特許第6339849号(P6339849)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6339849
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20180528BHJP
【FI】
   G01N21/956 B
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-89011(P2014-89011)
(22)【出願日】2014年4月23日
(65)【公開番号】特開2015-206752(P2015-206752A)
(43)【公開日】2015年11月19日
【審査請求日】2017年4月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】595039014
【氏名又は名称】株式会社サキコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100140800
【弁理士】
【氏名又は名称】保坂 丈世
(72)【発明者】
【氏名】柳詰 健二
【審査官】 嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−183712(JP,A)
【文献】 特開2004−226317(JP,A)
【文献】 特開2004−226318(JP,A)
【文献】 特開2004−226319(JP,A)
【文献】 再公表特許第2003/027652(JP,A1)
【文献】 特開平11−023483(JP,A)
【文献】 特開2008−294317(JP,A)
【文献】 特表2010−538278(JP,A)
【文献】 特開2010−107249(JP,A)
【文献】 特開2009−014696(JP,A)
【文献】 特開平05−203581(JP,A)
【文献】 特表2006−501686(JP,A)
【文献】 特開平11−037723(JP,A)
【文献】 特開2005−049363(JP,A)
【文献】 特開2005−160815(JP,A)
【文献】 特開平09−033446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査体の画像データを取得する撮像部と、
前記撮像部で取得された前記画像データに基づき前記被検査体の検査を行う検査部と、
前記被検査体を支持可能であり、前記被検査体を前記撮像部に対して相対移動させる搬送部と、
前記被検査体に対して照射される照明光の光路から前記被検査体で反射した反射光を前記撮像部に導く光路を分岐する光路分岐部材と、
前記撮像部の光軸と前記光路分岐部材の光路分岐面とが交わる位置、角度、及び、前記撮像部と前記光路分岐面との距離の少なくとも1つを変化させることにより、前記被検査体の異なる複数の位置の画像データを取得し、前記撮像部で取得された位置の異なる複数の前記画像データに基づき前記被検査体の複数の位置の検査を行うことを可能にする撮像部調整機構と、を有することを特徴とする検査装置。
【請求項2】
被検査体の画像データを取得する第1の撮像部及び第2の撮像部と、
前記第1の撮像部又は前記第2の撮像部で取得された前記画像データに基づき前記被検査体の検査を行う検査部と、
前記被検査体を支持可能であり、前記被検査体を前記第1の撮像部及び第2の撮像部に対して相対移動させる搬送部と、
前記被検査体に対して照射される照明光の光路から前記被検査体で反射した反射光を前記第1の撮像部に導く光路を分岐する第1の光路分岐部材と、
前記第1の光路分岐部材と前記第1の撮像部との間の光路上に配置されて、前記反射光を前記第2の撮像部に導く第2の光路分岐部材と、
前記第2の撮像部の光軸と前記第2の光路分岐部材の光路分岐面とが交わる位置、角度、及び、前記第2の撮像部と前記光路分岐面との距離の少なくとも1つを変化させることにより、前記第2の撮像部で撮像される位置を、前記第1の撮像部で撮像される位置と異なる位置とすることが可能な撮像部調整機構と、を有することを特徴とする検査装置。
【請求項3】
前記撮像部調整機構は、前記第2の撮像部の光軸と前記第2の光路分岐部材の前記光路分岐面とがなす角度が変化するように前記第2の光路分岐部材を回転させるように構成されていることを特徴とする請求項に記載の検査装置。
【請求項4】
前記撮像部は、前記画像データを取得するためのラインセンサを有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査体の外観を検査する検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、様々な機器に電子基板が実装されるようになってきているが、この種の電子基板が実装される機器においては、小型化、薄型化等が常に課題になっており、この点から、電子基板の実装の高密度化を図ることが要求されている。