特許第6339664号(P6339664)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6339664
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】センサデバイスおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/00 20060101AFI20180528BHJP
   G01N 27/22 20060101ALI20180528BHJP
   G01N 27/04 20060101ALI20180528BHJP
   G01L 19/14 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   G01N27/00 B
   G01N27/22 A
   G01N27/04 E
   G01L19/14
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-509366(P2016-509366)
(86)(22)【出願日】2014年4月9日
(65)【公表番号】特表2016-518602(P2016-518602A)
(43)【公表日】2016年6月23日
(86)【国際出願番号】EP2014057171
(87)【国際公開番号】WO2014173686
(87)【国際公開日】20141030
【審査請求日】2015年11月16日
(31)【優先権主張番号】102013104043.8
(32)【優先日】2013年4月22日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】エプコス アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】EPCOS AG
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】オストリック, ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】バルツァー, ペーター
【審査官】 吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】 実開平03−125219(JP,U)
【文献】 特開2008−159751(JP,A)
【文献】 特開平05−203523(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/031273(WO,A1)
【文献】 特開2006−242776(JP,A)
【文献】 特開2006−058137(JP,A)
【文献】 特開2012−251933(JP,A)
【文献】 特開平05−052795(JP,A)
【文献】 特表2007−502342(JP,A)
【文献】 特開平10−009979(JP,A)
【文献】 特開2011−176049(JP,A)
【文献】 特開昭62−148258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00−27/24
G01L 7/00−23/32
19/00−19/16
27/00−27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの第1のセンサ素子(5)、1つの第2のセンサ素子(14)、1つの信号処理ユニット(8)を有するセンサデバイスであって、
前記第1のセンサ素子(5)、前記第2のセンサ素子(14)、および前記信号処理ユニット(8)は、前記センサデバイスの1つの共通なハウジング内に収容されており、
前記センサデバイスは、1つの電極パターン(7)と、当該電極パターン(7)から分離された1つの接続パターン(6)とを備え、
前記接続パターン(6)は、前記第1のセンサ素子(5)と電気的に導通して接続されており、前記電極パターン(7)は、前記第2のセンサ素子(14)に属しており、
前記ハウジングは、1つの内側の面(3)を有する1つの内側の空間を画定し、
前記接続パターン(6)および前記電極パターン(7)は、異なる内側の面(3)上に配設されており、
前記センサデバイスは、1つの第1のハウジング部分(1)と1つの第2のハウジング部分(2)とを備え、当該第1のハウジング部分と当該第2のハウジング部分は、前記ハウジングを形成するために結合されており、
前記接続パターン(6)および前記電極パターン(7)は、前記第1のハウジング部分(1)に前記電極パターン(7)が設けられ、前記第2のハウジング部分(2)に前記接続パターン(6)および前記信号処理ユニット(8)が設けられるように形成されている、
ことを特徴とするセンサデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサデバイスにおいて、
