(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0014】
本発明の実施形態の理解を容易にするため、まず、遊技機の機械的構成および電気的構成を簡単に説明し、その後、各基板における具体的な処理を説明する。
【0015】
図1は、本実施形態の遊技機100の斜視図であり、扉が開放された状態を示している。図示のように、遊技機100は、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成される外枠102と、この外枠102にヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた中枠104と、この中枠104に、ヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた前枠106と、を備えている。
【0016】
中枠104は、外枠102と同様に、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成されており、この囲繞空間に遊技盤108が保持されている。また、前枠106には、ガラス製または樹脂製の透過板110が保持されている。そして、これら中枠104および前枠106を外枠102に対して閉じると、遊技盤108と透過板110とが所定の間隔を維持して略平行に対面するとともに、遊技機100の正面側から、透過板110を介して遊技盤108が視認可能となる。
【0017】
図2は、遊技機100の正面図である。この図に示すように、前枠106の下部には、遊技機100の正面側に突出する操作ハンドル112が設けられている。この操作ハンドル112は、遊技者が回転操作可能に設けられており、遊技者が操作ハンドル112を回転させて発射操作を行うと、当該操作ハンドル112の回転角度に応じた強度で、不図示の発射機構によって遊技球が発射される。このようにして発射された遊技球は、遊技盤108に設けられたレール114a、114b間を上昇して遊技領域116に導かれることとなる。
【0018】
遊技領域116は、遊技盤108と透過板110との間隔に形成される空間であって、遊技球が流下または転動可能な領域である。遊技盤108には、多数の釘や風車が設けられており、遊技領域116に導かれた遊技球が釘や風車に衝突して、不規則な方向に流下、転動するようにしている。
【0019】
遊技領域116は、発射機構の発射強度に応じて遊技球の進入度合いを互いに異にする第1遊技領域116aおよび第2遊技領域116bを備えている。第1遊技領域116aは、遊技機100に正対した遊技者から見て遊技領域116の左側に位置し、第2遊技領域116bは、遊技機100に正対した遊技者から見て遊技領域116の右側に位置している。レール114a、114bが遊技領域116の左側にあることから、発射機構によって所定の強度未満の発射強度で発射された遊技球は第1遊技領域116aに進入し、所定の強度以上の発射強度で発射された遊技球は第2遊技領域116bに進入することとなる。
【0020】
また、遊技領域116には、遊技球が入球可能な一般入賞口118、第1始動口120、第2始動口122が設けられており、これら一般入賞口118、第1始動口120、第2始動口122に遊技球が入球すると、それぞれ所定の賞球が遊技者に払い出される。
【0021】
なお、第1始動口120内には第1始動領域が設けられ、また、第2始動口122内には第2始動領域が設けられている。そして、第1始動口120または第2始動口122に遊技球が入球して第1始動領域または第2始動領域に遊技球が進入すると、予め設けられた複数の特別図柄の中からいずれか1の特別図柄を決定するための抽選が行われる。各特別図柄には、遊技者にとって有利な大役遊技の実行可否や、以後の遊技状態をどのような遊技状態にするかといった種々の遊技利益が対応付けられている。したがって、遊技者は、第1始動口120または第2始動口122に遊技球が入球すると、所定の賞球を獲得するのと同時に、種々の遊技利益を受ける権利獲得の機会を獲得することとなる。
【0022】
また、第2始動口122には、可動片122bが開閉可能に設けられており、この可動片122bの状態に応じて、第2始動口122への遊技球の進入容易性が変化するようになっている。具体的には、可動片122bが閉状態にあるときには、第2始動口122への遊技球の入球が不可能となっている。これに対して、遊技領域116に設けられたゲート124内の進入領域を遊技球が通過すると、普通図柄の抽選が行われ、この抽選によって当たりに当選すると、可動片122bが所定時間、開状態に制御される。このように、可動片122bが開状態になると、当該可動片122bが遊技球を第2始動口122に導く受け皿として機能し、第2始動口122への遊技球の入球が容易となる。なお、ここでは、第2始動口122が閉状態にあるときに、当該第2始動口122への遊技球の入球が不可能であることとしたが、第2始動口122が閉状態にある場合にも一定の頻度で遊技球が入球可能となるように構成してもよい。
