品操作履歴データ記憶部202と、電気製品状態履歴データ記憶部203と、人感センサ計測データ記憶部204と、温湿照度センサ計測データ記憶部205と、学習用行動記録データ記憶部206と、行動ラベル系列データ記憶部207と、行動系列発生時間帯データ記憶部208と、行動発生時間帯特徴データ記憶部209と、推薦情報蓄積DB210と、を備えている。
【0027】
電気製品電力計測データ記憶部201には、サーバ30がネットワーク20を介して家庭10から取得した各電気製品の一定時間内の電力量の計測データが記憶される。
図3は、電気製品電力計測データ記憶部201に記憶される電力量の計測データの一例を示す図である。この図は、平日のある1日(Weekday−01)の電力量の計測データT10を示しており、各時間(0〜23時)を列とする行と列からなる2次元の表形式のデータである。例えば、6時の列には、6時から7時の直前までの各電力量の計測データが記憶されている。ここでは、1行目には分電盤12の主幹電力量の計測データが時系列に記憶されている。また、2行目以降には各家電製品13の消費電力量の計測データが時系列に記憶されている。
【0028】
電気製品操作履歴データ記憶部202は、家庭10内の各電気製品の一定時間内の操作履歴データが記憶される。例えば、サーバ30がネットワーク20を介して家庭10から各電気製品の操作情報を取得できる場合には、取得した操作情報に基づいて操作履歴データが記憶される。
【0029】
例えば、家庭10内の電気製品が「ECHONET Lite」などの通信規格に対応した機器であれば、各電気製品に搭載された情報収集装置によって得られた情報が各電気製品から送信される。そして、サーバ30は、各電気製品から送信された情報を取得して蓄積することが可能である。各電気製品から送信される情報は、操作した時のタイムスタンプがその操作内容に付与されたデータでもよい。また、一定時間おきに各電気製品から情報が送信される場合、各電気製品から送信される情報は、送信された時のタイムスタンプがその操作内容に付与されたデータでもよい。
【0030】
図4は、家電製品13から送信される送信データの一例を示す図である。送信データT20は、リビングエアコンから送信される操作履歴データの一例であり、操作した時のタイムスタンプとその時の操作内容とが含まれている。ここでは、6時4分に電源がON、8時55分に電源がOFF、18時10分に電源がON、22時5分に電源がOFFされたことを示している。
【0031】
また、
図4に示す送信データT30は、炊飯器から送信される操作履歴データの一例であり、操作した時または稼働状態が変化した時のタイムスタンプと、その時の操作内容または稼働状態とが含まれている。ここでは、18時00分に電源がONされて炊飯モードの状態となり、18時55分に炊飯モードから保温モードに切り換わり、22時57分に電源がOFFされたことを示している。
【0032】
電気製品状態履歴データ記憶部203には、単位時間ごとの各電気製品の操作状態または稼働状態が時系列に示される状態履歴データが記憶される。例えば、電気製品状態履歴データ記憶部203には、電気製品操作履歴データ記憶部202に記憶されている操作履歴データを一定時間間隔で補間した値(例えば補間対象時刻に対する直前の値)が記憶される。
【0033】
また、電気製品状態履歴データ記憶部203には、電気製品電力計測データ記憶部201に記憶される電力量の計測データに基づいて推定された稼働状態のデータが時系列に記憶されてもよい。例えば、電力量の計測データと、電気製品稼働状態推定条件入力部101により入力された各電気製品の電力閾値とに基づいて推定された各電気製品の稼働状態を示すデータが状態履歴データとして記憶される。
【0034】
つまり、電気製品状態履歴データ記憶部203には、電力計測データから推定された稼働状態のデータと操作履歴データとのうちの一方または両方に基づいて生成された状態履歴データが記憶される。
【0035】
図5は、電気製品状態履歴データ記憶部203に記憶される状態履歴データの一例を示す図である。この図に示す状態履歴データT40は、平日のある1日(Weekday−01)の状態履歴データを示しており、各時間(0〜23時)を列とする行と列からなる2次元の表形式のデータである。各行には、1時間ごとの各電気製品の操作状態または稼働状態がそれぞれ時系列に記憶されている。例えば、6時の列には、6時から7時の直前までの各電気製品の操作状態または稼働状態が記憶されている。
【0036】
ここでは、1行目には、1時間ごとの分電盤12の操作状態または稼働状態(例えば「ON/OFF」)が時系列に記憶されている。また、2行目以降には、1時間ごとの各家電製品13の操作状態または稼働状態(例えば「ON/OFF」、炊飯器の場合には「炊飯/保温/OFF」)が時系列に記憶されている。
【0037】
人感センサ計測データ記憶部204には、人感センサ14aの計測データに基づいた人感センサ計測データが記憶される。
図6は、家庭10内のセンサ14の位置を示す図である。例えば、この図に示すように人感センサ14aが玄関、ダイニング&キッチン、リビング、及び個室に設置されている。人感センサ計測データ記憶部204には、それぞれの人感センサ14aの検知範囲でセンシングされた計測データが時系列に記憶される。
【0038】
図7は、人感センサ計測データ記憶部204に記憶される人感センサ計測データの一例を示す図である。この図に示す人感センサ計測データT50は、
図6に示すそれぞれの人感センサ14aの時系列の計測データを示しており、各時間(0〜23時)を列とする行と列からなる2次元の表形式のデータである。1行目から4行目にかけて順に、玄関、ダイニング&キッチン(DK)、リビング(L)、及び個室のそれぞれの人感センサ14aの計測データが時系列に記憶されている。ここでは、人感センサ計測データとして、各時間(1時間)の中で人が検知された時間(分)のデータを表している。
【0039】
なお、
図7に示す例では、人感センサ14aにより人が検知された時間(分)が人感センサ計測データとして記憶されているが、これに限られるものではない。例えば、人感センサ14aにより検知された人の動きの量に関するデータが、人感センサ計測データとして記憶されてもよい。なお、人の動き量に関するデータは、人感センサ14aが出力する計測データの出力値であってもよいし、人感センサ14aの出力値を動き量に変換したデータであってもよい。
【0040】
温湿照度センサ計測データ記憶部205には、家庭10内の温度、湿度、及び照度の計測データが、温湿照度計測データとして記憶される。例えば、
図6に示すように温湿照度センサ14bがダイニング&キッチン、リビング、及び個室に設置されている。温湿照度センサ計測データ記憶部205には、それぞれの温湿照度センサ14bがセンシングした温度、湿度、及び照度の温湿照度計測データが時系列に記憶される。
【0041】
例えば、照明機器の消費電力量またはON/OFF等の状態を取得することができない場合、温湿照度センサ14bにより計測された照度値に基づいて、部屋が利用可能な明るい状態であるか否かを判定してもよい。具体的には、照度値を判定する閾値を設けることにより、照明機器による照明、または屋外からの日差しによる照明により、その部屋が利用可能な明るい状態であるか否かを判定することができる。また、湿度については、前後の湿度値の差を算出し、ある閾値以上の差がある場合に「1」、その他を「0」などとした時系列のデータとしてもよい。
【0042】
学習用行動記録データ記憶部206には、各生活行動がどの時間帯になされていたかをユーザが記録することにより生成される学習用行動記録データが記憶される。
