特許第6339448号(P6339448)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6339448
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0362 20130101AFI20180528BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20180528BHJP
   H01H 19/00 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   G06F3/0362 461
   G06F3/044 Z
   H01H19/00 Y
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-166967(P2014-166967)
(22)【出願日】2014年8月19日
(65)【公開番号】特開2016-45525(P2016-45525A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年3月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】追久保 亘
【審査官】 ▲高▼橋 徳浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−302019(JP,A)
【文献】 特開2012−035782(JP,A)
【文献】 特開2012−103834(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0007179(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0256090(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R16/00−B60R17/02
G06F3/01−G06F3/0489
H01H3/00−H01H7/16
H01H19/00−H01H21/88
H03M11/00−H03M11/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの指先等の身体特定部が近接した時にその座標位置を検出可能なタッチパネルと、このタッチパネルの前面に配設されたロータリ部材とを備え、前記ロータリ部材が、ユーザによって回転操作される導電性の把持部と、この把持部に導通されて前記タッチパネルの面上を移動可能な端子部とを有する入力装置において、
前記ロータリ部材が前記タッチパネルの外縁部から部分的にはみ出した状態で配設されていると共に、前記端子部が前記把持部の回転方向に沿ってずれた位置に複数設けられており、前記把持部の回転角度に関わらず少なくとも1つの前記端子部が前記タッチパネルの表面と摺接するように設定されていることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記把持部の回転中心が前記タッチパネルを包囲する外枠上に設定されていると共に、前記端子部が3つ以上設けられていることを特徴とする入力装置。
【請求項3】
請求項2の記載において、前記タッチパネルの検出方式が静電容量方式であると共に、3つ以上の前記端子部が前記把持部の回転方向に沿って等間隔に配列されていることを特徴とする入力装置。
【請求項4】
請求項2の記載において、前記タッチパネルの検出方式が静電容量方式であると共に、3つ以上の前記端子部が異なる回転軌跡上を移動するように設定されていることを特徴とする入力装置。
【請求項5】
請求項2の記載において、前記タッチパネルの検出方式が静電容量方式であると共に、3つ以上の前記端子部が同じ回転軌跡上を移動するように設定されていることを特徴とする入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示と入力の2つの機能を備えたタッチパネルの前面にロータリ部材を配設し、ユーザの指先等による直接入力でメニュー選択等を行うだけでなく、ユーザがロータリ部材を回転操作してオーディオの音量調整やエアコンの風量調整等を行うようにした入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーオーディオ装置やカーナビゲーション装置等の車載機器においては、液晶パネルのような表示装置とタッチパッドのような座標入力装置を組み合わせたタッチパネルを使用し、このタッチパネルに表示される複数のタッチボタンにユーザの指先等を接触させることにより、所望のメニュー画面等を選択するようにしたタッチパネル型の入力装置が広く採用されている。
【0003】
