(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記凹所は、前記下降位置にある前記昇降バーが前記保持面から突出することなく前記支持台内に収容される大きさを有することを特徴とする請求項1または2に記載のステージ。
前記昇降バーは、その長手方向と直交する断面の形状が矩形となる棒状形状を有し、前記凹所は、該凹所が伸びる方向と直交する断面の形状が矩形となる形状を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のステージ。
【背景技術】
【0002】
近年、盛んに開発が進められている液晶表示パネルおよび有機ELパネルは、配線や薄膜トランジスタ等を含む電気回路が形成されたガラス基板を用いて製造され、例えば、製造工程中に、プローバを用いて点灯検査等と称される電気的検査を受ける。この検査では、通常、プローバに組み込まれたステージ上に、負圧を利用して板状の試料である液晶表示パネルや有機ELパネルが吸着固定され、保持される。このように基板や液晶表示パネル等の板状の試料を吸着固定して保持するステージは、従来から、吸着テーブル等とも称されている。
【0003】
検査を受けた板状の試料をステージから安全かつ迅速に取り外すために、ステージの保持面には、試料を浮き上がらせるための複数の昇降ピンを設けることができる(例えば、特許文献1参照)。この昇降ピンは、ステージにおいて、その保持面から突出可能に設けることができる。
【0004】
突出位置にある昇降ピンは、保持面の上方で搬送ロボットから検査対象となる試料を受け取ると、保持面下に下降する。この昇降ピンの下降によって保持面上に試料が移動すると、ステージに組み込まれた負圧機構によって保持面に負圧が作用する。試料が検査を受ける間、その試料は上述の負圧によって確実に保持面に吸着固定され、保持される。検査後は、昇降ピンの上昇に伴い、試料が保持面から所定の上昇位置まで持ち上げられる。昇降ピンによって保持面から上昇位置に持ち上げられた試料は、搬送ロボットによってステージから除去される。
【0005】
しかし、上述した昇降ピンと検査対象となる板状の試料との接触面積が小さいことから、試料の大型化・大面積化による重量増加に伴い、試料が昇降ピンとの接触部で受ける局所的な応力は大きくなる。このとき、例えば、ガラス基板等を用いて構成された板状の試料での局所的な応力の集中は、当該試料に大きな歪力を与えることになって望ましくない。
【0006】
そこで、上述した昇降ピンに代えて、板状の試料を保持する保持面に、その保持面を横切って配置される複数の昇降バーを設けたステージが提案されている(例えば、特許文献2参照)。このステージは、昇降バーを用い、保持面の上方で搬送ロボットから試料を受け取ってその保持面に試料を載せることや、保持面からの試料の持ち上げを行って搬送ロボットに試料を渡すことができ、試料の受け渡しを行うことができる。
【0007】
特許文献2に記載のステージにおいては、矩形の保持面の上方で板状の試料の受け渡しを行う昇降バーが、複数個、保持面の長手方向に沿って、その保持面を横切るように設けられている。また、ステージの保持面には、その保持面の長手方向に沿って互いに並行して伸びるように、複数の凹所が設けられている。このステージにおいて、複数の凹所は、それぞれが保持面の長手方向の端部で開放されて、複数の昇降バーをそれぞれ、保持面から突出することなく収容できるように形成されている。
【0008】
そして、特許文献2に記載のステージはさらに、複数の昇降バーを一括して昇降可能に支持するための支持機構を含む昇降機構を備えている。昇降機構の支持機構は、複数の凹所がそれぞれ解放するステージの両方の端部で、複数の昇降バーそれぞれの末端部分を支持するように構成される。そして、昇降機構は、支持機構を介して、昇降バーが上述の凹所から突出する上昇位置と、昇降バーが上述の凹所に収容されて突出しない下降位置との間で、その昇降バーの昇降動作を制御することができる。
【0009】
以上のような構成を有することにより、特許文献2に記載のステージは、板状の試料の受け渡しに際し、従来の昇降ピンを用いた点状の接触部による支持から、昇降バーを用いた線状の接触部による支持が可能となる。その結果、特許文献2に記載のステージは、試料の受け渡し時に試料との間で、支持のための接触面積を増大させることができ、試料に与える歪力を低減することができる。そして、そのステージは、昇降バーを用いて、歪力を低減しながら、保持面の上方で板状の試料の受け渡しを行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した特許文献2に記載のステージにおいては、板状の試料の大型化・大面積化に伴い、昇降バーの長尺化が必要となる。その結果、昇降バーでは、自重による撓み変形が問題となることがあった。
【0012】
すなわち、上述した特許文献2に記載のステージにおいては、複数の昇降バーのそれぞれが、末端部分で昇降機構の支持機構によって支持されている。したがって、昇降バーでは、支持機構に支持された状態で、下方側に向かって撓んだ状態となる撓み変形が問題となることがあった。そして、昇降バーは、板状の試料を搭載してそれを支持する場合、さらに試料の重みが加わって、上述の撓み変形が助長されることがあった。
