特許第6339007号(P6339007)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6339007カラー外観が低減された蛍光体増強照明装置、レトロフィット電球及び管電球
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6339007
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】カラー外観が低減された蛍光体増強照明装置、レトロフィット電球及び管電球
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/50 20100101AFI20180528BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20180528BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20180528BHJP
   F21V 3/04 20180101ALI20180528BHJP
   F21V 3/06 20180101ALI20180528BHJP
   F21V 3/08 20180101ALI20180528BHJP
   F21V 3/10 20180101ALI20180528BHJP
   F21V 3/12 20180101ALI20180528BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20180528BHJP
   F21V 7/24 20180101ALI20180528BHJP
   F21V 7/26 20180101ALI20180528BHJP
   F21V 7/28 20180101ALI20180528BHJP
   F21V 7/30 20180101ALI20180528BHJP
   F21V 9/00 20180101ALI20180528BHJP
【FI】
   H01L33/50
   F21S2/00 216
   F21V3/00 320
   F21V3/00 510
   F21V3/04 131
   F21V3/04 500
   F21V7/00 510
   F21V7/22 300
   F21V9/16 100
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-508891(P2014-508891)
(86)(22)【出願日】2012年4月17日
(65)【公表番号】特表2014-514773(P2014-514773A)
(43)【公表日】2014年6月19日
(86)【国際出願番号】IB2012051918
(87)【国際公開番号】WO2012153212
(87)【国際公開日】20121115
【審査請求日】2015年4月14日
【審判番号】不服2017-142(P2017-142/J1)
【審判請求日】2017年1月5日
(31)【優先権主張番号】11165112.1
(32)【優先日】2011年5月6日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ヒクメット リファト アタ ムスタファ
(72)【発明者】
【氏名】ファン ボメル ティエス
【合議体】
【審判長】 恩田 春香
【審判官】 森 竜介
【審判官】 星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−147190(JP,A)
【文献】 特表2010−525512(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/116294(WO,A1)
【文献】 特開2006−278980(JP,A)
【文献】 特開2007−88472(JP,A)
【文献】 特開2009−270091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/50
F21S 2/00
F21V 3/00
F21V 3/04
F21V 7/00
F21V 7/22
F21V 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた色スペクトルの光源光を出射するための発光面を有する光源と、
蛍光体増強照明装置の周囲に光を出射するための光出口窓と、
前記光源光の一部を吸収し、当該吸収された光の一部を第一の色の光に変換する無機発光体を含む第一光変換素子と、
前記光源光の一部及び/又は前記第一の色の前記光の一部を吸収し、当該吸収された光の一部を第二の色の光に変換する第一の有機発光体を含む第二光変換素子とを備え、
前記第二光変換素子は、光学的に、前記光出口窓と前記光源の前記発光面との間に配置され、前記第一光変換素子は、光学的に、前記第二変換素子と前記光源の前記発光面との間に配置され、前記第一光変換素子と前記第二光変換素子との間には、ギャップが存在し、
前記ギャップは真空によって形成され又は前記ギャップは流体で充填され、
前記第二光変換素子は、前記第一の有機発光体を含み第二の有機発光体を含まない第一の層、及び、前記第二の有機発光体を含み前記第一の有機発光体を含まない第二の層を含む複数の層のスタックである、蛍光体増強照明装置。
【請求項2】
前記第一光変換素子は、前記光出口窓に周囲光が衝突する場合に周囲光が衝突する第一の表面を有し、
前記第二光変換素子は、前記光出口窓に周囲光が衝突する場合に周囲光が衝突する第二の表面を有し、
