(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ここでの本実施形態は、第1〜第3実施形態としての高濃度炭酸泉生成装置(以下、「生成装置」ともいう。)A1〜A3を有している。これらの生成装置A1〜A3は、それぞれ流体混合器Mを具備して、前記した「炭酸泉」が有する一般的な効能を迅速かつ堅実に確保することができる「高濃度炭酸泉」を生成することができる。流体混合器Mは、後述する第1実施形態としての流体混合器M1と、後述する第2実施形態としての流体混合器M2の総称であり、流体混合器Mとしては、これら流体混合器M1,M2のいずれか一方を適宜採用することができる。以下では、各生成装置A1〜A3及び各流体混合器M1,M2の構成について、順次図面を参照しながら詳説する。
【0026】
[第1実施形態としての生成装置A1の説明]
生成装置A1は、
図1に示すように、浴槽B内に満たした湯ないしは水(以下、「浴槽湯等」ともいう。)W中に、循環流路形成配管としての循環パイプJの両側端部を出し入れ自在に浸漬することで、循環パイプJと浴槽Bとにより循環流路Cyを形成可能としている。循環パイプJの中途部には、循環ポンプPを配設している。浴槽湯等Wは、循環ポンプPにより循環流路Cyを通して循環可能としている。循環パイプJは、一側端部(上流側部)に吸入部1を設けるとともに、他側端部(下流側部)に吐出部2を設けて、これらの吸入部1と吐出部2を浴槽湯等W中に出し入れ自在としている。
【0027】
すなわち、高濃度炭酸泉を生成する場合には、既存の浴槽B内に満たされた浴槽湯等W中に、吸入部1と吐出部2を浸漬させた状態に配置可能としている。また、高濃度炭酸泉を生成しない場合には、浴槽湯等W中から吸入部1と吐出部2を取り出した状態(収納状態)に配置可能としている。入浴者は、高濃度炭酸泉を生成中に浴槽B内に入浴することも、また、高濃度炭酸泉を生成後に浴槽B内に入浴することもでき、生成後の場合には、吸入部1と吐出部2を収納状態にしておくことで、ゆったり入浴することもできる。
【0028】
循環パイプJの中途部には、炭酸ガス供給パイプK1を介して炭酸ガスを供給する炭酸ガス供給部K2を、循環ポンプPの下流側に位置させて接続している。炭酸ガス供給部K2としては、炭酸ガスを発生する炭酸ガス発生機や炭酸ガスボンベを採用することができる。炭酸ガス供給パイプK1の中途部には、炭酸ガスの供給量を調整するための炭酸ガス供給量調整弁V1を設けている。そして、炭酸ガス供給部K2において発生させた炭酸ガスは、炭酸ガス供給量調整弁V1により調整した量だけ炭酸ガス供給パイプK1を介して循環パイプJ内に供給可能としている。
【0029】
すなわち、循環ポンプPの吐出口から吐出される浴槽湯等Wが循環パイプJ中で圧送されると、循環パイプJに炭酸ガス供給パイプK1を介して接続した炭酸ガス供給部K2から供給される炭酸ガスが、循環パイプJと炭酸ガス供給パイプK1との接続部において生起される吸引圧(エジェクタ効果)を受けて循環パイプJ中に吸入される。その結果、炭酸ガス供給量調整弁V1を介して浴槽湯等Wに混入される炭酸ガスの量を一定に確保することができる。この際、炭酸ガスの吸入量は、適宜、炭酸ガス供給量調整弁V1を介して調整することができる。また、本実施形態では、高濃度炭酸泉の生成能力を確保したまま消費電力が小さい循環ポンプPを使用することができるので、生成装置A1の製造コストやランニングコストを低減させることができる。
【0030】
また、循環パイプJの中途部には、1μm未満を含む粒径まで炭酸ガスを微細化するとともに、浴槽湯等Wと均一に混合して気液混合流体となす流体混合器Mを、炭酸ガス供給部K2の下流側に位置させて配設している。Spは、浴槽B内に浴槽湯等Wを吐出する蛇口等の吐出口部、3は、浴槽Bの底部に接続した排水配管である。
【0031】
流体混合器Mの流体導入側ないしは流体導出側には、圧力調整弁V2を設けて、流体混合器Mに導入される流体(浴槽湯等Wと炭酸ガス)の圧力と、流体混合器から導出される流体(浴槽湯等Wと炭酸ガスとの混合流体)の圧力との差を圧力調整弁V2により調整可能としている。本実施形態では、流体混合器Mの流体導出側に圧力調整弁V2を設けている。そして、流体混合器M中を流動することで微細化される炭酸ガス気泡の粒径分布を、圧力調整弁V2により適宜調整することができて、高濃度炭酸泉の濃度を高濃度域で調整することができる。
【0032】
圧力調整弁V2は、流体混合器Mに導入される流体の圧力と、流体混合器Mから導出される流体の圧力との差が大となるように、第1調整することができる。この第1調整では、
図2に示すように、高濃度炭酸泉が含有する微細化された炭酸ガス気泡の粒径分布が、1μm未満(ナノメートルオーダー:nm)の炭酸ガス気泡径の範囲において、頻度のピーク(モード径)が一つの山形となって形成されるナノ粒径分布となるようにしている。
図2の横軸は、炭酸ガス気泡径であり、
図2の縦軸は、頻度(単位体積当たりの炭酸ガス気泡の個数、例えば、個数/1mL)である。このように、ナノ粒径分布が形成されるように圧力調整弁V2を第1調整すると、ナノメートルオーダーの超微細な炭酸ガス気泡が大量に成形される。そうすると、炭酸ガス気泡群と浴槽内の浴槽湯等Wとの接触面積が顕著に増加して、炭酸ガスが浴槽湯等Wに迅速に溶解しやすくなる。その結果、1時間未満の短時間で高濃度炭酸泉が急速に生成される。
【0033】
本実施形態では、第1調整として、例えば、循環ポンプPにより流体混合器Mの導入側の圧力を0.3MPaに設定するとともに、圧力調整弁V2の開度を全開させることで、流体混合器Mの導出側の圧力を0.1MPaに設定して、流体混合器Mの導入側と導出側との圧力差を大きく設定すると、モード径が100nm付近の炭酸ガス気泡径となるナノ粒径分布が形成される。
【0034】
また、圧力調整弁V2は、流体混合器Mに導入される流体の圧力と、流体混合器Mから導出される流体の圧力との差が小となるように、第2調整することができる。この第2調整では、
図2に示すように、高濃度炭酸泉が含有する多量に微細化された炭酸ガス気泡の粒径分布が、1μm未満の炭酸ガス気泡径の範囲において、頻度のピークが一つの山形となって形成される一方、1μm以上(マイクロメートルオーダー)の炭酸ガス気泡径の範囲において、頻度のピークがもう一つ山形となって形成されるマイクロ−ナノ粒径分布となるようにしている。このように、マイクロ−ナノ粒径分布が形成されるように圧力調整弁V2を第2調整すると、不可視(肉眼では視認不可能)であるナノメートルオーダーの超微細な炭酸ガス気泡が多量に成形されて、高濃度炭酸泉の短時間生成が実現できるとともに、白濁等して肉眼で視認可能なマイクロメートルオーダーの微細な炭酸ガス気泡が多量に成形されて、入浴者の肌の表面にマイクロメートルオーダーの炭酸ガス気泡群が付着するのを体験することができる。
【0035】
本実施形態では、第2調整として、例えば、循環ポンプPにより流体混合器Mの導入側の圧力を0.3MPaに設定するとともに、圧力調整弁V2の開度が僅かに小さくなるように調整することで、流体混合器Mの導出側の圧力を0.15MPaに設定して、流体混合器Mの導入側と導出側との圧力差をやや小さく設定すると、100nm付近において、頻度のピークが一つの山形となって形成される一方、100μm付近において、頻度のピークがもう一つ山形となって形成されるマイクロ−ナノ粒径分布が形成される。
【0036】
また、圧力調整弁V2は、流体混合器Mに導入される流体の圧力と、流体混合器Mから導出される流体の圧力との差がさらに小となるように、第3調整することができる。この第3調整では、
