特許第6339107号(P6339107)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6339107
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】照明デバイスからの情報の要求
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20180528BHJP
【FI】
   H05B37/02 B
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-555826(P2015-555826)
(86)(22)【出願日】2014年1月16日
(65)【公表番号】特表2016-509346(P2016-509346A)
(43)【公表日】2016年3月24日
(86)【国際出願番号】IB2014058308
(87)【国際公開番号】WO2014118663
(87)【国際公開日】20140807
【審査請求日】2017年1月12日
(31)【優先権主張番号】61/758,822
(32)【優先日】2013年1月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ニューランズ エリック ヨハヌス ヘンドリクス コーネリス マリア
【審査官】 田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−244083(JP,A)
【文献】 特開2012−256533(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0265799(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0284169(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0315485(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明デバイスのシステムにおいてメッセージを送信するモジュールであって、
複数の宛先照明デバイスに対して、メッセージを生成するメッセージング論理部と、
前記複数の宛先照明デバイスに、前記メッセージを一斉同報するポートと、
を含み、
前記メッセージは、前記複数の宛先照明デバイスを指定する第1の部分と、所定のエラー条件が宛先照明デバイスで見つかる場合に照明デバイス情報で応答し、見つからない場合に応答しないように、当該宛先照明デバイスに要求するタイプであるとして前記メッセージを指定する共通の第2の部分とを含み、
前記メッセージング論理部は、前記複数の宛先照明デバイスのうちの1つの宛先照明デバイスが前記メッセージに応答した場合に、前記ポートを介して、前記複数の宛先照明デバイスのうちの応答する前記1つの宛先照明デバイスを特定することに加えて、応答する前記1つの宛先照明デバイスの要求された照明デバイス情報も指定する応答を受信する、モジュール。
【請求項2】
前記第2の部分に指定される前記メッセージの前記タイプによって要求される前記照明デバイス情報は、各宛先照明デバイスによって経験される動作ステータスを反映するステータス情報を含み、前記応答は、応答する前記1つの宛先照明デバイスによって経験される前記動作ステータスを反映する要求された前記ステータス情報を指定する、請求項1に記載のモジュール。
【請求項3】
前記第2の部分は、前記所定のエラー条件を指定するデータを含む、請求項1又は2に記載のモジュール。
【請求項4】
前記メッセージング論理部は、前記複数の宛先照明デバイスのうちの2つ以上の宛先照明デバイスが応答する場合に、前記第1の部分に指定される前記複数の宛先照明デバイスの数を減少して、前記メッセージを再送信する、請求項1乃至3の何れか一項に記載のモジュール。
【請求項5】
前記システムの前記複数の照明デバイスのそれぞれは、前記システム内で前記それぞれを特定する関連付けられる識別子を有し、前記第1の部分は、複数の前記識別子を指定し、前記第2の部分は、前記第の部分に指定される前記複数の識別子に共通し、前記応答において受信される識別情報は、応答する前記1つの宛先照明デバイスの識別子を含む、請求項1乃至4の何れか一項に記載のモジュール。
【請求項6】
前記第1の部分は、前記複数の識別子を、範囲の観点から指定し、前記第1の部分は、前記範囲の上限及び下限を含む、請求項5に記載のモジュール。
【請求項7】
応答する前記1つの宛先照明デバイスは、より大きい親デバイスの複数のサブデバイスのうちの1つのサブデバイスであり、前記応答において受信される、応答する前記1つの宛先照明デバイスの前記識別情報は、前記親デバイスの識別子と前記1つのサブデバイスのサブ識別子とを含む、請求項5又は6に記載のモジュール。
【請求項8】
前記メッセージは、前記複数の宛先照明デバイスに、並列して送信される、請求項1乃至の何れか一項に記載のモジュール。
【請求項9】
前記システムは、照明デバイスを特定するためのロング識別子のスキームに関連付けられ、
前記メッセージング論理部は更に、前記ロング識別子の範囲にアドレス指定される発見メッセージを送信することと、少なくとも前記複数の宛先照明デバイスを含む前記システム内にある前記照明デバイスの前記ロング識別子を含む応答を受信することとを含む発見処理を行い、
前記メッセージング論理部は、前記発見処理の後に、ショート識別子を、前記システムの前記照明デバイスに割り当て、
前記第1の部分は、前記ショート識別子のうちの幾つかのショート識別子を使用して、前記複数の宛先照明デバイスを指定し、前記応答は、前記ショート識別子のうちの1つの識別子を使用して、応答する前記1つの宛先照明デバイスを特定する、請求項1乃至8の何れか一項に記載のモジュール。
【請求項10】
照明デバイスであって、当該照明デバイスは、
照明システムのモジュールから、当該照明デバイスを含む複数の照明デバイスに送信されるメッセージであって、前記複数の照明デバイスを指定する第1の部分と、所定のエラー条件が宛先照明デバイスで見つかる場合に照明デバイス情報で応答し、見つからない場合に応答しないように、当該宛先照明デバイスに要求する少なくとも前記メッセージのタイプを指定する共通の第2の部分とを含む前記メッセージを受信するポートと、
当該照明デバイスが前記第1の部分に指定されている前記複数の照明デバイスのうちで指定されていることを特定し、前記第2の部分に指定されている前記メッセージの前記タイプを特定し、前記メッセージ及びエラー条件の特定された前記タイプによって要求される場合に、当該照明デバイスを特定し、要求された前記照明デバイス情報を指定する応答で、前記モジュールに応答する、メッセージング論理部と、
を含む、照明デバイス。
【請求項11】
請求項1に記載のモジュールと、複数の請求項10に記載の照明デバイスとを含む照明システム。