前記第一の表面は、前記第二の表面より小さい、請求項1に記載の蛍光体増強照明装置。
【請求項3】
前記第一光変換素子は、前記光源の近傍に配置され、前記第一光変換素子が前記光源の近傍に配置されるとは、前記光源から前記光出口窓への光路において、前記光源から前記第一光変換素子までの距離が、前記光源から前記第二光変換素子までの距離の20%より小さいことを意味する、請求項1又は2に記載の蛍光体増強照明装置。
【請求項4】
予め定められた色スペクトルの光源光を出射するための発光面を有する光源と、
蛍光体増強照明装置の周囲に光を出射するための光出口窓と、
前記光源光の一部を吸収し、当該吸収された光の一部を第一の色の光に変換する無機発光体を含む第一光変換素子と、
前記光源光の一部及び/又は前記第一の色の前記光の一部を吸収し、当該吸収された光の一部を第二の色の光に変換する第一の有機発光体を含む第二光変換素子とを備え、
前記第二光変換素子は、光学的に、前記光出口窓と前記光源の前記発光面との間に配置され、前記第一光変換素子は、光学的に、前記第二変換素子と前記光源の前記発光面との間に配置され、前記第一光変換素子と前記第二光変換素子との間には、ギャップが存在し、
前記ギャップは真空によって形成され又は前記ギャップは流体で充填され、
前記第一光変換素子は、前記第一光変換素子の底面が前記光源の前記発光面に接するように前記光源の前記発光面直上に配置されて、前記第一光変換素子の底面が前記光源の前記発光面と実質的に同じ大きさで存在する、
蛍光体増強照明装置。
【請求項5】
前記光源は、青色発光ダイオードであり、
前記無機発光体は、黄色又は黄緑色無機蛍光体であり、
動作時に光源光と前記第一の色の光との組み合わせである、前記光出口窓からの発光は、10,000Kより高い相関色温度を有し、色空間内において、当該色空間内の黒体線に近い又は黒体線上のカラーポイントを有する、請求項4に記載の蛍光体増強照明装置。
【請求項6】
前記光源と、前記第一光変換素子が配置される前記発光面との組み合わせは、80%より大きい光学パッケージ効率を有し、前記光学パッケージ効率は、前記光源によって発せられる光子と、前記光源と前記第一光変換素子との組み合わせによって発せられる光子とのパーセントによって定義される、請求項4又は5に記載の蛍光体増強照明装置。
【請求項7】
前記第二光変換素子は、第二の屈折率を有し、
前記ギャップを形成する物質は、前記第二の屈折率より小さい第一の屈折率を有する、請求項1に記載の蛍光体増強照明装置。
【請求項8】
前記第二光変換素子は、前記光出口窓に配置されるか、又は、前記第二光変換素子は、前記光出口窓を形成する、請求項1に記載の蛍光体増強照明装置。
【請求項9】
前記光源は、ソリッドステートの発光素子である、請求項1に記載の蛍光体増強照明装置。
【請求項10】
前記第一光変換素子と、前記第二光変換素子とのうちの少なくとも一つは層である、請求項1に記載の蛍光体増強照明装置。
【請求項11】
前記第二光変換素子は、前記光源光の一部、前記第一の色の光の一部、及び/又は前記第二の色の光の一部を吸収し、当該吸収された光の一部を、第三の色の光に変換する第二の有機発光体を含む、請求項1に記載の蛍光体増強照明装置。
【請求項12】
光学的に、前記光出口窓と前記第二光変換素子との間に配置される散乱層を有するか、又は、前記第二光変換素子が散乱粒子を含む、請求項1に記載の蛍光体増強照明装置。
【請求項13】
請求項1又は4に記載の蛍光体増強照明装置を有する、レトロフィット電球又は管電球。
【請求項14】
請求項1又は4に記載の蛍光体増強照明装置、又は、請求項13に記載のレトロフィット電球若しくは管電球を有する、照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光体(ルミネッセンス)を含む、蛍光体増強照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開公報WO2010/116294は、無機発光体を含む層と、有機発光体を含む層とを有するスタックが、いわゆる直接蛍光体構成、又は、いわゆるリモート蛍光体構成で配置される蛍光体増強光源を開示する。直接蛍光体構成においては、異なる発光体を含む層からなるスタックは、光源の発光面上に直接つけられる。リモート蛍光体構成においては、光源の発光面と、発光体を含む層からなるスタックとの間にはギャップがある、言い換えれば、発光体を含む層からなるスタックは、光源から特定の距離をおいて配置される。
【0003】
上記引用特許出願の実施形態の発光層からなるスタックにおいては、観察者が蛍光体増強光源を見る方向のスタックの面に、有機発光体を含む層が配置される。無機発光体を含む層は、スタックの光源の発光面に最も近い面に配置される。有機発光性分子はもともと透明であるため、有機発光体を含む層は、多くの場合、比較的透明である。観察者は、有機発光体を含む面に色を見ない。しかし、無機発光体を含む層内の無機発光粒子が散乱物質として作用し、光を全方向に反射する。このため、周囲(環境)からの光が発光体に衝突すると、無機発光体の吸収スペクトルの光がいくらか吸収され、吸収されない光は反射及び/又は散乱され、結果として、無機発光体の吸収スペクトルの色の補色を呈することになる。この補色は、発光層からなるスタックのほうを見る観察者によって観察される。これは、「カラー外観」と呼ばれ、層が特定の色を有するように見えることを意味する。観察者にとって、蛍光体増強光源が、無機発光体によって発生される光の特定の色を有するように見えるため、カラー外観を呈することは、多くの用途において望ましくない。例えば、ある無機発光体が青色域内の吸収スペクトルを有する場合、この無機発光体のカラー外観は、橙色/黄色になる。
