【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的を達成するために、本発明は、請求項1の特徴を有するスイッチストリップを提案する。本発明のスイッチストリップは、特に自動車車両の閉鎖要素の移動範囲内で妨害物を検出するための装置を意図する。そのようなスイッチストリップは、長手方向に延び、静電容量を有する。スイッチストリップは、第1の電荷が印加可能である内側電極と、第2の電荷が印加可能である外側電極とを備える。外側電極は、長手方向に対して横断方向に延びる断面においてほぼ円形になるように形成され、内側電極を距離を離してほぼ同心的に取り囲む。さらに、スイッチストリップは、空気で充填された空間であって、外側電極と内側電極の間に配置され、誘電性のものである、空間を含む。スイッチストリップは、さらに、長手方向に対して横断方向に変形可能である少なくとも1つのスペーサであって、2つの電極を互いに離間し、絶縁する、少なくとも1つのスペーサを備える。外側電極は、外側から印加された力によって変形可能であり、この場合、外側電極が変形されたとき、この変形は、内側電極および外側電極を少なくとも部分的に互いに接触させることができる。
【0015】
本発明によるスイッチストリップは、ほぼ径方向の対称構成を有するため、スイッチストリップにおける切り替え作動を始動させる切り替え力には好ましい方向が存在せず、それによって、スイッチストリップは、長手方向軸に対して特定の回転に関係なく作用する。切り替えイベントとも称される切り替え作動は、2つの電極が互いに接触するとすぐに始動される。用語「部分的に」は、軸方向および円周方向のスイッチストリップの一部分の両方を指すことができる。
【0016】
別の好ましい実施形態によれば、スイッチストリップは、特に自動車車両の閉鎖要素の移動範囲内で妨害物を検出するための装置において使用される。スイッチストリップは、長手方向に延び、静電容量を有する。スイッチストリップは、第1の電荷が印加可能である内側電極と、第2の電荷が印加可能である外側電極とを備える。外側電極は、長手方向に対して横断方向に延びる断面においてほぼ円形になるように形成され、内側電極を距離を離してほぼ同心的に取り囲む。空間が、外側電極と内側電極間の間に配置され、これは、誘電性のものである。外側電極は、外側から印加された力によって変形可能であり、この場合、空間は、外側電極が変形されたとき、外側電極と内側電極の間の距離における変化を少なくとも部分的に引き起こすように形成される。距離における変化は、スイッチストリップの静電容量における検出可能な変化を引き起こすことができる。
【0017】
本発明によるスイッチストリップのほぼ径方向の対称的な構成により、スイッチストリップにおける切り替え作動を始動させる切り替え力には好ましい方向が存在せず、それにより、スイッチストリップは、長手方向軸に対して特定の回転に関係なく作用する。スイッチストリップはまた、一定の静電容量を有するコンデンサである。したがって、静電容量における変化を切り替えイベントとして定義することが可能であり、これは、2つの電極が接触することを必要としない。対応する妨害物は、これが、電場が印加された領域に侵入するとすぐに切り替え作動を始動させることができる。これが、プラスチックまたは木材妨害物の場合のように、侵入によって静電容量における十分な変化を引き起こすことができない妨害物である場合、切り替えイベントは、遅くとも2つの電極が接触するときに始動される。追加の切り替えイベントとして、電極が接触する前の、外側電極が変形されたときの静電容量における変化を定義することが可能である。
【0018】
誘電性空間は空気で充填され、それによってスイッチストリップの簡単な変形を可能にする。本文脈では、用語「誘電性」は、外部場によってのみ極性化されることが可能である物質または物質の混合物の絶縁体を説明する。特に、変形されることによって極性化されることが可能である物質および物質の混合物は含まれない。圧電物質およびそのような物質を含む物質の混合物は、したがって排除される。
【0019】
スイッチストリップの2つの電極は、基本的には、スイッチストリップの外部の保持具を用いることによって配置され得る。しかし、内側電極は、外側電極の不測の接触を防止するために常に張力がかけられていなければならない。1つまたは複数のスペーサを加えることにより、電極同士を接触させずに、スイッチストリップをその長手方向軸に沿って一定の程度まで曲げることが可能である。これは、スイッチストリップを、自動車車両のドアおよび窓上などの湾曲した領域内で使用することを容易にする。
【0020】
さらに好ましくは、スイッチストリップは、合計で少なくとも2つのスペーサを備える。特に好ましくは、スイッチストリップは、全体で3つのスペーサを含む。有利な実施形態では、スペーサは、電極の円周方向に等間隔で配置される。