【0023】
さらに、遊技領域116には、遊技球が入球可能な大入賞口128が設けられている。この大入賞口128には、開閉扉128bが開閉可能に設けられており、通常、開閉扉128bが大入賞口128を閉鎖して、大入賞口128への遊技球の入球が不可能となっている。これに対して、前述の大役遊技や小当たり遊技が実行されると、開閉扉128bが開放されて、大入賞口128への遊技球の入球が可能となる。そして、大入賞口128に遊技球が入球すると、所定の賞球が遊技者に払い出される。
【0024】
なお、遊技領域116の最下部には、一般入賞口118、第1始動口120、第2始動口122、大入賞口128のいずれにも入球しなかった遊技球を、遊技領域116から遊技盤108の背面側に排出する排出口130が設けられている。
【0025】
そして、遊技盤108には、遊技の進行中等に演出を行う演出装置として、液晶表示器からなる演出表示装置200、可動装置からなる演出役物装置202、様々な点灯態様や発光色に制御されるランプやLEDからなる演出照明装置204、スピーカからなる音声出力装置206、遊技者の操作を受け付ける演出操作装置208が設けられている。
【0026】
演出表示装置200は、演出画像を表示する液晶表示器やドット画像表示器からなる第1演出表示部200aおよび第2演出表示部200bを備えている。第1演出表示部200aは、遊技盤108の略中央部分において、遊技機100の正面側から視認可能に配置されている。この第1演出表示部200aには、図示のように演出図柄210a、210b、210cが変動表示され、これら各演出図柄210a、210b、210cの停止表示態様によって大役抽選結果が遊技者に報知される変動演出が実行されることとなる。また、第2演出表示部200bは、演出役物装置202に一体的に形成され、第1演出表示部200a同様、遊技機100の正面側から視認可能に配置されている。この第2演出表示部200bには、第1演出表示部200aと同様の演出画像が表示され、第1演出表示部200aと第2演出表示部200bとの相対的な位置関係と、同時に表示される演出画像の組み合わせによって多様な演出が実行される。
【0027】
演出役物装置202は、第1演出表示部200aよりも前面に配置され、通常、遊技盤108の背面側に退避しているが、上記の演出図柄210a、210b、210cの変動表示中などに、第1演出表示部200aの前面まで可動して、遊技者に大当たりの期待感を付与するものである。また、本実施形態において、演出役物装置202は、遊技盤108に沿って単純移動するのみならず、任意の位置で、第2演出表示部200bを回動させることができる。
【0028】
演出照明装置204は、ランプやLEDからなる第1演出照明部204aおよび第2演出照明部204bを備えている。第1演出照明部204aは、遊技盤108等に設けられており、第1演出表示部200aに表示される演出画像等に合わせ、様々に点灯制御される。また、第2演出照明部204bは、第2演出表示部200bとともに演出役物装置202に一体的に形成され、第2演出表示部200bの周囲において、第2演出表示部200bに表示される演出画像等に合わせ、様々に点灯制御される。
【0029】
音声出力装置206は、前枠106の上部位置や外枠102の最下部位置に設けられ、第1演出表示部200aに表示される演出画像等に合わせて、遊技機100の正面側に向けて様々な音声を出力する。
【0030】
演出操作装置208は、遊技者の押下操作を受け付けるボタンで構成され、遊技機100の幅方向略中央位置であって、かつ、透過板110よりも下方位置に設けられている。この演出操作装置208は、第1演出表示部200aに表示される演出画像等に合わせて有効化されるものであり、操作有効時間内に遊技者の操作を受け付けると、当該操作に応じて、様々な演出が実行される。
【0031】
なお、図中符号132は、遊技機100から払い出される賞球や、遊技球貸出装置から貸し出される遊技球が導かれる上皿であり、この上皿132が遊技球で一杯になると、遊技球は下皿134に導かれることとなる。また、この下皿134の底面には、当該下皿134から遊技球を排出するための球抜き孔(不図示)が形成されている。この球抜き孔は、通常、開閉板(不図示)によって閉じられているが、球抜きつまみ134aを図中左右方向にスライドさせることにより、当該球抜きつまみ134aと一体となって開閉板がスライドし、球抜き孔から下皿134の下方に遊技球を排出することが可能となっている。
【0032】
また、遊技盤108には、遊技領域116の外方であって、かつ、遊技者が視認可能な位置に、第1特別図柄表示器160、第2特別図柄表示器162、第1特別図柄保留表示器164、第2特別図柄保留表示器166、普通図柄表示器168、普通図柄保留表示器170、右打ち報知表示器172が設けられている。これら各表示器160〜172は、遊技に係る種々の状況を表示するための装置である。
