特許第6339191号(P6339191)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6339191デイジーチェーン方式システムにおける電力ネゴシエーション
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6339191
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】デイジーチェーン方式システムにおける電力ネゴシエーション
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20180528BHJP
   H04L 12/28 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   H02J1/00 306G
   H04L12/28 400
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-526658(P2016-526658)
(86)(22)【出願日】2014年7月18日
(65)【公表番号】特表2016-525331(P2016-525331A)
(43)【公表日】2016年8月22日
(86)【国際出願番号】EP2014065513
(87)【国際公開番号】WO2015007888
(87)【国際公開日】20150122
【審査請求日】2017年7月13日
(31)【優先権主張番号】13177271.7
(32)【優先日】2013年7月19日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ウェント マティアス
(72)【発明者】
【氏名】イセブート レナート
(72)【発明者】
【氏名】エルドマン ボゼナ
(72)【発明者】
【氏名】アラルコン−リヴェロ マヌエル エデュアルド
(72)【発明者】
【氏名】ドラアイジェー モーリス ハーマン ヨハン
【審査官】 高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−269890(JP,A)
【文献】 特開2012−134901(JP,A)
【文献】 特開2009−106127(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0031152(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0273661(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0100799(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00
H04L 12/28 − 12/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力がネットワーク接続を介して供給される、パワーオーバーイーサーネット(登録商標)ネットワークにおける電力ネゴシエーションのためのデバイスであって、
入力ポートと、
チェーン構成における後続デバイスの入力ポートへの接続のための出力ポートと、
前記チェーン構成における電力リクエスト又は利用可能な電力をネゴシエートするチェーンコントローラと、
を含み、
前記チェーンコントローラは、前記後続デバイスから、前記出力ポートを介して、電力リクエストを受信し、前記入力ポートを介して受信されるべき電力をネゴシエートし、
前記チェーンコントローラは、前記入力ポートに、電源デバイスが接続されていることを検出すると、前記チェーンコントローラは、前記入力ポートを介して、前記電源デバイスによって供給可能な所定の最大電力量をネゴシエートし、次に、前記デバイスは、第1のフェーズにおいて、前記チェーンコントローラにのみ電力を供給し、前記チェーンコントローラは、第2のフェーズにおいて、前記出力ポートにおいて、前記後続デバイスからの電力リクエストを待ち、前記電力リクエストは、前記チェーン構成のすべての後続デバイスの要求電力合計を示し、前記要求電力合計が、ネゴシエートされた前記所定の最大電力量以下である場合は、前記チェーンコントローラは、前記出力ポートを介して、前記すべての後続デバイスが、前記すべての後続デバイスのフル要求電力にまで動かすことができることを知らせる、
デバイス。
【請求項2】
前記チェーンコントローラは、前記要求電力の合計が、前記所定の最大電力量より低い場合は、前記電源デバイスに対し、前記入力ポートを介して、前記要求電力合計に相当する電力量をネゴシエートする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記チェーンコントローラは、前記デバイスが、前記出力ポートに接続されているデバイスがない、前記チェーン構成の最後のデバイスであることを検出すると、前記チェーンコントローラは、前記入力ポートを介して、前記デバイスの自身の電力量のリクエストを、最も低いシーケンス番号と共に送信するか、又は、前記チェーン構成のすべてのデバイスに、電力リクエスト用のトリガメッセージを一斉同報する、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記チェーンコントローラは、前記デバイスが、前記チェーン構成の前記最後のデバイスではなく、前記入力ポートに接続される電源デバイスはないことを検出すると、前記チェーンコントローラは、前記出力ポートを介して受信した前記電力リクエストに含まれるシーケンス番号に基づいて、前記デバイスの自身のシーケンス番号を決定し、前記自身のシーケンス番号と、自身の電力量とに関する情報を、受信した前記電力リクエストに追加することによって高められた電力リクエストを生成し、前記入力ポートを介して、前記高められた電力リクエストを転送する、請求項に記載のデバイス。