図8は、学習用行動記録データ記憶部206に記憶される学習用行動記録データの一例を示す図である。学習用行動記録データT60は、平日のある1日(Weekday−01)のユーザの生活行動の記録を示しており、各時間(0〜23時)を列とする行と列からなる2次元の表形式のデータである。各行には、各生活行動のそれぞれを表す各行動ラベルの発生時間帯が時系列に記録されており、ここでは、各行動ラベルの発生時間帯には「1」が記述されている。例えば、3行目は、高度ラベルが「調理」であり、発生時間帯(即ち、調理がなされた時間帯)が6時から7時までの間と、16時から19時までの間と、20時から21時までの間と、であることが記録されている。
【0043】
なお、学習用行動記録データは、学習用行動記録データT60に示すように、多くの行動ラベルについて細かく記録されたものでもよいが、学習用行動記録データT70に示すように、いくつかの行動ラベルのみが記録されたものでもよい。例えば、ユーザが興味のある行動ラベル(ここでは、「睡眠」、「外出」、「調理」)がそれぞれ記録され、他の行動ラベルが「その他」といったような行動ラベルで記録されてもよい。また,分析者が計測データの各時間帯について、予め任意に行動ラベルを定めるようにしてもよい。
【0044】
行動ラベル系列データ記憶部207には、サーバ30がネットワーク20を介して家庭10から取得した各種データに基づいて行動分析装置32が推定した行動ラベル系列データが記憶される。家庭10から取得した各種データには、電気製品状態履歴データ記憶部203に記憶される電力量の計測データ、または電気製品操作履歴データ記憶部202に記憶される操作履歴データが含まれる。また、家庭10から取得した各種データには、人感センサ計測データ記憶部204に記憶される人感センサ計測データ、または温湿照度センサ計測データ記憶部205に記憶される温湿照度計測データが含まれてもよい。さらに、家庭10から取得した各種データには、学習用行動記録データ記憶部206に記憶される学習用行動記録データが含まれてもよい。
【0045】
なお、行動ラベル系列データ記憶部207に、推定した行動ラベル系列データが記憶されるとともに、学習用行動記録データをトレーニングデータとして、各行動ラベルの推定モデルのパラメータ推定も合わせて行われる。
【0046】
なお、行動ラベル系列データ記憶部207に記憶される行動ラベル系列データは、学習用行動記録データ記憶部206に記憶される学習用行動記録データと同等のものである。
【0047】
行動系列発生時間帯データ記憶部208には、複数の行動ラベル系列データの中で、特定の時間帯ではその行動ラベルが発生するが、他のある時間帯では発生しないとみなす、というような関係性を示すデータが記憶されている。
【0048】
行動発生時間帯特徴データ記憶部209には、複数日にわたる特定の生活行動の時間的な変化の特徴を示すデータが記憶される。例えば、行動発生時間帯特徴データ記憶部209には、複数日における特定の行動ラベルの時間的な変化として、その特定の生活行動の時間帯ごとの発生有無に基づいて分類された行動発生時間帯のパターンが記録される。また、行動発生時間帯特徴データ記憶部209には、複数日における時間帯ごとの特定の行動ラベルの行動発生頻度に基づいて算出された、行動発生時間帯の特徴量の算出結果を示すデータが記憶される。
【0049】
推薦情報蓄積DB210には、ユーザの生活行動に応じて提供する情報が蓄積されている。例えば、提供する情報には、レストランのクーポンやおすすめメニューなどの情報、またはスーパーマーケットなどの食材情報などが含まれる。これらの情報は、行動傾向推定条件入力部105により設定された生活行動の傾向を推定するための推定条件にもとづいて、ある特定の生活行動の傾向を有する家庭10であるか否かが判定され、情報配信の対象とするか否かが決定される。
【0050】
なお、記憶部200の各部に記憶されるデータは、家庭10からネットワーク20を介して直接的にサーバ30が取得しなくともよい。例えば、サーバ30は、家庭10から送信されるデータを、データ蓄積サーバを経由して取得してもよい。このデータ蓄積サーバは、例えば、各家電製品13に接続された電力センサの時系列データや、分電盤12に設置された電力センサの時系列データが蓄積されるサーバである。また、このデータ蓄積サーバは、一定の間隔で計測される、人感センサ14aによる移動体の検出データや、温度、湿度、または照度データ、水道使用量データ、ガス使用量データなどが時系列に蓄積されるサーバであってもよい。また、データ蓄積サーバは、蓄積されるデータの種類ごとに複数のサーバに分かれていてもよい。
【0051】
次に、演算部300の構成について説明する。
演算部300は、電気製品稼働状態推定部301と、電気製品状態履歴収集部302と、行動ラベル推定部303と、行動系列発生時間帯抽出部304と、発生時間帯間特徴抽出部305と、行動系列発生時間帯内特徴抽出部306と、行動傾向推定部307と、を備えている。
【0052】
電気製品稼働状態推定部301は、電気製品電力計測データ記憶部201に記憶されている電力量の計測データを参照して、各電気製品の稼働状態を推定する。例えば、電気製品稼働状態推定部301は、電気製品稼働状態推定条件入力部101から入力された電力閾値を用いて、各電気製品の電力量から分電盤12または各家電製品13のそれぞれの稼働状態を推定する。なお、推定方法は、例えば、特開2012-254748または特開2011−39886などに記載されている推定方法としてもよい。
【0053】
電気製品状態履歴収集部302は、各電気製品の操作状態または稼働状態が時系列に示される状態履歴データを出力する。例えば、電気製品状態履歴収集部302は、推定された各電気製品の稼働状態を示すデータと、電気製品操作履歴データ記憶部202に記憶されている操作履歴データとに基づいて、状態履歴データを生成する。そして、電気製品状態履歴収集部302は、生成した状態履歴データを電気製品状態履歴データ記憶部203に出力し記憶させる。
【0054】
これにより、電気製品状態履歴データ記憶部203には、例えば
図5に示す状態履歴データT40のように、各電気製品について、単位時間ごと(例えば、1時間ごと)に離散的に行動ラベルが付けられた時系列データが記憶される。
【0055】
行動ラベル推定部303は、家庭10内の電気製品に関連する情報に基づいて、家庭10のユーザの生活行動を推定する。また、行動ラベル推定部303は、さらに、生活行動が行われる場所の人の有無を示す情報、または当該場所の温度、湿度、若しくは照度を示す情報に基づいて生活行動を推定してもよい。このように、人の有無を示す情報、または当該場所の温度、湿度、若しくは照度を示す情報を加えることで、生活行動の推定精度を向上させることができる。
【0056】
具体的には、行動ラベル推定部303は、電気製品状態履歴データ記憶部203、人感センサ計測データ記憶部204、温湿照度センサ計測データ記憶部205を参照して、家庭10内の生活行動を、いくつかの離散的な行動ラベルとして変換する。例えば、行動ラベル推定部303は、推定する生活行動を行動ラベルとして表し、一日単位で時系列に一または複数の行動ラベルが離散的に並ぶ行動ラベル系列データを、推定結果として出力する。また、行動ラベル推定部303は、出力した行動ラベル系列データを行動ラベル系列データ記憶部207に記憶させる。行動ラベル系列データ記憶部207に記憶される行動ラベル系列データは、例えば、
図8に示す学習用行動記録データT60、T70と同様な構成のデータである。
【0057】
生活行動を表す行動ラベルには、前述したように「睡眠」、「外出」、「洗濯」、「TV視聴」、「調理」などがある。これらの行動ラベルとその行動ラベルの発生条件とは、行動ラベル推定条件入力部102に入力されて設定されている。例えば以下のような行動ラベルの発生条件に基づいて生活行動が推定される。
【0058】