【0033】
(制御手段の内部構成)
図3は、遊技の進行を制御する制御手段の内部構成を示すブロック図である。
【0034】
主制御基板300は遊技の基本動作を制御する。この主制御基板300は、メインCPU300a、メインROM300b、メインRAM300cを備えている。メインCPU300aは、各検出スイッチやタイマからの入力信号に基づいて、メインROM300bに格納されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、各装置や表示器を直接制御したり、あるいは演算処理の結果に応じて他の基板にコマンドを送信したりする。メインRAM300cは、メインCPU300aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
【0035】
上記主制御基板300には、一般入賞口118に遊技球が入球したことを検出する一般入賞口検出スイッチ118s、第1始動口120に遊技球が入球したことを検出する第1始動口検出スイッチ120s、第2始動口122に遊技球が入球したことを検出する第2始動口検出スイッチ122s、ゲート124を遊技球が通過したことを検出するゲート検出スイッチ124s、大入賞口128に遊技球が入球したことを検出する大入賞口検出スイッチ128sが接続されており、これら各検出スイッチから主制御基板300に検出信号が入力されるようになっている。
【0036】
また、主制御基板300には、第2始動口122の可動片122bを作動する普通電動役物ソレノイド122cと、大入賞口128を開閉する開閉扉128bを作動する大入賞口ソレノイド128cと、が接続されており、主制御基板300によって、第2始動口122および大入賞口128の開閉制御がなされるようになっている。
【0037】
さらに、主制御基板300には、第1特別図柄表示器160、第2特別図柄表示器162、第1特別図柄保留表示器164、第2特別図柄保留表示器166、普通図柄表示器168、普通図柄保留表示器170、右打ち報知表示器172が接続されており、主制御基板300によって、これら各表示器の表示制御がなされるようになっている。
【0038】
また、本実施形態の遊技機100は、主に第1始動口120または第2始動口122への遊技球の入球によって開始される特別遊技と、ゲート124を遊技球が通過することによって開始される普通遊技とに大別される。そして、主制御基板300のメインROM300bには、特別遊技および普通遊技を進行するための種々のプログラムや、各種の遊技に必要なデータ、テーブルが記憶されている。
【0039】
また、主制御基板300には、払出制御基板310および副制御基板330が接続されている。
【0040】
払出制御基板310は、遊技球を発射させるための制御、および、賞球を払い出すための制御を行う。この払出制御基板310も、CPU、ROM、RAMを備えており、主制御基板300に対して双方向に通信可能に接続されている。この払出制御基板310には遊技情報出力端子板312が接続されており、主制御基板300から出力される遊技進行上の種々の情報が、払出制御基板310および遊技情報出力端子板312を介して、遊技店のホールコンピュータ等に出力されることとなる。
【0041】
また、払出制御基板310には、貯留部に貯留された遊技球を賞球として遊技者に払い出すための払出モータ314が接続されている。払出制御基板310は、主制御基板300から送信された払出個数指定コマンドに基づいて払出モータ314を制御して所定の賞球を遊技者に払い出すように制御する。このとき、払い出された遊技球数が払出球計数スイッチ316sによって検出され、払い出すべき賞球が遊技者に払い出されたかが把握されるようになっている。
【0042】
また、払出制御基板310には、下皿134の満タン状態を検出する皿満タン検出スイッチ318sが接続されている。この皿満タン検出スイッチ318sは、賞球として払い出される遊技球を下皿134に導く通路に設けられており、当該通路を遊技球が通過するたびに、遊技球検出信号が払出制御基板310に入力されるようになっている。
【0043】
そして、下皿134に所定量以上の遊技球が貯留されて満タン状態になると、下皿134に向かう通路内に遊技球が滞留し、皿満タン検出スイッチ318sから払出制御基板310に向けて、遊技球検出信号が連続的に入力される。払出制御基板310は、遊技球検出信号が所定時間連続して入力された場合に、下皿134が満タン状態であると判断し、皿満タンコマンドを主制御基板300に送信する。一方、皿満タンコマンドを送信した後、遊技球検出信号の連続入力が途絶えた場合には、満タン状態が解除されたと判断し、皿満タン解除コマンドを主制御基板300に送信する。