【請求項5】
電力リクエスト値を記憶するメモリを更に含み、前記チェーンコントローラは、前記出力ポートにおいて、前記電力リクエストと共に受信された電力リクエスト値を決定し、合計値を得るために、記憶された前記電力リクエスト値を、受信された前記電力リクエスト値に追加し、前記チェーンコントローラが、前記チェーン構成の別のデバイスが前記入力ポートに接続されていることを検出すると、前記入力ポートを介して、前記合計値を送信する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記チェーンコントローラは、前記入力ポートに、電源デバイスが接続されていることを検出すると、前記チェーンコントローラは、前記合計値を使用して、前記入力ポートにおいて、電力ネゴシエーションを行う、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記チェーンコントローラは、電源オフ状態後に、再呼び出しされるように、電力ネゴシエーションの結果、及び、前記チェーン構成における隣接デバイスのアドレスのうちの少なくとも1つを記憶する、請求項1乃至6の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記チェーンコントローラは、前記チェーン構成におけるデバイス接続又は切断の任意の検出後、電力ネゴシエーションを再開する、請求項1乃至7の何れか一項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、次に限定されないが照明システムといったDCグリッドシステムにおいて配電する方法及びデバイスの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第2012/0286574A1号は、第1の電源が具備される第1のユニットと、第1の電源の出力部に接続される第1の充電式電池と、第1の充電式電池の出力部に接続される第1の電力消費部とを有する電力システムについて開示している。電力システムは更に、第2の充電式電池と、第1の充電式電池と第2の充電式電池との間で電力を共有するための電力線とを含む。
【0003】
米国特許出願公開第2007/0029879A1号は、少なくとも1つのDC電源式電子デバイスにDC電力を提供するDC電力コンバータと、DC電力コンバータを少なくとも1つのDCアウトレットにつなげる少なくとも1つのDC導体セットとを含むDC配電システムについて開示し、DCアウトレットは、当該少なくとも1つのDC電源式電子デバイスを、DC配電システムに接続する。
【0004】
米国特許第7,923,857B2号は、飛行機に搭載される複数のアクチュエータに電力を供給するシステムについて開示している。システムは、交流電流を供給する複数のジェネレータと、電力負荷に給電する複数の従来の電気マスタボックスとを含み、複数の従来の電気マスタボックスは、複数の電力伝達ユニットを有し、飛行機の第1及び第2の側に配置される。電力負荷は、空調ユニット、着氷から保護するためのユニット及びエンジンスタータを含む。システムは更に、それぞれ、少なくとも1つの従来のマスタボックスから、複数の電力伝達ユニットを介して、電力を受け取り、当該電力をアクチュエータ負荷のみに供給する2つの専用マスタボックスを含む。2つの専用マスタボックスは、飛行機の第1及び第2の側において、複数の従来の電気マスタボックスに接続され、アクチュエータ負荷は、操縦装置と車輪制動装置とを含む。
【0005】
独国特許第19757113A1号は、DC電力ネットワークからのDC電力を消費者に供給するための結合ネットワークについて開示している。結合ネットワークは、電源をオンとオフとに切り替える回路ユニットを含む。電源は、その入力側において、2つの別個のサブネットワークを含み、これらのサブネットワークは、出力側において、各サブネットワークが、それぞれの能力に応じて、出力側における電気コンシューマの供給に貢献するように、電気的に作動可能なスイッチを介して、当該電気コンシューマに接続される。
【0006】
パワーオーバーイーサーネット(登録商標)(PoE)は、分離したデータ機器及び周辺機器(ルータ、スイッチ、プリンタスプーラー等)に、これらの機器をイーサネット(登録商標)に接続するために既に使用されているワイヤ又はネットワークと同じワイヤ又はネットワーク接続を介して、給電するための標準である。現在、照明機器のような低電力負荷(センサ、スイッチ、光源等)、又は、アクティブスピーカ、インターネットラジオ、DVDプレイヤー、セットトップボックス、更にはTV受像機のような娯楽電化製品のあらゆる種類にも同じ標準を(派生)使用するための議論がなされている。ここでは、IEEE802.3における実際の標準化が、Cat5/6接続あたりに最大60Wまでの電力レベルをサポートするように進んでいる。
【0007】
PoEを適用させる次の分野は、照明システムである。新世代のLEDベースのランプは、ネットワークインフラにおいてPoEによって提供される中央電源を活用する。更に、安価なネットワークケーブルの使用は、設置費用を削減し、また、(低DC電力による)固有の安全性と極性独立性とによって、設置エラーが軽減される。設置エラーは、設置中に生じたとしてもすぐに特定できる。これは、主電源に直接的に接続される従来の照明設置では必要とされるように電力を止める必要がないためである。大部分の負荷デバイスは、光源である。しかし、センサ又はユーザインターフェースデバイス(スイッチ、制御パネル)のような他のデバイスも、PoEによって給電されてもよい。
