特許第6339741号(P6339741)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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6339741抗N3pGlu Aベータ抗体+BACE阻害剤を用いたアルツハイマー病の併用療法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6339741
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】抗N3pGlu Aベータ抗体+BACE阻害剤を用いたアルツハイマー病の併用療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/542 20060101AFI20180528BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20180528BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20180528BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20180528BHJP
   C07D 513/04 20060101ALN20180528BHJP
【FI】
   A61K31/542
   A61K39/395 N
   A61P43/00 121
   A61P25/28
   !C07D513/04 375
   !C07D513/04CSP
【請求項の数】15
【全頁数】64
(21)【出願番号】特願2017-514623(P2017-514623)
(86)(22)【出願日】2015年9月8日
(65)【公表番号】特表2017-529348(P2017-529348A)
(43)【公表日】2017年10月5日
(86)【国際出願番号】US2015048807
(87)【国際公開番号】WO2016043997
(87)【国際公開日】20160324
【審査請求日】2017年3月31日
(31)【優先権主張番号】62/050,967
(32)【優先日】2014年9月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100176094
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 満
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】メイ,パトリック コルネリウス
(72)【発明者】
【氏名】メルゴット,ダスティン ジェームズ
【審査官】 参鍋 祐子
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6095844(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/542
A61K 39/395
A61P 25/28
A61P 43/00
C07D 513/04
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者におけるアルツハイマー病を処置するための医薬組成物であって、式:
【化1】

で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含み、抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体と併用して、そのような処置を必要とする患者に投与される、医薬組成物。
【請求項2】
前記抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体が、B12L又はR17Lである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体が、B12Lである、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記化合物が、N−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4a,5,6,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a(4H)−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミドである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記化合物が、結晶形態2のN−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4a,5,6,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a(4H)−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミドである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記結晶形態2のN−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4a,5,6,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a(4H)−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミドが、0.2°の回折角に対する公差で、回折角2θが11.8°のX線回折スペクトルの実質的ピークと、18.6°、19.3°及び26.7°からなる群から選択される1つ又は複数のピークにより特徴づけられる、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記化合物と前記抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体が、同時に投与される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記化合物が、前記抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体の投与前に投与される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体が、前記化合物の投与前に投与される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
1種又は複数の薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤を有する抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体の医薬組成物と併用される、1種又は複数の薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤を有する式:
【化2】

で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物。
【請求項11】
前記抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体が、B12L又はR17Lである、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体が、B12Lである、請求項10又は請求項11のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記化合物が、N−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4a,5,6,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a(4H)−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミドである、請求項10〜12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記化合物が、結晶形態2のN−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4a,5,6,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a(4H)−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミドである、請求項10〜13のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記結晶形態2のN−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4a,5,6,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a(4H)−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミドが、0.2°の回折角に対する公差で、回折角2θが11.8°のX線回折スペクトルの実質的ピークと、18.6°、19.3°及び26.7°からなる群から選択される1つ又は複数のピークにより特徴づけられる、請求項14に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(併用療法)
本発明は、BACE阻害剤と抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体との併用、及びアルツハイマー病などの特定の神経障害を処置するために該併用を用いる方法に関する。
【0002】
本発明は、アルツハイマー病、並びにアミロイド前駆体タンパク質(APP)の神経毒性で高凝集性のペプチドセグメントであるアミロイドβ(Aベータ)ペプチドを含む他の疾患及び障害の処置の分野にある。アルツハイマー病は、世界全体で数百万人の患者が罹患する破壊的な神経変性障害である。現在認可された市販薬は患者に一時的な症状効果を与えるに過ぎず、アルツハイマー病の処置には未だ適えられていない少なからぬ要件が存在する。
【背景技術】
【0003】
アルツハイマー病は、脳内のAベータの生成、凝集、及び沈着を特徴とする。ベータセクレターゼ(ベータ部位アミロイド前駆体タンパク質切断酵素;BACE)の完全又は部分的阻害が、マウスモデルにおいてプラーク関連及びプラーク依存性の病理に対して有意な影響を有することが示されている。このことは、Aベータペプチドレベルの小さな低下でさえもプラーク量及びシナプス欠陥の長期にわたる有意な低減をもたらし得、これにより特にアルツハイマー病の処置において、有意な治療効果を提供し得ることが示唆される。
【0004】
その上、N3pGlu Aベータを特異的に標的化する抗体が、インビボでプラークレベルを低下させることが示された(米国特許出願公開第2013/0142806号)。N3pGlu AベータはN3pE又はAベータp3−42とも称され、プラーク内のみで見出されるAベータペプチドのトランケート化形態である。N3pGlu Aベータペプチドは、脳内に沈着したAベータの微量成分であるが、N3pGlu Aベータペプチドが凝集特性を有し、沈着カスケードの早期に蓄積することは、研究によって実証されている。
【0005】
BACE阻害剤とN3pGlu Aベータペプチドに結合する抗体との併用は、アルツハイマー病などのAベータペプチド媒介性障害の処置を提供するのに望ましく、いずれか一方の薬物単独よりも効果的になり得る。例えばそのような併用での処置は、単独で用いられる各薬物と比較して、いずれか一方又は両方の薬物をより低用量で使用させることができ、有効性を維持しながら副作用を低減する可能性がある。N3pG抗体及びBACE阻害剤によって沈着形態のAベータの除去をターゲットにすることで、既存のプラーク沈着の食細胞除去が促進され、同時にAベータ産生を阻害することによってAベータのさらなる沈着が低減又は阻害されるであろうと考えられる。
【0006】
米国特許出願公開第2009/0209755号には、BACE阻害活性を有し、さらにアルツハイマー型認知症などのAβペプチドによる神経変性疾患のための有用な治療薬として開示された、融合アミノジヒドロチアジン誘導体が開示されている。加えて、J. Neuroscience, 31(46), pages 16507-16516 (2011)には、経口投与されるCNS活性BACE阻害剤(S)−4−(2,4−ジフルオロ−5−ピリミジン−5−イル−フェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−[1,3]チアジン−2−イルアミンが開示されている。米国特許第8,278,334号には、置換された環状アミンBACE−1阻害剤を抗アミロイド抗体と共に投与することを含む、認知性又は神経変性疾患を処置する方法が開示されている。さらにJ. Neuroscience, 34(35), pages 11621-11630 (2014)には、BACE阻害剤及び抗Aベータ抗体ガンテネルマブ(Gentenermab)との併用処置がAPPLondonマウスのアミロイド減少を増進することが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって本発明は、認知性又は神経変性疾患を処置する方法であって、有効量のBACE阻害剤を有効量の抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体と併用して、そのような処置を必要とする患者に投与することを含む、方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
より具体的には本発明は、認知性又は神経変性疾患を処置する方法であって、有効量の式I:
【化1】

(式中、Rは、H又はFであり;
Aは、
【化2】

である)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を、有効量の抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体と併用して、そのような処置を必要とする患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0009】
本発明はまた、Aベータの形成及び沈着を特徴とする疾患を処置する方法であって、有効量の式Iで示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を、有効量の抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体と併用して、そのような処置を必要とする患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0010】
本発明はさらに、アルツハイマー病を処置する方法であって、有効量の式Iで示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を、有効量の抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体と併用して、そのような処置を必要とする患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0011】
本発明はまた、軽度アルツハイマー病を処置する方法であって、有効量の式Iで示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を、有効量の抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体と併用して、そのような処置を必要とする患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0012】
本発明はさらに、軽度認知障害を処置する方法であって、有効量の式Iで示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を、有効量の抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体と併用して、そのような処置を必要とする患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0013】
本発明はさらに、前駆期アルツハイマー病を処置する方法であって、有効量の式Iで示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を、有効量の抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体と併用して、そのような処置を必要とする患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0014】
加えて本発明は、軽度認知障害からアルツハイマー病への進行を予防する方法であって、有効量の式Iで示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を、有効量の抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体と併用して、そのような処置を必要とする患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0015】
本発明はさらに、脳アミロイドアンギオパチー(CAA)を処置する方法であって、有効量の式Iで示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を、有効量の抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体と併用して、そのような処置を必要とする患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0016】
さらに本発明は、治療における使用のため、特にアルツハイマー病、軽度アルツハイマー病、前駆期アルツハイマー病の処置のため、又は軽度認知障害からアルツハイマー病への進行を予防するための、有効量の抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体と併用される、式Iで示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0017】
本発明はさらに、1種又は複数の薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤を有する抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体の医薬組成物と併用される、1種又は複数の薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤を有する式Iで示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物を提供する。
【0018】
加えて本発明は、式Iで示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩と、抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体と、を含むキットを提供する。本発明はさらに、式Iで示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を1種又は複数の薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤と共に含む医薬組成物と、抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体を1種又は複数の薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤と共に含む医薬組成物と、を含むキットを提供する。本明細書で用いられる「キット」は、一方の成分が式Iで示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩であり、もう一方の成分が抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体である、各成分の分離した容器を、単一包装の中に含む。「キット」はまた、一方の成分が式Iで示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩であり、もう一方の成分が抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体である、各成分の分離した容器を、各成分を併用物として投与するための取扱説明書と共に分離した包装の中に含む場合がある。
【0019】
本発明はさらに、アルツハイマー病、軽度アルツハイマー病、前駆期アルツハイマー病の処置のため、又は軽度認知障害からアルツハイマー病への進行を予防するための医薬の製造のための、式Iで示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩と、有効量の抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体との併用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
当業者は、「抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体」並びにその特異的抗体「B12L」及び「R17L」が、2014年3月25日発行の表題「Anti-N3pGlu Amyloid Beta Peptide Antibodies and Uses Thereof」(USSN13/810,895)の米国特許第8,679,498 B2号において、当業者によって前記抗体を作製及び使用する方法と共に同定及び開示されていることを認識及び認知しているであろう。例えば米国特許第8,679,498 B2号の表1を参照されたい。
【0021】
加えて、本発明において用いられる特定の抗体のアミノ酸配列を、以下の表Aに示す:
【表1】
【0022】
認知性又は神経変性疾患としては、アルツハイマー病、軽度アルツハイマー病、軽度認知障害、前駆期アルツハイマー病、脳アミロイドアンギオパチー(CAA)、ダウン症候群などが挙げられる。
【0023】
本明細書で用いられる用語「処置する」、「処置すること」、又は「処置」は、既存の症状、障害、状態又は疾患の進行又は重症度を抑止、緩徐化、停止、低減、又は回復させることを含む。
【0024】
本明細書で用いられる用語「患者」は、ヒトを指す。
【0025】
用語「Aベータペプチド産生の阻害」は、患者におけるAベータペプチドのインビボレベルの低下を意味する解釈される。
【0026】
本明細書で用いられる用語「有効量」は、患者への単回又は反復投与によって、診断又は処置の下で患者において所望の効果を提供する、式Iで示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩の量又は用量、及び抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体の量又は用量を指す。本発明の併用療法が、体内において式Iで示される化合物及び抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体の有効なレベルを提供する任意の手法で、式Iで示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を、抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体と共に投与することによって実施されることは、理解されよう。
【0027】
有効量は、当業者である担当の診断医によって、公知技術の使用によって、そして類似状況下で得られた結果を観察することによって、即座に決定され得る。患者への有効量を決定する上で、非限定的に患者の種;患者のサイズ、年齢、及び一般的健康状態;関与する具体的疾患又は障害;該疾患又は障害の度合い又は関与又は重症度;各患者の応答;投与される個々の化合物;投与方式;投与される調製物の生物学的利用性;選択される用量レジメン;随伴する薬剤の使用;並びに他の関連の状況をはじめとし、複数の因子が担当の診断医によって判断される。
【0028】
式Iで示される化合物及びその薬学的に許容可能な塩は一般に、本発明の併用において広い投与量範囲にわたって効果的である。例えば日用量は通常、約0.1mg/日〜約1000mg/日、好ましくは約0.1mg/日〜約500mg/日、最も好ましくは約0.1mg/日〜約100mg/日の範囲内に含まれる。加えて、抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体は一般に、本発明の併用において広い投与量範囲にわたって効果的である。例えば、週あたりの投与量は通常、約0.1〜10mg/kg/週、好ましくは約0.3〜約6mg/kg/週、最も好ましくは約0.3mg/kg/週〜約3mg/kg/週の範囲内に含まれる。一部の例において、前述の範囲内の下限未満の投与レベルは、十二分に適し得るが、他の例において、より大きな用量を、許容可能な副作用を伴って用いることができ、それゆえ上記投与範囲は、本発明の範囲を限定するものではない。
【0029】
本発明のBACE阻害剤及び抗体は、好ましくは該化合物を生物学的利用性にする任意の経路によって投与される医薬組成物として配合される。投与経路は、多少なりとも変動し得、薬物の物理的性質、並びに患者及び看護者の簡便性によって限定され得る。好ましくは抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体組成物は、静脈内又は皮下投与などの非経口投与用である。加えて、式Iで示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩などのBACE阻害剤は、静脈内又は皮下投与をはじめとする、経口、非経口、又は経皮投与用である。そのような医薬組成物及びそれを調製するプロセスは、当該技術分野で周知である(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (D.B. Troy, Editor, 21st Edition, Lippincott, Williams & Wilkins, 2006参照)。
【0030】
本明細書で用いられる語句「併用して」は、式Iで示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩などのBACE阻害剤と、抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体などの抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体との、同時の、若しくは任意の順序で連続した投与、又はそれらの任意の組み合わせを指す。該2種の分子は、同じ医薬組成物の一部として、又は別の医薬組成物中で、投与され得る。BACE阻害剤は、抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体の投与の前に、それと同時に、若しくはそれに続いて、又はその幾つかの組み合わせで投与され得る。抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体が、何度かの間隔をおいて(例えば、標準の処置経過の間に)投与される場合、BACE阻害剤は、抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体の各投与の前に、それと同時に、若しくはそれに続いて、又はその幾つかの組み合わせで、又は抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体での処置に関して異なる間隔で、又は抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体での処置経過の前に、その間のいずれかの時間に、若しくはそれに続いて、単回若しくは反復で連続して投与され得る。
【0031】
以下の段落は、本発明の好ましい基、置換基、及び配置を記載する。
【0032】
好ましい化合物は、
N−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミド;及び
N−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−3,5−ジフルオロ−ピリジン−2−カルボキサミド; 並びにそれらの薬学的に許容可能な塩である。
【0033】
N−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミド、又はその薬学的に許容可能な塩が、特に好ましい。
【0034】
N−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミド が、最も好ましい。
【0035】
さらに、結晶形態2のN−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4a,5,6,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a(4H)−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミドは、好ましい化合物であり、0.2°の回折角に対する公差で、回折角2θが11.8°のX線回折スペクトルの実質的ピークと、18.6°、19.3°及び26.7°からなる群から選択される1つ又は複数のピークにより特徴づけられる結晶形態2のN−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4a,5,6,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a(4H)−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミドが、特に好ましい。
【0036】
好ましい抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体は、米国特許第8,679,498 B2号において同定されたB12L及びR17Lであり(例えば、その中の表1参照)、B12Lが特に好ましい。
【0037】
当業者は、式Iで示される化合物がスキームAに示される通り互変異性体形態で存在し得ることを認識しているであろう。本出願において、式Iで示される化合物の特定の互変異性体の1つの任意の参照が与えられる場合、互変異性体形態とそれらの全ての混合物の両方を包含することは理解されよう。
【化3】
【0038】
明瞭にするために以下のスキームでは、特定の立体化学中心が明記されないままであり、特定の置換基が除去されているが、それらのスキームの教示を限定するものではない。さらに個々の異性体、鏡像異性体、及びジアステレオマーは、選択的結晶化技術又はキラルクロマトグラフィーなどの方法によって、式Iで示される化合物の合成の任意の簡便なポイントで当業者により分離又は分解され得る(例えば、J. Jacques, et al., "Enantiomers, Racemates, and Resolutions", John Wiley and Sons, Inc., 1981、及びE.L. Eliel and S.H. Wilen,” Stereochemistry of Organic Compounds”, Wiley-Interscience, 1994参照)。称号「異性体1」及び「異性体2」は、キラルクロマトグラフィーからそれぞれ最初及び2番目に溶出する化合物を指し、キラルクロマトグラフィーが合成の初期に開始される場合、同じ称号が次の中間体及び実施例に適用されている。
【0039】
当業者は、本発明の化合物が少なくとも2つのキラル中心を含むコアで構成されることを認識しているであろう:
【化4】
【0040】
本発明は、個々の鏡像異性体及びラセミ体をはじめとする前記化合物の鏡像異性体混合物の全てを企図するが、スキームBに示された1及び2と標識された炭素原子での絶対配置を有する化合物が、本発明の好ましい化合物である。
【0041】
加えて、以下のスキームに記載された特定の中間体は、1つ又は複数の窒素保護基を含有し得る。可変的な保護基は、実施される特定の反応条件及び特定の転位に応じて各出現において同一又は異なり得る。保護及び脱保護条件は、当業者に周知であり、文献に記載されている(例えば、Peter G.M. Wuts and Theodora W. Greene による“Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis”, Fourth Edition, John Wiley and Sons, Inc. 2007参照)。
【0042】
式Iで示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、当該技術分野で公知の種々の手順によって調製され得、その幾つかは、以下の調製及び実施例において示されている。記載された経路それぞれの具体的合成ステップを、異なる方法で組み合わせて、又は異なる手順からのステップと一緒にして、式Iで示される化合物又はその塩を調製することができる。各ステップの生成物は、抽出、蒸発、沈殿、クロマトグラフィー、ろ過、研和、及び結晶化をはじめとする当該技術分野で周知の従来法によって回収され得る。加えて、他に断りがなければ、全ての置換基がこれまで定義された通りである。試薬及び出発原料は、当業者に即座に入手され得る。
【0043】
本明細書で用いられる「APP」は、アミロイド前駆体タンパク質を指し;「BOC」は、tert−ブトキシカルボニルを指し、「BSA」は、ウシ血清アルブミンを指し;「CSF」は、脳脊髄液を指し;「DCC」は、1,3−ジクロロヘキシルカルボジイミドを指し;「DIC」は、ジイソプロピルカルボジイミドを指し;「DCM」は、ジクロロメタンを指し;「DIPEA」は、ジイソプロピルエチルアミンを指し;「DMAP」は、ジメチルアミノピリジンを指し;「DMEM」は、ダルベッコ改変イーグル培地を指し;「DMSO」は、ジメチルスルホキシドを指し;「EDCI」は、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩を指し;「EDTA」は、エチレンジアミン四酢酸を指し;「ee」は、鏡像異性体過剰を指し;「EtOAc」は、酢酸エチルを指し;「Ex」は、例を指し;「F12」は、ハムF12培地を指し;「FBS」は、ウシ胎児血清を指し;「FRET」は、蛍光共鳴エネルギー移動を指し;「HATU」は、(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチル(3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−3−イルオキシ)メタニミニウムヘキサフルオロホスファートを指し;「HEK」は、ヒト胚性腎臓を指し;「hr」は、1時間又は数時間を指し;「HOAc」は、酢酸を指し;「HOAt」は、1−ヒドロキシ−7−アゾベンゾトリアゾールを指し;「HOBt」は、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物を指し;「HBTU」は、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファートを指し;「HRP」は、西洋わさびペルオキシダーゼを指し;「IC50」は、薬剤に関して可能な最大阻害性応答の50%を生じるその薬剤の濃度を指し;「iPr」は、イソプロピルを指し;「min」は、1分又は数分を指し;「MTBE」は、メチルtert−ブチルエーテルを指し;「PBS」は、リン酸緩衝生理食塩水を指し;「PDAPP」は、血小板由来アミロイド前駆体タンパク質を指し;「Prep」は、調製を指し;「psi」は、ポンド/インチを指し;「PyBOP」は、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスファートを指し;「PyBrop」は、ブロモ−トリス−ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファートを指し;「RFU」は、相対的蛍光単位を指し;「R」は、保持時間を指し;「SCX」は、強陽イオン交換クロマトグラフィーを指し;「SFC」は、超臨界液体クロマトグラフィーを指し;「SEM」は、平均の標準誤差を指し;「THF」は、テトラヒドロフランを指し;「TMB」は、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンを指す。
【0044】
以下の調製及び実施例は、本発明をさらに示している。
【0045】
以下のスキームにおいて、他に断りがなければ、全ての置換基が、過去に定義された通りである。試薬及び出発原料は一般に、当業者に即座に利用され得る。他のものは、任意の新規手順を含む以下の調製及び実施例に記載された手順を利用して有機及び複素環化学の標準技術によって作製され得る。
【化5】
【0046】
スキーム1は、オキシム(ステップ2の生成物)及び(ステップ5の生成物)の形成を表す。オキシムは、それぞれ二環式イソオキサゾール(ステップ3又は7の生成物)を形成するために用いられ得る。置換された芳香族基は、スキーム1のステップ1及びステップ7に示される通り、合成の異なるポイントで挿入され得る。「PG」は、カルバマート及びアリルなどのアミノ基のために開発された保護基である。そのような基は、当該技術分野で周知であり、認識されている。
【0047】
二段階反応において、ベータハロゲンを有するケトンが、炭酸カリウムなどの無機塩基を用いて、保護されたアリルアミンでアルキル化され(ステップ1)、その後、エタノールなどの極性プロトン性溶媒中、ヒドロキシルアミン塩酸塩及びピリジンなどの有機塩基で処理して、オキシムを与えることができる(ステップ2)。ステップ2のオキシム生成物は、その後、トルエン又はキシレンなどの非極性溶媒中でステップ2のオキシムを加熱して二環式イソオキサゾールを形成させるなど、複数の方法によって3+2環化において二環式イソオキサゾールに変換することができる(ステップ3)。或いはジメチルアセタールから出発してオキシムを形成させ、それをギ酸などの酸で処理し、アルデヒド(ステップ4の生成物)を形成させることができる。ステップ5において、その後、ヒドロキシルアミン塩酸塩及び酢酸ナトリウム三水和物などの塩基を用いて、ステップ4のアルデヒドをステップ5のオキシム生成物に変換することができる。ステップ6の二環式イソオキサゾール生成物は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いて、ステップ6に示された通りオキシムから形成され得る。ステップ7において、保護された二環式イソオキサゾールを、その後、芳香族有機リチウム試薬又はGrignard試薬と反応させて、ステップ7の保護された二環式イソオキサゾール生成物を与える。
【化6】
【0048】
スキーム2は、ステップ10又はステップ12の保護されたピロロチアジン生成物までの異なる経度を示している。保護された二環式イソオキサゾールを、高圧水素化条件下、酢酸中の粉末Zn又はエタノールなどの極性溶媒中のRaneyニッケルで処理して、アミノピロリジンメタノール(ステップ11の生成物)を与えることができる。ステップ11のアミノピロリジンメタノール生成物を、その後、THFなどの極性溶媒中でベンゾイルイソチオシアナートと反応させた後、1,1−カルボニルジイミダゾール(CDI)を添加して保護されたピロリジンチアジンの融合物(ステップ12の生成物)を与える。或いは、二環式イソオキサゾールのアミンをベンゾイルイソチオシアナートと反応させてチオ尿素(ステップ8の生成物)を与えることができ、その後、ステップ9においてイソオキサゾール環を酢酸中の粉末亜鉛で開環して、ステップ9のヒドロキシル化合物の生成物を与えることができる。ヒドロキシル化合物を、その後、THFなどの極性非プロトン性溶媒中のCDI又はDCM中の1−クロロ−N,N,2−トリメチルプロペニルアミンで処理して、保護されたピロリジンチアジンの融合物(ステップ10の生成物)を形成させることができる。ピロリジンチアジンの融合物は、トリフェニルホスフィン及びジイソプロピルアゾジカルボキシラート(DIAD)を用いるなど、Mitsunobu反応から形成させることもできる。
【化7】
【0049】
スキーム3は、ピロロチアジンからアニリン(ステップ13の生成物)への変換を表し、その後、アニリンをアシル化し、続いてピロリジンの脱保護及びヘテロアリール化を行うことができる。アニリン窒素のアシル化及びチアジンアミンの脱保護により、式Iで示される化合物が得られる。
【0050】
アジド脱ハロゲン化を、アジ化ナトリウムなどのアジド供給源の存在下、適切なピロロチアジン上で実施する。そのようなアジド脱ハロゲン化反応は、当該技術分野で周知であり、認識されている。得られたアジド中間体からアニリン(ステップ13の生成物)への還元は、当該技術分野で周知であり記載されている水素化条件によって、又は当該技術分野で周知の還元剤、例えばLiAlH、NaBH、及びPPhによって実行され得る。
【0051】
BOC保護されたピロリジンを、当該技術分野で周知の酸性条件下で脱保護し得る(ステップ14のステップ1)。その後、脱保護されたピロリジンを、求核芳香族置換(SNAr)において、dipea、トリエチルアミン、又はN,N,N,N’−テトラメチルグアニジンなどの有機塩基を用いて置換芳香族ピリミジンでヘテロアリール化して、ステップ14のステップ2の生成物を与えることができる。ステップ14のアニリン生成物を、カップリング条件下でヘテロ芳香族カルボン酸とカップリングすることができる(ステップ15のステップ1の生成物)。当業者は、カルボン酸とアミンとの反応から得られるアミド形成のための方法及び試薬が複数存在することを認知しているであろう。例えば、カップリング試薬及びDIPEA又はトリエチルアミンなどのアミン塩基の存在下での適切なアニリンと適切な酸との反応は、チアジンアミンの脱保護の後、式Iで示される化合物を与えることになる。カップリング試薬としては、DCC、DIC、EDCIなどのカルボジイミド、並びにHOBt及びHOAtなどの芳香族オキシムが挙げられる。加えて、HBTU、HATU、PyBOP、及びPyBrOPなどの非求核性アニオンのウロニウム又はホスホニウム塩を、より伝統的なカップリング試薬の代わりに用いることができる。DMAPなどの添加剤を用いて、反応を促進することができる。或いは、トリエチルアミン又はピリジンなどの塩基の存在下で置換された塩化ベンゾイルを用いて、保護されたアニリンアミンをアシル化することができる。その後、保護されたチアジンアミンを、エタノールなどの極性非プロトン性溶媒中のピリジン及びメチルヒドロキシルアミンなどの有機塩基で、又はメタノール中の水酸化リチウムなどの無機塩基で脱保護して、式Iで示される化合物を与えることができる。
【0052】
選択可能なステップにおいて、標準条件下、適切な溶媒中で、式Iで示される適切な遊離塩基と適切な薬学的に許容可能な酸との反応によって、式Iで示される化合物の薬学的に許容可能な塩を形成させることができる。追加として、そのような塩の形成は、窒素保護基の脱保護の際に同時に起こり得る。そのような塩の形成は、周知であり、当該技術分野で認識されている。例えば、Gould, P.L., “Salt selection for basic drugs,” International Journal of Pharmaceutics, 33: 201-217 (1986); Bastin, R.J., et al. “Salt Selection and Optimization Procedures for Pharmaceutical New Chemical Entities,” Organic Process Research and Development, 4: 427-435 (2000);及びBerge, S.M., et al., “Pharmaceutical Salts,” Journal of Pharmaceutical Sciences, 66: 1-19, (1977)を参照されたい。当業者は、式Iで示される化合物が即座に変換されて、塩酸塩などの薬学的に許容可能な塩として単離され得ることは認識しているであろう。
【実施例】
【0053】
調製及び実施例
以下の調製及び実施例は、本発明をさらに示している。
【0054】
調製1
1−(3−ブロモフェニル)−2−(ジアリルアミノ)エタノン
【化8】