そして、電子基板における高密度実装を実現する上では、基板における部品の実装状態を高精度に検査することが重要となり、従来、部品実装後のプリント基板(以下「基板」という)を高精度に検査するために、画像認識技術を用いた検査装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平7−120421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような検査装置では、検査の精度を向上させるために、検査対象である基板の画像を取得する撮像部の解像度を上げると、この撮像部の焦点が合っている面(例えば、基板の表面)はより詳細な(高解像度の)画像を取得することができるが、この基板上に配置された背の高い部品の上面に印字されている文字等には焦点が合わず、ぼけた画像になってしまうという課題があった。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、基板の所定の位置(例えば基板の表面)に焦点が合っている画像だけでなく、この位置とは異なる位置(例えば、基板上に実装された部品の上面)に焦点が合っている画像も取得して検査をすることができる検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明に係る検査装置は、被検査体の画像データを取得する撮像部と、この撮像部で取得された画像データに基づき被検査体の検査を行う検査部と、被検査体を支持可能であり、被検査体を撮像部に対して相対移動させる搬送部と、被検査体に対して照射される照明光の光路から被検体で反射した反射光を撮像部に導く光路を分岐する光路分岐部材と、撮像部の光軸と光路分部材の光路分岐面とが交わる位置、角度、及び、撮像部と光路分岐面との距離の少なくとも1つを変化させることにより、前記被検査体の異なる複数の位置の画像データを取得し、前記撮像部で取得された位置の異なる複数の前記画像データに基づき前記被検査体の複数の位置の検査を行うことを可能にする撮像部調整機構と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る検査装置は、被検査体の画像データを取得する第1の撮像部及び第2の撮像部と、この第1の撮像部又は第2の撮像部で取得された画像データに基づき被検査体の検査を行う検査部と、被検査体を支持可能であり、被検査体を第1の撮像部及び第2の撮像部に対して相対移動させる搬送部と、被検査体に対して照射される照明光の光路から被検査体で反射した反射光を第1の撮像部に導く光路を分岐する第1の光路分岐部材と、第1の光路分岐部材と第1の撮像部との間の光路上に配置されて、反射光を第2の撮像部に導く第2の光路分岐部材と、第2の撮像部の光軸と第2の光路分岐部材の光路分岐面とが交わる位置、角度、及び、第2の撮像部と光路分岐面との距離の少なくとも1つを変化させることにより、前記第2の撮像部で撮像される位置を、前記第1の撮像部で撮像される位置と異なる位置とすることが可能な撮像部調整機構と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、このような本発明に係る検査装置において、撮像部調整機構は、第2の撮像部の光軸と第2の光路分岐部材の光路分岐面とがなす角度が変化するように第2の光路分岐部材を回転させるように構成されていることが好ましい。
【0010】
また、このような本発明に係る検査装置において、撮像部は、画像データを取得するためのラインセンサを有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、基板の所定の位置(例えば基板の表面)に焦点が合っている画像だけでなく、この位置とは異なる位置(例えば、基板上に実装された部品の上面)に焦点が合っている画像も取得して検査をすることができる検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る検査装置の構成を示す説明図である。
図2】検査位置に置いて基板を保持する機構を説明するための説明図であって、(a)は基板の保持を解除した状態を示し、(b)は基板を保持した状態を示す。
図3】上記検査装置に含まれる撮像ユニットを示す説明図である。
図4】撮像ユニットの主光線の光路を示す説明図である。
図5】上記撮像ユニットに含まれる照明部を示す説明図である。
図6】上記検査装置の制御ブロックを示す説明図である。
図7】上記検査装置により被検査体の外観検査を行う処理のフローチャートである。
図8】基板の画像を取得するときの制御のタイミングを示す説明図である。
図9】撮像ユニットによる撮像位置や角度を変化させるための第1の実施形態を示す説明図である。
図10】撮像ユニットによる撮像位置や角度を変化させるための第2の実施形態を示す説明図である。
図11】上記第2の実施形態の変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。まず、図1図6を用いて、本実施形態に係る検査装置の構成について説明する。この検査装置1は、図1に示すように、基板搬送ユニット10及び撮像ユニット20を有して構成されている。また、この検査装置1は、図6に示すように、基板搬送ユニット10及び撮像ユニット20の作動を制御する制御部50を有している。基板搬送ユニット10は、検査対象である被検査体を所定の位置で保持し、撮像ユニット20に対してこの被検査体を相対移動させることにより、被検査体の上面を走査して画像を取得し、この画像を用いて被検査体の検査を行う装置である。