図2に示すように、高濃度炭酸泉が含有する大量に微細化された炭酸ガス気泡の粒径分布が、1μm以上(マイクロメートルオーダー)の炭酸ガス気泡径の範囲において、頻度のピーク(モード径)が一つの山形となって形成されるマイクロ粒径分布となるようにしている。このように、マイクロ粒径分布が形成されるように圧力調整弁V2を第3調整すると、肉眼で視認可能なマイクロメートルオーダーの炭酸ガス気泡が大量に成形されて、入浴者の肌の表面にマイクロメートルオーダーの炭酸ガス気泡が大量に付着するのを体験することができる。
【0037】
本実施形態では、第3調整として、例えば、循環ポンプPにより流体混合器Mの導入側の圧力を0.3MPaに設定するとともに、圧力調整弁V2の開度がさらに小さくなるように調整することで、流体混合器Mの導出側の圧力を0.2MPaに設定して、流体混合器Mの導入側と導出側との圧力差を小さく設定すると、モード径が10μmの炭酸ガス気泡径となるマイクロ粒径分布が形成される。
【0038】
生成装置A1は、圧力調整弁V2を第1調整する第1時間帯と、圧力調整弁V2を第2調整する第2時間帯と、圧力調整弁V2を第3調整する第3時間帯と、を有している。
【0039】
すなわち、第1時間帯は、圧力調整弁V2を第1調整する所定の設定時間幅(例えば、数分間)である。第1時間帯においては、流体混合器Mによりナノメートルオーダーの超微細な炭酸ガス気泡が大量に成形されて、高濃度炭酸泉の急速な生成が実現できる。
【0040】
第2時間帯は、圧力調整弁V2を第2調整する所定の設定時間幅(例えば、数分間)である。第2時間帯においては、流体混合器Mにより不可視(肉眼では視認不可能)であるナノメートルオーダーの超微細な炭酸ガス気泡が多量に成形されて、高濃度炭酸泉の短時間生成が実現できるとともに、流体混合器Mにより肉眼で視認可能なマイクロメートルオーダーの微細な炭酸ガス気泡が多量に成形されて、入浴者の肌の表面にマイクロメートルオーダーの炭酸ガス気泡群が付着するのを体験することができる。
【0041】
第3時間帯は、圧力調整弁V2を第3調整する所定の設定時間幅(例えば、数分間)である。第3時間帯においては、流体混合器Mによりマイクロメートルオーダーの微細な炭酸ガス気泡が第2時間帯よりも大量に成形されて、入浴者の肌の表面にマイクロメートルオーダーの炭酸ガス気泡群が大量に付着するのを体験することができる。
【0042】
生成装置A1には、
図3に示すコントローラCを設けており、コントローラCは、内部バスにより相互に接続されたCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等を備えたコンピュータ装置である。CPUは、タイマを内蔵しており、ROMに格納された制御プログラムをRAMに読み込み、この制御プログラムにしたがって、圧力調整弁V2の開度等の演算を実行する。
【0043】
コントローラCには、
図3に示すように、操作部Opからの操作情報が入力インターフェースを介して入力される一方、操作情報を取得したコントローラCは、操作情報に基づいて制御プログラムにしたがった制御情報を生成し、生成した制御情報を、出力インターフェースを介して炭酸ガス供給量調整弁V1と圧力調整弁V2と各三方弁V3〜V6のそれぞれに出力する。なお、三方弁V6は、後述する生成装置A3には設けているが、生成装置A1と、後述する生成装置A2と、には設けていない。
【0044】
圧力調整弁V2は、コントローラCの出力側に電気的に接続し、コントローラCの入力側に操作部Opを電気的に接続して、操作部Opを操作することによりコントローラCを介して圧力調整弁V2の開度が所定の各時間帯で調整制御されるように構成している。コントローラCの出力側には、炭酸ガス供給量調整弁V1も電気的に接続して、操作部Opを操作することによりコントローラCを介して炭酸ガス供給量調整弁V1の開度が調整制御されるように構成している。そして、上記した各調整弁V1,V2の開度や各時間帯の選択やその時間幅の設定等は、予め、入浴者の選択肢として制御プログラムしておき、制御プログラムが操作部Opを介して選択されると、コントローラCが選択された制御プログラムを実行するようにしている。各三方弁V3〜V6は、操作部Opの操作に適応してコントローラCにより切替制御されるようにしている。
【0045】
なお、コントローラCには、出力インターフェースを介して循環ポンプPを駆動する電動モータを電気的に接続することで、循環ポンプPの吐出圧(流体混合器Mの導入側の圧力)をコントローラCにより制御することもできる。この場合、循環ポンプPの吐出圧は、操作部Opにより設定することも、また、制御プログラムにしたがって調整されるようにすることもできる。
【0046】
圧力調整弁V2の開度を調整する制御プログラムは、例えば、次のように作成することができる。
(1)第1時間帯と第2時間帯と第3時間帯が順次連続して形成されるように作成する。
(2)第1時間帯→第2時間帯→第3時間帯→第1時間帯→第2時間帯→第3時間帯のように繰り返し連続して形成されるように作成する。
(3)第1時間帯と第2時間帯と第3時間帯が形成される順序を反対に作成する。
(4)第1時間帯と第2時間帯と第3時間帯が形成される順序を不規則にするように作成する。
(5)第1〜第3時間帯の内の少なくとも一つの時間帯を選択可能に作成する。
つまり、入浴者の好みに応じて、操作部Opを操作することで、各時間帯の選択やその時間幅の任意の設定等を行うことができる。
【0047】
このように構成した生成装置A1では、第1時間帯と第2時間帯と第3時間帯とを有しているため、高濃度炭酸泉の短時間生成と、入浴者の肌の表面へのマイクロメートルオーダーの炭酸ガス気泡群の付着体験と、を所定の短時間内に実現することができる。例えば、入浴直前に第1時間帯を設定することで高濃度炭酸泉を短時間に生成し、入浴時に第2時間帯及び/又は第3時間帯を設定することで入浴者の肌の表面へのマイクロメートルオーダーの炭酸ガス気泡群の付着体験を実現することもできる。そして、操作部Opを介してコントローラCにより圧力調整弁V2が所定の各時間帯で調整制御されるとともに、各時間帯の設定時間幅も任意に又は段階的に調整自在とすることで、入浴者の好みの選択肢を増大させることができて、入浴者は、高濃度炭酸泉の効能とバブル入浴の楽しさを満喫することができる。
【0048】
前記した循環パイプJには、逆洗流路Bwを連通連結している。すなわち、逆洗流路Bwは、流体混合器Mの直上流側に位置する循環パイプJの部分に、上流側三方弁V3を介して逆洗用迂回パイプUの一側端部を連通連結する一方、流体混合器Mの直下流側に位置する循環パイプJの部分に、下流側三方弁V4を介して逆洗用迂回パイプUの一側端部を連通連結して形成している。逆洗用迂回パイプUの中途部には、中途部三方弁V5を設けて、中途部三方弁V5を介して排水収容部Hを連結している。
【0049】
このように構成した逆洗流路Bwは、上・下流側三方弁V3,V4を介して循環パイプJと逆洗用迂回パイプUを連通させることで形成される。そして、洗浄水を循環ポンプPにより逆洗流路Bw内で所要回数だけ循環させることで、流体混合器Mの下流側から上流側に洗浄水を逆流させて流体混合器M内を洗浄(逆洗)処理することができる。逆洗処理後は、逆洗用迂回パイプUの中途部に設けた中途部三方弁V5を介して排水収容部Hに洗浄排水を排出することができる。その後は、各三方弁V3,V4,V5を復元操作することで循環流路Cyを復元するとともに、浴槽B内に浴槽湯等Wを収容することで、高濃度炭酸泉の生成処理を再開することができる。
【0050】
本実施形態では、上・下流側三方弁V3,V4を操作して逆洗流路Bwを形成することで、流体混合器Mの下流側から上流側に洗浄水を逆流させて流体混合器M内を洗浄(逆洗)処理することができる。逆洗処理後は、中途部三方弁V5を介して排水収容部Hに洗浄排水を排出することができる。その後は、各三方弁V3,V4,V5を復元操作することで簡単に流体混合処理を再開することができる。このように、適宜、逆洗処理をすることで、流体混合器Mの流体混合機能を良好に確保することができる。