【請求項12】
コンピュータ可読媒体上に具現化され、プロセッサ上で実行されると、
複数の宛先照明デバイスに対して、メッセージを生成する動作と、
前記複数の宛先照明デバイスに、前記メッセージを一斉同報する動作と、
を行うコードを含む、照明デバイスに前記メッセージを送信するためのコンピュータプログラムであって、
前記メッセージは、前記複数の宛先照明デバイスを指定する第1の部分と、所定のエラー条件が宛先照明デバイスで見つかる場合にのみ照明デバイス情報で応答し、見つからない場合に応答しないように、当該宛先照明デバイスに要求するタイプであるとして前記メッセージを指定する共通の第2の部分とを含み、
前記複数の宛先照明デバイスのうちの1つの宛先照明デバイスが、前記メッセージに応答した場合に、前記複数の宛先照明デバイスのうちの応答する前記1つの宛先照明デバイスを特定することに加えて、応答する前記1つの宛先照明デバイスの要求された照明デバイス情報も指定する応答を受信する、コンピュータプログラム。
【請求項13】
照明デバイスを動作させるのに使用されるコンピュータプログラムであって、
コンピュータ可読媒体上に具現化され、プロセッサ上で実行されると、
照明システムのモジュールから、前記照明デバイスを含む複数の照明デバイスに送信され、前記複数の照明デバイスを指定する第1の部分と、所定のエラー条件が宛先照明デバイスで見つかる場合にのみ照明デバイス情報で応答するように、当該宛先照明デバイスに要求する少なくともメッセージのタイプを指定する共通の第2の部分とを含む前記メッセージを受信する動作と、
前記照明デバイスを、前記第1の部分に指定されている前記複数の照明デバイスのうちで指定されていることを特定する動作と、
前記第2の部分に指定されている前記メッセージの前記タイプを特定する動作と、
特定された前記タイプ及びエラー条件によって要求される場合に、前記照明デバイスを特定し、要求された前記照明デバイス情報を指定する応答で、前記モジュールに応答する動作と、
を行うコードを含む、コンピュータプログラム。
【請求項14】
照明デバイスへメッセージを送信する方法であって、
複数の宛先照明デバイスに対して、メッセージを生成することと、
前記複数の宛先照明デバイスに、前記メッセージを一斉同報することと、を含み、
前記メッセージは、前記複数の宛先照明デバイスを指定する第1の部分と、所定のエラー条件が宛先照明デバイスで見つかる場合にのみ照明デバイス情報で応答し、見つからない場合に応答しないように、当該宛先照明デバイスに要求するタイプであるとして前記メッセージを指定する共通の第2の部分とを含み、
前記複数の宛先照明デバイスのうちの1つの宛先照明デバイスが、前記メッセージに応答した場合に、前記複数の宛先照明デバイスのうちの応答する前記1つの宛先照明デバイスを特定することに加えて、応答する前記1つの宛先照明デバイスの要求された照明デバイス情報も指定する応答を受信する、方法。
【請求項15】
照明デバイスを動作させるのに使用される方法であって、
照明システムのモジュールから、前記照明デバイスを含む複数の照明デバイスに送信され、前記複数の照明デバイスを指定する第1の部分と、所定のエラー条件が宛先照明デバイスで見つかる場合にのみ照明デバイス情報で応答するように、当該宛先照明デバイスに要求する少なくともメッセージのタイプを指定する共通の第2の部分とを含む前記メッセージを受信することと、
前記照明デバイスを、前記第1の部分に指定されている前記複数の照明デバイスのうちで指定されていることを特定することと、
前記第2の部分に指定されている前記メッセージの前記タイプを特定することと、
特定された前記タイプ及びエラー条件によって要求される場合に、前記照明デバイスを特定し、要求された前記照明デバイス情報を指定する応答で、前記モジュールに応答することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばエラーステータス、デバイス時間又は他の情報といったステータス情報を要求するために、照明システム内の照明デバイスから情報を要求するメッセージの送信に関する。
【背景技術】
【0002】
対応する光源をそれぞれ含む複数の照明デバイスを含む様々な照明システムが存在する。このようなシステムでは、例えばデバイスを一元管理する及び/又は協調管理するために、複数の照明デバイスを遠隔から管理することが望ましい。例えばシステムは、スポーツ照明、舞台照明といったエンターテインメント環境における照明、様々な目的のための屋外照明、又は、オフィス若しくは家庭での照明を含む。
【0003】
したがって、適切な制御モジュール等から、複数の照明デバイスを管理するためのメッセージングプロトコルが知られている。光源を潜在的に制御すること(例えば光源を点灯又は消灯する、光源を調光する及び/又は光源の動作を協調させる)に加えて、照明デバイスを管理することのもう1つの側面は、照明デバイスから、技術的な情報を収集する機能である。このような情報は、例えば「現場における」デバイスが経験する動作ステータスを反映するステータス情報又はデバイスの性質若しくは機能に関する情報を含む。
【0004】
1つのそのようなプロトコルは、DMX512ネットワーク(「512ピースの情報を使用するデジタルマルチプレキシング」)によって実装されるRDM(「リモート・デバイス・マネジメント」)である。これは、ANSI(米国国家規格協会)仕様E1.20で説明されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のDMX−RDMシステム等を使用すると、照明デバイスから、ロギング情報、エラー総数、寿命及び/又はスイッチ回数といったステータス情報を遠隔から得ることができる。これには、1つ以上のDMX−RDMコマンドが、1光源毎に送信されて、そこからのステータス情報が所望される各光源を個別にアドレス指定することが必要である。設備全体のステータス情報を得るためには、すべての光源に、1つずつコマンドが送信されることが必要である。これは、多くの帯域幅を必要とするので、通常のDMXフローを中断し、光源の目に見えるフリッカリングをもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示される一態様によれば、照明デバイスのシステムにおいてメッセージを送信するモジュールが提供される。当該モジュールは、複数の宛先照明デバイスに対して、メッセージのうちの同じメッセージを生成するメッセージング論理部を含む。メッセージは、複数の宛先照明デバイスを指定する第1の部分と、当該メッセージが、照明デバイス情報を要求するタイプであることを指定する共通の第2の部分とを含む。上記モジュールは更に、複数の宛先照明デバイスに、同じメッセージを出力するポートを含む。宛先照明デバイスのうちの1つがメッセージに応答した場合に、メッセージング論理部は、ポートを介して、応答するデバイスから応答を受信する。応答は、宛先照明デバイスのうちの応答するデバイスを特定することに加えて、その照明デバイスの要求された情報も指定する。