【0008】
建物内の配電のためのPoE供給システムが、産業の視野に入り始めるのに従って、これらの直流電流電源式ネットワーク(いわゆる「DCグリッド」)が広く採用されるためには、解決策を見つけなければならないこれらのネットワークの特定の欠点がある。ルータ、スイッチ、プリンタスプーラー等のような分離ネットワークデバイスに給電するためにPoE標準が導入されたときは、当該標準は、当時、意図されていた負荷の多くは通信及び処理手段が既に具備されていたので、小型電源プラグ式電源の代替品であった。
【0009】
図1は、給電機器(PSE)1と、通常、受電デバイス(PD)と呼ばれる1つのPoE負荷20とを含む従来のPoEシステムの典型的な接続を示す。接続は、PSE1の複数の出力ジャック又はポート12のうちの1つと、PD20の入力ジャック又はポート21との間のいわゆるパッチケーブル14によって実現される。PoEシステムでは、通常、電源11、24と、データ処理機能19、25のデータ接続性とは、同じパッチケーブル14を共有する。マルチ負荷システムでは、各負荷は、PSEマネジャ18によって、PSE1の第1のポート(P1)12からn番目のポート(Pn)13からなる複数の出力ポートのうちの別個の1つに接続される。したがって、PD2といった各負荷は、必要な電力の利用可能性について、PSE1と別々にネゴシエートする。これは、各負荷(即ち、PD2)内の受電デバイスコントローラ23が必要となる。PSE側では、PSE管理コントローラ18が、すべてのポート上でのネゴシエーションを監視する。
【0010】
しかし、新しい適用分野である照明システム、又は、大抵、負荷が少なく、ローカルの計算及び通信要件が低い同様の負荷システムでは、時に、負荷の複雑さに比べて、通信及び処理のオーバーヘッドが不適切である。更に、PoEの別の欠点は、その純粋にスターベースのネットワークトポロジーである。一方、照明システムは、大抵、直列に配線される(即ち、デイジーチェーン接続される)。これにより、スターベースのPoEを、これらの種類の典型的に直列接続された負荷システムにおいて実装することは、単に直列接続される実施態様に比べて、総ケーブル長を増加し、ケーブル束を太くする。多くの場合におけるように、PoEに接続される光源システムにローカル記憶装置が具備され、光源は、連続的に点灯している必要がない場合では、直列接続されたケーブル上の負荷は、時間的に分割でき、結果として、PoEスイッチに最も近いケーブルにおける電流は、はるかに多く制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、減少された接続要件で、直列負荷システムのためのPoE型電力ネゴシエーション解決策を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、請求項1に記載のデバイス、請求項14に記載される方法及び請求項15に記載されるコンピュータプログラムプロダクトによって達成される。
【0013】
したがって、PoEネットワークにおける電力ネゴシエーションのためのデバイス、即ち、PoEデバイスを、デバイスのチェーンにおいて使用できる。PoEデバイスは、後続のデバイス(好ましくは、これもPoEデバイスである)から電力リクエストを受信し、PoEデバイスは、当該PoEデバイスによって受信されるべき電力を、当該PoEデバイスの入力ポートが接続される先行PoEデバイス又はPoE電源とネゴシエートする。PoEデバイスによって受信される電力は、好ましくは、当該PoEデバイスによって部分的にのみ使用され、受信された電力の一部は、デバイスのチェーンにおける1つの又は幾つかの後続のデバイスに転送される。したがって、電力ネゴシエーションを、デイジーチェーン方式システムにおいて行うことができる一方で、チェーンに沿って電力リクエストを段階的に検証する問題を軽減するが、依然として、ネゴシエーションを迅速に保ち、多くのサイクルを必要としない複数の機構が提示される。提案されるチェーン構成又はデイジーチェーン接続は、ケーブル総長及びケーブル束の平均厚さを減少させる。
【0014】
第1の態様によれば、チェーンコントローラは、当該チェーンコントローラが、入力ポートに、電源デバイスが接続されていることを検出すると、入力ポートを介して、電源デバイスによって供給可能な所定の最大電力量をネゴシエートし、次に、所定の最大電力量から、自身の必要な電力量を差し引いた後の残留電力量に基づいて、後続デバイスとの電力ネゴシエーションを開始する。これにより、システムは、電源デバイス(例えばPSE)に直接的に接続されている第1のデバイスから、効率的に、連続的に電源を入れていく。更なるオプションにおいて、チェーンコントローラは、当該チェーンコントローラが、残留電力量が十分でないと決定すると、出力ポートの機能を停止する。これは、後続の負荷デバイスに、十分な電力が常に提供されることを確実にする。
【0015】