【0051】
本実施形態の循環ポンプPは、陸上用ポンプを採用しているが、この陸上用ポンプに代えて水中ポンプを採用することもできる。水中ポンプを採用した生成装置A1は、炭酸ガス供給部K2を除いて、浴槽B内の浴槽湯等W中に浸漬させた状態に配置することができる。
【0052】
循環ポンプPとして水中ポンプを採用した場合には、浴槽B内の浴槽湯等W中に生成装置A1を浸漬させた状態に配置することで、浴槽B内の浴槽湯等Wを高濃度炭酸泉となすことができる。この場合、浴槽湯等W中に生成装置A1を配置するだけであるため、循環パイプJの短縮化を図ることができる。
【0053】
[第2実施形態としての生成装置A2の説明]
図4は、第2実施形態としての生成装置A2を示しており、生成装置A2は、前記した第1実施形態としての生成装置A1と基本的構造を同じくしているが、循環パイプJの流出側端部に流体混合器Mを配設して、浴槽B内の浴槽湯等W中に流体混合器Mを浸漬させることで、浴槽湯等W中に気液混合流体を直接吐出可能としている点で異なる。
【0054】
生成装置A2は、後述する第1実施形態(第2実施形態)としての流体混合器M1(M2)の流体導入側に圧力調整弁V2を設けて、流体混合器M1(M2)の混合ケース10(110)から左側壁部17(前壁部15)を取り除いて、混合ケース10(110)の左側方(吐出口)を大きく開口させている。4はオーバーフロー配管である。そして、生成装置A2では、生成装置A1と同様に、コントローラCを介して圧力調整弁V2の開度が調整制御されるようにしている。
【0055】
このように構成した生成装置A2では、浴槽B内の浴槽湯等W中に流体混合器Mを浸漬して、流体混合器Mから気液混合流体を直接吐出可能としているため、浴槽B内の浴槽湯等Wが、吐出される気液混合流体の簡易的な抵抗場となって、流体混合器Mに導入される流体の圧力と、流体混合器Mから導出される流体の圧力との差が小となる。したがって、ナノメートルオーダーの多量の超微細な炭酸ガス気泡と、マイクロメートルオーダーの多量の微細な炭酸ガス気泡の両方が成形されて、高濃度炭酸泉の短時間生成と、入浴者の肌の表面へのマイクロメートルオーダーの炭酸ガス気泡群の付着体験と、を同時に実現することができる。
【0056】
[第3実施形態としての生成装置A3の説明]
図5は、第3実施形態としての生成装置A3を示しており、生成装置A3は、前記した第1実施形態としての生成装置A1と基本的構造を同じくしているが、循環パイプJに炭酸ガス供給パイプK1を介して炭酸ガス供給部K2を接続し、炭酸ガス供給パイプK1の中途部には三方弁V6を設け、三方弁V6には圧縮空気供給パイプK3を介してコンプレッサCpを接続している点で異なる。そして、コンプレッサCpは、外気を取り込むとともに、圧縮状態となすことで、圧縮空気供給パイプK3と三方弁V6を介して循環パイプJ内に圧縮空気を供給可能としている。つまり、循環パイプJには、三方弁V6を介して、コンプレッサCpから圧縮空気、ないしは、炭酸ガス供給部K2から炭酸ガスを選択的に供給可能としている。
【0057】
生成装置A3は、上記したように、三方弁V6の切替により循環パイプJへの圧縮空気、ないしは、炭酸ガスの選択的な供給を可能としており、圧縮空気が供給される時間(量)は、制御プログラムにしたがってコントローラCにより三方弁V6が開閉制御されることで設定される。そして、生成装置A3では、生成装置A1と同様に、コントローラCを介して圧力調整弁V2の開度が調整制御されるようにしており、特に、圧力調整弁V2は、優先的に第1調整されるようにしている。
【0058】
このように構成した生成装置A3では、循環ポンプPの吐出口から吐出される浴槽湯等Wが循環パイプJ中に圧送される際に、循環パイプJに炭酸ガス供給パイプK1、炭酸ガス供給量調整弁V1及び三方弁V6を介して接続した炭酸ガス供給部K2から炭酸ガスを循環パイプJ中に加圧状態で供給することができる。その結果、炭酸ガス供給量調整弁V1を介して浴槽湯等Wに混入される炭酸ガスの量を一定に確保することができる。この際、炭酸ガスの供給量は、適宜、炭酸ガス供給量調整弁V1を介して調整することができる。
【0059】
上記のように循環パイプJ中に炭酸ガスを供給する直前には、一定時間(例えば、1分間)、三方弁V6を介して圧縮空気を循環パイプJ中に加圧状態で供給することで、流体混合器Mにより空気を微細化して空気泡となすことができる。空気泡は、浴槽湯等を白濁化して、可視化される。その直後に、三方弁V6を介して炭酸ガスを循環パイプJ中に加圧状態で供給することで、流体混合器Mにより炭酸ガスが超微細化かつ不可視化(ナノメートルオーダーに微細化)されて、高濃度炭酸泉が生成される。つまり、可視化された空気の気泡に、ナノメートルオーダーに微細化されて不可視化された炭酸ガスを追加することで、可視化されて入浴者の体毛へ付着し易い空気泡を含む高濃度炭酸泉を生成することができる。
【0060】
したがって、入浴者は、視覚的にも高濃度炭酸泉を堪能することができる。また、本実施形態では、高濃度炭酸泉の生成能力を確保したまま、消費電力が小さい循環ポンプPを使用することができるので、生成装置A3の製造コストやランニングコストを低減させることができる。
【0061】
また、コントローラCには、出力インターフェースを介して循環ポンプPを駆動する電動モータと、コンプレッサCpを駆動する電動モータとを電気的に接続することで、循環ポンプPの吐出圧(流体混合器Mの導入側の圧力)やコンプレッサCpの駆動をコントローラCにより制御することもできる。
【0062】
[第1実施形態としての流体混合器M1の説明]
第1実施形態としての流体混合器M1は、
図6〜
図9に示すように、導入口11と導出口12を設けた混合ケース10内に複数の混合ユニット20を配設して、循環ポンプPにより、混合ケース10内に吸入部1から吸入した浴槽B内の浴槽湯等Wと、炭酸ガス供給部K2から供給された炭酸ガスと、を加圧状態にて導入口11を通して導入して、複数の混合ユニット20により炭酸ガスを微細化するとともに、浴槽湯等Wと均一に混合して高濃度炭酸泉を生成可能に構成している。そして、流体混合器M1により生成した高濃度炭酸泉は、導出口12から循環パイプJ内に導出するとともに、循環パイプJの他側端部に設けた吐出部2から浴槽B内の浴槽湯等W中に吐出可能としている。
【0063】
混合ケース10内には、導入口11側から導出口12側に向けて複数の混合ユニット20を相互に間隔をあけて直列的に配設している。混合ユニット20間には、中継溜り空間Shを形成するとともに、導入口11と最上流側に配置した混合ユニット20との間に導入口側溜り空間Suを形成する一方、最下流側に配置した混合ユニット20と導出口12との間に導出口側溜り空間Sdを形成している。各溜り空間Su,Sh,Sdの間には、混合ユニット20を連通させて配置している。混合ユニット20に設けた流入口は、導入口11側に向けて開口配置する一方、混合ユニット20に設けた流出口は、導出口12側に向けて開口配置している。そして、混合ケース10内には、複数の混合ユニット20を積層状に重合配置して形成した混合ユニット積層体60を配設している。
【0064】
混合ユニット20は、板状の第1エレメント30と第2エレメント40の面同士を対向状に配置して、両エレメント30,40の始端縁部間を流入口50となす一方、両エレメント30,40の終端縁部間を流出口51となしている。両エレメント30,40の各対向面31,41には、同一の深さと大きさを有する複数の凹部群32,42を流入口50側から流出口51側に向けて間隔をあけて区分して形成するとともに、対向する凹部34,44同士は、相互に連通するように位置を違えて配置している。そして、各凹部群32,42の対向する凹部34,44間では、流体Rが蛇行しながら合流と分流を繰り返しながら流入口50側から流出口51側に向けて流動するようにしている。
