(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6339092
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】光ガイドを用いた発光アレンジメント
(51)【国際特許分類】
F21V 8/00 20060101AFI20180528BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20180528BHJP
F21Y 103/10 20160101ALN20180528BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20180528BHJP
【FI】
F21V8/00 310
F21V8/00 320
F21V8/00 330
F21V8/00 340
F21V8/00 360
F21S2/00 230
F21Y103:10
F21Y115:10
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-544565(P2015-544565)
(86)(22)【出願日】2013年11月6日
(65)【公表番号】特表2015-535654(P2015-535654A)
(43)【公表日】2015年12月14日
(86)【国際出願番号】IB2013059926
(87)【国際公開番号】WO2014087278
(87)【国際公開日】20140612
【審査請求日】2016年11月1日
(31)【優先権主張番号】61/732,594
(32)【優先日】2012年12月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】デ ヴァン アドリアヌス ヨハネス ステファヌス マリア
【審査官】
津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−109243(JP,A)
【文献】
特開2009−048943(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第19803537(DE,A1)
【文献】
国際公開第2012/124637(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光アレンジメントの長手方向に沿って配置され、各々が光を通常の照明方向に放射する発光面を有する、2つの発光素子と、
前記発光素子のうちの第1の発光素子の前記発光面を部分的に覆い、前記第1の発光素子からの入射光を受光する入射面と、前記入射面によって受光された入射光のうちの少なくとも一部を放射する出射面とを有し、前記入射面と前記出射面とが当該発光アレンジメントの長手方向に沿った反対側に設けられる、少なくとも1つの光ガイドと、
を含み、
前記出射面が、前記第1の発光素子と第2の前記発光素子との間に設置され、光を前記通常の照明方向に放射するように配向されるように、前記光ガイドは配置される、
発光アレンジメント。
【請求項2】
前記光ガイドによって受光された光は、前記出射面を離れる前に、前記発光アレンジメントの前記長手方向に沿って平行移動される、請求項1に記載の発光アレンジメント。
【請求項3】
前記出射面は拡散性である、請求項1に記載の発光アレンジメント。
【請求項4】
発光素子のアレイと、隣接する発光素子の各対間に1つの光ガイドの出射面が位置決めされるように配置される複数の光ガイドとを含む、請求項1乃至3の何れか一項に記載の発光アレンジメント。
【請求項5】
前記発光素子のアレイ内の前記発光素子は、互いに等距離で離間される、請求項4に記載の発光アレンジメント。
【請求項6】
前記発光素子のアレイ内の前記発光素子は、繰返しのパターンで配置される、請求項4に記載の発光アレンジメント。
【請求項7】
前記第1の発光素子が前記第2の発光素子と第3の発光素子との間に位置決めされる、当該第3の発光素子と、
各々が、前記第1の発光素子の前記発光面を部分的に覆い、前記第1の発光素子からの光を受光する第1の光ガイド及び第2の光ガイドであって、各々が、前記第1の発光素子からの入射光を受光する入射面と、前記入射面によって受光された入射光のうちの少なくとも一部を放射する出射面とを有する、前記第1の光ガイド及び前記第2の光ガイドと、