前記第1のセンサ素子(5)は、第1の測定値、すなわち環境圧または大気圧を取得するために形成されており、
前記第2のセンサ素子(14)は、第2の測定値、すなわち大気湿度を検出するために形成されている、
ことを特徴とするセンサデバイス。
【請求項3】
請求項2に記載のセンサデバイスにおいて、
前記信号処理ユニット(8)は、前記第1の測定値および/または前記第2の測定値から導出された1つの値を取得するように構成されている、
ことを特徴とするセンサデバイス。
【請求項4】
前記電極パターン(7)は、前記第2のセンサ素子(14)の一部であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のセンサデバイス。
【請求項5】
請求項4に記載のセンサデバイスにおいて、
前記電極パターン(7)にはコーティング部(10)が設けられており、
前記第2のセンサ素子(14)の測定原理は、前記電極パターン(7)の電気コーティング部(10)との相互作用に基づいている、
ことを特徴とするセンサデバイス。
【請求項6】
請求項5に記載のセンサデバイスにおいて、
前記電極パターン(7)は、交互に噛み合った、電気的に互いに分離された電極(7a,7b)を備え、
前記第2のセンサ素子(14)の測定原理は、静電容量の測定原理に基づいている、
ことを特徴とするセンサデバイス。
【請求項7】
前記第2のセンサ素子(14)の測定原理は、抵抗測定の原理であることを特徴とする、請求項5に記載のセンサデバイス。
【請求項8】
前記第1のハウジング部分(1)および前記第2のハウジング部分(2)は、それぞれ1つの多層セラミックを備えていることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のセンサデバイス。
【請求項9】
前記第1のハウジング部分(1)および前記第2のハウジング部分(2)の組み立ての後、前記電極パターン(7)は、前記第1のハウジング部分(1)および前記第2のハウジング部分(2)のそれぞれの2つの接続点(15)を介して、前記信号処理ユニット(8)に接続されることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のセンサデバイス。
【請求項10】
センサデバイスの製造方法であって、
1つの第1のハウジング部分(1)および1つの第2のハウジング部分(2)を準備するステップであって、当該第1のハウジング部分(1)および当該第2のハウジング部分(2)が形成されて、前記センサデバイスの1つのハウジングが形成されるステップと、 前記センサデバイスの前記ハウジングに、1つの電極パターン(7)および当該電極パターン(7)から電気的に分離された1つの接続パターン(6)を設けるステップであって、1つの第1のセンサ素子(5)と1つの第2のセンサ素子(14)とを当該接続パターン(6)および当該電極パターン(7)に電気的に導通して接続するために、1つの方法ステップにおいて、前記第1のハウジング部分(1)に当該電極パターン(7)が前記第1のハウジング部分(1)の内側の面(3)上に設けられ、そしてもう1つの方法ステップにおいて、前記第2のハウジング部分(2)の内側の面(3)上に当該接続パターン(6)が設けられるステップと、
前記ハウジングに前記第1のセンサ素子(5)を取り付けるステップと、
前記センサデバイスを完成するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項11】
前記接続パターン(6)が設けられている前記ハウジング部分(1,2)には、前記第1のセンサ素子(5)が取り付けられることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2のセンサ素子(14)を形成するために、前記電極パターン(7)に1つのコーティング部(10)が設けられることを特徴とする、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記センサデバイスは、1つの信号処理ユニット(8)を前記第2のハウジング部分に備え、
前記第1のハウジング部分(1)および前記第2のハウジング部分(2)の組み立ての後、前記電極パターン(7)は、前記第1のハウジング部分(1)および前記第2のハウジング部分(2)のそれぞれの2つの接続点(15)を介して、前記信号処理ユニット(8)に接続されることを特徴とする、請求項10乃至12のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセンサデバイスおよびセンサデバイスの製造方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明が解決すべき課題は、改善されたセンサデバイス、特にコンパクトなセンサデバイス、およびその製造方法を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0003】