【0013】
その結果、昇降バーに搭載された板状の試料が、昇降バーと同様に撓み変形して、最終製品となったときの悪影響が懸念される場合があった。
【0014】
また、昇降バーを用いた従来のステージの場合、上述したように、下降位置にある昇降バーの収容スペースとなる凹所を保持面に設ける必要があるが、それを設けるに際し、昇降バーの撓み変形を考慮する必要がある。そして、ステージの凹所は、昇降バーの撓み変形が増大した場合、下降位置にある昇降バーが突出しないように、昇降バーの撓み変形の増大を考慮したより大きなサイズで形成することが求められる。その結果、ステージの剛性は低下し、保持面の平面精度の低下が懸念される。
【0015】
また、昇降バーの剛性を向上させて撓みを軽減するように昇降バーの断面のサイズを変更した場合、その変更に対応して、凹所のサイズを変更させる必要がある。すなわち、昇降バーにおいて剛性を高めるため、断面のサイズを増大させた場合、その収容スペースである凹所では、昇降バーの断面サイズの増大に対応して、サイズを増大させる必要がある。その結果、ステージの剛性は低下し、保持面の平面精度の低下が懸念される。
【0016】
そのような懸念に対し、昇降バーの構成材料として、より高い剛性を示す材料を使用して対応することも可能である。例えば、昇降バーの構成に、従来用いられてきたアルミニウム材料に代えて高剛性のCFRP材を使用することが可能である。しかし、そうした材料を使用した場合、昇降バーの撓みを低減することができる一方で、ステージの製造コストが増大し、ステージの生産性を低下させる懸念があった。
【0017】
さらに、昇降バーの支持機構において、昇降バーが伸びる方向に昇降バーの両方の端部を引っ張る等して、昇降バーの撓み変形を低減させる機構を設けることも可能である。しかし、そのような追加の機構を取り付けるためのスペースが必要となる他、ステージの製造コストも増大させて、その生産性を低下させる懸念があった。
【0018】
すなわち、従来の昇降バーを用いたステージにおいては、低コスト且つ簡便に昇降バーの撓み変形による問題を低減し、昇降バーの収容スペースである凹所を大きく設けること等の煩雑さを回避するのは困難であった。
【0019】
そこで、ステージにおいては、板状の試料の昇降に昇降バーを用いる一方で、昇降バーの撓みによって生じる撓み変形の問題を簡便且つ低コストで低減する技術が求められている。
【0020】
本発明は、こうした課題に鑑みてなされたものである。
【0021】
すなわち、本発明の目的は、試料を昇降させるための昇降バーを有するとともに、その昇降バーの撓み変形を低減するステージを提供することにある。
【0022】
本発明の他の目的および利点は、以下の記載から明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の第1の態様は、板状の試料を保持するステージであって、
前記試料を載置する保持面を備える支持台と、
前記保持面を横切って配置される複数の昇降バーと、
前記昇降バーを前記支持台内に収容するよう前記保持面に互いに並行して伸びるように設けられる複数の凹所と、
前記昇降バーを昇降可能に支持する支持機構と、
前記昇降バーを前記凹所から突出する上昇位置と、前記凹所に収容される下降位置との間で昇降するよう前記支持機構の動作を制御する昇降装置とを含み、
前記昇降バーは、前記支持機構の支持によって生じる撓みを相殺するように、予め撓み変形が付与された形状を有することを特徴とするステージに関する。
【0024】
本発明の第1の態様において、前記支持台は、前記保持面に吸着口を有し、前記試料を吸着させて保持することが好ましい。
【0025】
本発明の第1の態様において、前記凹所は、前記下降位置にある前記昇降バーが前記保持面から突出することなく前記支持台内に収容される大きさを有することが好ましい。
【0026】
本発明の第1の態様において、前記昇降バーは、その長手方向と直交する断面の形状が矩形となる棒状形状を有し、前記凹所は、該凹所が伸びる方向と直交する断面の形状が矩形となる形状を有することが好ましい。
【0027】
本発明の第2の態様は、板状の試料を保持するステージであって、
前記被検査試料を載置する保持面を備える支持台と、
前記保持面を横切って配置される複数の昇降バーと、
前記昇降バーを前記保持面から突出することなく前記支持台内に収容するよう前記保持面に互いに並行して伸びるように設けられる複数の凹所と、
前記昇降バーが取り付けられて該昇降バーを昇降可能に支持する支持機構と、
前記昇降バーを前記凹所から突出する上昇位置と、前記凹所に収容される下降位置との間で昇降するように前記支持機構の動作を制御する昇降装置とを含み、
前記昇降バーは、予め上面側が凸状に反るよう撓み変形が付与された形状を有し、該凸状に反る上面側が上方側を向くように、前記支持機構に取り付けられることを特徴とするステージに関する。
【0028】
本発明の第2の態様において、前記支持台は、前記保持面に吸着口を有し、前記試料を吸着させて保持することが好ましい。
【発明の効果】
【0029】
本発明の第1の態様によれば、試料を昇降させるための昇降バーを有するとともに、その昇降バーの撓み変形を低減するステージが提供される。