【0004】
また、引用特許出願の光源は、典型的には相関色温度が2700〜6000Kの範囲の光を発さなければならず、典型的には青色発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)を有する。この相関色温度を得るためには、比較的多量の青色光がより長波長の光に変換されなければならない。青色光のより長波長の色への変換は、無機発光体によって行われるため、比較的多量の無機発光体を使用する必要があり、結果としてより強いカラー外観を呈する。
【0005】
なお、無機発光体の代わりに有機発光体を使用してもよいことが知られている。しかし、十分に高い演色評価数を得るために、有機発光体と無機発光体との組み合わせを用いなければならない場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、カラー外観が低減された蛍光体増強照明装置を提供することである。
【0007】
本発明の第一の側面は、請求項1に係る蛍光体増強照明装置を提供する。本発明の第二の側面、第三の側面は、それぞれ請求項14に係るレトロフィット電球及び管電球を提供する。本発明の第四の側面は、請求項15に係る照明器具を提供する。好適な実施形態は、従属請求項において規定される。
【0008】
本発明の第一の側面に係る蛍光体増強照明装置は、光源、光出口窓、第一光変換素子、及び第二光変換素子を有する。光源は、発光面を通して、予め定められた色スペクトルの光源光を出射する。光出口窓は、作動中、蛍光体増強照明装置の周囲に光を出射する。第一光変換素子は、無機発光体を含む。無機発光体は、光源光の一部を吸収し、吸収された光の一部を第一の色の光に変換する。第二光変換素子は、第一の有機発光体を含む。第一の有機発光体は、光源光の一部及び/又は第一の色の光の一部を吸収する。第一の有機発光体は、吸収された光の一部を第二の色の光に変換する。第二光変換素子は、光学的に、光出口窓と光源の発光面との間に配置される。第一光変換素子は、光学的に、第二光変換素子と光源の発光面との間に配置される。第一光変換素子と第二光変換素子との間には、ギャップが存在する。
【0009】
発明者らは、第一光変換素子が第二光変換素子より光出口窓から遠くに配置されるよう、第一光変換素子と第二光変換素子との間にギャップが存在すれば、カラー外観が減少することを発見した。ギャップの効果は、第二光変換素子と直接接触する第一光変換素子の構造に比べ、第一光変換素子が受ける光が少なくなるというものである。結果として、無機発光体によって吸収される光は少なくなり、カラー外観は低減する。第二光変換素子とギャップとの間の界面は、光出口窓の法線に対して比較的大きな角度で衝突する光を反射し、したがって第一光変換素子が受ける光は少なくなる。
【0010】
第一光変換素子と第二光変換素子との間のギャップの存在は、第一光変換素子と第二光変換素子とが直接接触していないことを意味する。他の光透過物質、例えば空気や水が第一光変換素子と第二光変換素子との間にあってもよいが、他の実施形態においては、ギャップは真空でもよい。
【0011】
なお、カラー外観は、光源が作動していない、すなわち、光源が予め定められた色分布の光を発していない状況に主に関係し、また、周囲の光が、光源によって出射される光よりはるかに高い強度を有する状況に多少関係しうる。蛍光体増強照明装置の光源が光を発している場合、蛍光体増強照明装置の方を見る人は、その蛍光体増強照明装置が発することを目的として特異的に設計された色の発光を見る。蛍光体増強照明装置の発光によって経験される光は、作動中は、光源によって発せられる予め定められた色分布の光、第一変換素子によって発せられる第一の色の光、及び第二光変換素子によって発せられる第二の色の光の特定の組み合わせである。しかし、蛍光体増強照明装置に衝突する周囲光が、光源によって発せられる光よりもはるかに強い場合、例えば、蛍光体増強照明装置に直射日光が衝突する状況においては、無機発光体による直射日光の反射が優勢になる可能性があり、これにより、観察者は無機発光体のカラー外観を見る。
【0012】
また、「光学的に〜と〜との間に」は、第一の要素と第二の要素との間に配置された特定の要素が、第一の要素から第二の要素及びその逆の光路内に配置されていることを意味する。このような光路は、定義として第一の要素から第二の要素への直線状をたどるだけではなく、光路は、光路上の鏡のために曲がり角を有してもよい。
【0013】
本発明のコンテキストにおいて、予め定められた色分布の光、第一の色の光、及び/又は第二の色の光は、一般的には予め定められたスペクトルの光を含む。予め定められたスペクトルは、例えば、予め定められた波長周辺の特定のバンド幅を有するある原色を含んでもよいし、例えば、複数の原色を含んでもよい。予め定められた波長は、放射力スペクトル分布の平均波長である。原色の光は、例えば、赤色、緑色、青色、黄色、及び琥珀色光を含む。予め定められた色分布、第一の色及び/又は第二の色の光は、青色と琥珀色、又は青色と黄色と赤色等、原色の混合色を含んでもよい。
【0014】
一実施形態においては、第一光変換素子は、光出口窓に周囲光が衝突する場合に周囲光が衝突する第一の表面を有する。第二光変換素子は、光出口窓に周囲光が衝突する場合に周囲光が衝突する第二の表面を有する。第一の表面は、第二の表面より小さい。第一光変換素子が光源により近く配置された場合、光源によって放射される光線の断面は、第二光変換素子の位置における光線の断面より小さい。したがって、第一光変換素子は、第二光変換素子より小さいサイズを有しうる。したがって、第一光変換素子の第一の表面は、第二光変換素子の第二の表面よりも小さい。小さい第一の表面を有することは、吸収される周囲光がより少なく、したがって、カラー外観が低減されることを意味する。