【0007】
本明細書に開示される別の態様によれば、照明デバイスが提供される。当該照明デバイスは、照明システムのモジュールから、当該照明デバイスを含む複数の照明デバイスに送信されるメッセージを受信するポートを含む。当該メッセージは、複数の照明デバイスを指定する第1の部分と、少なくとも、メッセージのタイプを指定する共通の第2の部分とを含む。上記照明デバイスは更に、当該照明デバイスが、第1の部分に指定されている複数の照明デバイスのうちで指定されていることを特定し、第2の部分に指定されているメッセージのタイプを特定し、特定されたタイプによって要求される場合に、当該照明デバイスを特定し、要求された照明デバイス情報を指定する応答で、モジュールに応答するメッセージング論理部を含む。
【0008】
更なる態様によれば、上記モジュールと、上記特徴を有する複数の照明デバイスとを含むシステムが提供される。
【0009】
同じコマンドメッセージが、複数のターゲットデバイスに一斉同報されるため、これらのデバイスに問い合わせる処理は、各デバイスに、1つずつ、個別のコマンドを送信するための帯域幅を必要としない。1つの共通のコマンドを複数のデバイスに一斉同報することは、一度に2つ以上のデバイスからの応答を呼び出し、このような応答が同時に同じ媒体(例えばバス)を介して送信されると衝突する可能性があるため、DMX−RDMシステムといったシステムにおいては賢明ではないように見えるかも知れない。例えばANSI仕様E1.20は、発見後、通信は、無衝突環境において行われるべきであることを述べており、これは、一度に2つのデバイスから応答を求めるべきではないことを示唆しているように思われる。しかし、本明細書では、照明システムにおいて、コマンドメッセージは、それがアドレス指定された各照明デバイスから必ずしも応答を呼び出す必要がないということを認識している。実際に、かなり頻繁に、応答を必要としないか、又は、1つのデバイスだけからの応答が必要となる。したがって、コマンドが、複数のデバイスに一斉同報されても、必ずしも衝突があるわけではなく、また、少なくとも、2つの衝突する応答が呼び出される可能性はかなり少ない。
【0010】
一例は、照明デバイスにおいて生じている任意のエラーの報告を要求するコマンドである。最新の照明システムでは、エラーは比較的まれであるため、2つ以上のデバイスからエラーを受け取る可能性はかなり少ない。任意の他のまれに生じるステータスの報告を要求するコマンドについても、同様の観察ができる。
【0011】
したがって、実施形態では、第2の部分に指定されるメッセージのタイプによって要求される照明デバイス情報は、各宛先デバイスによって経験される動作ステータスを反映するステータス情報を含む。応答は、応答する照明デバイスによって経験される動作ステータスを反映する要求されたステータス情報を指定する。
【0012】
第2の部分に指定されるメッセージのタイプによって要求される照明デバイス情報は、エラーステータスを含んでもよい。
【0013】
他の実施形態では、メッセージは、好適には、通信媒体が扱えるよりも多くの応答(その頻度は、問題の応用に依存する)を必要とすることがあまり予期されない照明デバイスの任意の他の特性の報告を要求する。例えばコマンドメッセージは、特定のまれに生じるデバイス機能又は特徴を見つけるために、デバイスを探索してもよい。
【0014】
実施形態では、メッセージの第2の部分は、条件を指定し、第2の部分に指定されるメッセージのタイプは、対応する宛先照明デバイスにおいて条件が見つかる場合にのみ、各宛先照明デバイスに応答させてもよい。
【0015】
実施形態では、照明デバイスのメッセージング論理部は、第2の部分から特定されるメッセージのタイプから、当該条件を決定し、照明デバイスにおける条件を評価し、条件が見つかる場合にのみ応答する。
【0016】
条件は、エラー条件を含んでもよく、上記タイプは、対応する宛先照明デバイスにおいてエラー条件が見つかる場合にのみ、複数の宛先照明デバイスのそれぞれに応答させてもよい。
【0017】
したがって、実施形態では、情報の関連性に関する決定は、照明デバイス全体に配信される。従前では、コントローラは、すべてのデバイスから個別の応答を収集し、どの応答が関連の又は要求された作用であったのかを中央で決定するが、本発明の実施形態によれば、特定量の追加のインテリジェンスが照明デバイスノードに移される。例えばコントローラは、全てのデバイスから点灯時間の報告を受け取り、どのデバイスが注意を必要としているのかを中央で決定するのではなく、各デバイスに、特定の時間数よりも多く点灯している場合にのみ報告し、さもなければ応答しないように、命令することができる。したがって、コントローラへの負担だけでなく、ネットワーク媒体(例えばバス)への負担が軽減される。
【0018】
更なる実施形態では、媒体(例えばバス)上での衝突を引き起こす2つ以上の応答が呼び出された場合、実施形態では、モジュールは、その後続の探索を狭める。したがって、実施形態では、モジュールのメッセージング論理部は、2つ以上の宛先照明デバイスが応答する場合、第1の部分に指定される宛先照明デバイスの数を減少して、メッセージを再送信する。
【0019】
更に別の実施形態では、システムの照明デバイスのそれぞれは、システム内で当該それぞれを特定する関連付けられる識別子を有し、第1の部分は、複数の当該識別子を指定する。この場合、第2の部分は、第2の部分に指定される複数の識別子に共通し、応答において受信される識別情報は、応答する照明デバイスの識別子を含む。
【0020】
第1の部分は、複数の識別子を、範囲の観点から指定してもよく、その場合、第1の部分は、当該範囲の上限及び下限を含んでもよい。
【0021】
メッセージは、複数の照明デバイスに、並列して送信されてもよい。
【0022】
幾つかの実施形態では、応答するデバイスは、より大きい親デバイスの複数のサブデバイスのうちの1つであり、応答において受信される応答するデバイスの識別情報は、親デバイスの識別子とサブデバイスのサブ識別子とを含んでもよい。
【0023】
幾つかの実施形態では、上記システムは、照明デバイスを特定するためのロング識別子のスキームに関連付けられていてもよい。メッセージング論理部は更に、ロング識別子の範囲にアドレス指定される発見メッセージを送信することと、少なくとも複数の宛先照明デバイスを含むシステム内にある照明デバイスのロング識別子を含む応答を受信することとを含む発見処理を行い、メッセージング論理部は更に、発見処理の後に、ショート識別子を、システムの照明デバイスに割り当て、第1の部分は、ショート識別子のうちの幾つかのショート識別子を使用して、宛先デバイスを指定し、応答は、ショート識別子のうちの1つの識別子を使用して、応答するデバイスを特定する。
