特許第6339740号(P6339740)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジェムアルト エスアーの特許一覧

特許6339740保全素子のOTAキャンペーンに対する適格性の動的検出方法と対応するOTAサーバ
<>
  • 特許6339740-保全素子のOTAキャンペーンに対する適格性の動的検出方法と対応するOTAサーバ 図000002
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6339740
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】保全素子のOTAキャンペーンに対する適格性の動的検出方法と対応するOTAサーバ
(51)【国際特許分類】
   H04W 8/24 20090101AFI20180528BHJP
   H04W 4/12 20090101ALI20180528BHJP
   H04W 92/08 20090101ALI20180528BHJP
【FI】
   H04W8/24
   H04W4/12
   H04W92/08
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-513677(P2017-513677)
(86)(22)【出願日】2015年9月15日
(65)【公表番号】特表2017-531380(P2017-531380A)
(43)【公表日】2017年10月19日
(86)【国際出願番号】EP2015071005
(87)【国際公開番号】WO2016046015
(87)【国際公開日】20160331
【審査請求日】2017年3月10日
(31)【優先権主張番号】14306451.7
(32)【優先日】2014年9月22日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】309014746
【氏名又は名称】ジェムアルト エスアー
(74)【代理人】
【識別番号】100086368
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 誠
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエル ペレイラ
(72)【発明者】
【氏名】トリスタン ボワトゥ
(72)【発明者】
【氏名】キム デピュッセ
【審査官】 松本 光平
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−504389(JP,A)
【文献】 特表2009−535873(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/139600(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0252240(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保全素子(11)の遠隔管理の方法であって、各保全素子(11)は通信ネットワーク内の通信端末と協働し、前記遠隔管理はOTAサーバ(10)によって実現され、
前記方法は、
−所定の時間枠内に前記OTAサーバ(10)をポーリングしなかった保全素子(11)を検出する段階と;
−前記保全素子(11)の適格性を検査する段階と;
−前記所定の時間枠内に前記OTAサーバ(10)をポーリングせず、前記遠隔管理に対して適格性のある前記保全素子(11)にメッセージを送って前記保全素子(11)を更新する段階と;
から構成される方法。
【請求項2】
前記保全素子(11)に送られた前記メッセージは、SMSメッセージである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
通信ネットワーク内の通信端末と協働する保全素子(11)を更新するOTAサーバ(10)であって、
前記OTAサーバ(10)は、
−所定の時間枠内に前記OTAサーバ(10)をポーリングしなかった保全素子(11)を検出する手段(16)と;
−前記保全素子(11)の適格性を検査する手段(12)と;
−前記所定の時間枠内に前記OTAサーバ(10)をポーリングせず、遠隔管理に対して適格性のある前記保全素子(11)にメッセージを送って前記保全素子(11)を更新する手段;
とから構成されるOTAサーバ。
【請求項4】
所定の時間枠内に前記OTAサーバ(10)をポーリングしなかった保全素子(11)を検出する前記手段(16)は、
ポーリングシミュレータ(16)によって構成される請求項3に記載のOTAサーバ。
【請求項5】
前記保全素子(11)に送られた前記メッセージは、SMSメッセージである請求項3又は4に記載のOTAサーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信分野に係り、特に電話機、スマートフォン、PDA又はコンピュータなどの携帯デバイスを含むデバイスと相互動作するUICC(汎用集積回路カード)、eSE(埋設保全素子)、メモリカード、マイクロ−SDカード又はeUICC(埋設UICC)のような保全素子の遠隔管理に関する。
