(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「側」、「端」を含む用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。
【0013】
図1から
図3Bは本発明の実施形態に係る送風装置の一例である除湿機1を示す。
図4は除湿機1の概念的な断面図である。
図5は除湿機1のシステム図である。
【0014】
(全体構成)
図1及び
図2を参照すると、除湿機1は、円柱形状の外観を有し、本体100と、本体100の上部に配置されたヘッド部600と、本体100の下部に配置された貯水部700とを備える。除湿機1は、本体100の吸込口112から吸引した外部(例えば除湿対象の室内)の空気(処理空気)を、本体100内で除湿ロータ200による水分吸着により除湿(処理)する。除湿された処理空気は、ヘッド部600の吹出口642から外部へ吐出される。除湿ロータ200に吸着された水分は、本体100内の閉経路を循環する空気(再生空気)により回収され、貯水部700の貯水タンク720内に貯留される。
【0015】
ヘッド部600は、
図1において本体100の軸線Lを中心として回転可能な送風部640を備える。送風部640は、
図1に示す基準位置を起点として、規制部材680回りを略±180度の範囲で、
図1において周方向Aに往復(首振り)回転できる。送風部640の吹出口642には可動式のルーバー660が配置されている。ルーバー660は、
図1において上下方向Bの設定範囲で揺動できる。
【0016】
図4及び
図5に示すように、除湿機1は、破線で示す処理空気が流れる経路(処理空気経路)2と、実線で示す再生空気が流れる経路(再生空気経路)3とを備える。除湿ロータ200は、処理空気経路2及び再生空気経路3に跨がって配置されている。除湿機1は、除湿ロータ200の一面側(吸込口112側)に、再生空気及び除湿ロータ200を加熱するヒータ(加熱手段)250を備える。また、除湿機1は、除湿ロータ200の一面側に配置された主熱交換器(第1熱交換器)300と、除湿ロータ200の他面側に配置された副熱交換器(第2熱交換器)350とを備える。さらに、除湿機1は、処理空気を吸引及び吐出するための処理空気ファン(第1送風手段)400と、再生空気を循環させるための再生空気ファン(第2送風手段)450とを備える。
【0017】
図1から
図3Bに示すように、本体100は、除湿ロータ200、ヒータ250、主熱交換器300、副熱交換器350、処理空気ファン400、及び再生空気ファン450を含む部品を配置するベース101を備える。ベース101は、下端に位置する平面視円形状の基部102と、基部102から矩形状をなすように立設した立壁部103とを備える。ベース101の外周部は、半円筒状である樹脂製の外装パネル110A,110Bにより覆われている。外装パネル110A,110Bは、内面側に金属製の補強パネル111A,111Bを備える。一方の外装パネル110Aには、室内の空気を取り入れるための吸込口112が設けられている。吸込口112は、上下方向に延びる多数条のスリットからなる。なお、吸込口112の内面側には、図示しないフィルタが外装パネル110Aに沿って着脱可能に配置されている。
【0018】
(処理空気経路)
図4及び
図5に示すように、処理空気経路2は、吸込口112から吹出口642までを接続している。処理空気経路2には、吸込口112から吹出口642に向けて処理空気が流れる方向に沿って順に、主熱交換器300、除湿ロータ200、副熱交換器350、及び処理空気ファン400が配置されている。
【0019】
図5に最も明瞭に示すように、処理空気経路2は、第1から第5の部分2a〜2eを備える。第1部分2aは、吸込口112から主熱交換器300までを接続している。
図4に示すように、第1部分2aは、吸込口112と主熱交換器300との間に形成された空間からなる。第2部分2bは、主熱交換器300から除湿ロータ200までを接続している。
図4に示すように、第2部分2bは、主熱交換器300と除湿ロータ200との間に形成された空間からなる。第3部分2cは、除湿ロータ200から副熱交換器350までを接続している。
図4に示すように、第3部分2cは、除湿ロータ200と副熱交換器350との間に形成された空間からなる。第4部分2dは、副熱交換器350から処理空気ファン400までを接続している。