【0065】
このように構成した生成装置A1では、浴槽B内の浴槽湯等W中に吸入部1と吐出部2を配置して、循環ポンプPを駆動させることで、流体混合器Mの混合ケース10内に吸入部1から吸入した浴槽湯等Wと、炭酸ガス供給部K2から供給された炭酸ガスを加圧状態にて導入口11を通して導入し、複数の混合ユニット20により炭酸ガスを微細化するとともに、浴槽湯等Wと均一に混合して高濃度炭酸泉を生成し、生成した高濃度炭酸泉を導出口12から循環パイプJ内に導出するとともに、循環パイプJの他側端部に設けた吐出部2から浴槽B内の浴槽湯等W中に吐出することができる。
【0066】
したがって、生成装置A1,A2,A3によれば、既存の浴槽Bにおいても、短時間にかつ堅実に高濃度炭酸泉を生成することができる。例えば、後述の[実施例]において説明するように、生成装置A1では、40℃位の浴槽湯300リットルを25分未満で、炭酸濃度が1000ppm以上の高濃度炭酸泉となすことができる。そして、生成装置A1の駆動を停止させても、浴槽湯の炭酸濃度は、1000ppm以上の高濃度炭酸泉の状態に、45分間以上、保持される。
【0067】
混合ケース10内の導入口11と導出口12との間において、導入口側溜り空間Suと中継溜り空間Shとの間には、混合ユニット20を連通させて配置し、中継溜り空間Shと中継溜り空間Shとの間には、混合ユニット20を連通させて配置し、及び/又は、中継溜り空間Shと導出口側溜り空間Sdとの間には、混合ユニット20を連通させて配置しているため、混合ケース10内を流動する浴槽湯等Wと炭酸ガス(以下、「流体」ともいう。)は、流動抵抗のない各溜り空間Su,Sh,Sdと、流動抵抗となる各混合ユニット20を交互に直列的に通過することで堅実に脈流となる。
【0068】
すなわち、流動抵抗が殆どない各溜り空間Su,Sh,Sd内を流動する流体の流速は、比較的大きいが、混合機能を有する各混合ユニット20中を流動する流体は、流動抵抗を受けてその流速が比較的低減される。そのため、混合ケース10内を流動する流体の流速は大→小→大→小→大と変化(激変)されて、流体の流れが堅実な脈流となる。その結果、各混合ユニット20中を流動する際はもとより、混合ケース10内において脈流となって流動する際にもせん断効果が生起されて、相乗的なせん断効果が得られる。
【0069】
各混合ユニット20の上流側と下流側には、それぞれ各溜り空間Su,Sh,Sdを配置して、各混合ユニット20に設けた流入口50は、導入口11側に向けて開口配置する一方、各混合ユニット20に設けた流出口51は、導出口12側に向けて開口配置しているため、混合ケース10内における圧力損失を低減させることができる。そのため、流体混合器Mに流体を加圧して供給する循環ポンプPの電力消費量の低減を図ることができるとともに、高濃度炭酸泉の流出量(導出量)の増大化(効率化)を図ることができる。
【0070】
混合ケース10内には、混合ユニット20を積層状に重合配置して形成した複数の混合ユニット積層体60を配設しているため、これらの混合ユニット積層体60により多量の高濃度炭酸泉を生成することができる。したがって、高濃度炭酸泉の生成効率を高めることができる。
【0071】
混合ケース10には、循環ポンプPにより導入口11を通して流体R(浴槽湯等Wと炭酸ガス)を加圧状態にて導入し、混合ケース10内に配設した混合ユニット20ないしは混合ユニット積層体60により、導入された流体Rを混合して高濃度炭酸泉となして、高濃度炭酸泉を導出口12から混合ケース10外に導出することができる。
【0072】
そして、混合ユニット20では、面同士を対向状に配置した板状の第1エレメント30と第2エレメント40の始端縁部間である流入口50から、複数の異なる流体を流入させて、両エレメント30,40の終端縁部間である流出口51から流出させるまでの間に、流入した流体Rを各凹部群32,42の対向する凹部34,44間にて合流と分流を繰り返しながら蛇行させて流動させることにより、堅実に高濃度炭酸泉を生成することができる。
【0073】
この際、連続相と分散相からなる流体Rが流入口50側(上流側)の凹部群32,42間を蛇行しながら流動する際に受けるせん断力により、分散相としての炭酸ガスが微細化されるとともに、連続相としての浴槽湯等Wに混合・撹拌されることで、高濃度炭酸泉が短時間に生成される。
【0074】
さらに付言すると、各凹部群32,42の対向する凹部間に流体が蛇行しながら合流と分流を繰り返しながら流入口から流出口に至る連続的な流路において、分散相としての炭酸ガスが、異なるせん断方向のせん断力を受けながら複数回にわたって微細化されるため、炭酸ガスがマイクロメートルオーダーないしはナノメートルオーダーに微細化された高濃度炭酸泉の生成も、短時間にかつ堅実にかつ効率良く行うことができる。
【0075】
[流体混合器M1の構成の具体的な説明]
流体混合器M1について、
図6〜
図9を参照しながら具体的に説明する。流体混合器M1は、
図6〜
図9に示すように、混合処理対象である複数の異なる流体(本実施形態では浴槽湯等Wと炭酸ガス)Rを加圧状態にて導入する導入口11を設けた混合ケース10内に、導入口11から導入された流体Rを混合する複数の混合ユニット20を配設し、混合ケース10には、混合ユニット20により混合された高濃度炭酸泉Rm(本実施形態では浴槽湯等Wと炭酸ガスの混合流体)を導出する導出口12を設けて構成している。
【0076】
混合ケース10内には、導入口11側から導出口12側に向けて複数の混合ユニット20を相互に間隔をあけて直列的に配設している。混合ユニット20間には、中継溜り空間Shを形成するとともに、導入口11と最上流側に配置した混合ユニット20との間に導入口側溜り空間Suを形成している。一方、最下流側に配置した混合ユニット20と導出口12との間には、導出口側溜り空間Sdを形成している。各溜り空間Su,Sh,Sdの間には、混合ユニット20を連通させて配置している。
【0077】
混合ユニット20は、板状の第1エレメント30と第2エレメント40の面同士を対向状に配置して、両エレメント30,40の始端縁部間を流入口50となす一方、両エレメント30,40の終端縁部間を流出口51となしている。両エレメント30,40の各対向面31,41には、同一の深さと大きさを有する複数の凹部群32,42を流入口50側から流出口51側に向けて間隔をあけて区分して形成している。対向する凹部34,44同士は、相互に連通するように位置を違えて配置している。そして、各凹部群32,42の対向する凹部34,44間には、流体Rが蛇行しながら合流と分流を繰り返しながら流入口50側から流出口51側に向けて流動するようにしている。
【0078】
流体混合器M1は、複数(本実施形態では10個)の混合ユニット20を積層状に重合配置して混合ユニット積層体60を形成している。混合ケース10内の導入口11と導出口12との間において、導入口側溜り空間Suと中継溜り空間Shとの間、中継溜り空間Shと中継溜り空間Shとの間、及び、中継溜り空間Shと導出口側溜り空間Sdとの間に、それぞれ混合ユニット積層体60を配設している。つまり、本実施形態では、混合ケース10内に複数(本実施形態では4個)の混合ユニット積層体60を上流側から下流側に向けて一定の間隔をあけて直列的に配設している。各混合ユニット20の流入口50は、導入口11側に向けて開口配置する一方、各混合ユニット20の流出口51は、導出口12側に向けて開口配置している。
【0079】
このように構成した流体混合器M1では、以下のような作用効果が生起される。すなわち、混合ケース10内の導入口11と導出口12との間において、導入口側溜り空間Suと中継溜り空間Shとの間、中継溜り空間Shと中継溜り空間Shとの間、及び、中継溜り空間Shと導出口側溜り空間Sdとの間にそれぞれ混合ユニット20を連通させて配置しているため、混合ケース10内を流動する流体Rは、流動抵抗のない各溜り空間Su,Sh,Sdと、流動抵抗となる各混合ユニット20を交互に直列的に通過することで堅実に脈流となる。