なお、以降の説明において、検査装置1で検査される被検査体は、ICチップやコネクタといった各種電子部品が実装された電子基板(以下、「基板2」と称する)であるものとして説明するが、本発明の検査対象がこのような電子基板に限定されることはない。また、図1に示すように、この検査装置1の設置面と略平行な平面において、基板2を基板搬送ユニット10上の所定の位置に位置決めするときのこの基板2の移動方向をX軸方向とし、基板搬送ユニット10により保持された基板2を撮像ユニット20に対して相対移動させてこの基板2の表面を走査する方向をY軸方向とし、X軸及びY軸に直交する方向(設置面と直交する方向)をZ軸方向とする。また、ここでは、静止している撮像ユニット20に対して基板搬送ユニット10により基板2を走査方向(Y軸方向)に移動させるように構成した場合について説明するが、静止している基板2に対して撮像ユニット20を移動させるように構成してもよい。
【0014】
この検査装置1において、基板搬送ユニット10は、支持プレート11、及び、この支持プレート11により支持されてX軸方向に延びる2本の搬送レール12を有している。これらの2本の搬送レール12の各々には、位置決めモータ13(図6に示す)を駆動することにより基板2を搬送レール12に沿ってX軸方向に移動させる搬送ベルト14を有し、この搬送ベルト14上に載置された基板2を、基板搬送ユニット10の略中央まで移動させる。ここで、以降の説明において、検査対象の基板2を搬送レール12の搬送ベルト14上に載置する位置を「待機位置P1」と呼び、略中央に移動された位置を「検査位置P2」と呼ぶ。搬送レール12の検査位置P2には、図示しないストッパが上下方向に移動可能に設けられており、検査位置P2に基板2を位置決めするときに、このストッパを基板2の進行方向に突出させ、搬送ベルト14により移動されている基板2をこのストッパに当接させてこの基板2を正確に位置決めするように構成されている。また、このとき、制御部50は、基板2がストッパに当接するための時間を考慮して位置決めモータ13の作動を停止させる。なお、検査が終了したときは、ストッパを下方に移動させることにより、基板2のX軸方向の移動の制限が解除される。あるいは、このようなストッパの代わりに基板2を検知する光センサなどの搬送センサ(図示せず)を設け、この搬送センサが基板2の端面や基板2に設けられた検知孔を検知すると、制御部50が、基板2が基板搬送ユニット10の略中央に搬送されたと判定し、位置決めモータ13による基板2の移動を停止させるように構成してもよい。
【0015】
基板搬送ユニット10の下部には、搬送レール12の延在方向(X軸方向)と直交する方向(Y軸方向)に延在するボールネジ15が設けられている。このボールネジ15は、搬送モータ16(図6に示す)によって駆動される。この搬送モータ16によりボールネジ15が回転することにより、支持プレート11がY軸方向(ボールネジ15が延在する方向)に移動される。このとき、搬送レール12もまた支持プレート11とともに移動するため、検査装置1は、基板2を撮像ユニット20の下方に搬送し、この撮像ユニット20により基板2の表面を撮像することができる。
【0016】
また、搬送レール12の検査位置P2には、図2に示すように、2本の搬送ベルト14の各々の内側沿って、上下に移動可能な可動保持部18が設けられている。また、2本の搬送レール12の各々の上端部には、可動保持部18の上方で、検査位置P2にある基板2の端部(Y軸方向の端部)を上方から覆うように、クランプ19が設けられている。ここで、位置決めモータ13を作動させて搬送ベルト14により搬送レール12に沿って(X軸方向に)基板2を移動させるときは、図2(a)に示すように、可動保持部18は下方に位置し、移動する基板2と接触しないように構成されている(図2(a)に示す基板2の位置を「第2の位置」と呼ぶ)。また、基板2が検査位置P2に位置決めされたときは、図2(b)に示すように、可動保持部18が上方に移動し、基板2の下面側からこの基板2を持ち上げ、基板2の表面(上面)をクランプ19に当接させることにより、この基板2を可動保持部18とクランプ19とにより挟持するように構成されている(図2(b)に示す基板2の位置を「第1の位置」と呼ぶ)。このように、検査位置P2にある基板2を、可動保持部18とクランプ19とにより挟持することにより、基板2の撓みを矯正し、基板2の表面を平面に保つことができるため、この基板2の表面の精度の高い画像を取得することができる。また、基板2を可動保持部18とクランプ19とにより挟持することにより、撮像ユニット20に対して基板2を相対移動させて走査するときに、基板2の振動を抑えることができ、より精度の高い画像を取得することができる。なお、撮像ユニット20の光学系の焦点面(走査ライン)は、基板2が可動保持部18とクランプ19とで挟持されたときに(図2(b)に示すように、クランプ19の下面に基板2の表面(上面)が当接して基板2が第1の位置にあるときに)、この基板2の表面と略一致するように構成されている。この可動保持部18及びクランプ19をバックアップ機構17と呼ぶ。
【0017】
なお、以上の説明では搬送レール12上の待機位置P1から検査位置P2に基板2を移動させる位置決めモータ13を用いていたが、このような位置決めモータ13を設けず、検査位置P2に直接基板2を取り付けるように構成してもよい
【0018】
