(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6339699
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】走行装置、並びに該走行装置を取り付けた電動車椅子及び玩具
(51)【国際特許分類】
B62D 55/075 20060101AFI20180528BHJP
A63H 17/00 20060101ALI20180528BHJP
A63H 17/26 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
B62D55/075 Z
A63H17/00 E
A63H17/26 B
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-568972(P2016-568972)
(86)(22)【出願日】2016年8月31日
(65)【公表番号】特表2017-538450(P2017-538450A)
(43)【公表日】2017年12月28日
(86)【国際出願番号】IB2016055191
(87)【国際公開番号】WO2017037626
(87)【国際公開日】20170309
【審査請求日】2017年1月6日
(31)【優先権主張番号】201510555652.6
(32)【優先日】2015年9月1日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516346229
【氏名又は名称】陳麗冰
【氏名又は名称原語表記】CHAN, Lai Ping Aubrey
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】陳麗冰
(72)【発明者】
【氏名】李少麟
【審査官】
川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2008/128950(WO,A2)
【文献】
特開2001−334968(JP,A)
【文献】
特開平07−257443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 55/065
B62D 55/075
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持フレームと、
前記支持フレームに設けられる駆動手段と、
前記支持フレームに設けられるコントローラーと、
前記支持フレームの前端と後端にそれぞれ組み立てられる2つの走行手段と、
前アーム駆動軸と、を含み、
各前記走行手段は、履帯と、前記履帯内に設けられる大同期ホイール及び小同期ホイールとを含み、各前記大同期ホイールと同軸にそれぞれ別の小同期ホイールが設けられ、
前記前アーム駆動軸は、前記支持フレームに設置され、前端の前記大同期ホイール及びそれと同軸に設けられた前端の前記別の小同期ホイールを貫通し、
前端の前記大同期ホイールと、それと同軸に設けられた前端の前記別の小同期ホイールとの間に、動力を伝送するための同期ホイールコネクタが設けられ、
前端の前記別の小同期ホイールと後端の前記別の小同期ホイールに、動力を伝送するための伝動同期履帯が懸架される、走行装置。
【請求項2】
各前記大同期ホイール、小同期ホイール、及び別の小同期ホイールにそれぞれ固定板が設けられ、軸受けにより軸を前記固定板に対して回動させることを特徴とする請求項1に記載の走行装置。
【請求項3】
前記前アーム駆動軸の両端が前端の前記大同期ホイールに設けられた前記固定板に接続されることにより、前記前アーム駆動軸が回転する時に、固定板を揺動させることを特徴とする請求項2に記載の走行装置。
【請求項4】
さらに、前アーム作動手段を含み、該前アーム作動手段は、第1の前アーム駆動電気レバー及び第2の前アーム駆動電気レバーを含み、且つ前記前アーム駆動軸を揺動させるように前記前アーム駆動軸に接続することを特徴とする請求項3に記載の走行装置。
【請求項5】
さらに、ユニバーサルホイールを含み、該ユニバーサルホイールがコネクタにより前記前アーム駆動軸に接続することで、前アーム作動手段の駆動により揺動することを特徴とする請求項4に記載の走行装置。