【0080】
すなわち、流動抵抗が殆どない各溜り空間Su,Sh,Sd内を流動する流体Rの流速は、比較的大きいものの、混合機能を有する各混合ユニット20中を流動する流体Rは、流動抵抗を受けてその流速が比較的低減される。そのため、混合ケース10内を流動する流体Rの流速は、大→小→大→小→大と変化(激変)されて、流体Rの流れが堅実な脈流となる。その結果、各混合ユニット20中を流動際はもとより、混合ケース10内において脈流となって流動する際にもせん断効果が生起されて、相乗的なせん断効果が得られる。
【0081】
各混合ユニット20の上流側と下流側には、それぞれ各溜り空間Su,Sh,Sdを配置して、各混合ユニット20の流入口50は、導入口11側に向けて開口配置する一方、各混合ユニット20の流出口51は、導出口12側に向けて開口配置しているため、混合ケース10内における圧力損失を低減させることができる。そのため、流体混合器M1に流体を加圧して供給する循環ポンプPの電力消費量の低減を図ることができるとともに、混合処理済み流体である高濃度炭酸泉Rmの流出量(導出量)の増大化(効率化)を図ることができる。
【0082】
本実施形態では、循環ポンプPにより導入口11を通して混合ケース10に流体Rを加圧状態にて導入し、混合ケース10内に配設した混合ユニット20により流体Rを混合して、混合された高濃度炭酸泉Rmを導出口12から混合ケース10外に導出することができる。
【0083】
混合ユニット20では、面同士を対向状に配置した板状の第1エレメント30と第2エレメント40の始端縁部間である流入口50から流体Rを流入させて、両エレメント30,40の終端縁部間である流出口51から流出させるまでの間に、流入した流体Rを各凹部群32,42の対向する凹部34,44間にて合流と分流を繰り返しながら蛇行させて流動させることにより、堅実に高濃度炭酸泉Rmを生成することができる。
【0084】
この際、連続相と分散相からなる流体Rが流入口側(上流側)の凹部群32,42間を蛇行しながら流動する際に受けるせん断力により、分散相としての流体(本実施形態では炭酸ガス)が微細化された高濃度炭酸泉Rmが生成される。
【0085】
このように、各凹部群32,42の対向する凹部34,44間に流体Rが蛇行しながら合流と分流を繰り返しながら流入口50から流出口51に至る連続的な流路において、分散相としての流体が異なるせん断力を受けながら複数回にわたって微細化されるため、マイクロメートルオーダーないしはナノメートルオーダーへの微細化生成も堅実にかつ効率良く行うことができる。
【0086】
流体混合器M1では、混合ケース10内に、混合ユニット20を積層状に重合配置して形成した複数の混合ユニット積層体60を配設しているため、これらの混合ユニット積層体60により多量の高濃度炭酸泉Rmを生成することができる。したがって、高濃度炭酸泉Rmの生成効率を高めることができる。その結果、流体混合器M1には、流体Rを一度通過(1パス)させるだけでも混合精度(例えば、微細化性と均一化性)の高い高濃度炭酸泉Rmの生成することができ、所定回数通過させることで短時間に所望の高濃度炭酸泉Rmを得ることができる。
【0087】
[流体混合器M1の構成のより具体的な説明]
次に、前記した流体混合器M1の構成をより具体的に説明する。すなわち、混合ケース10は、一方向(本実施形態では左右方向)に伸延する四角形箱型に形成しており、左右方向に伸延する四角形板状の天井部13及び底部14と、天井部13及び底部14の前後左右側縁部間に介設した四角形板状の前・後・左・右側壁部15,16,17,18とにより形成している。右側壁部18の中央部には、円形の導入口11を設けて、導入口11に循環パイプJの中途部の上流側端部を連通連結し、循環パイプJを通して導入口11から流体Rを加圧状態にて導入するようにしている。左側壁部17の中央部には、導入口11よりも小径で円形の導出口12を設けて、導出口12に循環パイプJの中途部の下流側端部を連通連結し、混合ユニット20により混合された高濃度炭酸泉Rmを導出口12から循環パイプJを通して導出するようにしている。
【0088】
混合ユニット20の凹部群32は、開口形状が(底面視)正六角形で有底筒状の凹部34を幅方向(本実施形態では前後方向)にわたって隙間のない状態で伸延方向(本実施形態では左右方向)に複数列(本実施形態では4列)隣接させて垂設し、凹部34を下方に向けて開口させている。いわゆるハニカム状に多数の凹部34が形成されている。
【0089】
混合ユニット20の凹部群42は、第2エレメント40の対向面41の流入口50側に、底面視正六角形で有底筒状の凹部44を幅方向(本実施形態では前後方向)にわたって隙間のない状態で伸延方向(本実施形態では左右方向)に複数列(本実施形態では4列)隣接させて突設し、凹部44を上方に向けて開口させている。いわゆるハニカム状に多数の凹部44が形成されている。
【0090】
凹部群32を形成する凹部34と凹部群42を形成する凹部44同士は、対向させて配置するとともに相互に連通するように位置を違えて配置している。つまり、凹部34(44)の中心位置に、凹部44(34)の角部46(36)が位置する状態で当接している。したがって、例えば、第1エレメント30の凹部34側から第2エレメント40の凹部44側に流体Rが流れる場合を考えると、流体Rは、2つの流路に分流(分散)されることになる。すなわち、第1エレメント30の凹部34の中央位置に位置された第2エレメント40の角部46は、流体Rを分流する分流部として機能する。逆に、第2エレメント40側から第1エレメント30側に流体Rが流れる場合を考えると、2方から流れてきた流体Rが1つの凹部34に流れ込むことで合流することになる。この場合、第2エレメント40の凹部44の中央位置に位置された第1エレメント30の角部36は、合流部として機能する。
【0091】
混合ユニット20は、アクリル樹脂等の合成樹脂により各パーツ(構成部材)を形成して、これらを接着剤により一体的に接着することで一体的に構成することも、また、ステンレス鋼等の合金により各パーツを形成して、これらをビス止めにより一体的に組み付けることで一体的に構成するもできる。
【0092】
本実施形態では、流体Rの流動幅である混合ユニット20の左右幅W2(導入口から導出口へ向けて流動する流体Rの流動方向の幅)よりも、流体Rの流入・流出幅である混合ユニット20の前後幅W5(流体Rの流動方向と略直交する方向の幅であって、前・後壁部15,16の間隔と同一幅)を広幅となした帯状に形成している。導入口側溜り空間Suの左右幅W1は、混合ユニット20の左右幅W2と略同一幅となし、中継溜り空間Shの左右幅W3は、混合ユニット20の左右幅W2の略二分の一幅となし、導出口側溜り空間Sdの左右幅W4は、混合ユニット20の左右幅W2と略同一幅となしている。各溜り空間Su,Sh,Sdの前後幅と上下幅は、混合ケース10の内面の前後幅と上下幅と同一である。
【0093】
導入口側溜り空間Suの下流側面と、最上流側に配置した第1の混合ユニット積層体60の各流入口50とは、面接触して連通している。第1の混合ユニット積層体60の各流出口51と、最上流側に形成した第1の中継溜り空間Shの上流側面とは、面接触して連通している。第1の中継溜り空間Shの下流側面と、第2の混合ユニット積層体60の各流入口50とは、面接触して連通している。第2の混合ユニット積層体60の各流出口51と、第2の中継溜り空間Shの上流側面とは、面接触して連通している。第2の中継溜り空間Shの下流側面と、第3の混合ユニット積層体60の各流入口50とは、面接触して連通している。第3の混合ユニット積層体60の各流出口51と、第3の中継溜り空間Shの上流側面とは、面接触して連通している。第3の中継溜り空間Shの下流側面と、第4の混合ユニット積層体60の各流入口50とは、面接触して連通している。第4の混合ユニット積層体60の各流出口51と、導出口側溜り空間Sdの上流側面とは、面接触して連通している。