保全素子は、また、M2M(マシーン トゥ マシーン)分野での回路のように、マシーンに組込まれた回路の形で存在することも出来る。保全素子は物理的に端末に接続されている必要はなく、保全素子が遠隔に設置され、端末と近距離チャネル(例えば、ブルートゥース(登録商標)又はWi−Fi)を介して通信する近距離接続によって通信することも出来る。
【背景技術】
【0002】
このような保全素子の管理は、一般的にはOTA(Over The Air)により実施され、保全素子にプログラムやデータを読み込んだり更新したりする。この種の管理にはHTTP(ハイパーテキスト伝送プロトコル)プロトコルが使用され、これはHTTPによる‘RFM’(遠隔ファイル管理)又は‘RAM’(遠隔管理)とも呼ばれている。
【0003】
保全素子の管理には2つの方法がある。
第1の方法は、例えば、固定保全素子リストを使用してプッシュモード(push mode)で保全素子をアドレスする方法である。保全素子のリストはキャンペーンの実施に先立って選択基準に従って作成され、保全素子はキャンペーン中にアドレスされる。
【0004】
しかし、OTAキャンペーンを介して更新すべき保全素子の目標リストは、キャンペーンの実行中に常に進化している(新しい加入者情報が活性化される;カード又は保全素子が一つのデバイスから他のデバイスへと切替えられる;カードが取り替えられる等々)。保全素子の数が数百万個と多くこの分野にあるすべての保全素子に到達するためにキャンペーン期間が数週間又は数カ月と長い場合には上述の制限は危険である。
【0005】
例えば、仮にMNO(移動ネットワークオペレータ)がOTAプラットホームで新規の加入者情報を提供しており、新しく提供された保全素子にもその資格があるようなキャンペーンを行っている場合には、MNOは新しく提供された加入者情報を更新するために2度目のキャンペーンを行う必要が出てくる。
【0006】
第2の方法は、動的適格技法を用いてプルモード(Pull mode)でHTTPによるキャンペーン管理を実行する方法である。
この方法では、目標リストは作成されず、保全素子は適格基準に基づいて定義される。保全素子はOTAプラットホームにコンタクトするよう規則的にポーリングを行い、継続中の更新情報があるか否かをチェックする。この適格基準は保全素子がポーリングを行っており、キャンペーンの開始後に展開された到達保全素子を許容する特典を与えている場合には評価し得る。
【0007】
しかし、この方法は、HTTPベアラをサポートする保全素子のみしかサポートしていないという大きな制限があると共に、保全素子の更新が必要でなかったり、ほんのわずかな保全素子しか更新の必要がない場合には重大な欠点が存在する(数百万個の保全素子とOTAプラットホームとの間の周期的なHTTPポーリングセッションをサポートするために重要なネットワークトラフィックが生成される)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、遠隔動作を行うために使用されるベアラ(SMS,CAFTP,HTTP,等々)がどんなものであっても動的目標リストを用いたOTAキャンペーンを管理する方法を見出すことにある。なお、CAT−TPはカードアプリケーションツールキット伝送プロトコル(Card Application Toolkit Transport Protocol)を表わす。
上記課題は以下の方法により達成される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の方法は、保全素子の更新のための少なくとも1つのOTAキャンペーンに対しての保全素子の適格性を動的に検出する方法であって、前記方法は、所定の時間枠内にOTAサーバをポーリングしなかった保全素子を検出する段階と、保全素子の適格性を検査する段階と、所定の時間枠内に前記OTAサーバをポーリングせず、OTAキャンペーンに対して適格性のある保全素子にメッセージを送って保全素子を更新する段階と、から構成される。
【0010】
従って、本発明では、所定日以降OTAサーバをポーリングせず、かつ更新適格性のある保全素子に対して前述したプッシュモード(push mode)を適用するようにしている。
好ましくは、保全素子に送られたメッセージは、保全素子によってサポートされているベアラのとは独立したSMSメッセージである。
【0011】
本発明は、また、以下のOTAサーバにも関する。
通信ネットワーク内の通信端末と協働する保全素子を更新するOTAサーバであって、前記OTAサーバは、所定の時間枠内にOTAサーバをポーリングしなかった保全素子を検出する手段と、保全素子の適格性を検査する手段と、所定の時間枠内にOTAサーバをポーリングせず、OTAキャンペーンに対して適格性のある保全素子にメッセージを送って保全素子を更新する手段、とから構成される。
本発明の他の特徴及び利点は、図1を参照した以下の好ましい実施例の記載から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例に係るシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1において、OTAサーバ10は、保全素子11を更新するために用いられる。