【請求項6】
前記履帯に複数の突歯が設けられることを特徴とする請求項1に記載の走行装置。
【請求項7】
車体部分及び座席を含む電動車椅子において、
請求項1乃至6の何れかに記載の走行装置を含み、該走行装置により階段、凸凹道路、及び全地形地面を自在に走行することを特徴とする電動車椅子。
【請求項8】
さらに、座席調整手段を含み、該座席調整手段が前記座席に接続し、前記車体部分に垂直する方向に上下に、前記車体部分に平行する方向に水平に前記座席を調整するように、又は回転により座席を調整するように配置されることで、前記座席が上下左右に移動し、又は0°乃至360°の方向で回動して調整されることを特徴とする請求項7に記載の電動車椅子。
【請求項9】
前記座席調整手段は、座席平衡手段を含み、該座席平衡手段は、
前記座席を1つの方向又は2つの方向に移動させるように、座席の下に設けられる座席平衡レバーと、
座席が外れたかどうかを検測し、検測した情報を制御部に送信する平衡検測部と、
前記座席平衡レバー及び前記平衡検測部に電気的に接続し、前記平衡検測部からの情報を受信し、該情報に基づいて前記座席平衡レバーを制御することで、前記座席の平衡を保持する制御部と、
を含むことを特徴とする請求項8に記載の電動車椅子。
【請求項10】
前記平衡検測部はジャイロスコープであることを特徴とする請求項9に記載の電動車椅子。
【請求項11】
前記座席調整手段は、座席回転手段を含み、該座席回転手段は、
前記座席平衡レバーの一端に固定して接続される接続支持フレームと、
前記接続支持フレームに固定される駆動手段と、
前記接続支持フレームに接続し、その接続部位に玉軸受けが設けられる回転支持フレームと、
前記駆動手段の一端に設けられ、前記駆動手段の駆動により回転することで、前記回転支持フレームを回転させる螺旋ロッドと、
を含むことを特徴とする請求項9に記載の電動車椅子。
【請求項12】
前記座席調整手段は、さらに、前記回転支持フレームの一端に設けられ、前記回転支持フレームと連動する歯車を含むことを特徴とする請求項11に記載の電動車椅子。
【請求項13】
前記駆動手段はギヤードモータであることを特徴とする請求項12に記載の電動車椅子。
【請求項14】
さらに、前記支持フレームに設けられ、且つ、前記座席の前方に位置して、使用者を支え且つ使用者が前記アームレストに設けられたボタンにより前記電動車椅子を制御するアームレストを含むことを特徴とする請求項7に記載の電動車椅子。
【請求項15】
請求項1乃至6の何れかに記載の走行装置が組み立てられ、前記走行装置により階段、凸凹道路、及び全地形地面を自在に走行することを特徴とする玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は走行装置に関し、具体的には、特に安全に複数段の角度が異なる階段を上り下ったり、坂道を上り下ったり、障害物を乗り越えたり、凸凹道路を走行したりすることができるキャタピラー型の走行装置、並びに該走行装置を取り付けた電動車椅子及び玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
キャタピラー型走行装置は、一般的に、例えば車椅子又は玩具のような設備に適用され、車椅子及び玩具に道路を走行させるものである。従来のこのような走行装置は、その自体の設計上の特徴により、平坦な舗装道路のみを走行できる一方、複雑な非舗装道路での走行は無理である。例えば、平坦でない凸凹道路での走行、障碍物の乗り越え、坂道での上り下り、さらに複数段の角度が異なる階段での上り下りに対して、従来の走行装置は対応できず、さらに危険が発生することがある。
【0003】
図1aに示すように、キャタピラー型走行装置1000はキャタピラー1100及びホイール1200を含み、角度が一定の階段を上る時に、途中で上り続けない又は転落する恐れがある。
【0004】
図1bに示すように、トップに到達する時に、突然落ちる危険がある。
【0005】