【0030】
また、本発明の第2の態様によれば、試料を昇降させるための昇降バーを有するとともに、その昇降バーの撓み変形を低減するステージが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態のステージについて、適宜図面を用いて説明する。
【0033】
図1は、本発明の実施形態のステージの一例を搬送ロボットとともに模式的に示す平面図である。
【0034】
本発明の実施形態の一例であるステージ10は、
図1に示すように、板状の試料12を載置してそれを保持するのに使用することができる。ここで、板状の試料12としては、表示素子の構成に用いられる液晶パネルや、表示素子または照明装置等の構成に用いられる有機ELパネルや、液晶パネルおよび有機ELパネル等の構成に用いられる基板等を挙げることができる。
【0035】
そして、ステージ10は、例えば、基板や液晶パネルや有機ELパネルのような試料12を検査するためのプローバ(図示されない)に組み込まれて使用することも可能である。
図1は、搬送ロボット14との間で試料12の受け渡しを行う例を模式的に示している。
【0036】
図1に示すように、搬送ロボット14は、公知の構造を有し、ベース16上をステージ10に向かう方向およびステージ10から離れる方向の両方向に移動可能な可動台18と、可動台18上に設置された支柱20に同軸的に支持され、軸線の周りに回転動作し、またその軸線に沿って支柱20に関して伸縮動作する軸部材22とを備える。この回転および伸縮動作が可能な軸部材22には、板状の試料12を載せるためのフォーク状のロボットアーム24が固着されている。
【0037】
搬送ロボット14は、例えば、図示されないカセットから、そのカセットに収容された基板や液晶パネル等の板状の試料12をロボットアーム24上に受け取ると、軸部材22を伸長させた状態でロボットアーム24がステージ10上に向けて移動するように、可動台18を作動させる。その後、軸部材22が収縮動作され、試料12がステージ10上に移されると、この収縮状態でロボットアーム24がステージ10から離れるように可動台18が作動される。
【0038】
また、ステージ10上の試料12の電気的な検査または視覚的な検査が終了すると、搬送ロボット14は、軸部材22を収縮させた状態でロボットアーム24がステージ10上の試料12の下に挿入されるように、可動台18をステージ10へ向けて作動させる。その後、軸部材22が伸長動作されることにより、ステージ10上に保持された試料12がロボットアーム24上に移されると、搬送ロボット14は、この伸長状態でロボットアーム24がステージ10から離れるように、可動台18を作動させる。この搬送ロボット14の動作によって、試料12がステージ10から搬送ロボット14を経て上述したカセットに移される。
【0039】
搬送ロボット14との間で試料12の受け渡しを行うステージ10は、板状の試料12を保持する保持面26aを備えた支持台26を有する。ステージ10の支持台26は、
図1に示される例では、公知のXYZθ移動スタンド28上に載置されている。したがって、支持台26は、従来におけると同様に垂直軸であるZ軸の周りに回転可能であり、またZ軸に直角なXY面上でそれぞれX軸およびY軸に沿って移動可能である。
【0040】
図2は、本発明の実施形態の一例であるステージの模式的な平面図である。
【0041】
本発明の実施形態の一例であるステージ10は、その支持台26の保持面26aで、
図1の搬送ロボット14から受け渡された板状の試料12(
図2中では図示されない)を保持面26aに載置して保持する。この保持面26aは、
図1および
図2に示す例では、XY平面上で長辺および短辺を有する矩形形状を有する。そして、大型で大面積の試料12の載置も可能となるように、長辺の寸法は、例えば、1m〜4mとすることができ、短辺の寸法は、例えば、0.8m〜3mとすることができる。
【0042】
また、
図2に明確に示されるように、支持台26の保持面26aには、その長辺に沿って伸長し、その両端が支持台26の両側に開放する複数の細溝30aが形成されている。また、保持面26aには、保持面26a上で矩形状となる吸着口30bが形成されている。
【0043】
吸着口30bには、保持面26aに板状の試料12を載置して保持するときに、試料12を吸着するための負圧が負圧源(図示されない)から導入される。したがって、ステージ10の支持台26は、保持面26aに吸着口30bが形成されて負圧開口が開放するように構成されており、板状の試料12を保持面26aに吸着させて保持することができる。
【0044】
保持面26aに形成された細溝30aは、帯電防止用の溝である。細溝30aは、試料12を保持面26aから引き離すとき、試料12と保持面26aとの間に空気を取り込むことにより、試料12と保持面26aと間に生じる空気流を弱める効果を示す。この細溝30aの効果によって、試料12と保持面26aと間の空気流によって試料12に導入される静電気の発生を抑制することができる。
【0045】
図3は、本発明の実施形態の一例であるステージの模式的な側面図である。
【0046】
図1〜