【0024】
本明細書に開示される別の態様によれば、コンピュータ可読媒体上に具現化され、プロセッサ上で実行されると、上記された特徴のうちの何れかに従って動作を行うコードを含む、照明デバイスにメッセージを送信するためのコンピュータプログラムプロダクトが提供される。
【0025】
本明細書に開示される別の態様によれば、コンピュータ可読媒体上に具現化され、プロセッサ上で実行されると、上記特徴の何れかに従って動作を行うコードを含む、照明デバイスを動作させるのに使用されるコンピュータプログラムプロダクトが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明の実施形態をより良く理解するために、また、当該実施形態がどのように実施されるのかを示すために、例として、添付図面を参照する。
【0027】
図1図1は、照明システムの概略ブロック図である。
図2図2は、メッセージフォーマットの図式表現である。
図3図3は、送信メッセージの図式表現である。
図4図4は、応答メッセージの図式表現である。
図5図5は、照明システムの別の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施形態によれば、DMX設備等の光源からのエラー又は他のステータス情報を簡単にかつ迅速にチェックする方法が提供される。
【0029】
実施形態において、本発明は、特定のアドレス範囲内の光源のグループに、「エラーレベルをチェック」とのコマンドを一斉同報することによって、DMX初期発見処理に使用されるのと同様のエラー検出アルゴリズムを使用する。
【0030】
これは、最新の光源がエラー状態にあることはまれであるという観察をうまく利用する。通常、光設備の定期的なチェックによって、どの光源もエラー状態にないことが決定される。したがって、「エラー状態にある場合には要応答。さもなければ応答不要」とのコマンドを、複数の光源(例えばコマンド内に指定された範囲内のショートIDを有する光源)に一斉同報することが効率的である。これは、大抵の場合、どの光源も応答しないからである。
【0031】
好適な実施形態では、様々なエラーレベルがある。例えば光源の温度が60、70又は80度である場合、そのエラーレベルは、それぞれ、レベル1、レベル2又はレベル3となる。これは、コントローラが、光源のグループに、例えば「レベル3である場合には要応答。さもなければ応答不要」とのコマンドを一斉同報できるようにする。
【0032】
レベル3にあるグループの光源はいずれも、例えばそのショートIDである自分自身の識別子と共に応答する。1つの光源だけが応答した場合、コントローラは、当該光源から、より詳しい情報を要求できる。複数の光源が応答した場合(CRCエラーをもたらす)、コントローラは、光源のサブグループに、一斉同報するために、より小さいアドレス範囲を使用する。これは、DMX初期発見フェーズにおけるような二分探索法を、発見ではなくエラーのチェックのために使用して1つの光源だけが応答するまで繰り返される。
【0033】
有利には、この低コストアプローチは、DMX発見処理とのその類似性によって、DMXシステムにおいて容易に実施される。多くの場合、当該アプローチは、複数の送信コマンド(即ち、1光源毎に少なくとも1つのコマンド)を、複数の光源に送信される単一コマンドに置換え、これにより、使用される帯域幅は少なくなり、通常のDMXフローの中断は最小限となる。当該アプローチは、コミッショニングの知識がなくてもクイックチェックをするために使用でき、即ち、(例えばショートIDの最大範囲を使用して)コマンドをすべての光源に一斉同報する。どの光源も応答しなければ、エラーがない。つまり、システムの情報を必要としない。
【0034】
本発明の1つの例示的な応用は、ハイエンドスポーツ照明であるが、本発明は、舞台照明、スタジオ照明、イベントの照明、屋外照明、又は、オフィス若しくは家庭での照明といった任意の他の応用にも使用される。
【0035】
図1を参照して、例示的な実施形態がより詳細に説明される。
【0036】
図1は、コントローラとして作動する制御モジュール2と、制御モジュール2の影響下で作動する複数の照明デバイス12、…12、…12とを含む照明システムの概略ブロック図である。各照明デバイス12は、通常はランプである対応する光源20と、ソケット及びハウジングといった取付け具の任意の他の関連付けられる要素とを含む。任意選択的に、照明デバイス12のうちの1つ以上は、例えば光センサ/存在センサである対応するセンサ22も含む。
【0037】
実施形態では、各照明デバイス12は、単一の光源20(通常はランプ)を含む。即ち、1つの照明デバイス12につき1つの光源がある。或いは、(それらを個別にアドレス指定する機能を有することなく)複数の光源が、1つの不可分デバイスとして扱われる可能性も排除されないが、個々の光源に関する情報は限られるということを意味するので、あまり好適ではない。例えば複数のランプのうちどのランプがエラーステータスの発信源であるのか応答メッセージに報告される情報からは識別できない。
【0038】
制御モジュール2は、ポート8を含み、各照明デバイス12は、対応するポート18を含む。ポート8、18は、通信媒体10を介して共に結合され、これにより、制御モジュール2は、メッセージ(本明細書ではコマンドとも呼ぶ)を照明デバイス12に送信し、照明デバイス12は、応答を制御モジュール2に戻すように送信する。したがって、制御モジュール2及び照明デバイス12は、通信媒体10の全体に実装される照明ネットワークのノードを形成する。
【0039】
媒体10は、バスといった有線媒体を含んでもよく、ポート8、18は、この有線媒体を介して、例えばデイジーチェーントポロジに共に接続される。或いは、ポート8、18は、ワイヤレス媒体を介して、コマンド及び応答を伝えるためのワイヤレス送受信器を含んでもよい。以下は、例えばDMX512ネットワークである有線ネットワークのバスといった有線媒体に関連して説明されるが、当然ながら、ワイヤレス媒体といった他の実施態様も可能である。
【0040】
制御モジュール2は、ポート8に結合される制御論理部を含む。制御論理部は、ポート8及び関連の通信媒体10(例えばDMXバス)を介して、照明デバイス12にコマンドを送信し、ポート8及び媒体10を介して、照明デバイス12から応答を受信するためのメッセージング論理部を少なくとも含む。制御論理部は、1つ以上の実行ユニットを有するプロセッサ4と、磁気媒体(例えばハードドライブ)又は電子媒体(例えば「フラッシュ」メモリ又は他のEEPROM)といった1つ以上の記憶媒体を含むメモリ6の形の不揮発性コンピュータ可読記憶ユニットとを使用して実装される。メモリ6は、プロセッサ4に結合され、プロセッサ4上で実行され、実行された場合に、制御モジュール2の以下の機能を実施する制御コードを記憶する。或いは、この機能の一部又は全部は、専用ハードウェア回路に実装されてもよい。