図1cに示すように、キャタピラー型走行装置1000はタンクのようなキャタピラーの組合せ1100と1200を有し、凸凹道路での走行及び障害の乗り越えができるが、タンクとしての欠点を持つ。つまり、突出物を超えたところで、突然に落ちる危険がある。キャタピラー型走行装置は平坦な道路を走行する場合に、曲がる度に、両側のキャタピラーが地面に密接するため、走行がスムーズでなく、さらに、キャタピラーは、地面に密接して走行することにより損害される場合がある。
【0006】
上述の問題を解決するために、様々な解決方法が提案されている。例えば、中国公開特許CN103027803Aに、移動式座席と、座席支持フレームとして用いられる車体と、座席の下に設置される座席調整手段と、車底部と、及びキャタピラー走行装置とを含む電動車椅子において、前記キャタピラー走行装置は、それぞれ前記車底部の両側の下に設けられる2つのキャタピラーを含み、前記キャタピラー毎に前キャタピラー及び後キャタピラーを有する電動車椅子が開示される。前記車底部は前後2つの部分からなり、この2つの部分は接続装置により可動に接続され、互いに相対的に偏向することができる。前記キャタピラー走行装置は、さらに、前キャタピラーの外側に設けられる可動延伸キャタピラー及び後キャタピラーの外側に設けられる固定階段上りキャタピラーを含み、固定階段上りキャタピラーの自由端が後キャタピラーに対して一定の角度を成す。それは多キャタピラー型走行装置及び平衡機構により非舗装道路での走行を実現するため、一定の効果を有するが、それ自体がかさばって重く、コストが高い。
【0007】
上述のような設計による車椅子又は玩具は使用が大きく制限されることがある。そのため、従来の走行装置としての機能を有するだけでなく、角度が異なる階段を安全に上ったり、凸凹の道路を容易に走行したり、様々な障碍物を乗り越えたりすることができ、危険が発生することがない新規走行装置を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0008】
本発明の一態様において、本発明は、上記の従来技術に存在する問題を解決するために、従来の走行装置としての機能を有するだけでなく、角度が異なる階段を安全に上ったり、凸凹の道路を容易に走行したり、様々な障碍物を乗り越えたりすることができる新規走行装置を提供することを目的とする。
【0009】
本発明の別の態様において、本発明は上記の従来技術に存在する問題を解決するために、本発明の走行装置を取り付けた電動車椅子であって、従来の走行装置としての機能を有するだけでなく、角度が異なる階段を安全に上ったり、凸凹の道路を容易に走行したり、様々な障碍物を乗り越えたりすることができ、危険が発生することがない新規電動車椅子を提供することを目的とする。
【0010】
本発明の別の態様において、本発明は上記の従来技術に存在する問題を解決するために、本発明の走行装置を取り付けた玩具であって、従来の走行装置としての機能を有するだけでなく、角度が異なる階段を安全に上ったり、凸凹の道路を容易に走行したり、様々な障碍物を乗り越えたりすることができ、危険が発生することがない新規玩具を提供することを目的とする。
【0011】
本発明は、以下の技術手段により前記の目的を実現する。
支持フレームと、
前記支持フレームに設けられる駆動手段と、
前記支持フレームに設けられるコントローラーと、
前記駆動手段及びコントローラーにより、前記走行装置が階段、凸凹の道路、及び全地形の地面を自在に走行するように、キャタピラーと、前記キャタピラー内に設けられる2つの直径が異なる同期ホイールとを含み、前記支持フレームの両端にそれぞれ取付けられる2つの走行手段と、
を含む走行装置。
【0012】
本発明の走行装置において、前記2つの直径が異なる同期ホイールは同一の軸に固定されることで、前記2つの直径が異なる同期ホイールが同時に回動する。
【0013】
本発明の走行装置において、前記2つの直径が異なる同期ホイールにそれぞれ固定板が設けられ、軸受けにより前記軸を前記固定板に対して回動させる。
【0014】
本発明の走行装置において、前記走行手段の間に同期キャタピラーが設けられることで、同期ホイールの間の動力の同期伝送を実現する。
【0015】
