特許第6339675号(P6339675)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6339675
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】使用済み核燃料の長期貯蔵方法
(51)【国際特許分類】
   G21C 19/06 20060101AFI20180528BHJP
   G21F 9/36 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   G21C19/06 S
   G21F9/36 541A
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-531582(P2016-531582)
(86)(22)【出願日】2014年3月19日
(65)【公表番号】特表2016-525696(P2016-525696A)
(43)【公表日】2016年8月25日
(86)【国際出願番号】RU2014000169
(87)【国際公開番号】WO2015016741
(87)【国際公開日】20150205
【審査請求日】2016年5月16日
(31)【優先権主張番号】2013135672
(32)【優先日】2013年7月31日
(33)【優先権主張国】RU
(73)【特許権者】
【識別番号】515142237
【氏名又は名称】ジョイント ストック カンパニー“アクメ−エンジニアリング”
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】トシンスキー,ゲオルギー イリッチ
【審査官】 杉田 翠
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−059395(JP,U)
【文献】 特開昭57−031000(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 9/36
G21C 19/06
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(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉の使用済み核燃料の長期貯蔵方法であって、
鋼鉄製ケースにおいて前記原子炉から取り出した使用済み燃料集合体を設置することと、
カバーによって前記ケースを密封することと、を含み
前記使用済み燃料集合体を前記原子炉から取り出す前に、鉛が前記鋼鉄製ケースに配置され、前記鋼鉄製ケースは加熱装置に据えられ、前記鋼鉄製ケースは前記鋼鉄製ケースに配置された前記鉛と共に前記鉛が液体状態になるまで加熱され、その後、前記原子炉から抜き取られた前記使用済み燃料集合体は、前記使用済み燃料集合体の前記燃料要素の燃料部が前記鋼鉄製ケースにおける液体状態の鉛のレベルを下回るように前記鋼鉄製ケースに配置され、前記使用済み燃料集合体はこの位置に固定され、前記ケースは密封されて、前記使用済み燃料集合体が多重バリア保護されて、前記使用済み燃料集合体の各要素は鉛の層によって個々に覆われ、前記使用済み燃料集合体は前記鋼鉄製ケースの筐体と内壁との間に配設された鉛の層によって囲われ、
次いで、密封された鋼鉄製ケースは前記加熱装置から抜き取られ、
前記鋼鉄製ケースのボックス、および、その各ボックスの上の保護装置プラグを備え、大気によって冷却される乾式貯蔵設備に対して、前記鋼鉄製ケースは、前記保護装置プラグを介して前記乾式貯蔵設備のボックスの穴内に据えられ、前記乾式貯蔵設備が閉鎖されて、大気によって冷却される
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核技術の分野に関し、具体的には、原子炉の使用済み核燃料の長期安全貯蔵方法に関する。
【背景技術】
【0002】
使用済み核燃料(WNF)、具体的には、原子炉の使用済み燃料集合体(WFA)の長期(数十年間)安全貯蔵には、複雑な技術的課題がある。このことは、WNFに含まれる燃料物質の核分裂生成物質の放射能、また、二次核燃料(プルトニウム)、および、一次核燃料の中性子に曝される時原子炉(NR)の運転中に形成されるマイナーアクチニド(ネプツニウム、アメリシウム、キュリウム)の放射能と関連している高放射電位があるという事実に起因する。
【0003】
腐食、熱的および機械的衝撃によって生じる主要安全バリアである燃料要素(FE)のケーシングの損傷は、放射能の漏出をもたらすことになり、深刻な放射生態学的結果を引き起こすことになる。
【0004】
その問題は、WNFが除去できない残留出力源であり、その放出は時間と共に徐々に減少するが、長年経った後でも、組織化された熱除去を必要とし、その機能が停止するとWNFの温度の上昇、および、FEのケーシングの密封状態の喪失を引き起こすことになるという事実によって、さらに複雑化されている。
【0005】
現在、WNFの長期貯蔵のための慣習的方法では、WFAの残留出力を除去する水を充填した冷却池(CP)にWFAを配置することがある。CP内の水は放射性である場合があるため、外部の冷却水源に接続される熱交換機を使用して冷却される。
【0006】
先行技術において、冷却池における使用済み核燃料の貯蔵方法が開示されている。
【0007】