【0044】
また、払出制御基板310には、発射制御基板320が双方向に通信可能に接続されている。この発射制御基板320は、払出制御基板310から発射制御データを受信すると発射の許可を行う。この発射制御基板320には、操作ハンドル112に設けられ、当該操作ハンドル112に遊技者が触れたことを検出するタッチセンサ112sと、操作ハンドル112の操作角度を検出する操作ボリューム112aと、が接続されている。そして、タッチセンサ112sおよび操作ボリューム112aから信号が入力されると、発射制御基板320において、遊技球発射装置に設けられた発射用ソレノイド112cを通電して遊技球を発射させる制御がなされる。
【0045】
副制御基板330は、主に遊技中や待機中等の各演出を制御する。この副制御基板330は、サブCPU330a、サブROM330b、サブRAM330c、データ送信部(データ送信手段)330dを備えており、主制御基板300に対して、当該主制御基板300から副制御基板330への一方向に通信可能に接続されている。サブCPU330aは、サブROM330bに格納されたプログラムを読み出して演算処理を行う。このとき、サブRAM330cは、サブCPU330aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。サブROM330bには、第1演出表示部200aや第2演出表示部200bに表示される図柄や背景等の画像データが多数格納されている。サブCPU330aは、主制御基板300から送信されたコマンドやタイマからの入力信号等に基づいて、遊技の進行に応じて実行される演出を決定し、各演出手段(第1演出表示部200a、第2演出表示部200b、演出役物装置202、第1演出照明部204a、第2演出照明部204b、音声出力装置206)それぞれで実行される演出を特定する演出データを生成する(演出決定手段)。データ送信部330dは、演出決定手段によって生成された演出データ、または演出データに基づきサブROM330bから抽出した画像データを、第1演出制御基板(第1演出制御手段)340または第2演出制御基板(第2演出制御手段)350に順次送信する。
【0046】
そして、副制御基板330は、生成した演出データに基づいて、音声出力装置206から音声を出力させる音声出力制御を行う。また、副制御基板330は、生成した演出データに基づいて、演出役物装置202を可動したり第1演出照明部204aを点灯制御したりする。さらには、演出操作装置208が押下操作されたことを検出する演出操作装置検出スイッチ208sから操作検出信号が入力された際に、所定の操作情報を取得する。
【0047】
第1演出制御基板340は、遊技盤108に固定された第1演出表示部(第1演出手段)200aに画像を表示させる画像表示制御を行うものであり、CPU、ROM、RAM、VRAMを備えている。第1演出制御基板340のCPUは、副制御基板330から送信された画像データ(演出データ)に基づいて第1演出表示部200aの画像表示を制御する。
【0048】
第2演出制御基板350は、遊技盤108に対して相対移動可能な演出役物装置202に設けられ、演出役物装置202と一体的に形成された第2演出表示部200bに画像を表示させる画像表示制御を行うものであり、CPU、ROM、RAM、VRAMを備えている。この第2演出制御基板350のCPUは、副制御基板330から送信された画像データ(演出データ)に基づいて第2演出表示部200bの画像表示を制御する。また、第2演出制御基板350は、副制御基板330から送信される演出データに基づいて、第1演出表示部200a同様、演出役物装置202と一体的に形成された第2演出照明部204bを点灯制御する。
【0049】
なお、各基板には、不図示の電源基板が接続されており、電源基板を介して商用電源から各基板に電力供給がなされている。また、電源基板にはコンデンサからなるバックアップ電源が設けられている。
【0050】
(基板の電気的接続関係)
図4は、上記副制御基板330と、第1演出制御基板340および第2演出制御基板350との電気的な接続関係を示した説明図である。したがって、副制御基板330から基板を経由することなく直接制御される演出役物装置202、第1演出照明部204a、音声出力装置206、演出操作装置検出スイッチ208sについては記載を省略している。
【0051】
副制御基板330のサブCPU330aで第1演出表示部200a用の演出データが生成されると、その演出データはパラレルデータとして、映像出力を担うVDP(Video Display Processor)400に送信される。VDP400は、かかる演出データに基づいてサブROM330bから所定の画像データを抽出する。また、VDP400は、第1演出制御基板340のLVDS(Low voltage differential signaling)レシーバ402とLVDS伝送方式で接続され、1方向に1対(ペア)のクロック信号と、4対のシリアルデータを通じて画像データをLVDSレシーバ402に送信する。ここで、LVDSは、短距離用のデジタル有線伝送技術であり、小振幅(350mV)、低消費電力で比較的高速の差動インターフェースである。
