(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
符号化光を発生するようにLED照明要素を駆動するためのアナログ調光器ドライバであって、前記アナログ調光器ドライバは、1次電流を提供する出力構成要素と、前記出力構成要素に接続されたキャパシタと、スイッチと、コントローラとを備え、
前記出力構成要素は、制御可能定電流源及び制御可能定電力源のうちの一方であり、前記LED照明要素は、前記スイッチを介して前記キャパシタと並列に前記出力構成要素に接続可能であり、それにより、前記スイッチが開放している時に、前記1次電流は前記キャパシタを充電し、前記スイッチが閉鎖している時に、前記キャパシタは放電して放電電流を発生し、そのため、前記LED照明要素は、放電電流と前記1次電流とを含む駆動電流によって駆動され、前記コントローラは、前記スイッチを周期的に開放及び閉鎖することによってスイッチングを遂行して、前記LED照明要素によって発生される光内に情報を符号化し、前記スイッチングは、前記スイッチが閉鎖する前記スイッチングのスイッチング期間の割合であるデューティサイクルで遂行され、前記コントローラは、所望の調光レベルが当該コントローラに送られる入力を有し、前記所望の調光レベルは、前記LED照明要素の公称電力又は公称電流の割合を表し、
前記出力構成要素は、前記所望の調光レベルに対応する調光信号を前記コントローラから受信する入力を有し、発生される光の平均パワーの増大が所望されることを指示する前記所望の調光レベルへの変更に応じて、
i)前記1次電流が、発生される光の平均パワーを増大させるように増大され、
ii)前記駆動電流のピークレベルが所定のレベルを超えることを防止するため、前記スイッチングのデューティサイクルが、前記所望の調光レベル以上になるように増大されるように、
前記コントローラは、前記所望の調光レベルに応じて、前記デューティサイクルを制御し、前記調光信号を調整する、アナログ調光器ドライバ。
前記変更前の前記駆動電流の前記ピークレベルは所定のレベルにあり、前記デューティサイクルが増大する量は、前記駆動電流のピークレベルが前記所定のレベルにとどまるようになる量である、請求項1に記載のアナログ調光器ドライバ。
前記コントローラは、データを受信する入力を有し、前記データに依存して前記スイッチングの周波数を変更することによって、発生される光内に前記データを埋め込む、請求項1又は2に記載のアナログ調光器ドライバ。
前記コントローラはデータを受信する入力を有し、前記スイッチングの前記デューティサイクルを変更することによって、発生される光内に前記データを埋め込む、請求項1又は2に記載のアナログ調光器ドライバ。
前記出力構成要素は、前記1次電流、又は前記1次電流に関連する出力を制御ループの設定点に一致させる当該制御ループを備え、前記1次電流は、前記設定点を増大させることによって増大される、請求項1乃至5の何れか一項に記載のアナログ調光器ドライバ。
前記アナログ調光器ドライバはローパスフィルタを備え、前記調光信号は、前記出力構成要素によって受信される前に前記ローパスフィルタによってフィルタリングされ、前記スイッチングは、前記ローパスフィルタによってフィルタリングされていない調光信号のバージョンを用いて遂行される、請求項6、7又は8に記載のアナログ調光器ドライバ。
前記照明要素の温度が増大して所定の限度を超えた時に、前記1次電流を低減させる温度保護回路を備える、請求項1乃至10の何れか一項に記載のアナログ調光器ドライバ。
符号化光を発生し、所望の調光レベルに達するようにLED照明要素を制御するための方法であって、前記照明要素は、スイッチを介して、キャパシタと並列に出力構成要素に接続され、前記キャパシタも前記出力構成要素に接続され、前記出力構成要素は制御可能定電流源及び制御可能定電力源のうちの一方であり、前記出力構成要素は1次電流を提供し、それにより、前記スイッチが開放している時に、前記1次電流は前記キャパシタを充電し、前記スイッチが閉鎖している時に、前記キャパシタは放電して放電電流を発生し、そのため、前記LED照明要素は、放電電流と前記1次電流とを含む駆動電流によって駆動され、
前記方法は、
前記スイッチを周期的に開放及び閉鎖することによってスイッチングを遂行して、前記照明要素によって発生される光内に情報を符号化するステップであって、前記スイッチングは、前記スイッチが閉鎖する前記スイッチングのスイッチング期間の割合であるデューティサイクルで遂行されるステップと、
前記LED照明要素の公称電力又は公称電流の割合を表わす前記所望の調光レベルの指示を受信するステップと、
発生される光の平均パワーの増大が所望されると指示する前記所望の調光レベルへの変更に応じて、
i)発生される光の平均パワーを増大するように前記1次電流を増大するステップと、
ii)駆動電流のピークレベルが所定のレベルを超えることを防止するため、前記所望の調光レベル以上になるように前記スイッチングのデューティサイクルを増大するステップとを有する、方法。
【背景技術】
【0002】
符号化光は、日常の照明器具などの光源によって放射される光内にデータが埋め込まれる技法のことを呼んでいる。当該光は、典型的には、部屋などの目標環境を照明するための可視照明としての役割(通例、光の主目的)と、情報を環境内に提供するための埋め込み信号との両方を含む。これを行うために、光は、特定の変調周波数又は周波数群、好ましくは、人間の知覚を超え、ひいては、主たる照明機能に影響を与えないほど十分に高い周波数で変調される。いくつかの場合には、符号化光放射器は照明機能をまったく有しなくてもよいであろう。その場合には、可視光又は不可視赤外光が、情報を伝送するための媒体として用いられる。
【0003】
いくつかの最も単純な場合においては、信号は、所与の照明器具からの光内に変調された単一の波形、更には単一の色調を含んでもよい。複数の照明器具の各々によって放射される光は、それらの照明器具の間で一意的である異なるそれぞれの変調周波数を用いて変調されてもよく、このとき、変調周波数は照明器具又はその光の識別子の役割を果たすことができる。例えば、これは、使用開始段階において、各照明器具の強さを識別するために用いることができるか、又は動作中に、照明器具を(例えば、RF逆チャネルを介して)遠隔制御するべく照明器具を識別するために用いることができる。別の例では、識別子を照明器具の既知のロケーション、又はロケーションに関連付けられた情報に対応付けることによって、ナビゲーション又はその他のロケーションベースの機能のために、識別が用いられる。