を更に含み、
前記第1の光ガイドの前記出射面は、前記第1の発光素子と前記第2の発光素子との間に設置され、
前記第2の光ガイドの前記出射面は、前記第1の発光素子と前記第3の発光素子との間に設置される、
請求項1乃至6の何れか一項に記載の発光アレンジメント。
【請求項8】
発光アレンジメントの長手方向に沿って配置され、各々が光を通常の照明方向に放射する発光面を有する、2つの発光素子と、
前記発光素子のうちの第1の発光素子の前記発光面を部分的に覆い、前記第1の発光素子からの入射光を受光する入射面と、前記入射面によって受光された入射光のうちの少なくとも一部を放射する出射面とを有する、少なくとも1つの光ガイドと、
を含み、
前記出射面が、前記第1の発光素子と第2の前記発光素子との間に設置され、光を前記通常の照明方向に放射するように配向されるように、前記光ガイドは配置され、
前記第1の発光素子が前記第2の発光素子と第3の発光素子との間に位置決めされる、当該第3の発光素子と、
各々が、前記第1の発光素子の前記発光面を部分的に覆い、前記第1の発光素子からの光を受光する第1の光ガイド及び第2の光ガイドであって、各々が、前記第1の発光素子からの入射光を受光する入射面と、前記入射面によって受光された入射光のうちの少なくとも一部を放射する出射面とを有する、前記第1の光ガイド及び前記第2の光ガイドと、
を更に含み、
前記第1の光ガイドの前記出射面は、前記第1の発光素子と前記第2の発光素子との間に設置され、
前記第2の光ガイドの前記出射面は、前記第1の発光素子と前記第3の発光素子との間に設置され、
各々が、前記第1の発光素子の前記発光面を部分的に覆い、前記第1の発光素子からの光を受光する第3の光ガイド及び第4の光ガイドであって、各々が、前記第1の発光素子からの入射光を受光する入射面と、前記入射面によって受光された入射光のうちの少なくとも一部を放射する出射面とを有する、前記第3の光ガイド及び前記第4の光ガイドを更に含み、
前記第3の光ガイドの前記出射面は、前記第1の発光素子と前記第2の発光素子との間に設置され、
前記第4の光ガイドの前記出射面は、前記第1の発光素子と前記第3の発光素子との間に設置され、
前記第1の光ガイドの前記出射面は、前記第3の光ガイドの前記出射面よりも前記第1の発光素子側に位置決めされ、
前記第2の光ガイドの前記出射面は、前記第4の光ガイドの前記出射面よりも前記第1の発光素子側に位置決めされる、
発光アレンジメント。
【請求項9】
前記光ガイドは、
前記通常の照明方向と同一の方向を向く上面と、
前記上面の反対側に配置される底面と、
を更に有し、
前記入射面は前記底面の一部であり、
前記出射面は前記上面の一部である、
請求項1乃至8の何れか一項に記載の発光アレンジメント。
【請求項10】
前記光ガイドは、前記発光アレンジメントの前記長手方向に沿って平行四辺形の形状の断面を有する、請求項1乃至9の何れか一項に記載の発光アレンジメント。
【請求項11】
発光アレンジメントの長手方向に沿って配置され、各々が光を通常の照明方向に放射する発光面を有する、2つの発光素子と、
前記発光素子のうちの第1の発光素子の前記発光面を部分的に覆い、前記第1の発光素子からの入射光を受光する入射面と、前記入射面によって受光された入射光のうちの少なくとも一部を放射する出射面とを有する、少なくとも1つの光ガイドと、
を含み、
前記出射面が、前記第1の発光素子と第2の前記発光素子との間に設置され、光を前記通常の照明方向に放射するように配向されるように、前記光ガイドは配置され、
前記出射面の領域と、前記発光素子の覆われていない部分の領域とが、サイズ及び/又は形状において実質的に等しい、
発光アレンジメント。
【請求項12】
前記第1の発光素子及び前記第2の発光素子は、反射面上に取り付けられる、請求項1乃至11の何れか一項に記載の発光アレンジメント。
【請求項13】
前記発光素子の前に配置される拡散素子を更に含む、請求項1乃至12の何れか一項に記載の発光アレンジメント。
【請求項14】
少なくとも1つの請求項1乃至13の何れか一項に記載の発光アレンジメントと、前記発光素子を駆動するための駆動回路と、前記駆動回路に接続される電力インターフェースとを含む、照明システム。
【請求項15】