炭酸カリウム(38.8g、281mmol)をアセトニトリル(430mL)中で臭化3−ブロモフェナシル(60g、216mmol)に添加して、混合物を窒素下で0℃に冷却する。ジアリルアミン(34.6mL、280.63mmol)を1時間にわたって滴加し、反応物を一晩放置して22℃まで昇温させる。粗反応混合物を濃縮し、残渣を水(300mL)及びMTBE(300mL)に分配する。水層を廃棄し、有機層を水(100mL、2回)及びブライン(100mL)で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウムで脱水してろ過し、一定重量まで溶媒を蒸発させて、表題化合物を与える(62g、98%)。ES/MS (m/e): 294 (M+1)。
【0055】
調製2
ベンジルN−(2,2−ジメトキシエチル)カルバマート
【化9】

トルエン(120mL)中のアミノアセトアルデヒドジメチルアセタール(25mL、229mmol)の溶液を、0℃で4.85M水酸化ナトリウム溶液(70.8mL、343.5mmol)で処理する。混合物を0℃で10分間撹拌し、クロロギ酸ベンジル(33.8mL、229mmol)を添加するが、添加の際は20℃未満の内部温度を保持する。混合物を4時間かけて室温まで昇温させる。有機層を分離し、ブラインで洗浄して、硫酸ナトリウムで脱水し、濃縮乾固して、表題化合物を与える(54g、98%)。ES/MS(m/e): 240(M+H)。
【0056】
調製3
ベンジルN−アリル−N−(2,2−ジメトキシエチル)カルバマート
【化10】

トルエン(180mL)中のベンジルN−(2,2−ジメトキシエチル)カルバマート(50g、208.9mmol)の溶液を、窒素下、固体水酸化カリウム(51.6g、919.69mmol)で処理する。10分後に、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム(0.8g、3.1mmol)を添加する。10分後に、トルエン(50mL)中の臭化アリル(33g、272.8mmol)の溶液を、10分間かけて滴加する。得られた混合物を、50℃で48時間撹拌する。混合物を室温まで冷却し、水でクエンチする。有機層を分離し、ブラインで洗浄して、硫酸マグネシウムで脱水し、濃縮乾固して表題化合物を与える(44g、75%)。ES/MS(m/e):280(M+H)。
【0057】
調製4
ベンジルN−アリル−N−(2−オキソエチル)カルバマート
【化11】

ギ酸(36.8mL、860mmol)及び水(4.84mL)中のベンジルN−アリル−N−(2,2−ジメトキシエチル)カルバマート(30g、107mmol)の溶液を、室温で一晩撹拌する。混合物を濃縮して、ヘキサン/EtOAc(1:2)及び水で希釈する。有機層を分離し、pH=6になるまでブライン溶液で洗浄して、硫酸ナトリウムで脱水する。溶媒を蒸発させて、表題化合物を与える(25g、99%)。ES/MS(m/e):234(M+H)。
【0058】
調製5
1−(3−ブロモフェニル)−2−(ジアリルアミノ)エタノンオキシム
【化12】

エタノール(720mL)及びピリジン(24.8mL、307mmol)中の1−(3−ブロモフェニル)−2−(ジアリルアミノ)エタノン(60g、204.7mmol)の溶液を、22℃で15分間撹拌する。ヒドロキシルアミン塩酸塩(17g、246mmol)を、その溶液に1時間かけて少しずつ添加する。反応物を2時間の間50℃に昇温させ、その後、16時間の間、70℃に加熱する。溶媒を蒸発させ、残渣を水(300mL)及びMTBE(300mL)に分配する。有機層を分離し、水(100mL、2回)及びブライン(100mL)で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過して蒸発乾固し、表題化合物を与える(75.5g、79%)。ES/MS(m/e):309(M+1)。
【0059】
調製6
2−(ジアリルアミノ)−1−(2−フルオロフェニル)エタノンオキシム
【化13】

内部温度を30℃未満に保持しながら、ジアリルアミン(1.56L、12.2mol)を、エタノール(12.9L)中の2−ブロモ−1−(2−フルオロフェニル)エタノン(1291g、5.8mol)の溶液に添加する。反応混合物を22℃で4時間撹拌する。ヒドロキシルアミン塩酸塩(543g、7.58mol)をその溶液に少しずつ添加し、その後、70℃で16時間加熱する。反応物を室温まで冷却し、溶媒を蒸発させて、残渣を水(5.1L)及びMTBE(6.4L)に分配する。炭酸ナトリウムを添加して水層をpH=5.5に調整し、水層をさらなるMTBE(1.2L)で抽出する。有機層をひとまとめにして、水及びブラインで洗浄する。有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過して蒸発乾固し、粗製の表題化合物を与え(1.45kg、104%)、さらに生成せずに使用する。ES/MS(m/e):249(M+1)。
【0060】
調製7
ベンジルN−アリル−N−[2−ヒドロキシイミノエチル]カルバマート
【化14】

アセトニトリル(150mL)中のベンジルN−アリル−N−(2−オキソエチル)カルバマート(25g、107mmol)の溶液をヒドロキシルアミン塩酸塩(9.68g、139mmol)、及び水(75mL)中の酢酸ナトリウム三水和物(16g、117.9mmol)の溶液で処理する。混合物を室温で一晩撹拌する。アセトニトリルを蒸発させ、水溶液をEtOAcで抽出する。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで脱水して真空濃縮し、表題化合物を与える(24g、90%)。ES/MS(m/e):249(M+H)。
【0061】
調製8
2−ブロモ−1−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)エタン−1−オン
【化15】

N−ブロモスクシンイミド(984g、5.53mol)を、35℃でDCM(7L)中の1−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)エタン−1−オン(1000g、4.6mol)及びp−トルエンスルホン酸(1315g、7.64mol)の溶液に少しずつ添加する。混合物を撹拌して、40℃に加熱する。混合物を24℃に冷却し、7%NaHCO(5L)を添加する。層を分離して、有機層を10%NaSO(5L)及び水(5L)で洗浄する。有機層を2〜3倍(2-3 volumes)に濃縮して表題化合物を与え、さらに精製せずに使用する。
【0062】
調製9
5−アリル−6a−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−1−(4−メトキシベンジル)ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]イソオキサオゾール
【化16】