【0015】
他の実施形態においては、第一光変換素子は、光源の近傍に配置される。光源の近傍にとは、光路沿いの、光源と第一光変換素子との間の距離が、光路沿いの、発光源と第二光変換素子との間の距離よりはるかに小さいことを意味する。例えば、光源から光出口窓への光路において、光源から第一光変換素子までの距離は、光源から第二光変換素子までの距離の20%より小さい。第一光変換素子が光源の近くにある場合、第一光変換素子のサイズは比較的小さくすることができ、したがって、周囲からの光が衝突しうる第一変換素子の表面は比較的小さく、カラー外観は見えづらくなる。
【0016】
一実施形態において、第一光変換素子は、光源の発光面上に配置されている。
【0017】
他の実施形態において、第一光変換素子は、光源の発光面を完全に覆う。
【0018】
光源の発光面は、多くの場合、光出口窓よりはるかに小さく、このため、光源によって生成された全光線が依然として第一発光素子を通過する一方で、第一光変換素子は、比較的小さいサイズを有することができる。比較的小さいサイズを有すると、第一光変換素子によって吸収される周囲光の量が少なくなり、蛍光体増強照明装置のカラー外観が低減するため、有利である。
【0019】
他の実施形態においては、光源は、青色光を発する発光ダイオードである。無機発光体は、黄色又は黄緑色無機蛍光体である。動作時に、光源光と第一光変換素子によって生成される第一の色の光との組み合わせである発光は、10000Kより高い相関色温度を有し、色空間内において、当該色空間内の黒体線に近い又は黒体線上のカラーポイントを有する。黒体線は、特定の温度を有する理想黒体の発光に対応する、色空間内におけるカラーポイントの連続である。色温度は、理想黒体の温度である。放たれた光の相関色温度が10000Kより高く、色温度が黒体線に近い場合、人は光の色を白色又はわずかに青味がかった色として感じる。青色光を発する光源、及び、黄色又は黄緑色無機発光体(フォスファ)を含む第一光変換素子の発光の合体が10000Kより高い相関色温度を有し、黒体線に近いカラーポイントを有するように第一光変換素子を発光ダイオード上に配置することは、比較的簡単である。青色発光ダイオードは、比較的安価で入手可能である。また、第一光変換素子は、比較的少量の黄色又は黄緑糸無機蛍光体を必要とし、第一光変換素子の価格も比較的低い。さらに、比較的少量の無機蛍光体の使用は、カラー外観の低減につながる。
【0020】
他の実施形態においては、光源と、第一光変換素子が配置される発光面との組み合わせは、80%より大きい光学パッケージ効率を有する。
【0021】
光学パッケージ効率は、光源によって発せられる光子の量と、光源と第一光変換素子との組み合わせの周囲へ発する光子の量とのパーセントとして定義される。また、上記パーセントを無機発光体の量子効率で割り、無機発光体の量子効率に関して光学パッケージ効率を補正しなければならない。無機発光体の量子効率は、無機発光体によって発せられる光子の量と、無機発光体によって吸収される光子の量との比として定義される。「パッケージ」という用語は、光源と第一光変換素子との組み合わせを指す。
【0022】
第一光変換素子は、光源から受ける光のいくらかを反射して光源に戻してもよい。また、第一光変換素子によって生成された光のいくらかは、光源の方向に出射されてもよい。多数の光源、例えば、ソリッドステートの発光素子は、自身に衝突する光の比較的大部分を吸収する。光の吸収は、より低い光学パッケージ効率をもたらす。特定量の光を生成するために必要とする電力が少なく、光源の温度が光の吸収によって上昇されないため、比較的高い光学効率を有すると有利である。
【0023】
第一光変換素子の無機発光体の特徴(例えば、吸収スペクトルや発光スペクトル)、第一光変換素子全体としての散乱及び反射特徴、及び、例えば第一光変換素子の厚さは、光源と第一光変換素子との組み合わせの光学パッケージ効率を決定する。さらに、光源の特徴、例えば光源の吸収係数等も、光学パッケージ効率に影響を与える。
【0024】
他の実施形態においては、光源と第一光変換素子との組み合わせの光学パッケージ効率は、90%より大きくてもよい。
【0025】
他の実施形態においては、第二光変換素子は、第二の屈折率を有する。ギャップを形成する物質は、第二の屈折率より小さい第一の屈折率を有する。
【0026】
したがって、第二光変換素子とギャップとの間の界面は、第二光変換素子からギャップの方向に通過する光を部分的に反射する。この方向に通過する光は、蛍光体増強照明装置の光出口窓に衝突する周囲光でありうる。特に、周囲光が比較的散乱(拡散)している場合、光はあらゆる角度で光出口窓に衝突し、またしたがって、第二光変換素子とギャップとの界面でも複数の角度で衝突する。この界面の法線に対して比較的大きい角度で衝突する光は、内面反射する。このため、蛍光体増強照明装置の光出口窓に衝突する周囲からの光のうち、第一光変換素子に向かって通過する光は少なく、したがって、第一光変換素子のカラー外観は制限される。
【0027】
一実施形態においては、ギャップは、流体で充填される。流体の例は、空気等のガスや水等の液体である。
【0028】
一実施形態においては、第二光変換素子は、光出口窓に配置される。
【0029】
他の実施形態においては、第二光変換素子は、光出口窓を形成する。
【0030】