例えば、上部に穴を開け、かつ、脱塩水の池の脱塩水を充填したケースを設置することによって使用済み核燃料を貯蔵するための当技術分野で周知の方法がある。ケースおよび池における水位は、独立型貯水槽からケースおよび池へ脱塩水を断続的に供給することによって、穴の縁より下に維持される。さらに、残留出力の最大値によるテストケースで最大許容レベルに達すると、水をケースへ断続的に供給することが提案されている(特許文献1、G21C19/06、G21F9/36、2010)。
【0008】
先行技術において、a)容器の浸水であって、上部、底部、および、水を充填するための容器筐体内に空洞を有する容器の浸水と、b)水充填のために設置された容器の空洞内における放射性物質の据置と、c)浸水させた容器を、その上部が貯水槽水面レベルを上回り、該容器の主要部は貯水槽水面レベルを下回ったままになるまで吊り上げることと、d)容器の上部が貯水槽水面レベルを上回ったままで、かつ、容器の残部を浸水させて、容器の空洞から水を除去することとを含む、放射性物質の貯蔵方法も開示されている(特許文献2、G21F5/005、2009)。
【0009】
NPP、および、使用済み核燃料再処理プラントにおける使用済み核燃料貯蔵設備において使用される方法が周知である。懸架棒を使用して梁床下の貯水池において設置した、水を充填したケースにおける使用済み核燃料の長期貯蔵のために、ケースの支持部は、池の底部上に据え置かれ、ケースの上端は、100×150mmの間隙、および、池底部領域の1平方メートルにつき30×50ケースに基づいたケース密度を有する梁床下に設置される。(特許文献3、G21C19/22、2010)
【0010】
このようなWNF貯蔵方法を使用した慣習では、時間と共に腐食過程の作用下で、冷却池における使用済み核燃料を有する容器またはケースの気密度の喪失ばかりでなく、水の放射能汚染も生じることが示されている。
【0011】
この現象を防止するために、最近、WFAの「乾式」貯蔵が使用されている。この場合、WFAは、しばらくの間(およそ3年)冷却池において貯蔵後、および、残留出力の低減後、冷却池から除去され、空冷「乾式」貯蔵設備に設置される密封ケース内に設置される。
【0012】
水冷システム電力供給の機能停止による福島第1原子力発電所における事故の結果、冷却池における水の蒸発、FEの過熱、ジリコニウム蒸気反応中に形成される多量の酸素の形成に伴うその貯水池自体の破壊、および、環境への放射能の放出が生じていることは周知である。
【0013】
このような状況を考慮して、冷却池内の「湿式」貯蔵の段階を除外する「乾式」WNF貯蔵へ切り替えることは極めて合理的であると思われる。
【0014】
特許文献4〜7に記載される、「乾式」貯蔵技法を利用する貯蔵方法が周知である。
【0015】
先行技術において、核物質の輸送および/または貯蔵方法が記載されている。この場合、核物質は、金属枠組み上に配置される鋳造鉛からできた放射線遮蔽を有する容器内に配置される(特許文献8、G21F5/008、2010)。
【0016】
この発明によって、金属枠組みであって、縦軸に沿って整列し、かつ、金属枠組み上に鋳造される鉛または鉛合金の一種のブロックによって覆われる少なくとも1つの金属枠組みから成る放射線遮蔽の少なくとも1つのレベルが存在する。該金属枠組みは、鋳造鉛(またはその合金の一種)のブロックが縦方向に移動しないようにするための少なくとも1つの要素を備えている。さらに、前記金属枠組みは、縦軸に沿って、好ましい実施形態ではブロックの全長に沿って、少なくともその長さの一部分によって鉛(またはその合金の一種)から鋳造されたブロックに埋め込まれる。よって、金属枠組みおよび鉛(またはその合金の一種)のブロックの堅固な機械的接続がもたらされ、パッケージが自由落下する場合にこれら2つの要素の互いに対する相対的な縦方向の移動が妨げられる。
【0017】
先行技術において、対流冷却される容器における使用済み核燃料の貯蔵方法も記載されている。この場合、使用済み燃料を有する袋が、密封されるカバーを有する金属製タンク内に配置される。熱除去側部および先端リブを有する該タンクは、同時に、離隔要素および減衰要素の機能を果たす。タンクは容器の筐体内に据えられ、空気通路のための間隙をもたらし、タンクのリブは、容器内部の底部および側部表面と接触する。容器の筐体の外部および内部は、金属鋳造物から形成され、それら外部と内部との間の空間には、放射保護材、例えば、断熱性コンクリートおよび/または中性子吸収組成物が充填される。ケーシング間には、内部ケーシング上に溶接され、かつ、内部ケーシングの接線に沿って据えられる外部ケーシングと密接する穴あき金属プレートの形で作られた補強熱除去要素がある。筐体の底部には吸気冷却ダクトが作られ、カバーには排気冷却ダクトが作られる。タンクを減圧する場合、冷却ダクトは目隠しカバーによって閉鎖される(特許文献9、G21F5/008、2004)。
【0018】
この技術的解決策の欠点は、内部に使用済み核燃料を有する袋が設置された金属製タンクを減圧する場合、環境への放射能放出の可能性があることである。
【0019】
特許請求される本発明の最も近い類似形は、原子力潜水艦(NS)の原子炉からのWNFの「乾式」貯蔵方法である。この場合、WNFが部分的にある炉心と共に取り出された廃棄物除去可能部分(WRP)は、取り出し後すぐに、鋼鉄製密封タンクにおける予備冷却貯蔵設備のボックスのうちの1つの中に設置される。該タンクの内部には、該タンクの溶融温度を上回って事前に加熱されたPb−Biの液体溶融物が含まれた。密封キャップはタンクの頂部に据えられる。加熱システムを分離し、余熱が下がり、共晶が凝固した後、WRPを有するタンクを、長期冷却貯蔵設備のボックスに移動し、そのボックスを3〜5年以上の間さらに貯蔵する(非特許文献1)。