この課題は、請求項1に記載の特徴を有するデバイスおよび請求項13に記載の特徴を有する方法によって解決される。有利な構成および派生例は従属請求項に示されている。
【0004】
本発明が提示するセンサデバイスは、1つの第1のセンサ素子および1つの第2のセンサ素子を備える。この第1のセンサ素子およびこの第2のセンサ素子は、このセンサデバイスの1つの共通なハウジング内に収容されている。このセンサデバイスは、さらに、1つの電極パターンおよびこの電極パターンから分離された1つの接続パターンを備えた、1つの導体パターンを備える。この接続パターンは、上記の第1のセンサ素子と電気的に導通して接続されている。この電極パターンは、上記の第2のセンサ素子に属するものである。有利には、本発明が提示するセンサデバイスによって、1つの複合センサデバイスが提示され、これはたとえばただ1つのセンサ素子またはただ1つのセンサを有するセンサデバイスに対して、種々の測定値を検出することを可能とし、また複数の個々のセンサデバイスのものに対して小さな設置スペースを有する1つのコンパクトな形状を可能とする。さらに本発明が提示するデバイスは、上記の第1のセンサ素子および/または上記の第2のセンサ素子を上記のハウジング内に取り付けるためのプロセス技術的な手間を有利に小さくすることを可能とする。
【0005】
1つの好ましい構成においては、本発明によるセンサデバイスは気象センサデバイスである。この構成は、上記の第1のセンサ素子および上記の第2のセンサ素子を共通のハウジング内に組み込むことを有利なものとするが、これはこれら2つのセンサ素子が環境またはこのセンサデバイスを包囲する媒体、たとえば空気との同等なコンタクト部、あるいは同等な接点を必要とし得るからである。たとえば上記の第1のセンサ素子および上記の第2のセンサ素子は、大気圧を測定するための1つの圧力センサであってよく、そしてもう1つのセンサ素子は大気湿度の測定用の1つの湿度センサであってよい。この気象センサデバイスとしての構成は、さらにこのセンサデバイスを有利にコンパクトな形状とする。
【0006】
1つの構成においては、上記の接続パターンは、上記の電極パターンから離間している。この構成によって、上記の接続パターンおよび上記の電極パターンを、このセンサデバイスの動作において異なる目的に用いることを可能とする。
【0007】
1つの構成においては、上記の接続パターンは、1つの外部接続部を備える。この外部接続部は、上記の接続パターンと電気的に導通して接続されている。この外部接続部は、好ましくはこのセンサデバイスの接続パターンへの1つの電気的な外部接続部となっている。この外部接続部は、このセンサデバイスの外部からアクセス可能とするために、このセンサデバイスのハウジングを貫通してよい。この外部接続部を介して、上記の第1のセンサ素子の測定値をこのセンサデバイスから出力することができる。
【0008】
1つの構成においては、上記の電極パターンは、上記の電極パターンと電気的に導通して接続されている1つの外部接続部を備える。この電極パターンの外部接続部は、たとえば上記の第2のセンサ素子の測定値を出力するために、上記の接続パターンの外部接続部と同様に形成されていてよい。
【0009】
1つの好ましい構成においては、上記の第1のセンサ素子は、第1の測定値たとえば環境圧または大気圧、あるいはこの環境圧または大気圧を取得することができる1つの値を検出するように形成されている。
【0010】
1つの好ましい構成においては、上記の第2のセンサ素子は、第2の測定値たとえば相対湿度または大気湿度、あるいはこの相対湿度または大気湿度を取得することができる1つの値を検出するように形成されている。
【0011】
代替として、上記の第2のセンサ素子は、上記の第2の測定値が、たとえばこのセンサデバイスの環境またはガス雰囲気におけるガス濃度またはガスのパーセント量となるように形成されていてよい。
【0012】
1つの好ましい構成においては、上記の電極パターンは、上記のセンサ素子の一部である。この構成によれば、この第2の測定値は、有利に上記の電極パターンの電気的特性によって取得することができる。
【0013】
1つの好ましい構成においては、上記の電極パターンには1つのコーティング部が設けられている。さらに上記の第2のセンサ素子の測定原理は、上記の電極パターンの、このコーティング部との相互作用に基づいている。有利にこのコーティング部によって、上記の電極パターンの電気的特性が、好ましくは大気湿度によって変化され得る。
【0014】