【0004】
他の場合には、より複雑なデータを含む信号が光内に埋め込まれてもよい。例えば、振幅キーイングを用いて、光の振幅が、データをエンコードするために変更されてもよく、例えば、高レベル及び低レベルを用いて、ビットを表現するか、或いはより複雑な変調方式を用いて、異なる記号を表現する。或いは、周波数キーイングを用いて、所与の照明器具が、2つの(又は3つ以上の)異なる変調周波数上で放射し、異なる変調周波数の間のスイッチングによってデータビット(又はより一般的には記号)を伝送するように動作可能である。
【0005】
情報は、LED(「Light Emitting Diode(発光ダイオード)」)ランプ又はその他のLED照明要素によって発生される光内に符号化されてもよい。LED照明要素は通例、複数の構成で接続可能な複数のLEDを備える。最も単純な構成の1つは、構成要素のLEDを直列に接続し、「LEDストリング」を形成することである。ただし、他のより複雑な構成(並列に接続された複数のストリングなど)も可能である。
図1Aは、電流iが流れる、LEDのストリング1を示す。
【0006】
欧州特許出願公開第2547174A2号は、照明光の強度を変調することによって可視光通信を遂行する照明光通信デバイスであって、複数のLEDが直列に配置されて、このようなLEDストリングを形成する、照明光通信デバイスを開示している。
【0007】
LEDに電力を供給するために用いられる電気回路は、LEDを点灯させるために十分であるが、LEDに損傷を与えるか、又はLEDの効率を減じるほど多くはない電流を提供しなければならない。電子デバイス上のインジケータとして用いられるものなどの低出力LEDにおいては、固定DC電圧源からLEDに供給される電流を制限するために抵抗器を用いることができる。しかし、照明のために用いられる種類の高出力LEDを駆動する場合には、より複雑なドライバ回路(ドライバ)が、LEDの効率的な制御された動作を達成するために必要とされる。1つの形式のドライバ回路は、定電流源間の電圧に実質的に依存しないDC電流を送出する定電流源を備える。これは、抵抗器を用いて、定電流源によって出力された電流を感知し、抵抗器からのフィードバックを用いて、出力電流を、基準レベルに一致するレベルに維持することによって達成可能である。
【0008】
照明のコンテキストでは、調光機構、即ち、LEDランプの平均光束(「光出力」)が異なる所望のレベルに変更可能な機構を提供することが時として望ましい。例えば、ルーメンで表される、光束又は光度パワーは、異なる波長に対する人間の眼の変化する感度を考慮して調整された、ランプによって放射される光のパワーの尺度である。このコンテキストにおける「平均」は、光内への情報の符号化から生じる振動などの、人間の知覚の限界を超えるのに足るほど高速であるランプの出力における任意の振動を均すために十分に長い時間の窓にわたる平均値を意味する。
【0009】
1つの形式の調光はパルス幅変調(pulse width modulation、PWM)調光である。PWM調光では、LEDストリング1が、周期Tで周期的に抑圧される一定の電流i0によって駆動される。即ち、それにより、各周期Tにわたって、一定の電流i0が周期Tの割合dc*Tの間のみストリング1内を流れる。ここで、dcはPWMのデューティサイクルと呼ばれる。周期Tは、1/Tが人間の知覚閾値を上回るほど十分に小さく、そのため、人間の眼に対して、ストリング1の光出力はほぼdc*Lmaxになる。ここで、Lmaxは、電流i0が抑圧されない場合の光出力である。
図1Bにこれが示されている。同図は、デューティサイクルdcが、50%及び25%の調光レベルをそれぞれ提供するためにどのように変更可能であるのかを示す。抑圧されていない期間中にストリング1内を流れる電流量は、調光レベルにかかわらず、常にi0であり、変化するのはデューティサイクルのみであることに留意されたい。
【0010】
調光機構は、Philips(商標)Hue製品群などの、色調節可能ランプを提供するために用いられている。これらは、Zigbee Light Linkを通じて(及びブリッジを用いてWiFiを介して)制御可能なLEDランプである。2段ドライバは、i)商用電源から中間DC電圧へ変換する電圧源、及びii)定電流を有する電流源を備える。電流源は、比較的高い帯域幅を有する、即ち、高周波負荷変動の存在下においてさえ設定電流を維持する電流制御ループを用いて実施される。異なる色点のLEDが直列に配置され、各色チャネルの強度が、PWM信号によって制御されるバイパススイッチを用いることによって変更される。即ち、PWM調光は、色バランスの制御を提供するために、各色チャネルに対して個々に用いられる。
【0011】
米国特許出願公開第2013/015784号は、PWMが、調光制御を達成するために用いられ、4パルス点位置変調(four pulse point position modulation、4PPM)方式を用いて照明光の光強度を変調することによって可視光通信が実行される機構を開示している。
【0012】
別の形式の調光は、LEDストリング1が、調光レベルを変更するために変化させる電流iによって駆動される、アナログ調光である。
図1Cにこれが示されている。同図は、50%及び25%の調光レベルが、電流iをLmax生成電流i0の0.5及び0.25に低減することによって、どのように達成可能であるのかを示す。
【0013】
アナログ調光及びPWM調光は、性能及びコストの両方の面でそれらの固有の利点及び欠点を各々有する。実際には、どちらが特定のドライバアーキテクチャのために選定されるのかを最終的に規定する、コストと性能との間のある程度のトレードオフが存在するであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
PWM調光は、最小限の追加の回路機構を用いて、又は追加の回路機構を用いることなく、光符号化機能をPWM調光機構内に組み込むことができるという点で、符号化光のための「自由な」実施をもたらす。(光の周波数を変調することによってデータが光内に埋め込まれ、周波数が復号のために検出される)周波数変調方式の場合、PWM周波数は、符号化光の適用によって必要とされる周波数(通例、200Hz〜800Hz)に単純に設定される。周波数は、符号化を達成するために、デューティサイクルとは無関係に、及びそれゆえ、ランプの平均出力に影響を及ぼすことなく、所望に応じて設定及び変更可能である。
【0015】