図4に示すように、第4部分2dは、副熱交換器350と処理空気ファン400の吸込口112との間に形成された空間からなる。第5部分2eは、処理空気ファン400の吐出口から吹出口642までを接続している。
図4に示すように、第5部分2eは、処理空気ファン400のファンケース410の送出部411、及びヘッド部600の送風案内部641を備える。
【0020】
処理空気ファン400が駆動されると、吸込口112から処理空気が吸い込まれる。処理空気は、主熱交換器300で昇温された後、除湿ロータ200を通過する際に除湿される。ついで、副熱交換器350で更に昇温された後、処理空気ファン400のファンケース410内に流入する。その後、ファンケース410の送出部411から上向きに送出され、ヘッド部600の吹出口642から室内へ吐出される。
【0021】
(再生空気経路)
図4及び
図5に示すように、再生空気経路3には、ヒータ250を起点として再生空気が流れる方向に従って順に、除湿ロータ200、副熱交換器350、主熱交換器300、及び再生空気ファン450が配置されている。
【0022】
図5に最も明瞭に示すように、再生空気経路3は、第1から第5の部分3a〜3eを備える。第1部分3aは、再生空気ファン450の吐出口からヒータ250までを接続している。
図3A,B及び
図4に示すように、第1部分3aは、再生空気ファン450のファンケース460とヒータ250のヒータケース260の間のダクト部462を備える。第2部分3bは、ヒータ250から除湿ロータ200までを接続している。
図4に示すように、第2部分3bは、ヒータケース260中のヒータ250と除湿ロータ200との間に形成された空間(隙間)からなる。第3部分3cは、除湿ロータ200から副熱交換器350までを接続している。
図4に示すように、第3部分3cは、副熱交換器350の上部ヘッダ370の内部空間からなる。第4部分3dは、副熱交換器350から主熱交換器300までを接続している。
図3A,B及び
図4に示すように、第4部分3dは、副熱交換器350の下部ヘッダ380、ダクト部材500、及び主熱交換器300の上部ヘッダ320を備える。第5部分3eは、主熱交換器300から再生空気ファン450までを接続している。
図3B及び
図4に示すように、第5部分3eは、主熱交換器300の下部ヘッダ330と再生空気ファン450のファンケース460の間のダクト部461を備える。
【0023】
再生空気ファン450が駆動されると、再生空気ファン450から送出された再生空気は、ヒータ250で加熱される。ついで、また、除湿ロータ200もヒータ250で加熱されることにより、吸着した水分を放出する。再生空気は、除湿ロータ200を通過する際に、除湿ロータ200が吸着した水分を回収(吸着)した後、副熱交換器350で冷却される。ついで、ダクト部材500を通って主熱交換器300に流入し、再び冷却される。その後、再生空気は、再生空気ファン450に戻り、再びヒータ250へ送出される。なお、熱交換器300,350で再生空気が冷却されることにより凝縮した水は、貯水タンク720に貯留される。
【0024】
(ヒータと副熱交換器の詳細)
図6Aから
図7に示すように、ベース101の立壁部103には除湿ロータ200が回転可能に配置されている。また、ベース101の立壁部103には、除湿ロータ200に対して、処理空気が通過する方向(
図7では左から右)の上流側の一面にヒータ250が配置され、下流側の他面に副熱交換器350が配置されている。
【0025】
詳しくは、
図6A,Bに示すように、ベース101の立壁部103には、円形状のロータ配置部104が設けられている。ベース101は、ロータ配置部104の外周部に第1から第3の通気部105a〜105cを備える。第1通気部105aは、
図6Bにおいて立壁部103の左側上部に形成されている。第1通気部105aには、ヒータ250のヒータケース260が一端側に配置され、再生空気ファン450のファンケース460のダクト部462が他端側に接続されている。第2通気部105bは、
図6Aにおいて立壁部103の左側上部に形成されている。第2通気部105bには、副熱交換器350の下部ヘッダ380に接続されたダクト部材500が一端側に接続され、主熱交換器300の上部ヘッダ320のダクト部321が他端側に接続されている。第3通気部105cは、