トルエン(10L)中の2−ブロモ−1−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)エタン−1−オン(1363g、4.61mol)の溶液に、ジアリルアミン(537g,5.53mol)及びdipea(2381g、18.42mol)を添加する。混合物を40℃で4時間撹拌して、1−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−2−(ジアリルアミノ)エタン−1−オンを与え、単離しない。N−(4−メトキシベンジル)ヒドロキシルアミン(847g、5.53mol)及びTi(OiPr)(1965g、6.91mol)を、粗製の1−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−2−(ジアリルアミノ)エタン−1−オンを含む混合物に添加する。混合物を90℃で2時間撹拌する。混合物を20℃に冷却して、50%クエン酸一水和物(4L)及び飽和Na2CO3(4L)を添加する。層を分離して、水層をMTBE(5L)で抽出する。有機抽出物を水(5L)で洗浄し、珪藻土でろ過して、濃縮乾固する。EtOAc(10L)及びシュウ酸(580g)を残渣に添加して、固体をろ過し、1N NaOH(13L)に添加する。MTBE(5L)を添加して、混合物を珪藻土でろ過する。層を分離して、有機層を2倍に濃縮する。ヘプタン(3L)を添加して、溶液を10℃に冷却する。得られた固体をろ過して、表題化合物を与える(1330g、64%)。H NMR(400MHz,CDCl)δ:2.51−2.49(m, 3H), 3.09−3.04(m, 3H), 3.78−3.41(m, 6H), 4.01(m, 1H), 5.24−5.01(m, 2H), 5.89−5.85(m, 1H), 6.82−6.80(m, 2H), 7.51−7.13(m, 3H), 7.63−7.62(m, 1H), 7.65−7.64(m, 1H)。
【0063】
調製10
5−アリル−6a−(3−ブロモフェニル)−3,3a,4,6−テトラヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]イソオキサゾール
【化17】

粗製の1−(3−ブロモフェニル)−2−(ジアリルアミノ)エタノンオキシム(75.5g、195.34mmol)をトルエン(600mL)に溶解して、12時間還流する。溶媒を真空蒸発させて、残渣を水性1N HCl(1L)とMTBE(300mL)との混合物に溶解する。混合物を15時間撹拌し、珪藻土(10g)を添加する。混合物をさらに20分間撹拌し、珪藻土でろ過する。ろ過ケーキをさらなる水性1N HCl(200mL)及びMTBE(200mL)で洗浄する。有機層を分離して、1N HClで洗浄する(100mLで2回)。水層をひとまとめにして、50%w/wのNaOHでpHを9に調整する。水性混合物をMTBEで抽出する(250mLで3回)。有機層をひとまとめにして、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過する。ろ液を蒸発させて、真空乾燥させ、赤色固体を与える(60g)。赤色固体をヘプタン(600mL)で希釈し、混合物を20分間加熱還流する。木炭(2g)を添加して、混合物を珪藻土でろ過する。ろ液を大気圧下で濃縮し、最終容量を300mLに調整する。溶液を22℃に冷却して、3時間撹拌する。淡黄色固体をろ過により回収し、一定重量まで真空乾燥させて、表題化合物を与える(40g、60%)。ES/MS(m/e):309(M+1)。
【0064】
調製11
5−アリル−6a−(2−フルオロフェニル)−3,3a,4,6−テトラヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]イソオキサオゾール
【化18】

フローケミストリー反応ステップ:343mlのシームレスステンレス鋼管状反応器(O.D=1/8インチ)を、GCオーブン内に入れて、20mL/分でトルエンにより20分間洗浄する。窒素の背圧を加え(720psig)、GCの温度を210℃に設定する。温度が210℃に達したら、保持時間15分を与える連続モードで運転する一対の高圧シリンジポンプを用いて、トルエン(5.81L)中の2−(ジアリルアミノ)−1−(2−フルオロフェニル)エタノンオキシム(480.51g、1.74mol)の溶液を、22.866mL/分で反応器に送出す。標準原液が全て消費されたら、反応器を22.866mL/分でトルエンにより30分間洗浄する。GCオーブンの温度を25℃に設定して、全ての溶液を採取し、真空濃縮する。溶媒を蒸発させて、残渣を塩化メチレン(2.5L)及び水(5L)に溶解する。塩酸でpHを1に調整し、水層を分離して、水酸化ナトリウムで中和して、pHを10に調整する。水層をMTBEで抽出する(2.5Lで3回)。有機抽出物をひとまとめにして、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過して蒸発乾固し、粗製の表題化合物を与え(248g、47%)、さらに精製せずに使用する。ES/MS(m/e):249(M+1)。
【0065】
調製12
5−アリル−6a−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]イソオキサオゾール塩酸塩
【化19】

トリフルオロ酢酸(4L、52.9mol)を、DCM(12L)中の5−アリル−6a−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−1−(4−メトキシベンジル)ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]イソオキサゾール(1990g、4.45mol)の溶液に一定速度で滴加して、35℃未満の温度を保持する。添加が終了したら、混合物を33〜43℃に昇温させて、6時間撹拌する。NaOH(20%、10L)を一定速度で添加して、35℃未満の温度を保持する。層を分離して、有機層を水(6L)で洗浄する。溶液を濃縮し、エタノール(16L)を添加して、混合物を珪藻土でろ過する。ろ液を濃縮して、EtOAc(10L)を添加する。EtOAc(8L)中の4M HClを添加して、得られた固体をろ過し、乾燥させて、表題化合物を与える(1385g、85.6%)。ESm/z327.1(M+1)。
【0066】
調製13
ベンジル3,3a,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]イソオキサゾール−5−カルボキシラート
【化20】

DCM(338mL)中のベンジルN−アリル−N−[2−ヒドロキシイミノエチル]カルバマート(24g、96.6mmol)の溶液を、次亜塩素酸ナトリウム(106.08mmol、143.06mL)の5%w/w水溶液で10分間かけて滴加処理する。得られた混合物を室温で一晩撹拌する。反応物を重亜硫酸水素ナトリウム(7g)の40%水溶液でクエンチする。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで脱水して真空濃縮する。粗生成物を、ヘキサン中の5%EtOAcで溶出するシリカゲルで精製して、表題化合物を与える(18g、75%)。ES/MS(m/e):247(M+H)。
【0067】
調製14
ベンジル6a−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−3,3a,4,6−テトラヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]イソオキサゾール−5−カルボキシラート
【化21】

n−ブチルリチウム(25.4mL、40.6mmol)の1.6Mヘキサン溶液を、THF(60mL)中の4−ブロモ−1−フルオロ−2−インドベンゼン(12.22g、40.6mmol)の−78℃溶液に滴加して、黄色溶液を与え、−78℃で15分間撹拌する。
【0068】
三フッ化ホウ素エーテラート(5.14mL、40.6mmol)を、THF(60mL)中のベンジル3,3a,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]イソオキサゾール−5−カルボキシラート(5g、20.3mmol)の別の−78℃溶液に添加し、この混合物を−78℃で5分間撹拌する。この溶液を以前に調製された−78℃有機リチウム混合物にカニューレで添加する。ひとまとめにした混合物を、−78℃で30分間撹拌する。混合物を飽和水性塩化アンモニウムでクエンチし、室温まで昇温させる。混合物をEtOAcで抽出し(3回)、有機抽出物をひとまとめにして、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過して溶媒を真空除去する。シリカゲルを用いた35分間の5%−100%ヘキサン中EtOAc勾配により粗生成物を精製して、表題化合物を与える(2.27g、27%)。ES/MS (m/e): (79Br/81Br)421/423(M+H)。
【0069】
調製15
ベンジル1−(ベンゾイルカルバモチオイル)−6a−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−3,3a,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]イソオキサゾール−5−カルボキシラート
【化22】

ベンゾイルイソチオシアナート(2.87mL、21.28mmol)を、THF(95mL)中のベンジル6a−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−3,3a,4,6−テトラヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]イソオキサゾール−5−カルボキシラート(5.977g、14.2mmol)の溶液に滴加し、窒素下で一晩撹拌する。溶媒を真空除去する。シリカゲルを用いた30分間の5%−100%ヘキサン中EtOAc勾配により粗生成物を精製して、表題化合物を与える(6.05g、73%)。ES/MS(m/e):(79Br/81Br)584/586(M+H)。
【0070】
調製16
ベンジル3−(ベンゾイルカルバモチオイルアミノ)−3−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−4−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−カルボキシラート
【化23】

ベンジル1−(ベンゾイルカルバモチオイル)−6a−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−3,3a,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]イソオキサゾール−5−カルボキシラート(6.05g、10.4mmol)と、亜鉛(粉塵、<10ミクロン)(6.77g、103.5mmol)と、の混合物を、窒素下の酢酸(52mL)中、室温で一晩撹拌する。反応物をEtOAcで希釈して、珪藻土でろ過する。溶媒を真空除去し、残渣をEtOAc、水、及び飽和水性重炭酸ナトリウムで希釈する。混合物をEtOAcで抽出し(3回)、ひとまとめにした有機層をまとめて、硫酸ナトリウムで脱水して、ろ過して溶媒を真空除去する。シリカゲルを用いた30分間の5%−100%ヘキサン中EtOAc勾配により粗生成物を精製して、表題化合物を与える(5.222g、86%)。ES/MS(m/e):(79Br/81Br)586/588(M+H)。
【0071】
調製17
(1−アリル−4−アミノ−4−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)ピロリジン−3−イル)メタノール
【化24】

炭酸ナトリウムの飽和水溶液を、DCM(7L)中の5−アリル−6a−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]イソオキサゾール塩酸塩(1400g、3.85mol)の溶液に添加して、9を超えるpHにする。層を分離して、有機抽出物を1.5倍濃縮する。酢酸(1.38L)をその溶液に添加して、2Lに濃縮する。酢酸(7L)及び亜鉛粉(2.5kg、38.5mol)を添加して、混合物を40〜50℃に加熱し、3時間撹拌する。EtOAc(9.8L)を添加し、混合物を珪藻土でろ過する。ろ過ケークをEtOAc(4L)で洗浄する。ろ液を分離して、ひとまとめにした有機物に水(7L)を添加する。水酸化アンモニウムを添加して、9を超えるpHにする。層を分離して、有機層を2Lに濃縮する。エタノール(2.8L)を添加して、溶液を2Lに濃縮する。エタノール(19L)を添加して、混合物を珪藻土でろ過し、表題化合物のエタノール溶液を与え、さらに精製せずに使用する。
【0072】
調製18
[1−アリル−4−アミノ−4−(3−ブロモフェニル)ピロリジン−3−イル]メタノール
【化25】

酢酸(400mL)中の5−アリル−6a−(3−ブロモフェニル)−3,3a,4,6−テトラヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]イソオキサゾール(40g、129.4mmol)の22℃溶液を、亜鉛粉塵(42.3g、646.8mmol)で一度に処理する。反応物を室温で1時間、激しく撹拌する。EtOAc(400mL)を添加して、混合物を珪藻土でろ過する。ろ液を蒸発させて、残渣を真空乾燥する。残渣を水(300mL)及びMTBE(300mL)に分配する。50%w/w水酸化ナトリウムでpHを8に調整し、有機層を分離して、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過する。ろ液を蒸発させて、残渣を真空濃縮し、表題化合物を与える(41g、97%)。ES/MS(m/e):311(M+1)。
【0073】
調製19
1−アリル−4−アミノ−4−(2−フルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]メタノール
【化26】

亜鉛粉塵(590g、9mol)を、メタノール(2.85L)と飽和塩化アンモニウム水溶液(3.56L)との混合物中の5−アリル−6a−(2−フルオロフェニル)−3,3a,4,6−テトラヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]イソオキサゾール(3559g、1.29mol)の溶液に添加して、混合物を70℃で16時間加熱する。反応物を60℃に冷却し、THF(2.85L)で希釈して、高温のまま珪藻土でろ過する。ろ液を蒸発して有機溶媒を除去し、水性混合物を10%w/wクエン酸水溶液(4L)及びEtOAc(3.5L)で希釈する。有機層を分離して、水層をEtOAcで抽出する(2Lで2回)。水層を50%w/w水酸化ナトリウムで中和してpHを10に調整し、その後、EtOAcで抽出する(1.5Lで2回)。有機抽出物をひとまとめにし、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過して蒸発乾固し、粗製の表題化合物を与える(299g、92%)。ES/MS(m/e):251(M+1)。
【0074】
調製20
[(3S,4R)−1−アリル−3−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−4−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−3−イル]アンモニウム;(2S,3S)−4−ヒドロキシ−2,3−ビス[(4−メチルベンゾイル)オキシ]−4−オキソ−ブタノアート
【化27】

ジ−p−トルオイル−L−酒石酸一水和物(1.04kg、2.69mol)を、エタノール(21L)中の(1−アリル−4−アミノ−4−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)ピロリジン−3−イル)メタノール(1264g、3.85mmol)の溶液に添加する。混合物を65〜75℃に加熱して、3時間撹拌する。混合物を5〜10℃に冷却し、[(3S,4R)−1−アリル−3−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−4−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−3−イル]アンモニウム;(2S,3S)−4−ヒドロキシ−2,3−ビス[(4−メチルベンゾイル)オキシ]−4−オキソ−ブタノアート(1.0g)の種結晶を添加して、混合物を3時間撹拌する。その固体をろ過し、ろ過ケークを低温エタノール(1.4L)で洗浄する。ろ過ケークを乾燥させて、表題化合物を白色固体として与える。2番目に溶出する異性体のキラル分析:カラム IC Chiralpak、4.6mm250mm5μm;溶離液 90%ヘキサン(0.3%ジエチルアミン):10%エタノール(0.3%ジエチルアミン);流速 UV270nmで1.0mL/分、によって、R=7.4分の鏡像異性体に富む(99%ee)鏡像異性体が確証される(1050g、38%)。H NMR(400MHz,CDOD)δ: 2.40(s, 6H), 3.05−3.04(m, 1H), 3.57−3.31(m, 3H), 3.66−3.58(m, 4H), 3.75−3.74(m, 2H), 5.38−5.36(m, 1H), 5.50−5.46(m, 1H), 5.88(s, 2H), 5.97−5.91(m, 1H), 7.10−7.05(m, 1H), 7.29(d, J=8.0 Hz, 4H), 7.53−7.51(m, 1H), 7.80−7.78(m, 1H), 8.01(d, J=8.0 Hz, 4H)。
【0075】
調製21
[(3R,4S)−1−アリル−4−アミノ−4−(2−フルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]メタノール;2,3−ビス[(4−メチルベンゾイル)オキシ]ブタンジオン酸
【化28】

1−メトキシ−2−プロパノール(1.13L)中のジ−p−トルオイル−L−酒石酸(348.6g、884mmol)の溶液を、予め40℃に加熱された1−メトキシ−2−プロパノール(1.13L)中の[(3R,4S)−1−アリル−4−アミノ−4−(2−フルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]メタノール(225.9g、902mmol)の溶液に添加する。反応物を22℃に冷却し、18時間撹拌する。白色固体をろ過により回収して、1−メトキシ−2−プロパノール(600ml)で洗浄する。回収され固体を乾燥させて、表題化合物を与える(183.01g、31.8%)。ES/MS(m/e):251(M+1)。
【0076】
調製22
[(3R,4S)−1−アリル−4−アミノ−4−(3−ブロモフェニル)ピロリジン−3−イル]メタノール;(2R,3R)−2,3−ビス[(4−メチルベンゾイル)オキシ]ブタンジオン酸
【化29】

イソプロピルアルコール(914mL)中の[1−アリル−4−アミノ−4−(3−ブロモフェニル)ピロリジン−3−イル]メタノール(77g、235mmol)の溶液を、70℃に加熱する。ジ−p−トルオイル−L−酒石酸(86.2g、223mmol)を添加して、混合物を2時間の間に22℃まで冷却して、一晩撹拌する。スラリーをろ過して、淡黄色固体を回収し、イソプロピルアルコールで洗浄する。その固体を真空乾燥して、表題化合物を与える(63g、36%)。ES/MS (m/e): 311 (M+1)。生成物を逆相クロマトグラフィーによって分析する:最初に溶出する異性体の分析(カラム Chiralpak ID-3 4.6×50mm;溶離液 70:30 20mM水性重炭酸アンモニウム:アセトニトリル;流速 UV215nmで1.5mL/分)によって、R=1.26分の鏡像異性体に富む(96%ee)鏡像異性体が確証される。
【0077】
調製23
((3R,4S)−1−アリル−4−アミノ−4−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)ピロリジン−3−イル)メタノール
【化30】

1N HCl(500mL、500mmol)を、EtOAc(500mL)中の[(3S,4R)−1−アリル−3−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−4−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−3−イル]アンモニウム;(2S,3S)−4−ヒドロキシ−2,3−ビス[(4−メチルベンゾイル)オキシ]−4−オキソ−ブタノアート(100g、139.4mmol)の0℃溶液に添加する。混合物を1時間撹拌する。水層を分離して、1N NaOHでpHを8に調整する。水層をEtOAcで抽出する(350mLで2回)。有機層をひとまとめにして、水(500mL)で洗浄し、濃縮して表題化合物を与える(40g、87%)。2番目に溶出する異性体のキラル分析:カラム IC Chiralpak,4.6mm250mm5μm;溶離液 90%ヘキサン(0.3%ジエチルアミン):10%エタノール(0.3%ジエチルアミン);流速 UV270nmで1.0mL/分、によって、R=7.4分の鏡像異性体に富む(99.7%ee)鏡像異性体が確証される.H NMR(400MHz,CDCl δ: 2.78−2.70(m, 5H), 3.16−3.00(m, 3H), 3.87−3.75(m, 1H), 3.90−3.84(m, 1H), 5.24−5.11(m, 2H), 5.91−5.87(m, 1H), 6.95−6.91(m, 1H), 7.35−7.32(m, 1H), 7.67− 7.65 (m, 1H)。
【0078】
調製24
[(3R,4S)−1−アリル−4−アミノ−4−(2−フルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]メタノール
【化31】