「睡眠」:空調機器以外の家電製品13がOFFの状態であって、かつ人感センサ14aの測定データが寝返りなどをする際に検知される程度の出力しかない場合、「睡眠」と推定される。
【0059】
「外出」:すべての家電製品13がOFFの状態で、かつ人感センサ14aの測定データ(出力値)が玄関を最後に低くなった場合に、「外出」と推定される。人感センサ14aの測定データ(出力値)が玄関を最後に低くなった場合とは、玄関で人が検知されたのを最後に家庭10内で人が検知されなくなったことを意味しており、この場合「外出」が想定される。
【0060】
「洗濯」:洗濯機がONの状態の場合に、「洗濯」と推定される。
「TV視聴」:TVがONの状態の場合に、「TV視聴」と推定される。
【0061】
「調理」:複数の家電製品13が使用され、かつ複数の家電製品13の稼働状態の時間的な前後関係に関連性があるため、以下のような推定方法を用いる。
まず、行動ラベル推定条件入力部102により、「調理」の発生有無を判定するのに必要な家電製品13のリストとして、調理用途で使用される家電製品13のリストが設定される。例えば、このリストは、分析者が予め行動ラベル推定条件入力部102に入力することにより設定されている。また、行動ラベル推定部303は、調理用途で使用される家電製品13の状態履歴データと、学習用行動記録データとの時系列の時間間隔を合わせ、ユーザが実際に調理をしたと記録しているデータと、を結合する。
【0062】
この後の、行動ラベル推定部303が行う生活行動の推定処理について、
図9から
図14を参照して説明する。
図9は、生活行動の推定処理を行う際の教師学習の処理の一例を示すフローチャートである。
【0063】
まず、行動ラベル推定部303は、状態履歴データから、学習用行動記録データで「調理」の発生時間帯を抽出する。ここで、状態履歴データは、例えば、電気製品状態履歴データ記憶部203に記憶されている状態履歴データT40である。学習用行動記録データは、例えば、学習用行動記録データ記憶部206に記憶されている学習用行動記録データT60である。例えば、行動ラベル推定部303は、状態履歴データT40から学習用行動記録データT60で「調理」の発生時間帯(
図8の例では、「1」が記述されている時間帯)を抽出する(ステップS101)。
【0064】
次に、「調理」の発生時間帯のうち、ONの状態の調理用途の家電製品13がない時間帯が、「調理」の始まりの直前まで、または「調理」の最後から持続している期間を、教師データから除外する(ステップS102)。
【0065】
ここで、
図10を参照してステップS101及びステップS102の処理を説明する。この
図10に示す状態履歴データT80は、
図5に示す状態履歴データT40のうちの調理用途の家電製品13の状態履歴データである。また、状態履歴データT90では、状態履歴データT80において、「調理」の発生時間帯の一例として6時の列と16時から18時の列とを示している。また、19時の列は、「調理」の端、かつそれ以降にONの状態の調理用途の家電製品13のない期間である。即ち、19時の列は、ONの状態の調理用途の家電製品13がない時間帯が、「調理」の最後から持続している期間である。そのため、この19時の列の期間は、教師データから除外される。そして、「調理」として継続している時間ごとに推定モデルとして形成される(F1、F2、F3、・・・)。
【0066】
次に、行動ラベル推定部303は、「調理」の発生時間帯の長さ別に識別器を選択する(ステップS103)。そして、行動ラベル推定部303は、「調理」の発生時間帯で、調理用途の家電製品13ごとに、ONの状態の時間数(列の数)を集計する(ステップS104)。
【0067】
図11は、家電製品13ごとのON状態の時間数の集計例を示す図である。この図では、発生時間帯の長さが3時間の長さの識別器の場合の集計例を示している。この図に示す例では、16時から18時の列において、電気ケトル13a、オーブンレンジ13b、炊飯器13c、トースターのそれぞれのONの状態の時間数の集計結果が、「0、2、1、0」として表される。
【0068】
次に、行動ラベル推定部303は、学習用行動データで「調理」の発生していない時間帯を抽出する(ステップS105)。行動ラベル推定部303は、「調理」の発生時間帯の長さごとに、「調理」の発生していない時間帯の状態履歴データを、1列ずつスライドさせて逐次抽出する(ステップS106)。
【0069】
図12は、「調理」の発生していない時間帯の抽出例を示す図である。この
図12に示す例は、発生時間帯の長さが3時間の長さの識別器の場合の抽出例である。状態履歴データT90の「調理」の発生していない時間帯を3時間ごとに1列ずつスライドさせて、電気ケトル13a、オーブンレンジ13b、炊飯器13c、トースターのそれぞれのONの状態の時間数が集計される。例えば、例えば0時から2時の列のように、いずれもONの状態でない場合の集計結果は、「0、0、0、0」として表される。また、例えば20時から22時の列のように、電気ケトル13aのみ1時間ONの状態であった場合の集計結果は、「1、0、0、0」として表される。この例では、「調理」の発生していない時間帯の集計結果として、「0、0、0、0」として表される12個の集計結果と、「1、0、0、0」として表される1個の集計結果と、が得られる。
【0070】
次に、行動ラベル推定部303は、「調理」の発生していない時間帯の状態履歴データから一部のデータを学習データとして選択する(ステップS107)。例えば、
図12に示す例では、集計結果が「0、0、0、0」となる状態履歴データの12個のうちの9個と、「1、0、0、0」となる状態履歴データの1個とが、学習データとして選択される。
【0071】
そして、行動ラベル推定部303は、「調理」の発生時間帯の状態履歴データを正例、一部の「調理」の発生していない時間帯の状態履歴データを負例として、識別器に入力して学習させる(ステップS108)。
図13は、正例と負例とを識別器に入力して学習させる識別器学習のイメージを示す図である。
【0072】
このように、行動ラベル推定部303は、電気製品の状態履歴データ(教師データの両端で機器ONの状態がない時間帯は除外)と、教師データの正例及び負例とに基づいて、識別器を教師学習にて構築する。そして、行動ラベル推定部303は、その識別器に学習した推定条件を用いて、調理用途の家電製品13の状態履歴データから調理の生活行動を推定する。
【0073】
次に、
図14を参照して、教師学習に基づいた識別器を用いて生活行動を推定する推定処理について説明する。
図14は、教師学習に基づく生活行動の推定処理を示すフローチャートである。
【0074】
行動ラベル推定部303は、調理用途の家電製品13の状態履歴データをスイープして、いずれかの家電製品13がONの状態になっている時間帯を検索する(ステップS201)。次に、行動ラベル推定部303は、この検索した時間帯の状態履歴データを、教師学習により学習された「調理」時間帯の長さ別の識別器を用いて、「調理」に該当するデータであるか否か判定する(ステップS202)。
【0075】
そして、行動ラベル推定部303は、「調理」に該当した時間帯を「調理」の発生時間帯と推定する。また、行動ラベル推定部303は、「調理」に該当した時間帯が連続する場合、連続する最も長い時間帯を一つの「調理」の発生時間帯として判定する(ステップS203)。
【0076】
図15は、生活行動の発生時間帯の推定結果の一例を示す図である。この図に示す例では、状態履歴データから、6時の列と、17時から18時の列とが、「調理」の発生時間帯として推定されている。
【0077】
このように、例えば、行動ラベル推定部303は、状態履歴データと、時間帯ごとの実際の生活行動が記録された生活行動記録データとに基づいて、複数の時間帯にまたがる生活行動の推定条件について教師学習を行う。そして、行動ラベル推定部303は、教師学習を行った推定条件に基づいて複数の時間帯にまたがる生活行動を推定する。