図6Bにおいて立壁部103の右側下部に形成されている。第3通気部105cには、主熱交換器300の下部ヘッダ330のダクト部331が一端側に接続され、再生空気ファン450のファンケース460のダクト部461が他端側に接続されている。
【0026】
図6Aから
図7に示すように、除湿ロータ200は、ベース101のロータ配置部104に回転可能に配置されている。除湿ロータ200は、ゼオライト又はシリカゲルを結合させたメッシュ状のセラミックハニカムからなる吸湿材201を備える。吸湿材201は、樹脂製の枠部材202により保持されている。
図6Bに最も明瞭に示すように、枠部材202は、吸湿材201の中心に位置する軸支部203と、吸湿材201の外周に位置する外枠部204とを備える。軸支部203と外枠部204とは、吸湿材201の一面側(外装パネル110B側)で、放射状に延びる線条枠205により連結されている。
【0027】
図6A及び
図8に示すように、ヒータ250は、ヒータケース260の内部に配置され、ベース101に対して、第1通気部105aを含む除湿ロータ200の上側部分の一部を覆い隠すように固定されている。
図8に最も明瞭に示すように、ヒータ250は、周辺温度に基づいて加熱温度を調節する機能を有する3個のPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータ251A〜251Cが用いられる。各PTCヒータ251A〜251Cの外形は、各一対の短辺部と長辺部とを有する長方形状である。各PTCヒータ251A〜251Cは、短辺部の全長、長辺部の全長、及び出力(容量)の全てが同一である。
【0028】
ヒータ250は、図示しないマイコンによって出力が3段階で切り換えられる。詳しくは、弱(第1出力)設定では、径方向外側に位置する第1及び第2PTCヒータ251A,251Bをオフ状態とし、最も径方向内側に位置する第3PTCヒータ251Cをオン状態とする。中(第2出力)設定では、第1及び第2PTCヒータ251A,251Bをオン状態とし、第3PTCヒータ251Cをオフ状態とする。強(第3出力)設定では、全てのPTCヒータ251A〜251Cをオン状態とする。
【0029】
図7及び
図8に示すように、ヒータケース260は、除湿ロータ200に対して平行に延びる閉塞壁261を備える。ヒータケース260の開口262側には、外向きに突出する固定板部263が設けられている。固定板部263には、除湿ロータ200の回転中心である枠部材202の軸支部203を覆う軸受部264が設けられている。ヒータケース260の内部には、保持部材270を介してPTCヒータ251A〜251Cが配置され、保持部材270が位置決めプレート280により脱落しないように保持されている。
【0030】
ヒータケース260の開口262は、保持部材270及び位置決めプレート280の配置により、再生空気を導入する導入部265と、加熱した再生空気を送出するヒータ配置部266とに区画されている。導入部265は、第1通気部105aに連通され、再生空気ファン450から再生空気が流入される。ヒータ配置部266は、除湿ロータ200の一部(加熱領域)に対応し、再生空気が流出される。ヒータ配置部266を正対する方向から見ると、PTCヒータ251A〜251Cが露出している。PTCヒータ251A〜251Cが動作されると、再生空気の送風方向においてヒータ配置部266の直後に位置する除湿ロータ200が加熱される。
【0031】
保持部材270は、ヒータケース260の開口262の導入部265を除く領域を塞ぐ外形のセラミック製の枠体である。保持部材270は、PTCヒータ251A〜251Cを長辺部に沿って変位させた階段状に配置する配置穴271を備える。
図7に示すように、保持部材270は、ヒータケース260の閉塞壁261との間に所定間隔の空隙部267を形成するための支持部272を備える。
【0032】
図8に示すように、位置決めプレート280は、ヒータケース260の開口262にネジ止めにより固定され、PTCヒータ251A〜251Cを配置した保持部材270がヒータケース260の開口262から脱落することを防止する。位置決めプレート280は円弧状に形成されている。位置決めプレート280の上縁281は、ヒータケース260の開口262の内縁とで導入部265を画定する。位置決めプレート280の下縁282は、ヒータケース260の開口262の内縁とでヒータ配置部266を画定する。