第2の態様によれば、チェーンコントローラは、当該チェーンコントローラが、入力ポートに、電源デバイスが接続され、後続デバイスが、出力ポートに接続されていることを検出すると、入力ポートを介して、デバイスの自身の電力量に、所定の追加の電力量を合わせたものをネゴシエートする。これは、チェーン構成における第1の負荷デバイスが、後続の負荷デバイスからのリクエストを待つ必要がないため、迅速なネゴシエーション及び高速電源投入を確実にする。もう1つのオプションによれば、チェーンコントローラは、当該チェーンコントローラが、入力ポートを介してネゴシエートされた電力量が受信されたことを検出すると、出力ポートを介して、後続デバイスとの電力ネゴシエーションを行い、次に、出力ポートにおけるネゴシエーション結果に応じて、入力ポートにおいて、電力を再度ネゴシエートする。これにより、最小量の電力が常に電源デバイスから要求される。
【0016】
第3の態様によれば、チェーンコントローラは、当該チェーンコントローラが、入力ポートに、電源デバイスが接続されていることを検出すると、入力ポートを介して、電源デバイスによって供給可能な所定の最大電力量をネゴシエートし、次に、デバイスは、第1のフェーズにおいて、チェーンコントローラにのみ電力を供給し、チェーンコントローラは、第2のフェーズにおいて、出力ポートにおいて、後続デバイスからの電力リクエストを待ち、電力リクエストは、チェーン構成のすべての後続デバイスの要求電力合計を示し、要求電力合計が、ネゴシエートされた所定の最大電力量以下である場合は、チェーンコントローラは、出力ポートを介して、すべての後続デバイスは、そのフル要求電力にまで動かすことができることを知らせる。これは、チェーン構成のすべての負荷デバイスが同時にネゴシエートし、同時に給電されるという利点を提供する。もう1つのオプションとして、チェーンコントローラは、当該チェーンコントローラが、デバイスは、チェーン構成における第2のデバイスであることを検出すると、入力ポートを介して、要求電力合計に相当する低電力量のネゴシエーションをトリガする。これは、最小限の電力量しか、チェーン構成に対してネゴシエートされないことを確実にする。
【0017】
更に、チェーンコントローラは、当該チェーンコントローラが、デバイスは、出力ポートに接続されているデバイスがない、チェーン構成の最後のデバイスであることを検出すると、入力ポートを介して、デバイスの自身の電力量のリクエストを、最も低いシーケンス番号と共に送信するか、又は、チェーン構成のすべてのデバイスに、電力リクエスト用のトリガメッセージを一斉同報する。したがって、電力リクエストが、チェーン構成の最後の負荷デバイスにおいて開始されることが確実にされる。
【0018】
更に、チェーンコントローラは、当該チェーンコントローラが、デバイスは、チェーン構成の最後のデバイスではなく、入力ポートに接続される電源デバイスはないことを検出すると、出力ポートを介して受信した電力リクエストに含まれるシーケンス番号に基づいて、デバイスの自身のシーケンス番号を決定し、自身のシーケンス番号と、自身の電力量とに関する情報を、受信した電力リクエストに追加することによって高められた電力リクエストを生成し、入力ポートを介して、高められた電力リクエストを転送する。これにより、チェーン構成における負荷デバイスは、それらのシーケンス番号を決定し、電力リクエストに追加することができ、したがって、電源デバイスに接続されている第1の負荷デバイスは、要求電力の総量又は合計と、個々の電力リクエストの発生源とが分かる。
【0019】
第4の態様によれば、デバイスは、電力リクエスト値を記憶するメモリを含み、チェーンコントローラは、出力ポートにおいて、電力リクエストと共に受信された電力リクエスト値を決定し、合計値を得るために、記憶された電力リクエスト値を、受信された電力リクエスト値に追加し、チェーンコントローラが、チェーン構成の別のデバイスが入力ポートに接続されていることを検出すると、入力ポートを介して、合計値を送信する。更なるオプションとして、チェーンコントローラは、当該チェーンコントローラが、入力ポートに、電源デバイスが接続されていることを検出すると、合計値を使用して、入力ポートにおいて、電力ネゴシエーションを行う。更に、チェーンコントローラは、当該チェーンコントローラが、入力ポートに、電源デバイスが接続されていることを検出すると、合計値を使用して、入力ポートにおいて、電力ネゴシエーションを行う。これにより、第1の負荷デバイスは、最後の負荷デバイスの電力リクエストまで待つ必要がないため、長い時間遅延を防ぐことができる。
【0020】
第1乃至第4の態様のうちの少なくとも1つと組み合わせることができる第5の態様によれば、チェーンコントローラは、電源オフ状態後に、再呼び出しされるように、電力ネゴシエーションの結果、及び、チェーン構成における隣接デバイスのアドレスのうちの少なくとも1つを記憶する。これにより、高速システム回復又は電源投入が確実にされる。
【0021】
第1乃至第5の態様のうちの少なくとも1つと組み合わせることができる第6の態様によれば、チェーンコントローラは、チェーン構成におけるデバイス接続又は切断の任意の検出後、電力ネゴシエーションを再開する。この手段は、電力供給が、常に、チェーンの実際のニーズに適応されることを確実にする。
【0022】
なお、デバイスは、個別のハードウェアコンポーネント、集積チップ又はチップモジュールの配置を有する個別のハードウェア回路に基づいて、又は、メモリに記憶された、コンピュータ可読媒体上に書き込まれ又はインターネットといったネットワークからダウンロードされたソフトウェアルーチン又はプログラムによって制御される信号処理デバイス又はチップに基づいて、実現される。
【0023】
当然ながら、請求項1のデバイス、請求項14のデバイス及び請求項15のコンピュータプログラムは、同様及び/又は同一の好適な実施形態、具体的には、従属項に規定される好適な実施形態を有する。