撮像ユニット20は、撮像部30及び照明部40を有し、照明部40により基板2へ照明光を照射すると共に、撮像部30で基板2を撮像して、この基板2の表面側の画像データを生成するものである。また、撮像部30は、図3に示すように、支持部材34上に、ラインセンサ31、結像レンズ32、及び、テレセントリックレンズ33を備えている。図5において、基板2は、図面の左側から右側へ移動されている間に、撮像ユニット20によってこの基板2の表面の撮像処理が実施される。また、ラインセンサ31は、ライン状のセンサ列を内部に含み、後述する照明部40のハーフミラー45によって反射されてテレセントリックレンズ33及び結像レンズ32を通過した基板2における走査ライン上の映像を走査する。このラインセンサ31のセンサ列は、赤色光を検出するRセンサ列、緑色光を検出するGセンサ列及び青色光を検出するBセンサ列が略平行に並んで配置されている。ここで、「走査ライン」とは、テレセントリックレンズ33及び結像レンズ34からなる光学系により、ラインセンサ31の撮像面(センサの受光面)と共役な位置のことをいう。
【0019】
なお、テレセントリックレンズ33及び結像レンズ32からなる光学系の光軸は、照明部40のハーフミラー45により折り曲げられており、ラインセンサ31側はY軸方向に延び、基板2に対しては略垂直方向(Z軸方向)に延びるように構成されている。
【0020】
また、ラインセンサ31に代えて、エリアセンサを用いてもよい。この場合、エリアセンサによって撮像された画像のうち、エリアセンサに含まれるライン状のセンサ列のいずれかによって撮像された部分の画像を用いて基板2の検査を実施する。
【0021】
図4に示すように、この撮像部30の光学系において、テレセントリックレンズ33は、基板2からの反射光をレンズ光軸に対して略平行に集光する。このため、テレセントリックレンズ33と基板2との間では、主光線は光軸に対して平行であるため、基板2の表面(走査ライン)に対する画角が実質的にゼロとなる。そのため、ラインセンサ31で取得される画像には視差による歪みが発生しないため、この検査装置1で取得された画像に基づいて、基板2に実装された部品の高さ等の算出も可能となる。
【0022】
また、図5に示すように、照明部40は、撮像部30により基板2の表面を撮像するための照明光を照射するものであり、第1光源41、2つの第2光源42、2つの第3光源43、2つのアクリルシート44、及び、ハーフミラー45を有しており、第1光源41はハーフミラー45の上方に配置され、第2光源42及び第3光源43は、ハーフミラー45を挟むように配置されている。
【0023】
このような照明部40の第1光源41は、ラインセンサ31の走査ラインが延びる方向(X軸方向)に並設された緑色LED(発光ダイオード)群により構成され、この緑色LED群の並設長さは、被検査体である基板2のX軸方向の幅以上とされている。この第1光源41は、撮像ユニット20(撮像部30)の走査ラインの真上に配置されており、ハーフミラー45を透過して、基板2の走査ライン上に対して照明光を上から下に概ね垂直に照射するように構成されている。このように、第1光源41からの照明光(落射光)は、ハーフミラー45を透過して基板2の検査面(走査ライン)に対して入射角がほぼゼロとなるように照射される。本実施形態においては、第1光源41に幅(Y軸方向長さ)を持たせてあり、基板2が反っている場合であっても入射角がゼロになるような落射光成分が存在するように構成されている。
【0024】
このように、第1光源41からいわゆる落射光を基板2に照射し、これをラインセンサ31で検出することにより、基板2上の部品の位置ずれ、欠品、ハンダのヌレの判定などを行うことが可能となる。なお、効率的に走査ラインへ照明光を照射するためには、LED群のための基板を中央で2つのサブ基板に分割し、それぞれのサブ基板にLED群を並設してもよい。
【0025】
また、照明部40の第2光源42は、ラインセンサ31の走査ラインが延びる方向(X軸方向)に並設された白色LED群により構成され、その並設長さは基板2のX軸方向の幅以上とされている。2つの第2光源42は、それぞれの照明光が、第1光源41から走査ラインへの光路と干渉しないように、第1光源41を挟んで走査ラインの両側に1体ずつ配置されている。そのため、これらの第2光源42からの照明光は、基板2の走査ラインに対して斜めに入射する偏射光となっている。
【0026】
また、照明部40の第3光源43は、ラインセンサ31の走査ラインが延びる方向(X軸方向)に並設された青色LED群により構成され、その並設長さは基板2のX軸方向の幅以上とされている。2つの第3光源43は、それぞれの照明光が、第1光源41から走査ラインへの光路と干渉しないように、第1光源41を挟んで走査ラインの第2光源42のさらに外側の両側に1体ずつ配置されている。そのため、これらの第3光源43からの照明光も、基板2の走査ラインに対して斜めに入射する偏射光となっている。
【0027】