【0052】
LVDSレシーバ402は、LVDS伝送方式のシリアルデータを通じて画像データを受信すると第1演出表示部200aの液晶ドライブ回路404に伝達する。こうして、第1演出表示部200aに演出データに基づく演出画像が表示される。
【0053】
また、副制御基板330のサブCPU330aで第2演出表示部200b用の演出データが生成されると、第1演出表示部200a用の演出データ同様、その演出データはパラレルデータとして、VDP400に送信される。VDP400は、かかる演出データに基づいてサブROM330bから所定の画像データを抽出する。また、VDP400は、CML(Current Mode Logic)トランスミッタ406と接続され、画像データに基づく各信号(クロック信号、DE信号、水平同期信号、垂直同期信号、赤映像信号、緑映像信号、青映像信号)を、データ送信部330dとして機能するCMLトランスミッタ406に送信する。
【0054】
また、副制御基板330のサブCPU330aで第2演出照明部204b用の演出データが生成されると、その演出データに基づく各信号(LED制御用シリアルクロック、LED制御用シリアルデータ、LED制御用シリアルラッチ、LED制御用シリアルリセット)を直接CMLトランスミッタ406に送信する。
【0055】
CMLトランスミッタ406は、第2演出制御基板350のCMLレシーバ408とCML伝送方式による1対2本の信号線(ツイスト線)で接続され、1のCMLシリアル信号を通じて第2演出照明部204b用の画像データおよび第2演出照明部204b用の演出データを一度にCMLレシーバ408に送信する。ここで、CMLは、長距離用のデジタル有線伝送技術であり、大振幅(800mV)、比較的高い消費電力で高速の差動インターフェースである。CMLでは、内部の電源電圧(Vcc)レーンに例えば50Ωの終端抵抗を介してトランジスタのコレクタ側を接続する回路構成を採用し、LVDSと比較して大きな電流源で信号を駆動する。このため消費電力は大きくなるものの、信号の遷移時間を短縮して高い伝送速度を実現でき、また、大振幅によりノイズに強く長距離伝送を可能としている。
【0056】
CMLレシーバ408は、CML伝送方式のシリアル信号を受信すると、そのシリアル信号を第2演出照明部204b用の画像データ(クロック信号、DE信号、水平同期信号、垂直同期信号、赤映像信号、緑映像信号、青映像信号)および第2演出照明部204b用の演出データ(LED制御用シリアルクロック、LED制御用シリアルデータ、LED制御用シリアルラッチ、LED制御用シリアルリセット)に復元して、第2演出表示部200bの液晶ドライブ回路410およびLED制御回路412にそれぞれ伝達する。こうして、第1演出表示部200aに演出データに基づく演出画像が表示されるとともに第2演出照明部204bのLEDが点灯制御される。以下、CMLトランスミッタ406とCMLレシーバ408の動作を詳述する。
【0057】
(CMLトランスミッタ406とCMLレシーバ408の動作)
図5は、CMLトランスミッタ406とCMLレシーバ408の動作を説明するための説明図である。CMLトランスミッタ406は、所定bit、例えば、36bitのパラレル/シリアル変換器であり、CMLレシーバ408は、所定bit、例えば、36bitのシリアル/パラレル変換器である。CMLトランスミッタ406は、所定時間、例えば、0.11μsec(1/9MHz)の周期でパラレルデータをサンプリングし、その36倍以上の伝送速度で、サンプリングしたパラレルデータをシリアル転送する。そして、CMLレシーバ408は、36bit分のシリアルデータを1/9MHzの周期でラッチし、パラレルデータとして出力する。ここで、CMLトランスミッタ406の入力およびCMLレシーバ408の出力はパラレルデータとなっているが、実際はシリアルデータが入力されている。したがって、パラレル/シリアル変換器であるCMLトランスミッタ406をシリアル/高速シリアル変換器として、シリアル/パラレル変換器であるCMLレシーバ408を高速シリアル/シリアル変換器として利用していることになる。このようにシリアルデータを入出力しても、シリアルデータに対してCMLのシリアル信号のクロックが十分高いため誤ったシリアルデータを送信することはない。
【0058】