この種の車載機器において、音量調整等の特定の調整操作については瞬時に手探りで実行できることが望ましく、そのような要望を実現するために、タッチパネルの前方にロータリ部材を配設し、このロータリ部材にタッチパネルの表示面上を移動可能な端子部を設けることにより、ユーザがロータリ部材を手探りでも容易に回転操作できるようにした入力装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に開示された従来例では、ロータリ部材の回転に伴って端子部がタッチパネルの表面を円弧状に移動し、タッチパネル側には端子部の移動エリアに音量調整等の操作が割り当てられているため、ユーザがロータリ部材を回転操作すると、その回転操作量に応じた音量調整処理が実行されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−35782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前述した従来の入力装置においては、端子部を含むロータリ部材の全体をタッチパネルの前方に重ね合わせて配置する必要があるため、タッチパネルの有効表示領域がロータリ部材の存在によって大きく減じられてしまうという難点がある。そこで、ロータリ部材の一部をタッチパネルの外側にはみ出して配置することが考えられるが、その場合、ロータリ部材の回転角度によっては端子部がタッチパネルの外側を移動してしまうため、ロータリ部材の操作量を検出できない非検出領域ができてしまい、ロータリ部材による調整可能範囲が限定されてしまうという新たな問題が発生する。
【0007】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、操作性に優れたタッチパネル型の入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、ユーザの指先等の身体特定部が近接した時にその座標位置を検出可能なタッチパネルと、このタッチパネルの前面に配設されたロータリ部材とを備え、前記ロータリ部材が、ユーザによって回転操作される導電性の把持部と、この把持部に導通されて前記タッチパネルの面上を移動可能な端子部とを有する入力装置において、前記ロータリ部材が前記タッチパネルの外縁部から部分的にはみ出した状態で配設されていると共に、前記端子部が前記把持部の回転方向に沿ってずれた位置に複数設けられており、前記把持部の回転角度に関わらず少なくとも1つの前記端子部が前記タッチパネルの表面と摺接するように設定されているという構成にした。
【0009】
このように構成された入力装置では、ロータリ部材をタッチパネルの前面に部分的にオーバーラップさせた配置となっているため、ロータリ部材がタッチパネルの外縁部からはみ出した分だけタッチパネルの有効表示領域を広げることができる。そして、このロータリ部材が、ユーザによって回転操作される導電性の把持部と、この把持部に導通されてタッチパネルの面上を移動可能な複数の端子部とを有しており、これら端子部の少なくとも1つが把持部の回転角度に関わらずタッチパネルの表面と摺接するように設定されているため、ロータリ部材の操作量を検出できない非検出領域がなくなり、操作性に優れた入力装置を実現することができる。
【0010】
上記の構成において、ロータリ部材のタッチパネルに対するはみ出し比率は特に限定されないが、把持部の回転中心がタッチパネルを包囲する外枠上に設定されている場合、すなわち、ロータリ部材の平面形状の50パーセント以上がタッチパネルからはみ出している場合は、端子部を3つ以上設けることによって非検出領域をなくすことができる。
【0011】
この場合において、タッチパネルの検出方式が静電容量方式であると共に、3つ以上の端子部が把持部の回転方向に沿って等間隔に配列されていると、タッチパネルからのはみ出し量が増えた場合でも、少ない数の端子部によってロータリ部材の操作量を確実に検出することができる。
【0012】
この場合において、3つ以上の端子部が異なる回転軌跡上を移動するように設定されていると、2つ以上の端子部がタッチパネルの表面上を同時に移動する場合でも、タッチパネル上における各端子部の座標を回転半径の違いによって容易に認識することができる。ただし、3つ以上の端子部が同じ回転軌跡上を移動するように設定されていても良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ロータリ部材がタッチパネルの外縁部からはみ出した分だけタッチパネルの有効表示領域を広げることができるだけでなく、ロータリ部材に設けられた複数の端子部の少なくとも1つが把持部の回転角度に関わらずタッチパネルの表面と摺接するように設定されているため、ロータリ部材の操作量を検出できない非検出領域がなくなり、操作性に優れた入力装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態例に係る入力装置の正面図である。