上述したように、本実施形態においては、第1光源41は緑色の照明光を照射し、第2光源42は白色の照明光を照射し、第3光源43は青色の照明光を照射する。従って、撮像ユニット20の照明部40は被検査体である基板2に対して複数の色の光を照射する複合光源として機能する。緑色LEDや青色LEDは、白色LEDよりも明るい光を発することから、第1光源41を緑色光源とすると共に第3光源43を青色光源とすることにより、SN比のよいクリアな画像を得ることができる。また、プリント基板は一般に緑色に着色されていることが多いので、第1光源41を緑色光源とすれば、落射光により平面を明るく照射することができる。更に、第3光源43を青色光源とすることにより、基板2に実装されたICチップやコネクタ等の部品に低い角度から青い光を照射して部品にレーザー印字された文字等を良好に認識することが可能となる。
【0028】
また、本実施形態では、第2光源42及び第3光源43と走査ラインとの間に、これらの光源42,43からの光を拡散するアクリルシート44が配置されている。これにより、第2光源42及び第3光源43として点光源であるLEDの集合体を用いても、アクリルシート44の拡散作用により、スポット的な光が画像データに写り込んで検査精度を損なうことを抑制できる。
【0029】
このような照明部40により照射された照明光は、基板2の表面(走査ライン上の表面)で反射し、この反射光は、ハーフミラー45で反射してテレセントリックレンズ33及び結像レンズ32で集光されてラインセンサ31で検出される。なお、本実施形態においては、白色光源である第2光源42、緑色光源である第1光源41、青色光源である第3光源43の順に、それぞれの光源が独立に一つの走査ラインについて3回点灯され、1回の点灯ごとにラインセンサ31で基板2の表面を撮像する。これにより、基板2に第1〜第3の光源41,42,43の各々が照明光を照射した状態での画像を得ることができる(白色光が照射された基板2の表面全体の画像、緑色光が照射された基板2の表面全体の画像及び青色光が照射された基板2の表面全体の画像をそれぞれ独立して取得することができる)。なお、上述したように、ラインセンサ31は、Rセンサ列、Gセンサ列及びBセンサ列から構成されているため、緑色光である第1光源41が点灯しているときは、Gセンサ列で画像を撮像し、白色光である第2光源42が点灯しているときは、Rセンサ列、Gセンサ列及びBセンサ列で画像を撮像し、青色光である第3光源43が点灯しているときは、Bセンサ列で画像を撮像するように構成されている。すなわち、第2光源42が点灯しているときの画像はカラーであるが、第1光源41及び第3光源43が点灯しているときの画像は単色(例えば、白黒)として表現される。
【0030】
以上のように、本実施形態に係る検査装置1において、撮像ユニット20は、被検査体の画像データを取得する撮像部としての機能を有し、基板搬送ユニット10は、作業者によって待機位置P1に載置された被検査体を撮像部である撮像ユニット20により画像が取得される位置(検査位置P2)に移動させるとともに、この検査位置P2において被検査体を撮像部に対して走査方向(Y軸方向)に相対移動させて被検査体を走査する(被検査体を撮像する)ための搬送部としての機能を有している。また、ハーフミラー45は、照明部40により基板2に照射される照明光の光路からこの基板2で反射した反射光を撮像部30に導く光路を分岐する光路分岐部材としての機能を有している。
【0031】
図6に示すように、制御部50は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAM等のハードウェア及びソフトウェアの連携によって実現される。
【0032】
この制御部50は、搬送制御部51、照明制御部52、撮像制御部53、記憶部54、画像処理部55、メモリ56、検査部57、及び、表示制御部58を有して構成されている。
【0033】
搬送レール12(搬送ベルト14)上の待機位置P1に載置された基板2を検査位置P2に移動させる位置決めモータ13、及び、検査位置P2にある基板2を撮像ユニット20に対して移動させる搬送モータ16は制御部50に接続されている。搬送制御部51は、位置決めモータ13及び搬送モータ16に駆動信号を供給することにより、位置決めモータ13及び搬送モータ16を作動させるように構成されている。また、搬送制御部51は、可動保持部18の作動も制御する。
【0034】
照明制御部52は、照明部40の光源(第1光源41、第2光源42及び第3光源43)の点灯・消灯を制御するものであり、撮像制御部53は、撮像部30のラインセンサ31による被検査体の走査(撮像)を制御する。そして、搬送制御部51は、上述したように、位置決めモータ13、可動保持部18及び搬送モータ16の作動を制御することにより、搬送レール12(搬送ベルト14)上に載置された被検査体である基板2の位置決め方向(X軸方向)への移動や、基板2の走査方向(撮像ユニット20に対する基板2の搬送方向であるY軸方向)への移動、及び、バックアップ機構17による基板2の保持等が行われる。
【0035】
また、記憶部54はハードディスク等の記憶装置により構成されており、基板2の検査に利用される判定基準データが格納されている。また、検査部57による検査結果等も記憶部54に格納される。
【0036】