【0094】
このようにして、導入口11から導入されて導入口側溜り空間Suに充満した流体Rは、第1の混合ユニット積層体60の各流入口50から各混合ユニット20内に並列状態に流入して、各混合ユニット20内で蛇行しながら合流と分流(分散)を繰り返しながら流動することで、せん断力を受けて分散相である炭酸ガスが微細化されるとともに、浴槽湯等Wに均一に混合された高濃度炭酸泉Rmとなる。
【0095】
そして、高濃度炭酸泉Rmは、第1の混合ユニット積層体60の各混合ユニット20の各流出口51から流出されて、第1の中継溜り空間Shに充満される。第1の中継溜り空間Shに充満された高濃度炭酸泉Rmは、第2の混合ユニット積層体60の各流入口50から各混合ユニット20内に並列状態に流入して、各混合ユニット20内で第1の混合ユニット積層体60と同様に混合処理される。その結果、分散相である炭酸ガスがさらに微細化されるとともに、浴槽湯等Wに均一に混合された高濃度炭酸泉Rmとなる。
【0096】
続いて、高濃度炭酸泉Rmは、第2の混合ユニット積層体60の各混合ユニット20の各流出口51から流出されて、第2の中継溜り空間Shに充満される。第2の中継溜り空間Shに充満された高濃度炭酸泉Rmは、第3の混合ユニット積層体60の各流入口50から各混合ユニット20内に並列状態に流入して、各混合ユニット20内で第2の混合ユニット積層体60と同様に混合処理される。その結果、分散相である炭酸ガスがさらに微細化されるとともに、浴槽湯等Wに均一に混合された高濃度炭酸泉Rmとなる。
【0097】
次に、高濃度炭酸泉Rmは、第3の混合ユニット積層体60の各混合ユニット20の各流出口51から流出されて、第3の中継溜り空間Shに充満される。第3の中継溜り空間Shに充満された高濃度炭酸泉Rmは、第4の混合ユニット積層体60の各流入口50から各混合ユニット20内に並列状態に流入して、各混合ユニット20内で第3の混合ユニット積層体60と同様に混合処理される。その結果、分散相である炭酸ガスがさらに微細化されるとともに、浴槽湯等Wに均一に混合された高濃度炭酸泉Rmとなる。
【0098】
最後に、高濃度炭酸泉Rmは、第4の混合ユニット積層体60の各混合ユニット20の各流出口51から流出されて、導出口側溜り空間Sdに充満される。導出口側溜り空間Sdに充満された高濃度炭酸泉Rmは、導出口12から導出される。
【0099】
各混合ユニット20においては、流体Rの流動幅である各混合ユニット20の左右幅よりも、流体Rの流入・流出幅である各混合ユニット20の前後幅W5を広幅に形成しているため、大量の流体Rが短時間に各混合ユニット20を流動して通過する。
【0100】
このように、混合ケース10内では、流体Rないしは高濃度炭酸泉Rmが導入口11→導入口側溜り空間Su→第1の混合ユニット積層体60→第1の中継溜り空間Sh→第2の混合ユニット積層体60→第2の中継溜り空間Sh→第3の混合ユニット積層体60→第3の中継溜り空間Sh→第4の混合ユニット積層体60→導出口側溜り空間Sd→導出口12と流動する。
【0101】
この際、混合ケース10内では、比較的流路抵抗が小さい各溜り空間Su,Sh,Sdと、比較的流路抵抗が大きい第1〜第4混合ユニット積層体60が、交互に配置されているため、混合ケース10内を流動する流体Rないしは高濃度炭酸泉Rmの流速が、間欠的に激変する脈流となすことができる。そのため、流体Rは、各混合ユニット20中を流動する際にせん断力を受けることはもとより、混合ケース10内においても脈流となって流動される際にせん断力を受ける。その結果、流体Rに作用させるせん断効果を増大させて、分散相を超微細なナノメートルオーダー(1μm未満)に微細化することができて、1時間未満の短時間に大量の高濃度炭酸泉Rmを生成することができる。
【0102】
本実施形態では、混合ケース10内に所要枚数(10枚)の混合ユニット20を、積層状に重合させて配設することで、混合ユニット積層体60をコンパクトに形成することができるとともに、複数(4個)の混合ユニット積層体60を、上流側から下流側に間隔をあけて配設することで、各混合ユニット20による流体混合処理を同時に平行して効率良く行うことができる。したがって、混合ケース10内にコンパクトに配設された適当な個数の混合ユニット20により、適量の高濃度炭酸泉Rmを効率良く生成するとともに、混合ケース10から導出させることができる。
【0103】
前記のように構成した流体混合器M1は、水中ポンプの吐出部に導入口11を接続して、循環ポンプPの吸入部から吸入した異なる混合流体を、吐出部から流体混合器M内に吐出して流体混合器M1内を流動させることで、流体混合処理である高濃度炭酸泉Rmの生成を行うことができる。
【0104】
上記のように構成した流体混合器M1は、次のような第1〜第3の特徴的構成を有している。
【0105】
第1の特徴的構成は、
混合ケース内に、導入口側から導出口側に向けて複数の混合ユニットを相互に間隔をあけて直列的に配設して、混合ユニット間に中継溜り空間を形成するとともに、導入口と最上流側に配置した混合ユニットとの間に導入口側溜り空間を形成する一方、最下流側に配置した混合ユニットと導出口との間に導出口側溜り空間を形成して、
各溜り空間の間に、混合ユニットを連通させて配置するとともに、混合ユニットに設けた流入口は、導入口側に向けて開口配置する一方、混合ユニットに設けた流出口は、導出口側に向けて開口配置している。
【0106】
第1の特徴的構成では、混合ケース内の導入口と導出口との間において、導入口側溜り空間と中継溜り空間との間に混合ユニットを連通させて配置し、中継溜り空間と中継溜り空間との間に混合ユニットを連通させて配置及び/又は中継溜り空間と導出口側溜り空間との間に混合ユニットを連通させて配置しているため、混合ケース内を流動する流体は、流動抵抗のない各溜り空間と、流動抵抗となる各混合ユニットを交互に直列的に通過することで堅実に脈流となる。
【0107】
すなわち、流動抵抗が殆どない各溜り空間内を流動する流体の流速は比較的大きいものの、混合機能を有する各混合ユニット中を流動する流体は流動抵抗を受けてその流速が比較的低減される。そのため、混合ケース内を流動する流体の流速は大→小→大→小→大と変化(激変)されて、流体の流れが堅実な脈流となる。その結果、各混合ユニット中を流動する際はもとより、混合ケース内において脈流となって流動する際にもせん断効果が生起されて、相乗的なせん断効果が得られる。
【0108】
また、各混合ユニットの上流側と下流側にはそれぞれ各溜り空間を配置して、各混合ユニットに設けた流入口は導入口側に向けて開口配置する一方、各混合ユニットに設けた流出口は導出口側に向けて開口配置しているため、混合ケース内における圧力損失を低減させることができる。そのため、流体混合器に流体を加圧して供給する循環ポンプの電力消費量の低減を図ることができるとともに、高濃度炭酸泉の流出量(導出量)の増大化(効率化)を図ることができる。
【0109】
第2の特徴的構成は、
混合ケース内に、複数の第1の特徴的構成の混合ユニットを積層状に重合配置して形成した混合ユニット積層体を、第1の特徴的構成の混合ユニットに代えて配設している。
【0110】
第2の特徴的構成では、混合ケース内に、混合ユニットを積層状に重合配置して形成した複数の混合ユニット積層体を配設しているため、これらの混合ユニット積層体により多量の混合流体を生成することができる。したがって、高濃度炭酸泉の生成効率を高めることができる。
【0111】