1つの構成においては、上記の電極パターンは、交互にみ合った、電気的に互いに分離された電極を備える。さらに上記の第2のセンサ素子の測定原理は、静電容量の測定原理である。好ましくはこのセンサデバイスの動作においては、上記の交互にみ合った異なる電極は、異なる極性に属している。この際上記の第2の測定値は、好ましくは、たとえばこの交互にみ合った電極間に測定用電圧を印加された後に生成される、上記の静電容量の変化によって検出される。上述の測定用電圧は、たとえばこの電極パターンの外部接続部を介してこの電極パターンに印加することができる。
【0015】
好ましくは、上記のコーティング部は、上記の交互にみ合った電極によって形成されたコンデンサの誘電体を形成するために、ポリマーたとえばポリイミドを含む。このコーティング部を取り付けた後には、これらの電極の間およびこれら電極の上に誘電体を形成するための目的に適ったコーティング部が存在している。
【0016】
このコーティング部は、好ましくは相対湿度,周辺湿度,または大気湿度すなわち大気または環境からの湿気を吸収あるいは放出し、こしてこのコンデンサの静電容量が変化する。この際このコーティング部は、大気または環境の湿度のべき乗に従って湿気を吸収または放出することができる。静電容量の変化によって、さらにたとえば環境湿度または大気湿度の変化を1つの電子ユニットによって取得することができる。
【0017】
1つの構成においては、さらに上記の第2のセンサ素子の測定原理は、抵抗の測定原理である。この構成によれば、上記の電極パターンは、目的に合わせて連続した、あるいはただ1つの電極によって形成されている。ここで上記の第2の測定値は、好ましくは上記の電極パターンの電気抵抗の変化によって検出される。この電気抵抗および/または導電率の変化は、さらにたとえば環境湿度または大気湿度の変化に関して上記の電子ユニットによって取得することができる。
【0018】
上述の電子ユニットは、センサデバイスの信号処理ユニットまたは外部のユニットであってよく、この外部ユニットには、たとえば上記の電極パターンの外部接続部および/または上記の接続構造の外部接続部を介して上記の第1の測定値および/または第2の測定値が供給される。
【0019】
1つの好ましい構成においては、上記のハウジングは、内側の平面(複数)を有する内側の空間を画定し、ここで上記の接続パターンおよび上記の電極パターンは、同一の内側の平面上または異なる内側の平面上に配設されている。この構成によれば、上記の接続パターンおよび上記の電極パターンは、このセンサデバイスの動作中において外部の影響に対し有利に保護することができる。内側の平面とは、好ましくはこのハウジングの内側にある面を意味する。
【0020】
1つの好ましい構成においては、上記のセンサデバイスは、1つの第1のハウジング部分と1つの第2のハウジング部分とを備え、これらは上記のセンサデバイスのハウジングを形成するために結合されている。この構成によって、たとえば上記の第1のセンサ素子をこのハウジングに取り付けることを、有利に容易とすることができる。このようにして、さらにこのセンサデバイスの製造全体が簡単となる。
【0021】
上記の第1のハウジング部分は、1つのハウジング本体であってよく、上記の第2のハウジング部分は、1つのハウジング蓋であってよく、あるいはこの逆であってよい。
【0022】
1つの好ましい構成においては、上記の第1のハウジング部分および/または上記の第2のハウジング部分は、1つの通気開口部を備える。この通気開口部を介して、この第1のハウジング部分および/または第2のハウジング部分の環境、特にこのセンサデバイスを取り巻く空気またはガス雰囲気へのコンタクト部を有利に形成することができる。これは、本発明によるセンサデバイスの1つの構成では特に気象センサデバイスとして目的に適うものである。
【0023】
1つの好ましい構成においては、上記の第1のハウジング部分および上記の第2のハウジング部分は、それぞれ1つの多層セラミックを備える。この構成によれば、本発明によるセンサデバイスは、このセンサデバイスの動作において上記の接続パターンによっておよび/または上記の電極パターンによって生成された熱、たとえばジュール熱を有利に放散できるように、有利にこの接続パターンおよび電極パターンが設けられている。この多層セラミック(複数)を有する構成によるセンサデバイスは、さらに、とりわけコンパクトに製造することができ、またたとえば外部の電場に対してシールドすることができる。
【0024】
1つの好ましい構成によれば、上記の第1のハウジング部分は、ハイブリッドセラミックまたは回路基板を備え、上記の第2のハウジング部分は、金属特性を備え、あるいはこれらの逆となっている。好ましくはこの構成による第1のハウジング部分または第2のハウジング部分は、金属から成っており、または金属を含んでいる。さらにこの第1のハウジング部分および第2のハウジング部分は、金属特性を有する1つの材料で製造されていてよい。この際このハウジング部品は、そのセンサデバイスの1つのキャップまたは1つの蓋を形成してよく、これに対し上記のハイブリッドセラミックまたは回路基板を備えるハウジング部分は、好ましくは1つのハウジング本体となっていてよい。