撮像部30のラインセンサ31で取得された信号は画像処理部55で加工処理等が施された画像データに変換され、メモリ56に格納される。そして、検査部57は、メモリ56に格納された画像データを用いて解析及び検査を実行するように構成されている。具体的には、検査部57は、メモリ56に格納された画像データを解析し、まず基準データを取得する。ここで、基準データは、例えば基板2に設けられた、この基板2の位置を示す認識マークの位置データ、基板2に設けられたバーコードなどの認識マークを解析することにより得られる基板2のシリアルナンバーや製造年月日等の識別データを含む。また、検査部57は、メモリ56に格納された画像データを解析し、さらに上記の処理により取得した基準データを利用して、基板2に実装される各部品やハンダ個所の位置を示す位置情報データを取得する。そして、検査部57は、記憶部54に格納された判定基準データを利用して、基板2の部品の実装状態に関する総合的な検査を実施する。なお、部品の実装状態とは、被検査体としての基板2に実装される素子等の部品の有無、位置、適正な部品であるか等だけではなく、ハンダの有無、ハンダの量、ブリッジの有無、部品の高さ等を含む。このとき、検査部57は、記憶部54に保持された基準データ及び位置情報データを利用して、基板2に実装されている部品の高さを算出するように構成してもよい。
【0037】
また、この制御部50には、ディスプレイ60が接続されており、表示制御部58により、最終的な検査結果がディスプレイ60に表示される。また、制御部50には、図示されないキーボードやマウスといった入力手段が接続され、これらのキーボード等を介して、ユーザは、データ入力や、検査装置1の操作を実行することができる。
【0038】
次に、図7及び図8を参照しながら、上述の検査装置1による被検査体である基板2の外観検査の手順について説明する。ここで、図7に示すフローチャートは、表面のリフロー工程と裏面のDIP工程とを経てICチップやコネクタ等の部品が実装された基板2の表面を検査する手順を示すものである。
【0039】
まず、図7に示すように、基板2の検査を実行するに際して、作業者が搬送レール12の搬送ベルト14上の待機位置P1に基板2を載置し、この検査装置1の制御部50に検査の開始を指示すると(図8の時刻t1)、制御部50は、搬送制御部51により、位置決めモータ13を作動させて搬送ベルト14により基板2を待機位置P1から検査位置P2に移動させて、この基板2の搬送レール12上のX軸方向の位置決めを行う。すなわち、基板2が撮像ユニット20の撮像範囲内を通過することができる位置である検査位置P2に、この基板2を移動させる(ステップS100)。なお、制御部50に対する検査の開始の指示は、作業者がこの制御部50に接続されているキーボード等の入力手段から入力するように構成してもよいし、センサ等により搬送レール12の搬送ベルト14上に基板2が載置されたことを検出することで、制御部50がこの検出を検査の開始の指示と判断するように構成してもよい。
【0040】
制御部50の搬送制御部51は、基板2が検査位置P2に移動したと判断すると(図8の時刻t2)、上述したように、可動保持部18を上方に移動させて基板2を上方に持ち上げ、この可動保持部18とクランプ19とで基板2を挟持することにより、バックアップ機構17で基板2を保持する(ステップS110)。そして、ステップS110において基板2の保持が完了すると、搬送制御部51は、搬送モータ16を作動させて搬送レール12を走査方向(Y軸方向)に移動させ、上述したように、撮像ユニット20の光学系の焦点面(走査ライン)が基板2の表面に略一致している状態(基板2を第1の位置に支持した状態)でこの基板2の表面を走査して、この基板2の表面の画像を取得する(ステップS120)。
【0041】
撮像ユニット20による基板2の走査(撮像)を具体的に説明すると、搬送制御部51は、搬送モータ16を作動させ(図8の時刻t2)、撮像ユニット20のラインセンサ31による撮像範囲であるスタート位置(走査ライン)まで基板2が移動したと判断すると(図8の時刻t3)、所定の時間間隔で照明部40による照明と撮像部30による撮像を繰り返す。すなわち、まず、白色光を照射する第2光源42を点灯させるとともにラインセンサ31のRセンサ列、Gセンサ列及びBセンサ列で一走査単位(1ライン)の撮像を開始し(図8の時刻t3)、撮像が終了すると第2光源42を消灯する。次に、緑色光を照射する第1光源41を点灯させるとともにラインセンサ31のGセンサ列で一走査単位(1ライン)の撮像を開始し(図8の時刻t4)、撮像が終了すると第1光源41を消灯する。また、青色光を照射する第3光源43を点灯させるとともにラインセンサ31のBセンサ列で一走査単位(1ライン)の撮像を開始し(図8の時刻t5)、撮像が終了すると第3光源43を消灯する。このように構成することにより、照明部40によって基板2の表面に照明光が照射された際に、撮像部30のラインセンサ31は、テレセントリックレンズ33及び結像レンズ32を介して走査ライン上の画像を取得することができる。また、ラインセンサ31を用いることにより、エリアセンサを用いて検査面を二次元的に移動・停止させ、これをくり返して順次スポット撮像をする構成に比較して、機構を単純化すると共に、検査時間を短縮化することが可能となる。なお、図8は、一走査単位毎に第2光源42、第1光源41、第3光源43の順序で点灯して撮像する場合を示しているが、本発明がこの順序に限定されることはない。
【0042】