他の実施形態においては、光源は、ソリッドステートの発光素子である。ソリッドステートの発光素子は、比較的効率がよく(多量の電気エネルギーを光に変換する)、比較的サイズが小さく、比較的安価なので、ソリッドステートの発光素子の使用は有利である。ソリッドステートの発光素子は、発光ダイオード(Light Emitting Diode(LED))、有機発光ダイオード(Organic LED(OLED))、ポリマー発光ダイオード(Polymer LED(PLED))、又はレーザーダイオードであってもよい。実践的な実施形態においては、ソリッドステートの発光素子は、青色光を発する。
【0031】
一実施形態においては、第一光変換素子と第二光変換素子とのうちの少なくとも一方は層である。層は、層の厚さが、少なくとも層の幅又は深さの二分の一より小さいという特性によって定義される。したがって、「層」という用語は「コーティング」、「フィルム」、又は「タイル」とも解されうる。層は、比較的簡単に製造できるため、特定の発光物質を含む層を用いることで、蛍光体増強照明装置のコストを低減することができる。また、層は必ずしも平板状でなくともよいことに留意されたい。層は、曲面形状を有してもよく、又は、半球形状を有してもよい。
【0032】
一実施形態においては、第二光変換素子は、第二の有機発光体を含む。第二の有機発光体は、光源光の一部、及び/又は第一の色の光一部、及び/又は第二の色の光の一部を吸収するように構成されている。また、第二の有機発光体は、吸収光の一部を第三の色の光に変換するように構成されている。追加の有機発光体の使用は、特定の発光分布を有する蛍光体増強照明装置を得るための追加設計パラメータを提供する。第二の有機発光体によって生成される光は、蛍光体増強照明装置よる発光の色を色空間内の特定のカラーポイントにシフトするため、及び、より高い演色評価数を得るために用いられてもよい。
【0033】
他の実施形態においては、第二光変換素子は、第一の層と第二の層とを含む複数層のスタックである。第一の層は第一の有機発光体を含み、第二の有機発光体を含まない。第二の層は第二の有機発光体を含み、第一の有機発光体を含まない。したがって、第二光変換素子は、それぞれ単一の(有機)発光物質しか含まない層を含む。別個の層からなるスタックは、高精度且つ比較的安価で製造することができるため、第二変換素子をこのような構造で製造することは有利である。なお、他の実施形態においては、第一の有機発光体と第二の有機発光体とが混合されて単一の層内に備えられてもよい。
【0034】
一実施形態においては、蛍光体増強照明装置は、光学的に光出口窓と第二光変換素子との間に配置された散乱層を有する。他の実施形態においては、第二光変換素子は、散乱粒子を含む。散乱層又は散乱粒子は、周囲から衝突する光を散乱し、周囲からの光の多くが第一光変換素子の方に通過することを防ぐ。したがって、散乱粒子又は散乱層によってカラー外観は低減される。光源が作動していないときに光出口窓の方を見る人は、散乱粒子又は散乱層によって散乱及び反射された周囲光を主に見る。
【0035】
本発明の第二の側面によれば、本発明の第一の側面に係る蛍光体増強照明装置を備えるレトロフィット電球が提供される。
【0036】
本発明の第三の側面によれば、本発明の第一の側面に係る蛍光体増強照明装置を備える管電球が提供される。
【0037】
本発明の第四の側面によれば、本発明の第一の側面に係る蛍光体増強照明装置、本発明の第二の側面に係るレトロフィット電球、又は本発明の第三の側面に係る管電球を備える照明器具が提供される。
【0038】
レトロフィット電球、管電球、及び照明器具は、本発明の第一の側面に係る蛍光体増強照明装置と同じ利益を提供し、対応する蛍光体増強照明装置の実施形態と類似する効果を有する類似する実施形態を有する。
【0039】
本発明のこれら及びその他の側面は、以下に説明される実施形態から明らかであり、それらの実施形態を参照して説明される。
【0040】
本発明の上記実施形態、実施、及び/又は側面の二つ又はそれ以上が、有用であると見なされるあらゆる方法で組み合わされうることは、当業者によって理解される。
【0041】
説明された蛍光体増強照明装置の改良例及び変形例に対応するレトロフィット電球、管電球、及び照明器具の改良例及び変形例は、本明細書に基づき当業者によって実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1a図1aは、本発明の第一の側面に係る蛍光体増強照明装置の第一実施形態の、作動中の断面図を概略的に示す。
図1b】図lbは、作動中ではない第一実施形態の断面図を概略的に示す。
図2a図2aは、蛍光体増強照明装置の第二の実施形態の断面図を概略的に示す。
図2b図2bは、蛍光体増強照明装置の第三の実施形態の断面図を概略的に示す。
図3a図3aは、直線ではない光路を有する蛍光体増強照明装置の実施形態の断面図を概略的に示す。
図3b図3bは、直線ではない光路を有する蛍光体増強照明装置の実施形態の断面図を概略的に示す。
図4a図4aは、蛍光体増強照明装置の第四の実施形態の断面図を概略的に示す。
図4b図4bは、蛍光体増強照明装置の第五の実施形態の断面図を概略的に示す。
図4c図4cは、蛍光体増強照明装置の第六の実施形態の断面図を概略的に示す。
図5a図5aは、蛍光体増強照明装置の第七の実施形態の断面図を概略的に示す。
図5b図5bは、蛍光体増強照明装置の第八の実施形態の断面図を概略的に示す。
図6a図6aは、本発明の第二の側面に係るレトロフィット電球の実施形態の二つの断面図を概略的に示す。
図6b図6bは、本発明の第三の側面に係る管電球の実施形態の二つの断面図を概略的に示す。