【0025】
1つの好ましい構成においては、上記の第1のハウジング部分および上記の第2のハウジング部分は、それぞれ1つの射出成型材料を含んでよい。
【0026】
この第1のハウジング部分および第2のハウジング部分の射出成型された構成に対して、上記の多層セラミックの第1のハウジング部材および第2のハウジング部材は、そのセンサデバイスがコンパクトな形状であるという利点を有する。
【0027】
1つの構成においては、上記の接続パターンおよび/または上記の電極パターンは平坦に形成されている。1つの構成においては、上記の導体パターンは、平坦に形成されている。
【0028】
1つの構成においては、上記の接続パターンおよび/または上記の電極パターンは、3次元的に形成されている。
【0029】
上記の多層セラミックあるいは上記の射出成型材料を含む第1のハウジング部分および第2のハウジング部分の実施形態は、この第1のハウジング部分および/または第2のハウジング部分の3次元的な回路基板または3次元的な回路の実装を有利に可能とする。
【0030】
1つの好ましい構成においては、本発明によるセンサデバイスは、1つの信号処理ユニットを備え、この信号処理ユニットは、上記の第1の測定値および/または第2の測定値から導出された1つの値、たとえば水蒸気分圧または湿度分圧を取得するように構成されている。もう1つの導出される値は、空気密度であってよい。この信号処理ユニットは、既に上記の第1の測定値および/または上記の第2の測定値を取得するように、またはこの取得に寄与するように、代替としてまたは追加的に形成されていてよい。
【0031】
この信号処理ユニットをセンサデバイスに組み込むことによって、上記の導出された値は有利に直接このセンサデバイスが出力することができ、こうして外部の電子ユニットまたはこのセンサデバイスから分離されたさらなる信号処理システムを不要とすることができる。この信号処理ユニットは、上記の電極パターンおよび上記の接続パターンと同様に、1つの外部接続部を備え、こうして、導出された値をこのセンサデバイスからこれらの外部接続部を介して出力することができる。この信号処理ユニットは、この信号処理ユニットを設ける際に、上記の電極パターンおよび上記の接続パターンを不要とすることができるように、有利に上記の接続パターンおよび上記の電極パターンと電気的に導通して接続されている。
【0032】
1つの好ましい構成においては、本発明によるセンサデバイスは、たとえば環境温度の測定用の1つの温度センサを備える。この温度センサは、上記の信号処理ユニットと電気的に導通して接続されていてよい。さらに、こうしてこの温度センサによって測定された温度、たとえば環境温度は、この信号処理ユニットに供給されてよい。好ましくはこの信号処理ユニットは、上記の第1の測定値および/または上記の第2の測定値から導出される値の取得に用いるように適合されている。
【0033】
上記の温度センサは、上記の信号処理ユニットの一部として実装されていてもよい。さらにこの温度センサは、1つのダイオードであってよい。
【0034】
1つの好ましい構成においては、上記の導体パターンは、上記の第1のハウジング部分または上記の第2のハウジング部分に、上記の電極パターンおよび上記の接続パターンが設けられるように形成されている。この構成によれば、たとえば上記の電極パターンおよび上記の接続パターンが設けられていないいずれのハウジング部分も、上記の信号処理ユニット用の十分なスペースを備えており、これよりセンサデバイスのコンパクトな形状を達成することができる。
【0035】
1つの構成においては、上記の導体パターンは、上記の第1のハウジング部分に上記の電極パターンが設けられ、上記の第2のハウジング部分に上記の接続パターンが設けられるように、あるいはこの逆となるように、形成されている。この構成によって、同様にセンサデバイスのコンパクトな形状を可能とすることができるが、これはこの構成によれば上記の接続パターンおよび上記の電極パターンが1つの同一のハウジング部分に設けられているからである。
【0036】
この構成によれば、本発明によるセンサデバイスは、好ましくは、上記の接続パターンが設けられているハウジング部分上に配設されている。
【0037】