図3に示すように、支持台26の保持面26aには、その長辺に沿って直線状に伸長する複数の凹所32が形成されている。複数の凹所32は、保持面26aにおいて、互いに並行して伸びるように設けられている。特に
図3に示されているように、各凹所32は、支持台26の両側の端に達し、その両側で開放する。したがって、凹所32は、保持面26aの長辺の寸法に対応して、例えば、1m〜4mの長さで形成される。
【0047】
そして、各凹所32に対応して、保持面26aをその長辺方向に横切るように、複数の昇降バー34が配置されている。昇降バー34は、板状の試料12を載置して支持するための構成部材である。昇降バー34は、例えば、その長手方向と直交する断面の形状が矩形となる棒状形状を有することができる。そして、昇降バー34は、例えば、アルミニウム材を用いて構成することができる。
【0048】
昇降バー34は、支持台26の保持面26aから離れた上方、すなわち、上昇位置で板状の試料12の受け取りや引き渡しを行うのに用いられ、板状の試料12の受け渡しに際して、試料12に対して線状の接触部による支持を可能とする。そして、昇降バー34は、板状の試料12に生じる歪力を低減しながら、保持面26aと離間した上昇位置で、板状の試料12の受け取りや引き渡しを行うことができる。
【0049】
昇降バー34は、長手方向の寸法が、保持面26aの長辺と同じであるか、それより若干長い寸法であることが好ましい。したがって、昇降バー34の長手方向の寸法は、例えば、1mより若干長い寸法から4mより若干長い寸法であることが好ましい。昇降バー34がそのような長さ寸法を有することにより、後述するように、支持台26の両側の側方において、昇降バー34の両方の端部を対応する各支持機構36に取り付けることが容易となる。そして、昇降バー34を支持機構36によって容易に支持することができる。
【0050】
図2および
図3に示すように、支持台26の両側には、昇降バー34の支持機構36および昇降装置38がそれぞれ配置されている。支持機構36は、
図2および
図3に示されるように、支持台26の側方で支持台26に沿ってほぼ水平に配置された梁部材40を有する。尚、支持機構36は、梁部材40をZ軸に沿って垂直方向に案内するための複数のガイド装置(図示されない)を有することができる。支持台26の両側に配置された一対の梁部材40は、そのガイド装置により、支持台26の両側で、垂直方向へ移動可能に支持台26に保持されている。
【0051】
支持機構36は、さらに、
図2および
図3に示すように、各昇降バー34を梁部材40に結合するため、各昇降バー34に対応して各昇降バー34を支持する複数の支柱54を備える。各昇降バー34の端部は、対応する各支柱54の上端部に結合されている。そして、
図3に示されるように、各支柱54の下端部は、梁部材40に結合されている。したがって、ステージ10において、各昇降バー34は、対応する支柱54および梁部材40を介して、支持機構36に取り付けられて支持されるように構成されている。
【0052】
尚、本発明の実施形態の一例であるステージ10においては、支持機構36の各支柱54の上端部に、圧縮コイルスプリング等を用いた衝撃緩和機構(図示されない)を設けることができる。そのような衝撃緩和機構を有する場合、各昇降バー34の端部は、各衝撃緩和機構を介して対応する支柱54の上端部に弾性的に結合される。
【0053】
また、支持機構36においては、
図3に示されるように、各支柱54が、その下部に設けられた高さ調整機構72を介して対応する梁部材40に結合され、梁部材40に支持されるように構成することが可能である。この高さ調整機構72による支柱54の高さ位置の調整により、各支柱54に支持された昇降バー34の傾斜や高さ位置のばらつきを修正することができ、昇降バー34の上面34aを支持台26の保持面26aに平行な仮想平面に一致させることができる。そして、昇降バー34が安定して板状の試料を載置できるようにすることができる。
【0054】
以上のように、ステージ10において、昇降バー34は、支柱54および梁部材40等を介して支持機構36に取り付けられて支持される。このとき、昇降バー34は、上述した長さ寸法を有しており、従来から問題とされてきた自重による撓みの発生が懸念される。
【0055】
図4は、昇降バーに生じる撓みを説明するステージの模式的な正面図である。
【0056】
図4では、上面が試料の保持面26aとなる支持台26と、支持台26の両側に設けられた支持機構36と、支持機構36に取り付けられて支持される昇降バー34が模式的に示されている。
図4に示すように、昇降バー34は、両方の端部がそれぞれ、支持機構36の対応する支柱54に結合される。そして、その支柱54が高さ調整機構72を介して支持機構36の梁部材40に結合されることで、昇降バー34は支持機構36に取り付けられている。
【0057】
そして、昇降バー34は予め、例えば、従来技術と同様に、撓みや反りがなく真っすぐに伸長する棒状の部材として形成することが可能である。その場合、
図4に示すように、支持機構36に取り付けられた状態の昇降バー34は、両方の端部が支持機構36によって支持されているため、自重によって、垂直方向(Z方向)の下方側に凸状となる撓みが発生する。尚、