【0024】
当然ながら、本発明の好適な実施形態は、従属項又は上記実施形態の各独立項との任意の組み合わせであってもよい。
【0025】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に説明される実施形態を参照して明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、従来のPoE接続の略ブロック図を示す。
図2図2は、様々な実施形態によるデイジーチェーン接続されたPoE接続の略ブロック図を示す。
図3図3は、第1の実施形態による電力ネゴシエーション手順のステップを示す略ブロック図を示す。
図4図4は、第2の実施形態による電力ネゴシエーション手順のステップを示す略ブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明の実施形態を、チェーン構成の照明器具を含み、電力ネゴシエーションがデイジーチェーン方式PoEシステムにおいて行われる照明システムに基づいて説明する。チェーン構成に沿って電力リクエストを段階的に検証する問題を軽減するが、依然として、ネゴシエーションを迅速に保ち、多くのネゴシエーションサイクルを必要としない複数の機構が提示される。
【0028】
図2は、様々な実施形態によるデイジーチェーン接続されたPoEシステムの機能ブロックを示す。PoEシステムは、給電機器(PSE)1と、本例では、対応するパッチケーブル14及び24を介して接続される2つのチェーン接続可能なPoE負荷デバイス、即ち、負荷2及び3(以下、受電デイジーチェーン接続デバイス(PDCD)という)とを含む。PSE1は、変更される必要がない。したがって、PSE1は、変更されていない、通常のPoE電源であってよい。図1と同様に、PSE1は、PSEマネジャ18と、電源11と、(ネットワーク)データ処理機能19とを含む。チェーン接続可能なデバイスPDCD2、3は、以下に説明されるように、PSE1からは、PSE1の1つのポート12のみに接続される(累積及び/又は変動電力消費量を有する)1つのPDとして見られる。
【0029】
更に、各PDCD2、3は、入力ポート21、31と、出力ポート22、32とを含む。出力ポートは、ここでも、パッチケーブル24を介して、インラインの次のPDCDの入力ポートに接続される。更に、各PDCD2、3は、チェーン構成における電力ネゴシエーションを制御するデイジーチェーン接続デバイスコントローラ28、38と、デイジーチェーン接続デバイスコントローラ28、29から受信した制御出力に応えて、負荷(即ち、要求された電力量)を制御する負荷コントローラ29、39とを含む。したがって、実施形態は、任意の数のチェーン接続されたPDCDデバイスを可能にする。PSE1のタイプに依存して、これは、PDCDによって、多くのやり方で実現される。このための要件は、PSE1に対し提示される又は接続されるチェーン構成の総負荷が、スタートアップ中にネゴシエートされた通りに、合意された最大電力を超えて増加しないことである。PSEは、チェーン構成が安定的に給電されるまでにかかる時間と、サポートできる負荷の数とにおいて異なる(例えばPoE 12.5W、PoE +25.5W、又は、PoE ++50Wのような将来のシステム)。
【0030】
図3は、第1の実施形態による電力ネゴシエーション手順のステップを示す略ブロック図である。第1の実施形態では、電源投入時のシステムが、PSE1に直接的に接続される第1のPDCD L1から開始して、連続して電源を投入する。インラインの第1のPDCD L1は、第1のメッセージ又はリクエストS1において、単一のPoEポートによって供給可能な最大電力を要求する。したがって、PoE+標準に従うと、これは、例えば25.5Wである。第1のPDCD L1の出力ポートは、第2のPDCD L2の入力ポートとのネゴシエーションを開始し、その入力ポートに、第1のPDCD L1自身が必要とする電力によってネゴシエートされた入力電力が減少されて残っている最大の電力を与える。
【0031】
図3に示される例では、チェーン接続されたデバイス(即ち、PDCD)L1乃至L5は、すべて同じタイプのスポットランプで、例えば内部制御のためにまたランプに給電するために、5Wを必要とする。この例では、第1のPDCD L1は、25.5W−5Wを知らせることができるので、その出力ポートにおいて利用可能である最大電力は、20.5Wである。第2のチェーン接続メンバL2は、ダウンストリームの隣接チェーン接続メンバに対し、15.5Wをネゴシエートする。第3のチェーン接続メンバは、第4のチェーン接続メンバに10.5Wを与える。第4のチェーン接続メンバは、5.5Wを、第5のチェーン接続メンバL5に対して知らせ、第5のチェーン接続メンバL5は、次のチェーン接続メンバが、0.5Wを得ることを可能にするが、これは、第6のランプに給電するには十分ではない。したがって、第5のランプは、出力ポートの機能を停止する。或いは、第6のランプは消灯し続け、万が一、0.5Wで動作可能なメンバがある場合に、当該0.5Wを奥へと与えることもできる(又は、第6のランプは、一部の通信/ロジックのみを作動させるか、又は、例えば減光された光束といったように機能を低下させて、問題を報告してもよい)。したがって、給電不可能なデバイスがチェーンに取り付けられているというフィードバックが、システム/ユーザに提供される。フィードバックは、ユーザ(設置業者)が、第6のランプの挙動の原因(ハードウェアの故障ではなく、電力バジェットを超えたということ)を理解できるようにする。フィードバックは、利用可能である場合には、通信手段を介して与えられても、又は、例えばチェーンにおける最後の受電デバイス上での例えば特定の光点滅パターン、チェーン構成において最初に給電されないデバイス上の状態発光ダイオード(LED)、又は、例えば利用可能な電力が許容する範囲での減少された光束での光点滅を介して与えられてもよい。