請求項14に記載の照明システムを含み、前記発光素子を囲む透明管と、前記透明管の近傍の拡散素子とを更に含む、T‐LEDシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明の分野に関し、より詳細には、光ガイドを用いた発光アレンジメントに関する。
【背景技術】
【0002】
T‐LED(管状LED)は、オフィスの照明器具等内の蛍光管のような容易に取り付けられる機械的な担体によってLEDが担持されるような態様で、LEDがライン状の照明システムとして配置される、LEDに基づく照明装置である。T‐LEDが光を均一に放射する場合は、有利である。現在のT‐LEDでは、LED基板をディフューザで囲むことによって均一性が達成され得る。ディフューザの解決策の欠点は、ディフューザからLEDに向かって後方に散乱される一部の光が、T‐LEDを離れて部屋に向かうことのできる前に複数回の反射を必要とし、これはシステム効率を低下させることである。
【0003】
図1aは、例えばPCB16上に取り付けられたLED10a〜10cといった3つの発光素子を含む発光アレンジメントの上方から見た図を示す。
図1bは、発光素子10a〜10cが光14をどのように放射するのかを示す。この発光アレンジメントによって放射された光14は、3つのはっきりとした光スポットだけが見られるので、システムの観察者によってムラ(spottiness)として知覚される恐れがある。こうしたアレンジメントは、観察者にとって不快である恐れがある。この問題の解決策は、PCB16上に取り付けられる発光素子10a〜10cの数を増やすことである。これは、望ましくないシステムのコストの増大をもたらす。更なる解決策は、
図2に視覚化されるように、PCBと発光素子10a〜10cとを、拡散性とされた内面220を有する透明管22の中に設置することである。発光素子10a〜10cによって放射された光14の一部20a、20bは、ディフューザ22の拡散性の内側220によってPCB16に向かって後方に散乱され、PCB16において光14の一部20a、20bは、ディフューザ22を照射するために再び後方に散乱される(21a、21bによって示される)。結果として、ディフューザの平面で、より均一な照明が得られる。ディフューザ22を透過した一部の光は、拡散性の内側220によって前方18に散乱され、その結果拡散され、観察者によって知覚されるときに、より均一な照明をもたらす。
【0004】
欠点は、ディフューザ22からPCB16に向かって後方に散乱された一部の光20a〜20bは、発光アレンジメントを離れて例えば部屋に向かうことのできる前に追加の反射を必要とすることである。各反射は幾分かの吸収をもたらすので、システム効率が低下する。例えば
図2において説明されたような現在のT‐LEDシステムは、典型的には90%の光効率、10%の光損失を有するとともに、ムラは許容限界にあり、一部の人々にとっては許容レベルに達しない。
【0005】
米国特許出願公開第2012/0106144号は、ヒートシンクと、LED基板と、1対のコネクタと、ヒートシンクに固定されたカバーとを含むLEDの管状ランプを提示する。カバーは、第1のカバーと第2のカバーとを含み、第1のカバー上に、凹レンズと、凹レンズの両側に配置される反射レンズとを含む、少なくとも1つの光学レンズが配置される。凹レンズは、LEDからの光ビームを前方方向に、又は略前方方向に屈折させ、反射レンズは、LEDからの光ビームを横方向に反射させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記に鑑み、本発明の目的は、上述の欠点のうちの1つ又は複数を解決し、又は少なくとも低減させることである。一般的に、上記の目的は添付の独立請求項によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によると、この目的及び他の目的は、発光アレンジメントの長手方向に沿って配置され、各々が光を通常の照明方向に放射する発光面を有する、2つの発光素子と、当該発光素子のうちの第1の発光素子の発光面を部分的に覆い、第1の発光素子からの入射光を受光する入射面と、入射面によって受光された入射光のうちの少なくとも一部を放射する出射面とを有する、少なくとも1つの光ガイドとを含み、入射面が発光素子のうちの1つから放射される光を受光するように設置され、出射面が発光素子と発光素子との間に設置され、出射面が光を通常の照明方向に放射するように配置されるように、光ガイドは配置される、発光アレンジメントによって達成される。