【0078】
このように教師学習を用いることにより、家庭10における通常の生活行動を的確に推定することができる。特に、「調理」のように複数の家電製品13が用いられる生活行動の推定精度を向上させることができる。
【0079】
なお、上述した例では、行動ラベル推定部303が一日単位の行動ラベル系列データを推定結果として出力する例を主として説明した。これにより、行動分析装置32は、複数日における生活行動の発生時間帯を1日単位で比較することができるが、これに限られるものではない。例えば、行動ラベル推定部303は、「睡眠」を示す行動ラベルの先頭から次の「睡眠」を示す行動ラベルの直前までを一単位とした行動ラベル系列データを、推定結果として出力してもよい。これにより、行動分析装置32は、夜に活動して昼間に睡眠するようなユーザ、日によって夜勤と昼勤とがあるようなユーザなど、様々な生活スタイルにも対応することができる。
【0080】
次に、行動系列発生時間帯抽出部304について説明する。行動系列発生時間帯抽出部304は、行動ラベル推定部303により推定された特定の生活行動に基づいて、予め設定された分析対象時間帯のうち上記特定の生活行動の発生時間帯を抽出する。特定の生活行動とは、例えば、分析者が分析する対象として選択した生活行動である。
【0081】
具体的には、行動系列発生時間帯抽出部304は、行動ラベル系列データを参照して、特定の生活行動を表す行動ラベルを、当該行動ラベルを含む行動ラベル系列データから抽出する。また、行動系列発生時間帯抽出部304は、分析対象時間帯において抽出した行動ラベルの度数と所定の閾値とに基づいて、分析対象時間帯における特定の生活行動の発生時間帯を抽出する。ここで、所定の閾値とは、後述する行動発生領域判定閾値である。
【0082】
以下、この特定の生活行動の発生時間帯を抽出する行動系列発生時間帯抽出処理の動作について、
図16から
図22を参照して具体的に説明する。
図16は、本実施形態による行動系列発生時間帯抽出処理の一例を示すフローチャートである。
【0083】
まず、行動系列発生時間帯抽出部304は、ある1種類かつ複数日の行動ラベル系列データを入力として、時間帯ごとの行動ラベルの開始時刻または終了時刻の度数(回数)を抽出する。例えば、行動系列発生時間帯抽出部304は、行動ラベル系列データ記憶部207を参照して、分析対象とする特定の行動ラベル及び分析対象時間帯のデータを行動ラベル系列データから収集する。ここで、分析対象とする特定の行動ラベル及び分析対象時間帯は、行動系列発生時間帯抽出条件入力部103で設定されたものである(ステップS301)。
【0084】
次に、行動系列発生時間帯抽出部304は、収集したデータから、特定の行動ラベルの開始(または終了)時刻を時刻別に度数として集計する(ステップS302)。
【0085】
図17と
図18とのそれぞれは、時間帯ごとの行動ラベルの開始時刻と終了時刻の度数の集計を説明する図である。
図17は、ある特定の時間帯における、ある行動ラベルの開始時刻の集計を示している。符号aに示すグラフは、横軸が時刻で、縦時刻が行動発生IDであり、行動発生IDごとの行動ラベルの発生時間帯を表している。行動発生IDは、例えば、1日ごとの行動ラベルを識別可能な識別子である。符号bに示すグラフは、横軸が時刻で、縦時刻が行動ラベルの開始時刻の度数であり、符号aに示す行動ラベルの開始時刻を時刻ごとの度数として集計したものである。
【0086】
図18は、ある行動ラベルの終了時刻の集計を示している。符号aに示すグラフは、横軸が時刻で、縦時刻が行動発生IDであり、行動発生IDごとの行動ラベルの発生時間帯を表している。符号bに示すグラフは、横軸が時刻で、縦時刻が行動ラベルの狩猟時刻の度数であり、符号aに示す行動ラベルの開始時刻を時刻ごとの度数として集計したものである。
【0087】
例えば、行動系列発生時間帯抽出部304は、上述した方法で、予め行動系列発生時間帯抽出条件入力部103で設定された分析対象時間帯について、特定の生活行動の行動ラベルの開始時刻の度数と終了時刻の度数とを集計する。
【0088】
また、行動系列発生時間帯抽出部304は、集計した時刻ごとのデータを度数の大きい順にソートする(ステップS303)。例えば、行動系列発生時間帯抽出部304は、上述の行動ラベルの開始時刻の度数と終了時刻の度数とのそれぞれを昇順に並べる。
図19は、行動ラベルの開始時刻の度数を昇順に並べた図である。また、
図20は、行動ラベルの終了時刻の度数を昇順に並べた図である。
【0089】
次に、ステップS304〜S308において、行動系列発生時間帯抽出部304は、ステップS303においてソートされた時刻の全数について、ステップS305〜S307の処理を行う。そして全数終了すると、行動系列発生時間帯抽出部304は、ステップS309の処理に進む。
【0090】
まず、ステップS305において、行動系列発生時間帯抽出部304は、ソートされた時刻のうちの選択された時刻の度数(度数の最も大きいもの)を「行動発生数」に加算する。次に、ステップS306において、行動系列発生時間帯抽出部304は、「行動発生数/全行動発生数+行動不発生割合閾値>1」を充足するか否かを判定する。ステップS306において充足しないと判定された場合(NO)、行動系列発生時間帯抽出部304は、ステップS305に戻り、ソートされた時刻の中から次に大きい度数を選択して行動発生数」に加算する。一方、ステップS306において充足したと判定された場合(YES)、行動系列発生時間帯抽出部304は、このとき加算した時刻の度数を行動発生領域判定閾値として決定する(
図19または
図20参照)。そして、行動系列発生時間帯抽出部304は、決定した行動発生領域判定閾値を行動系列発生時間帯データ記憶部208に格納する(ステップS307)。
【0091】
このように、行動系列発生時間帯抽出部304は、行動系列発生時間帯抽出条件入力部103で設定された行動不発生割合閾値を用いて、度数の最も大きいものからその発生割合の占有率と行動不発生割合閾値の和が1を越えるか否かを判定する。そして、行動系列発生時間帯抽出部304は、1を越えない場合には次に大きい度数を順に加算していき、1を超えた時点で加算した度数を行動発生領域判定閾値として決定する。
図19には、行動ラベルの開始時刻の度数により決定した行動発生領域判定閾値を示している。また、
図20には、行動ラベルの終了時刻の度数により決定した行動発生領域判定閾値を示している。
【0092】
次に、ステップS309において、行動系列発生時間帯抽出部304は、行動発生領域判定閾値が格納されたか否かを判定する。ステップS309において行動発生領域判定閾値が格納されていないと判定された場合(NO)、行動系列発生時間帯抽出部304は、行動系列発生時間帯抽出処理を終了する。一方、ステップS309において行動発生領域判定閾値が格納されていないと判定された場合(YES)、行動系列発生時間帯抽出部304は、ステップS310の処理に進む。
【0093】
ステップS310〜S314において、行動系列発生時間帯抽出部304は、特定の行動ラベルの時刻の全数について、ステップS311〜S313の処理を行う。
【0094】
まず、ステップS311において、行動系列発生時間帯抽出部304は、特定の行動ラベルの開始(または終了)時刻の度数が、行動発生領域判定閾値以上であるか否かをそれぞれ順番に判定する。ステップS311において行動発生領域判定閾値以上であると判定された場合(YES)、行動系列発生時間帯抽出部304は、その判定された時刻を行動発生時間帯として登録する(ステップS312)。一方、ステップS311において行動発生領域判定閾値未満であると判定された場合(NO)、行動系列発生時間帯抽出部304は、その判定された時刻を行動不発生時間帯として登録する(ステップS313)。