図2図1のII−II線に沿う断面図である。
図3図1の入力装置に備えられるロータリ部材の動作説明図である。
図4】本発明の第2実施形態例に係る入力装置の要部断面図である。
図5図4の入力装置に備えられるロータリ部材の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1に示すように、本発明の第1実施形態例に係る入力装置は、矩形状の開口1aを有する外枠1と、この開口1a内に嵌め込まれたタッチパネル2と、このタッチパネル2の前面に配設されたロータリ部材3等を備えている。この入力装置は、カーオーディオ装置やカーナビゲーション装置等の車載機器として構成されており、車室内のインストルメントパネル等に設置されて使用されるようになっている。
【0016】
タッチパネル2はユーザの指先等の身体特定部が近接した時にその座標位置を検出可能なデバイスであり、本実施形態例の場合、ユーザの指で触れたときに発生する微弱な静電容量の変化からタッチ位置を検出する静電容量方式と呼ばれるタッチパネル2が用いられている。図2に示すように、このタッチパネル2は、液晶パネル等からなる表示装置4と、表示装置4の前方に積層配置されたタッチパッド(座標入力装置)5とからなり、開口1a内に露出するタッチパッド5の表面と外枠1の表面は略同一平面上に位置するようになっている。
【0017】
ロータリ部材3は、ユーザによって回転操作される導電性の把持部6と、この把持部6を回転可能に支持する軸部7と、把持部6に導通されて一体的に回転する一対の端子部8a,8bとを備えており、軸部7の底面はタッチパネル2と外枠1の面上に跨って接着固定されている。このロータリ部材3はタッチパネル2の前面に配設されているが、その全体がタッチパネル2とオーバーラップするという配置になっておらず、ロータリ部材3の一部がタッチパネル2の外縁部(図1の下辺)から外枠1側へはみ出している。具体的には、ロータリ部材3の平面形状を100%としたとき、そのうちの約半分(50%程度)がタッチパネル2とオーバーラップし、残りの約半分がタッチパネル2の外側にはみ出して外枠1とオーバーラップしている。
【0018】
一対の端子部8a,8bは軸部7を挟んだ180度対向する位置に配置されており、これら端子部8a,8bの下端はタッチパネル2および外枠1の表面と同一面上を移動するようになっている。端子部8a,8bは把持部6に対して固定的に取り付けられていても良いが、タッチパネル2の表面と外枠1の表面との間に微小な段差があってもスムーズに移動できるようにするために、端子部8a,8bを把持部6に上下動可能に支持して図示せぬスプリング等の弾性部材によって下方へ付勢するようにしている。ここで、タッチパネル2におけるロータリ部材3とのオーバーラップ領域には特定の調整操作、例えばオーディオの音量調整やエアコンの風量調整等の操作が割り当てられており、端子部8aまたは端子部8bがタッチパネル2の表面上を移動すると、その移動量がロータリ部材3の操作量としてタッチパネル2で検出され、操作量に応じた音量調整や風量調整等の処理が実行されるようになっている。
【0019】
図3はユーザがロータリ部材3を回転操作したときの両端子部8a,8bの位置関係を示す説明図であり、以下の説明では便宜上、一方の端子部8aを第1端子部、他方の端子部8bを第2端子部と称し、第1端子部8aの位置を黒塗りの丸印で示し、第2端子部8bを白抜きの丸印で示している。
【0020】
図3(a)に示すように、第1端子部8aがタッチパネル2上にあって第2端子部8bが外枠1上にあるとき、ユーザが把持部6を掴んでこれを時計または反時計回りに回転操作すると、第1および第2端子部8a,8bは把持部6の回転に伴って軸部7を中心とする同一円P(2点鎖線)上を移動する。その際、ユーザの指が把持部6に触れたときに発生する微弱な静電容量の変化が把持部6を介して第1および第2端子部8a,8bに伝わるため、タッチパネル2はその表面に接触する第1端子部8aの座標位置を検出することができる。
【0021】
図3(a)の状態から把持部6を時計回り方向へ約90度回転すると、図3(b)に示すように、第1端子部8aがタッチパネル2の表面を摺動して外枠1に近付き、それまで外枠1の表面に接触していた第2端子部8bがタッチパネル2に近付く。これとは逆に、図3(a)の状態から把持部6を反時計回り方向へ約90度回転すると、図3(d)に示すように、第1端子部8aがタッチパネル2の表面を摺動して外枠1に近付き、それに代わって第2端子部8bが外枠1の表面を摺動してタッチパネル2に近付く。この間、タッチパネル2の表面を移動するのは第1端子部8aだけであるため、第1端子部8aの移動量がロータリ部材3の操作量としてタッチパネル2で検出され、操作量に応じた音量調整や風量調整等の処理が実行される。