【0041】
各照明デバイス12は更に、ポート18、光源20及び任意選択のセンサ22に結合される対応する論理部を含む。この論理部は、ポート18及びバス10を介して、制御モジュール2からのコマンドを受信し、対応する照明デバイス12においてコマンドを処理し、ポート18及びバス10を介して、この処理の結果、必要となる任意の応答を、制御モジュール2に戻すように送信するメッセージング論理部を少なくとも含む。照明デバイスにおける論理部も、1つ以上の実行ユニットを有するプロセッサ14と、磁気媒体(例えばハードドライブ)又は電子媒体(例えば「フラッシュ」メモリ又は他のEEPROM)といった1つ以上の記憶媒体を含むメモリ6の形の不揮発性コンピュータ可読記憶ユニットとの形をとってよい。メモリ6は、プロセッサ14に結合され、また、プロセッサ14上で実行され、実行された場合に、各照明デバイス12の以下の機能を実施するコードを記憶する。或いは、この機能の一部又は全部は、専用ハードウェア回路に実装されてもよい。
【0042】
制御モジュール2及び照明デバイス12は、メッセージングプロトコルに従って、コマンドメッセージ及び応答を通信する。実施形態では、制御モジュール2は、照明システムのマスタとして構成され、照明デバイス12は、マスタ制御モジュール2に対するスレーブとして構成される。実施形態では、システムは、ポーリングシステムとして機能するように構成される。つまり、制御モジュール2のみが、通信を開始することができ、各スレーブ照明デバイス12は、制御モジュール2からのコマンドに応答してのみ、メッセージを送信できる。
【0043】
各ノード、即ち、制御モジュール2及び照明デバイス12のそれぞれは、照明システム内で当該制御モジュール又は照明デバイスを特定する対応する識別情報に関連付けられている。例えば識別情報は、対応するデバイス又はモジュールのメモリ6、16の一部、対応するデバイス又はモジュールのレジスタ、及び/又は、対応するデバイス又はモジュールのフューズラッチのセットに記憶される。
【0044】
識別情報は、潜在的にネットワークのメンバーとなりうるすべての他のデバイス及びモジュール、即ち、関連の規格に準拠するあらゆるデバイスのうち、デバイス又はモジュールを一意に特定する一意識別子(UID)であってよいロング識別子を含む。即ち、ロング識別子は、全世界的に一意の識別子である。ロング識別子は、デバイス又はモジュールの製造業者を特定する製造業者IDと、関連の規格に従って当該製造業者によって製造されたすべての他のデバイス及びモジュールのうち、デバイス又はモジュールを特定するデバイスIDとを含んでもよい。例えばANSI E1.20は、16ビットのESTA(エンターテインメントサービス及び技術協会の)製造業者ID及び32ビットの製造業者IDを含むUIDを決定している。
【0045】
代替的に又は追加的に、識別情報は、インストールされている特定の照明システム内でのみ一意であるショート識別子を含んでもよい。即ち、ショート識別子は、ローカルに一意の識別子である。
【0046】
図2に、コマンド及び応答の両方を、バス10(又は他の媒体)を介して通信するためのメッセージフォーマットが概略的に示される。
【0047】
メッセージ24のフォーマットは、メッセージの宛先の識別子(コマンドの場合には、宛先照明デバイス12の識別子、応答の場合には、制御モジュール2の識別子)を担持する宛先ID部26と、メッセージのソースの識別子(コマンドの場合には、制御モジュール2の識別子、応答の場合には、応答照明デバイス12の識別子)を担持するソースID部28とを含む。プロトコル及び/又は状況に応じて、宛先ID部26及び/又はソースID部28に使用される識別子は、ロング識別子又はショート識別子を含む。
【0048】
実施形態では、照明デバイス12の幾つかは、より大きい親デバイスのサブデバイスである。その場合、親デバイスは、親識別子に関連付けられ、サブデバイスは、親デバイス内で当該サブデバイスを特定するサブ識別子に関連付けられる。一例は、調光器ラックの個々の調光器である。この場合、コマンドの宛先及び応答のソースであるデバイスの識別情報は、サブデバイスの識別情報であり、コマンドの宛先及び応答のソースを特定するために使用される識別子は、識別子とサブ識別子との組み合わせである。
【0049】
つまり、識別子は、コマンドメッセージの最終的な宛先と、応答メッセージのソースとを、それぞれ、アドレス指定する。問題のソース及び宛先のアドレス指定に関与する任意の識別子は、関連の識別情報の一部とみなされる。
【0050】
メッセージフォーマットは更に、ペイロード部30を含む。制御モジュール2から照明デバイス12へのコマンドメッセージの場合、ペイロード30は、コマンドの特質を指定する。即ち、宛先照明デバイス12の何が要求されているのかを規定する。応答メッセージの場合、ペイロード30は、応答の内容を指定する。即ち、要求された情報の指示を含む。メッセージフォーマットは更に、例えばメッセージ総数及び/又はチェックサムであるメッセージの送信に関するデータを含む追加部32を含む。
【0051】
例示的な実施態様では、ペイロード30は、ANSI仕様E1.20又はその変形によるDMX−RDMプロトコルのコマンドクラス(CC)フィールド、パラメータ識別子(PID)フィールド及びパラメータデータ(PD)フィールドを含む。
【0052】
実施形態では、照明デバイス12からステータス情報等を要求するコマンドメッセージを送信する前に、制御モジュール2は、システム内にどのデバイスがあるのか、即ち、どのデバイスが、バス10又は他のそのような通信媒体に接続されてネットワーク上で利用可能であるのかを見つけるために、発見手続きを行う。この発見処理は、最初の設定時又は1つ以上の新しいデバイス12が組み込まれた際の設定時に行われてよい。これに代えて又はこれに加えて、発見処理は、システムに続けて組み込まれた際に新しいデバイス12をチェックするために、例えば定期的に、ある間隔を置いて行われてもよい。
【0053】
発見処理を行うために、制御モジュール2は、特定のアドレス範囲、即ち、識別子の範囲内の複数の照明デバイス12に、ネットワークバス10(又は他の媒体)を介して、発見メッセージを一斉同報する。発見メッセージは、上記フォーマット24と同じフォーマットであってよく、宛先識別子の範囲は、宛先識別子部26内に指定される(制御モジュールの識別子は、ソース部28内に指定される)。発見メッセージのペイロード30は、メッセージが発見メッセージ、即ち、任意の受信照明デバイス12に、バス10(又は、より一般的には、当該システムの関連の通信媒体)を介して、その存在を宣言させるメッセージであることを規定する。
【0054】