【0021】
好ましくは、スペーサは、ほぼ矩形の断面によって特徴付けられる。
【0022】
さらなるスペーサが、追加的に、内側電極を外側電極に対して安定化させる。スイッチストリップが湾曲されたとき、内側電極は、本質的には中立素分に沿ってスペーサによって案内され、それにより、内側電極と外側電極の間の直接的な接触は存在しない。スペーサの等間隔の配置は、スイッチストリップ内により対称性をもたらし、それにより、スペーサを設けることに関わらず、スイッチストリップを円周方向に配向することを無しですますことができる。スペーサの数は、変わることができ、各々の用途に適合され得る。スペーサの数は、たとえば、スイッチストリップが、不測の切り替えイベントを防止するために小さい曲率半径で設置される場合、増大させることができる。
【0023】
好ましくは、スペーサは、断面において湾曲した構成を有する。さらに好ましくは、スペーサは、断面において2つの湾曲した側部表面を有する。
【0024】
好ましくは、湾曲した側部表面は、スイッチストリップと同じ円周方向に湾曲される。
【0025】
有利な実施形態では、スペーサは、脆弱化ゾーンを有する。脆弱化ゾーンは、好ましくは、スペーサ内のくぼみとして形成される。
【0026】
スイッチストリップのスペーサが、すでにわずかに事前湾曲されている場合、スイッチストリップの外側電極を変形させるのに必要とされる力はより小さい。このようにして、スペーサは、ヒンジのように動作する。ヒンジは、脆弱化ゾーンを設けることによってさらに改良され得る。スペーサの選択的脆弱化により、これは、脆弱化ゾーン内において選択的にヒンジ作用することができ、したがってより正確に移動を規定する。これは、切り替えイベントの改良された始動を可能にする。脆弱化ゾーンは、スイッチストリップを湾曲した領域内で使用することを依然として可能にするようにして構成される。脆弱化ゾーンは、たとえば、スペーサの端部または中央内で材料を選択的に省くことによって容易に作り出され得る。あるいは、脆弱化ゾーンは、隣接するエラストマー領域と比較して低減された硬度を有するエラストマー領域によって形成され得る。
【0027】
さらに好ましくは、スイッチストリップは、好ましくは円周方向に等間隔で離間された、少なくとも1つ、特に好ましくは3つの突起部を備える。好ましくは、突起部は、湾曲した接触表面を含む。突起部は、好ましくは、内側電極上に設けられる。特に好ましくは、突起部は、外側電極上に設けられる。
【0028】
さらに好ましくは、突起部およびスペーサは、スイッチストリップの円周方向に交互に配置される。
【0029】
スペーサによって引き起こされるスイッチストリップの径方向の対称性の限定は、突起部を設けることによって少なくとも部分的に補償され得る。この補償を改良するために、スペーサおよび突起部を円周方向に交互に配置することが適している。突起部が外側電極上に設けられたとき、スイッチストリップを押し出すことは、突起部が内部電極上に配置されるときほど煩雑ではない。
【0030】
特に好ましい実施形態では、外側ワイヤが、外側電極内に埋め込まれる。あるいはまたは追加的に、内側ワイヤが、内側電極内に埋め込まれる。ワイヤは、中実にまたはストランドとして形成され得る。伝導性エラストマーを用いることによってワイヤ形成することも可能である。ワイヤは、電極内に任意に配置され得る。外側ワイヤは、したがって、たとえば、外側電極の円周全体に沿って配置され得る。また、内側ワイヤは、たとえば、内側電極の中心からずらして配置され得る。
【0031】
好ましくは、外側電極は、少なくとも部分的に、導電性粒子が与えられたエラストマーから作製される。さらに好ましくは、内側電極は、少なくとも部分的に、導電性粒子が与えられたエラストマーから作製される。特に好ましくは、外側電極および/または内側電極は、押し出し成形される。
【0032】
従来技術のスイッチストリップでは、電極は、通常、銅または銅編組などの金属から形成される。本発明によるスイッチストリップの生産を簡単にするために、内側もしくは外側の電極またはその両方は、導電性エラストマーから形成され得る。これを達成するために、グラファイトが、たとえば、エチレンプロピレンジエン系ゴムまたは熱可塑性エラストマーに追加される。こうして形成された電極は、容易に押し出し成形することができ、変形可能であり、導電性のものである。そのようなスイッチストリップの信頼性を改良するために、銅ワイヤなどのワイヤが、導電性エラストマーから形成された電極内に埋め込まれる。
【0033】
別の好ましい実施形態では、スイッチストリップは、好ましくは外側電極に隣接する外側シースを備える。シースは、好ましくは、特に好ましくは塗料、熱可塑性加硫物、および/またはホイルのものである摺動層を備える。シースはまた、この場合好ましくは絶縁性になるように形成された摺動層によって形成され得る。