本発明の走行装置において、前記2つの直径が異なる同期ホイールの間に同期ホイールコネクタが設けられることで、前記2つの直径が異なる同期ホイールの間の動力を伝送する。
【0016】
本発明の走行装置において、前記走行装置は、さらに、前記支持フレームに設置し且つ前記2つの直径が異なる同期ホイールの間に設けられる前アーム駆動軸を含む。
【0017】
本発明の走行装置において、前記前アーム駆動軸の両端が前記固定板に接続されることにより、前記前アーム駆動軸を回転させる時に、前記固定板が揺動する。
【0018】
本発明の走行装置において、さらに、前アーム作動手段を含み、該前アーム作動手段は、第1の前アーム駆動電気レバー及び第2の前アーム駆動電気レバーを含み、且つ前記前アーム駆動軸を揺動させるように前記前アーム駆動軸に接続する。
【0019】
本発明の走行装置において、さらに、ユニバーサルホイールを含み、該ユニバーサルホイールがコネクタにより前記前アーム駆動軸に接続することで、前アーム作動手段の駆動により揺動する。
【0020】
本発明の走行装置において、前記キャタピラーに複数の突歯が設けられる。
【0021】
車体部分及び座席を含む電動車椅子であって、前記走行装置を含み、該走行装置により階段、凸凹道路、及び全地形地面を自在に走行する電動車椅子。
【0022】
本発明の電動車椅子の一実施例において、前記電動車椅子は、さらに、座席調整手段を含み、該座席調整手段が前記座席に接続し、前記車体部分に垂直する方向に上下に、前記車体部分に平行する方向に水平に前記座席を調整するように、又は回転により座席を調整するように配置されることで、前記座席が上下左右に移動し、又は0°乃至360°、例えば90°、180°の方向で回動して調整される。
【0023】
本発明の電動車椅子の一実施例において、前記座席調整手段は、座席平衡手段を含み、該座席平衡手段は、
前記座席を1つの方向又は2つの方向に移動させるように、座席の下に設けられる座席平衡レバーと、
座席が外れたかどうかを検測し、検測した情報を制御部に送信する平衡検測部と、
前記座席平衡レバー及び前記平衡検測部に電気的に接続し、前記平衡検測部からの情報を受信し、該情報に基づいて前記座席平衡レバーを制御することで、前記座席の平衡を保持する制御部と、
を含む。
【0024】
本発明の電動車椅子の一実施例において、前記平衡検測部はジャイロスコープである。
【0025】
本発明の電動車椅子の一実施例において、前記座席調整手段は、座席回転手段を含み、該座席回転手段は、
前記座席平衡レバーの一端に固定して接続される接続支持フレームと、
前記接続支持フレームに固定される駆動手段と、
前記接続支持フレームに接続し、その接続部位に玉軸受けが設けられる回転支持フレームと、
前記駆動手段の一端に設けられ、前記駆動手段の駆動により回転することで、前記回転支持フレームを回転させる螺旋ロッドと、
を含む。
【0026】
本発明の電動車椅子の一実施例において、前記座席調整手段は、さらに、前記回転支持フレームの一端に設けられ、前記回転支持フレームと連動する歯車を含む。
【0027】
本発明の電動車椅子の一実施例において、前記駆動手段はギヤードモータである。
【0028】
好ましくは、前記電動車椅子は、前記支持フレームに設けられ、且つ、前記座席の前方に位置して、使用者を支え且つ使用者が前記アームレストに設けられたボタンにより前記電動車椅子を制御するようにしたアームレストを含む。
【0029】
本発明は、さらに、前記走行装置が取付けられ、且つ前記走行装置により階段、凸凹道路、及び全地形地面を自在に走行する玩具を提供する。
【0030】
上記のような新規に設計された走行装置によれば、新規の走行装置の機能が大幅に増加される。
【0031】
本発明の走行装置はキャタピラー-ホイールの走行方式を採用し、全く新しい運転概念で、キャタピラーとホイールのメリットを兼ねることで、異なる道路及び角度が異なる階段に適応することができ、且つ安全である。本発明において新しく実装される一対のユニバーサルホイールは、大きな角度でユニバーサルホイールの作用を発揮して、前記走行装置を異なる道路の状況に適応させることができる。また、本発明は電気レバーを動力源として採用することにより、前アームを任意の位置に自在に止めることができ、セキュリティロックなどを使用する必要がない。