第3の特徴的構成である混合ユニットは、板状の第1エレメントと第2エレメントの面同士を対向状に配置して、両エレメントの始端縁部間を流入口となす一方、両エレメントの終端縁部間を流出口となし、両エレメントの各対向面には同一の深さと大きさを有する複数の凹部群を流入口側から流出口側に向けて間隔をあけて区分して形成するとともに、対向する凹部同士は相互に連通するように位置を違えて配置して、各凹部群の対向する凹部間には流体が蛇行しながら合流と分流を繰り返しながら流入口側から流出口側に向けて流動するように構成している。
【0112】
第3の特徴的構成では、例えば、循環ポンプにより導入口を通して混合ケースに湯ないしは水と炭酸ガスを加圧状態にて導入し、混合ケース内に配設した混合ユニットないしは混合ユニット積層体により導入された湯ないしは水と炭酸ガスを混合して高濃度炭酸泉となして、高濃度炭酸泉を導出口から混合ケース外に導出することができる。
【0113】
そして、混合ユニットでは、面同士を対向状に配置した板状の第1エレメントと第2エレメントの始端縁部間である流入口から複数の異なる流体を流入させて、両エレメントの終端縁部間である流出口から流出させるまでの間に、流入した流体を各凹部群の対向する凹部間にて合流と分流を繰り返しながら蛇行させて流動させることにより、堅実に高濃度炭酸泉を生成することができる。
【0114】
この際、連続相と分散相からなる流体が流入口側(上流側)の凹部群間を蛇行しながら流動する際に受けるせん断力により分散相としての炭酸ガスが微細化された高濃度炭酸泉が生成される。
【0115】
このように、各凹部群の対向する凹部間に流体が蛇行しながら合流と分流を繰り返しながら流入口から流出口に至る連続的な流路において、分散相としての炭酸ガスが異なるせん断力を受けながら複数回にわたって微細化されるため、炭酸ガスがマイクロメートルオーダーないしはナノメートルオーダーに微細化された高濃度炭酸泉の生成も堅実にかつ効率良く行うことができる。
【0116】
[第2実施形態としての流体混合器M2の説明]
図10〜
図12に示すM2は、第2実施形態としての流体混合器である。流体混合器M2は、その内部において、混合処理対象である流体(本実施形態では浴槽湯等Wと炭酸ガス)Rを圧送状態にて流動させることで、微細化かつ均一化して混合するものである。
【0117】
流体混合器M2は、
図10〜
図12に示すように、複数の異なる流体Rを加圧状態にて導入する導入口111を設けた混合ケース110に、導入口111から導入された複数の異なる流体Rを混合する混合処理体120を配設して、混合処理体120により混合された混合流体Rmが、混合ケース110に設けた導出口112を通して導出されるように構成している。混合処理体120は、三層の板状層130,140,150を積層して形成し、混合ケース110内において導入口111と導出口112を連通する流体流路160と直交状態に配置している。各板状層130,140,150には、それぞれ多数の流通孔131,141,151を貫通状態に形成するとともに、縦横に整列させて形成している。隣接して積層する板状層130,140(140,150)同士の流通孔131,141(141,151)は、相互に連通するとともに位置を違えて配列している。
【0118】
このように構成した混合処理体120では、上流側である第1の板状層130の各流通孔131から流入した流体Rが、その板状層130に隣接して相互に連通するとともに位置を違えて配列した第2の板状層140の各流通孔141に蛇行しながら流入し、さらには、その板状層140に隣接して相互に連通するとともに位置を違えて配列した第3の板状層150の各流通孔151に蛇行しながら流入することで混合される。
【0119】
混合処理体120は、三層の板状層130,140,150を一つのユニット層として、複数(本実施形態では、三個)のユニット層を混合ケース110内において流体流路160に沿わせるとともに間隔をあけて直列的に配置している。
【0120】
また、混合処理体120は、三層の板状層130,140,150を一つのユニット層として、複数のユニット層を混合ケース110内において流体流路160に沿わせて積層して形成することもできる。すなわち、本実施形態では、三層の板状層130,140,150を一つのユニット層として混合処理体120を形成しているが、例えば、二つのユニット層を流体流路160に沿わせて積層することで、単一の混合処理体120を形成し、この混合処理体120を混合ケース110内に間隔をあけて複数個配置することもできる。
【0121】
より具体的に説明すると、混合ケース110は、四角形筒状に形成したケース本体113と、ケース本体113の前端面を閉塞する四角形板状の前端壁114と、ケース本体113の後端面を閉塞する四角形板状の後端壁115と、から形成している。前端壁114の中央部には、円形の導入口111を設けて、導入口111に後述する循環パイプJの中途部の上流側端部を連通連結し、循環パイプJを通して導入口111から流体Rを加圧状態にて導入するようにしている。後端壁115の中央部には、導入口111と同径で円形の導出口112を設けて、導出口112に循環パイプJの中途部の下流側端部を連通連結し、混合処理体120により混合された混合流体Rmを導出口112から循環パイプJを通して導出するようにしている。
【0122】
混合処理体120を形成する三層の板状層130,140,150は、それぞれケース本体113の内周面形状と同形状の四角形板状で、かつ、同一肉厚に形成しており、これらの板状層130,140,150は、積層状態に一体的に接着して混合処理体120を形成している。そして、ケース本体113内に混合処理体120を流体流路160と直交状態に配置して収容している。なお、混合処理体120は、三層の板状層130,140,150を一体に成形することもできる。各板状層130,140,150に整列させて設けた多数の流通孔131,141,151は、同形・同大の正六角形に形成して、六個の角部を有している。
【0123】
第1の板状層130に設けた六個の角部を有する各流通孔131は、時計廻りに一個おきの三個の角部に、第2の板状層140の三個の流通孔141がそれぞれ有する一個の角部を、相互に一部重合状態に連通させて三個の上流側連通孔170を形成している。また、反対に、第2の板状層140に設けた六個の角部を有する各流通孔141は、時計廻りに一個おきの三個の角部に、第1の板状層130の三個の流通孔131がそれぞれ有する一個の角部を、相互に一部重合状態に連通させて三個の上流側連通孔170を形成している。
【0124】
第2の板状層140に設けた流通孔141の角部の内、流通孔131の角部と連通していない残余の三個の流通孔141の角部は、第3の板状層150の三個の流通孔151がそれぞれ有する一個の角部を、相互に一部重合状態に連通させて三個の下流側連通孔180を形成している。反対に、第3の板状層150に設けた六個の角部を有する流通孔151は、時計廻りに一個おきの三個の角部に、第2の板状層140の三個の流通孔141がそれぞれ有する一個の角部を、相互に一部重合状態に連通させて三個の下流側連通孔180を形成している。
【0125】
なお、混合ケース110の形状は、本実施形態のものに限定されるものではなく、例えば、ケース本体113を円筒状に形成し、前・後端壁114,115をケース本体113の外径と同一の外径である円板状に形成し、板状層130,140,150をケース本体113の内径と同一の外径である円板状に形成することもできる。流通孔131,141,151の形状は、本実施形態のような正六角形に限られるものではなく、例えば、菱形に形成することもできる。この場合、二個の上流側連通孔170と、二個の下流側連通孔180を形成する。
【0126】