【0095】
そして、特定の行動ラベルの時刻の全数について終了すると、行動系列発生時間帯抽出部304は、ステップS315の処理に進める(ステップS314)。
【0096】
ステップS315において、行動系列発生時間帯抽出部304は、隣接する2つの時刻について、行動発生領域判定閾値を超えた時刻と超えなかった時刻の間で時間帯を区間分割する。そして、行動系列発生時間帯抽出部304は、分割した各区間のそれぞれにおいて行動発生領域判定閾値を超えた時刻について、行動発生時間帯ラベルを付与する。そして、行動系列発生時間帯抽出部304は、特定の行動ラベルの各区間における開始時間帯時刻(または終了時間帯時刻)及びその行動発生時間帯ラベルを行動系列発生時間帯データ記憶部208に記憶させる(ステップS316)。
【0097】
このように、行動系列発生時間帯抽出部304は、決定した行動発生領域判定閾値を用いて、開始時刻ごとの度数と終了時刻ごとの度数について行動発生領域判定閾値を超えるか否かの判定を行う。そして、行動系列発生時間帯抽出部304は、閾値を超えた時刻と超えなかった時刻との間で時間帯を区間分割する。以下、区間分割された各区間の時間帯のことを、「時間帯区分」ともいう。
【0098】
図21は、行動ラベルの開始時刻の度数についての時間帯区分を示す図である。この図に示すように、行動発生領域判定閾値を超えなかった時刻は行動ラベルが発生しなかったものとみなし、当該閾値を超えた時刻と超えなかった時刻との間で区分されている。ここでは、時間帯区分として、「Ps0」、「Ps1」、「Ps2」、「Ps3(=Ps0)」のそれぞれに区分されている。「Ps0」が0時から7時の直前までの時間帯であり、「Ps1」が7時から11時の直前までの時間帯である。また、「Ps2」が11時から17時の直前までの時間帯であり、「Ps3(=Ps0)」が17時から24時(0時)の直前までの時間帯である。
【0099】
図22は、行動ラベルの終了時刻の度数についての時間帯区分を示す図である。この図に示すように、行動発生領域判定閾値を超えなかった時刻は行動ラベルが発生しなかったものとみなし、閾値を超えた時刻と超えなかった時刻との間で区分されている。ここでは、時間帯区分として、「Pe4」、「Pe3」、「Pe2」、「Pe1」のそれぞれに区分されている。「Pe4」が0時から9時の直前までの時間帯であり、「Pe3」が9時から14時の直前までの時間帯である。また、「Pe2」が14時から20時の直前までの時間帯であり、「Pe1」が20時から24時(0時)の直前までの時間帯である。
【0100】
このように、行動分析装置32は、行動ラベルの度数と行動発生領域判定閾値とに基づいて生活行動の発生時間帯を抽出する。これにより、行動分析装置32は、発生頻度の少ない生活行動を特徴から除外することができるため、後述する生活行動の傾向の推定精度を向上させることができる。
【0101】
次に、発生時間帯間特徴抽出部305について説明する。発生時間帯間特徴抽出部305は、複数日における時間帯別の特定の生活行動の発生有無に基づいて、複数日にわたる特定の生活行動の時間的な変化の特徴を抽出する。例えば、発生時間帯間特徴抽出部305は、行動系列発生時間帯抽出部304により抽出された行動系列発生時間帯に基づいて、分析対象時間帯における特定の生活行動の時間的な変化の特徴を抽出する。
【0102】
具体的には、発生時間帯間特徴抽出部305は、特定の生活行動の発生時間帯に基づいて、複数日における特定の生活行動のそれぞれを同一の発生時間帯となる組合せごとに分類する。そして、発生時間帯間特徴抽出部305は、分類した結果に基づいて分析対象時間帯における特定の生活行動の時間的な変化の特徴を抽出する。この場合の、特定の生活行動の時間的な変化の特徴は、例えば、その特定の生活行動の時間帯ごとの発生有無に基づいて分類された発生時間帯のパターンである。
【0103】
具体的には、発生時間帯間特徴抽出部305は、行動系列発生時間帯抽出部304により抽出された行動系列発生時間帯に基づいて、例えば開始時刻と終了時刻領域の組合せで複数日の行動ラベル系列のパターンを分類し、それぞれの行動発生時間帯区間を設定する。これにより、行動分析装置32は、生活行動の時間的な変化の特徴を、発生時間帯の組合せで分類して表すことができる。
【0104】
図23は、特定の行動ラベルの行動発生時間帯区間の一例を示す図である。この図では、ある一日(0時から23時)における特定の行動ラベル(例えば「調理」)の行動開始発生時間帯と行動終了発生時間帯を示している。「Ps0」、「Ps1」、「Ps2」、「Ps3」のそれぞれは、
図21に示したように開始時刻の時間帯区分を示している。また、「Pe4」、「Pe3」、「Pe2」、「Pe1」のそれぞれは、
図22に示したように終了時刻の時間帯区分を示している。また、この図では、12日分の「調理」(C−01〜C−12)のデータが得られている場合のそれぞれの行動発生ラベルが時系列に示されている。
【0105】
12日分の「調理」(C−01〜C−12)のそれぞれの1日における発生時間帯は、開始時刻の時間帯区分と終了時刻の時間帯区分との組合せで分類すると、6通りに分類される。
図24は、「調理」の発生時間帯の分類例を示す図である。この図に示す例では、開始時刻と終了時刻との時間帯区分としては,(Ps1、Pe4)、(Ps0、C−Pe2)、(Ps2、Pe3)、(Ps2、Pe2)、(Ps0、Pe1)の6通りに分類されることを示している。即ち、「調理」が発生している時間帯が、上述の6通りの時間帯であることがわかる。発生時間帯間特徴抽出部305は、これらの行動発生時間帯の時間帯区分を分類した結果を行動発生時間帯特徴データ記憶部209に記憶させる。
【0106】
行動系列発生時間帯内特徴抽出部306は、行動系列発生時間帯抽出部304により抽出された複数日における特定の生活行動の発生時間帯に基づいて、分析対象時間帯における特定の生活行動の時間的な変化の特徴を抽出する。例えば、行動系列発生時間帯内特徴抽出部306は,複数日にわたる特定の生活行動の時間的な変化の特徴として、ある時間帯での行動発生頻度に関する特徴量を算出する。
【0107】
具体的には、行動系列発生時間帯内特徴抽出部306は,複数日における特定の生活行動の各発生時間帯内の開始時刻、終了時刻、継続時間の平均及び分散、及び高頻度な時間帯の度数占有率のいずれか一つまたは複数を抽出する。これにより、行動分析装置32は、生活行動の時間的な変化の特徴を数値化した特徴量で表すことができる。
【0108】
図25は、「調理」の発生時間帯の行動発生頻度に関する特徴量の抽出例を示す図である。この図は、
図23に示す「調理」の行動発生頻度に関する特徴量の抽出例である。ここでは、
図24に示す時間帯区分による分類とは関係なく、時間帯区分ごとに、開始時刻、終了時刻、継続時間、平均、分散などが、特徴量として抽出されている。
【0109】
なお、時間帯区分により分類されたパターンごとに平均、分散などが算出されて、特徴量として抽出されてもよい。また、平日/休日、降雨の有無,イベントの有無などのように生活行動を左右する要因の状態ごとに分析対象日が選択され,その分析対象日の時間帯区分ごとに平均、分散などが算出されて、特徴量として抽出されてもよい。これらの諸条件は、発生時間帯内特徴抽出条件入力部104で予め抽出条件として設定される。
また、行動系列発生時間帯内特徴抽出部306は、これらの抽出した特徴量を、行動発生時間帯特徴データ記憶部209に記憶させる。
【0110】
行動傾向推定部307は、発生時間帯間特徴抽出部305または行動系列発生時間帯内特徴抽出部306が抽出した特徴に基づいて、特定の生活行動の傾向を推定する。例えば、行動傾向推定部307は、行動発生時間帯特徴データ記憶部209および推薦情報蓄積DB210を参照して,現在の家庭10の生活行動の特徴から、生活行動のどのような傾向があるかを示す行動傾向ラベルによりラベリングする。そして、行動傾向推定部307は、そのラベリング結果に適した情報を選択する。