【0032】
本発明の走行装置を使用した電動車椅子の座席平衡手段に電気レバーを設け、階段を上り下り時に、電気レバーにより座席を高くし、座席を大幅に後ろに斜めにすることにより、乗客の重心を大幅に後ろに移動させ、安全性が大幅に向上する。また、座席回転手段により、乗客がどの時点でも車頭と車尾を逆にし、又は座席を所要な任意の位置に回転させることができ、便利且つ柔軟である。
【0033】
本発明の走行装置を使用した玩具も前記利点を有し、複雑な道路状況に適用し、異なる道路の状況で安全、且つ安定に走行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1a】
図1aは、従来技術の走行装置が角度の異なる階段を上る時に発生した危険の状況を示す図である。
【
図1b】
図1bは従来技術の走行装置が階段のトップに到達した時に発生した危険の状況を示す図である。
【
図1c】
図1cは従来技術の走行装置が障碍物を乗り越えた時に発生した危険の状況を示す図である。
【
図2a】
図2aは本発明の走行装置の平面図である。
【
図2b】
図2bは本発明の走行装置の側面図である。
【
図3a】
図3aは本発明の走行装置の平面図であり、該装置の部品を示す。
【
図3b】
図3bは本発明の走行装置の側面図であり、該装置の部品を示す。
【
図4a】
図4aは本発明の前アーム作動手段の平面図であり、該装置の部品を示す。
【
図4b】
図4bは本発明の前アーム作動手段の側面図であり、該装置の部品を示す。
【
図5a】
図5aは本発明の座席平衡手段の平面図であり、該装置の部品を示す。
【
図5b】
図5bは本発明の座席平衡手段の側面図であり、該装置の部品を示す。
【
図6a】
図6aは本発明の座席回転手段の平面図であり、該装置の部品を示す。
【
図6b】
図6bは本発明の座席回転手段の側面図であり、該装置の部品を示す。
【
図7a】
図7aは平坦な道路を走行する時の前アーム作動手段の動作のモード図である。
【
図7b】
図7bは凸凹道路を走行する時の前アーム作動手段の動作のモード図である。
【
図7c】
図7cは階段を上る時の前アーム作動手段の動作のモード図である。
【
図7d】
図7dは障碍物を乗り越える時、又は視野を高める時の、前アーム作動手段の動作のモード図である。
【
図8a】
図8aは水平面を走行する時の座席平衡手段の動作のモード図である。
【
図8b】
図8bは階段にある時又は坂を下る時の座席平衡手段の動作のモード図である。
【
図8c】
図8cは坂を上る時又は横になる時の座席平衡手段の動作のモード図である。
【
図9a】
図9aは、本発明の電動車椅子の座席を中央に回転することにより、乗客が両側に障害がない状態で乗り降る動作のモード図である。
【
図9b】
図9bは、本発明の電動車椅子がユニバーサルホイールで地面に接触して平坦道路を滑走するモードを示すモード図である。
【
図9c】
図9cは、本発明の電動車椅子が四輪駆動で凸凹道路を四輪駆動走行する凸凹モードを示すモード図である。
【
図9d】
図9dは、本発明の電動車椅子の乗客が高い場所の物を取りたい時、又は他人と同高度の視線で話し合いたい時に座席を高くするモードを示すモード図である。
【
図9e】
図9eは、本発明の電動車椅子の乗客が横になりたい時の横たわるモードを示すモード図である。
【
図9f】
図9fは、本発明の電動車椅子が階段を上り下る時のモードを示すモード図である。
【
図9g】
図9gは、本発明の電動車椅子が階段のトップに到達する時に、その車体の中間部は2つのホイールのような構造となるため、着陸の時に非常に安定して安全であることを説明する図である。
【
図9h】
図9hは、本発明の電動車椅子が階段を上り下る時に、乗客が階段を向いて走行したい場合に、前後反転モードを採用することを説明するモード図である。
【
図10】
図10は、本発明の電動車椅子のモード図であり、ここで、座席の前にアームレストが設けられる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参考しながら、本発明の好ましい実施例を例に本発明を詳しく説明する。