しかし、いくつかの状況では、例えば、アナログ調光アーキテクチャは、より少数の回路構成要素を用い、それゆえ、より低コストで実施可能であるため、アナログ調光アーキテクチャがPWMよりも妥当であり得る。例えば、単純な白色LEDランプのために調光機能を提供するには、アナログ調光アーキテクチャが、場合によっては、より妥当であり得る。しかし、アナログ調光は、符号化光機能の組み込みに同じほど直接に貢献しない。
【0016】
本開示は、アナログ調光及び符号化光の両方の機能を有する駆動機構を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
第1の態様は、符号化光を発生するようにLED照明要素を駆動するためのアナログ調光器ドライバに関する。ドライバは、出力構成要素と、出力構成要素に接続されたキャパシタと、スイッチと、コントローラとを備え、出力構成要素は制御可能定電流源及び制御可能定電力源のうちの一方である。出力構成要素は、1次電流を提供するように構成されている。照明要素は、スイッチを介してキャパシタと並列に出力構成要素に接続可能であり、それにより、スイッチが開放している時に、1次電流はキャパシタを充電し、スイッチが閉鎖している時に、キャパシタは放電して放電電流を発生し、そのため、照明要素は、放電電流と1次電流とを含む駆動電流によって駆動される。コントローラは、スイッチを周期的に開放及び閉鎖することによってスイッチングを遂行し、照明要素によって発生される光内に情報を符号化するように構成されている。電流源は、調光レベル(dl)に対応する調光信号を受信するように構成された入力を有する。発生される光の平均パワーの増大が所望されることを指示する調光信号の変更に応じて:i)1次電流が、発生される光の平均パワーを増大させるように増大され、ii)スイッチングのデューティサイクルが、調光レベル以上になるように増大され、これにより、駆動電流のピークレベルが所定のレベルを超えることを防止する。
【0018】
アナログ調光は、電流源によって出力される実際の電流(即ち、1次電流)を変更することによって達成され、その一方で、符号化はスイッチングによって達成される。キャパシタは、スイッチングが、感知できるほどの調光の影響をそれ自体で与えないこと、即ち、発生される光の平均パワーに対する感知できるほどの影響を与えないことを確実にし、そのため、調光レベルは1次電流のレベルによって(及びそれゆえ、その電流のレベルを規定する調光信号によって)完全に設定される。これは、スイッチが開放して照明要素を切断している時には、さもなければ電流源によって照明要素へ「直接」送出されるであろうエネルギーが、その代わりに、キャパシタへ送出され、キャパシタによって蓄積され、その後、続いてスイッチが閉鎖している時に、キャパシタを放電させることによって、照明要素へ「間接的に」送出される。それゆえ、所与の1次電流についての照明要素の平均パワー出力は、スイッチングを行う場合には、スイッチングを行わない場合(即ち、照明要素が単純に1次電流によって継続的に駆動されるとした場合)と実質的に同じであり、1次電流自体が変更された時にのみ、変化する。
【0019】
更に、PWM調光(米国特許出願公開第2013/015784号のものなど)と対照的に、本開示のスイッチングのデューティサイクル(即ち、スイッチが閉鎖しているスイッチング周期の割合)の変更は、発生される光の平均パワーを、感知できるほどに変更しない。即ち、PWM調光と対照的に、本開示のデューティサイクルの変更は、感知できるほどの調光の影響をそれ自体で与えない。これは、本開示のスイッチングのデューティサイクルがいかなるものであれ、所与の1次電流について、スイッチング周期にわたって、実質的に同じ量のエネルギーが照明要素へ送出されるためである。デューティサイクルがより短いこと(又はより長いこと)、即ち、スイッチング周期のうち、スイッチが閉鎖している割合がより小さいこと(又はより大きいこと)は、単に、このエネルギーのうち、キャパシタを介して「間接的に」送出されるよりも多くの量(又は少ない量)が電流源から「直接」送出されることを意味する。
【0020】
しかし、本発明者らは、たとえ、駆動電流の平均レベルはデューティサイクルに対して実質的に非依存性であっても、駆動電流のピークレベルはそうでないこと認識している。これは、より短いデューティサイクルの場合、スイッチング周期にわたって照明要素へ送出される必要がある総エネルギーは、(スイッチが閉鎖している時間がより短いため)したがって、より短い時間量内に送出される必要があり、より高いピーク電流を生じさせるためである。それゆえ、かりに、デューティサイクルが、例えば、固定されたままであれば、このピークレベルは、1次電流を増大させると必ず増大するであろう。このような固定デューティサイクルスイッチングは駆動電流のピークレベルの制御を提供しないであろう。これは照明要素に損傷を与えるか、又は少なくとも照明要素の効率を低下させ得るであろう。
【0021】
上述のようにして1次電流を制御する調光信号に依存してスイッチングデューティサイクルを変更することによって、本開示のドライバは、駆動電流のピークレベルが、それを所定のレベル以下に維持するように調節可能な機構を提供する。所定のレベルは、例えば、LED照明要素に関連付けられた公称電流に一致するように設定可能である(以下参照)。
【0022】
諸実施形態では、前記変更前の駆動電流のピークレベルは所定のレベルにあってもよく、デューティサイクルが増大する量は、駆動電流のピークレベルが所定のレベルにとどまるようになる量であってもよい。
【0023】
コントローラは、データを受信するように構成された入力を有してもよく、データに依存してスイッチングの周波数又はデューティサイクルを変更することによって、発生される光内にデータを埋め込むように構成されていてもよい。
【0024】
スイッチングの周波数は50Hzを上回ってもよい。
【0025】
出力構成要素は、1次電流、又は1次電流に関連する出力を制御ループの設定点に一致させる制御ループを備えてもよく、1次電流は、設定点を増大させることによって増大されてもよい。1次電流に関連する出力は、出力構成要素によって提供される電力であってもよい。設定点は50Hz未満の周波数において調整されてもよい。
【0026】
ドライバはローパスフィルタを備えてもよく、調光信号は、出力構成要素によって受信される前にローパスフィルタによってフィルタリングされてもよく、スイッチングは、ローパスフィルタによってフィルタリングされていない調光信号のバージョンを用いて遂行されてもよい。
【0027】
スイッチはトランジスタであってもよい。