【0008】
「通常の照明方向」との表現は、発光素子から大部分の光が放射される方向に関する。通常、この方向は、基板上に発光素子が取り付けられる当該基板の表面に垂直である。
【0009】
本発明は、発光素子によって放射された光の一部を発光素子と発光素子との間の位置に導光するために光ガイドが用いられる、発光アレンジメントを提供するという着想に基づく。これは、1つの発光素子によって放射された光を、まるで複数のより弱い発光素子から放射されたかのように、複数の場所(発光面の覆われていない部分及び光ガイド(又は複数の光ガイド)の出射面(又は複数の出射面))に再配光する。利点は、これが発光アレンジメントのムラを低減させることである。これは、発光アレンジメントがより低い強度のより多くの発光素子を含む発光アレンジメントとして知覚され、各発光素子が当該発光素子の光を1つの通常の位置で放射しているだけの場合よりも、発光アレンジメント自体がより均等に広がる光を放射することを意味する。これは、1つの強力な発光素子は、複数のより弱い力の発光素子よりも安価であり得るので、更に有利である。また、これは、製作コストの低減につながる、より時間効率的な発光アレンジメントの製作をもたらし得る。更なる利点は、発光アレンジメント内に含まれる発光素子の数が、アレンジメントのムラを増大させることなく低減され得ることである。これは、より少ない数の発光素子、ひいてはより少ない電気的インターフェースをもたらす。これは、発光アレンジメントの材料のためのコスト低減だけでなく、より時間効率的な発光アレンジメントの製作による製作コストの低減にもつながる。
【0010】
「発光素子と発光素子との間」の位置は、発光素子と発光素子との間の直線上の位置に限られないことが留意される。むしろ、長手方向における概して発光素子と発光素子との間の任意の位置を含む、より広い意味が意図される。
【0011】
「発光素子」との用語は、例えば装置の両端間に電位差を付与するか、又は装置に電流を通すことによって起動されたときに、例えば可視領域、赤外線領域、及び/又は紫外線領域といった電磁スペクトルの任意の領域又は複数の領域の組合せで放射線を放出する、任意の装置を規定するために用いられる。したがって、発光素子は、単色、準単色、多色、又は広帯域スペクトル放射の特性を有し得る。各発光素子は、少なくとも1つの光源を有する。光源の例は、半導体、有機又はポリマ/高分子発光ダイオード、光励起蛍光体被覆発光ダイオード、光励起ナノクリスタル発光ダイオード、又は当業者によって容易に理解されるような任意の他の類似の装置を含む。更に、発光素子との用語は、ハウジング又はパッケージの内部に特定の光源又は複数の光源が設置される当該ハウジング又はパッケージとの組合せで放射線を放出する、特定の光源の組合せを規定するために用いられてもよい。
【0012】
光ガイドによって受光された光は、出射面を離れる前に、発光アレンジメントの長手方向に沿って平行移動される。ディフューザを用いた解決策が光損失を引き起こす余分な反射を必要とするのに対し、これは、光ガイドがほとんどいかなる光損失もなしに光を再配光するので、システム効率を高めることができる。また、これは、発光アレンジメントがより多数の発光素子を有するものとして知覚されるので、発光アレンジメントによって放射される光の均一性を高めることができる。更なる実施形態では、光は、別の方向に移動されることがアレンジメントによって必要とされる場合、別の方向に移動されてもよい。これは、発光アレンジメントが長手方向に完全に真っ直ぐではない、例えば曲がっている場合にも当てはまる。
【0013】
光ガイドの出射面は、出射面を通って光ガイドを出る光がより均一に配光されるように、拡散性であってもよい。代替的に、発光素子の前に拡散素子が配置されてもよい。
【0014】
更なる実施形態では、発光アレンジメントは、発光素子のアレイと、少なくとも1つの光ガイドの出射面が隣接する発光素子の各対間に位置決めされるように配置される複数の光ガイドとを含む。より多くの発光素子を有する利点は、当該発光アレンジメントによってより多くの光が放射され得ることである。発光素子は、通常の1方向に沿って延びるか、又は2方向に延びてもよい。後者の場合、互いに並んで設置される複数の発光アレンジメントを有することを論じてもよい。
【0015】