【0111】
以下に、推定方法について具体例を説明する。
図26は、複数の行動ラベルの行動発生時間帯区間の一例を示す図である。
図23では、一つの特定の行動ラベル(例えば「調理」)の例を示したが、この
図26では、「睡眠」、「外出」、「調理」のそれぞれの発生時間帯を示している。なお、「S−Psα」と「S−Peα」とのそれぞれは、「睡眠」の開始時刻の時間帯区分と終了時刻の時間帯区分とをそれぞれ示している(「α」は、0以上の整数)。また、「A−Psα」と「A−Peα」とのそれぞれは、「外出」の開始時刻の時間帯区分と終了時刻の時間帯区分とをそれぞれ示している。また、「C−Psα」と「C−Peα」とのそれぞれは、「調理」の開始時刻の時間帯区分と終了時刻の時間帯区分とをそれぞれ示している。
【0112】
行動傾向推定部307は、時間帯区分ごとの発生頻度(度数の大小)に基づいて生活行動の傾向を推定してもよい。例えば、行動傾向推定部307は、以下の「条件1」を充足する場合、行動傾向ラベルとして「自宅で調理派」をラベリングする。
「条件1」:1日1回以上「調理」の生活行動が発生する日数の割合が0.8以上である。
【0113】
また、行動傾向推定部307は、行動系列発生時間帯内特徴抽出部306が抽出した特徴量に基づいて生活行動の傾向を推定してもよい(例えば、以下の「条件2」、「条件3」、「条件4」による推定)。
【0114】
例えば、行動傾向推定部307は、以下の「条件2」を充足する場合、行動傾向ラベルとして「自宅でディナー調理派」をラベリングする。
「条件2」:1日のなかで15時から21時までに1回以上「調理」の生活行動が発生する日数の割合が0.6以上である。
【0115】
また、行動傾向推定部307は、以下の「条件3」を充足する場合、行動傾向ラベルとして「夕方外出派」をラベリングする。
「条件3」:1日のなかで15時から21時までに1回以上「外出」の生活行動が発生する日数の割合が0.5以上である。
【0116】
また、行動傾向推定部307は、以下の「条件4」を充足する場合、行動傾向ラベルとして「ディナー調理時間キッチリ派」をラベリングする。
「条件4」:1日のなかで15時から21時までに1回以上「調理」の生活行動が発生する日のうちのすべての時系列区分の組合せ(C−Psα、C−Peα)で、「調理」の終了時刻のトップの時刻の出現割合が(C−Psα、C−Peα)のそれの0.8以上。
【0117】
また、行動傾向推定部307は、複数の行動ラベルの発生時間帯の関係に基づいて生活行動の傾向を推定してもよい。例えば、行動傾向推定部307は、以下の「条件5」を充足する場合、行動傾向ラベルとして「調理〜睡眠接近派」をラベリングする。
「条件5」:1日のなかで15時から21時までに1回以上「調理」の生活行動が発生する日で、1日の最後の「調理」の終了時刻と「睡眠」との時間間隔が1時間未満の割合が0.3以上。
【0118】
なお、行動傾向推定部307は、時間帯区分ごとの発生頻度(度数の大小)に基づいて情報を発信するタイミングを設定してもよい。例えば、行動傾向推定部307は、「睡眠」、「外出」、「調理」の生活行動の発生割合が0.2未満である時間帯を、生活行動の傾向に応じた情報を家庭10に対して送信するタイミングとして選択してもよい。
図26に示す例では、「睡眠」、「外出」、「調理」の生活行動の発生割合が0.2未満である時間帯は、「8時から12時の直前まで」、「14時から16時の直前まで」、及び「20時から22時の直前まで」の各時間帯である。
【0119】
図27は、生活行動の傾向を推定する別の例を説明する説明図である。この図は、
図26の「調理」に関するデータのみを抜き出して示している。この図では、17〜21時(17時から22時の直前まで)に調理が終了している「調理」の生活行動から、「調理」傾向が推定される。
【0120】
例えば、12日分(12回分)の「調理」(C−01〜C−12)のデータのうち、時間帯区分(C-Ps0、C-Pe2)での「調理」の発生が10回で、発生無し2回である。このことから、行動傾向推定部307は、行動傾向ラベルとして「調理機会が多い」、「調理パターンが少ない」、「調理時間帯が安定」などをラベリングする。また、行動傾向推定部307は、終了時刻の分散が小さいことから、「調理時間調整意識が高い」をラベリングしてもよい。また、行動傾向推定部307は、調理にかかった時間の分散が大きいことから、行動傾向ラベルとして「調理のレパートリーが多い」をラベリングしてもよい。
【0121】
図28は、
図27に対して生活行動の発生時間帯が異なる例の説明図である。この図では、
図27を参照して説明した例と同様に、17〜21時(17時から22時の直前まで)に調理が終了している「調理」の生活行動から、「調理」の傾向が推定される。
【0122】
この例では、12日分(12回分)の「調理」(C−01〜C−12)のデータのうち、時間帯区分(C-Ps2、C-Pe2)での「調理」の発生が1回であり、時間帯区分(C-Ps3、C-Pe2)での「調理」の発生が2回である。また、時間帯区分(C-Ps0、C-Pe2)での「調理」の発生が1回であり、発生無し2回である。これにより、行動傾向推定部307は、行動傾向ラベルとして「調理機会が多い」、「調理パターンが多い」、「調理時間帯が不安定」などをラベリングする。
【0123】
また、行動傾向推定部307は、終了時刻の分散が大きいことから、「調理時間調整意識が低い」をラベリングしてもよい。また、行動傾向推定部307は、調理にかかった時間の分散が大きいことから、「調理のレパートリーが多い」をラベリングしてもよい。
【0124】
そして、行動傾向推定部307は、
図27または
図28を参照して説明した行動傾向ラベルの組合せを用いて、いずれの情報を優先的に配信するかを規定する優先ルールが、予め推薦情報蓄積DB210に登録されていてもよい。
【0125】
図29は、配信する情報の優先ルールの登録情報の一例を示す図である。ここでは、例えば「外食レストラン紹介」、「中食紹介」、「食材特売」、「保存容器など余り物のメンテナンス商品の紹介」、「調理方法アドバイス」などの推薦情報がある場合を例にしている。これらの推薦情報のうちいずれの情報を優先的に配信するかが、行動傾向ラベルの組合せにより規定されている。
【0126】
ここでは、行動傾向ラベルとして、「調理機会」が多い(○)か少ない(×)か、「調理時間安定性」が高い(○)か低い(×)か、「時間調整意識」が高い(○)か低い(×)か、「レパートリー」が多い(○)か少ない(×)かの組合せにより規定されている。
【0127】
例えば、「調理機会」が多く(○)、「調理時間安定性」が高く(○)、「時間調整意識」が高く(○)、「レパートリー」が多い(○)とする。この場合、「外食レストラン紹介」、「中食紹介」、及び「調理方法アドバイス」の優先度は低くなる。一方、「食材特売」、「保存容器など余り物のメンテナンス商品の紹介」の優先度は高くなる。
【0128】
このように、行動傾向推定部307は、特定の生活行動に関連するユーザに提供する情報の複数の候補が記憶されている推薦情報蓄積DB210を参照する。そして、行動傾向推定部307は、当該複数の候補のうち特定の生活行動に関連するユーザに提供する情報の優先度を、推定した特定の生活行動の傾向に基づいて決定する。これにより、行動分析装置32は、生活スタイルに合った情報を優先して提供することができる。
【0129】
次に、出力部400の構成について説明する。
出力部400は、行動傾向反映推薦情報出力部401を備えている。行動傾向反映推薦情報出力部401は、行動傾向推定部307が推定した特定の生活行動の傾向に基づいて、特定の生活行動に関連するユーザに提供する情報を出力する。