図4のステージ10では、昇降バー34が保持面26aの上方の上昇位置にある例が示されるが、その自重による撓みは、昇降バー34が凹所32に収容されて下降位置にある場合にも同様に発生する。すなわち、昇降バー34においては、支持機構36に取り付けられた状態であれば、上昇位置にあっても下降位置にあっても、自重による撓みが発生する。
【0058】
図4に示すような昇降バー34における撓みの発生は、以下のような問題を生じさせることになる。
【0059】
例えば、後述するように、昇降バー34は、支持機構36に取り付けられて支持がなされ、その状態で、
図3に示した昇降装置38(
図4には図示されない)によって昇降動作が制御される。そして、昇降動作における下降位置にある昇降バー34は、保持面26aから突出することがないように凹所32に収容される。
【0060】
したがって、ステージ10において、上述の凹所32を支持台26の保持面26aに設けるときには、下降位置にある昇降バー34の収容スペースとして十分に機能するように、昇降バー34の撓み変形を考慮する必要がある。そして、昇降バー34の撓み変形が増大した場合、ステージ10の凹所32は、下降位置にある昇降バー34が突出しないように、昇降バー34の撓み変形の増大を考慮した、より大きなサイズで形成されることが求められる。その結果、ステージ10の支持台26の剛性は低下し、保持面の平面精度が低下する懸念が生じてしまう。
【0061】
そこで、本発明の実施形態の一例であるステージ10においては、昇降バー34として、支持機構36の支持によって生じる撓みを相殺するように予め撓み変形が付与された形状を有するものが用いられる。
【0062】
図5は、本発明の実施形態の一例であるステージが有する昇降バーを模式的に示す正面図である。
【0063】
本発明の実施形態の一例であるステージ10において、昇降バー34は、
図5に示すように、一つの面の側、すなわち、図の上方側(Z軸方向上方側)である上面34aの側が凸状に反るように、予め、撓み変形が付与された形状を有する。
【0064】
図5に示す、本発明の実施形態の一例であるステージ10の昇降バー34は、撓みや反りがなく真っすぐに伸長する棒状の部材として形成した後、機械加工または曲げ加工を施すことにより形成することができる。
【0065】
尚、各昇降バー34の端部には、
図5に示すように、昇降バー34の上面34aに板状の試料(図示されない)が載ったとき、その試料の縁に当接して試料が昇降バー34の端部からはみ出すことを防止する肩部34bが形成されている。さらに、昇降バー34の上面34aの肩部34bに近接する領域には、試料の昇降バー34上での傾きによって試料の縁部が昇降バー34の上面34aに当接することを防止するための凹状の逃げ溝70が形成されている。この肩部34bと逃げ溝70については、昇降バー34を示す以降の図面において図示省略されることがある。
【0066】
図6は、本発明の実施形態の一例であるステージの要部構造を示す正面図である。
【0067】
図6では、
図1等に示したステージ10における、保持面26aを上部側に有する支持台26と、保持面26aの長辺に沿って直線状に伸長する凹所32と、保持面26aの長辺方向に沿って配置される昇降バー34と、昇降バー34を昇降可能に支持する支持機構36とが示されている。支持機構36は、昇降バー34に上部で結合して昇降バー34を支持する支柱54と、支柱54が高さ調整機構72を介して結合される梁部材40を含んで構成される。そして、
図6に示すステージ10では、昇降バー34が支持機構36に取り付けられて、保持面26aの上方である上昇位置にある。
【0068】
図6に模式的に示されるように、昇降バー34は、その凸状に反る上面34a側がZ軸方向の上方側(図の上方側)、すなわち、試料(図示されない)を載置する側を向くように、支持機構36に取り付けられる。支持機構36に取り付けられた状態の昇降バー34は、上述したように、両方の端部が、支持機構36の各支柱54によって支持されている。その結果、昇降バー34では、自重によって、図の下方側に向かって凸となるような撓みが発生する。
【0069】
しかしながら、本発明の実施形態の一例であるステージ10においては、予想される昇降バー34の撓みに対し、上述したような事前の対策が施されている。すなわち、
図5に示され、また、
図6に点線で模式的に示されたように、昇降バー34は、支持機構36の支柱54による両端の支持によって生じる撓みを相殺するように、予め撓み変形が付与された形状を有している。具体的には、昇降バー34は、支持機構36への取り付けによって生じる撓み、すなわち、図の下方側に凸となるような撓みに対して、その反対方向に凸となるような歪み変形が予め付与されて構成されている。
【0070】
したがって、本発明の実施形態の一例であるステージ10では、
図6に示すように、昇降バー34が支持機構36に取り付けられた状態で発生するその撓みは、少なくとも一部が、その昇降バー34に予め付与されていた撓み変形によって相殺される。
【0071】
その結果、昇降バー34においては、撓みの発生によって、予め付与されていた上述の撓み変形が減じられる。そして、昇降バー34は、支持機構36に支持された状態で、