図6c図6cは、本発明の第四の側面に係る照明器具を概略的に示す。
【0043】
なお、異なる図で同じ参照番号によって示された項目は、同じ構造的特徴及び同じ機能を有するか、又は同じ信号である。そのような項目の機能及び/又は構造が説明された場合、発明の詳細な説明において、重複する説明の必要はない。
【0044】
図は完全に図示的であり、縮尺通りではない。特に明瞭さのために、いくつかの寸法は強く誇張されている。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1a、1bは、フォスファ(蛍光体又は燐光体)強化照明装置100の第一の実施形態の断面図を示す。図laは、光源116が作動中の蛍光体増強照明装置100を概略的に示す。図lbは、光源116が作動していない蛍光体増強照明装置100を概略的に示す。
【0046】
蛍光体増強照明装置100は、蛍光体増強照明装置100によって光が出射される光出口窓102を有する。蛍光体増強照明装置100の周囲(環境)には、蛍光体増強照明装置100の光出口窓102の方を見る観察者106が描かれている。蛍光体増強照明装置100は、さらに光源116を有し、光源116は、作動中、図1aの実施形態では光源116の上面である発光面118を通して予め定められた色の光114を発する。
【0047】
蛍光体増強照明装置100は、さらに第一光変換素子112、及び第二光変換素子110を備える。第一光変換素子112は、光源によって出射された光114の一部を吸収する無機発光体を含み、吸収された光の一部を、第一の色を有する光104に変換する。第二光変換素子は、第一の有機発光体を含む。第一の有機物質は、光源によって出射された光114を吸収し、さらに/又は第一光変換素子によって出射された光104を吸収する。第一の有機物質は、吸収された光を第二の色の光108に変換する。
【0048】
第二光変換素子110は、光出口窓102と光源116との間に配置される。第一光変換素子112は、第二光変換素子110と光源116との間に配置される。第一光変換素子112と第二光変換素子110との間にはギャップ111があり、これは第一光変換素子112が第二光変換素子110と直接接触していないことを意味する。第一光変換素子112と第二光変換素子110との間には、他の物質が存在する。
【0049】
したがって、光源116が作動中のとき、予め定められた色分布の光114は、まず第一光変換素子112を通過し、光の一部が第一の色の光104に変換される。次に、第二光変換素子110が第一の色の光104と、予め定められた色分布の光114とを受け、光の一部を第二の色の光108に変換する。光出口窓102からの発光は、予め決められた色分布の光114、第一の色の光104、及び第二の色の光108の特定の組み合わせである。この光104、108、114の組み合わせは、観察者106によって特定の色として感じられる、言い換えれば、光出口窓102からの発光は、色空間内、例えばCIExyz色空間内の特定のカラーポイントによってあらわすことができる。変換素子中に用いられる発光体の具体的な量、使用される発光体の特徴、及び光源116によって発せられる予め定められた色分布の特徴が、光出口窓102から出射される光のカラーポイントを決定する。
【0050】
なお、第一光変換素子112は、例えばセラミック無機発光体が使用された場合は、無機発光体のみから構成されてもよく、又は、第一の無機物質は、ポリマー中に分散されてもよく(これはしばしばマトリックスポリマーと呼ばれる)、他の透光性物質中に分散されてもよい。第二光変換素子110の有機発光体は、多くの場合マトリックスポリマー又は他の物質中に分子的に溶解される。ポリマーマトリックスは、アクリレート(例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA))、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリマー、並びにそれらの共重合体及び混合物から選択されてもよい。また、図laにおいて、第一光変換素子112及び第二光変換素子110の断面は細長い長方形として描かれているが、これらは長方形、又はディスク状の層の断面であってもよい。ただし、変換素子110、112の形状は、これら以外の形状でもよい。
【0051】
図lbは、光源116が作動しておらず、周囲光150が、蛍光体増強照明装置100の光出口窓口102に、光出口窓102の法線に対して複数の角度で衝突する状況を示す。現実的な状況においては、周囲光150は比較的散乱しており、光は光出口窓に複数の角度で衝突する。光出口窓102の法線に対して比較的小さい角度で衝突する周囲光150は、第二光変換素子を通過する。光出口窓102の法線に対して比較的大きい角度で衝突する周囲光150は、第二光変換素子110とギャップ111との間の界面152で反射され、したがって第一光変換素子112の方には通過しない。よって、衝突する周囲光150の一部だけしか第一光変換素子112まで通されない。第一光変換素子112の無機発光体は、無機発光体の吸収スペクトルに応じて、衝突する周囲光150のいくらかを吸収する。吸収されない光154は散乱され、光出口窓102の方に戻される。吸収されない光154は、第一光変換素子112の無機発光体の吸収スペクトルの光をあまり含まず、結果として、観察者106によって特定の色の光として感じられる。この特定の色は、蛍光体増強照明装置100のカラー外観であり、無機発光体の吸収スペクトルの色に対して相補的である。
【0052】