【0034】
そのようなスイッチストリップはまた、外側電極の絶縁が、スイッチストリップの保持手段によってもたらされない場合に使用され得る。摺動層は、中空プロファイルから形成された、保持具内の設置(ねじ込み)を容易にすることを促す。通常、摺動層は、塗料、熱可塑性加硫物および/またはホイルのものである。
【0035】
好ましくは、接着基部が設けられる。接着基部は、好ましくは、シース上に設けられ、スイッチストリップを表面上に接着式に糊付けするためのものである。好ましくは、接着基部は、接着テープを備え、この場合、接着テープは、好ましくは、スイッチストリップから外方を向く接着基部の表面上に配置される。
【0036】
あるいは、結合基部が設けられる。結合基部は、好ましくは、シース上に設けられ、スロットまたはくぼみなどの開口部内に結合するのに適している。
【0037】
あるいは、挟み込み基部が設けられる。挟み込み基部は、好ましくは、シース上に設けられ、たとえばフランジ上に置くのに適している。挟み込み基部はまた、補強インレーによってその保持機能において補強され得る。
【0038】
接着もしくは結合基部、または挟み込み基部を設けることにより、スイッチストリップは、キャリアプロファイルを有さずに完全に設置され得る。
【0039】
さらに好ましくは、シースおよび/またはスペーサおよび/または接着基部および/または結合基部は、エラストマーから、好ましくはエチレンプロピレンジエン系ゴム(EPDM)または熱可塑性エラストマー(TPE)から作製される。好ましくは、シースおよび/またはスペーサおよび/または接着基部および/または結合基部および/または挟み込み基部は、押し出し成形される。
【0040】
スイッチストリップのこの構成は、これが、1回の加工ステップで押し出し成形され得るため、容易に製造可能である。
【0041】
本発明はまた、特に自動車車両の閉鎖要素の移動範囲内で妨害物を検出するための装置用のスイッチストリップに関する。スイッチストリップは、長手方向に延び、中心および静電容量を有する。スイッチストリップは、接地電極を備え、接地電極は、凹状内側接触表面を有し、第1の電荷が印加可能である。スイッチストリップは、さらに、凸状内側接触表面を含むセンサ電極を備え、センサ電極は、第2の電荷が印加可能であり、接地電極の向かい側にある。スイッチストリップは、2つの電極を互いに対して絶縁し、変形可能であるシースを備える。シースは、センサ部分および接地部分を含む。さらに、スイッチストリップは、接地電極と中心電極の間に配置され、誘電性のものである空間を含む。接地電極は、接地部分内に配置され、センサ電極は、センサ部分内に配置される。内側接触表面は、互いに面する。接地電極およびセンサ電極は、互いに対して移動可能である。
【0042】
内側接触表面は、真向かいにあることが好ましい。さらに好ましくは、接地電極は、センサ電極から外方を向く第1の凸状外側接触表面を備える。さらに好ましくは、センサ電極は、接地電極から外方を向く第2の凸状外側接触表面を備える。
【0043】
好ましくは、センサ部分は、導電性になるように形成される。好ましくは、スイッチストリップは、好ましくは接地電極内に埋め込まれた接地ワイヤを備える。さらに好ましくは、スイッチストリップは、好ましくはセンサ電極内に埋め込まれたセンサワイヤを備える。
【0044】
さらに好ましくは、接地電極は、2つの突起部を備え、これら突起部は、好ましくは凹状内側接触表面を包囲することができる。好ましくは、突起部は、凸状に湾曲され、好ましくは、ほぼ同一の曲率半径を有する。さらに好ましくは、凹状内側接触表面の曲率半径は、突起部の曲率半径より大きい。
【0045】
スイッチストリップが、特にTPV、塗料、および/またはホイルの、好ましくはスイッチストリップの全周に沿って施与された摺動層を有することが好ましい。
【0046】
本発明はまた、取り付け部分および受け入れ部分を含むキャリアプロファイルを備える安全センサストリップに関する。さらに、安全センサストリップは、受け入れ部分内に配置された、本発明によるスイッチストリップの実施形態を含む。
【0047】
本発明によるスイッチストリップは、通常、単独ではなく、キャリアプロファイルと組み合わせて使用される。そのようなキャリアプロファイルは、たとえばシーリングプロファイルであることができる。スイッチストリップおよびキャリアプロファイルの組み合わせは、安全センサストリップまたは短縮してセンサストリップと称される。
【0048】
好ましくは、受け入れ部分は、空洞を含み、スイッチストリップは、この空洞内に配置される。特に好ましくは、空洞は、特に塗料、熱可塑性加硫物、および/またはホイルの摺動層を含む。
【0049】