【0032】
出力ポートにおいて新しく接続されたデバイスの実際の検出は、PoE標準において規定されているように、PoEシグネチャ検出機構によって管理される。即ち、ポピュレートされていないポートは、給電されないが、PoEシグネチャインピーダンスの存在を検出するために、検知電圧パルスが送られる。更なる詳細は、IEEE802.3af/atに規定される対応する電力ネゴシエーション方法から収集できる。
【0033】
更に、PSE1は、チェーン接続メンバ(即ち、PDCD)とは異なる電圧レベルを使用することができ、チェーンにおける次のメンバが要求できる(最大)電力レベルを直ちに示す。プロトコルは、チェーン接続メンバが、チェーンにおけるそれらの場所(少なくとも:PSEに取り付けられている、対(vs.)、別のチェーン接続メンバに取り付けられている)を認識できるように拡大されてもよい。
【0034】
上記第1の実施形態は、すべてのチェーンステージにおいて、単純な電力バジェットネゴシエーションが提供できるという利点を提供する。更に、PSEにおいて、ハードウェア、ソフトウェア又はプロトコルの変更が不要である。チェーンにおいて最後のデバイスは、レガシPoE負荷であってもよい。PDCDのハードウェア実施態様は、特に電力供給ロジックについては、単純なままにされる。これは、PDCDは、フル動作(負荷+チェーンコントローラ)と、スタンドバイ動作(チェーンコントローラのみ)とを区別する必要がないためである。
【0035】
第1の実施形態は、PoEの隣の第1のPDCDから開始して、各PDCDが、その入力ポート上においてのみ、その自身の電力消費量に、1つの更なるデバイスの所定の電力量を足したものに相当する電力量のみを最初にネゴシエートするという点で、向上させることができる。この追加の電力消費量は、出力ポートにおいて、更なるデバイスが、例えば物理的接続によって、接続されたことをチェーンコントローラが検出する場合にのみ、要求される。追加量は、第2のPDCDのチェーンコントローラ(例えばマイクロコントローラ)の電力消費量、第1のPDCDが消費している量、又は、このタイプのシステムにおける1つの負荷(即ち、PDCD)あたりの典型的な/最大電力消費量に相当する。
【0036】
したがって、チェーンにおける第1のPDCD(例えばランプ)は給電され、次に、チェーンにおける次のPDCDとネゴシエートし、続けて、(PoEと)アップストリームを再ネゴシエートする。
【0037】
このアプローチは、最小量の追加電力しか要求しないという利点を有する。
【0038】
図4は、第2の実施形態による電力ネゴシエーション手順のステップを示す略ブロック図を示す。
【0039】
第1の実施形態と同様に、第1の負荷デバイスL1(例えばスポットランプ)は、第1のメッセージ又はリクエストS1において、最大量の利用可能電力を要求し、ダウンストリームに残っている電力を与え、この問題を軽減する。しかし、第2の実施形態では、デバイスL1は、第1のネゴシエーションフェーズ(初期化フェーズ)では、負荷を点灯せず、(チェーンコントローラの)プロセッサのみに給電する。したがって、例えば20個の負荷デバイスがチェーンを形成し、それらの処理駆動が、それぞれ、100mWを使うとしても、第1のフェーズでは、全体で2Wしか消費されずにすべてのプロセッサが給電される。第2のフェーズでは、チェーンの負荷デバイス、即ち、チェーン接続メンバは、アップストリームに(即ち、PSEに向けて)、どれくらいの電力を要求するのかを伝える。
【0040】
したがって、初期化フェーズにおいて、チェーンにおける第1の負荷デバイスL1のみが(チェーン全体の全電力について)ネゴシエーションを開始する。これは、(その入力ポート上での)PSEのネゴシエーションを終了させた後に、PSEに直接的に接続された第1の負荷デバイスL1によって実現される。しかし、第1の負荷デバイスL1は、その出力ポート上では、ネゴシエーションをまだ開始しない。したがって、この最初のフェーズでは、チェーンの更に下においてもネゴシエーションは行われない。
【0041】
すべての負荷デバイスL1乃至L5が、それらのチェーンコントローラを動作させるために必要とする電力は最小限であるので、最初の初期化フェーズの各電力リクエストは、チェーンに沿って受け入れられる。
【0042】
出力ポートに負荷デバイス(即ち、PDCD)が接続されていない負荷デバイスL5(即ち、チェーンにおける最後の負荷デバイスL5は、ここでは、図4の最も右のランプとして示される)は、このことを、メッセージ又はリクエストS2(「接続なし!私は#1である」)によって認識し、そのフル機能のために欲しい電力量を含むメッセージ又はリクエストS3(「私は#1で、5Wが必要である」)を、ネットワークに送り始める。
【0043】
チェーンにおいて最後の負荷デバイスであるという事実は、出力ポートにおいて物理的な接続がないことによって、及び/又は、出力ポートにおいて電力消費がないことによって認識される。
【0044】
更に、最後の負荷デバイスL5は、チェーンの終わりから見た場合には、第1の負荷であるので、シーケンス番号#1を追加してもよい。任意選択的に、メッセージS3は、電力が要求され過ぎる場合に、後の軽減処理のための受け入れ可能な電力ステップを含んでいてもよい。