さらに本発明はセンサデバイスの製造方法を提示する。本方法は上記の第1のハウジング部分および上記の第2のハウジング部分を準備するステップを備え、ここでこの第1のハウジング部分および第2のハウジング部分が形成され、このセンサデバイスのハウジングが形成される。さらに本方法は、この第1のハウジング部分または両方のハウジング部分に上記の導体パターンを設けるステップを備える。この際この第1のハウジング部分または両方のハウジング部分には、たとえば同じリソグラフィーステップによって、または1つの共通な蒸着処理によって上記の導体パターンが設けられる。この導体パターンは、上記の電極パターンおよびこの電極パターンから電気的に分離された接続パターンを備える。この際上記の第1のセンサ素子および上記の第2のセンサ素子を上記の導体パターンと電気的に導通して接続するために、1つの方法ステップにおいて、第1のハウジング部分には上記の電極パターンおよび接続パターンが設けられるか、あるいは1つの方法ステップにおいて、上記のハウジング部分には上記の接続パターンが設けられ、上記の第2のハウジング部分には上記の電極パターンが設けられる。さらに本方法は、このハウジングに第1のセンサ素子を取り付けるステップを備える。さらに本方法はこのセンサデバイスを完成するステップを備える。このセンサデバイスを完成するステップは、上記の第1のハウジング部分および上記の第2のハウジング部分の取り付けおよび/または組み立てのステップを備える。
【0038】
本方法の1つの構成においては、上記の第1のセンサ素子および上記の第2のセンサ素子を上記の導体パターンと電気的に導通して接続するために、上記の第1のハウジング部分および上記の第2のハウジング部分には、上記の電極パターンおよび上記の接続パターンが設けられる。
【0039】
1つの構成においては、上記の第1のセンサ素子および上記の第2のセンサ素子を上記の導体パターンと電気的に導通して接続するために、上記の第1のハウジング部分には上記の接続パターンが設けられ、上記の第2のハウジング部分には上記の電極パターンが設けられ、あるいはこの逆となっている。
【0040】
本発明が提示する方法の利点は、上記のハウジングを1つの同一の方法ステップにおいて、上記の電極パターンおよび上記の接続パターンを含む導体パターンを設けることができることである。
【0041】
本発明によるセンサデバイスは、好ましくはここに記載する方法を用いて製造することが可能であり、あるいは製造される。特に、本方法について開示されているすべての特徴は、本発明によるセンサデバイスについても開示されるものであり、逆もまた同様である。
【0042】
本方法の1つの好ましい構成においては、上記の接続パターンが設けられているいずれのハウジング部分にも上記の第1のセンサ素子が取り付けられている。この構成により、上記の第1のセンサ素子と上記の接続パターンとの間の電気的に導通した接続を極めて容易に生成することができる。
【0043】
本方法の1つの好ましい構成においては、上記の電極パターンには、上記の第2のセンサ素子を形成するためのコーティング部が設けられている。
【0044】
1つの好ましい構成においては、本発明によるセンサデバイスあるいはハウジングは、2.5mm〜5mmの長さを有する。
【0045】
1つの好ましい構成においては、本発明によるセンサデバイスあるいはハウジングは、2.5mm〜5mmの幅を有する。
【0046】
1つの好ましい構成においては、本発明によるセンサデバイスあるいはハウジングは、0.2mm〜2mmの高さを有する。
【0047】
本発明のさらなる利点,有利な構成,および有用性が、以下に説明する、図に関連した実施形態例で示される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1A】1つの第1のハウジング部分の内側の面の概略上面図を示す。
図1B】1つの第2のハウジング部分の概略上面図を示す。
図2A】本発明によるセンサデバイスの1つの代替の構成に対応する第1のハウジング部分の内側の面の概略上面図を示す。
図2B図2Aに示す構成による、本発明によるセンサデバイスの第2のハウジング部分の内側の面の概略上面図を示す。
【0049】
これらの図中で同じ要素、同様な要素、および同等に機能する要素には、同じ参照符号が付されている。これらの図、およびこれらの図に示された要素相互の大きさの関係は、縮尺通りとはなっていない。むしろ個々の要素は、より見易いように、および/またはより理解しやすいように、誇張して大きく図示されている場合がある。
【0050】
図1Aは、1つの第1のハウジング部分1を示す。この第1のハウジング部分1は、1つのセンサデバイスの1つのハウジングの一部である。この第1のハウジング部分は、1つの縁部4を備える。さらにこの第1のハウジング部分1は、1つの内側の平面すなわち内側の面3を備える。この第1のハウジング部分1には1つの接続パターン6が設けられている。さらにこの第1のハウジング部分1の内側の面3上には、1つの第1のセンサ素子5が配設されている。この第1のセンサ素子5は、上記の接続パターン6と電気的に導通して接続されている。この第1のセンサ素子5は、好ましくは1つの第1の測定値を検出するように形成されている。この第1の測定値は、好ましくは上記のセンサデバイスの環境の大気圧である。好ましくは上記の第1のセンサデバイス5は、大気圧センサである。上記の接続パターン6は、たとえば上記のセンサデバイスからの第1の測定値を出力するための、1つ以上の外部接続部(不図示)を備える。