図6に示すように、その直線性が向上し、真っすぐに伸長する直線状の形状により近くなる。そして、昇降バー34と保持面26aとの間の平行性はより向上されて、より平行に近い状態となる。したがって、本発明の実施形態の一例であるステージ10は、昇降バー34の上面34aに板状の試料を載置するに際し、試料に生じる撓み変形を低減することができる。
【0072】
また、本発明の実施形態の一例であるステージ10において、支持台26の保持面26aの凹所32は、上述したように、下降位置にある昇降バー34の収容スペースとなって、昇降バー34の撓み変形を考慮したサイズでの形成が求められる。したがって、本発明の実施形態の一例であるステージ10では、凹所32は、昇降バー34の歪み変形が考慮されるが、上述のように昇降バー34の直線性が向上されてその撓み変形がより小さくなっているため、従来の昇降バーを用いた技術に比べて、より小さいサイズで形成することができる。その結果、ステージ10の支持台26の剛性の低下を低減することができ、保持面26aの平面精度の低下を抑えることができる。
【0073】
このとき、本発明の実施形態の一例であるステージ10においては、昇降バー34に予め付与される撓み変形について、以下の例示が可能である。
【0074】
図7は、本発明の実施形態の一例であるステージにおいて、昇降バーが下降位置にある状態を示す昇降バーと凹所と支持台の模式的な断面図である。
【0075】
昇降バー34は、例えば、アルミニウム材料から形成することができる。そして、
図7に示すように、本発明の実施形態の一例であるステージ10において、昇降バー34は、その長手方向と直交する断面の形状が矩形となる棒状形状を有することができる。その場合、昇降バー34においては、載置する試料のサイズを考慮して、その長さを1310mmとすることができ、その矩形断面の高さ寸法(H)を10mm、幅寸法(W)を5mmとすることができる。
【0076】
そして、
図7に示すように、本発明の実施形態の一例であるステージ10では、昇降バー34が下降位置にあるとき、昇降バー34の上面34aをZ軸方向上方に向けながら、支持台26の保持面26aに形成された凹所32に収容される。
【0077】
このとき仮に、上記の形状と寸法を備えた昇降バー34について、撓み変形が予め付与されていない真っすぐな直線状の形状を有する場合を想定する。その場合、
図4に示すように、その両方の端部を支持機構36の支柱54で支持された状態で自重によって発生する最大の撓みは、図の下方側に向かって、約2mmとなる。したがって、そのような昇降バー34が支持機構36に支持された状態での撓み変形は、最大で、図の下方側に向かって、約2mmとなる。
【0078】
それに対し、昇降バー34を用いて板状の試料の受け渡しを行うステージ10においては、昇降バー34の自重による最大の撓み変形は1.0mm以下とすることが好ましく、0.5mm以下とすることがより好ましい。すなわち、本発明の実施形態の一例であるステージ10において、支持機構36に取り付けられた状態の昇降バー34の撓み変形は、許容範囲が1.0mm以下、より好ましくは0.5mm以下である。
【0079】
尚、昇降バー34の自重による撓み変形が0mmであるとき、支持機構36に取り付けられた状態の昇降バー34と支持台26の保持面26aとの間を、平行にすることができる。
【0080】
したがって、支持機構36に取り付けられる前の昇降バー34に予め付与される撓み変形は、昇降バー34の長さが1310mmである場合、1.0mm以上3.0mm以下であることが好ましい。すなわち、長さが1310mmの昇降バー34は、上面34a側が凸状に反るよう、1.0mm〜3.0mmの撓み変形が事前に付与された形状を有し、その凸状に反る上面34a側が上方側を向くように、支持機構36に取り付けられることが好ましい。このようにすることで、ステージ10においては、支持機構36で支持される昇降バー34の自重による最大の撓み変形を1.0mm以下、より好ましくは0.5mm以下とすることが可能となる。
【0081】
ここで、本発明の実施形態の一例であるステージ10において、昇降バー34は、載置する試料のサイズに対応し、具体的には、保持面26aの長辺の寸法にしたがって、例えば、1m〜4mの長さで形成される。そして、昇降バー34は、その長手方向と直交する矩形の断面形状の高さ寸法(H)および幅寸法(W)が、昇降バー34の剛性を考慮したうえで、昇降バー34の長さ寸法にしたがって上述の値から若干増減された値が設定される。
【0082】
しかしながら、ステージ10においては、支持機構36で支持される昇降バー34の自重による最大の撓み変形は、上述したように、例えば、1.0mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。
【0083】
したがって、昇降バー34の材質、長さ寸法、断面の形状、断面形状における高さ寸法(H)および幅寸法(W)を考慮し、昇降バー34が真っすぐに伸長する直線状の形状を有する場合を想定して、昇降バー34が両方の端部で支持された場合に生じる撓み変形の量をシミュレーションによって解析・計算し、または、実験・実測によって求めることが好ましい。そのうえで、昇降バー34に予め付与される撓み変形の量を決めることが好ましい。
【0084】