混合処理体120,120間には、中継溜り空間Shを形成するとともに、導入口111と最上流側に配置した混合処理体120との間に導入口側溜り空間Suを形成している。一方、最下流側に配置した混合処理体120と導出口112との間には、導出口側溜り空間Sdを形成している。各溜り空間Su,Sh,Sh,Sdの間には、混合処理体120を連通させて配置している。
【0127】
本実施形態では、混合ケース110内に複数(本実施形態では3個)の混合処理体120を上流側から下流側に向けて一定の間隔をあけて直列的に配設している。各混合処理体120の第1の板状層130の流通孔131は、導入口111側に向けて開口配置する一方、各混合処理体120の第3の板状層150の流通孔151は、導出口112側に向けて開口配置している。第2の板状層140の流通孔141は、流通孔131と流通孔151との間に連通状態で配置している。そして、混合ケース110の内周面と混合処理体120の外周面とは、密閉状態となして、流体Rは、流通孔131,141,151を通して流体流路160を流動するようにしている。
【0128】
このように構成した混合処理体120では、一つの流通孔131に流体Rが流入すると、その流通孔131の三個の角部からそれぞれ上流側連通孔170を通して三個の流通孔141に流体Rが分流する。分流した流体Rは、各流通孔141内において、流通孔131に流体Rが流入した方向とは直交する方向に流動して合流する。そして、合流した流体Rは、流通孔141の三個の角部からそれぞれ直交する方向である下流側連通孔180を通して三個の流通孔151に再分流する。このように、全ての流通孔131から流入した流体Rは、同様に、流通孔131,141,151において、直交する方向に分流と合流と再分流を連続的に繰り返す。したがって、流通孔151から流出した流体Rの分散相は、分流と合流を繰り返しながら蛇行状に流動されることで、複数回にわたってせん断力を受けながら微細化される。そのため、マイクロメートルオーダーないしはナノメートルオーダーへの微細化生成が堅実にかつ効率良く行われる。その結果、流体Rの分散相は、均一化かつ超微細化される。
【0129】
この際、混合ケース110内には、三層の板状層130,140,150を一つのユニット層とする三個の混合処理体120が、流体流路160に沿って間隔をあけて直列的に配置されている。すなわち、混合ケース110内の導入口111と導出口112との間において、導入口側溜り空間Suと中継溜り空間Shとの間、中継溜り空間Shと中継溜り空間Shとの間、及び、中継溜り空間Shと導出口側溜り空間Sdとの間にそれぞれ混合処理体120を連通させて配置しているため、混合ケース110内を流動する流体Rは、流動抵抗のない各溜り空間Su,Sh,Sh,Sdと、流動抵抗となる各混合処理体120を交互に直列的に通過することで、堅実に脈流となって均一化される。そして、流動抵抗のない各溜り空間Su,Sh,Sdにおいては、流体Rが整流化されるため、均一化が促進される。
【0130】
更に付言すると、流動抵抗が殆どない各溜り空間Su,Sh,Sh,Sd内を流動する流体Rの流速は、比較的大きいものの、混合機能を有する各混合処理体120中を流動する流体Rは、流動抵抗を受けてその流速が比較的低減される。そのため、混合ケース110内を流動する流体Rの流速は、大→小→大→小→大と変化(激変)されて、流体Rの流れが堅実な脈流となる。その結果、各混合処理体120中を流動する際はもとより、混合ケース110内において脈流となって流動する際にもせん断効果が生起されて、相乗的なせん断効果が得られる。
【0131】
各混合処理体120の上流側と下流側には、それぞれ各溜り空間Su,Sh,Sh,Sdを配置して、各混合処理体120の第1の板状層130の流通孔131は、導入口111側に向けて開口配置する一方、各混合処理体120の第3の板状層150の流通孔151は、導出口112側に向けて開口配置しているため、混合ケース110内における圧力損失を低減させることができる。そのため、流体混合器M2に流体を加圧して供給する後述の循環ポンプPの電力消費量の低減を図ることができるとともに、混合処理済み流体である混合流体Rmの流出量(導出量)の増大化(効率化)を図ることができる。
【0132】
本実施形態では、循環ポンプPにより導入口111を通して混合ケース110に流体Rを加圧状態にて導入し、混合ケース110内に配設した混合処理体120により流体Rを混合して、混合された混合流体Rmを導出口112から混合ケース110外に導出することができる。
【0133】
上記のように構成した流体混合器M2は、次のような第1・第2の特徴的構成を有している。
【0134】
第1の特徴的構成は、混合処理対象である複数の異なる流体を加圧状態にて導入する導入口を設けた混合ケース内に、導入口から導入された複数の異なる流体を混合する混合処理体を配設して、混合処理体により混合された混合流体が、混合ケースに設けた導出口を通して導出されるようにした流体混合器であって、
混合処理体は、三層の板状層を積層して形成し、混合ケース内において導入口と導出口を連通する流体流路と直交状態に配置し、
各板状層には、多数の流通孔を整列させて形成し、
隣接して積層する板状層同士の流通孔は、相互に連通するとともに位置を違えて配列して、
混合処理体では、上流側である第1の板状層の各流通孔から流入した複数の異なる流体が、その板状層に隣接して相互に連通するとともに位置を違えて配列した第2の板状層の各流通孔に蛇行しながら流入し、さらには、その板状層に隣接して相互に連通するとともに位置を違えて配列した第3の板状層の各流通孔に蛇行しながら流入することで混合されるようにしている。
【0135】
第1の特徴的構成では、上流側である第1の板状層の各流通孔から流入した流体が、その板状層に隣接して相互に連通するとともに位置を違えて配列した第2の板状層の各流通孔に蛇行しながら流入し、さらには、その板状層に隣接して相互に連通するとともに位置を違えて配列した第3の板状層の各流通孔に蛇行しながら流入することで混合される。
【0136】
第2の特徴的構成は、第1の特徴的構成であって、
混合処理体は、三層の板状層を一つのユニット層として、複数のユニット層を混合ケース内において流体流路に沿わせるとともに間隔をあけて直列的に配置している。
【0137】
第2の特徴的構成では、混合ケース内には、三層の板状層を一つのユニット層とする複数の混合処理体が、流体流路に沿って間隔をあけて直列的に配置されて、各混合処理体同士の間に空間が形成されているため、混合ケース内を流動する流体は、流動抵抗のない各空間と、流動抵抗となる各混合処理体を交互に直列的に通過することで、堅実に脈流となって均一化される。そして、流動抵抗のない各空間においては、流体が整流化されるため、均一化が促進される。
【実施例】
【0138】
前記のように構成した生成装置A1により高濃度炭酸泉を生成する実験を行った。循環ポンプPとしてはエレポン化工機(株)製の「マグネットポンプ」(商品名)を使用した。浴槽湯300リットル内に生成装置A1の吸入部1と吐出部2を浸漬させて、循環ポンプPを駆動させた。この時の浴湯の温度は41℃であった。循環ポンプPの駆動開始から20分経過後の浴湯の炭酸濃度を計測すると、1028ppmの高濃度炭酸泉になっていた。そして、循環ポンプPの駆動を停止させて、45分経過後に浴湯の炭酸濃度を計測すると、炭酸濃度は1012ppmの高濃度炭酸泉の状態に保持されていた。また、浴湯の温度を40℃〜42℃に保持したまま、循環ポンプPを2時間にわたって継続して駆動させた。この場合にも、炭酸濃度は1000ppm以上の高濃度炭酸泉の状態に維持されていた。
【0139】
以上のことから、生成装置A1によれば、通常の浴槽湯(例えば、容積300リットルの浴槽、浴槽湯の温度41℃)を25分未満で堅実に高濃度炭酸泉となすことができるとともに、生成装置A1の駆動停止後も高濃度炭酸泉の状態が45分間以上保持されることが分かった。