【0022】
また、図3(b)の状態から把持部6を時計回り方向へ約180度回転すると、図3(c)〜(d)に示すように、第2端子部8bがタッチパネル2の表面を摺動して外枠1に近付き、それに代わって第1端子部8aが外枠1の表面を摺動してタッチパネル2に近付く。この間、タッチパネル2の表面を移動するのは第2端子部8bだけであるため、第2端子部8bの移動量がロータリ部材3の操作量としてタッチパネル2で検出され、操作量に応じた音量調整や風量調整等の処理が実行される。
【0023】
さらに、図3(d)の状態から把持部6を時計回り方向へ約180度回転すると、図3(a)〜(b)に示すように、第1端子部8aがタッチパネル2の表面を摺動して外枠1に近付き、第2端子部8bが外枠1の表面を摺動してタッチパネル2に近付く。この間、タッチパネル2の表面を移動するのは第1端子部8aだけであるため、再び第1端子部8aの移動量がロータリ部材3の操作量としてタッチパネル2で検出され、操作量に応じた音量調整や風量調整等の処理が実行される。
【0024】
以上説明したように、第1実施形態例に係る入力装置では、タッチパネル2の前面に第1および第2端子部8a,8bを有するロータリ部材2が配設されており、タッチパネル2には各端子部8a,8bの移動エリアに音量調整等の特定の調整操作が割り当てられているため、ユーザはタッチパネル2の表示面を目視しなくても手探りで調整操作を実行することができる。しかも、このロータリ部材3をタッチパネル2の前面に部分的にオーバーラップさせて配置してあるため、ロータリ部材3がタッチパネル2の外縁部からはみ出した分だけタッチパネル2の有効表示領域を広げることができる。また、このロータリ部材3は、ユーザによって回転操作される導電性の把持部6と、把持部6に導通されてタッチパネル2の表面を移動可能な2つの端子部8a,8bを有しており、これら端子部8a,8bのいずれか一方が把持部6の回転角度に関わらずタッチパネル2の表面と摺接するように設定されているため、ロータリ部材2の操作量を検出できない非検出領域がなくなり、操作性に優れた入力装置を実現することができる。
【0025】
次に、図4を参照して第2実施形態例に係る入力装置について説明すると、この入力装置は、ロータリ部材3の平面形状の半分以上がタッチパネル2の外縁部から外枠1側へはみ出していると共に、ロータリ部材3が3つの端子部8a,8b,8cを有しており、それ以外の構成は第1実施形態例と基本的に同じである。
【0026】
すなわち、ロータリ部材3の軸部7はタッチパネル2を包囲する外枠1に固定されており、ロータリ部材3の平面形状を100%としたとき、そのうちの約35%程度がタッチパネル2とオーバーラップし、残りの約65%程度がタッチパネル2の外側へはみ出して外枠1とオーバーラップしている。また、ロータリ部材3の把持部6にタッチパネル2と外枠1の表面を摺動可能な3つの端子部8a,8b,8cが保持されており、これら端子部8a,8b,8cは軸部7を中心とする円周方向に沿って互いに120度の等間隔を保って配列されている。
【0027】
図5はユーザがロータリ部材3を回転操作したときの各端子部8a,8b,8cの位置関係を示す説明図であり、各端子部8a,8b,8cは軸部7からの距離を異ならせた位置に配列されている。以下の説明では便宜上、軸部7から最も離れた外側の端子部8aを第1端子部、中央の端子部8bを第2端子部、最も内側の端子部8cを第3端子部と称し、第1端子部8aの位置を黒塗りの丸印、第2端子部8bを白抜きの丸印、第3端子部8cを黒塗りの三角印で示している。
【0028】
ユーザがロータリ部材3の把持部6を掴んでこれを回転操作すると、第1ないし第3端子部8a,8b,8cはそれぞれ軸部7を中心とする3つの同心円P1,P2,P3上を移動する。ここで、図5(a)に示すように、第1端子部8aだけがタッチパネル2上にあり、第2端子部8bと第3端子部8cが外枠1上にあるとき、ユーザが把持部6を時計回り方向へ約60度回転すると、図5(b)に示すように、第1端子部8aがタッチパネル2の表面を摺動して外枠1に近付き、それに代わって第3端子部8cが外枠1の表面を摺動してタッチパネル2に近付く。これとは逆に、図5(a)の状態から把持部6を反時計回り方向へ約60度回転すると、図5(e)に示すように、第1端子部8aがタッチパネル2の表面を摺動して外枠1に近付き、それに代わって第2端子部8bが外枠1の表面を摺動してタッチパネル2に近付く。この間、第2端子部8bと第3端子部8cは外枠1の表面を摺動し、タッチパネル2の表面を移動するのは第1端子部8aだけであるため、第1端子部8aの移動量がロータリ部材3の操作量としてタッチパネル2で検出され、その操作量に応じた音量調整や風量調整等の処理が実行される。
【0029】