【0130】
また、行動傾向反映推薦情報出力部401は、特定の生活行動に関連するユーザに提供する情報を、その特定の生活行動の発生時間帯に基づいて指定された時間に出力してもよい。例えば、行動傾向反映推薦情報出力部401は、その生活行動の発生時間帯の中の指定された時間に、提供する情報を出力してもよい。また、行動傾向反映推薦情報出力部401は、その生活行動の発生時間帯の中の指定された時間外に、提供する情報を出力してもよい。これにより、行動分析装置32は、生活すたるにあった情報を適切なタイミングで提供することができる。
【0131】
以下、特定の生活行動の傾向に基づいて提供する情報の選択例を具体的に説明する。
図30は、特定の生活行動の傾向に基づいて提供するメッセージの一例を示す図である。この図に示す例では、家庭特徴IDと、行動傾向ラベルと、メッセージと、採用率とが、関連付けられている。家庭特徴IDは、生活行動の傾向の特徴の定義ごとに付されている識別情報である。行動傾向ラベルとしては、ここでは、
図29の例と同様に「調理機会」、「調理時間安定性」、「時間調整意識」、及び「レパートリー」の組合せの例である。メッセージは、提供するメッセージの候補である。採用率は、同一の家庭特徴IDのなかで、各メッセージの候補から実際に提供されるメッセージとして採用される確率である。これらの情報は、予め推薦情報蓄積DB210に記憶されている。
【0132】
例えば、家庭特徴ID「01」は、「調理機会」が多く(○)、「調理時間安定性」が高く(○)、「時間調整意識」が高く(○)、「レパートリー」が多い(○)組合せの特徴をもつ家庭10に提供するメッセージの候補が定義されている。ここでは、メッセージの候補として、「いつもごちそうありがとう!」と、「いつもの調理に一工夫!」とが定義されており、前者の採用率が「0.8」で、後者の採用率が「0.2」である。
【0133】
また、行動傾向反映推薦情報出力部401は、行動傾向推定部307により決定された提供する情報の優先度(例えば、
図29参照)に基づいて、実際に提供する情報を選択して出力する。
【0134】
図31は、提供する情報の優先度に基づいて情報を選択する例を示す樹形図である。この図では、家庭特徴IDがルートであり、各家庭特徴IDは、推薦ジャンルを下位ノードとして持ち、各推薦ジャンルは、広告コンテンツを下位ノードとして持つ。各家庭特徴IDからいずれの推薦ジャンルが選択されるかの選択確率は、例えば
図29に示す行動傾向推定部307が決定した提供する情報の優先度に基づいて予め設定される。
【0135】
例えば、家庭特徴ID「01」から各推薦ジャンル(「外食」(外食レストラン紹介)、「食材特売」、「惣菜」(中食紹介))が選択される選択確率は、それぞれ「0.35」、「0.35」、「0.30」に設定されている。また、推薦ジャンルとして「外食」が選択された場合に、さらに選択される広告コンテンツの候補が設定されている。例えば、広告コンテンツの候補として、「たまには外でゆっくりごはん、×□代官山」(採用率:0.3)、「本場のスペインの味、グラッツィエ☆□」(採用率:0.15)、・・・など、が設定されている。
【0136】
つまり、分析する対象の家庭10について推定された行動傾向ラベルの組合せに合致する家庭特徴IDが、例えば家庭特徴ID「01」であったとする。この場合、推薦ジャンルとして、「外食」、「食材特売」、「惣菜」のいずれかが、それぞれ「0.35」、「0.35」、「0.30」の選択確率で選択される。そして、例えば、推薦ジャンルとして「外食」が選択された場合には、実際に提供する広告コンテンツが広告コンテンツの候補の中から上述の採用率に応じて選択される。
【0137】
図32は、
図31のうち、推薦ジャンルが「外食」の広告コンテンツに対して、さらに発信タイミングの選択ルールを示す図である。この図に示す選択ルールのように、行動分析装置32では、各広告コンテンツの候補ごとに、各行動ラベルの発生時間帯の情報に基づいて広告コンテンツの発信タイミングを設定することができる。ここでは、各広告コンテンツに対して、発生タイミングの候補とその選択確率とが選択ルールとして設定されている。例えば、広告コンテンツ「たまには外でゆっくりご飯、×□代官山」の場合、2種類の発信タイミングの候補が設定されており、それぞれの選択確率に従って選択された発信タイミングで広告コンテンツが行動分析装置32から家庭10へ提供される。ここでは、主に午前中に発生する調理行動が終わった後から12時までの期間(選択確率:0.4)と、「外出」が発生した後から「睡眠」が発生する前までの期間(選択確率:0.6)とが発信タイミングの候補として設定されている。なお、主に午前中に発生する調理行動が終わった後から12時までの期間は、例えば、0時から10時までに発生した「調理」の終了時間帯の終了後から12時までの期間、として設定されている。また、「外出」が発生した後から「睡眠」が発生する前までの期間は、例えば、最も頻度の高い「外出」の発生時間帯の終了時間帯の終了後から,最も頻度の高い「睡眠」の発生時間帯の開始時間帯の開始前までの期間、として設定されている。
【0138】
次に、
図33を参照して、提供する情報と出力タイミングとを選択する処理について説明する。
図33は、提供する情報と出力タイミングとを選択する処理の一例を示すフローチャートである。
【0139】
まず、分析する対象の家庭10について,その家庭10の生活行動の推定結果に基づいてラベリングされた行動傾向ラベルが指定される(ステップS401)。この行動傾向ラベルは、分析者によって指定されてもよい。また、分析者が家庭10を選択することにより行動傾向推定部307がその家庭10についてラベリングした行動傾向ラベルを指定してもよい。
【0140】
次に、ステップS402〜S405において、行動傾向反映推薦情報出力部401は、定義された家庭特徴IDの数分について、ステップS403〜S404の処理を行う。そして、家庭特徴IDの数分の処理が終了すると、行動傾向反映推薦情報出力部401は、ステップS406の処理に進める。
【0141】
まず、ステップS403において、行動傾向反映推薦情報出力部401は、各家庭特徴IDの行動傾向ラベルを順番に、指定した家庭10の行動傾向ラベルに合致しているか否かを判定する。ステップS403において、指定した家庭10の行動傾向ラベルに合致していると判定された場合(YES)、行動傾向反映推薦情報出力部401は、その合致した家庭特徴IDをすべて保持する(ステップS404)。一方、ステップS403において、指定した家庭10の行動傾向ラベルに合致していないと判定された場合(NO)、行動傾向反映推薦情報出力部401は、ステップS403に処理を戻し、次の家庭特徴IDの行動傾向ラベルについて判定する。
【0142】
そして、家庭特徴IDの数分の処理が終了すると、行動傾向反映推薦情報出力部401は、ステップS406の処理に進める(ステップS405)。
【0143】
ステップS406において、行動傾向反映推薦情報出力部401は、合致した家庭特徴IDがあるか否かを判定する。ステップS406において、合致した家庭特徴IDがないと判定された場合(NO)、行動傾向反映推薦情報出力部401は、情報を配信せずに処理を終了する。
【0144】
一方、ステップS406において、合致した家庭特徴IDがあると判定された場合(YES)、行動傾向反映推薦情報出力部401は、その家庭特徴IDの選択確率に応じて、推薦ジャンル及び推薦する広告コンテンツを選択する(
図31参照)。このとき選択確率の積に,さらに重み係数(0〜1のランダム値など)をかけスコアリングしてもよい(ステップS407)。
【0145】
続いて、行動傾向反映推薦情報出力部401は、予め決められた上限数以下になるように、推薦する広告コンテンツ、及び1日の中の発信タイミングを選択する(ステップS408、
