特許第6339580号(P6339580)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6339580
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】針磁化装置(arrangement)
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20180528BHJP
   A61M 5/50 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   A61M5/32 510Z
   A61M5/50
【請求項の数】13
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-540144(P2015-540144)
(86)(22)【出願日】2013年11月4日
(65)【公表番号】特表2015-533319(P2015-533319A)
(43)【公表日】2015年11月24日
(86)【国際出願番号】EP2013072898
(87)【国際公開番号】WO2014072238
(87)【国際公開日】20140515
【審査請求日】2016年10月24日
(31)【優先権主張番号】12191829.6
(32)【優先日】2012年11月8日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・ネッセル
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・アウエルンハンマー
【審査官】 和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−025658(JP,A)
【文献】 国際公開第02/040087(WO,A1)
【文献】 特開平11−072479(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0073196(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/32
A61M 5/50
A61M 5/158
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
針磁化装置(1)であって:
針(2)を磁化するために第1の磁界(F)を生成するように適用されたコントローラ(4)と;
針(2)の第2の磁界(FR)に基づいて信号を生成するように適用された磁界センサ(5)と
を含み、
注射デバイスと一体形成される、または着脱可能に連結される、前記針磁化装置(1)。
【請求項2】
コイル(3)に電流(I)を通すコントローラ(4)に結合された、該コイル(3)
をさらに含む、請求項1に記載の針磁化装置(1)。
【請求項3】
第2の磁界(FR)の束を磁界センサ(5)に向かって案内するように適用された磁気ガイド(6)
をさらに含む、請求項1または2に記載の針磁化装置(1)。
【請求項4】
磁気ガイド(6)は、磁界センサ(5)に結合される、請求項3に記載の針磁化装置(1)。
【請求項5】
針(2)は、着脱可能なニードルアセンブリ(8)またはシリンジに連結される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の針磁化装置(1)。
【請求項6】
針(2)の周りの領域を少なくとも部分的に取り囲む磁気シールド(7)
をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の針磁化装置(1)。
【請求項7】
磁気シールド(7)は、針(2)の周りの領域を円周方向に取り囲む、請求項6に記載の針磁化装置(1)。
【請求項8】
磁気ガイド(6)は、磁気シールド(7)によって取り囲まれる、請求項3または6に記載の針磁化装置(1)。
【請求項9】
磁気シールド(7)は、ミューメタル、パーマロイまたは電気鋼から構成される、請求項6に記載の針磁化装置(1)。
【請求項10】
磁界センサ(5)に電気的に結合され信号を受けるように適用されたプロセッサ(10)
をさらに含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の針磁化装置(1)。
【請求項11】
プロセッサ(10)は、信号が第2の磁界(FR)の存在を示しているとき、所定の動作を実行する、請求項10に記載の針磁化装置(1)。
【請求項12】
所定の動作は、可聴フィードバックまたは視覚的フィードバックを提供する、請求項11に記載の針磁化装置(1)。
【請求項13】