例えば発見処理を開始するには、制御モジュール2は、特別な「全デバイス」識別子を宛先部26に挿入することによって、すべてのデバイス12に、発見メッセージを一斉同報する。或いは、関心の宛先識別子の範囲を指定することによって、第1の発見メッセージが開始してもよい。
【0055】
複数の宛先照明デバイス12が存在し、この初期発見メッセージを受信することを想定すると、これらの照明デバイス12のそれぞれは、対応する応答メッセージを用いて応答する。発見応答メッセージは、宛先識別子部26内に、制御モジュールの識別子を、ソース識別子部28内に、応答デバイス自身の対応する識別子(任意のサブ識別子を含む)を含む。発見応答メッセージは、他の情報は持っていない。
【0056】
DMX−RDMネットワークといった照明システムを管理するネットワークでは、バス10は、一度に複数のメッセージを伝えることができない、及び/又は、制御モジュール2は、一度に到着する2つ以上の応答を受信又は処理することができない。したがって、複数のデバイス12が、一度に発見メッセージに応答すると(応答は、少なくとも時間的に重なる)、これらの応答メッセージは衝突する。これは、制御モジュール2は、応答内の情報を受信することができないということを意味する。しかし、制御モジュール2は、衝突があったという事実を検出する。例えば制御モジュール2は、バス10上の信号を検出するが、衝突によって、検出された信号は、CRCチェック又は他のチェックサムといったエラーチェックを満足させない。
【0057】
したがって、初期発見メッセージの結果、制御モジュール2は、調べた範囲内には複数のデバイスがあるが、発見を完全とするためには、調査を更に続ける必要があることが分かる。したがって、制御モジュール2は、宛先識別部26内に宛先識別子の小さくされた範囲を有する別の発見メッセージを送信することによって続ける。制御モジュール2は、応答において、別の衝突を検出すると、探索領域を再度狭めて、単一の応答を検出するか又は応答がなくなるまで、更に別の発見メッセージを送信する。バス10を介して受信される応答内に信号がない場合、制御モジュール2は、先の探索レベル内の別の識別子又は範囲をアドレス指定することを試みる。制御モジュール2は、衝突のない単一の応答を受信すると、デバイス12のうちの1つを見つけ、ソース識別子部28から、ネットワークにあると分かっているデバイス12のアドレスを決定することができる。
【0058】
制御モジュール2は次に、発見したデバイスをミュートにすることによって、デバイス12のうちの別のデバイスの探索を続行し、先のレベルから上記処理を繰り返す。即ち、探索される識別子範囲を再度広げ、他の現在のところはまだ見つかっておらず、ミュートにされていないデバイスについて範囲内を探索する。例えば探索は、二分木探索に従って進められてもよく、その例は、ANSI仕様E1.20の第7章に記載されている。全てのデバイスが発見されると、これらのデバイスは、再びミュートが解除され、システムは使用する準備が整う。
【0059】
実施形態では、発見処理は、識別においてロング識別子(例えば全世界的に一意の識別子)のスキームのみを使用する。したがって、送信発見メッセージについて、宛先識別子部26は、ロング識別子の範囲を含み、発見応答について、ソース識別子部28は、応答デバイス12のロング識別子を含み、他の種類の識別子は必ずしも関与しない。更に、送信発見メッセージについて、ソース部28は、制御モジュール2のロング識別子を含み、発見応答について、宛先部26は、制御モジュール2のロング識別子を含み、他の種類の識別子は関与しない。
【0060】
幾つかの実施形態では、照明デバイスから情報を要求するコマンド及び対応する応答といった後続のメッセージも、ソース識別子及び宛先識別子に、ロング識別子を使用してもよい。本発明の別の実施形態では、発見処理に続いて、制御モジュール2は、対応するショート識別子(例えばローカルに一意な識別子)を発見された照明デバイス12に割り当てる。ショート識別子は、制御モジュール2自体にも割り当てられてもよい。この場合、コマンド及び/又は対応する応答といった後続のメッセージは、宛先部26及び/又はソース部28に、ショート識別子しか使用しない。別の代案では、後続のメッセージは、宛先26及び/又はソース部28に、ロング識別子を使用し続けるが、これらのロング識別子は、制御モジュール2及び/又は照明デバイス12における下位プロトコル層によって、ショート識別子にマッピングされ、したがって、高位層において、制御モジュール2及び/又は照明デバイス12のソフトウェアは、それらのショート識別子に関して、メッセージをアドレス指定し、処理する。したがって、発見が行われると、ロング識別子は、照明システムの管理を担うソフトウェア層から隠れる。
【0061】
どのアドレス指定方法が使用されても、本発明の実施形態は、照明デバイス情報を要求するコマンドメッセージの単一インスタンスが、並列して複数の照明デバイスに送信されるスキームを提供する。つまり、各照明デバイス12に個別に、コマンドメッセージの個々の対応するインスタンスを送信するのではなく、制御モジュール2は、1つのデバイス12に対するコマンド応答サイクルが完了するのを、次の対応する照明デバイス12等にコマンドを送信する前に、待ち、複数の宛先照明デバイス12にアドレス指定されるコマンドメッセージの1つのインスタンスを、一度に、バス10上に置く。当該コマンドメッセージは、宛先識別子の範囲に関してアドレス指定されることが好適である。この意味で、各宛先デバイスから要求情報を求めるコマンドメッセージは、複数の宛先デバイス12に一斉同報されると言える。
【0062】
好適な実施形態では、上記スキームは、発見を目的としたメッセージを一斉同報する方法は既に存在するという事実を利用して、この方法を、デバイスが発見された後に、追加の情報を要求するという新しい目的のために使用する。特に好適な実施形態では、上記方法は、照明デバイス12のエラーステータスを収集するために使用される。
【0063】
図3は、複数の照明デバイス12から情報を要求する送信コマンドメッセージ24outのインスタンスを概略的に示す。
【0064】
コマンドメッセージ24outの宛先ID部26outは、ネットワーク上の複数の(既に発見されている)宛先照明デバイス12の定義を含む。好適には、これらは、宛先識別子の範囲に関して指定される。宛先ID部26outは、範囲の下限34と、範囲の上限36とを含む。コマンドメッセージ24outのソースID部28outは、制御モジュール2自身の識別子38を含む。
【0065】
更に、コマンドメッセージ24outのペイロード部30outは、コマンドの性質の定義40、41を含む。即ち、定義は、コマンドが、当該コマンドをどの照明デバイス12から受信するかの情報を要求するタイプのものであることや、当該タイプのコマンドがどの情報を要求するのかを指定する。
【0066】
コマンドメッセージ24outは更に、例えばメッセージ総数及び/又はチェックサムであるメッセージの送信に関するデータ44を含む追加部32outを含んでもよい。