発光素子のアレイ内の発光素子は、互いに等距離で離間されるか、又は繰返しのパターンで配置されてもよい。こうした分散の利点は、放射された光の均一性が高まることである。更なる利点は、アレンジメントの製作が単純化されることである。例えば、多数の発光素子と光ガイドとを有するモジュールが製造され、照明アレンジメントを形成するために複数のこうしたモジュールが組み合わされてもよい。
【0016】
本発明の別の実施形態によると、発光アレンジメントは、第2の発光素子と第3の発光素子との間に位置決めされる第1の発光素子からの光を受光する第1の光ガイド及び第2の光ガイドを有し、第1の光ガイドの出射面は第1の発光素子と第2の発光素子との間に設置され、第2の光ガイドの出射面は第1の発光素子と第3の発光素子との間に設置される。この実施形態では、第1の発光素子は3つの光のスポットを生成し、1つの光のスポットは第2の発光素子と第1の発光素子との間に生成され、1つの光のスポットは第1の発光素子と第3の発光素子との間に生成され、1つの光のスポットは発光素子の覆われていない残りの部分によって生成される。第1の光ガイド及び第2の光ガイドの入射面は、各々第1の発光素子の1/3、又は例えば光ガイドの光透過効率といった光ガイドの特性に依存して何らかの他の割合で覆ってよい。発光素子によって生成された光のスポットの各々が観察者の視点から等しく明るく見える場合、有利である。これは、アレンジメントによって放射されるより均一な光をもたらし得る。
【0017】
更なる実施形態では、第1の発光素子からの光を受光するために第3の光ガイド及び第4の光ガイドが配置され、第3の光ガイドの出射面は第1の発光素子と第2の発光素子との間に設置され、第4の光ガイドの出射面は第1の発光素子と第3の発光素子との間に設置され、第1の光ガイドの出射面は第3の光ガイドの出射面よりも第1の発光素子側に位置決めされ、第2の光ガイドの出射面は第4の光ガイドの出射面よりも第1の発光素子側に位置決めされる。
【0018】
本発明の更なる実施形態によると、光ガイドは、発光アレンジメントの長手方向に沿った断面において平行四辺形の形状に成形され、当該平行四辺形の平行な二辺は長手方向に沿って延びている。この形状デザインは、光ガイドの長手方向に離れた両端における光の入射及び出射を可能にしながら、これら両端間での光の効率的な導光を可能にするための効率的な態様である。
【0019】
本発明の別の実施形態によると、光ガイドの出射面の発光アレンジメントの長手軸に沿った断面と、第1の発光素子の覆われていない部分の発光アレンジメントの長手軸に沿った断面とは、等しいサイズを有する。このことの2つの効果は、(1)発光素子の覆われていない部分及び光ガイドの出射面から、等量の光が放射されること、(2)光がこうした光ガイドを通過する間に、光ビームの配光が変わらないことである。このことの効果は、発光アレンジメントによって放射された光が当該発光アレンジメントに沿って均一に広がることである。発光アレンジメントの特性及び要件に依存して、寸法は多様であってよい。例えば、光ガイドの材料が98%の光効率を有する場合、入射面の寸法は光ガイドを通じた光損失を補償するのと同等のより大きなサイズを有してよい。
【0020】
発光アレンジメントの発光素子は、反射面上に取り付けられてもよい。このことの効果は、当該面に向かって反射されたいかなる光も再び通常の照明方向に再反射され得ることである。したがって、より効率的な発光アレンジメントが達成され得る。
【0021】
本発明による1つ又は複数の発光アレンジメントは、照明システム内で実施されてもよい。1つの実施例は、内部が拡散性である透明プラスチック管を更に含み、照明システムが透明プラスチック管によって囲まれる、T‐LEDシステムである。
【0022】
本発明の第1の態様による、より多くの光のスポットを放射する照明システムを有することの利点は、より少ないスポットを放射するシステムを有することと比較して、透明プラスチック管の拡散性の内部の透過性がより多くのスポットの場合にはより高く、更に、より均一な照明をもたらし得ることである。
【0023】
本発明は、請求項に記載された特徴の可能な組み合わせの全てに関することが留意される。一般的に、請求項で用いられる全ての用語は、本明細書において別段に明示的に定義されない限り、本技術分野における当該用語の通常の意味に従って解釈されるべきである。
【0024】