所定の動作は、注射デバイスの使用を防止する、請求項11に記載の針磁化装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、針磁化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の注射処置では、一般的に、使用者は、(例えば、尖っていない針を再利用した場合の)相互汚染、感染および/または痛みの危険を低減するために、注射の度に新しい注射針またはシリンジを使用するように忠告される。しかし、使用者は、注射前に針またはシリンジを交換するのを忘れることがあり、それによって自分自身を危険にさらしてしまうことがある。
【0003】
従来の注射デバイスの中には、使用済みの注射針および/またはシリンジと未使用の注射針および/またはシリンジとを区別をするのに色コーディングを使用するものがある。しかし、一般的に、そのような色コーディングは、注射デバイス上の小さな場所にあり、特に視力に障害のある使用者には見え難いことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの危険を回避し従来の注射デバイスに関連した問題を克服するために、針磁化装置のような針安全デバイスが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、針磁化装置を提供することである。
【0006】
例示的な一実施形態では、本発明による針磁化装置は、針を磁化するために第1の磁界を生成するように適用されたコントローラと、針の第2の磁界に基づいて信号を生成するように適用された磁界センサとを含む。
【0007】
例示的な一実施形態では、針磁化装置は、コントローラに結合(couple)されたコイルをさらに含む。コントローラは、コイルに電流を通す。
【0008】
例示的な一実施形態では、針磁化装置は、第2の磁界の束を磁界センサに向かって案内するように適用された磁気ガイドをさらに含む。磁気ガイドは、磁界センサに結合される。
【0009】
例示的な一実施形態では、針は、着脱可能なニードルアセンブリまたはシリンジに連結される。
【0010】
例示的な一実施形態では、針磁化装置は、針の周りの領域を少なくとも部分的に取り囲む磁気シールドをさらに含む。磁気シールドは、針の周りの領域を円周方向に取り囲む。磁気ガイドは、磁気シールドによって取り囲まれる。磁気シールドは、ミューメタル、パーマロイまたは電気鋼から構成される。
【0011】
例示的な一実施形態では、針磁化装置は、磁界センサに電気的に結合され信号を受けるように適用されたプロセッサをさらに含む。プロセッサは、信号が第2の磁界の存在を示しているとき、所定の動作を実行する。所定の動作は、可聴フィードバックまたは視覚的フィードバックを提供する。
【0012】
例示的な一実施形態では、装置は、注射デバイスと一体形成される、または着脱可能に連結される。所定の動作は、注射デバイスの使用を防止する。
【0013】
本発明の適用可能性のさらなる範囲は、本明細書の以下で与えられる詳細な説明から明らかになろう。しかし、本発明の趣旨および範囲に含まれる様々な変更および修正についてはこの詳細な説明から当業者には明らかとなるので、この詳細な説明および特定の例は、本発明の好ましい実施形態を示すものであるが、単なる例示として与えられているに過ぎないことを理解されたい。
【0014】
本発明は、単なる例示として与えられ本発明を限定するものではない、本明細書の以下に与えられる詳細な説明および添付の図面からより十分に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明による針磁化装置の例示的な一実施形態の概略図である。
図2】本発明による針磁化装置の例示的な一実施形態の概略上面断面図である。
図3】使用前の、本発明による針磁化装置の例示的な一実施形態の概略図である。
図4】使用中の、本発明による針磁化装置の例示的な一実施形態の概略図である。
図5】使用後の、本発明による針磁化装置の例示的な一実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
すべての図面において、対応する部材には同じ参照記号が付けられている。
【0017】
図1は、本発明による針磁化装置の例示的な一実施形態の概略図である。例示的な一実施形態では、装置1は、着脱可能なニードルアセンブリ8に取り付けられた針2を磁化するのに使用される。例えば、針2は、薬剤送達デバイスおよび/または薬剤カートリッジに着脱可能に係合され得る(例えば、ねじ込まれる(threaded))ニードルアセンブリ8内の両頭針(double−tipped needle)であってよい。他の例示的な一実施形態では、針2は、シリンジに連結され得る。当業者には、針2があらゆる経皮的デバイスに連結され得ることが理解されよう。
【0018】