【0051】
さらに第1のハウジング部分1には、1つの電極パターン7が設けられている。この電極パターン7および上記の接続パターン6は、上記のセンサデバイスの1つの導体パターン(不図示)、具体的には1つの導電体パターンを形成する。図1Aに示す電極パターン7は、交互にみ合った、電気的に互いに分離された電極7aおよび7bを備える。これらの2つの交互にみ合った電極は、上記のセンサデバイスの動作においては、異なる電気的極性となるようにすることができ、かつ1つのコンデンサを形成することができる。たとえばこれらの電極の1つの以上の外部接続部(不図示)を介して、上記の電極パターン7aおよび7bに電場を印加することができる。
【0052】
さらに電極パターン7には、少なくとも部分的に1つのコーティング部10が設けられており、すなわちコーティングされている。好ましくは電極パターン7およびコーティング部10は、第2のセンサ素子14を形成する。この第2のセンサ素子は、好ましくは1つの第2の測定値を検出するように形成されている。この第2の測定値は、この第2の測定値は、好ましくは相対湿度、すなわち大気の大気湿度あるいはこのセンサデバイスを包囲するガス雰囲気の湿度である。好ましくは上記の第2のセンサデバイス14は、湿度センサである。代替として、この第2のセンサデバイス14は、ガスセンサであってよく、また上記の第2の測定値は、たとえばガス濃度、すなわち大気中あるいはこのセンサデバイスを包囲するガス雰囲気のガスのパーセント量であってよい。
【0053】
コーティング部10は、上記の交互にみ合った電極によって形成されたコンデンサの誘電体を形成するために、電極7aおよび7bの上側に存在し、かつ好ましくはこれらの間にも存在する。このコーティング部10は、たとえばポリイミドを含むかあるいはこれから成っているポリマーであってよい。このコーティング部10は、好ましくは上記のセンサデバイスの相対的な環境湿度または大気湿度に依存して、湿度を検出しまたはこれを出力する。このコーティング部10は、大気または環境の湿度の数学的なべき乗に従って湿気を吸収または放出することができる。この際上記の第2の測定値は、上記の交互にみ合った電極の静電容量の変化によって検出され、ここで上記の電極7aおよび7bによって形成されたコンデンサの静電容量が、たとえば大気湿度に依存して変化する。この静電容量の変化は、さらに上記のセンサデバイスの信号処理ユニット(下記参照)によって検出される。
【0054】
さらにこの第1のハウジング部分1の内側の面3上には、1つの信号処理ユニット8が配設されている。この信号処理ユニット8は、1つの電気的接続部12を介して第1のセンサ素子5と接続されている。この電気的接続部12は、たとえばこの第1のセンサ素子5の第1の測定値を信号処理ユニット8に電気的に引き渡すことができる。第1のセンサ素子5ならびに電極7aおよび7bはたとえば上記の第2の測定値を信号処理ユニットに供給するために、代替としてまたは追加的にボンディングワイヤ9(図1A参照)を介して信号処理ユニットと電気的に導通して接続されていてよい。この信号処理ユニット8は、好ましくは、上記の第1の測定値および/または第2の測定値から導出された1つの値、たとえば水蒸気分圧または湿度分圧を取得するように構成されている。もう1つの導出される値は、空気密度であってよい。このセンサデバイスによって導出された値の出力のために、この信号処理ユニット8は、1つ以上の外部の電気的接続部(不図示)を備えてよい。
【0055】
好ましくは、信号処理ユニット8は、導出される値を取得するために、このセンサデバイスの温度センサ(不図示)の測定値を用いる。この温度センサは、この信号処理ユニットの一部として実装されていてもよい。この温度センサは、1つの半導体、たとえば1つのダイオードであってよい。この信号処理ユニット8は、既に上記の第1の測定値および/または第2の測定値を取得するように、またはこの取得に寄与するように、代替としてまたは追加的に形成されていてよい。
【0056】
第1のハウジング部分1および第2のハウジング部分2は、それぞれ1つの多層セラミックを備え、またはこれから成っている。さらに、この第1または第2のハウジング部分1,2は、1つのハイブリッドセラミックまたは1つの回路基板を備えてよく、これらのハウジング部分の他方2,1は、金属から成っているかまたは金属特性を備えてよい。さらに第1のハウジング部分および上記の第2のハウジング部分は、それぞれ1つの射出成型材料を含んでよい。
【0057】