【0036】
本明細書において、前記「階段」とは、階段の角度が同じ又は異なる階段であり、前記「凸凹道路及び全地形地面」とは、道路が平坦で、又は道路が凸凹で、或いは様々な坂を有する地形である。
【0037】
図1-
図6bに示すように、本発明の走行装置1は、左減速駆動モータ11及び右減速駆動モータ12(11と12の駆動装置は他の駆動装置、例えば、車のエンジン等であってもよい。)を有する。両側の駆動原理が同様であるため、ここでそのうちの一側の動作過程のみ説明する(本明細書において、周知電動車椅子の他の周知構造及び部品について説明しない。)。
【0038】
コントローラーがエネルギー源(エネルギー源は、電池、ガソリン、又は太陽エネルギー等であることができる)で減速駆動モータ11を駆動するように指示すると、11が軸110を回動させ、小同期ホイール111と大同期ホイール112とが軸110に固定されているため、111と112とが同期に回動する。大同期ホイール112の動力は、同期キャタピラー143により小同期ホイール113を駆動する。固定板162と163は同期ホイール112と113を適当な位置に固定し、2つの固定板は軸と板との間に軸受けが設けられることで、軸が板の間で回動できる。固定板162と固定板161とが一定の角度で固定して密接し、その角度は、実際の必要に応じて設定することができ、例えば、20°、30°或いは40°等である。
【0039】
駆動ギヤードモータ11が小同期ホイール111を回動させるように駆動する際に、その動力は伝動同期キャタピラー141を通じて小同期ホイール114を駆動する。固定板161と車体支持フレーム10は同期ホイール111と114を適当な位置に固定し、2つの固定板と支持フレームは軸と板との間に軸受けが設けられることで、軸が板の間で回動できる。
【0040】
動力が小同期ホイール114に伝達されると、動力は同期ホイールコネクタ15を通じて大同期ホイール115に伝達する。つまり、小同期ホイール114と大同期ホイール115は、同期ホイールコネクタ15により同期接続される。また、同期ホイールコネクタ15の両端にいずれも軸受けが設けられることは、駆動ギヤードモータ11の動力を小同期ホイール114に通じて大同期ホイール115に伝達させるとともに、2つのホイールの間の前アーム駆動軸20を自在に回動させる目的である。
【0041】
大同期ホイール115の動力は同期キャタピラー142を通じて小同期ホイール116を駆動する。固定板164と165は同期ホイール115と116を適当な位置に固定し、固定板164は軸と板との間に軸受けが設けられることで、軸が板の間で回動できる。また、固定板165は固定板164と前アーム駆動軸20と共に緊密に接続される。つまり、前アーム駆動軸20が回転する時に、その動力は固定板164と165を同時に揺動させるが、その揺動動作は駆動ギヤードモータ11からすべての同期ホイール及び同期キャタピラーに伝達した回動に影響を与えることがない。
【0042】
前アーム作動手段2は左前アーム駆動電気レバー21と右前アーム駆動電気レバー22(21と22の起動装置は他の起動装置、例えばギヤードモータ或いは油圧レバー等であってもよい。)とを含む。左右両方の駆動原理が同じであるため、ここで、左側の動作のみ説明する。
【0043】
エネルギー源は前アーム駆動電気レバー21を伸長又は短縮させるように駆動する際に、動力がコネクタ212に伝達され、それを前又は後ろに回転させる。コネクタ212は前アーム駆動軸20とユニバーサルホイール213とに緊密に接続し、つまり、動力がコネクタ212に伝達されると、動力は前アーム駆動軸20とユニバーサルホイール213とを同時に前又は後ろに揺動させる。また、前アーム駆動軸20の末端が固定板165と緊密に接続するため、前アーム駆動電気レバー21を伸長又は短縮すると、固定板165及びユニバーサルホイール213が前又は後ろに揺動する。
【0044】