CMLトランスミッタ406には、第2演出照明部204b用の画像データと第2演出照明部204b用の演出データとが一度に入力される。その内訳は、第2演出照明部204b用の画像データが、クロック信号1bit、DE信号1bit、水平同期信号1bit、垂直同期信号1bit、赤映像信号8bit、緑映像信号8bit、青映像信号8bitの合計28bitであり、第2演出照明部204b用の演出データが、LED制御用シリアルクロック1bit、LED制御用シリアルデータ1bit、LED制御用シリアルラッチ1bit、LED制御用シリアルリセット1bitの合計4bitである。残りの4bitは予備の信号線であり、信号線の追加を容易に許容できる。また、上記のように、赤映像信号:緑映像信号:青映像信号の色階調は、それぞれ2
8、2
8、2
8であり、8:8:8bitで表されているが、かかる場合に拘わらず、様々な配分で表すことができる。例えば、色階調として、赤映像信号を2
6や2
5に、緑映像信号を2
6に、青映像信号2
6や2
5に下げる仕様に変更し、6:6:6bitや5:6:5bitといった配分を行ってもよい。
【0059】
また、上記の例では、1/9MHzの周期でパラレルデータをサンプリングしているが、これは、第2演出表示部200bの解像度が水平480画素×垂直272画素(4inch)の場合のデータ転送速度が9MHzであることに基づいており、当然解像度を変更すると、例えば、水平800画素×垂直480画素(7inch)、データ転送速度33MHzの第2演出表示部200bを採用した場合、そのデータ転送速度に応じてサンプリング周期を変更することができる。
【0060】
次に、演出役物装置202の変移と第2演出制御基板350との関係を述べる。
【0061】
図6は、演出役物装置202を説明するための説明図であり、
図6(a)には、演出役物装置202の正面図が示され、
図6(b)には、演出役物装置202の分解斜視図が示されている。かかる演出役物装置202は、遊技盤108側に固定され、駆動モータ418を含む回転機構を備える固定側部材420と、固定側部材420の回転機構に軸支され、第2演出表示部200bや第2演出照明部204bを備える回転側部材422とで構成される。
【0062】
回転側部材422は、
図6(a)に示すように、遊技機100に正対した遊技者から見て正面中央に第2演出表示部200bが位置し、その周囲に第2演出照明部204bである複数のLEDが配列されている。また、回転側部材422は、第1演出表示部200aよりも前面において、固定側部材420の回転機構によって遊技盤108に垂直な軸を中心に回動する。したがって、第1演出表示部200aと第2演出表示部200bとの相対的な位置関係と、第1演出表示部200aの演出画像と第2演出表示部200bの演出画像との組み合わせ、さらには、回転側部材422の回転に伴う第2演出表示部200bの演出画像や第1演出照明部204aの点灯態様の回転により、多様な演出を実現することができる。
【0063】
また、
図6(b)に示すように、固定側部材420と回転側部材422との対向領域にはスリップリング424が設けられている。本実施形態のスリップリング424は、4端子(4極)で構成され、その内訳は、CML伝送方式による1対2本の信号線と、12V電力を供給するための1対2本の電力線である。また、回転方向毎の回転数の上限がある場合、スリップリング424の代わりにFFC(Flexible Flat Cable)を用いることもできる。
【0064】
以上、説明したように、本実施形態では、複数の第2演出手段(例えば、第2演出表示部200bと第2演出照明部204b)の信号を統合し、1のシリアル信号によって送信する構成により、スリップリング424やFCCの構造を極めて簡単にできる等、デザインによる制限や線材の摩耗対策を軽減し、ひいてはメンテナンス性や製品の信頼性の向上を図ることが可能となる。
【0065】
また、そのような1のシリアル信号として、CML伝送方式を通じた1対2本の信号線を採用することで、耐ノイズ性や伝送速度の高い信号伝達ができ、長距離伝送が可能となる。
【0066】
さらに、パラレル/シリアル変換器を用いているが、1/9MHz程度で十分にサンプリングできるシリアルデータをそのまま変換できるので、入力信号の態様(パラレルかシリアルか)に拘わらず、自由に設計可能である。また、本実施形態では、このような自由なパラレル入力に複数の第2演出手段を自由に配分でき、さらに他の演出手段の追加も可能なため、さらに自由度の高い設計が可能となる。
【0067】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0068】
例えば、上述した実施形態では、第2演出制御基板350において、2の第2演出手段(第2演出表示部200bと第2演出照明部204b)を制御する例を挙げて説明しているが、かかる場合に限らず、さらに他の第2演出手段を追加的に制御してもよい。
【0069】
また、上述した実施形態では、副制御基板330から第2演出制御基板350に送信する信号に本実施形態に特徴的なシリアル伝送を適用したが、かかる場合に限らず、様々な基板間に当該シリアル伝送を適用することができる。