その結果、本発明の実施形態の一例であるステージ10においては、昇降バー34が1m〜4mの長さを有するとともに、その上面34aの側が凸状に反るよう、1.0mm〜5.0mmの撓み変形が事前に付与された形状を有し、その上面34a側が上方側を向くように、支持機構36に取り付けられることが好ましい。こうすることで、ステージ10においては、多様なサイズの試料を保持するとともに、支持機構36で支持される昇降バー34の自重による最大の撓み変形を所望の許容範囲内にすることができ、例えば、1.0mm以下、より好ましくは0.5mm以下とすることができる。
【0085】
そして、本発明の実施形態の一例であるステージ10は、以上の構造の昇降バー34を有するとともに、支持台26の保持面26aに設けられる各凹所32が、
図7に示したように、昇降バー34を収容可能な大きさを有する。すなわち、後に詳述するように、凹所32は、支持機構36に取り付けられた状態の昇降バー34を収容するに十分な幅寸法を有し、また収容された状態の昇降バー34の最も高い位置にある部分が保持面26aに一致する深さ寸法、または、保持面26aより低くなる位置になるような深さ寸法を有する。
【0086】
例えば、ステージ10において、昇降バー34は、
図7に示したように、その長手方向と直交する断面の形状が矩形となる棒状形状を有し、保持面26aの凹所32は、昇降バー34の形状に対応して、凹所32の伸びる方向と直交する断面の形状が矩形となる形状を有することができる。その場合、凹所32は、上述したように、支持機構に取り付けられて支持された状態の昇降バー34を収容するに十分な幅寸法を有し、また収容された状態の昇降バー34の上面が保持面26aに一致する深さ寸法を有する。
【0087】
このとき、従来技術のような、昇降バーに生じる撓みを考慮しない従来のステージでは、昇降バーの撓み変形に対応して、凹所をより大きく形成する必要がある。しかしながら、本発明の実施形態の一例であるステージ10では、昇降バー34において、自重による撓みの発生が考慮されて、予め昇降バー34にその撓みを相殺する撓み変形が付与されている。そのため、本発明の実施形態の一例であるステージ10においては、保持面26aの凹所32を小さく、特に深さを浅く形成することができる。その結果、ステージ10では、支持台26の剛性の低下を抑制することができる。
【0088】
本発明の実施形態の一例であるステージ10は、以上の予め撓み変形が付与された構造の昇降バー34を有し、支持台26に昇降バー34の収容スペースである凹所32を有するが、さらに、昇降バー34の昇降動作を制御するための昇降装置を有している。
【0089】
図8は、
図3に示されたステージのV−V線に沿って得られた断面図である。
【0090】
昇降装置38は、
図2に示されているように、一対の梁部材40を垂直方向に昇降させる支持機構36の動作を制御するように、支持台26の両側に設けられている。昇降装置38は、
図8に示す例では、支持台26に取付板50を介して固定されたシリンダ本体38aと、シリンダ本体38aから突出するピストンロッド38bとを備える流体シリンダ装置とすることができる。昇降装置38を構成する流体シリンダ装置は、空気圧あるいは油圧で作動する。昇降装置38は、その軸線を垂直方向に沿って配置されており、ピストンロッド38bの先端が梁部材40に固定された結合部材52に固定されている。
【0091】
したがって、ステージ10では、
図3に示されるように、支持台26の両側に配置された一対の昇降装置38を同期的に作動させることにより、支持台26の両側で支持台26に沿って配置された一対の梁部材40を同期的に昇降させて、支持機構36の昇降動作を制御することができる。このとき、支持機構36は、上述したように、一対の梁部材40と複数の支柱54とからなる。そして、複数の支柱54はその上端部がそれぞれ、対応する昇降バー34に結合され、各昇降バー34をそれぞれ支持している。したがって、昇降装置38は、支持機構36の昇降動作を制御することで、複数の昇降バー34の昇降動作を一体的に制御することができる。
【0092】
図9は、昇降バーが上昇位置にある状態を示す本発明の実施形態の一例であるステージの要部の模式的な正面図である。
【0093】
図10は、昇降バーが下降位置にある状態を示す本発明の実施形態の一例であるステージの要部の模式的な正面図である。
【0094】
以上の構成を有する本発明の実施形態の一例であるステージ10では、昇降装置38(
図9および
図10中では図示されない)を用いることにより、
図9に示す、すべての昇降バー34が支持台26の保持面26aの凹所32から突出して保持面26aの上方に位置する上昇位置と、
図10に示す、昇降バー34が凹所32に収容されてその上面34aが支持台26の保持面26a以下にある下降位置との間で、すべての昇降バー34を同期的作動させるように同期して作動される。
【0095】
そして、本発明の実施形態の一例であるステージ10は、
図1〜
図3等を用いて説明したように、例えば、基板や液晶パネル等の試料12を検査するためのプローバ(図示されない)に組み込まれて、試料12の検査に使用することが可能である。
【0096】
すなわち、
図1を参照しながら説明すると、