このように、制御部50は、搬送制御部51により搬送モータ16を作動させて基板2を撮像部30に対して移動させながら、照明制御部52による照明部40の作動の制御と、撮像制御部53による撮像部30の作動の制御により、所定の時間間隔で一走査単位(1ライン)毎に基板2の表面の撮像を繰り返し、基板2の表面の全体の画像を撮像することができる。そして、制御部50は、基板2の終端部が走査ラインを超えたと判断すると(例えば、図8の時刻t6)、搬送モータ16の作動、並びに、撮像部30及び照明部40の作動を停止する。なお、基板2の終端部の判断は、予め検査対象の基板2の大きさ(Y軸方向の長さ)をメモリ56に設定しておくことにより、搬送モータ16の作動量(作動時間)に基づいて判断してもよいし、センサ等を設けて基板2の終端部を検出してもよい。
【0043】
このように、本実施形態に示す検査装置1の撮像ユニット20により得られる画像データの解像度のうち、走査ラインの方向(X軸方向)の解像度はラインセンサ31の解像度で決定され、走査方向(Y軸方向)の解像度は、一走査単位毎の搬送レール12の移動量(移動時間)で決定される。なお、図8は各タイミングを時間で説明したが、所定の間隔で出力されるクロック信号をカウントしてもよい。
【0044】
このようにして、ラインセンサ31が基板2の走査方向(Y軸方向)における全長について撮像すると、基板2の表面の撮像が1回の基板搬送工程中で実行されることになる。すなわち、基板2は、基板搬送ユニット10により、撮像ユニット20に対して走査方向(Y軸方向)に移動させられ、この間、撮像ユニット20が基板2の表面を1回の基板搬送工程の中で撮像する。なお、1回の基板搬送工程とは、基板2の一方向における搬送工程でもよく、基板2の往復搬送工程であってもよいが、ここでは、一方向における搬送工程として説明する。
【0045】
以上のステップS120により、基板2の表面の画像が取得されると、制御部50の検査部57は、上述した方法で画像データの解析を行い、さらにこの解析結果に基づいて基板2の検査を行い(ステップS130)、表示制御部58がその検査結果をディスプレイ60表示する(ステップS140)。なお、制御部50の搬送制御部51は、このステップS130及びS140の実行と並行して、搬送モータ16を作動させて搬送レール12を、走査を開始する前の位置まで戻すように構成されている(図8の時刻t7からt8)。そして、搬送制御部51は、可動保持部18を下方に移動させてバックアップ機構17による基板2の保持を解除し(ステップS150)、位置決めモータ13を作動させてこの基板2を検査位置P2から待機位置P1に移動させる(ステップS160)。なお、このステップS150及びS160も、上述したステップS130及びS140の処理と並行して実行するように構成してもよい。また、ここでは、検査が終了した基板2を、搬送レール12上の検査位置P2から待機位置P1に戻すように構成した場合について説明したが、検査に合格した基板2を待機位置P2とは反対側に移動させることにより、この検査済みの基板2を次工程に送るように構成してもよい。
【0046】
以上のような構成の検査装置1は、基板搬送ユニット10のバックアップ機構17により保持された状態の基板2に対して撮像ユニット20を構成する撮像部30の焦点位置(走査ライン)が固定されている。そのため、例えば、背の高い部品(例えば、コンデンサ等)の上面に印刷されている型番等も検査の対象とする場合、撮像部30の焦点が合わずにぼけた画像になり、検査の精度が低くなる可能性がある。また、基板2に対する撮像部30の光軸も固定されている(基板2の上面に対して略垂直に延びている)ため、部品やハンダ(フィレット)に対して角度を付けた画像を得ることができず、検査の精度が限定されてしまう可能性もある。そこで、基板2に対する撮像部30の焦点位置や画像を取得する角度を変更する構成について説明する。
【0047】
(第1の実施形態)
まず、図9を用いて第1の実施形態について説明する。この図9は、上述した検査装置1の撮像ユニット20の光学系について説明している。なお、撮像部30は、上述したように、ラインセンサ31、結像レンズ32及びテレセントリックレンズ33から構成されているものとする。
【0048】
図9(a)に示すように、撮像部30の光軸Aは、ハーフミラー45でY軸方向に折り曲げられ、照明部40の光路から分岐されている。また、このとき、撮像部30の焦点(走査ライン)F0は、基板搬送ユニット10のバックアップ機構17により保持された状態の基板2の表面と略一致するように構成されている。
【0049】
ここで、撮像部30を光軸Aに沿ってY軸方向に移動させると、この撮像部30の焦点も、略垂直に延びる光軸に沿って移動する。具体的には、図9(b)に示すように、撮像部30をハーフミラー45から離すように移動させると、その焦点(走査ライン)はF1の位置に移動する。そのため、このような状態で基板2の走査を行うと、基板2の表面から上方にある部品にピントがあった画像を取得することができる。
【0050】