座席平衡手段3は、座席平衡レバー30(30の駆動装置は他の駆動装置、例えば、ギヤードモータ又は油圧レバー等であっともよい)と平衡検測部、例えば、ジャイロスコープ33(前記ジャイロスコープ33は二次元、三次元であってもよい。三次元のジャイロスコープを使用する必要がある場合に、1つのレバーを追加して、座席を前後左右に揺動させればよい。)とを含む。
【0045】
ジャイロスコープ33が前又は後ろに傾く情報を受信すると、座席平衡レバー30に伸長又は短縮する命令を発信する。前記座席平衡レバー30の末端が可動接続支持フレーム301に接続し、前端が可動コネクタ302に接続し、同時に可動コネクタ302が座席伸縮電気レバー31に接続する。つまり、レバー30の伸縮動作はコネクタ302を通じてレバー31を前又は後ろに揺動するように押す。座席伸縮電気レバー31を固定するために、末端が可動接続支持フレーム311に接続し、コネクタ302の両側のいずれにも1つの滑車303が設けられ、滑車303の下方に半円板32が設けられ、半円板32が車体支持フレーム10の上に固定される。つまり、座席伸縮電気レバー31が座席平衡レバー30により押され又は引っ張られる時に、座席伸縮電気レバー31の2つの滑車303は2つの半円板32に沿って前又は後ろに一定なレールで転がることにより、座席伸縮電気レバー31がレールから外れることなく前又は後ろに揺動させる。
【0046】
座席回転手段4は駆動手段、例えばギヤードモータ43を含み、前記ギヤードモータ43の前端が1つの螺旋ロッド431(該装置は他の動力装置、例えば、歯付き直線レバー等であってもよい。)に接続する。ギヤードモータ43は接続支持フレーム41の上に固定し、接続支持フレーム41は座席伸縮電気レバー31の最先端に固定する。回転支持フレーム42の底部に1つの歯車421が設けられ、回転支持フレーム42は支持フレーム41に接続し、接続部位に1つの平面玉軸受けが設けられ、つまり、回転支持フレーム42は接続支持フレーム41で自在に回転することができる。
【0047】
ギヤードモータ43が螺旋ロッド43を時計回り又は反時計回りに回転させるように駆動すると、螺旋ロッド43が歯車421を回転させることにより、歯車での回転支持フレーム42を回動させる。
【0048】
前記走行装置に座席を取り付けて電動車椅子を製作してもよく、玩具を取り付けて走行できる玩具、例えば玩具車、玩具タンク等を製作してもよい。本発明を詳しく説明するために、本明細書において電動車椅子(即ち、回転支持フレーム42に座席100を取り付けたもの)を基礎として説明する。
【0049】
図7a-9hに示すように、本発明の電動車椅子が様々な状況で運転する過程は以下の通りである。
【0050】
車椅子への乗り降り状況(
図9a)
乗客の車椅子への乗り降りを便利にするために、まず、座席伸縮電気レバー31が座席を最も高いところに押し、さらに、座席回転手段4により座席90を車椅子の中央に回転させた後、座席伸縮電気レバー31が最短に短縮される(
図8a)。このような場合に、座席の両側に障害がないことに加え、座席が最も低いところにあり、乗客の車椅子への乗り降りには最も便利である。
【0051】
平坦道路走行モード(
図9b)
車椅子を室内又は平坦な道路を柔軟に走行させるために、同時に前アーム駆動電気レバー21と22を最短に短縮して、一対の前アームを上向きに収めることにより(
図7a)、車椅子全体を小さくし、車椅子の狭い空間への出入りに利便さを与える。同時に、ユニバーサルホイール213が完全に地面に接触するので、前の2つの大同期ホイール115を支持し、それを地面から離れさせる。すると、車椅子の走行モードが、後ろの2つの大同期ホイール112が地面に接触して駆動し、前の2つのユニバーサルホイール213が自在に転向するようになるため、車椅子が非常に柔軟になり、狭いところで曲がることができる。
【0052】
凸凹道路走行モード(
図9c)
凸凹の山道を走行するため、前アーム駆動電気レバー21と22を同時に所定の位置に伸長することにより、一対の前アームと地面との間で一定の角度を維持し(