【0028】
ドライバは、照明要素の温度が増大して所定の限度を超えた時に、1次電流を低減させるように構成された温度保護回路を備えてもよい。
【0029】
第2の態様によれば、照明装置は、LED照明要素と、符号化光を発生するよう照明要素を駆動するように構成されたアナログ調光器ドライバとを備える。ドライバは、出力構成要素と、出力構成要素に接続されたキャパシタと、スイッチと、コントローラとを備え、出力構成要素は制御可能定電流源及び制御可能定電力源のうちの一方である。出力構成要素は、1次電流を提供するように構成されている。照明要素は、スイッチを介してキャパシタと並列に出力構成要素に接続可能であり、それにより、スイッチが開放している時に、1次電流はキャパシタを充電し、スイッチが閉鎖している時に、キャパシタは放電して放電電流を発生し、そのため、照明要素は、放電電流と1次電流とを含む駆動電流によって駆動される。コントローラは、スイッチを周期的に開放及び閉鎖することによってスイッチングを遂行し、照明要素によって発生される光内に情報を符号化するように構成されている。電流源は、調光レベルに対応する調光信号を受信するように構成された入力を有する。発生される光の平均パワーの増大が所望されることを指示する調光信号の変更に応じて:i)1次電流が、発生される光の平均パワーを増大させるように増大され、ii)スイッチングのデューティサイクルが、調光レベル以上になるように増大され、これにより、駆動電流のピークレベルが所定のレベルを超えることを防止する。
【0030】
所定のレベルは、照明要素に関連付けられた公称電流に一致してもよい。
【0031】
第3の態様は、符号化光を発生するようにLED照明要素を制御するための方法に関する。照明要素は、スイッチを介して、キャパシタと並列に出力構成要素に接続され、キャパシタも出力構成要素に接続され、出力構成要素は制御可能定電流源及び制御可能定電力源のうちの一方である。出力構成要素は、1次電流を提供するように構成され、それにより、スイッチが開放している時に、1次電流はキャパシタを充電し、スイッチが閉鎖している時に、キャパシタは放電して放電電流を発生し、そのため、照明要素は、放電電流と1次電流とを含む駆動電流によって駆動される。スイッチを周期的に開放及び閉鎖することによってスイッチングが遂行され、照明要素によって発生される光内に情報を符号化する。発生される光の平均パワーの増大が所望されるとの、調光レベルに対応する指示を受信したことに応じて:i)1次電流が、発生される光の平均パワーを増大させるように増大され、ii)スイッチングのデューティサイクルが、調光レベル以上になるように増大され、これにより、駆動電流のピークレベルが所定のレベルを超えることを防止する。
【0032】
第4の態様によれば、コンピュータプログラム製品は、実行されると、第3の態様の方法を実施する、コンピュータ可読記憶媒体上に記憶されたコードを備える。
【0033】
本主題の理解を助けるため、及び諸実施形態がどのように実施され得るのかを示すために、これより、以下の図面が例として参照される。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図2は、本明細書において開示される諸実施形態が導入され得る例示的な環境2を示す。例えば、環境は、オフィス、自宅、学校、病院、博物館又はその他の屋内空間の1つ以上の部屋及び/又は廊下、或いは公園、街路、競技場又は同様のものなどの屋外空間、或いはガゼボ、又は車両の内部などの別の形式の空間を含んでもよい。環境2に、照明器具の形態の少なくとも1つの照明デバイス4を備える照明システムが設置されている。同様に環境2内に存在するのは、ユーザ端末6、好ましくは、スマートフォン又はタブレットなどのモバイルデバイスである。照明器具4は、LEDランプ(54、
図1に示されていないが、後の図に示されている)の形態のLED照明要素を備える。LEDランプは、本実施形態ではLEDのストリングであるが、他の実施形態では、単一のLED、又は他の形式のLEDアレイ(例えば、並列になった複数のストリング)であってもよい。1つ以上の照明器具の各々のランプによって放射される光は、人間の眼に知覚不能な周波数における符号化光成分を用いて変調される。
【0036】
図3はモバイルデバイス6のブロック図を与える。デバイス6は、ユーザインターフェース8(好ましくは、スクリーン又はタッチスクリーンなどのディスプレイ)と、2次元画像取り込み要素20を有するカメラ10と、画像取り込み要素20及びユーザインターフェース8に結合された画像解析モジュール12とを備える。画像解析モジュール12は、画像取り込み要素によって取り込まれた画像を表現する信号を処理し、それに基づき、画像が取り込まれた光内の符号化光成分を復号するように動作可能である。画像解析モジュール12は、コンピュータ可読記憶媒体又は媒体群上に記憶され、1つ以上の処理ユニットを備えるプロセッサ上で実行されるように構成されたコードの形態で実装されてもよい。代替的に、画像解析モジュール12の一部又は全ては専用ハードウェア回路機構、又はFPGAなどの再構成可能な回路機構内に実装され得るであろうことは除外されない。携帯電話、タブレット、又は専用制御デバイスなどの、ポータブルデバイスにカメラが搭載可能であるが、符号化光を感知するための光感知ダイオードを用いることも可能であり得る。これは、制御の目的のために光源から識別情報及び/又はアクセス制御情報を得るために、光源による符号化光出力を受光することができる低コストの遠隔制御デバイスのために特に関心を引くものとなり得る。
【0037】
図4A及び
図4Bは、上述した照明器具4内に組み込み可能な照明装置50の一部を概略的に示す。照明装置50は、キャパシタンスC
bufferを有するキャパシタ53に接続された制御可能電流源52と、LEDのストリング54であるLEDランプと、ランプ54と直列に接続されたスイッチS1とを備え、それにより、ランプ54は、(スイッチS1を開放することによって)電流源52から切断され、(スイッチS1を閉鎖することによって)キャパシタ53と並列に電流源52に再接続可能である。スイッチS1が開放及び閉鎖されるのに従い、0のレベルと0でないレベルとの間で変化する、電流I
LED(LED電流)がストリング54内を流れる。
【0038】
電流源52、キャパシタ53及びスイッチS1は、ストリング54を駆動するアナログ調光器ドライバ(即ち、アナログ調光機能を有するドライバ)を構成する。ドライバはまた符号化光機能を有し、それにより、(例えば、装置の単純な識別子を伝達するために)固定されているか、又は(より複雑な信号を符号化するために)可変であってもよい、符号化光周波数における変調(以下参照)によって、情報がストリング54によって発生される光内に符号化される。