【0045】
より詳細な電力ネゴシエーション及び/又は後続の制御のために、例えばデバイス識別子、デバイスタイプ(例えばデバイスランプ/センサ)、デバイスベンダ/モデルを表す情報等といった更なる情報が、任意選択的に、メッセージS3に含められてもよい。
【0046】
チェーンの終わりから2番目の負荷デバイスが、その出力ポートにおいて、当該メッセージS3を受信し、当該負荷デバイスは、シーケンス番号#1を有するメッセージを受信したので、負荷デバイス#2であることが分かる。負荷デバイス#2は、チェーンの終わりから1番目の負荷L5のメッセージS3に、自身の電力リクエストに関する情報と、任意選択的に、上記されたような任意選択の情報とを追加する。また、2番目の負荷デバイスは更に、1番目の負荷デバイス#1に、確認メッセージを送ってもよい。
【0047】
チェーンの終わりからのN個の負荷デバイスに関する情報は、(好適には、一番高い負荷番号を有する負荷デバイスからのメッセージを一番目にして)N個の独立したメッセージとして、N個の負荷デバイスの入力を連結させた1つのメッセージとして、又は、集計値、少なくとも累積電力レベル(また、任意選択的に、負荷デバイスの数や、必要に応じて、軽減処理のための任意選択の累積電力ステップ)を含む1つのメッセージとして、チェーンを上るように渡される。
【0048】
したがって、チェーンに沿って、メッセージは、PSEに直接的に接続される負荷デバイスL1にまで渡される。負荷デバイスL1は、PSEと直接的に電力ネゴシエーションを先に行ったことから、当該負荷デバイスL1は、PSEの隣であることを分かっている(或いは、PSEは、電力バジェット発見交換をサポートしないと考えられると、PSEの隣の負荷デバイスL1は、例えば確認メッセージを待機するタイムアウトによって、その場所を検出することができる)。例えば負荷デバイスL2は、メッセージ又はリクエストS4(「私は#2で、#1用の5Wと、自分用の5Wが必要」)によって電力を要求し、メッセージ又はリクエストS5(「#1、了解です。チェーンが完了するまで待機してください!」)によって確認をする。第1の負荷デバイスL1は、メッセージ又はリクエストS6(「私は#3で、#1及び#2用の10Wと、自分用の5Wが必要!」)によって、PSEに要求する。次に、第1の負荷デバイスL1は、メッセージ又はリクエストS7(「#2、了解です。チェーンが完了するまで待機してください!」)によって確認をする。この第1の負荷デバイスL1は、チェーンリクエストの完全なリストを有することにより、要求された電力の合計を計算することができる。
【0049】
合計が、PSEとネゴシエートした電力以下である場合、第1の負荷デバイスL1は、適切なメッセージS8(「私は#3で、チェーンにおいて最後です。#1及び#2用に十分な電力があります。起動してよいです!」)を、ダウンストリームに送信し、したがって、すべての負荷デバイスは、それらの要求したフル電力にまで動かされることができる。
【0050】
或いは、合計が、ネゴシエートした電力を下回る場合、負荷#3は、合計に相当する低い量のネゴシエーションをトリガすることができる。
【0051】
以下において、要求された電力の合計が、承認された電力レベルを上回る場合に実施可能な軽減オプションが説明される。
【0052】
最も単純なアプローチでは、負荷デバイスが、チェーンの先頭(図3の左端)から開始して、許容電力が使い尽くされるまで、それらの最大要求電力を消費するように指示される(命令される)。設置業者は、許容電力が使い尽くされたことを、ランプが消灯されたままとなることから分かり、新しいチェーンを開始してもよい。或いは、チェーンが、通信プロトコルを使用して、何らかのフィードバックを提供してもよい。
【0053】
より発達したシステムでは、チェーン接続デバイスのすべての負荷を、可能な限り僅かな量へと減少させ、可能な限り多くの負荷に給電する軽減可能性が使用される。この解決策は、ユーザが知覚可能な効果(例えば減光)をもたらすことがある。設置業者は、当該効果から判断して、必要に応じて、新しいチェーンを開始しなければならない。
【0054】
より高いレベルのシステムは、すべての負荷の要求電力に関する状況について通知され、利用可能な軽減オプションが回収される。これは、設置業者の注意を喚起し、より洗練された軽減につながる。例えば必ずしもすべての負荷が同じ量にまで減少されるわけではない。一例として、チェーンの終わりにより近い負荷デバイスは、減少が最も多くなる。
【0055】
第2の実施形態は、チェーンにおけるすべての負荷デバイス(例えばランプ)が同時にネゴシエートし、同時に電源をオンにするという追加の利点を提供する。
【0056】
第2の実施形態は、チェーンの終わりにおける負荷デバイス(ダウンストリームに接続されている他の負荷がない負荷デバイス)の(一斉同報)メッセージによってトリガされ、チェーンにおける他の負荷デバイスのそれぞれは、自身の電力要件のみを独立して報告(一斉同報)することができるという点で変更される。この情報は、デバイスのうちの1つにおいてのみ、例えばPSEポートにおいてのみ、集計される。或いは、例えば802.11を使用する別の通信インターフェース上で通信が行われ、データは別のデバイスによって集計されてもよい。これは、チェーン接続デバイスの一部の計算要件(例えば電力計算、順序/隣接デバイスのアドレスを記憶すること)を取り除く。
【0057】