本発明の他の目的、特徴、及び利点も、以下の詳細の開示から、及び図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明のこの態様及び他の態様は、本発明の実施形態(又は複数の実施形態)を示す添付の図面を参照して、より詳細に説明される。
【0026】
【
図1a】従来の発光アレンジメントの上面図である。
【
図1b】従来の発光アレンジメントの側面図である。
【
図2】発光素子から放射された光を拡散するディフューザを有する
図1の発光アレンジメントの側面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態による発光アレンジメントの側面図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態による発光アレンジメントの側面図である。
【
図5a】本発明の実施形態による光ガイドを有しない発光アレンジメントの上面図である。
【
図5b】本発明の実施形態による光ガイドを有する発光アレンジメントの上面図である。
【
図5c】本発明の実施形態による光ガイドを有する発光アレンジメントの側面図である。
【
図6a】本発明の実施形態による光ガイドを有しない発光アレンジメントの上面図である。
【
図6b】本発明の実施形態による光ガイドを有する発光アレンジメントの上面図である。
【
図6c】本発明の実施形態による光ガイドを有する発光アレンジメントの側面図である。
【
図7】実施形態によるT‐LEDシステムの断面の斜視図である。
【0027】
図に示されるとき、層及び領域のサイズは説明の目的で誇張され、したがって本発明の実施形態の模式的構造を示すために提供される。全体にわたり、類似の参照番号は類似の要素を指す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の現在好ましい実施形態が示される添付の図面を参照して、本発明は以下に更に充分に説明される。しかしながら、本発明は多くの様々な形式で具体化されることができ、本明細書に記載される実施形態に限定されるものと解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は当業者に対し徹底かつ完全性のために提供され、本発明の範囲を充分に伝える。
【0029】
図3は、PCB30上に取り付けられた発光素子32を含む発光アレンジメントを示す。PCBは、発光素子32から生じてPCB上に向けられる任意の光線等の、PCB上に入射するいかなる光も反射させるための反射面30´を有する。多くの場合、発光素子と照射されるべき領域との間に光学構造体があるので、これらの光学構造体から、照射されるべき領域ではなくPCB構造体に向かう光反射がある。多くの場合、これらの光学構造体は発光アレンジメントの一部であり、当該光学構造体自体がPCBと近接する。PCBの反射面30´のために、この光は照射されるべき領域に向かって跳ね返り、したがって発光アレンジメントの光効率は高まる。反射面30´はPCB面を白く塗ることによって、又は任意の他の適切な態様で達成され得る。
【0030】
発光アレンジメントは、光ガイド34を更に含む。光ガイドは、例えば、ビーム内の光線の全内部反射のため当該光ガイドの境界の大部分における光の内部反射によって、当該光ガイドを通る光を導光する、透明又は半透明の素子である。こうした光ガイドは、当該光ガイドを通って導光されるいかなる光もほとんど吸収しないので、この解決策はほぼ無損失とされ得る。光ガイド34は、入射光を受光する入射面35と、光ガイドを通過した光を放射する出射面36とを有する。
【0031】
光ガイドは、発光素子と光学的に接触してもよい。これは、光ガイドの高屈折媒体が発光素子の光学系と直接接触することを意味し、すなわち言い換えると、これら2つの構成要素の間に空隙はない。この態様では、発光素子から光ガイドに伝達された光は、発光素子の光学系及び光ガイドの屈折率に依存して、空気界面とのフレネル反射の不利益を受けず、又は少なくともフレネル反射の不利益をあまり受けない。発光素子と光ガイドとの間に間隙があることも可能であることが留意される。
【0032】
光ガイド34は、好ましくは非常に低い光吸収度合を有する、ガラス又はプラスチック材料等の透明材料から作られ得る。適切な材料は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)板である。アクリル樹脂、ポリカーボネート、エポキシ、及びガラス等の他の材料も、同様に可能な材料である。