【0067】
送信メッセージ24outが、制御モジュール2によってバス10上に送信されると、宛先識別子をアドレス指定する少なくとも宛先ID部26outが、当該バス10(又は、より一般的に、ネットワーク媒体)上に接続された任意の照明デバイスに可視にされる。各デバイス12は、宛先ID部26outを処理し、宛先識別子のアドレス指定された範囲34、36内に自分自身が指定されているかどうかを特定する。そうである場合は、対応する照明デバイスは、ペイロード30out内に指定される定義40、42を処理し、当該ペイロード30out内に指定されたコマンドのタイプによって決定される方法で当該定義に作用する。これは、当該タイプによって要求された任意の情報を用いて、バス10を介して、制御モジュール2に応答することが含まれる。
【0068】
図4は、応答照明デバイス12から制御モジュール2に送信された応答メッセージ24respのインスタンスを概略的に示す。
【0069】
応答メッセージ24respの宛先ID部26respは、制御モジュール2の識別子を含み、ソースID部28respは、応答照明デバイス12の識別子(任意のサブIDを含む)を含む。応答メッセージ24respのペイロード部30respは、当該メッセージが、特定タイプのコマンドに応答したものであることを示す定義50と、要求された情報の指示52とを含む。
【0070】
応答メッセージ24respは更に、例えばメッセージ総数及び/又はチェックサムであるメッセージの送信に関するデータ54を含む追加部32respを含んでもよい。
【0071】
応答メッセージ24respが、照明デバイス12のうちの応答照明デバイスからバス10上に送信されると、制御モジュール2は、宛先ID部26resp内のその自身の識別子を認識する。したがって、要求された情報を抽出するように、ペイロード30respを処理する。
【0072】
要求は、発見処理において既に決定されている照明デバイス12の単なる識別子又はアドレス以外に、メッセージを受信する照明デバイスに関する情報に対するものである。好適には、要求された情報は、ステータス情報、即ち、デバイスに固有の又は事前に設定されている先験的な特徴に関する情報ではなく、その動作の結果もたらされるデバイスの後天的な経験に関する情報を含む。特に好適な実施形態では、要求された情報は、エラーステータス情報である。
【0073】
更に、コマンドメッセージ24outのペイロード30outは、当該コマンドが、情報の要求であり、どの種類の情報が要求されているかを規定するだけでなく、当該要求に関連付けられる条件も規定する。つまり、コマンドは、任意の受信照明デバイス12が、対応する照明デバイス12において条件が満たされていることが分かる場合に限り応答すべきであり、さもなければ、応答不要であることを示す。各照明デバイス12は、条件を処理し、それに応じて作動する論理部を含む。
【0074】
コマンド24outによる条件の指定は、定義40に指定されるメッセージのタイプに暗示されていてもよく、当該タイプのメッセージに関連付けられるべき各受信照明デバイス12によって理解される。又は、当該指定は、ペイロード30outの別の部分42であって、条件は、受信照明デバイス12のそれぞれに明示的に送信されてもよい。
【0075】
特に好適な実施形態では、コマンド24outは、各受信デバイス12からのエラーステータスの条件付き要求である。
【0076】
実施形態では、条件は、エラーがあるか否か(即ち、イエス/ノー決定)である。例えば条件は、照明デバイスの光源(例えばランプ)が、熱損傷しているか、そうでなければ、故障しているかどうかである。この場合、コマンド24outを受信する任意の照明デバイス12(即ち、コマンドの指定された宛先である照明デバイス)は、コマンドを受信した際に、デバイス12が、当該デバイスにおいてハードエラー状態があると決定する場合にのみ(例えばそのランプが故障している場合にのみ)、エラーレポートを用いて応答する。そうでなければ、デバイスは反応しない。
【0077】
或いは、条件は、照明デバイス12において、特定のレベル又は度合いのエラーがあるかどうかであってよい。したがって、デバイス12は、そのエラーのレベル又は度合いが、当該レベル以下である場合に応答し、そうでなければ応答しない。例えば各照明デバイス12に関連付けられる3つ(又は少なくとも3つ)のエラーレベル、即ち、レベル1、レベル2、レベル3がある。例えばレベル1は、対応する照明デバイス12において、その動作温度が摂氏60度を越える場合に決定され、レベル2は、動作温度が70度を越える場合に決定され、レベル3は、動作温度が80度を越える場合に決定される。更なるエラーレベルが、同様のインクリメントで規定されてもよい。条件は、例えばエラーレベルは3(又は3以上)であってよい。この場合、コマンド24outを受信する任意の照明デバイス12(即ち、コマンドの指定された宛先であるデバイス)は、コマンドを受信した際に、デバイス12が、エラーレベル3(又はそれ以上)であると決定する場合にのみ、エラーレポートを用いて応答する。そうでなければ、デバイスは応答しない。
【0078】
図3に示されるように、このような種類の条件付きエラーステータスコマンドは、コマンド24outの性質を規定するペイロード30outの一部に指定され、一例として、「エラーレベルをチェック」との名前が与えられている。これは、例えばDMX−RDMコマンドのコマンドクラス(CC)フィールド及びパラメータID(PID)フィールドに組み込まれてもよく、CCフィールドは、「GET_COMMAND」に設定され、PIDは、製造業者に固有のパラメータ用に確保されているPIDのうちの1つに設定される。トリガリングエラーレベルは、送信コマンドペイロード30outの一部42(例えばDMX−RDMコマンドのパラメータデータ(PD)フィールド)に指定されてよい。或いは、当該トリガリングエラーレベルは、「エラーレベルをチェック」のコマンドの意味に暗示されていてもよく、この場合、一部52は、必ずしも必要ではなくなる。
【0079】
条件付きコマンドを複数の照明デバイスに発行する方法が、図5に概略的に示されている。
【0080】
発見処理において、制御モジュール2は、ネットワーク上にN個の照明デバイス12、…、12があることを発見している。制御モジュール2は、これらの照明デバイスから、下限Lと上限Uとの間のIDを有するデバイス12、…、12のグループのエラーステータスを問い合わせることを希望する。したがって、制御モジュール2は、宛先ID部26out内に、範囲U乃至Lが指定されたコマンドメッセージ24outを生成し、このメッセージを、通信媒体10(例えばバス)上に出力する。この範囲内に指定された照明デバイス12、…、12はそれぞれ、バス又は他の通信媒体10を介して受信された宛先ID部26outに基づいて検出し、要求の性質とそれに関連付けられている任意の条件を特定するために、ペイロード30outを処理する。コマンドが、受信デバイス12がエラーレベル3(又はそれ以上)である場合に、エラーステータスを要求する場合、各照明デバイス12は、その自身のエラーレベルをこの条件と比較する。照明デバイス12の1つ(例えば図5に示されるデバイス12)において、この条件が満たされる又は超過する(即ち、当該エラーレベル以下にある)場合、照明デバイス12は、その対応するエラーレベル及びID(任意のサブIDを含む)を示す対応する応答24respを作成し、当該デバイスは、当該応答を、バス又は媒体10上に、戻るように出力する。