【0039】
電流源52は、直流(DC)であり、電流源52間の電圧に実質的に依存せず、それゆえ、キャパシタ53、照明源54及びスイッチS1によって形成される負荷回路に実質的に依存しない、1次電流i
prを提供する。
【0040】
図4A及び
図4Bでは、電流源52の一部のみ、この場合には、フライバックトポロジの2次巻線L1及び2次ダイオードD1のみが示されている。当然のことであるが、これらの図面は、単なる回路図の例にすぎず、本主題の原理は多くの定電流源(又は定電力源)トポロジに適用可能である。
【0041】
ドライバは、1次電流i
prが商用電源電力から直接発生されるという点で、単段型である。ドライバの単段の特質はドライバのコストを低減させるが、他の実施形態では、ドライバは複数の段を有してもよい。
【0042】
i
prの非依存性は、1次電流を、残りの回路機構の挙動にかかわらず、実質的に基準レベル(設定点)に維持する、電流制御ループ(図示されていない)によって達成される。このような電流制御ループは当技術分野において知られている。ストリング54のアナログ調光は、電流源52の電流設定を、1次電流i
prを変更するように変調することによって行われる。具体的には、ストリング54への電力は、電流制御ループの設定点を低減/増大させることによって低減/増大させる。設定点は調光信号dimによって電流源52へ伝達される。「設定点」は、1次電流の所望のレベルを意味すること、及び「設定点を増大させる(又は減少させる)」は、設定点が調光信号によって伝達される態様とは関係なく、1次電流のレベルの所望の増大(又は減少)を生じさせる設定点の任意の調整を意味することに留意されたい。
【0043】
他の実施形態では、定電力源(即ち、負荷回路に実質的に依存しない電力レベルを発生する電力源)を電流源52の代わりに用いることができる。この場合には、電力源によって提供される電力を、好適な制御ループの変更可能設定点に一致させる。
【0044】
電流源又は電力源の実際の実施形態は非理想的であり、負荷回路へのいくらかの依存性を示すことになる。
【0045】
1次電流の変化が、高周波数(例えば、50Hz超)で光内に符号化された情報を乱すことを防止するために、設定点が変更される周波数は(例えば、50Hz未満となるように)上限を設けられている。
【0046】
同じ(PWM)信号を、電流源の設定点及びスイッチS1のスイッチングを制御するために用いることができるが、この場合には、1次電流における高周波数の変化を防止するために、電流源の調光入力に対する(例えば、50Hz又はその付近の閾値を有する)ローパスフィルタが存在する必要がある。調光信号dimは、この信号のフィルタリングされた(即ち、ローパスフィルタによってフィルタリングされた)バージョンであり、スイッチング信号swは、この信号のフィルタリングされていない(即ち、ローパスフィルタによってフィルタリングされていない)バージョンである。
【0047】
電流(又は電力)制御ループはまた、低帯域幅、即ち、符号化変調周波数未満(例えば、50Hz未満)のものであってもよい。ただし、制御ループの帯域幅は最重要パラメータではなく、たとえ、変調周波数に近い帯域幅を用いても、回路は、(機能同士が相互作用し始める可能性はあり得るものの)依然として動作することになる。
【0048】
公称電流i
nomは、ランプ54が100%の光レベルに達するために必要である電流として定義される。ランプ54の公称電流において駆動された時のランプ54のパワー出力は公称パワーと呼ばれる。LEDモジュールの効率は通例、温度及び電流レベルに依存する(それらが非線形挙動を呈するため)。公称電流を上回る電流はLED効率の低下を生じさせることになる。更に、これが今度は、LEDの最大動作温度を上回る動作温度を生じさせることになり、これがLED寿命を縮めることになる。
【0049】
出力を調光するために、1次電流i
prは公称電流i
nomの割合「dl」に設定される。即ち、
i
pr=dl*i
nom
ここで、0≦dl≦1である。割合「dl」は調光レベルと呼ばれ、現在の調光レベルは、ランプ54によって現在出力されている公称パワーの割合を表現する。電流制御ループの設定点を変更することによって、所望の調光レベルdlが達成可能である。
【0050】
符号化を達成するために、スイッチS1は符号化光周波数で開放及び閉鎖される。
【0051】
スイッチS1が開放されると(
図4A)、I
LED=0になり、LEDストリングは電力を消費しなくなるが、コンバータは1次電流i
prをキャパシタ53へ依然として送出することになる。その結果、バッファキャパシタは電圧v
pr+v
offset+v
mまで充電されることになる。ここで、
【数1】
であり、t
offは、スイッチが開放したままになっている継続時間であり、v
pr=i
pr*Rである。ここで、Rは、(非常に単純化されて)R=(Vf+I_LED*R
s)/I
LEDと定義可能なLEDストリング54の大信号抵抗である。ここで、VfはLEDストリングの順方向電圧であり、R
sはストリング54の小信号抵抗である。v
offset(オフセット電圧)は後述する様態で挙動する。
【0052】
S1が再び閉鎖されると(
図4B)、キャパシタ53は放電電流i
disを提供し、それにより、LEDは、駆動電流I
LED=i
pr+i
disによって駆動される。LED電流はI
LED=i
pr+i
offset+i
mになる。ここで、i
mはv
m/R
sによって決定される。キャパシタ上のより高い電圧のために、LEDストリングは、コンバータ52によって送出されるよりも多くの電力を消費することになる。その結果、バッファキャパシタは時間定数τ
m=C
buffer*R
sをもって放電を開始することになる。キャパシタは、スイッチS1が閉鎖したままになっている継続時間t
discharge(t
off)の間、放電を維持することになり、それにより、LED電圧V
LED及び電流I
LEDはそれぞれ、v
pr+v
offset及びi
pr+i
offsetまで(即ち、v
m及びi
mだけ)減衰する。i
offsetは後述する様態で挙動する。
【0053】
図6A及び
図6Bにこれが示されている。両図は、スイッチを周期的に開放及び閉鎖するようにスイッチングが遂行されるのに従い、キャパシタ間のLED電流I