図7b)、座席平衡手段がその同時に起動する。このようなモードで、車椅子は基本的に四輪駆動車と同様に、四輪で同期に駆動し、容易に凸凹な道路を走行し、又は泥沼から逃げ出すことができる。異なるところは、高い障碍物とぶつかる時に、一対の前アームはタンク車のように作用し、容易に障害物を乗り越えることができる。
【0053】
高度向上モード(
図9d)
乗客の必要によって、例えば両足が不自由な人の場合に、自分で高いところにある物を取ることができなかったり、他人と話し合う時に同じである高さの視線で話し合うことができなかったりする場合がある。従って、本発明に設けられるこの高度向上モードは、前アーム駆動電気レバー21と22とを同時に最長にすることで、一対の前アームにより車体を高くする(
図7d)。同時に、座席伸縮電気レバーを最長に伸長することにより、乗客の視野が大幅に広がる。
【0054】
横たわるモード(
図9e)
長時間に使用する必要がある乗客の需要に応えるため、本発明の車椅子に特にこの横たわるモードを設けることにより、疲れた時にこのモードを利用して休憩を実現する。まず、車椅子を平穏するために、前記前アーム駆動電気レバー21と22とが同時に一定の位置に延伸することにより、前記前アームを完全に地面に接触させ(
図7c)、さらに、前記座席回転手段により、前記座席100を180°回転させた後、座席平衡レバー30により座席伸縮電気レバー31を前に押す(
図8c)。前記のような一連の動作により、乗客が容易に横になることに加えて、背後が一対の前アームで支持されるため、非常に安全である。
【0055】
車椅子の段階走行モード(
図9f)
まず、前記前アーム駆動電気レバー21と22とが同時に一定の位置に延伸することにより、前記前アームを完全に地面に接触させ(
図7c)、そして、乗客が後ろの2本の同期キャタピラー143が同時に階段に接触して走行するように制御する。前記車椅子の中間部は2つのホイールのような構造モードであるため、各階段に沿って蛇行することができ、さらに、伝動同期キャタピラー141の補助作用により、本発明の車椅子は角度が異なる階段を走行することができる。前の一対の前アームは、2本の同期キャタピラー142が階段の角を強くつかんで、段階走行の推進作用をするので、段階走行がより強力になる。
【0056】
ずっと上又は下に階段を走行する際に、前記座席平衡手段3が働いて、乗客を地面と垂直で平衡するように保持させる(
図8b)。
【0057】
車椅子の中間部は2つのホイールのような構造モードであるため、階段のトップに到達する時に、車椅子は全キャタピラー式の装置のように突然墜落する危険がなく(
図1b)、非常に安定して安全に階段のトップに到達する(
図9g)。
【0058】
階段を下る時の状況は階段上りの場合と基本的に同様に、同一のモードで、且つ車椅子の中間部は2つのホイールのような構造モードであるため、最初の階段から下る時にも、突然墜落する危険がない(
図9g)。
【0059】
前後反転モード(
図9h)
後ろ向きに階段を走行することは、ある乗客にとって、比較的に困難であるが、前向きに段階を上るために、座席の高度を大きく高めて、重心を大幅に後ろにしないと、安全性を確保できない。まず、座席回転手段4により座席を180度回転させる。上る時に、座席の伸縮電気レバー31が最長に伸長して座席に最大の揺動幅を持たせる必要がある。これにより、乗客の安全を確保できる。
【0060】
図10に示すように、本発明の電動車椅子の好ましい実施例において、電動車椅子は、さらにアームレスト101を含む。該アームレスト101は、前記支持フレームに設けられ、且つ、前記座席100の前方に位置して、使用者が支え易くし、且つ使用者は前記アームレスト101に設けられたボタン(未図示)により、前記電動車椅子の走行及び/又はクライミングを制御し、或いは前記座席100の昇降及び回転を制御することができ、該電動車椅子の操作及び使用が非常に簡単になる。
【0061】
以上の説明では、具体的な実施例により本発明の解決しようとする課題、技術案及び有益な効果を詳しく説明した。上記の説明は、本発明の具体的な実施例に過ぎず、本発明を制限するものではなく、本発明の趣旨及び精神を逸脱しない範囲内で、様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。