図32参照)。ここで、予め決められた上限数とは、例えば、表示可能なコンテンツの上限数である。
【0146】
そして、行動傾向反映推薦情報出力部401は、選択した広告コンテンツを、選択した発信タイミングで出力して、家庭10に対して配信する(ステップS409)。なお、行動傾向反映推薦情報出力部401は、広告コンテンツのみならず、メッセージ、または行動傾向ラベルに基づく情報(即ち、生活行動の傾向を示す情報)等を、ユーザに提供する情報をして出力してもよい。
【0147】
これにより、家庭10の情報端末15は、サーバ30から送信された広告コンテンツ、メッセージ、または行動傾向ラベルに基づく情報を、ユーザに提供する情報として取得して表示する。
【0148】
図34は、情報端末15の表示部の表示例を示す図である。この図に示す表示例では、家庭10において現在使用されている総電力量(符号D10)、今月の使用電力量(符号D20)、部屋ごとまたは家電製品13ごとの現在の使用電力量(符号D30)などが表示されている。また、行動分析装置32が分析した分析結果に基づく情報が、表示されている(符号D40)。ここでは、行動傾向ラベルに基づく情報(符号D41)、メッセージ(符号D42)、及び、広告コンテンツ(符号D43)が表示されている。
【0149】
以上説明してきたように、第1の実施形態よる行動分析装置32は、複数日にわたる特定の生活行動の時間的な変化の特徴を抽出する行動特徴抽出部として、発生時間帯間特徴抽出部305と、行動系列発生時間帯内特徴抽出部306と、を持つ。また、行動分析装置32は、特定の生活行動の時間的な変化の特徴に基づいてその生活行動の傾向を推定する行動傾向推定部307を持つ。これにより、行動分析装置32は、通常の生活スタイルを適切に推定することができる。また、行動分析装置32は、生活スタイルに合った情報を、その生活を送っているユーザに対して提供することができる。
【0150】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る行動分析システムについて説明する。
第2の実施形態に係る行動分析システムは、
図2に示す行動分析システム1に対して、行動分析装置32に代えて行動分析装置32Aを備えている点が異なる。行動分析装置32A以外の構成は、
図2に示す行動分析システム1と同様であり、その説明を省略する。
【0151】
図35は、第2の実施形態に係る行動分析装置32Aの概略構成の一例を示すブロック図である。なお、この図において、
図2の各部に対応する構成には同一の符号を付しており、その説明を省略する。行動分析装置32Aは、入力部100Aと、記憶部200Aと、演算部300Aと、出力部400と、を備えている。
【0152】
入力部100Aは、行動ラベル推定条件入力部102と、行動系列発生時間帯抽出条件入力部103と、発生時間帯内特徴抽出条件入力部104と、行動傾向推定条件入力部105と、を備えている。即ち、入力部100Aは、
図2に示す入力部100に対して、電気製品稼働状態推定条件入力部101を備えていない点が異なる。
【0153】
記憶部200Aは、電気製品操作履歴データ記憶部202と学習用行動記録データ記憶部206と、行動ラベル系列データ記憶部207と、行動系列発生時間帯データ記憶部208と、行動発生時間帯特徴データ記憶部209と、推薦情報蓄積DB210と、を備えている。即ち、記憶部200Aは、
図2に示す記憶部200に対して、電気製品電力計測データ記憶部201と、電気製品状態履歴データ記憶部203と、人感センサ計測データ記憶部204と、温湿照度センサ計測データ記憶部205と、を備えていない点が異なる。
【0154】
演算部300Aは、行動ラベル推定部303Aと、行動系列発生時間帯抽出部304と、発生時間帯間特徴抽出部305と、行動系列発生時間帯内特徴抽出部306と、行動傾向推定部307と、を備えている。即ち、演算部300Aは、
図2に示す演算部300に対して、電気製品稼働状態推定部301と、電気製品状態履歴収集部302と、を備えていない点が異なる。また、行動ラベル推定部303Aの機能が、
図2に示す行動ラベル推定部303と異なる。
【0155】
行動ラベル推定部303Aは、電気製品操作履歴データ記憶部202に記憶されている操作履歴データと、学習用行動記録データ記憶部206に記憶されている学習用行動記録データとに基づいて、生活行動を推定する。なお、推定する際に用いられる行動ラベルとその行動ラベルの発生条件とは、行動ラベル推定条件入力部102に入力されて設定されている。
【0156】
このように、第2の実施形態による行動分析装置32Aは、各電気製品の操作履歴データを用いて、生活行動を推定する。これにより、行動分析装置32Aは、家庭10内の各電気製品の電力量の計測データ、人感センサ計測データ、及び温湿照度計測データを用いずに、生活スタイルを適切に推定することができる。よって、行動分析装置32Aは、家庭10内の電力量を計測する装置や各種センサ14等を設置することなく、第1の実施形態よりも低コストで生活スタイルを推定することができる。
【0157】
なお、上記第1の実施形態では、行動分析装置32が各電気製品の電力量の計測データ、操作履歴データ、人感センサ計測データ、及び温湿照度計測データを用いて、生活行動を推定する例を説明した。また、第2の実施形態では、行動分析装置32Aが各電気製品の操作履歴データを用いて、生活行動を推定する例を説明した。しかし、生活行動を推定する方法はこれらに限られるものではない。例えば、各電気製品の操作履歴データ、人感センサ計測データ、及び温湿照度計測データを用いずに、各電気製品の電力量の計測データを用いて、生活行動を推定する方法としてもよい。また、各電気製品の操作履歴データを用いずに、各電気製品の電力量の計測データ、人感センサ計測データ、及び温湿照度計測データを用いて、生活行動を推定する方法としてもよい。
【0158】
また、上記第1、第2の実施形態において、家庭10を生活行動の分析対象として説明したが、これに限られるものではない。世帯、家族、集合住宅、会社、組織、等を生活行動の分析対象としてもよい。
【0159】
また、
図2に示す記憶部200と
図35に示す記憶部200Aとは、それぞれ行動分析装置32と行動分析装置32Aとに備えられなくてもよい。例えば、記憶部200(200A)は、サーバ30内における行動分析装置32(32A)以外の構成として備えられてもよい。また、記憶部200(200A)は、サーバ30の外部に備えられてもよい。その場合、行動分析装置32(32A)は、外部に備えられた記憶部200(200A)にネットワーク20を介して接続することで、内部に備えた場合と同様に記憶部200(200A)に記憶されているデータを利用することができる。
【0160】
また、
図2に示す行動分析装置32及び
図35に示す行動分析装置32Aが、出力部400を備える構成として説明したが、出力部400を外部に備えるようにしてもよい。つまり、行動分析装置32及び行動分析装置32Aは、生活行動の傾向を推定するまでの装置として構成されてもよい。そして、行動分析装置32及び行動分析装置32Aが推定した生活行動の傾向に応じた情報の提供は、行動分析装置32及び行動分析装置32A以外の装置が行うようにしてもよい。
【0161】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、特定の生活行動の時間的な変化の特徴に基づいてその生活行動の傾向を推定するため、生活スタイルを適切に推定することができる。
【0162】
上述した実施形態における行動分析装置32(32A)の機能をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0163】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。