【0033】
光ガイド内の光捕捉を増大させるために、光ガイドの外面又は外面の一部は高反射性であり、当業者によって容易に理解されるような、アルミニウム、保護被覆アルミニウム、銀、保護被覆銀、反射性被覆プラスチック材料、例えば3Mのビキュイティ(登録商標)フォイルといった多層プラスチック反射性材料等から製造できる。しかしながら、これは決定的な要件ではない。光ガイドの内部全反射特性は、光を入射面35から出射面36へと効率的に導光するために十分なので、反射層を有しない光ガイドも同様に上述の改善を提供する。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態では、出射面36は、光が発光素子によって放射されるときと同様の態様であって、光ガイドによって放射された光を更にいっそう拡散、例えば散乱するために、拡散材料によって覆われる。拡散材料の拡散特性は、発光アレンジメントの要件に依存して多様である。当該特性は、例えば材料の表面粗さ、及び/又は材料を通過する光を拡散する材料自体に含まれる微粒子である。材料は、透明樹脂又は何らかの他の適切な材料で作られる。代替的に、拡散特性は、光ガイド材料自体において小さなプリズム又は他の表面構造に成形することによって達成される。
【0035】
光ガイド34は、入射面35が発光素子32の発光面と部分的に重なるように配置され、発光素子32から放射された光を受光する。発光素子から放射された光は、光ガイド34を通って導光され、発光素子32から離れた位置で出射される。発光素子の光ガイド34aによって覆われていない部分は、依然として通常の態様で光を放射する。
【0036】
ある実施形態では、発光素子32の発光面の半分は光ガイド34によって覆われる一方、覆われていない部分38は光を放射する。したがって、
図3におけるアレンジメントは、1つの発光素子32から2つの光スポット(出射面36のスポット及び覆われていない部分38のスポット)を生成する。これは、
図2に示される発光アレンジメントと比較して、発光素子の数が1/2倍に低減されることができ、かつ、依然として同一のレベルのディフューザの透過で同一のムラを達成することを意味する。代替的に、より高いシステム効率を達成するために、発光素子の数を保持して、ディフューザの透過のレベルを高めることもできる。第3の代替は、発光素子の数及びディフューザの透過のレベルを保ち、ひいてはシステムの低減されたムラを達成することである。これらの3つの代替はもちろん組み合わされてもよい。
【0037】
示される事例では、光ガイドは平行四辺形の形状の断面を有し、すなわち光ガイドは、PCB30に平行な上面及び底面と、それぞれ入射光及び出射光に対する機能を果たす2つの傾斜した端面とを有する。側面(すなわち、図の平面に略平行な面)の形状は、内部反射を促進し、光の出射を防止する任意の形状を有してよい。この実施例では、入射面35は、発光素子32と重なる底面の部分である。出射面36は、上面の一部分である。
【0038】
代替として、出射面36は、別の通常の方向に光を向けるために、PCB面と角度をなしてもよい。
【0039】
図4を参照すると、発光素子32は、各々が入射面35a又は35bと出射面36a又は36bとを有する、2つの光ガイド34a、34bによって部分的に覆われる。したがって、1つの発光素子32によって放射された光は、3つの別々の位置(2つの出射面36a、36b及び発光素子32の覆われていない部分38)において放射される。これは、上述のとおり、同量のムラを有して発光素子の数が1/3倍に低減され得ることを意味する。
【0040】
図5aは、上方から見た、PCB30上に取り付けられた3つの発光素子32、32a、32bを含む発光アレンジメントを示す。発光素子32、32a、32bは、いかなる光ガイドによっても覆われておらず、したがって3つのはっきりとした光スポットだけが見られる。
【0041】
図5b及び
図5cは、それぞれ上方から及び側方から見て、発光素子32、32a、32bの各々が2つの光ガイド34、34a、34bによってどのように覆われるかを示す。
図4を参照して説明されたように、各光ガイドは、発光素子から生じた光の一部を、隣接する発光素子間に設置される出射面36に導光する。したがって、