【0033】
図4及び
図7に示すように、ヒータケース260には、導入部265を通して閉塞壁261とヒータ250(保持部材270)との間の空隙部267に再生空気が流入する。その後、再生空気は、閉塞壁261に衝突して逆向きに旋回し、ヒータ配置部266内のヒータ250を通過することにより加熱された後、除湿ロータ200に向けて流れる。
【0034】
図4及び
図6A,Bに示すように、主熱交換器300は、再生空気経路3の一部を構成し、処理空気経路2中の除湿ロータ200の吸込口112側に配置されている。この主熱交換器300は樹脂製であり、流路部材310と、上部ヘッダ320と、下部ヘッダ330とを備える。
【0035】
流路部材310は、多数の直管状のパイプ311からなる。各パイプ311は、上部ヘッダ320と下部ヘッダ330とを流体的に接続する。各パイプ311は、内部を再生空気が通過し、隣接するパイプ311,311間である外部を処理空気が通過する。このパイプ311,311が延びる上下間の領域が主熱交換部であり、この主熱交換部はヒータケース260の下部に配置されている。
【0036】
上部ヘッダ320は、流路部材310の各パイプ311の上端に接続されている。上部ヘッダ320は、第2通気部105bに接続されるダクト部321を備える。下部ヘッダ330は、流路部材310の各パイプ311の下端に接続されている。下部ヘッダ330は、第3通気部105cに接続されるダクト部331を備える。
【0037】
再生空気は、ダクト部材500を介して副熱交換器350から上部ヘッダ320のダクト部321に流入する。その後、パイプ311を通って下部ヘッダ330内に流入し、ダクト部321と同一側に位置するダクト部331から再生空気ファン450のファンケース460へ流動する。
【0038】
図4及び
図6A,Bに示すように、副熱交換器350は、再生空気経路3の一部を構成し、処理空気経路2中の除湿ロータ200の吹出口642側に配置されている。この副熱交換器350は、流路部材(流路部)360と、上部ヘッダ(第1ヘッダ部)370と、下部ヘッダ(第2ヘッダ部)380とを備える。
【0039】
流路部材360は、多数の直管状のパイプ361からなる樹脂成形品である。各パイプ361は、上部ヘッダ370と下部ヘッダ380とを流体的に接続する。各パイプ361は、内部を再生空気が通過し、隣接するパイプ361,361間である外部を処理空気が通過する。このパイプ361,361が延びる上下間の領域が副熱交換部である。
【0040】
上部ヘッダ370は、樹脂製のヘッダ本体373と金属製の
ガイド壁375とを備え、流路部材360の各パイプ361の上端に接続されている。
図6Aに最も明瞭に示すように、上部ヘッダ370は、ヒータ250で加熱された再生空気が除湿ロータ200を通して流入される流入口371を備える樹脂成形品である。下部ヘッダ380は、流路部材360の各パイプ361の下端に接続されている。
図6Bに最も明瞭に示すように、下部ヘッダ380は、除湿ロータ200と反対側(外装パネル110B側)で開口するダクト部381を備える。
【0041】
再生空気は、ヒータ250によって加熱され、除湿ロータ200により水分を回収した状態で、流入口371から流入する。ついで、流動方向が下向きに変換され、パイプ361を通って下部ヘッダ380内に流入する。その後、ダクト部材500を介して除湿ロータ200の反対側に位置する主熱交換器300へ流動する。
【0042】
図4に示すように、処理空気ファン400は、処理空気経路2において、処理空気が副熱交換器350を通過した後の下流側(外装パネル110B側)に配置されている。処理空気ファン400は、回転軸の軸方向から空気を吸引し、径方向外向きに空気を送出するシロッコファンが用いられる。処理空気ファン400は、ファンケース410の内部に回転可能に配置されている。
【0043】
図4に示すように、再生空気ファン450は、処理空気ファン400の外装パネル110B側に配置されている。再生空気ファン450は、処理空気ファン400と同様のシロッコファンが用いられる。再生空気ファン450は、ファンケース460の内部に回転可能に配置されている。ファンケース460には、再生空気が流される一対のダクト部461,462が設けられている。第1ダクト部461は、ベース101の第3通気部105cに接続され、ファンケース460と主熱交換器300とを連通させる。第2ダクト部462は、ベース101の第1通気部105aに接続され、ファンケース460とヒータケース260とを連通させる。