図1では、保全素子11は1つのみが図示されている。保全素子11の更新は、従来OTAキャンペーン中に実施される。各保全素子11は通信ネットワーク内の通信端末(図示せず)と協働する。保全素子は、例えば、UICC,SIMカード又は埋設保全素子(eSE)である。
【0014】
前述した、保全素子11を管理する第2の方法によれば、各保全素子は規則的にHTTPを介してOTAサーバ10をポーリングし(ステップ20)、OTAサーバ10が保全素子11を更新しなければならないか否かをチェックする。サーバ10は保全素子11の更新の適格性をチェックする手段12を備えている。適格性は保全素子11にダウンロードすべきデータ又はプログラムが存在するか否かをチェック(検査)することにより行なわれる。保全素子(SE)に更新の適格性があれば、SEマネジャ13はポーリングステップ20でも使用された接続レイヤ14を介してOTAコマンドをSE11に送る。
【0015】
コマンドをSE11に送った後(更新が成功裏になされたかのチェック後)、接続レイヤ14は、どのコマンドがSE11に送られた(どのプログラムがダウンロード又は更新されている)かと、SE11の更新の日付とを登録するためにデータベース15にログ(log)を送る。この日付は、以後、最新ポーリング日付(Last_Polling_Date)と呼ばれ、SE11がOTAサーバ10をポーリングしてOTAで送られるべき潜在的更新を問い合わせた最後の時刻に相当する。
【0016】
OTAサーバ10は保全素子11とSMS,CAT−TP及びHTTPベアラを使って通信することができる。保全素子からプラットホームへのポーリング技法はHTTPベアラのみを使用する(データチャネル)。
この方法は、従来の(公知の)方法による保全素子11の管理方法に対応する(プルモード)。
【0017】
本発明によれば、OTAサーバは、保全素子11の完全データベース15を周期的に分析し、各SE11について、OTAサーバ10を当然にはポーリングしていないポーリング(ステップ21)をシミュレーションするポーリングシミュレータ16を備えている。
ポーリングを行っていない保全素子11は、SMSベアラ(一般に2G又は3G加入者)のみを使用しているもの、HTTPプロトコルをサポートしていないもの、BIP(ベアラ独立プロトコル)適合でない保全素子のみならずポーリングはサポートされていても地理上の位置故に(データカバレッジ問題、ローミング状況等々)ポーリングしていない通信端末と協働するものである。
【0018】
ポーリングシミュレータ16は、これらの保全素子11が実際にポーリングを行ったかどうかのポーリングをシミュレーションするため(ステップ21)Last_Polling_Date基準を使用する。
シミュレートされたポーリングは保全素子11の更新の適格性をチェックする手段12にアドレスされる。所定の時間枠内にポーリングを行なわなかったこれらの保全素子の適格性チェック後、更新が必要又は可能な保全素子がSEマネジャ13に示され、SEマネジャ13は、これらの保全素子11にOTAコマンドを送る。これにより、OTAサーバをポーリングしなかった保全素子であっても更新が行なわれる。
【0019】
適合性チェック(検査)は、HTTPを介してプルモードでのキャンペーン管理で以前使用されたものと同一である。
このように、ポーリングシミュレータ16は所定の時間枠内(所定の時刻から)にOTAサーバ10をポーリングしなかった保全素子のポーリングをシミュレートする。
これらの保全素子はOTAサーバ(適格性チェック手段12のレベルで)によって、実際にポーリングしたものと考慮される。
【0020】
このように、本発明は、所定の時刻から(例えば、2週間前からポーリングを行っていない)OTAサーバ10とコンタクトしなかった保全素子にプッシュモードで入ることを提案している。OTAサーバ10は更新される各SEに適用されるベアラを使用する:SMSのみをサポートしている保全素子はSMS(プッシュSMS)を介して更新され、これらのサポートしているHTTPはHTTP(プッシュHTTP)を介して更新される。
保全素子に送られるデータ又はコマンドの大きさも考慮されうる:これらのデータやコマンドがSMS(およそ1Kb未満のサイズ)に入り得るとすると、プッシュSMSは、例えばHTTPセッションの確立に好ましいといえる。
【0021】
その他の方法は、サポートしているベアラから独立して保全素子をアドレスすることである。これは、すべての保全素子がSMSを介してのみアドレスされることを意味する。これは、例えば、データカバレッジ下(HTTP不可能)にはないが、ネットワークカバレッジ下(SMSメッセージを受信できる)にある保全素子は更新されることを確実にする。
これは、また、例えば、ユーザが外国にいてデータトラフィックの課金を避けるためにデータの受信を切断した端末に備えられた保全素子の更新を可能にする。
【0022】
本発明によれば、ポーリングをシミュレートし、適格性のある場合には保全素子をプッシュモードで更新するので周期的なポーリングを活性化することなくHTTP保全素子を展開することが可能になる。
本発明の利点は、ネットワークリソースを最大限に利用できる点にある。
さらに、周期的ポーリングが活性化されて展開された保全素子では、BIP不適合端末内に挿入されるカードはOTAサーバをポーリングすることはできない。
本発明では、ポーリングシミュレータにより、交替のベアラ(SMS)を使用して遠隔OTA動作を実行することが可能となる。
図1