図4におけるのと同様に、光スポットの数は
図5aにおける光スポットと比較して3倍である。
【0042】
発光アレンジメントの照明の均一性を更に改善するために、
図5bの実施例では、各光スポット間の距離は等しい。光スポット(すなわち出射面36及び発光素子の覆われていない部分38)の面積はこの場合実質的に等しく、これはアレンジメントの照明の均一性を更に改善し得る。
【0043】
図5b及び
図5cに示される発光アレンジメントは、上述のように、より高いシステム効率、低減されたムラ及び/又は必要とされる発光素子の数の低減をもたらし得る。
【0044】
図6a〜cは、更なる実施形態による、光ガイドを有しない更なる発光アレンジメントと、光ガイドを有する更なる発光アレンジメントとを示す。
図6aは、上方から見た、PCB30上に取り付けられた3つの発光素子32、32a、32bを含む発光アレンジメントを示す。説明を単純化するために、
図6b及び
図6cでは、1つの発光素子32だけが説明されるが、当該説明は他の2つの発光素子32a、32bに対しても同様に有効である。
【0045】
それぞれ上方から及び側方から見た
図6b及び
図6cに見られるように、発光素子32は、各々が発光素子32によって放射された光の一部分を4つの出射面36に導光する4つの光ガイド34a〜dによって部分的に覆われる。2つの光ガイドが発光素子32のそれぞれの側に配置され、相違する長さを有する。これにより、長手方向に沿って配光される5つの光のスポット(発光素子32の覆われていない面38及び4つの出射面36)がある。発光素子32の同じ側の光ガイドは、発光アレンジメントの長手方向に垂直の方向に互いに並んで、すなわち隣接して位置決めされてよく(
図6bに示されるとおり)、又は互いに重なって位置決めされてもよい(示されていない)。
【0046】
したがって、光スポットの数は5倍であり、これは上述のとおり、発光アレンジメントから放射されるより均一な照明と、より高いシステム効率の達成との両方をもたらし得る。発光アレンジメントの照明の均一性を更に改善するために、
図6bでの実施例におけるように、長手方向における各光スポット間の距離は等しくてよい。更に、光ガイド34a〜dの各々の入射面は、各光スポットが本質的に同量の光を放射するように、発光素子32の約1/5を覆ってよい。光ガイドの光透過効率に依存すると、発光素子の覆われていない面38の面積は、各発光素子の入射面よりも小さくなければならない。
【0047】
図7は、本発明の実施形態によるT‐LEDシステムを断面において示す。システムは、透明管70の中に例えばLED32といった複数の発光素子を支持するPCB71が配置される、例えばプラスチック又はガラスで作られた透明管70を含む。光ガイド34は、
図3乃至
図6を参照して説明されたとおり、LED32を部分的に覆う。PCBは、LED32を駆動するための電力インターフェース72に接続されるドライバ回路を更に含む。
【0048】
LED32又は光ガイド34によって放射されたいかなる光も拡散素子73を通過するように、管70の内部に拡散素子73が配置される。拡散素子73は、管70とPCB71との間に挿入される拡散シートであってよい。代替的に、管70の内面又は外面が拡散性であってもよい。これは、表面構造化又は管にラミネートされたディフューザによって達成され得る。更に別のオプションは、管70を拡散性材料で作ることである。
【0049】
当業者は、本発明が、上述の好ましい実施例に決して限定されないことを理解する。逆に、添付の請求項の範囲内で多くの改良及びバリエーションが可能である。例えば、図に示された光ガイドの形状は例示的にすぎない。光ガイドは入射面の近くで例えば四分球の形状に形成され、又は一定の角度の曲線として形成されてもよい。
【0050】
更に、当業者によって、特許請求された発明を実施するにあたり、図面、明細書、及び添付の請求項の研究から、開示された実施形態のバリエーションが理解され達成されることができる。請求項で、「含む」の文言は他の要素又はステップを除外するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外するものではない。特定の手段が、相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に用いることができないことを意味するわけではない。