したがって、第一光変換素子112と第二光変換素子110との間にギャップ111を有さない蛍光体増強照明装置と比べると、図1の蛍光体増強照明装置のカラー外観は小さく、これは観察される色がより弱いことを意味する(よって、観察される色の飽和度が比較的低い)。
【0053】
図2aは、蛍光体増強照明装置200の他の実施形態を示す。図1の蛍光体増強照明装置100と比較すると、第一光変換素子212は光源116の発光面上に設けられており、第二光変換素子210は蛍光体増強照明装置200の光出口窓を形成する。第一光変換素子212と第二光変換素子210との間のギャップ202は、蛍光体増強光源200のキャビティ(空洞部)である。キャビティは、第二光変換素子210の屈折率より低い屈折率を有する物質によって充填されている。また、光出口窓102の反対側にあるキャビティの内側表面204は、内側表面204に衝突する光が反射し、光出口窓に戻されてリサイクルされるよう、光反射性である。キャビティの周囲の壁も、同様の目的のために光反射性であってもよい。第一光変換素子212が光源116の発光面上に直接設けられているため、第一変換素子212は、比較的小さいサイズを有してもよい。周囲から衝突する光のうち、より少ない光が第一光変換素子に衝突でき、したがって、蛍光体増強照明装置200のカラー外観は低減される。
【0054】
図2bは、二つの層からなるスタックとして製造された第二光変換素子252を有する、蛍光体増強照明装置250の変形例を示す。スタックの第一層254は第一の有機発光体を含み、第二層256は第二の有機発光体を含む。第一の有機発光体と第二の発光体とは異なる物質であり、各々の物質に吸収された光を他の色に変換する。したがって、蛍光体増強照明装置が作動中である場合、追加の色が光出口窓から外界(周囲)に出射される。これは、特定のカラーポイントの光を発し、比較的高い演色評価数を有する蛍光体増強照明装置を設計する上で、さらなる設計自由度を提供する。
【0055】
第一光変換素子212は、無機発光体を含む。このような物質の例は、CeドープYAG又はLuAGである。CeドープYAGは黄色がかった光を放ち、CeドープLuAgは黄緑色がかった光を放つ。どちらの物質も比較的広い放出スペクトルを有し、放出スペクトルの末部は、赤色スペクトル域の波長さえ含んでもよい。第二の光変換素子210、252は、ペリレン誘導体をベースとする有機発光体を含んでもよい。ペリレン誘導体をベースとする発光体の例は、BASFによりLumogenという名称で販売されている。
【0056】
光源116と、光源116の発光面上に設けられる第一光変換素子212との具体的な組み合わせは、いわゆるディスプレイ(表示)LED(Light Emission Diode)でもよい。ディスプレイLEDの光源116は、青色の光を出射し、第一光変換素子212は、青色の光の比較的小部分を黄色又は黄緑色の光に変換する。これによってもたらされる、光源によって出射された青色の光と、無機発光体によって出射された黄色又は黄緑色の光との組み合わせである発光は、色空間の黒体線に近いカラーポイントを有し、10000K以上の相関色温度を有する。このような発光を得るために、青色発光LEDの上部に使用する必要があるのは比較的薄い無機発光体の層のみであり、光学効率が高い。無機発光体の薄層は、あまり多くの青色光を反射又は散乱してLEDに戻さず、黄色又は黄緑色の光は、あまり多くLEDの方に出射されない。LEDは、一般的に自身に衝突する光をあまり多く反射しないため、反射若しくは散乱してLEDに戻された光、又はLEDの方に出射された光のほとんどが、LEDと無機発光層との組み合わせの非効率につながる。光源116と第一光変換素子212との組み合わせの光学パッケージ効率は、80%より大きく、他の実施形態においては、90%より大きい。
【0057】
なお、二つの有機発光体が用いられる場合、それらは、一つの層、例えば図2aの第二光変換素子210層内で混合されてもよい。他の実施形態においては、二つより多くの有機発光体が用いられており、それらは、一つの層内、又は二つ以上の層を有するスタック内において、あらゆる組み合わせで混合してもよい。
【0058】
図3a、3bは、光源116から光出口窓102に向かう、折れ曲がった光路304、354を有する蛍光体増強照明装置の断面図を示す。光路304、354内には、少なくとも一つのミラー302、352が存在する。
【0059】
蛍光体増強照明装置300は、光源116と第一光変換素子212との組み合わせの上部に配置されたミラー302を有する。ミラー302は、受光した光を、蛍光体増強照明装置300の底面上、光源116の横に配置された第二光変換素子110に向けて反射する。第二光変換素子110に衝突する光、及び第二光変換素子110内で生成される光が光出口窓102に向けて反射されるよう、第二変換素子110の下面は反射性である。
【0060】
蛍光体増強照明装置350の光出口窓102は、蛍光体増強照明装置350の側面に配置されている。蛍光体増強照明装置300のキャビティにおいて、第二光変換素子110でコーティングされたミラー352は、光源116が載置される蛍光体増強照明装置の底面に対して特定の角度で配置される。
【0061】
図4aは、蛍光体増強照明装置400の他の実施形態の断面図を概略的に示す。複数の光源116が、底面402上に設けられている。各光源116上には、無機発光体を含む第一光変換素子212が備えられている。また、第一光変換素子212からいくらかの距離をおいて、第一有機発光体を含む第二光変換素子210が設けられている。第二光変換素子210は、蛍光体増強照明装置400の光出口窓102を形成する。蛍光体増強照明装置400は、左右にさらに広がっている。