摺動層を備えた安全センサストリップは、スイッチストリップのさまざまな実施形態または従来技術のスイッチストリップが、キャリアプロファイルの空洞内に簡単にねじ込まれることを可能にする。スイッチストリップのねじ込みは、加圧空気の助けによってさらに容易にされ得る。
【0050】
好ましくは、取り付け部分は、自動車車両の突起部に取り付けられるように構成される。好ましくは、取り付け部分は、接着層を備える。さらに好ましくは、取り付け部分は、シーリング物質を含む。
【0051】
そのようなセンサストリップは、たとえば、電動窓または電気的に駆動されるドアもしくはフラップを有する車両において使用される。センサストリップは、既存の取り付け表面に接着式に糊付けすることができ、または自動車車両の突起部またはフランジ上に設定することができ、または対応する構成を有するくぼみ内に挿入することができる。取り付け部分内のシーリング物質は、湿度および/または異物の進入を防止し、それにより、突起部またはフランジはより良好に保護される。加えて、キャリアプロファイルは、向上したシーリング作用を有する。
【0052】
本発明はまた、特に自動車車両の閉鎖要素の移動範囲内で妨害物を検出するための装置に関する。そのような装置は、本発明の実施形態による少なくとも1つの安全センサストリップを備える。装置はまた、安全センサストリップに依存して閉鎖要素の開閉作動を制御する制御ユニットも備える。
【0053】
制御ユニットが、安全センサストリップに依存して閉鎖要素の移動を遮断することが好ましい。あるいはまたは追加的に、制御ユニットは、安全センサストリップに依存して閉鎖要素の移動を逆行させることが好ましい。
【0054】
センサストリップは、制御ユニットと一緒になって、妨害物を検出するための装置を形成する。挟み込み防止保護とも称されるそのような装置は、センサストリップに依存して、窓または自動車車両ドアなどの閉鎖要素の移動を制御する。
【0055】
好ましくは、制御ユニットは、電場を生成することができるように、第1の電荷および第2の電荷を安全センサストリップに印加する。電場は、安全センサストリップの周囲に充満する。制御ユニットは、さらに好ましくは、静電容量における変化により、充満された周囲内への妨害物の侵入を検出することができるように構成される。
【0056】
そのような構成を備えた挟み込み防止保護は、二重に保証される。妨害物が安全センサストリップの充満された周囲に侵入し、したがって、静電容量を変更する場合、制御ユニットは、これを切り替えイベントとして検出し、それに対応して閉鎖要素を制御する。妨害物が、静電容量を十分に変更できない場合、制御ユニットは、外側電極の変形によってスイッチストリップの静電容量における変化を検出する。外側電極および内側電極は、まだ接触していない。しかし、静電容量におけるこの変更でさえも、制御ユニットによって登録されない場合、最終ステップとして、電極同士の直接的な接触が、切り替えイベントとして定義され、これは確実に検出可能である。
【0057】
本発明はまた、本発明による安全センサストリップを製造する方法に関する。これを達成するために、特に空洞を備えた、受け入れ部分および取り付け部分を含むようなものとして知られているキャリアプロファイル、および本発明によるスイッチストリップが、提供される。スイッチストリップは、空洞内にねじ込まれる。
【0058】
スイッチストリップおよび/または受け入れ部分、特に空洞に、特に塗料、熱可塑性加硫物および/またはホイルの摺動層が設けられることが好ましい。好ましくは、取り付け部分には、特にスイッチストリップが中にねじ込まれた後に接着層が設けられる。
【0059】
特に好ましくは、スイッチストリップは、回転されながらねじ込まれる。あるいはまたは追加的に、加圧空気が、スイッチストリップの外側表面と受け入れ部分の内側表面との間の境界容積部に、ねじ込み中、印加される。
【0060】
通常、スイッチストリップおよびキャリアプロファイルは、別個に製造され、その後にのみ組み合わせられる。キャリアプロファイルは、ほとんどが、シーリングプロファイルである。受け入れ部分の構成に応じて、スイッチストリップは、単に受け入れ部分に押し込まれるだけであり、または受け入れ部分が空洞を含む場合、空洞にねじ込まれる。摺動層および/または加圧空気の印加を用いることによってスイッチストリップと受け入れ部分および/または空洞との間の摩擦を低減することは、ねじ込みを容易にする。スイッチストリップのその長手方向軸に沿った不測の回転は、対称度が高いためにそれほど重要ではなく、信頼高い切り替え機能を確実にするための補正を必要としない。安全センサストリップの信頼性は、ねじ込み中のスイッチストリップの制御された回転によってさらに強化され得る。このタイプの安全センサストリップはまた、容易さを増して、かつ低コストで製造され得る。
【0061】
本発明の例示的な実施形態が、添付の図を参照して以下において説明される。