[(3R,4S)−1−アリル−4−アミノ−4−(2−フルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]メタノール;2,3−ビス[(4−メチルベンゾイル)オキシ]ブタンジオン酸(211g、331mmol)を、水(2.1L)及びEtOAc(2.3L)に溶解する。35%w/w塩酸を添加して、pHを1に調整する。水層を分離して、50%w/w水酸化ナトリウムでpHを10に調整し、EtOAcで抽出する(2回)。水性NaOHで水層のpHを10に調整して、水溶液のpHをpH=10に保持しながら、MTBEで抽出する(3回)。有機抽出物をひとまとめにして、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過して蒸発乾固し、粗表題化合物を与える(73g、88%、94.8%ee)。生成物をキラルクロマトグラフィーによって分析する:カラム AS−H、溶離液 10%イソプロピルアルコール、2%イソプロピルアミン;流速 UV220で3mL/分;圧力 35℃で100バール、によって、表題化合物を2番目に溶出する異性体R=2.26分として与える。ES/MS(m/e):251 (M+1)。
【0079】
調製25
N−(((3S,4R)−1−アリル−3−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−4−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−3−イル)カルバモチオイル)ベンズアミド
【化32】

ベンゾイルイソチオシアナート(15.0g、91.9mmol)を、THF(400mL)中の((3R,4S)−1−アリル−4−アミノ−4−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)ピロリジン−3−イル)メタノール(30g、91.1mmol)の0℃溶液に添加する。溶液を25℃に昇温させ、1時間撹拌して、表題化合物のTHF溶液を与え、さらに精製せずに使用する。
【0080】
調製26
[(3R,4S)−1−アリル−4−アミノ−4−(3−ブロモフェニル)ピロリジン−3−イル]メタノール
【化33】

[(3R,4S)−1−アリル−4−アミノ−4−(3−ブロモフェニル)ピロリジン−3−イル]メタノール;(2R,3R)−2,3−ビス[(4−メチルベンゾイル)オキシ]ブタンジオン酸(63g、85.8mmol)を水性1N HCl(800mL)及びEtOAc(400mL)と混和して、混合物を22℃で15分間撹拌する。層を分離して、水層のpHを50%w/w水酸化ナトリウムで10に調整する。水性混合物をMTBEで抽出する(250mLで3回)。ひとまとめにした有機層を、硫酸マグネシウムで脱水し、ろ過して蒸発乾固し、表題化合物を与える(27g、99%)。ES/MS(m/e):311(M+1)。
【0081】
調製27
N−[(4aR,7aS)−6−アリル−7a−(3−ブロモフェニル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド
【化34】

THF(270mL)中の[(3R,4S)−1−アリル−4−アミノ−4−(3−ブロモフェニル)ピロリジン−3−イル]メタノール(27g;86.7mmol)の溶液を、窒素雰囲気下で−5℃に冷却する。温度を0℃未満に保持しながら、ベンゾイルイソチオシアナート(12.3mL、91mmol)を滴加する。反応物を1時間放置して22℃に昇温させる。1,1’−カルボニルジイミダゾール(28.1g、173.5mmol)を一度に添加して、反応物を22℃で1時間撹拌し、その後、16時間、加熱還流する。溶媒を真空除去して、残渣を真空乾燥させる。粗製の材料をMTBE(500mL)及び水(250mL)に分配する。有機層を分離して、硫酸マグネシウムで脱水し、ろ過して蒸発乾固する。シリカゲルを用いた90/10から60/40へのDCM/EtOAc勾配により粗製の材料を精製して、表題化合物を与える(27g、68%)。ES/MS(m/e):456(M+1)。
【0082】
調製28
N−((4aR,7aS)−6−アリル−7a−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−4,4a,5,6,7,7a−ヘキサヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル)ベンズアミド二塩酸塩
【化35】

トリフェニルホスフィン(36.8g、140.3mmol)をN−(((3S,4R)−1−アリル−3−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−4−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−3−イル)カルバモチオイル)ベンズアミド(91.1mmol)のTHF(400mL)溶液に添加する。THF(100mL)中のジ−t−ブチルアゾジカルボキシラート(31.6g、137.2mmol)を添加する。混合物を20〜30℃で2時間撹拌する。混合物を濃縮し、MTBE(400mL)を添加する。その溶液を珪藻土でろ過し、ケークをMTBE(130mL)で洗浄する。ろ液をひとまとめにして、EtOAc(200mL)中の1N HClを添加する。混合物を2時間撹拌し、その後、500mLに濃縮する。MTBE(320mL)を添加して、溶液をろ過し、ヘプタン(130mL)で洗浄する。固体をEtOAc(650mL)でスラリーにして、50〜60℃で2時間撹拌する。高温のスラリーをろ過して、固体をEtOAc(130mL)及びヘプタン(130mL)で洗浄する。固体をEtOAc(650mL)で再度スラリーにして、50〜60℃で2時間撹拌する。高温のスラリーをろ過して、EtOAc(130mL)及びヘプタン(130mL)で洗浄する。固体を乾燥させて、表題化合物を二塩酸塩として与える(40g、80%、99.5%ee)。最初に溶出する異性体のキラル分析:カラム IC Chiralpak、4.6mm250mm5μm;溶離液 85%ヘキサン(0.1%ジエチルアミン):15%イソプロピルアルコール(0.1%ジエチルアミン);流速 UV282nmで1.0mL/分、によってR=12.5分の鏡像異性体に富む(99.5%ee)鏡像異性体が確証される。
【0083】
調製29
N−((4aR,7aS)−6−アリル−7a−(2−フルオロ−5−(2,2,2−トリフルオロアセトアミド)フェニル)−4,4a,5,6,7,7a−ヘキサヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル)ベンズアミド
【化36】

15%炭酸ナトリウム(440mL)を、EtOAc(3L)及び水(784mL)中のN−((4aR,7aS)−6−アリル−7a−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−4,4a,5,6,7,7a−ヘキサヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル)ベンズアミド二塩酸塩(495g、717.88mmol)の溶液に添加する。混合物を1〜2時間撹拌する。層を分離して、有機層をシリカゲル(40g)でろ過して、EtOAc(600mL)で洗浄する。ろ液を濃縮乾固し、N−((4aR,7aS)−6−アリル−7a−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−4,4a,5,6,7,7a−ヘキサヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル)ベンズアミドを与える。トリフルオロアセトアミド(136.7g、1.21mol)、NaI(182.5g、1.22mol)、4Aモレキュラーシーブ(342g)、及びKCO(170.9g、1.24mol)を、DMSO(525mL)及び1,4−ジオキサン(1.025L)中のN−((4aR、7aS)−6−アリル−7a−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−4,4a,5,6,7,7a−ヘキサヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル)ベンズアミド(341g、494.54mmol)の溶液に添加する。DMSO(500mL)中のトランス−N,N’−ジメチルシクロヘキサン(81.6g、573.66mmol)及びヨウ化銅(27.3g、143.34mmol)を、反応混合物に添加する。混合物を5分間撹拌する。混合物を100℃に昇温させて、8時間撹拌し、24℃に冷却する。水(5.9L)及びDCM(5.9L)を添加して混合物をろ過し、層を分離する。有機層を水(5.9L)で洗浄して、DCMの溶液中の表題化合物を得て、さらに精製せずに使用する。
【0084】
調製30
N−((4aR,7aS)−6−アリル−7a−(5−アミノ−2−フルオロフェニル)−4,4a,5,6,7,7a−ヘキサヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル)ベンズアミド塩酸塩
【化37】

水酸化ナトリウム(28.7g)及び水(2.7L)を、N−((4aR,7aS)−6−アリル−7a−(2−フルオロ−5−(2,2,2−トリフルオロアセトアミド)フェニル)−4,4a,5,6,7,7a−ヘキサヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル)ベンズアミド(250g、494.4mmol)のDCM溶液に添加して、混合物を24℃で68時間撹拌する。1N HCl(3.5L)を添加して、1〜3のpHを得る。層を分離して、水層を(680mL)で洗浄する。DCM(4L)を水層に添加し、続いて21%水酸化アンモニウムを添加して、8〜10のpHを得る。層を分離して、有機層をひとまとめにし、シリカゲル(170g)でろ過して、DCM(1.4L)で洗浄する。溶媒を濃縮乾固し、EtOAc(4L)で希釈する。EtOAc(700mL)中の1N HClを25℃未満の温度で添加して、混合物を1時間撹拌する。混合物を約7〜8倍に濃縮して、EtOAc(2.8L)を添加する。得られた沈殿物をろ過し、EtOAc(400mL)で洗浄する。その固体を乾燥させて、表題化合物を与える(246g、52%)。
【0085】
調製31
N−((4aR,7aS)−7a−(5−アセトアミド−2−フルオロフェニル)−6−アリル−4,4a,5,6,7,7a−ヘキサヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル)ベンズアミド
【化38】

無水酢酸(23.5g、0.23mol)を、DCM(800mL)中のN−((4aR,7aS)−6−アリル−7a−(5−アミノ−2−フルオロフェニル)−4,4a,5,6,7,7a−ヘキサヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル)ベンズアミド塩酸塩(100g、0.153mol)及びトリエチルアミン(54.3g、0.535mol)の溶液に添加する。20〜25℃で1時間撹拌した後、飽和NaHCO(700mL)及び水(600mL)を添加する。層を分離して、表題化合物を与え、さらに精製せずにDCM中の溶液として使用する。
【0086】
調製32
N−[(4aR,7aS)−6−アリル−7a−(2−フルオロフェニル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド
【化39】

THF(2、3L)中の[(3R,4S)−1−アリル−4−アミノ−4−(2−フルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]メタノール(129,7g、414mmol)の溶液を、窒素雰囲気下で0℃に冷却する。5℃未満の温度に保持しながら、ベンゾイルイソチオシアナート(61.5mL、456mmol)を添加する。反応物を3時間かけて室温まで昇温させて、1,1’−カルボニルジイミダゾール(87.4g、538.9mmol)を添加し、反応物を22℃で1時間撹拌した後、70℃で16時間加熱する。反応混合物を22℃に冷却して、溶媒を蒸発させる。残渣をEtOAc(1L)及び水(1L)に分配する。有機層を分離して、水層をEtOAcで抽出する(400mLで2回)。有機層をひとまとめにして、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過して蒸発乾固し、粗製の表題化合物を与える。0−40%DCMのEtOAc/DCM勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって粗生成物を精製して、残留溶媒を含む表題化合物を淡黄色固体として与える(170g、99%)。ES/MS (m/e): 396 (M+1)。
【0087】
調製33
ベンジル2−ベンズアミド−7a−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−カルボキシラート
【化40】

1,1’−カルボニルジイミダゾール(2.87g、17.7mmol)を、THF(52mL)中のベンジル3−(ベンゾイルカルバモチオイルアミノ)−3−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−4−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−カルボキシラート(5.198g、8.86mmol)の溶液に添加する。混合物を室温で1.5時間撹拌し、その後、反応物を窒素下で一晩、加熱還流する。反応物を冷却し、水で希釈して、EtOAcで抽出する(3回)。有機層をひとまとめにして、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過して溶媒を真空除去する。シリカゲルを用いた30分間の5%−100%ヘキサン中EtOAc勾配により粗生成物を精製して、表題化合物を与える(2.93g、58%)。ES/MS(m/e):(79Br/81Br)。568/570(M+H)。
【0088】
調製34
N−((4aR,7aS)−7a−(5−アセトアミド−2−フルオロフェニル)−4,4a,5,6,7,7a−ヘキサヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル)ベンズアミド
【化41】

トリフェニルホスフィン(4.0g、0.015mol)及び1,3−ジメチルバルビツール酸(15.2g、0.097mol)を、N−((4aR,7aS)−7a−(5−アセトアミド−2−フルオロフェニル)−6−アリル−4,4a,5,6,7,7a−ヘキサヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル)ベンズアミド(0.153mol)のDCM溶液に添加する。酢酸パラジウム(1.7g、7.7mmol)を添加して、混合物を20〜30℃で1時間撹拌する。25%水酸化アンモニウムを添加して、層を分離する。有機層をHOAc(水500mL中3.0当量)で洗浄し、25%水酸化アルミニウムでpHを8〜9に調整する。水層をDCMで抽出する(500mLで2回)。有機抽出物をひとまとめにして、3〜4倍に濃縮する。MTBE(1L)を添加して、混合物をろ過する。混合物を濃縮し、ヘプタン(1L)を添加する。得られた固体をろ過し、回収して乾燥させ、表題化合物を与える(48g、76%)。H NMR(400MHz,CDCl)δ: 2.15 (s, 3H), 2.87−2.83(m, 1H), 3.43−3.23(m, 5H), 3.70−3.67(m, 1H), 7.12−7.07 (m, 1H), 7.28−7.27 (m, 1H), 7.52−7.41(m, 4H), 7.79(m, 1H), 8.18−8.16(m, 2H). ES m/z 413.1 (M+1)。
【0089】
調製35
N−[(4aR,7aS)−7a−(3−ブロモフェニル)−4a,5,6,7−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド
【化42】

クロロホルム(22mL)中のN−((4aR,7aS)−6−アリル−7a−(3−ブロモフェニル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド(1g、2.19mmol)及びN,N−ジメチルバルビツール酸(0.868g、5.48mmol)の室温混合物を、室温で5分間、得られたスラリーに窒素をバブリングすることによって脱気する。混合物をテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.261g、219μmol)で処理して、窒素下で1.5時間撹拌する。別のフラスコで、クロロホルム(486mL)中のN−[(4aR,7aS)−6−アリル−7a−(3−ブロモフェニル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド(22.2g、48.6mmol)とN,N−ジメチルバルビツール酸(19.28g、121.6mmol)との混合物を、室温で5分間、得られたスラリーを窒素でバブリングすることによって脱気する。混合物をテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(5.79g、4.86mmol)で処理して、窒素下で2時間撹拌する。2種の反応物をひとまとめにして、溶媒を真空除去し、粗生成物を与える。シリカゲルを用いた30分間の0.5%−10%DCM中メタノール勾配により粗製の材料を精製して、表題化合物を与える(22.4g、100%)。ES/MS(m/e):(79Br/81Br)416/418(M+H)。
【0090】
調製36
N−[(4aR,7aS)−7a−(2−フルオロフェニル)−4a,5,6,7−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド
【化43】

2−メルカプト安息香酸(122g、793mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(4.15g、7.21mmol)、及び1,4−ビス(ジフェニルホシフィノ)ブタン(3.14g、7.21mmol)を、無水2−メチルテトラヒドロフラン(1.96L)中のN−[(4aR,7aS)−6−アリル−7a−(2−フルオロフェニル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド(178.21g、360mmol)の溶液に、窒素下で添加する。溶液を3回の真空/窒素サイクルで脱気し、その後15分間、窒素を反応物にバブリングする。反応物に窒素をバブリングしながら、反応混合物を40℃に加熱する。反応物が40℃に達したら、バブリングを除去して、反応混合物を窒素雰囲気下、40℃で3時間撹拌する。反応物を22℃に冷却して、水(2L)で希釈する。HCl(5M)溶液を添加して、pHを1に調整する。水層を分離して、さらなるEtOAcで洗浄する(800mLで2回)。50%w/w水酸化ナトリウムで水層のpHを10に調整し、その後、EtOAc(10L)で抽出する。水層をさらなるEtOAcで洗浄する(750mLで2回)。有機抽出物をひとまとめにして、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水してろ過し、蒸発乾固して、粗製の表題化合物を淡黄色固体として与える(124.7g、97%)。ES/MS(m/e):356(M+1)。
【0091】
調製37
N−(7a−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−4a,5,6,7−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド
【化44】

ヨードトリメチルシラン(2.21mL、15.46mmol)を、アセトニトリル(44mL)中のベンジル2−ベンズアミド−7a−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−カルボキシラート(2.93g、5.15mmol)の室温溶液に滴加する。反応物を室温で2時間撹拌し、溶媒を真空除去する。3:1 DCM:メタノールと、その後に2:1 DCM:7Nメタノール中アンモニアを用いてSCXカラムにより粗生成物を精製し、表題化合物を与える(2.098g、94%)。ES/MS(m/e):(79Br/81Br)434/436(M+H).
【0092】
調製38
tert−ブチル(4aR,7aS)−2−ベンズアミド−7a−(3−ブロモフェニル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−カルボキシラート
【化45】

DCM(367mL)中のN−((4aR,7aS)−7a−(3−ブロモフェニル)−4a,5,6,7−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド(22.4g、36.69mmol)の室温溶液を、ジ−t−ブチルジカルボナート(8.81g、40.36mmol)と、その後のトリエチルアミン(7.67mL、55.04mmol)で処理し、反応物を窒素下、室温で1時間撹拌する。溶媒を真空除去し、シリカゲルを用いた25分間の5%−100%ヘキサン中EtOAc勾配により粗生成物を精製して、表題化合物を与える(20.22g、100%)。ES/MS(m/e):(79Br/81Br)516/518(M+H)。
【0093】
調製39
tert−ブチル2−ベンズアミド−7a−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−カルボキシラート
【化46】