例示的な一実施形態では、針磁化装置1は、コイル3を有するコントローラ4を含む。コントローラ4は、起動されると、コイル3に電流を通し、それによって磁界が生成されて針2が磁化される。針2を磁化すると、磁界Fを示す、針2上に磁極2.1、2.2が作成され得る。
【0019】
例示的な一実施形態では、針磁化装置1は、磁化の前後の針2の磁界強度を決定する磁界センサ5を含む。磁気ガイド6は、センサ5に近接して配置され、軟磁性材料を含み、針2の磁束を磁界センサ5へと案内することができる。ガイド6は、このように、磁界センサ5によって検出可能な磁界強度を集中させるおよび/または増強することができる。磁気シールド7は、磁界センサ5および針2の周りに配置されてよく、磁界センサ5における周囲磁界の影響を制限することができる。例えば、磁気シールド7は、針2の周りの領域を取り囲み、低い磁界強度を測定しやすくすることもできる。
【0020】
例示的な一実施形態では、センサ5は、所定の動作を実行するプロセッサ10によって使用される電気信号を生成することができる。例えば、信号が、針2が予め磁化されていることを示している場合、プロセッサ10は、使用者にフィードバックを提供するなどして、注射処置がなされないようにすることができる。新しい磁気的に中性の針が検出されると、プロセッサは、使用者にフィードバックを提供するなどして、注射処置を許可することができる。
【0021】
例示的な一実施形態では、装置1は、医療デバイスと一体形成され得る、または着脱可能に連結され得る。例えば、装置1は、針を使用する複数の異なる医療デバイスまたは針を有する構成要素とともに使用することができる。
【0022】
図2は、針2、磁気シールド7および磁気ガイド6の例示的な一実施形態の概略上面断面図である。例示的な実施形態では、シールド7は、針2およびガイド6を円周方向に取り囲む。この構造は、センサ5によって生成される信号における(例えば、周囲磁界による)ノイズを制限することができる。他の例示的な実施形態では、シールド7は、針2を部分的に取り囲むことができる。他の例示的な実施形態では、ガイド6は、シールド7に完全にまたは部分的に埋め込まれ得る。
【0023】
図3は、使用前の、針磁化装置1の例示的な一実施形態の概略図である。使用前は、針2は磁気的に中性である。
【0024】
図4は、使用中の、針磁化装置1の例示的な一実施形態の概略図である。磁化コントローラ4は、コイル3に電流Iを通し、それによって磁界Fが生成される。例示的な一実施形態では、磁化コントローラ4は、キャパシタ9を放電することによって電流Iを生成することができる。針2が磁界Fにさらされると、針2は磁化され、それによって、N極2.1およびS極2.2の磁気配向がもたらされる。この磁気配向は、コイル3を通る電流Iのスイッチを切ることによって磁界Fを除去した後でも残っている。したがって、針2は、図5に示されるように、永久(または半永久)磁界Fを有する。
【0025】
当業者には、電流Iは、コイル3に反対方向に通されてもよく、それによって磁界Fの方向が切り換えられて針2の磁気配向が逆にされ得ることが理解されよう。
【0026】
針の再利用を防止することによって、尖っていない針を挿入するときに使用者に痛みをもたらす危険を減少させ、使用済みの滅菌されていない針による相互汚染の危険を軽減することができる。
【0027】
例示的な一実施形態では、使用前の正味の磁化がゼロの針2を使用する場合、針磁化装置1は、正味の磁化がゼロと異なるかどうか、およびN極2.1が遠位方向Dを指しているのか近位方向Pを指しているのかを検出することによって針2の3つの異なる状態を区別するのに使用され得る。磁化コントローラ4は、それに応じて、針2を磁化するように配置され得る。磁界Fの方向を検出するために、磁界センサ5は、例えば、磁気抵抗量子効果である、GMR(巨大磁気抵抗)、AMR(異方性磁気抵抗)、CMR(コロッサル(colossal)磁気抵抗)、またはTMR(トンネル磁気抵抗)のうちの1つを使用する、XMRセンサとして配置され得る。磁界Fの方向が関係ない場合、磁界センサ5は、ホールセンサであってもよい。
【0028】
他の例示的な実施形態では、磁化コントローラ4は、交流電流をコイル3に通すことによって磁化済み針2を消磁するように配置され得る。この場合、未使用の針2は、ゼロではない最初の正味の磁化を有することができ、その一方で、使用済みの針にはそれを消磁することによってマークが付けられる。
【0029】
当業者には、本明細書に記載の装置の様々な構成要素、方法および/またはシステム、ならびに実施形態の修正(追加および/または除去)は、このような修正およびそのあらゆる均等物を包含する、本発明の全範囲および趣旨から逸脱することなく行うことができることが理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5