【0020】
この最も近い類似形の欠点は、使用分野がかなり限定されていることにあり、取り出し時に非常に低いレベルの残留出力を有するWRPの一部と共に丸ごと取り出される、NSの原子炉の炉心のみに限定されている。このことは2つの要因:1)NSの原子炉は主に低出力レベルで運転されることと、2)燃料補給はNSの構内修理に制限するために時間が決められており、そのため、原子炉の運転停止の際十分長い時間経ってから取り出しが行われることとによって生じる。
【0021】
民生利用の原子力発電所の原子炉に対して、WNFの取り出しおよび貯蔵のこのような方法は、主に、公称出力レベルで、かつ、WNFの取り出し前の短い冷却期間に、原子炉の運転によって生じる高レベルの残留出力によって適用できない。同じ理由で、伝熱媒体として、低溶融温度(123.5℃)を有する共晶Pb−Bi合金の使用は適用できないが、これは、この伝熱媒体が長時間液体状態にあることになり、さらなる安全バリアとして機能しないからである。
【0022】
さらに、このような貯蔵方法では、適用可能な規定文書に従ってWNFを再処理プラントへ輸送することはできない。高い核放射線障害の根源である炉心の解体には労力を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】ロシア特許第2403633号
【特許文献2】米国特許出願公開第2009069621号
【特許文献3】ロシア特許第2407083号
【特許文献4】米国特許第6802671号
【特許文献5】独国特許出願公開第3816195号
【特許文献6】米国特許第5887042号
【特許文献7】米国特許第8098790号
【特許文献8】米国特許出願公開第2010183110号
【特許文献9】ロシア特許第2231837号
【非特許文献】
【0024】
【非特許文献1】Zrondnikov A.Vら、原子力潜水艦の液体金属原子炉の使用済み核燃料の取り扱いに関する問題および取り組み、高等教育機関公報原子力産業−ロシア教育・科学省、オブニンスク:第1号、2007、第16頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明は、大気を使用した冷却、好ましくは大気の自然循環によって、貯蔵設備において原子炉の使用済み燃料集合体を貯蔵する際の使用済み核燃料の長期貯蔵の安全性を高めることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記課題は、環境へ放射能を放出する途中で多重バリア保護を形成することによって実現される。多重バリア保護は、WFAのFEのケーシングの物質、ケース本体の物質、空気、および、水との関連で化学的に不活性である、十分な高溶融温度を有する物質を充填したWFAの鋼鉄製ケースを、その物質が溶融するまで加熱し、密封された加熱済み鋼鉄製ケース内にWFAを設置することによって形成される。該ケースにおいて上記物質は液体状態で含まれる。加熱装置からケースを除去後、該ケースは、大気冷却による「乾式」WNF貯蔵設備内に設置される。WFAのFEのケーシングの物質、ケース本体の物質、空気、および、水との関連で化学的に不活性である鋼鉄製ケース内の物質を凝固後、環境へ放射能を放出する途中での多重バリア保護が形成され、WFAの長期の信頼できる安全な貯蔵を徹底する。該ケースは、自然循環される大気によって冷却される「乾式」貯蔵設備のボックスにおいて、または、例えば、最も近い類似形の特許文献9に従って作られた対流冷却される容器であって、その容器内のWFAは再処理プラントへ輸送されてよい容器において、さらに配置可能である。
【0027】
十分に高い熱伝導率を有する材料を充填するケースを選択することによって、大気を自然循環させる場合でもWFAのELのケーシングの許容温度を超えず、それによって、無期限にわたってパッシブ熱除去が徹底される。
【発明を実施するための形態】
【0028】
WNFの長期安全貯蔵方法は以下から成る。
【0029】
WFAを原子炉から取り出す前に、FEのケーシングの物質、ケース本体の物質、空気、および、水との関連で化学的に不活性であり、許容範囲の溶融温度および熱伝導率を有する物質、例えば、鉛の必要量を事前に充填した鋼鉄製補強リブ付きケースが加熱装置に据えられる。
【0030】
加熱装置によって放出される熱の効果の下、鉛を液体状態に変える(溶融温度327℃)。
【0031】
適正な付属品を使用して、WFAは、原子炉から除去され、かつ、ケース内に設置されるため、FEの燃料部分はケース内の液体鉛のレベルを下回ったままであり、WFAのケースおよび/またはグリルに据置された機械装置によってこの位置に固定される。その後、ケースはカバーによって密封される。
【0032】
密封されたケースは、加熱装置からさらに抜き取られ、自然循環させた大気を使用して冷却される「乾式」貯蔵の適切なボックスに据えられる。WFAが入った物質は凝固し、多重バリア保護をもたらし、WFAの各FEは鉛の層によって個々に覆われ、WFAと鋼鉄製ケース筐体の内壁との間に配設された鉛の層が、WFA全体にも巻き付けられる。
【0033】
その後、保護装置プラグが貯蔵設備のボックスの穴内に据えられ、それに対して、説明したサイクルが繰り返される。