図3Bに示すように、ダクト部461,462は、除湿ロータ200の軸方向から見ると、ベース101の立壁部103の対角にかけて延びる。
【0044】
図4に示すように、処理空気ファン400と再生空気ファン450とは、1個の両軸モータ490により回転される。両軸モータ490は、処理空気ファン400のファンケース410と、再生空気ファン450のファンケース460との間に配置される。ファンケース410,460同士をネジ止めして固定することにより、ファンケース410,460間に両軸モータ490が挟み込まれて固定されている。
【0045】
図3Bに示すように、ダクト部材500は、ファンケース460の外装パネル110B側に配置されている。ダクト部材500は、
図3Aにおいて右下側に位置する一端に、副熱交換器350のダクト部381に接続された第1接続部501を備える。また、ダクト部材500は、
図3Bにおいて右上側に位置する他端に、ベース101の第2通気部105bを介して主熱交換器300の上部ヘッダ320に接続された第2接続部502を備える。
図3Bに示すように、ダクト部材500は、除湿ロータ200の軸方向から見ると、ファンケース460のダクト部461,462とは逆向きで、ベース101の立壁部103の対角にかけて延びる。
【0046】
(副熱交換器の上部ヘッダの詳細)
図7に示すように、副熱交換器350の上部ヘッダ370は、除湿ロータ200を挟んでヒータケース260の対向位置に配置されている。この上部ヘッダ370の取付位置は、除湿ロータ200に対して再生空気が通過する方向(
図7において左から右)の下流側である。上部ヘッダ370には、除湿ロータ200と対向する壁に、再生空気を流入する流入口371が形成されている。また、上部ヘッダ370には、流入口371から再生空気が流入する方向(以下X方向という)に対して交差(直交)する方向(以下Y方向という)に開口した複数の流出口372が形成されている。
【0047】
図6A,Bを併せて
図9Aから
図9Cを参照すると、上部ヘッダ370は、除湿ロータ200の上部を覆う樹脂製のヘッダ本体373と、金属製のガイド壁375とを備える。ヘッダ本体373は、下端開口を塞ぐ閉塞板374を備える。ヘッダ本体373と閉塞板374とは、ネジ止めにより互いに固定されている。なお、本実施形態では、閉塞板374をヘッダ本体373と別部品で構成しているが、ブロー成形等によって一体に設けてもよい。
【0048】
図9Aに最も明瞭に示すように、ヘッダ本体373は概ね半円形状であり、X方向から見て複数の流出口372が形成されたY方向へ向けて徐々に横幅が広がっている。
図9B,Cに示すように、ヘッダ本体373は、除湿ロータ200側に配置された対向壁部373aと、除湿ロータ200から離反した外壁部373bと、これら壁部373a,373bを連続する側壁部373cとを備える。ヘッダ本体373の外周部には、ベース101にネジ止め固定するためのネジ止め部373dが設けられている。また、対向壁部373aには、除湿ロータ200の枠部材202の軸支部203を回転可能に支持する軸部373eが設けられている。
【0049】
ヘッダ本体373の対向壁部373aに流入口371が形成されている。
図8及び
図9Aに示すように、流入口371は、除湿ロータ200に対して、ヒータ250の排気口であるヒータ配置部266と略面対称な形状である。流入口371の上部は、側壁部373cによって画定されている。
図9Bを参照すると、流入口371を形成することによるヘッダ本体373の剛性の低下を防ぐために、流入口371の下縁中央には、外壁部373bにかけて延びる補強リブ部373fが設けられている。
【0050】
図9Cに最も明瞭に示すように、ヘッダ本体373の外壁部373bは、X方向外向きに湾曲(膨出)した曲面部373gを備える。曲面部373gは、流入口371と対向する位置(再生空気が衝突する部位)に設けられている。外壁部373bの曲面部373gの下部は、曲面部373gに接し、鉛直方向に延びる垂直面である。また、外壁部373bは、流出口372が形成された下側に、X方向外向きに傾斜した傾斜部373hを備える。
【0051】