以下において、第3の実施形態が説明される。第3の実施形態では、電力ネゴシエーションは、第1の負荷デバイス(例えばランプ又は照明器具)が、最後の負荷デバイスの電力要求まで待たなければならない場合に、長時間の遅延を防ぐように構成される。これは更に、負荷デバイスが設置される前に使用されてもよい。これは、負荷デバイス自体に収容されるからである。負荷デバイスには、当該負荷デバイスが使用する電力量を送るための少量の電力(場合によっては電池又はエネルギースカベンジャ)が提供される。
【0058】
第3の実施形態によれば、(必要な電力量を示す)電力要求値は、負荷デバイス自体に埋め込まれるか又は記憶される。負荷デバイスが、1つ以上の隣接デバイスに取り付けられる(例えばアップストリームポート上の物理的接続を発見することによって検出される)と、当該負荷デバイスは、この要求番号を与え、隣接デバイスは、これを、それらの自身の要求番号に加える。これは、電力を供給するPSEへのコネクタに到達するまで行われ、当該コネクタが、この電力を供給できるかどうかが確認される。この段階では、PSEに直接的に接続される負荷デバイスは、累積電力を要求する普通のPoEネゴシエーションを行うことができる。供給できる場合、ランプは給電される。供給できない場合、何をすべきかの指示が与えられる。例えば上記されたような軽減技術が使用される。
【0059】
上記実施形態の改良態様では、デイジーチェーン接続された負荷デバイスは、片側に(例えば入力ポートにおいて)、設置業者が、電力入力及び電力出力用の2つのRJ45ジャックによって混乱しないことを保証するために、予め設置されたパッチケーブルを有する。これは更に、設置中に、ランプが配置されて、ケーブルが既にそこにあり、デイジーチェーンの先のメンバ(又は、それが、設置されたばかりの一番目のメンバであるならば、PSE)の方に天井を介して投げさえすればよいという利点を有する。
【0060】
実施形態の更なる改良態様では、チェーンにおけるネゴシエーションは、1回しか行われず、結果は、すべての負荷デバイスに記憶され、次回の電源オフ時又はその後に、呼び戻される。この場合、左右のチェーンの隣接デバイスの識別情報も、チェーン変化(もしあるならば)を検出し、新しいネゴシエーションを開始するために、例えば媒体アクセス制御(MAC)アドレスによって記憶される。電力ネゴシエーションは、チェーンにおける任意のデバイス接続/切断時に、任意選択的に、タイムアウト後/新しい隣接デバイスのアドレスを確認した後に再開されてもよい。
【0061】
要約するに、電力ネゴシエーションがデイジーチェーン方式システムにおいて行われる、DCグリッドシステムにおいて配電する方法及び装置が説明された。チェーンに沿って電力リクエストを段階的に検証する問題を軽減するが、依然として、ネゴシエーションを迅速に保ち、多くのネゴシエーションサイクルを必要としない複数の機構が提示される。
【0062】
本発明は、添付図面及び上記説明において詳細に例示かつ説明されたが、当該例示及び説明は、例示的であって限定的に解釈されるべきではない。本発明は、ランプ又は照明器具を負荷デバイスとして有する開示された実施形態に限定されない。本発明は、DC分配ネットワーク用の任意のタイプの負荷、センサ、スイッチ等に関連して実施することができる。
【0063】
開示された実施形態に対する他の変形態様も、図面、開示内容及び従属請求項を検討することにより、請求項に係る発明を実施する当業者には理解されかつ実施可能である。請求項において、「含む」との用語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、また、「a」又は「an」との不定冠詞も、複数形を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項に記載される幾つかのアイテムの機能を果たしてもよい。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されることだけで、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。
【0064】
上記の説明は、本発明の特定の実施形態について詳述する。しかし、当然ながら、文章においてどれほど詳細に見えても、本発明は、多くの方法で実施することができ、したがって、開示された実施形態に限定されない。当然ながら、本発明の特定の特徴又は態様を説明するときに使用された特定の用語は、当該用語が関連付けられている本発明の特徴又は態様の任意の特定の特性を当該用語が含むことに限定されるように、本明細書において、再定義されることが暗に示されていると解釈されるべきではない。
【0065】
単一のユニット又はデバイスが、請求項に記載される幾つかのアイテムの機能を果たしてもよい。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されることだけで、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。
【0066】
図3及び図4において示されたような動作のような説明された動作は、コンピュータプログラムのプログラムコード手段及び/又は専用ハードウェアとして実現されてもよい。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又はその一部として供給される光学記憶媒体又は固体記憶媒体といった適切な媒体上に記憶及び/又は分散配置されてもよいが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介するといった他の形式で分散配置されてもよい。
図1
図2
図3
図4