LED及び電圧V
LEDが経時的に変化する様態を示すグラフを示す。これらの図面は、S1が常時閉鎖された状態、及びS1が変調されるその後の状態の概略図を示す。
【0054】
S1が常時閉鎖された時には、平衡に達すると、LED電圧及び電流はそれぞれ、v
pr及びi
prにとどまる。
【0055】
S1が変調される状態への切り替えの後、v
mは実質的に一定のままとどまり、i
mは、電圧V
LEDが増大するのに従い、(LEDのI−V曲線のゆえに)若干増大することになり、i
offset(オフセット電流)及びv
offset(オフセット電圧)は、t
offの間にキャパシタ内に加えられるエネルギーが、周期t
onの間にキャパシタから得られるエネルギーと等しくなると生じる、平衡に再び達するまで上昇することになる。低いキャパシタ電圧では、解放されるよりも多くのエネルギーが蓄積される。高いキャパシタ電圧では、加えられるよりも多くのエネルギーが解放される。したがって、v
offsetは、平衡に達するまで増大することになる。オフセット電流i
offsetはオフセット電圧v
offsetに直接関連する。平衡には、通例、S1の複数のスイッチングサイクルを経て達することになる。
図6A及び
図6Bは平衡時におけるI
LED/V
LEDのみを示していることに留意されたい。
【0056】
定電流源52の代わりに定電力源が用いられる実施形態では、v
mは、平衡に達するまで減少する値を有することになる。
【0057】
スイッチングは、周期T(符号化光周波数は1/Tになる)、及びデューティサイクルdc<1によって行われる。デューティサイクルdcによるスイッチングは、スイッチがスイッチング周期Tの割合dcの間、即ち、時間dc*T=t
dischargeの間、閉鎖し、スイッチング周期Tの残りの割合(1−dc)の間、即ち、時間(1−dc)*T=t
offの間、開放することを意味する。
【0058】
回路へ送出される電力はスイッチS1のためのスイッチング方式に依存せず、スイッチング方式を変更することは、単に、電力がストリング54へいつ送出されるのか、及び電流源52から直接送出される量に対してどのぐらいがキャパシタ53を介して間接的に送出されるのかを変更するだけである。
【0059】
唯一の損失は、キャパシタの直列抵抗に起因する最小限の寄生損失であり、システムは非常に効率が高くなる。
【0060】
図5は、上述した構成要素に加えてコントローラ56を備えるように示された、照明装置50の別の概略図である。図示のように、コントローラ56は、所望の調光レベルdlがコントローラへ伝達される第1の入力、及び光内に変調されるべきデータがコントローラへ伝達される第2の入力を有する。コントローラは、調光信号dimが電流源52へ伝達される第1の出力、及びスイッチを開放及び閉鎖するためのスイッチング信号swがスイッチへ伝達される第2の出力を有する。スイッチS1はトランジスタによって実装されることができ、スイッチング信号はトランジスタのベース端子へ供給される。
【0061】
調光レベルdlは、現在所望されているストリング54によって発生される光の平均パワーを(最大パワー出力の割合として)指示し、調光レベルの変更は、平均パワーの変更が所望されていることを指示する。調光信号dimは電流源52の設定点を制御する。調光レベルdlが変更されると、コントローラは、1次電流i
prを新しい調光レベルに一致させるために設定点を調整する。それゆえ、調光信号が1次電流i
prを設定する。この理由のために、i
prは本明細書において時としてi
pr(dl)と表される。調光信号dimの変更は所望の調光レベルdlの変更を指示し、それゆえ、また、ストリング54によって発生される光の平均パワーの変更が所望されていることを指示する。
【0062】
本実施形態では、データは、スイッチS1が開放及び閉鎖される周波数を変更するようにスイッチング信号の周波数を変更することによって、ストリング54によって発生される光内に変調される。
【0063】
コントローラは、ハードウェア回路機構、ソフトウェア(即ち、好適なプロセッサ上で実行されるコードによって)、又は両者の組み合わせの形態で実装可能である。調光レベルdlは、例えば、デジタル信号として入力されるか、又はアナログ的な態様で、例えば、ポテンショメータを同調させることによって入力されてもよい。
【0064】
後述する理由のために、コントローラはまた、調光レベルdlに依存してスイッチング信号のデューティサイクルを制御する。即ち、光は、スイッチS1を用いて所望の変調周波数でLED回路を開放及び閉鎖することによって変調され、その一方で、同時に、スイッチング信号swは、必要とされる調光レベルdlと直接関係するデューティサイクルで動作する。このように、デューティサイクルは、調光レベルdlへのこの依存性により、調光信号dimの変更に応じて(及びそれゆえ、1次電流i
prの変更に応じて)変更される。
【0065】
LEDはシステムのシステムコストの非常に大きな部分である。固定デューティサイクルを用いる場合には、ピークLED電流は公称電流を超え得るであろう。例えば、デューティサイクル50%及び調光レベル90%を用いると、ピーク電流は公称電流の1.8倍になるであろう。これは、同じ電力(公称の90%)が時間のわずか50%内に送出されることが必要であるためである。示されているように、電流がより高ければ、LED効率の低下を招くことになり、これは最大値を上回る動作温度を生じさせることになり、それにより、LEDの寿命を縮める。固定デューティサイクルを用いる場合には、これは、追加のLEDモジュールを追加することによって補償されることが必要になるであろう(同じ総光束に関して、LEDがより多ければ、LED電流の低下をもたらし、これはより良好な効率をもたらし、これは温度の低下をもたらす)。これは追加のコストを生じさせることになる。
【0066】
本ドライバは、(スイッチを閉鎖した後の)最大LED電流max I
LEDが100%の強度における電流を超えないように、即ち、最大LED電流max I
LEDがストリング54の公称電流i
nomを超えないように、調光レベルが変化するのに従い、スイッチングのデューティサイクルを調光レベルに一致させた状態に維持するスイッチング方式を実施することによって、これを回避する。それゆえ、本スイッチング方式を用いれば、符号化光の特徴の追加がシステムの最大LED電流を増大させることはない。その結果、本照明装置50は熱的に抑制される。LEDモジュール内を流れる電流はストリング54の公称電流を決して超えないため、LEDモジュールはそれらの最大動作温度の直下にとどまる。