図9Cに示すように、傾斜部373hの上部には、内外にかけて貫通する矩形状の孔からなるヒューズ配置部373iが設けられている。ヒューズ配置部373iの外側にはカバー376が配置され、このカバー376により図示しない温度ヒューズが配置されている。
図9Bに示すように、ヒューズ配置部373iの外周部には、外壁部373bを通してカバー376とガイド壁375とをネジ止めして固定するための第1ネジ挿通部373jが設けられている。また、外壁部373bには、ガイド壁375をネジ止めして固定するための第2ネジ挿通部373kが設けられている。
【0052】
図6B及び
図9A,Cに示すように、閉塞板374は、傾斜したヘッダ本体373の下端開口に配置されている。
図9Cに最も明瞭に示すように、閉塞板374には、円形状の孔からなる複数の流出口372が形成されている。流出口372には、閉塞板372に対して直交する方向に延びるようにパイプ361が接続されている。このように接続したパイプ361は、除湿ロータ200をX方向から見ると、斜めに傾斜して延びる。これによりパイプ361の全長をできる限り長くし、熱交換可能な距離(面積)を確保している。
【0053】
図9B,Cに示すように、ガイド壁375は、外壁部373bの流入口371とX方向に対応する全領域を覆う形状である。ガイド壁375は、流入口371から流入した再生空気を流出口372に向けて案内するように、Y方向へ方向転換させる。ガイド壁375は、X方向から見てY方向へ向けて徐々に横幅が広がっている。ガイド壁375は、ヘッダ本体373の円弧状の側壁部373cの縁に配置される係合縁部375aを備える。また、ヘッダ本体373の第1ネジ挿通部373jに対応する第1ネジ止め部375bと、第2ネジ挿通部373kに対応する第2ネジ止め部375cとを備える。
【0054】
ガイド壁375は、係合縁部375aから流出口372が位置するY方向に向けてX方向外向きに膨らんだ曲面部375dを備える。曲面部375dは、流入口371が位置する上側と、流出口372が位置する下側の曲率が異なる。
図9Cに示すように、流入口371側には、曲率半径R1の第1曲面部375d1が形成されている。流出口372側には、曲率半径R2の第2曲面部375d2が形成されている。第2曲面部375d2は、ヘッダ本体373の曲面部373gと所定間隔をもって位置する。第2曲面部375d2の曲率は、第1曲面部375d1の曲率より大きい。これら曲面部375d1,375d2は、X方向に流入した再生空気が衝突することにより、Y方向に屈折可能な曲率半径R1,R2に設定される。
【0055】
曲面部375dの下部には、曲面部375dに接し、垂直方向に延びる垂直面部375eが形成されている。垂直面部375eの下部には、傾斜部373hと所定間隔をあけて位置する拡開部375fが形成されている。拡開部375fは、X方向外向きに広がるように、垂直面部375eに対して屈曲されている。拡開部375fの屈曲角度は、除湿ロータ200から最も離れたパイプ361に再生空気を行き渡らせることが可能な範囲である。
【0056】
このようにした副熱交換器350の上部ヘッダ370は、流入口371が除湿ロータ200を介してヒータ250に対向配置され、ダクト部材等の配管は配置されていない。そのため、ヒータ250と流路部材360との部品間距離が短く、流入した加熱直後の再生空気と、流路部材360のパイプ361の外部を通過する処理空気との温度差を大きくすることができる。よって、副熱交換器350での熱交換効率を向上できるため、除湿機1全体の除湿効率も向上できる。
【0057】
また、ガイド壁375は、Y方向へ徐々に横幅を広げている。さらに、ガイド壁375には、X方向に膨らんだ曲面部375dが形成され、曲率は流出口372側を大きくしている。しかも、ガイド壁375の流出口372側には、X方向に広がった拡開部375fが形成されている。よって、流入口371から流入した再生空気を複数の流出口372に対して偏り無く供給することができる。そのため、副熱交換器350での熱交換効率を更に向上できる。
【0058】
また、上部ヘッダ370の流入口371は、ヒータ250のヒータケース260のヒータ配置部266と略面対称な形状としているため、ヒータ250で加熱した再生空気を確実に副熱交換器350内に取り入れることができる。しかも、上部ヘッダ370は、金属製のガイド壁375を備えるため、加熱直後の再生空気に対する耐熱性を十分に確保できるだけでなく、再生空気全体の均熱化を図ることができる。そのため、副熱交換器350による熱交換効率を更に向上できる。また、樹脂製のヘッダ本体373を製造する際に使用可能な材料の自由度を向上できる。