【0062】
図4bは、蛍光体増強照明装置430の他の変形例を概略的に示す。第二光変換素子210上には、散乱粒子434を有する拡散層432が設けられている。散乱層432は、光出口窓102を形成する。拡散層432は、より良い色混合、及び拡散光出射を提供する。また、光源116が作動しておらず、周囲光が散乱層432に衝突する場合、周囲光の大部分が散乱、反射され、周囲に戻される。したがって、第一光変換素子212に衝突する周囲光は少量であり、結果として、蛍光体増強照明装置430のカラー外観は低減する。拡散層は、Ti0又はA1からなる散乱粒子を含んでもよい。
【0063】
この段落では、三層からなる第二光変換素子を有し、相関色温度が20000KであるディスプレイLED(Light Emitting Diode)を備える蛍光体増強照明装置の例を二つ提供する。ディスプレイLEDは、青色LEDと、ディスプレイLEDの発光面上のCeドープYAG又はCEドープLuAG薄層とを有する。第一の実施形態においては、三層からなるスタックは、光出口窓側に、厚さ60μm、Ti0粒子を10wt%含むPMMAの拡散層を有する。中央の層は、厚さが27μmであり、Lumogen Yellow fl70(BASF販売ペリレン誘導体)を0.1wt%含む。ディスプレイLEDに最も近いスタックの層は、厚さが同じく27μmであり、Lumogen Red f305を0.025wt%含む。第二の実施形態において、三層からなるスタックは、光出口窓側に、厚さ60μm、Ti0粒子を10wt%含むPMMAの拡散層を有する。中央の層は、厚さが54μmで、Lumogen Yellow fl70(BASF販売ペリレン誘導体)を0.1wt%含む。ディスプレイLEDに最も近いスタックの層は、厚さが同様に27μmで、Lumogen Red f305を0.05wt%含む。第一実施形態の三層スタックを有する蛍光体増強照明装置は、約4000Kの光を出射し、80より大きい演色評価数(Color Rendering Index:CRI)を有する。第二実施形態の三層スタックを有する蛍光体増強照明装置は、約3000Kの光を出射し、80より大きいCRIを有する。
【0064】
図4cは、図4bの蛍光体増強照明装置とわずかに異なる、他の蛍光体増強照明装置460の断面図を概略的に示す。蛍光体増強照明装置462は、散乱粒子を有する別個の層の代わりに、第二光変換素子462内に散乱粒子を有する。
【0065】
図5aは、蛍光体増強照明装置500の他の実施形態の断面図を概略的に示す。蛍光体増強照明装置500は、図2aの蛍光体増強照明装置200と類似しており、違いは、発光面上に第一光変換素子212を有する光源116を一つ以上設ける点に関する。図5bは、底面402と第二光変換素子210との間に挿入された壁554を備える、他の蛍光体増強照明装置550を示す。壁は、各光源116のまわりに別々のキャビティ556、552をつくる。
【0066】
図6aは、本発明の第二の側面に係るレトロフィット電球600、610の断面図を示す。レトロフィット電球610は、概略的に長方形で描かれた、蛍光体増強照明装置612を備える。この長方形は、例えば図2aの蛍光体増強照明装置200のボックスを示す。他の実施形態においては、光源606は、電球600内、電球600の底面608上に設けられる。光源606の発光面上には、第一変換素子604が設けられている。第一光変換素子604は、無機発光体を含む。電球の内側表面には、第一の有機発光体を含む第二光変換素子602が設けられている。無機発光体及び第一の有機発光体は、前述した図面で説明したものと同様な特徴、機能、及び利点を有する。第一光変換素子604と第二光変換素子602との間のギャップは、電球内の空間によって形成される。
【0067】
図6bは、管電球630、640の二つの実施形態の断面図を示す。管電球640は、管をたどる方向に、複数の蛍光体増強照明装置612を有する。管電球630の他の実施形態は、管をたどる方向に、複数の光源606を有する。各光源606の上面には、第一光変換素子604が設けられている。管の内側表面には、第二光変換素子602が設けられている。第一光変換素子604及び第二光変換素子606は、上述の図面に関連して説明された第一光変換素子及び第二光変換素子と類似した特徴、利点、及び機能を有する。
【0068】
図6cは、本発明の第一の側面に係る蛍光体増強照明装置662を一つ又は複数備える照明器具660を示す。他の実施形態においては、照明器具は、図6aの文脈において説明したレトロフィット電球を有してもよく、図6bの文脈で説明した管電球を有してもよい。
【0069】
上記の実施形態は本発明を限定ではなく説明し、当業者は、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく多数の代替的な実施形態を設計しうることに留意されたい。
【0070】
特許請求の範囲において、括弧内のいかなる参照符号も特許請求の範囲を制限すると解釈されるべきではない。「有する(又は含む、備える)」という動詞及びその活用形の使用は、請求項内に記された以外の要素又は工程の存在を除外しない。要素は複数を除外しない。いくつかの手段を列挙する装置クレームにおいては、それらの手段のうちのいくつかは、ハードウェアの同一の項目によって実現されてもよい。いくつかの手段が互いに異なる独立請求項に記載されているからといって、それらの手段の組み合わせを好適に使用できないとは限らない。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図6a
図6b
図6c