ジ−t−ブチルジカルボナート(1.16g、5.31mmol)及びトリエチルアミン(1.01mL、7.25mmol)を、DCM(48mL)中のN−[7a−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−4a,5,6,7−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド(2.098g、4.83mmol)溶液に添加する。反応物を窒素下、室温で1時間撹拌する。溶媒を真空除去し、シリカゲルを用いた30分間の5%−100%ヘキサン中EtOAc勾配により粗生成物を精製して、表題化合物を与える(2.556g、99%)。ES/MS(m/e):(79Br/81Br)534/536(M+H)。
【0094】
調製40
tert−ブチル(4aR,7aS)−7a−(3−アミノフェニル)−2−ベンズアミド−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−カルボキシラート
【化47】

エタノール(100mL)中のtert−ブチル(4aR,7aS)−2−ベンズアミド−7a−(3−ブロモフェニル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−カルボキシラート(5g、9.7mmol)及びtrans−N,N’−ジメチル−1,2−シクロヘキサンジアミン(220.3mg、1.5mmol)の溶液を、アジ化ナトリウム(1.30g、19.4mmol)で処理する。L−アスコルビン酸ナトリウム塩(0.66M、3.2mL、2.1mmol)及び水(10mL)の水溶液を添加して、フラスコの最上部に窒素をパージする。混合物を硫酸銅(II)五水和物(0.33M、3.2mL、1.1mmol)の水溶液で処理して、混合物を直ちに、80℃に予熱されたホットプレート上、窒素下で1.5時間加熱する。均質混合物を加熱によって得る。反応物を冷却して、氷水を添加する。混合物をEtOAcで抽出する(3回)。有機層をひとまとめにして、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過して溶媒を真空除去し、粗製のアジ化生成物を与える。粗製のアジ化生成物を低温エタノール(150mL)中の10%パラジウム/炭素(2g)と混和して、真空/窒素と、その後に真空/水を用いて、混合物をパージする。混合物を30psiの水素の下、室温で2時間撹拌する。反応物を通気して、DCMを用いて混合物を珪藻土でろ過し、ろ過ケークをすすぐ。ろ液から溶媒を真空除去して、シリカゲルを用いた50%のDCM中EtOAcによって粗生成物を精製して、表題化合物を与える(4g、91%)。ES/MS(m/e):453(M+H)。
【0095】
調製41
tert−ブチル7a−(5−アミノ−2−フルオロ−フェニル)−2−ベンズアミド−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−カルボキシラート
【化48】

エタノール(50mL)中のtert−ブチル2−ベンズアミド−7a−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−カルボキシラート(2.556g、4.8mmol)及びtrans−N,N’−ジメチル−1,2−シクロヘキサンジアミン(150mg、1.1mmol)の溶液を、アジ化ナトリウム(933mg、14.3mmol)で処理する。L−アスコルビン酸ナトリウム塩(0.66M、3.2mL、2.1mmol)及び水(1mL)の水溶液を添加して、フラスコの最上部に窒素をパージする。混合物を硫酸銅(II)五水和物(0.33M、3.2mL、1.1mmol)の水溶液で処理して、混合物を直ちに、80℃に予熱されたホットプレート上、窒素下で1.5時間加熱する。均質混合物を加熱によって得る。反応物を冷却して、氷水を添加し、混合物をEtOAcで抽出する(3回)。有機層をひとまとめにして、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過して溶媒を真空除去し、粗製のアジ化生成物を与える。粗製のアジ化生成物を低温エタノール(150mL)中の10%パラジウム/炭素(1g)と混和して、混合物を真空/窒素と、その後に真空/水を用いてパージする。混合物を30psiの水素の下、室温で5時間撹拌する。反応物を通気して、珪藻土でろ過し、ろ過ケークをDCMですすぐ。ろ液から溶媒を真空除去して、シリカゲルを用いて50%のDCM中EtOAcによって粗生成物を精製して、表題化合物を与える(2.014g、89%)。ES/MS(m/e):471(M+H)。
【0096】
調製42
tert−ブチル(4aR,7aS)−2−ベンズアミド−7a−[3−[(5−フルオロピリジン−2−カルボニル)アミノ]フェニル]−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−カルボキシラート
【化49】

ジメチルホルムアミド(1ml)を含有するDCM(4mL)中のtert−ブチル(4aR,7aS)−7a−(3−アミノフェニル)−2−ベンズアミド−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−カルボキシラート(93mg、0.21mmol)、5−フルオロピリジン−2−カルボン酸(31.9mg、0.23mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(56.7mg、0.41mmol)及びEDCI(40mg、0.21mmol)のスラリーを、DIPEA(179.2μL、1.03mmol)で処理して、得られた混合物を室温で一晩撹拌する。反応混合物をDCM(5mL)及び飽和水性重炭酸ナトリウム(15mL)で希釈する。有機層を分離して、飽和水性塩化ナトリウム(10mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水して、ろ過して溶媒を真空除去し、粗製の表題化合物を与える(105mg、89%)。ES/MS(m/e):576(M+H)。
【0097】
調製43
N−[3−[(4aR,7aS)−2−ベンズアミド−4a,5,6,7−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]フェニル]−5−フルオロ−ピリジン−2−カルボキサミド;2,2,2−トリフルオロ酢酸
【化50】

tert−ブチル(4aR,7aS)−2−ベンズアミド−7a−[3−[(5−フルオロピリジン−2−カルボニル)アミノ]フェニル]−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−カルボキシラート(105mg、0.18mmol)をDCM(2mL)に溶解して、トリフルオロ酢酸(500μL、6.6mmol)で処理する。得られた黄色溶液を室温で4時間撹拌し、溶媒を真空除去して、粗製の表題生成物を与える(190mg、100%)。ES/MS(m/e):476(M+H)。
【0098】
調製44
N−[(4aR,7aS)−7a−(3−アミノフェニル)−4a,5,6,7−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド
【化51】

トリフルオロ酢酸(25mL)を、DCM(100mL)中のtert−ブチル(4aR,7aS)−7a−(3−アミノフェニル)−2−ベンズアミド−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−カルボキシラート(4g、8.84mmol)の溶液に添加して、混合物を窒素下で4時間撹拌する。溶媒を真空除去して、粗生成物を3:1 DCM:メタノールと、その後に2:1 DCM:7Nのメタノール中アンモニアを用いてSCXカラムにより精製し、表題化合物を与える(2.49g、80%)。ES/MS(m/e):353(M+H)。
【0099】
調製45
N−[7a−(5−アミノ−2−フルオロ−フェニル)−4a,5,6,7−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド
【化52】

トリフルオロ酢酸(10mL)を、DCM(30mL)中のtert−ブチル7a−(5−アミノ−2−フルオロ−フェニル)−2−ベンズアミド−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−カルボキシラート(2.013g、4.28mmol)の溶液に添加して、混合物を窒素下、室温で4時間撹拌する。溶媒を真空除去して、粗生成物を3:1 DCM:メタノールと、その後に2:1 DCM:7Nのメタノール中アンモニアを用いてSCXカラムにより精製し、表題化合物を与える(1.555g、98%)。ES/MS(m/e):371(M+H)。
【0100】
調製46
N−((4aR,7aS)−7a−(3−アミノフェニル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド
【化53】

1,4−ジオキサン(60mL)中のN−[(4aR,7aS)−7a−(3−アミノフェニル)−4a,5,6,7−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド(2.49g、7.06mmol)、5−フルオロ−2−クロロピリミジン(3.74g、28.26mmol)、及びDIPEA(6.16mL、35.32mmol)の溶液を、窒素下で4時間、加熱還流する。反応物を冷却し、水で希釈して、EtOAcで抽出する(3回)。ひとまとめにした有機抽出物を硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過して溶媒を真空除去し、粗生成物を与える。シリカゲルを用いた25分間の5%−100%ヘキサン中EtOAc勾配により粗生成物を精製して、表題化合物を与える(2.51g、79%)。ES/MS(m/e):449(M+H)。
【0101】
調製47
N−[(4aR,7aS)−7a−(2−フルオロフェニル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド
【化54】

N−メチルピロリジン(997mL)中のN−[(4aR,7aS)−7a−(2−フルオロフェニル)−4a,5,6,7−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド(124.7g、256mmol)、DIPEA(67mL)、5−フルオロ−2−クロロピリミジン(29.3ml、307mmol)の溶液を、16時間の間、100℃まで加熱する。反応物を22℃に冷却して、温度を15℃未満に保持しならが、10℃の冷却水(10L)に注ぐ。淡いクローム色の固体をろ過により回収して、さらなる水で洗浄する。湿性固体をEtOAc(2L)に溶解して、分液漏斗に移す。5%w/w塩化ナトリウム水溶液(1L)を添加して、有機層を分離し、硫酸ナトリウムで脱水してろ過し、ろ液を減圧下で蒸発させる。0−40%のEtOAc/イソヘキサン勾配を用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって生成物を精製して、表題化合物を淡黄色固体として与える(116g、70%)。ES/MS(m/e):452(M+1)。
【0102】
調製48
N−((4aR,7aS)−7a−(5−アセトアミド−2−フルオロフェニル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,6,7,7a−ヘキサヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル)ベンズアミド
【化55】

2−クロロ−5−フルオロピリミジン(28.9g、218mmol)及び炭酸カリウム(33.46g、242.1mmol)を、DMF(100mL)中のN−((4aR,7aS)−7a−(5−アセトアミド−2−フルオロフェニル)−4,4a,5,6,7,7a−ヘキサヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル)ベンズアミド(50g、121.22mmol)の溶液に添加する。混合物を8時間の間、80〜85℃に加熱する。混合物を24℃まで冷却してろ過し、DMF(100mL)で洗浄する。固体を水(2L)でスラリーにしてろ過し、表題化合物を得る(68.5g、98%)。LC−MS: m/z=509.2 (M+1)+,H NMR(400MHz,d6−DMSO)δppm 1.22 (t, J = 7.28 Hz, 2 H) 1.92 − 2.07 (m, 6 H) 2.89 − 3.20 (m, 2 H) 3.36 − 3.44 (m, 1 H) 3.67 (t, J=9.54 Hz, 1 H) 3.84 (br. s., 1 H) 4.16 (br. s., 2 H) 7.23 (br. s., 2 H) 7.35 − 7.61 (m, 8 H) 7.77 (br. s., 2 H) 7.85 − 8.18 (m, 4 H) 8.48 (s, 4 H) 10.15 (br. s., 1 H) 10.46 − 10.59 (m, 1 H)。
【0103】
調製49
(4aR,7aS)−7a−(5−アミノ−2−フルオロフェニル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,6,7,7a−ヘキサヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−アミン
【化56】

水酸化リチウム(8.6g、204.9mmol)を、メタノール(400mL)中のN−((4aR,7aS)−7a−(5−アセトアミド−2−フルオロフェニル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,6,7,7a−ヘキサヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル)ベンズアミド(80g、157.3mmol)の溶液に添加する。混合物を4時間の間、60〜70℃に加熱する。濃HCl(132g)を添加して、混合物を55℃で18時間撹拌する。混合物を30℃に冷却して、濃縮してメタノールを除去する。水を添加し、水層をDCMで抽出し(3回)、総重量の5.6%が表題化合物となる水溶液920gとして表題化合物を得て、さらに精製せずに使用する。
【0104】
調製50
N−[3−[(4aR,7aS)−2−ベンズアミド−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]フェニル]−5−フルオロ−ピリジン−2−カルボキサミド
【化57】

N−[3−[(4aR,7aS)−2−ベンズアミド−4a,5,6,7−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]フェニル]−5−フルオロ−ピリジン−2−カルボキサミド;2,2,2−トリフルオロ酢酸(150mg、254μmol)、5−フルオロ−2−クロロピリミジン(68mg、51μmol)及びDIPEA(98μL、56μmol)の溶液を、DMSO(5mL)中、40℃で一晩加熱する。追加の5−フルオロ−2−クロロピリミジン(68mg、51μmol)及びDIPEA(98μL、56μmol)を添加して、混合物を50℃で一晩加熱する。追加の5−フルオロ−2−クロロピリミジン(68mg、51μmol)及びDIPEA(98μL、56μmol)を添加して、混合物を50℃で三晩目に一晩、加熱する。反応物を冷却し、飽和水性炭酸ナトリウム(50mL)で希釈して、スラリーを与え、それをろ過して50℃の真空オーブンで4時間乾燥させて、表題化合物を与える(60mg、41%)。ES/MS(m/e):449(M+H)。
【0105】
別の調製50
N−[(4aR,7aS)−7a−(3−アミノフェニル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド(282mg、628.73μmol)及び5−フルオロピリジン−2−カルボン酸(106.46mg、754.47μmol)を、DCM(3mL)及びジメチルホルムアミド(0.5mL)中で混和する。HOBT(112.70mg、817.35μmol)と、その後、EDCI(159.07mg、817.35μmol)を添加して、得られた混合物を窒素下、室温で5時間撹拌する。反応混合物を水で希釈して、1N NaOHでpHを約12に調整する。混合物をEtOAcで抽出する(3回)。有機抽出物をひとまとめにして、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過して溶媒を真空除去し、粗生成物を与える。シリカゲルを用いた20分間の5%−100%ヘキサン中EtOAc勾配によって粗生成物を精製して、表題化合物を与える(327mg、91%)。ES/MS(m/e):571(M+H)。
【0106】
調製51
N−[7a−(5−アミノ−2−フルオロ−フェニル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド
【化58】

N−[7a−(5−アミノ−2−フルオロ−フェニル)−4a,5,6,7−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド(705mg、1.90mmol)、5−フルオロ−2−クロロピリミジン(1.01g、7.61mmol)、及びDIPEA(1.66mL、9.52mmol)の溶液を、1,4−ジオキサン(20mL)中で窒素下、4時間加熱還流する。反応物を冷却して、水で希釈し、EtOAcで抽出する(3回)。有機層をひとまとめにして、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過して溶媒を真空除去し、粗生成物を与える。シリカゲルを用いた25分間の5%−100%ヘキサン中EtOAc勾配により粗生成物を精製して、表題化合物を与える(590mg、66%)。ES/MS(m/e):467(M+H)。
【0107】
調製52
N−(3−((4aR,7aS)−2−ベンズアミド−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミド
【化59】

N−[(4aR,7aS)−7a−(3−アミノフェニル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド(400mg、891.81μモル)及び5−メトキシピラジン−2−カルボン酸(165mg、1.07mmol)をDCM(4mL)及びジメチルホルムアミド(0.5mL)中で混和する。HOBt(160mg、1.16mmol)と、その後、EDCI(226mg、1.16mmol)を添加して、得られた混合物を窒素下、室温で5時間撹拌する。反応混合物を水で希釈して、1N NaOHでpHを約12に調整する。混合物をEtOAcで抽出する(3回)。ひとまとめにした有機抽出物を硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過して溶媒を真空除去する。シリカゲルを用いた20分間の5%−100%ヘキサン中EtOAc勾配により粗生成物を精製して、表題化合物を与える(482mg、92%)。ES/MS(m/e):585(M+H)。
【0108】
調製53
N−[3−[2−ベンズアミド−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−フルオロ−ピリジン−2−カルボキサミド
【化60】

N−[7a−(5−アミノ−2−フルオロ−フェニル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド(302mg、647μmol)及び5−フルオロピリジン−2−カルボン酸(110mg、777μmol)を、DCM(3mL)及びジメチルホルムアミド(0.5mL)中で混和する。HOBT(116mg、842μmol)と、その後、EDCI(164mg、842μmol)を添加して、混合物を窒素下、室温で一晩撹拌する。反応混合物を水で希釈して、1N NaOHでpHを約12に調整し、その後、EtOAcで抽出する(3回)。有機層をひとまとめにし、ろ過して不溶性材料を回収する。その固体を水及びEtOAcで洗浄して、真空乾燥し、表題化合物を与える。ろ液からの有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過して溶媒を真空除去する。シリカゲルを用いた20分間の5%−100%ヘキサン中EtOAc勾配により残渣を精製して、さらなる表題化合物をまとめた収量(275mg、72%)で与える。ES/MS(m/e):590(M+H)。
【0109】
調製54
N−[(4aR,7aS)−7a−(5−アミノ−2−フルオロ−フェニル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド、(異性体1)
【化61】

ラセミ体N−(7a−(5−アミノ−2−フルオロ−フェニル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド(1.694g、3.63mmol)を、キラルHPLC(カラム Chiralcel OJ、8×35cm;溶離液 90%メタノール(0.2%ジメチルエチルアミン)及び10%アセトニトリル;流速 UV280nmで400mL/分)により精製する。最初に溶出する異性体の分析(カラム Chiralcel OJ-H、0.46×15cm;溶離液 10:90アセトニトリル:メタノール(0.2%ジメチルエチルアミンを含む);流速 UV280nmで0.6mL/分)によって、R=6.70分の鏡像異性体に富む(99%ee)鏡像異性体が確証される(723mg、43%)。ES/MS(m/e):467(M+H)。
【0110】
調製55
N−[3−[(4aR,7aS)−2−ベンズアミド−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミド、(異性体1)
【化62】