図1Bには第2のハウジング部分2が概略的に示されている。好ましくはこの第2のハウジン部部分2および図1Aに示す第1のハウジング部分1は、本発明によるセンサデバイス(不図示)のハウジングを形成する。好ましくは、上記で述べたようなこのハウジング部分1の部品を含む図1Aに示す第1のハウジング部分1に、図1Bに示す第2のハウジング部分2が設けられて、本発明によるセンサデバイスが形成される。好ましくはこのセンサデバイスは、気象センサデバイスである。
【0058】
この第2のハウジング部分は、1つの通気開口部11を備える。この通気開口部11を介して、第1のセンサ素子5および/または第2のセンサ素子14の1つのコンタクト部、および環境、具体的には大気とのコンタクト部を生成することができる。
【0059】
図2Aは、本発明によるセンサデバイスの第1のハウジング部分の1つの代替の構成を示す。第2のハウジング部分2には、電極パターン7が設けられている。図1Aとは対照的に、この第1のハウジング部分1は、電極パターン7およびコーティング部10を有する第2のセンサ素子14のみを備える。この第2のセンサ素子14も同様に、第1のハウジング部分1の内側の面3上に配設されている。
【0060】
図2Bは、第2のハウジング部分2の内側の面3の概略上面図を示す。この第2のハウジング部分2には、電極パターン6が設けられている。接続パターン6、第1のセンサ素子5,および信号処理ユニット8は、図2Bにおいては、第2のハウジング部分2の内側の面3上に配設されている。
【0061】
第1のセンサ素子5および信号処理ユニット8は、さらに電気的接続部12を介して、互いに電気的に導通して接続されている。さらに接続パターン6が、ボンディングワイヤ9を介して、信号処理ユニット8と電気的に導通して接続されている。
【0062】
図2Aおよび図2Bには、例示的にそれぞれ2つの接続点15が示されている。これらの接続点15を介して、第1のハウジング部分1および第2のハウジング部分2の組み立てまたは取り付けの後、好ましくは電極パターン7が、信号処理ユニット8と電気的に導通して接続されてよく、こうしてたとえば第2の測定値をこの信号処理ユニット8に供給することができる。これらの接続点15は、たとえば導電路として部分的に多層セラミックまたは射出成型されたハウジング部分1および2内に一体化されていてよい。これらの接続点15を覆って、第1のハウジング部分1および第2のハウジング部分2がその取り付けのために好ましくは溶接またははんだ付けされる。上記の接続点は、上記の図に示す以外にも、その取り付けを容易とするために、第1のハウジング部分あるいは第2のハウジング部分の縁部4に配設されていてもよい。
【0063】
上記で説明した電極パターン7の代替として、この電極パターンは、またただ1つの電極を備えてよく、この電極は、対応するコーティング部とともに、第2のセンサ素子14を形成している。このコーティング部もまた、ポリマーで形成されていてよく、またはポリマーを含んでよい。この構成によれば、第2のセンサ素子の測定原理は、抵抗測定の原理であってよく、ここで第2の測定値が、たとえば大気湿度に依存して、電気抵抗および/または導電率の変化によって検出される。
【0064】
上述の接続パターンの1つまたは複数の外部接続部,上記の電極パターンおよび/または上記の信号処理ユニットは、それぞれ、上記の第1のハウジング部分または上記の第2のハウジング部分の内側から対応する外面への貫通接続部を備える。
【0065】
本発明によるセンサデバイスの製造のために、まず上記の第1および第2のハウジング部分が準備され、そしてこれらには上述の構成または実施形態により、1つの方法ステップにおいて上記の導体パターンが設けられる。この際この第1のハウジング部分または両方のハウジング部分には、たとえば同じリソグラフィーステップによって、または1つの共通なスパッタ処理または蒸着処理によって上記の導体パターンが設けられる。上記の接続パターンおよび上記の電極パターンが、目的に合わせて同じ材料から適宜生成することができる。さらに、上記のハウジングには上記の第1のセンサ素子が取り付けられてよく、こうして本発明によるセンサデバイスが組み立てられて完成する。
【0066】
本発明は実施例を参照した説明によって限定されない。むしろ本発明は、特に請求項中の特徴の組み合わせそれぞれが含むいかなる新規な特徴、並びにいかなる新規な特徴の組み合わせをも、たとえその特徴またはその組み合わせがそれ自体として請求項または実施例に明示されていなくとも、含むものである。
【符号の説明】
【0067】
1 : 第1のハウジング部分
2 : 第2のハウジング部分
3 : 内側の面
4 : 縁部
5 : 第1のセンサ素子
6 : 接続パターン
7 : 電極パターン
7a,b : 電極
8 : 信号処理ユニット
9 : ボンディングワイヤ
10 : コーティング部
11 : 通気開口部
12 : 電気的接続部
14 : 第2のセンサ素子
15 : 接続点
図1A
図1B
図2A
図2B