図9に示した上昇位置で、搬送ロボット14のロボットアーム24上の試料12が昇降バー34上に移される。このとき、搬送ロボット14の軸部材22の収縮動作によるロボットアーム24の下降動作に伴って試料12の重量に応じた衝撃が昇降バー34に作用するが、上述した各昇降バー34と支柱54との間に衝撃緩和機構が設けられている場合、その弾性支持作用により、試料12が衝撃を受けることを回避することができる。
【0097】
ロボットアーム24から各昇降バー34に試料12が移るとき、その試料12が、例えば、昇降バー34の長手方向に関して傾斜を生じても、各昇降バー34の両端部には、
図5に示したように(
図9および
図10では図示省略)、肩部34bに近接して逃げ溝70を形成することができ、試料12の下方に傾く縁が昇降バー34の上面34aに当接することはない。これにより、試料12は昇降バー34との当接による損傷を受けることなく昇降バー34に移され、昇降バー34上に移された試料12は昇降バー34の肩部34bにより、昇降バー34からの脱落を確実に防止される。
【0098】
試料12が昇降バー34上に移され、ロボットアーム24が支持台26上から後退すると、一対の流体シリンダ装置である昇降装置38は、同期的に収縮動作し、これにより昇降バー34は、
図10に示した下降位置に保持される。
【0099】
昇降バー34が下降位置に移動すると、
図2に示したように、吸着口30bに作用する負圧によって試料12が支持台26に吸着されて確実に保持され、試料12は、例えば電気的検査等の所定の検査を受けることができる。
【0100】
試料12の、上述の検査が終了すると、一対の昇降装置38(
図9および
図10では図示省略)の作動により、昇降バー34が
図9に示した上昇位置へ向けて移動する。この昇降装置38の制御に伴い、支持台26上の試料12が昇降バー34によって支持台26の保持面26aから浮上しようとするとき、
図2に示した細溝30aの空気案内作用により、試料12での静電気の発生が抑制される。
【0101】
上昇位置にある昇降バー34上の検査済の試料12は、搬送ロボット14のロボットアーム24が昇降バー34間に挿入された状態で軸部材22が伸長動作されることにより、ロボットアーム24に移され、その後、搬送ロボット14によって上述したカセットに戻される。
【0102】
本発明の実施形態の一例であるステージ10によれば、支持機構36に取り付けられた状態の昇降バー34において、
図4に示したように、撓み変形が低減されており、板状の試料12に生じる歪力を低減しながら、保持面26aと離間したその上方で、板状の試料12の受け取りや引き渡しを行うことができる。
【0103】
また、本発明の実施形態の一例であるステージ10によれば、下降位置にある昇降バー34を収容するための凹所32を、支持台26により小さなサイズで形成することができ、支持台26の剛性、ひいてはステージ10の剛性の低下を低減することができる。
【0104】
そして、本発明の実施形態の一例であるステージ10によれば、昇降バー34を支持台26の側方に設けられた昇降装置38で昇降させることができる。したがって、ステージ10の構成の複雑化を招くことなく、試料12の受け渡しや吸着保持を行うことができるステージ10を比較的安価に提供することができる。
【0105】
尚、上述した本発明の実施形態の一例であるステージ10では、凹所32を保持26aの長辺に平行に形成した例を示したが、これに代えて、凹所32が保持面26aの長辺と角度的に伸長するように、複数の凹所32を並行に形成することができる。そして、そのような凹所32の配置構造に対応するように、予め撓み変形の付与された昇降バー34を配置することができる。
【0106】
また、昇降装置38には、上述した流体シリンダ装置に代えて、電動モータおよびラックピニオンあるいはリニアモータ等の種々の昇降装置を適宜用いることができる。
【0107】
さらに、本発明の実施形態の一例であるステージ10では、支持台26の両側の側方において、昇降バー34の両方の端部を対応する各支持機構36に取り付けているが、そのような取り付け構造のみに限られるわけではない。例えば、支柱54と梁部材40を含む支持機構36の梁部材40を支持台26の下方側に設け、支持台26に貫通孔を設け、梁部材40に結合する支柱54をその貫通孔を通すように設けることも可能である。その場合、支持台26下方の梁部材40に結合する支柱54は、支持台26の貫通孔を通ってその支持台26を貫通し、支持台26の上方側となる保持面26aの側で、そこに配置された各昇降バー34を支持するように構成することができる。そして、ステージ10は、支持台26を貫通する支柱54を備えた支持機構36を介し、昇降装置38の制御によって、昇降バー34の昇降動作を制御することができる。
【0108】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々変形して実施することができる。
【0109】
例えば、本発明の実施形態であるステージについて、上述したように、液晶パネル等の板状の試料の検査に利用する例を説明したが、本発明の実施形態であるステージは、試料の検査にのみ使用されるものではない。検査の他、基板の加工や液晶パネルや有機ELパネルの製造のためにも使用することが可能である。