【0067】
最も単純な実施形態は、デューティサイクルが調光レベルと等しいことである(例えば、ランプをその公称光出力の80%で動作させる場合には、デューティサイクルは0.8によって動作させるべきである)。したがって、例えば、dl=0.9である場合には、S1は0.9x符号化光周期Tの間、閉鎖し、S1は0.1x符号化光周期Tの間、開放している。キャパシタ上の電圧スイング、及び寄生損を無視すると、直接的な電力解析によって、
【数2】
であることが示され得る。それゆえ、デューティサイクルが、調光レベルと等しいように選定されると、ピーク電流max I
LEDは全ての調光レベルについてストリングの公称電流において一定にとどまることになる。
【0068】
図8にこれが示されている。同図は、調光レベルdlが25%にあり、その後、50%に変更される時の、1次電流、LED電流及びスイッチング信号swのグラフを示す。デューティサイクルを調光レベルに一致させることによって、i
prが、アナログ調光を達成するために0.25*i
nomから0.5*i
nomへ変化するのに従い、ピークLED電流はi
nomに維持される。
【0069】
当然のことであるが、デューティサイクルと調光レベルとの間の他の関係、即ち、いずれの関係についてもdc≧dlであるように満足される、ピークLED電流をストリング54の公称電流以下に維持するデューティサイクルと調光レベルとの間の任意の関係が可能である。
図7は、スイッチングが200Hzから800Hzへの周波数の変更を受ける、10個のLEDのストリングの場合の装置50のシミュレートされた挙動のグラフを示す。グラフは、LED電流I
LED(アンペア単位)、キャパシタ54間の電圧VLED(ボルト単位)、及びスイッチング信号SWが経時的にどのように変化するのかを示す(横軸は任意の単位で測られる)。調光レベルは、
図7のグラフが跨がる継続時間全体を通じて30%において一定に保持される。
図7における上昇/降下は以下のことによるものである:シミュレーションにおいて用いられるLEDモデルはLEDの電流対電圧関係内に(小さな)非線形性も組み込んでいる。そのため、電流は周波数によってわずかに異なることになる。
【0070】
公称電流i
nomは、ストリング54へ送出可能な最大「安全」電流を表現する。公称電流の決定には一般的に、2つの検討事項が関わる。第1の検討事項は、照明要素又はLEDの製造業者によって「安全」として指定された、照明要素又はその構成要素LEDの任意の公称定格である。ここで、公称定格は、設計における制約因子であり、所定のレベルは、公称定格に一致するように設定されてもよい。第2の検討事項は、ピーク電流は、特定の最小限のLED効率を得るように制限される必要があることである。LEDの効率は(ピーク)電流とともに変化する。概して、ピーク電流が増大すると、LEDの効率は減少する。熱設計の観点から、LEDによって発生される熱は特定の設計要件を超えることができない。したがって、効率は制御される必要があり、それが今度は、ピーク電流を制御する必要を生じさせる。換言すれば、効率が設計における制約因子である場合には、LEDの最大許容ピーク電流は、LEDの製造業者によって指定されたとおりの最大電流未満であることになる。
【0071】
電球のような製品の熱平衡はLED効率の変化に非常に敏感であり、LED効率が今度は駆動電流i
pr+i
disに敏感である。実際には、照明要素の温度が増大して所定の限度を上回った時には、LEDの駆動電流を低減させるために1次電流を低減することによって、温度をLED寿命に関する許容限度内に維持するための温度(過)保護回路が用いられてもよい。(LED製造業者によって指定されたとおりの最大駆動電流ではなく)ランプシステムの熱特性によってLEDのピーク電流が制限される場合には(即ち、その熱特性によって公称電流i
nomが設定される場合には)、i
nomを上回るピーク電流でLEDを駆動すると、実際に、公称を上回る温度の増大を生じさせることになる。したがって、回路を、例えば、102%で(即ち、そのため、max I
LED=1.02*i
nom)長期間駆動すると、LED寿命に影響を与えることはないが、その代わりに、温度保護回路にランプの出力光束を低減させることになる。
【0072】
LEDをi
nom超によって駆動することによって生じる、LED寿命の短縮(温度保護が用いられない場合)、又は光束の減少(温度保護が用いられる場合)が許容可能であるか否かは、ランプのLED構成及び熱設計に依存し、上限として、LEDを、ピーク駆動電流がi
nomの110%となるように駆動することは、ほとんどの設計にとって許容可能ではない。
【0073】
実際には、照明装置の設計は、LEDの製造ばらつき、及び異なる環境状況(例えば、ランプが自由大気内にあるのか、それとも照明器具内に密閉されているのか)を考慮に入れる必要がある。
【0074】
最悪の場合の環境における最悪の場合のサンプルについては、LEDを、例えば、i
monの100.5%のピーク駆動電流で駆動することでさえ、LEDの寿命が若干短縮するか(過温度保護回路が用いられない場合)、又は符号化光を単時間用いた時に光束が若干減少することになる(温度保護が用いられる場合)レベルまで温度を増大させることになる。換言すれば、100%の標点(即ち、max I
LED=i
nom)はハード限界ではないが、この点から先で、寿命(過温度保護を用いない場合)又は光束出力(過温度保護を用いる場合)のいずれかにおいて、(必ずしも個々の製品全てではないものの)製品母集団が徐々に劣化していくのを見ることが予想されるであろう。特定のこのような劣化が許容可能であるか否かは、正確な製品設計、及び製品がどれほど限界近くで設計されているのかに依存する。
【0075】
符号化光の実施形態はいずれも、それをランププラットフォーム内における実装のために実施可能にするために、いくつかの要件を遵守しなければならない。
1.符号化光を使用している時に光レベルの視認可能な変化及び/又はちらつきがないこと、
2.コストが非常に低いこと、
3.許容限度内で変調度が良好であること、
4.最大パワー出力における(即ち、公称パワーで動作している時の)ランプ効率(ルーメン毎ワット)の劣化がないこと。
【0076】