N−[(4aR,7aS)−7a−(5−アミノ−2−フルオロ−フェニル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド(0.361g、0.77mmol、異性体1)を、DCM(4mL)とDMF(0.5mL)との混合物に溶解する。5−メトキシピラジン−2−カルボン酸(240mg、1.55mmol)、HOBT(210mg、1.55mmol)及びEDCI(300mg、1.55mmol)を混合物に添加して、混合物を室温で一晩撹拌する。反応溶液を12gシリカゲルロードカラムに直接添加して、40gシリカゲルカラムを用いて精製し、0−100%のEtOAc/ヘキサン勾配で溶出する。生成物をEtOAc(200mL)に溶解し、1N NaOH(50mLで2回)及びブライン(50mLで1回)で洗浄する。シリカゲル精製を上記の通り再度行い、表題化合物を与える(350mg、74%)。ES/MS(m/e):603(M+H)。
【0111】
調製56
N−[3−[(4aR,7aS)−2−ベンズアミド−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]フェニル]−5−シアノ−ピリジン−2−カルボキサミド
【化63】

N−[(4aR,7aS)−7a−(3−アミノフェニル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド(0.30g、0.67mmol)を、DCM(10mL)及び5−シアノピリジン−2−カルボン酸(129mg、0.87mmol)に溶解して、HOBt(185mg、1.34mmol)及びEDCI(169mg、0.87mmol)を添加する。DIPEA(0.35mL、2mmol)を添加して、反応物を室温で一晩撹拌する。0−100%のEtOAc/ヘキサン勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって材料を直接精製して、表題化合物を与える(360mg、88%)。ES/MS(m/e):579(M+H)。
【0112】
調製57
N−[3−[(4aR,7aS)−2−ベンズアミド−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]フェニル]−3,5−ジフルオロ−ピリジン−2−カルボキサミド
【化64】

N−[(4aR,7aS)−7a−(3−アミノフェニル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド(0.30g、0.67mmol)を、DCM(10mL)及び3,5−ジフルオロピリジン−2−カルボン酸(138mg、0.87mmol)に溶解して、HOBT(185mg、1.34mmol)及びEDCI(169mg、0.87mmol)を添加する。Dipea(0.35mL、2mmol)を添加して、反応物を室温で一晩撹拌する。0−100%のEtOAc/ヘキサン勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって反応物を直接精製して、表題化合物を与える(330mg、84%)。ES/MS(m/e):590(M+H)。
【0113】
調製58
N−[3−[(4aR,7aS)−2−ベンズアミド−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−シアノ−ピリジン−2−カルボキサミド、(異性体1)
【化65】

N−[(4aR,7aS)−7a−(5−アミノ−2−フルオロ−フェニル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド(0.180g、0.39mmol、異性体1)を、DCM(2mL)とDMF(0.25mL)との混合物に混合する。5−シアノピリジン−2−カルボン酸(114mg、0.77mmol)、HOBt(106mg、0.77mmol)及びEDCI(150mg、0.77mmol)を添加して、反応物を室温で一晩撹拌する。混合物を水(10mL)、EtOAc(10mL)で希釈して、1 N NaOH(100mL)の溶液に添加する。混合物をEtOAcで抽出し(100mLで2回)、有機層をひとまとめにして、ブラインで洗浄する。有機層をMgSOで脱水し、ろ過して濃縮する。0−100%のEtOAc/ヘキサン勾配を用いたシリカゲルクロマトグラフィーで残渣を精製して、表題化合物を与える(133mg、57%)。ES/MS(m/e):597(M+H)。
【0114】
調製59
N−[3−[(4aR,7aS)−2−ベンズアミド−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−3,5−ジフルオロ−ピリジン−2−カルボキサミド、(異性体1)
【化66】

N−((4aR,7aS)−7a−(5−アミノ−2−フルオロ−フェニル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド(0.180g、0.39mmol、異性体1)を、DCM(2mL)とDMF(0.25mL)との混合物に溶解する。5−シアノピリジン−2−カルボン酸(114mg、0.77mmol)、HOBt(106mg、0.77mmol)及びEDCI(150mg、0.77mmol)を添加して、反応物を室温で一晩撹拌する。混合物を水(10mL)及びEtOAc(10mL)で希釈し、その後、1N NaOH(100mL)の溶液に注ぐ。混合物をEtOAcで抽出し(100mLで2回)、有機抽出物をひとまとめにして、ブラインで洗浄する。有機層をMgSOで脱水し、ろ過して濃縮する。0−100%のEtOAc/ヘキサン勾配を用いたシリカゲルクロマトグラフィーで残渣を精製して、表題化合物を与える(190mg、80%)。ES/MS(m/e):608(M+H)。
【0115】
調製60
(4aR,7aS)−7a−(2−フルオロフェニル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−アミン
【化67】

水酸化リチウム(9.26g、386mmol)を、メタノール(1.6L)中のN−[(4aR,7aS)−7a−(2−フルオロフェニル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド(158.6g、351.6mmol)の混合物に添加する。混合物を70℃で4時間加熱し、その後、22℃に冷却する。反応混合物を黄色残渣になるまで真空蒸発させる。残渣を水(1L)及びEtOAc(750mL)に分配する。HCl(5M水溶液)を添加して、pH1に調整する。水層を分離して、有機層をEtOAcで洗浄する(200mLで2回)。50%w/w水酸化ナトリウム水溶液で水層のpHをpH=10に調整して、EtOAcで抽出する(1Lで3回)。有機抽出物をひとまとめにして、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過して減圧蒸発し、粗製の表題化合物を淡黄色固体として与える(133.3g、99%。12%残留EtOAcを含む)。ES/MS(m/e):348(M+1)。
【0116】
調製61
(4aR,7aS)−7a−(5−アミノ−2−フルオロ−フェニル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−アミン
【化68】

硫酸(33.4ml、626.6mmol)を、トリフルオロ酢酸(626mL)中の(4aR,7aS)−7a−(2−フルオロフェニル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−アミン(45.8g、125.3mmol)に添加する。混合物を0℃に冷却して、20分間撹拌する。発煙硝酸(6.2mL、144.1mmol)を添加して、反応混合物を22℃に昇温させて、3時間撹拌する。反応混合物を蒸発させて、MTBE(250mL)を添加し、2回蒸発させる。残渣を一定重量まで真空乾燥させ、その後、水(147mL)及びエタノール(885mL)に溶解して、窒素を15分間バブリングして脱気する。溶液を高圧反応器に移して、10% Pd/Cペースト型87L(6.6g、6.27mmol)を添加する。混合物をさらなるエタノール(700mL)で希釈して、80psiの水素で16時間加圧する。反応混合物をろ過し、その後、第二の触媒充填物10% Pd/Cペースト型87L(6.6g、6.27mmol)を添加して、80psiで加圧し、高圧反応器内で3日間撹拌する。反応混合物を窒素でパージして、珪藻土でろ過する。ろ液を蒸発させて、残渣を水(200ml)及びEtOAc(200ml)に分配する。水層を分離して、5℃に冷却し、15%w/w水酸化アルミニウムで中和する。水層をEtOAcで抽出する(150mLで3回)。有機層をひとまとめにして、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過して減圧蒸発させ、表題化合物を淡褐色固体として与える(47.7g。残留EtOAcを99%含有)。ES/MS(m/e):363(M+1)。
【0117】
実施例A
N−[3−[2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−フルオロ−ピリジン−2−カルボキサミド
【化69】

N−[3−[2−ベンズアミド−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−フルオロ−ピリジン−2−カルボキサミド(293mg、497μmol)と、O−メチルヒドロキシル−アミン塩酸塩(430mg、4.97mmol)と、ピリジン(402μL、4.97mmol)との混合物を、キャップ付きフラスコにおいてエタノール(13mL)中、2.5時間の間、70℃に加熱する。DMSO(3mL)を添加して、混合物を70℃で一晩加熱する。さらなるDMSO(10mL)を添加して、70℃で4時間加熱し続ける。さらなるO−メチルヒドロキシル−アミン塩酸塩(208mg、2.48mmol)及びピリジン(201μL、2.48mmol)を添加して、混合物を3時間の間、60℃に加熱し、混合物を室温で3日間撹拌する。別のフラスコにおいて、N−[3−[2−ベンズアミド−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−フルオロ−ピリジン−2−カルボキサミド(276mg、468μmol)と、O−メチルヒドロキシル−アミン塩酸塩(405mg、4.68mmol)と、ピリジン(478μL、4.68mmol)との混合物を、キャップ付きフラスコ内で70℃のエタノール(15mL)及びDMSO(4mL)中で加熱する。さらなるDMSO(10mL)を添加して、加熱を70℃で4時間継続する。さらなるO−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩(195mg、2.34mmol)及びピリジン(189μL、2.34mmol)を添加して、加熱を70℃で3時間継続した後、混合物を室温で3日間撹拌する。2種の反応混合物をひとまとめにして、溶媒のほとんどを真空除去する。3:1 DCM:メタノールと、その後2:1 DCM:7Nメタノール中アンモニアを用いたSCXカラムで、粗生成物を精製する。シリカゲルを用いた20分間の0.5%−10%7N DCM中アンモニアメタノール勾配により粗生成物をさらに精製して、表題化合物を与える(451mg、96%)。ES/MS(m/e):486(M+H)。
【0118】
実施例1
N−{3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4a,5,6,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a4H)−イル]フェニル}−5−フルオロピリジン−2−カルボキサミド塩酸塩
【化70】

エタノール(15mL)中のN−[3−[(4aR,7aS)−2−ベンズアミド−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]フェニル]−5−フルオロ−ピリジン−2−カルボキサミド(320mg、560μmol)と、O−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩(485mg、5.60mmol)と、ピリジン(453μL、5.60mmol)との混合物を、キャップ付きバイアル中、65℃で5時間加熱する。反応混合物を冷却して、溶媒を真空除去する。シリカゲルを用いた30分間の0.5%−10%7NメタノールDCM中アンモニウム勾配により粗生成物を精製して、N−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]フェニル]−5−フルオロ−ピリジン−2−カルボキサミドを与える(219mg、84%)。この材料をDCM(1mL)及びメタノール(0.5mL)に溶解して、1Mのジエチルエーテル中塩酸(0.47mL、470μmol)を添加する。溶媒を真空除去して、表題化合物を与える(228mg、81%)。ES/MS(m/e):468(M+H)。
【0119】
実施例2
N−{3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4a,5,6,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a(4H)−イル]フェニル)−5−メトキシピラジン−2−カルボキサミド塩酸塩
【化71】

エタノール(20mL)中のN−[3−[(4aR,7aS)−2−ベンズアミド−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミド(479mg、819μmol)と、O−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩(709mg、8.19mmol)と、ピリジン(663μL、8.19mmol)との混合物を、キャップ付きフラスコ内において50℃で一晩加熱する。DMSO(4mL)を添加して、混合物を4時間の間、70℃に加熱して、溶液を得る。反応物を冷却し、溶媒のほとんどを真空除去する。水を添加して、1N水酸化ナトリウムでpHを約12に調整する。混合物をEtOAcで抽出する(5回)。ひとまとめにした有機抽出物を硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過して溶媒を真空除去する。シリカゲルを用いた30分間の0.5%−10%の7N DCM中アンモニアメタノール勾配により粗生成物を精製する。混合物を、3:1 DCM:メタノールと、その後、2:1 DCM:7Nメタノール中アンモニアを用いてSCXカラムで再度精製して、残留DMSOを除去する。最後の、シリカゲルを用いた20分間の0.5%−10%の7N DCM中アンモニアメタノール勾配により混合物を精製して、N−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミドを与える。この材料をDCM(1mL)及びメタノール(0.5mL)に溶解して、1Mのジエチルエーテル中塩酸(0.66mL、660μmol)を添加する。溶媒を真空除去して、表題化合物を与える(329mg、78%)。ES/MS(m/e):481(M+H)。
【0120】
実施例3
N−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−フルオロ−ピリジン−2−カルボキサミド塩酸塩
【化72】

ラセミ体N−[3−[2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−フルオロ−ピリジン−2−カルボキサミド(451mg、929μmol)を、SFC(カラム Chiralcel OD-H(5μm)、2.1×25cm;溶離液 40%CO中メタノール(0.2%イソプロピルアミン);流速 UV225nmで70mL/分)によってキラル精製する。最初に溶出する異性体のキラル分析:カラム Chiralcel OD-H(5μm)、4.6×150mm;溶離液 40%CO中メタノール(0.2%イソプロピルアミン);流速 UV225nmで5mL/分、によって、R=1.01分で鏡像異性体に富む(>99%ee)鏡像異性体が確証される(175mg、360μモル)。この材料(遊離塩基、異性体1)をDCM(1mL)及びメタノール(0.5mL)に溶解して、1Mジエチルエーテル中塩化水素(0.36mL、360μモル)を添加する。溶媒を真空除去して、表題化合物を与える(183mg、38%)。ES/MS(m/e):486(M+H)。
【0121】
実施例4
N−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミド塩酸塩
【化73】

N−[3−[(4aR,7aS)−2−ベンズアミド−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミド(0.350g、0.58mmol、異性体1)をTHF(2mL)に溶解して、その後、メタノール(4mL)及びエタノール(4mL)を添加する。O−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩(495mg、5.81mmol)及びピリジン(470μL、5.81mmol)を混合物に添加して、反応物を50℃に昇温させて、一晩撹拌する。シリカゲル(約10g)を反応物に添加して、混合物を濃縮する。シリカゲルで乾燥させた試料を空のカートリッジに充填して、0−10%の7N DCM中アンモニアメタノール勾配で溶出して精製する。2回目に、3:1 DCM:メタノールと、その後に2:1 DCM:7Nメタノール中アンモニアを用いてSCXカラムによって、生成物を精製する。最後に、シリカゲルを用いて、0%−10%のDCM中7Nアンモニアメタノール勾配によって生成物を精製して、表題化合物の遊離塩基を与える。この材料をDCM(5mL)に溶解して、1Mジエチルエーテル中塩化水素(0.20mL、660μmol)を添加する。溶媒を真空除去して、表題化合物を与える(71mg、23%)。ES/MS(m/e):498(M+H)。
【0122】
実施例5
結晶形態2 N−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4a,5,6,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a(4H)−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミド(水和物)
アセトニトリル(500mL)を、ジメチルホルムアミド(19.2mL、248.9mmol)に添加する。塩化オキサリル(39.3g、309.63mmol)と、続いて5−メトキシピラジン−2−カルボン酸(46.0g、298.4mmol)を、ジメチルホルムアミド溶液に添加する。別のフラスコにおいて、(4aR,7aS)−7a−(5−アミノ−2−フルオロフェニル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,6,7,7a−ヘキサヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−アミン(56.8g、156.75mmol)の水溶液をアセトニトリル(500mL)に添加して、水酸化アンモニウム(95mL)でpHを9に調整する。その後、混合物を50〜55℃に加熱する。酸塩化物溶液を滴加して、混合物を3時間撹拌する。水酸化アルミニウムで、pHを8〜9に調整する。得られた沈殿をろ過して水で洗浄し、乾燥させて表題化合物を得る(123g)。固体をアセトン(250mL)で1.5時間、スラリーにして、ろ過する。湿性ケークをアセトンで洗浄して、表題化合物を得る(110g。HPLCにより90.5%純度)。THF(1L)及び活性炭(9g)をその固体に添加して、混合物を一晩、加熱還流する。混合物を珪藻土でろ過して、THF(150mL)で洗浄する。有機溶液を10倍に濃縮して、60℃に加熱する。水(430mL)を添加して、混合物を60℃で8時間撹拌する。混合物を室温まで冷却し、10時間撹拌する。得られた固体をろ過し、THF/水(7:6)で洗浄して、表題化合物を与える(69g、88%)。LC−MS: m/z=499(M+1)、 純度:98.3%。H NMR(400MHz,DMSO−d6)δppm 2.99 − 3.07 (m, 2 H) 3.07 − 3.14 (m, 1 H) 3.58 − 3.67 (m, 1 H) 3.68 − 3.76 (m, 1 H) 3.76 − 3.84 (m, 1 H) 4.02 (s, 3 H) 4.07 (d, J=10.92 Hz, 1 H) 6.08 (s, 2 H) 7.19 (dd, J=11.98, 8.72 Hz, 1 H) 7.78 − 7.89 (m, 2 H) 8.41 (s, 1 H) 8.44 (s, 2 H) 8.88 (s, 1 H) 10.60 (s, 1 H)。
【0123】
粉末X線回折(XRD)
CuKα線源(λ=1.54060Å)及びVantec検出器を備え、35kV及び50mAで操作するBruker D4 Endeavor粉末X線回折装置で、結晶性固体のXRDパターンを得る。2θのステップサイズ0.009°及びスキャン速度0.5秒/ステップで、発散スリット0.6mm、散乱線除去スリット5.28、及び検出器スリット(detector slits)9.5mmとし、試料を2θで4〜40°スキャンする。乾燥粉末を水晶試料ホールダに充填して、ガラススライドを用いて平滑面を得る。結晶形態の回折パターンを、周囲温度及び相対湿度で回収する。任意の所与の結晶形態について、回折ピークの相対強度が結晶形態及び習慣などの因子により得られる好ましい方向性によって変動し得ることは、結晶学の技術分野において周知である。好ましい方向性の影響が存在する場合、ピーク強度は改変するが、多形の特徴的ピーク位置は不変である。例えば、The United States Pharmacopeia #23, National Formulary #18, pages 1843-1844, 1995を参照されたい。さらに、任意の所与の結晶形態で、角度のピーク位置がわずかに変動し得ることも、結晶学において周知である。例えばピーク位置は、試料が分析される温度若しくは湿度の変動、試料の変位、又は内部標準の有無に応じてシフトし得る。本明細書の場合、2θでのピーク位置の変動性±0.2は、これらの潜在的変動を考慮しており、示された結晶形態の明確な同定を妨げない。識別するピーク(°2θの単位)、典型的にはより顕著なピークの任意の特有の組み合わせに基づいて、結晶形態の確証を行うことができる。周囲温度及び相対湿度で回収された結晶形態の回折パターンを、8.853及び26.774°2θでのNIST 675標準ピークに基づいて調整した。
【0124】
結晶形態2 N−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4a,5,6,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a(4H)−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミドの調製試料を、以下の表2に記載された回折ピーク(2θ値)を有するCuKα線を用いたXRDパターンによって特徴づける。具体的には該パターンは、11.8°にピークを含み、18.6°、19.3°、及び26.7°からなる群から選択される1つ又は複数のピークを有し、回折角の公差は0.2°である。
【表2】
【0125】
実施例6
N−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]フェニル]−5−シアノ−ピリジン−2−カルボキサミド塩酸塩
【化74】