【0081】
メッセージ24outの1つのインスタンスだけが、バス又は他の通信媒体10上に一斉同報されればよいという事実は、メッセージの個々のインスタンスが、次々と各個別の照明デバイス12に送信される場合に比べて、必要となる帯域幅が減少されることを意味する。
【0082】
アドレス指定された照明デバイス12、…、12のうちの2つ以上が、一度に、この同じメッセージに応答することが可能である。しかし、上記されたように、最新の照明システムにおけるエラーの発生は、ステータスチェック間の典型的な間隔に比べて、まれである。したがって、通常は、応答がないか、又は、ターゲットデバイスのうちの1つのデバイス、例えばデバイス12からの応答があるだけであり、2つの応答間の衝突は、比較的少ない。衝突があった場合、制御ユニット2は、例えばバス又は他の媒体10上のチェックサムエラーを検出して、バス上の衝突を検出する。衝突の検出に反応して、制御ユニット2は、アドレス指定範囲を狭くし、再度、試みる。例えば制御ユニット2は、範囲を2つに分割し、2つの別個のメッセージ24outを送信してもよい。1つのメッセージは、範囲L乃至L+1/2(U‐L)にアドレス指定され、もう1つのメッセージは、範囲L+1/2(U‐L)+1乃至Uにアドレス指定される。制御ユニット2は、これらの範囲のうちの一方又は両方において、衝突を依然として検出する場合、範囲を更に分割して、1つ以上の衝突のない応答が受信されるまで、試み続ける。
【0083】
応答を成功裏に受信すると、制御ユニット2は、戻ってきた情報及びソースIDを処理して、特定されたデバイスのステータスを決定する。戻ってきた情報及びデバイスIDに基づいて、制御ユニット2は、ユーザに対しアラートを生成する、及び/又は、照明デバイス12のうちの1つ以上のデバイスの後続の制御において、この情報を使用する。制御ユニット2は、例えば光源20が過熱した場合に、デバイス12への電力を自動的に切る又は減少させる。
【0084】
当然ながら、上記実施形態は、ほんの一例として説明されたに過ぎない。
【0085】
本発明の他の実施形態では、メッセージ24outによって要求可能な他のステータス情報は、例えばデバイス12のこれまでの寿命(例えばデバイスが使用されている動作時関数)、各光源20(例えばランプ)のこれまでの寿命(例えばランプが点灯している時間数)、又は、各光源20の点灯回数(ランプが点灯される度にインクリメントされる)を含む。他の要求されるステータス情報は、エラーステータスが、勧告レベル、警告レベル又はエラーレベルなのかを示す指示を含んでもよい。他の要求されるステータス情報は、例えば摂氏度数といった温度単位における動作温度の明示的な指示、各光源20の強度の指示、及び、各光源20の電力状態の指示、パン及び/又はチルトデータ、ある場合には各センサ22からの測定値又は他のステータス、デバイス12のリアルタイムクロック測定値、又は、デバイス12の組み込まれたセルフテストルーチンの結果を含んでもよい。
【0086】
本発明の更に別の実施形態において、メッセージ24outによって要求可能なデバイス12に固有の又は予め設定されたパラメータに関する他の情報は、例えばデバイス12のRDM機能に関する情報、デバイスによってサポートされるRDMのバージョン、ソフトウェアバージョンID、モデルID、フットプリント、製品カテゴリ、センサ総数、残留電流検出器(RCD)又は漏電遮断(GFI)の機能、デバイスモデル記述、デバイスが工場出荷時設定に設定されているかどうか、言語機能、又は、予め記録されているプリセットを含んでもよい。
【0087】
また、上記は、DMX−RDMに関連して、一例として説明されたが、本発明の適用可能性は、DMX−RDM又はE1.20といった任意の特定のDMX−RDM仕様に限定されない。本発明は、任意の種類の複数の照明デバイスに問い合わせすることが望ましい任意の照明システムに関連する使用に適している。例えば他の実施形態では、ネットワークは、有線バス10又は任意の特定のネットワークトポロジを介して接続されていることに限定されない。他の実施形態では、ポート8、18は、ワイヤレス媒体10を介して、制御モジュール2と照明デバイス12とを共に接続するワイヤレス送受信器を含む。この場合、共通のコマンドメッセージ24outは、複数の照明デバイス(例えば12、…、12)にワイヤレスで一斉同報される。応答24respもワイヤレスで受信される。
【0088】
また、上記実施形態は、発見処理では、ロング識別子のスキームを、コマンドと応答とを交換する後続の処理では、ショート識別子のスキームを使用することに関して説明されている。しかし、本発明は、この点に関して限定される必要はなく、他の実施形態では、ロング識別子が、引き続き、発見後も、コマンド及び/又は応答といった他のメッセージにおけるソース及び/又は宛先を特定するために使用されてもよいし、又は、異なる識別子スキームが使用されてもよい。
【0089】
開示された実施形態に対する他の変形態様も、図面、開示内容及び添付の従属請求項を検討することにより、請求項に係る発明を実施する当業者には理解されかつ実施可能である。請求項において、「含む」との用語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、また、「a」又は「an」との不定冠詞も、複数形を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項に記載される幾つかのアイテムの機能を果たしてもよい。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されることだけで、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又は他のハードウェアの一部として供給される光学記憶媒体又は固体媒体といった適切な媒体上に格納/分散配置されてもよいが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介するといった他の形態で分散されてもよい。請求項における任意の参照符号は、範囲を限定しているものと解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5