【0059】
しかも、本実施形態では、処理空気経路2において、ヒータ250を除湿ロータ200の上流側に配置し、副熱交換器350を除湿ロータ200の下流側に配置している。即ち、除湿ロータ200に対して、再生空気と処理空気とを同じ方向で通過させるため、再生空気による水分の回収効率を向上できる。即ち、除湿ロータ200の一面側から他面側に向けて処理空気を通過させると、処理空気が含む水分は、除湿ロータ200の一面側に多く吸着される。そして、除湿ロータ200に対して加熱直後の再生空気を処理空気と同じ方向で通過させることにより、除湿ロータ200に吸着した水分の回収効率を向上できる。その結果、除湿機1全体の除湿効率を更に向上できる。
【0060】
なお、本発明の除湿機1は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0061】
例えば、前記実施形態では、処理空気経路2を処理空気が流れる方向において、除湿ロータ200の上流側に主熱交換器300を配置し、除湿ロータ200の下流側に副熱交換器350を配置したが、一方の熱交換器350だけを配置する構成としてもよい。また、処理空気経路2において、除湿ロータ200の上流側にヒータ250を配置し、除湿ロータ200の下流側に熱交換器350を配置したが、上流側に熱交換器350を配置し、下流側にヒータ250を配置してもよい。但し、ヒータ250と熱交換器350とは、再生空気経路3において再生空気が除湿ロータ200を通過する方向に対して、除湿ロータ200の上流側にヒータ250を配置し、除湿ロータ200の下流側に熱交換器350を配置する。
【0062】
また、熱交換器350の上部ヘッダ370は、内部に別体のガイド壁375を配置したが、ヘッダ本体373を高耐熱性樹脂により形成すれば、ヘッダ本体373の外壁部373bをガイド壁としてもよい。また、上部ヘッダ370の流入口371は、ヒータケース260の排気口であるヒータ配置部266と略面対称な形状としたが、除湿ロータ200を通過して供給される再生空気の全てを受け入れることが可能であれば、その形状は希望に応じて変更が可能である。
【0063】
また、ガイド壁375は、複数の流出口372に偏り無く再生空気を供給するために、X方向から見た横幅が流出口372に向けて広がる形状としたが、その形状は希望に応じて変更が可能である。同様に、ガイド壁375は、流入口から再生空気が流入するX方向に膨らむ曲面部375d及びX方向に広がった拡開部375fを有する形状としたが、いずれか一方だけを設ける構成としてもよい。
【0064】
また、熱交換器350は、流路部材360と上部ヘッダ370と下部ヘッダ380とをそれぞれ別体で形成したが、
図10に模式的に示すように、ブロー成形により一体に形成してもよい。この場合、上部のヘッダ部370と下部のヘッダ部380の間に形成した流路部360は、上下方向に延びる複数の通路362と、隣接した通路362,362間に貫通孔363とを備える。この変形例の上部ヘッダ部370には、前記実施形態に示す閉塞板374に相当する部分は設けられていない。そのため、上部ヘッダ部370の流出口372は、
図10中一点鎖線(仮想線)で示す上部ヘッダ部370の下端開口全体、即ち上部ヘッダ部370と流路部360との境界部分全体からなる。上部のヘッダ部370から流出口372を介して流路部360の通路362に流入した再生空気は、貫通孔363を通過する処理空気と熱交換することで冷却され、下部のヘッダ部380に流入する。
【0065】
また、熱交換器350は、前記実施形態のように流路部材360と上部ヘッダ370と下部ヘッダ380とをそれぞれ別体で形成し、流路部材360は、複数のパイプ361の代わりに、
図10に示す変形例のようにブロー成形した流路部360を用いてもよい。
【0066】
なお、本発明の除湿機1は、例えば衣類の乾燥を目的とした衣類の水分を除湿対象とする他、室内を乾燥させることを目的とした室内空気を除湿対象とするものや、これらの両方の目的を達成するものが含まれる。言い換えれば、本発明の除湿機1には、除湿対象の衣類や室内を乾燥させる乾燥機が含まれる。