N−[3−[(4aR,7aS)−2−ベンズアミド−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]フェニル]−5−シアノ−ピリジン−2−カルボキサミド(360mg、0.59mmol)を、エタノール(10mL)及びDCM(2mL)に溶解する。O−メチルヒドロキシル−アミン塩酸塩(504mg、5.91mmol)及びピリジン(478μL、5.91mmol)を添加して、反応物を室温で週末の間(70時間)、撹拌する。反応物を60℃まで昇温させて、24時間撹拌する。反応物を濃縮して、粗生成物を与え、0−10%の7N DCM中アンモニアメタノール勾配を用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物の遊離塩基を与える。この材料をDCM(5mL)に溶解して、1Mのジエチルエーテル中塩酸(0.54mL、540μmol)を添加する。溶媒を真空除去して、表題化合物を与える(240mg、75%)。ES/MS(m/e):475(M+H)。
【0126】
実施例7
N−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]フェニル]−3,5−ジフルオロ−ピリジン−2−カルボキサミド塩酸塩
【化75】

N−[3−[(4aR,7aS)−2−ベンズアミド−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]フェニル]−3,5−ジフルオロ−ピリジン−2−カルボキサミド(330mg、0.53mmol)を、THF(10mL)に溶解して、エタノール(10mL)で希釈する。O−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩(453mg、5.32mmol)及びピリジン(430μL、5.91mmol)を添加して、反応物を室温で週末の間(70時間)、撹拌する。反応物を60℃に昇温させて、24時間撹拌する。混合物をシリカゲル(約10g)で濃縮して、0−10%の7N DCM中アンモニアメタノール勾配を用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物の遊離塩基を与える。この材料をDCM(5mL)に溶解して、1Mのジエチルエーテル中塩酸(0.49mL、490μmol)を添加する。溶媒を真空除去して、表題化合物を与える(159mg、54%)。ES/MS(m/e):486(M+H)。
【0127】
実施例8
N−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−シアノ−ピリジン−2−カルボキサミド塩酸塩
【化76】

N−[3−[(4aR,7aS)−2−ベンズアミド−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−シアノ−ピリジン−2−カルボキサミド(133mg、0.22mmol、異性体1)をTHF(1mL)に溶解して、メタノール(3mL)及びエタノール(3mL)で希釈する。O−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩(190mg、2.2mmol)及びピリジン(180μL、2.2mmol)を添加する。反応物を50℃に昇温させて、一晩撹拌する。混合物をシリカゲル(約10g)で濃縮して、0−10%の7N DCM中アンモニアメタノール勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製する。2回目に、3:1 DCM:メタノールと、その後に2:1 DCM:7Nメタノール中アンモニアを用いてSCXカラムで、この材料を精製する。最後に、シリカゲルを用いた0%−10%の7N DCM中アンモニアメタノール勾配により混合物を精製して、表題化合物の遊離塩基を与える。この材料をDCM(5mL)に溶解して、1Mジエチルエーテル中塩酸(0.27mL、270μmol)を添加する。溶媒を真空除去して、表題化合物を与える(114mg、97%)。ES/MS(m/e):493(M+H)。
【0128】
実施例9
N−(3−((4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−3,5−ジフルオロ−ピリジン−2−カルボキサミド塩酸塩
【化77】

N−[3−[(4aR,7aS)−2−ベンズアミド−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−3,5−ジフルオロ−ピリジン−2−カルボキサミド(190mg、0.31mmol、異性体1)をTHF(1mL)に溶解して、メタノール(3mL)及びエタノール(3mL)で希釈する。O−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩(267mg、3.1mmol)及びピリジン(253μL、3.1mmol)を添加して、反応物を50℃に昇温させて、一晩撹拌する。3:1 DCM:メタノールと、その後、2:1 DCM:7Nメタノール中アンモニアを用いて、SCXカラムで反応物を精製する。最後の、シリカゲルを用いて0%−10%の7N DCM中アンモニアメタノール勾配によりその材料を精製して、表題化合物の遊離塩基を与える。この材料をDCM(5mL)に溶解して、1Mジエチルエーテル中塩酸(0.20mL、200μmol)を添加する。溶媒を真空除去して、表題化合物を与える(101mg、60%)。ES/MS(m/e):504(M+H)。
【0129】
実施例10
N−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4a,5,6,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a(4H)−イル]−4−フルオロ−フェニル]−3,5−ジフルオロ−ピリジン−2−カルボキサミド
【化78】