また、図5(b)の状態から把持部6を時計回り方向へ回転すると、図5(c)に示すように、それまでタッチパネル2の表面を摺動していた第1端子部8aが外枠1側へ移動し、それに代わって第3端子部8cがタッチパネル2の表面を摺動する。この間、第1端子部8aと第2端子部8bは外枠1の表面を摺動し、タッチパネル2の表面を移動するのは第3端子部8cだけであるため、第3端子部8cの移動量がロータリ部材3の操作量としてタッチパネル2で検出され、その操作量に応じた音量調整や風量調整等の処理が実行される。
【0030】
また、図5(c)の状態から把持部6を時計回り方向へ回転すると、図5(d)に示すように、それまでタッチパネル2の表面を摺動していた第3端子部8cが外枠1側へ移動し、それに代わって第2端子部8bがタッチパネル2の表面を摺動する。この間、第1端子部8aと第3端子部8cは外枠1の表面を摺動し、タッチパネル2の表面を移動するのは第2端子部8bだけであるため、第2端子部8bの移動量がロータリ部材3の操作量としてタッチパネル2で検出され、その操作量に応じた音量調整や風量調整等の処理が実行される。
【0031】
さらに、図5(d)の状態から把持部6を時計回り方向へ回転すると、図5(e)を経て図5(a)〜(b)に示すように、それまでタッチパネル2の表面を摺動していた第2端子部8bが外枠1側へ移動し、それに代わって第1端子部8aがタッチパネル2の表面を摺動する。この間、第2端子部8bと第3端子部8cは外枠1の表面を摺動し、タッチパネル2の表面を移動するのは第1端子部8aだけであるため、再び第1端子部8aの移動量がロータリ部材3の操作量としてタッチパネル2で検出され、その操作量に応じた音量調整や風量調整等の処理が実行される。
【0032】
なお、把持部6の回転角度によっては第1ないし第3端子部8a,8b,8cのうち2つが同時にタッチパネル2の表面を摺動する場合、例えば、図5(b)の状態から把持部6を時計回り方向へ回転して第1端子部8aがタッチパネル2の外縁部まで移動する間、それまで外枠1上にあった第3端子部8cもタッチパネル2の表面を同時に摺動することになる。この場合、第1端子部8aがタッチパネル2の表面から外れない限り、第3端子部8cが後からタッチパネル2の表面に接触したとしても、第3端子部8cの座標検出を無効とする処理を行えば、第1端子部8aの移動量をロータリ部材3の操作量としてタッチパネル2で検出することができる。そして、第1端子部8aがタッチパネル2の表面から外れた時点で第3端子部8cの座標検出を有効とする処理を行えば、この第3端子部8cがタッチパネル2の表面から外れない限り、第1端子部8aや第2端子部8bが後からタッチパネル2の表面に同時に接触したとしても、第3端子部8cの移動量をロータリ部材3の操作量としてタッチパネル2で検出することができる。
【0033】
以上説明したように、第2実施形態例に係る入力装置では、ロータリ部材3の平面形状の50パーセント以上(例えば約65%)をタッチパネル2から外枠1側へはみ出した配置となっているが、把持部6に3つの端子部8a,8b,8cが等間隔で配列されているため、これら端子部8a,8b,8cの少なくとも1つを把持部6の回転角度に関わらずタッチパネル2の表面に接触させることにより、ロータリ部材3の操作量を検出できない非検出領域をなくすことができる。
【0034】
また、第2実施形態例に係る入力装置では、第1ないし第3端子部8a,8b,8cが互いに異なる回転軌跡(同心円P1,P2,P3)上を移動するように設定されているため、タッチパネル2上における各端子部8a,8b,8cの有無を回転軌跡の違いによって判定することができる。したがって、第1ないし第3端子部8a,8b,8cのうち2つが同時にタッチパネル2の表面を摺動する場合でも、いずれの端子部8a,8b,8cの座標検出を有効にするかという処理を簡単に行うことができる。ただし、第1ないし第3端子部8a,8b,8cが同じ回転軌跡上を移動するようになっていても良く、また、端子部の数は3つに限定されるものではなく、4つ以上の端子部を把持部6に等間隔で配列するようにしても良い。
【0035】
なお、第1実施形態例に係る入力装置では、2つの端子部がタッチパネルの表面を同時に摺動することがないため、静電容量方式に代えて抵抗膜方式のタッチパネルを用いることも可能である。ただし、第2実施形態例に係る入力装置のように、2つ以上の端子部が同時にタッチパネルの表面を摺動することがある場合、抵抗膜方式のタッチパネルでは2つの端子部の中点を座標位置と誤検出してしまうため、この場合は静電容量方式のタッチパネルを用いることが好ましい。
【符号の説明】
【0036】
1 外枠
1a 開口
2 タッチパネル
3 ロータリ部材
4 表示装置
5 タッチパッド
6 把持部
7 軸部
8a 第1端子部
8b 第2端子部
8c 第3端子部
図1
図2
図3
図4
図5