出力キャパシタ54と組み合わせられた直列スイッチS1の使用は、(さもなければ、ランプ効率を低減させるであろう)いかなる追加の損失をも生じさせず、許容限度内の良好な変調度を提供するという、他のドライバ回路をしのぐ利点を有する。それより下/上では周波数が検出されることができない、デューティサイクルのための最小値及び最大値が存在する。dc≧dlの関係が厳格に守られる場合には、100%に近い調光レベルに対しては、(その場合には、dcは1に近くなければならないため)符号化光変調は検出されることができない。しかし、最大ピーク電流が熱的要件によって制限される場合には(上記参照)、これが生じる継続時間がランプの熱時定数(通例、分オーダー)よりもはるかに小さい限り、最大値を一時的に超えることが許容可能である。これは、光が100%の光出力(dl=1)において変調されることを可能にする。その場合には、ピーク電流は公称電流を超えることになる。これは、(変調信号が検出されるまでの)短い時間量(例えば、1分未満)の間のみであるという前提で許容可能である。符号化光信号の典型的な利用時間は通例、いかなる場合でも1分未満であるため、これは一般的に符号化光の性能に影響を与えることにならない。
【0077】
以上において示されたように、ほとんどのランプ/環境の組み合わせについては、LEDの寿命を短縮するか、又は(用いられる場合には)過温度保護回路をトリガすることなく、i
nomの限界の100%を(例えば、100.5%まで)わずかな時間量(例えば、1分未満)の間だけ超えることが可能である。最悪の場合のランプ/環境の組み合わせでは、LED寿命の若干の短縮(温度保護を用いない場合)、又はdl=1における符号化の間の光束の若干の減少(温度保護を用いる場合)が生じ得るが、上述したように、これは、正確な製品設計、及び製品がどれほど限界近くで設計されているのかに基づいて、許容可能であり得る。
【0078】
本主題はまた、実装が安価である。例えば、いくつかの既存のアナログ調光器ドライバは、LEDストリングと並列の出力キャパシタをもとから有し、更に、RFチャネルを用いて制御可能な既存のランプは、(本開示のコントローラを実装するための)存在するマイクロプロセッサをもとから有する。それゆえ、本教示を実施するために必要なことは、スイッチを実装するための単一のトランジスタの追加のみである。加えて、デューティサイクルが調光レベルに一致する諸実施形態の場合、いくつかの既存のアナログ調光器ドライバにおいては、調光レベル信号がもとから提供されており、この調光レベル信号を、別個のスイッチ及びアナログ調光を制御するように目的を変えて使用することができる(即ち、新たな信号を発生させる必要がない)。
【0079】
更に、本スイッチング方式は、符号化光機能の導入の結果、ランプ効率が最大パワー出力において低下しないことを確実にする。
【0080】
それゆえ、本開示は、上述の実施可能性要件の全てを満たす単段型ドライバとの組み合わせによる符号化光動作を提供する。
【0081】
本教示は、LEDストリングと並列の出力キャパシタを有し、(符号化光のために必要とされる変調周波数よりも低い)低速制御帯域幅を有する全てのドライバ形式に適用可能である。
【0082】
以上において、スイッチングの周波数を変更することによって、データが、LEDストリング54によって発生される光内に埋め込まれる周波数変調方式を提示した。
【0083】
代替実施形態では、データは、スイッチングのデューティサイクルを変調することによって、発生される光内に埋め込まれる。周波数は、この場合には、所望の記号周波数と等しいように選定され、固定されてもよい。
【0084】
デューティサイクルは、国際特許出願公開第2012/052935号に記載されている、3値マンチェスター符号化を用いて変調されてもよい。3値マンチェスター符号化はDCがなく、3値マンチェスター符号化は、データビットが値を変化させる時に従来のマンチェスター符号よりも滑らかな移行を提供し、ハム音などの干渉が生じ得る低周波数の周りでより大きく抑圧された周波数領域のスペクトルを生じさせるため、有利になり得る。
【0085】
当技術分野において知られているように、3値マンチェスター符号化では、信号特性(この場合には、スイッチングのデューティサイクル)が、通例、−1、0及び+1と標識される、3つの値の間で変調され、本例では、−1、0及び+1の各々は異なるデューティサイクルによって表現される。
【0086】
信号は以下のようにして変調可能である。即ち、dc
dが、調光レベルに関して、ピーク電流を公称電流未満に維持するために所望されるデューティサイクルである場合には、−1、0及び1はそれぞれ、dc
d、dc−及びdc+によって表現可能である。ここで、dc−及びdc+はそれぞれ、例えば、dc
d−dc
0及びdc
d+dc
0であり、dc
0は、例えば、0.1である。単一の周期内において、スイッチングの実際のデューティサイクルは、dc
d、dc−、又はdc+であることになる。しかし、実際のピーク電流max I
LEDは、符号化のDCのない特性のゆえにdc
dと等しい、平均デューティサイクルに関連することになる(実際には、キャパシタが小さすぎる場合には、これは必ずしも成り立たないことがあり、ピーク電流は若干高くなりすぎることがある。しかし、この場合には、ピーク電流を公称電流のレベル以下に再び下げるために、dc
dに対する多少の調整を行うことができるであろう)。それゆえ、関係dc
d≧dlが維持される場合には、これは、ピーク電流が公称電流を超えることを防止することになる(例えば、関係dc
d=dlを維持することによって、ピーク電流を実質的に一定のレベルに維持することができる)。
【0087】
特許請求されている発明の実施においては、図面、開示、及び添付の請求項の検討から、本開示の諸実施形態に対する他の変更が当業者によって理解され、実施されることが可能である。請求項において、単語「〜を備える(comprising)」は他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。単一のプロセッサ又はその他のユニットが、請求項に記載されているいくつかの項目の機能を果たし得る。特定の方策は、相互に異なる従属請求項に記載されているという事実のみをもって、これらの方策の組み合わせを有利に用いることができないことが指示されるわけではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアとともに、又はその一部として提供される、光学記憶媒体又は固体媒体などの、好適な媒体上に記憶され/配付されてもよいが、また、インターネット又はその他の有線若しくは無線電気通信システムを介するなど、他の形態で配付されてもよい。請求項内の参照符号はいずれも、範囲を限定するものと解釈されるべきではない。