塩化オキサリル(10.5ml、136,4mmol)を、アセトニトリル(617mL)及びジメチルホルムアミド(10.5mL)中の3,5−ジフルオロピコリン酸(19.9g、125mmol)の溶液に添加する。30分間撹拌した後、その溶液を、予め50℃に加熱されたエタノール(823mL)/水(823mL)混合物中の(4aR,7aS)−7a−(5−アミノ−2−フルオロ−フェニル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−アミン(41.1g、113mmol)の新たに調製された溶液に添加する。反応物を50℃で1時間保持する。反応混合物を22℃に冷却して、溶媒を蒸発させる。水溶液をDCM(1L)で希釈して、2M水酸化ナトリウムでpHをpH=11に調整する。有機層を分離して、水層をさらなるDCMで洗浄する(400mLで2回)で洗浄する。有機抽出物をひとまとめにして、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過して蒸発乾固する。0−10%DCMの2Nアンモニア添加メタノール/DCMの勾配を用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって、粗製の材料を精製して、表題化合物をオフホワイトの固体として与える(45g、78%)。ES/MS(m/e):504(M+1)。
【0130】
インビトロアッセイの手順:
インビトロ酵素及び細胞アッセイでは、テスト化合物をDMSO中で調整して、10mM標準原液を作製する。この標準原液をDMSOで系列希釈して、96ウェル丸底プレートにおいて最終化合物濃度10mM〜0.05nMの範囲内で10点希釈曲線を得た後、インビトロ酵素及び全細胞アッセイを実施する。
【0131】
インビトロプロテアーゼ阻害アッセイ:
ヒトBACE1の発現
ヒトBACE1(アクセション番号:AF190725)を、RT−PCRにより全脳由来cDNAからクローニングする。アミノ酸配列番号1〜460に対応するヌクレオチド配列を、ヒトIgG(Fc)ポリペプチドをコードするcDNAに挿入する(Vasser, et al., Science, 286, 735-741 (1999)参照)。huBACE1:Fcと称される、BACE1(1−460)とヒトFcとのこの融合タンパク質を、pJB02ベクター内に構築する。ヒトBACE1(1−460):Fc(huBACE1:Fc)を、HEK293細胞内で一過性に発現させる。各構築物のcDNA 250μgを、Fugene 6と混合して、HEK293細胞 1Lに添加する。トランスフェクションの4日後に、コンディション培地を精製用に採取する。
【0132】
huBACE1:Fcの精製
huBACE1:Fcを、プロテインAクロマトグラフィーによって精製する。その酵素を少量ずつ分取して−80℃で貯蔵する。
【0133】
BACE1 FRETアッセイ
テスト化合物の系列希釈を、先に記載された通り調製する。化合物をKHPO緩衝液でさらに20倍希釈する。各希釈物10μLを、反応混合物(50mM KHPO 25μL、pH4.6、1mM TRITON(登録商標)X-100、1mg/mL ウシ血清アルブミン、及び15μM FRET基質)を含む対応する低タンパク質結合黒色プレートのA〜H列の各ウェルに添加する(Yang, et. al., J. Neurochemistry, 91(6) 1249-59 (2004)参照)。内容物をプレートシェーカで10分間、十分に混合する。KHPO緩衝液中の200pMヒトBACE1(1−460):Fc(Vasser, et al., Science, 286, 735-741 (1999)参照)15μLを、基質及びテスト化合物を含むプレートに添加して、反応を開始させる。プレートシェーカで簡単に混合した後、0時目の混合物のRFUを、励起波長355nm及び発光波長460nmで記録する。反応プレートをアルミ箔で覆い、暗色の加湿オーブンにおいて室温で16〜24時間保持する。インキュベーション終了時のRFUを、0時目に用いられたものと同じ励起及び発光設定で記録する。0時目とインキュベーション終了時とのRFUの差は、化合物処置の下でのBACE1の活性を表す。RFUの差を阻害濃度に対してプロットして、曲線を4パラメータロジスティック方程式に適合させて、EC50及びIC50値を得る(Sinha, et al., Nature, 402, 537-540 (2000)参照)。
【0134】
以下の模範的化合物を、本質的に先に記載された通りテストすると、以下のBACE1に関する活性を示す:
【表3】
【0135】
これらのデータから、表3の化合物がインビトロで精製組換え体BACE1酵素活性を阻害することが実証される。
【0136】
ベータセクレターゼ活性の阻害を測定する全細胞アッセイ
HEK293Swe全細胞アッセイ
ベータセクレターゼ活性の阻害を測定する日常的全細胞アッセイでは、一般にスウェーデン変異と呼ばれ、Aベータを過剰産生することが示されている(Citron, et al., Nature, 360, 672-674 (1992))、Lys651Met652からAsn651Leu652への天然に存在する二重変異を含むヒトAPP751 cDNAを安定して発現するヒト胚性腎細胞株HEK293P(アクセション番号CRL−1573)(HEK293Sweと表記される)を使用する。インビトロAベータ還元アッセイが、文献に記載されている(Dovey, et al., Journal of Neurochemistry, 76, 173-181 (2001); Seubert, et al., Nature, 361, 260 (1993);及びJohnson-Wood, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 94, 1550-1555 (1997)参照)。
【0137】
細胞(10%FBSを含むDMEM培地200μLを含む3.5×10細胞/ウェルのHEK293Swe)を、所望の濃度の阻害剤(DMSOで希釈)の存在下/非存在下、37℃で4〜24時間インキュベートする。インキュベーションの終了時に、コンディション培地を、例えばAベータペプチドの分析によって、ベータセクレターゼ活性の証拠について分析する。総Aベータペプチド(Aベータ1−x)を、捕捉抗体としてのモノクローナル266及びレポーティング抗体(reporting antibody)としてのビオチン化3D6を用いて、サンドイッチELISAによって測定する。或いはAベータ1−40及びAベータ1−42ペプチドを、Aベータ1−40のための捕捉抗体としてのモノクローナル2G3、及びAベータ1−42のための捕捉抗体としてのモノクローナル21F12を用いて、サンドイッチELISAによって測定する。Aベータ1−40及びAベータ1−42の両ELISAは、レポーティング抗体としてビオチン化3D6を使用する。化合物処置に続いてコンディション培地中に遊離されるAベータの濃度は、そのような条件下でのBACE1の活性に対応する。10点阻害曲線をプロットして、4パラメータロジスティック方程式に適合させて、Aベータ低下作用に関するEC50及びIC50を得る。以下の模範的化合物を、本質的に先に記載された通りテストすると、Aベータ低下作用に関して以下の活性を示す:
【表4】
【0138】
これらのデータから、表4の化合物が全細胞におけるネイティブAベータ産生を阻害することが実証される。
【0139】
PDAPP初代ニューロンアッセイ
確証のための全細胞アッセイを、PDAPPトランスジェニック胚性マウスから産生された初代ニューロン培養物中でも実施する。初代皮質ニューロンを、胎生16日目のPDAPP胚から調製して、96ウェルプレートで培養する(DMEM/F12(1:1)+10%FBS中の15×10細胞/ウェル)。インビトロでの2日後に、培地を、B27サプリメント及び2μM(最終)Ara−C(Sigma、C1768)を含有する無血清DMEM/F12(1:1)と交換する。インビトロでの5日目に、ニューロンを、所望の濃度の阻害剤(DMSOで希釈)の存在下/非存在下、37℃で24時間インキュベートする。インキュベーションの終了時に、コンディション培地を、例えばAベータペプチドの分析によって、ベータセクレターゼ活性の証拠について分析する。総Aベータペプチド(Aベータ1−x)を、捕捉抗体としてのモノクローナル266及びレポーティング抗体としてのビオチン化3D6を用いて、サンドイッチELISAによって測定する。或いはAベータ1−40及びAベータ1−42ペプチドを、Aベータ1−40のための捕捉抗体としてのモノクローナル2G3、及びAベータ1−42のための捕捉抗体としてのモノクローナル21F12を用いて、サンドイッチELISAによって測定する。Aベータ1−40及びAベータ1−42の両ELISAは、レポーティング抗体としてビオチン化3D6を使用する。化合物処置に続いてコンディション培地中に遊離されるAベータの濃度は、そのような条件下でのBACE1の活性に対応する。10点阻害曲線をプロットして、4パラメータロジスティック方程式に適合させて、Aベータ低下作用に関するEC50及びIC50を得る。以下の模範的化合物を、本質的に先に記載された通りテストすると、Aベータ低下作用に関して以下の活性を示す:
【表5】
【0140】
これらのデータから、表5の化合物が全細胞におけるAベータ産生を阻害することが実証される。
【0141】
ベータセクレターゼのインビボ阻害
マウス、モルモット、イヌ、及びサルをはじめとする複数の動物モデルを用いて、化合物処置に続くインビボでのベータセクレターゼ活性の阻害をスクリーニングすることができる。本発明において用いられる動物は、野生型、トランスジェニック、又は遺伝子ノックアウト動物であり得る。例えば、Games et al., Nature 373, 523-527 (1995)に記載された通り調製されたPDAPPマウスモデル、及び他のトランスジェニック又は遺伝子ノックアウト動物は、阻害性化合物の存在下でAベータ及びsAPPベータ産生のインビボ阻害を分析するのに有用である。一般に2〜12ヶ月齢PDAPPマウス、遺伝子ノックアウトマウス又は非トランスジェニック動物に、コーン油、シクロデキストラン、リン酸緩衝液、PHARMASOLVE(登録商標)、又は他の適切なビヒクルなどのビヒクル中に配合された化合物を投与する。化合物投与後1〜24時間目に、動物を殺処分し、脳に加え、脳脊髄液及び血漿をAベータ、C99、及びsAPP断片の分析用に取り出す(May, et al., Journal of Neuroscience, 31, 16507-16516 (2011)参照)。
【0142】
標準のインビボ薬理学試験では、動物に様々な濃度の化合物を投与し、同時に投与されたビヒクル処置対照群と比較する。一部の経時的試験では、脳組織、血漿、又は脳脊髄液を選択された動物から得て、0時間目に開始してベースラインを確定する。化合物又は適切なビヒクルを他の群に投与して、投与後の様々な時間に殺処分する。脳組織、血漿、又は脳脊髄液を選択された動物から得て、例えば専用のサンドイッチELISAアッセイによって、Aベータペプチド、sAPPベータ及び他のAPP断片をはじめとするAPP切断産物の存在について分析する。テスト期間の終了時に、動物を殺処分して、脳組織、血漿、又は脳脊髄液を適宜、Aベータペプチド、C99、及びsAPPベータの存在について分析する。APPトランスジェニック動物の脳組織はまた、化合物処置後のベータアミロイド斑の量について分析され得る。本明細書で用いられる「Aベータ1−xペプチド」は、残基1で開始し、残基28よりも大きなC末端で終結するAベータ種の合計を指す。これは、Aベータ種の大部分を検出し、多くの場合「総Aベータ」と呼ばれる。
【0143】
阻害性化合物を投与された動物(PDAPP又は他のAPPトランスジェニック又は非トランスジェニックマウス)は、ビヒクル処置対照又は0時間目対照に比較して、脳組織、血漿又は脳脊髄液におけるAベータ又はsAPPベータの低減、及び脳組織におけるベータアミロイド斑の減少を示し得る。若齢雌PDAPPマウスへの実施例1の化合物の1、3、又は10mg/kg経口用量の投与後3時間目に、Aベータ1−xペプチドレベルは、ビヒクル処置マウスに比較して、それぞれ脳海馬においておよそ34%、48%、及び53%、並びに脳皮質においておよそ43%、59%及び66%低減する。
【0144】
実施例3の化合物の1又は3mg/kg経口用量の投与後3時間目は、Aベータ1−xペプチドレベルが、ビヒクル処置マウスに比較してそれぞれ脳海馬においておよそ38%及び50%、並びに脳皮質においておよそ34%及び53%低減する。
【0145】
実施例4において、該化合物の0.3、1、又は3mg/kg経口用量の投与後3時間目に、Aベータ1−xペプチドレベルが、ビヒクル処置マウスに比較して、それぞれ脳海馬においておよそ31%、39%、及び61%、並びに脳皮質においておよそ28%、42%及び64%低減する。
【0146】
インビトロでのBACE酵素に対する実施例1、3、及び4の活性を前提にすると、これらのAベータ低下作用は、インビボでのBACE阻害と一致し、さらに実施例1、3及び4のCNS透過を実証している。
【0147】
これらの試験から、実施例1〜9の化合物がBACEを阻害し、それゆえAベータレベルを低減するのに有用であることが示される。
【0148】
併用試験
BACE阻害剤供給パイロット試験
BACE阻害剤単独による最小〜著しい血漿及び脳Aベータ低減を提供する用量を定義するために、パイロット薬物動態及び薬力学試験を、式Iで示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩などのBACE阻害剤を含有する固形飼料を供給されたPDAPPマウスにおいて実施する。若齢PDAPPマウスに、3mg/kg、10mg/kg、30mg/kg又は100mg/kgの「半量ずつ1日2回」の均等用量でBACE阻害剤を含有する固形飼料を含有する飼料を14日間、供給する。公認のげっ歯類用飼料#8728CM(Harlan labs)1グラムあたり約0.05、0.15、0.5又は1.5mgのBACE阻害剤を、Sorvallミキサーで10分間混合し、その後、15分間、Hobartミキサーで混合した後、ペレット化する。若齢雌PDAPPマウス32匹を、親系統によって、ビヒクル処置群及びBACE阻害剤3用量からなる8匹ずつ4群に無作為化する。マウスは、14日間の間、自由に飼料に接近でき、その後、殺処分される。マウスにCOで麻酔して、心穿刺によって血液をEDTAコーティング遠沈管に採取して、氷上に貯蔵する。続いて、血液試料を室温にて14,000rpmで4分間遠心分離することによって血漿を採取し、未処置のマイクロ遠沈管に移し、その後、ドライアイス上で凍結させて、分析まで−80℃で貯蔵する。マウスを断頭によって殺処分し、脳を迅速に半分に顕微解剖して、ドライアイス上で急速冷凍し、分析まで−80℃で貯蔵する(Aベータ分析のための半分と、化合物暴露測定のためのもう半分)。脳実質Aベータの分析では、脳試料を5.5Mグアニジン−HCl緩衝液(0.5mL/脳半分)中で速度5の組織断裂装置(tissue tearer)(model 985-370)で約1分間ホモジナイズする。ホモジナイズされた脳試料を、室温で一晩ニューテーションさせる(nutated)。
【0149】
AベータELISA分析では、抽出物を回収し、カゼイン緩衝液(0.25%カゼインを含有する1×PBS、0.05%Tween20、プロテアーゼインヒビターカクテル(Sigma P9340 0、0.01mg/ml)を含む1%チメロサール、pH7.4)に少なくとも1:10で希釈し、14000rpmで10分間遠心分離する。血漿Aベータの分析では、試料を標本緩衝液(PBS;0.05%Triton X-405;0.04%チメロサール(thimerasol)、0.6%BSA)で1:2に希釈した後、ELISAによって分析する。血漿ヒトAベータ1−xを、m266.2(抗Aベータ13−28)及びビオチン化3D6(抗Aベータ1−5)をそれぞれ捕捉及びレポータ抗体として用いてサンドイッチELISAによって測定する。未知量を二重測定でアッセイし、8点標準曲線から内挿し、その後、希釈率に適合させることによって(Soft Max Pro v. 5.0.1、Molecular Dynamics;参照曲線の4パラメータフィットを利用)pg/mLを決定する。脳実質Aベータを先に記載された通りサンドイッチELISAによって測定し、値をタンパク質レベルに正規化して(Bradford Coomassie Plus Protein法によって二重測定で決定)、pg/mgタンパク質として表す。
【0150】
BACE阻害剤の組織及び血漿レベルを測定するために、以下の方法を利用した:BACE阻害剤の0.1mg/mL標準原液を、メタノール/水(1:1、v/v)で系列希釈し、標準溶液を調製してその後、それを用い、対照血漿及び脳ホモジネートを添加して、分析物濃度1、5、10、20、50、100、500、1000、2000、4000、及び5000ng/mLを得る。分析の前に、超音波破砕装置を用い、3倍容量のメタノール/水(1:4、v/v)中で、脳試料をホモジナイズする。各試験試料、適切な較正標準及び対照マトリックス試料のアリコットを、96ウェルプレートに移し、その後、内部標準を含むアセトニトリルと混合する。混合した後、試料を遠心分離して、沈殿したタンパク質をペレット化する。得られた上清のアリコットをその後、清潔な96ウェルプレートに移して、メタノール/水(1:1、v/v)で希釈し、10マイクロリットルのアリコットをLC−MS/MSによって分析する。検量線標本の重回帰によって決定された応答対濃度関連性を利用して、分析物濃度を計算する。
【0151】
インビボ併用試験
抗N3pGlu AベータモノクローナルVII(表1のmE8c−IgG2a参照;米国特許第8,679,498 B2号;USSN13/810,895号に記載された通り)などの抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体と、式Iで示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩などのBACE阻害剤と、の併用プラーク減少療法を評価するために、PDAPPマウスの大型コホートを最初、16〜18ヶ月齢に加齢させる。加齢したPDAPPマウスを、性別、親系統、及び月齢に基づく5つの処置群に無作為化する。処置群あたりに20〜30匹の加齢したPDAPPマウスが存在する。群1は、治療的処置の前に病態のベースラインレベルを決定するために、試験開始時0時目として殺処分される(以下に剖検を記載)。残りの4群は、その後、以下の通り処置される:群2 プラセボ固形試料を受け、対照アイソタイプIgG2a抗体12.5mg/kgの注射を週に1回受ける対照動物;群3 抗N3pGlu−Aベータモノクローナル抗体12.5mg/kgの注射を週に1回受ける動物;群4 パイロット供給試験で過去に定義されているが、典型的には約3〜30mg/kg/日の用量のBACE阻害剤固形飼料を受ける動物;群5 BACE阻害剤固形飼料(約3〜30mg/kg/日)を受け、抗N3pGlu−Aベータモノクローナル抗体12.5mg/kgの注射を週に1回受ける動物。抗N3pGlu−Aベータモノクローナル抗体は、PBS中の抗体からなる滅菌標準原液から希釈され、腹腔内注射によって動物に投与される。BACE阻害剤をばらの固形飼料(所望の用量に応じて飼料1グラムあたり化合物約0.15〜1.5mg)と混合して、飼料ペレットに圧縮する。動物の体重を、試験開始時と、続いて処置の一ヶ月目は週に1回、その後の試験期間は月1回記録する。食物摂取量もまた、試験期間の間、規則的間隔でモニタリングする。動物は、計4ヶ月の試験処置を受ける。動物は、最後の抗体注射後1週間目に実施する剖検まで各飼料を継続する。剖検の際、動物を麻酔にかけ、EDTAを予めすすいだ1mlシリンジを用いて、心穿刺によって血液を得る。血液試料を氷上で採取し、血漿を標準的な遠心分離によって単離する。次に、動物を低温ヘパリン添加生理食塩水で灌流して、脳を取り出し、左半球と右半球に切断する。一方の脳半球を急速冷凍し、組織学的分析用に貯蔵する。残りの脳半球は、海馬、皮質、小脳、及び中脳からなる組織断片に切断し、次にドライアイス上で凍結させる。血漿及び組織試料を、分析時間まで−80℃で貯蔵する。
【0152】
薬物動態評価
血漿の薬物動態特性を、剖検の際に得られた血漿試料で測定する。プレートを抗原(Aベータp3−42)でコーティングし、次に、希釈された血漿試料、又はアッセイ緩衝液(PBS+対照ネズミ血漿)での抗N3pGluモノクローナル抗体の系列希釈からなる参照標準と共にインキュベートする、抗原結合ELISAアッセイで血漿抗体レベルを測定する。プレートを洗浄した後、結合した根ズム抗体を抗ネズミHRPコンジュゲート抗体で検出し、その後、TMBで発色させた。BACE阻害剤の組織(中脳)及び血漿レベルを測定するために、以下の方法を用いる:BACE阻害剤の0.1mg/ml標準原液をメタノール/水(1:1、v/v)で系列希釈して、標準溶液を調製し、その後、それを用い、対照血漿及び脳ホモジネートを添加して、分析物濃度1、5、10、20、50、100、500、1000、2000、4000、及び5000ng/mLを得る。分析の前に、超音波破砕装置を用い、3倍容量のメタノール/水(1:4、v/v)中で、脳試料をホモジナイズする。各試験試料、適切な較正標準及び対照マトリックス試料のアリコットを、96ウェルプレートに移し、その後、内部標準を含むアセトニトリルと混合する。混合した後、試料を遠心分離して、沈殿したタンパク質をペレット化する。得られた上清のアリコットをその後、清潔な96ウェルプレートに移して、メタノール/水(1:1、v/v)で希釈し、10マイクロリットルのアリコットをLC−MS/MSによって分析する。検量線標本の重回帰によって測定された応答対濃度関連性を利用して、分析物濃度を計算する。
【0153】
薬力学的評価
脳実質Aベータ濃度を、サンドイッチELISAによってグアニジン可溶化組織ホモジネート中で測定する。シリコン処理されたガラスビーズ1mlを含有する2mlディープウェルディッシュにおいてpH8.0の5.5Mグアニジン/50mM Tris/0.5×プロテアーゼインヒビターカクテル1mlに凍結組織を抽出させる、ビードビーター技術によって、組織抽出を実施する(密閉したプレートをそれぞれ3分間からなる2回の間隔の間、振とうさせた)。得られた組織溶解物を、サンドイッチELISAによって、Aベータ1−40及びAベータ1−42について分析する:ビードビーター試料を2%BSA/PBS−Tで1:10に希釈し、試料フィルタープレート(Millipore)でろ過する。試料、ブランク、標準、品質管理試料を、2%BSA/PBST中の0.55Mグアニジン/5mM Trisでさらに希釈した後、試料プレートを加える。参照標準を試料希釈液で希釈する。15μg/mlの捕捉抗体21F12(抗Aベータ42)又は2G3(抗Aベータ40)でコーティングされたプレートを、試料と共にインキュベートして、2%BSA/PBS−Tに希釈されたビオチン化3D6(抗Aベータ1−x)と、続く2%BSA/PBS−T中の1:20K希釈NeutrAvidin-HRP(Pierce)で検出を実施して、TMB(Pierce)で発色させる。Aベータレベルを標準曲線から内挿して、最終組織濃度を、組織湿重量1ミリグラムあたりのAベータのナノグラムとして計算する。沈着したAベータが占める海馬及び皮質の面積%を、組織学的に測定する。クリオスタットでの連続冠状切片(7〜10μm厚)を、10μg/mlのビオチン化3D6(抗Aベータ1−x)又は陰性対照ネズミIgG(ビオチン化)と共にインキュベートする。ビオチンに特異的な二次HRP試薬を用い、沈着したAベータをDAB-Plus (DAKO)で視覚化する。獲得した画像をImage Pro plus software (Media Cybernetics)で解析することによって、海馬又は皮質内の画定された該当領域内で、免疫反応性Aベータ沈着を定量する。
【0154】
これらの試験は、抗N3pGlu−Aベータモノクローナル抗体とBACE阻害剤、例えば式Iで示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩との併用が、個々の単独療法に比較してAベータ低減を増進させ得ることを示す可能性がある。

本発明は以下の態様を含む。
[1]
患者におけるアルツハイマー病を処置する方法であって、有効量の式:
【化79】

で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を、有効量の抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体と併用して、そのような処置を必要とする患者に投与することを含む、方法。
[2]
前記抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体が、B12L又はR17Lである、[1]に記載の方法。
[3]
前記抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体が、B12Lである、[1]又は[2]のいずれかに記載の方法。
[4]
前記化合物が、N−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4a,5,6,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a(4H)−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミドである、[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5]
前記化合物が、結晶形態2のN−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4a,5,6,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a(4H)−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミドである、[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6]
前記結晶形態2のN−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4a,5,6,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a(4H)−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミドが、0.2°の回折角に対する公差で、回折角2θが11.8°のX線回折スペクトルの実質的ピークと、18.6°、19.3°及び26.7°からなる群から選択される1つ又は複数のピークにより特徴づけられる、[5]に記載の方法。
[7]
前記化合物と前記抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体が、同時に投与される、[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[8]
前記化合物が、前記抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体の投与前に投与される、[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[9]
前記抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体が、前記化合物の投与前に投与される、[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[10]
1種又は複数の薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤を有する抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体の医薬組成物と併用される、1種又は複数の薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤を有する式:
【化80】

で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物。
[11]
前記抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体が、B12L又はR17Lである、[10]に記載の医薬組成物。
[12]
前記抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体が、B12Lである、[10]又は[11]のいずれかに記載の医薬組成物。
[13]
前記化合物が、N−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4a,5,6,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a(4H)−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミドである、[10]〜[12]のいずれかに記載の医薬組成物。
[14]
前記化合物が、結晶形態2のN−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4a,5,6,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a(4H)−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミドである、[10]〜[13]のいずれかに記載の医薬組成物。
[15]
前記結晶形態2のN−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4a,5,6,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a(4H)−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミドが、0.2°の回折角に対する公差で、回折角2θが11.8°のX線回折スペクトルの実質的ピークと、18.6°、19.3°及び26.7°からなる群から選択される1つ又は複数のピークにより特徴づけられる、[14]に記載の医薬組成物。
[16]
アルツハイマー病の処置に用いるための、抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体と併用される、式:
【化81】

で示される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
[17]
前記抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体が、B12L又はR17Lである、[16]に記載の使用。
[18]
前記抗N3pGlu Aベータモノクローナル抗体が、B12Lである、[16]又は[17]のいずれかに記載の使用。
[19]
前記化合物が、N−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4a,5,6,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a(4H)−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミドである、[16]〜[18]のいずれかに記載の使用。
[20]
前記化合物が、結晶形態2のN−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4a,5,6,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a(4H)−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミドである、[16]〜[19]のいずれかに記載の使用。
[21]
前記結晶形態2のN−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4a,5,6,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a(4H)−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミドが、0.2°の回折角に対する公差で、回折角2θが11.8°のX線回折スペクトルの実質的ピークと、18.6°、19.3°及び26.7°からなる群から選択される1つ又は複数のピークにより特徴づけられる、[20]に記載の使用。
【0155】
配列表
<SEQ ID NO: 1; PRT1; 人工> (LCDR1- B12L/R17L)
KSSQSLLYSRGKTYLN

<SEQ ID NO: 2; PRT1; 人工> (LCDR2 - B12L/R17L)
AVSKLDS

<SEQ ID NO: 3; PRT1; 人工> (LCDR3 - B12L/R17L)
VQGTHYPFT

<SEQ ID NO: 4; PRT1; 人工> (HCDR1 - B12L)
GYDFTRYYIN

<SEQ ID NO: 5; PRT1; 人工> (HCDR1 - R17L)
GYTFTRYYIN

<SEQ ID NO: 6; PRT1; 人工> (HCDR2 - B12L/R17L)
WINPGSGNTKYNEKFKG

<SEQ ID NO: 7; PRT1; 人工> (HCDR3 - B12L)
EGITVY

<SEQ ID NO: 8; PRT1; 人工> (HCDR3 - R17L)
EGTTVY

<SEQ ID NO: 9; PRT1; 人工> (LCVR - B12L/R17L)
DIVMTQTPLSLSVTPGQPASISCKSSQSLLYSRGKTYLNWLLQKPGQSPQLLIYAVSKLDSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCVQGTHYPFTFGQGTKLEIK

<SEQ ID NO: 10; PRT1; 人工> (HCVR - B12L)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYDFTRYYINWVRQAPGQGLEWMGWINPGSGNTKYNEKFKGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCAREGITVYWGQGTTVTVSS

<SEQ ID NO: 11; PRT1; 人工> (HCVR - R17L)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTRYYINWVRQAPGQGLEWMGWINPGSGNTKYNEKFKGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCAREGTTVYWGQGTTVTVSS

<SEQ ID NO: 12; PRT1; 人工> (LC - B12L/R17L)
DIVMTQTPLSLSVTPGQPASISCKSSQSLLYSRGKTYLNWLLQKPGQSPQLLIYAVSKLDSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCVQGTHYPFTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC

<SEQ ID NO: 13; PRT1; 人工> (HC - B12L)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYDFTRYYINWVRQAPGQGLEWMGWINPGSGNTKYNEKFKGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCAREGITVYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG

<SEQ ID NO: 14; PRT1; 人工> (HC - R17L)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTRYYINWVRQAPGQGLEWMGWINPGSGNTKYNEKFKGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCAREGTTVYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]