撮像部30を移動させて焦点位置を変化させる方法としては、例えば、上述したラインセンサ31、結像レンズ32及びテレセントリックレンズ33が取り付けられた支持部材34を光軸Aに沿って移動させる撮像部調整機構36を設け、制御部50の撮像制御部53でその作動を制御するように構成することができる。ここで、基板搬送ユニット10で保持された基板2を撮像ユニット20に対して往復移動させる場合の、復路において、ステップS130及びS140の処理を実行すると同時に、図9(b)で示す焦点位置(位置F1)に調整した状態で基板2の画像を取得することにより、往路で基板2の表面に焦点が合った画像データを取得し、復路で基板2の表面よりも上方に焦点が合った画像データを取得することができ、それぞれの画像データを用いて、基板2の表面の状態だけでなく、背の高い部品の上面の画像も検査対象とすることができる。この際、復路における画像データは、部品の上面に印字された文字等を検出するために用いるため、画像データの解像度が要求されないことから、一走査単位の間隔(照明及び撮像を繰り返す時間間隔)を、往路よりも広くするように構成してもよい。
【0051】
また、図9(c)に示すように、撮像部30の光軸Aとハーフミラー45の光路分岐面との交わる位置(位置C)及び角度と、撮像部30(例えば、ラインセンサ31の撮像面)と光路分岐面との距離を調整することにより、基板2の表面に対する撮像部30の光軸の角度を変化させることができる。
【0052】
このように、制御部50の撮像制御部53により撮像部調整機構36を作動させて、撮像部30の光軸Aとハーフミラー45の光路分岐面との交わる位置、角度、及び、撮像部30と光路分岐面との距離の少なくとも1つを変化させることにより、基板2に対する撮像部30の焦点位置や、基板2に対する撮像部30の光軸の角度を変化させることができ、異なる焦点位置の画像や、異なる角度の画像を取得して、検査精度を向上させることができる。
【0053】
(第2の実施形態)
図10は、上述した撮像ユニット20において、撮像部30とハーフミラー45との間に、別のハーフミラー(以下、「第2のハーフミラー35」と呼ぶ)を配置し、この第2のハーフミラー35で分岐された光路上に第2の撮像部70を配置した構成を示している。なお、以降の説明において、撮像部30を「第1の撮像部30」と呼び、ハーフミラー45を「第1のハーフミラー45」と呼ぶ。このとき、第2のハーフミラー35は、第1の撮像部30の光軸と第2の撮像部70の光軸とが交差する点に配置されている。
【0054】
図10(a)に示すように、第1の撮像部30の焦点(走査ライン)を基板搬送ユニット10のバックアップ機構17により保持された基板2の表面に略一致させた状態で、第2の撮像部70の焦点をこの基板2の上方(位置F1)に位置するように配置することにより、一回の走査で、第1の撮像部30による基板2の表面に焦点が合った画像データと、第2の撮像部70による基板2の表面より高い位置に焦点が合った画像データとを同時に取得することが可能となる。
【0055】
このような第2の実施形態において、例えば、図10(a)の矢印で示すように、第2の撮像部70を光軸Bに沿って移動させることにより、この第2の撮像部70の基板2に対する焦点の位置を上下方向に変化させることができる(図9(b)と同じ)。また、図10(b)に示すように、第2の撮像部70の光軸Bと第2のハーフミラー35の光路分岐面との交わる位置(位置C′)、角度、及び、第2の撮像部70と光路分岐面との距離の少なくとも1つを変化させることにより、結果として、第2の撮像部70の光軸Bと第1のハーフミラー45の光路分岐面との交わる位置(位置C)、角度、及び、第2の撮像部70と光路分岐面との距離の少なくとも1つが変化することになるため、基板2に対する第2の撮像部70の焦点位置や、基板2に対する第2の撮像部70の光軸Bの角度を変化させることができ、異なる焦点位置の画像データや、異なる角度の画像データを取得して、検査精度を向上させることができる。
【0056】
また、図11に示すように、第2の撮像部70を移動させる代わりに、第2のハーフミラー35を、走査ラインと略平行に延びる軸O(第1の撮像部30の光軸と第2の撮像部70の光軸とが交差する点を通る軸O)を中心に回転させて、この第2のハーフミラー35と第2の撮像部70の光軸Bとがなす角度を変化させても、結果として、第2の撮像部70の光軸Bと第1のハーフミラー45の光路分岐面との交わる位置、角度、及び、第2の撮像部70と光路分岐面との距離の少なくとも1つが変化することになるため、基板2に対する第2の撮像部70の焦点位置や、基板2に対する第2の撮像部70の光軸Bの角度を変化させることができる。例えば、図11(a)に示すように、第2のハーフミラー35を反時計回りに回転させることにより、第2の撮像部70の焦点を、基板2の上方であって、第2の撮像部70に近づく方向(点F2の位置)に移動させることができる。反対に、図11(b)に示すように、第2のハーフミラー35を時計回りに回転させることにより、第2の撮像部70の焦点を、基板2の上方であって、第2の撮像部70から離れる方向(点F2′の位置)に移動させることができる。また、第2の撮像部70の移動と、第2のハーフミラー35の回転を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 検査装置
2 基板(被検査体)
10 基板搬送ユニット(搬送部)
20 撮像ユニット
30 撮像部(第1の撮像部)
35 第2のハーフミラー(第2の光路分岐部材)
36 撮像部調整機構
40 照明部
45 ハーフミラー(第1のハーフミラー、光路分岐部材、第1の光路分岐部材)
50 制御部
57 検査部
70 第2の撮像部
図1
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