特許第6339867号(P6339867)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6339867
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】ボール供給装置及びボール供給方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20180528BHJP
   B65G 65/38 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   B65G47/14 L
   B65G65/38
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-117267(P2014-117267)
(22)【出願日】2014年6月6日
(65)【公開番号】特開2015-229574(P2015-229574A)
(43)【公開日】2015年12月21日
【審査請求日】2017年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】590001164
【氏名又は名称】シロキ工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593118128
【氏名又は名称】コアテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083286
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100166408
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦陽
(72)【発明者】
【氏名】光部 極人
(72)【発明者】
【氏名】橋本 健志
(72)【発明者】
【氏名】原田 和弥
(72)【発明者】
【氏名】藤井 茂
【審査官】 八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−175864(JP,U)
【文献】 特開平11−059873(JP,A)
【文献】 特開平08−048426(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/00−47/32
B65G 65/30−65/48
B23P 19/00;19/10−19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性体からなる多数のボールを投入するホッパーと、
前記ホッパー内に昇降可能に支持されるとともに、前記ボールを吸着するマグネットが設けられたボール持ち上げ面を有するボール持ち上げ体と、
前記ボール持ち上げ体が進退可能な進退孔と、前記進退孔の周囲の壁面によって構成されるとともに前記マグネットに吸着された余分なボールを掻き落とす掻き落とし体と、を有するホッパー蓋体と、
前記ボール持ち上げ体によって持ち上げられたボールを把持して搬送する搬送体と、
を有することを特徴とするボール供給装置。
【請求項2】
請求項1記載のボール供給装置において、
前記ボール持ち上げ体の前記ボール持ち上げ面は、1個のボールを受け取る大きさであるボール供給装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のボール供給装置において、
前記搬送体は、前記ボール持ち上げ体の前記ボール持ち上げ面上のボールが押し込まれるボール保持孔を備えているボール供給装置。
【請求項4】
請求項1または2記載のボール供給装置において、
前記搬送体は、前記ボール持ち上げ体の前記ボール持ち上げ面上のボールを挟む一対の開閉アームを備えているボール供給装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のボール供給装置によるボール供給方法であって、
前記ホッパーに多数のボールを投入するステップと、
前記ボール持ち上げ体を下降させた状態で、前記ボール持ち上げ面の前記マグネットにより前記ボールを吸着するステップと、
前記ボール持ち上げ体を上昇させることにより前記ボール持ち上げ体を前記進退孔に進入させるとともに、前記掻き落とし体により余分なボールを掻き落とすステップと、
前記進退孔に進入した前記ボール持ち上げ体が保持したボールを前記搬送体によって把持して搬送するステップと、
を有することを特徴とするボール供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボール供給装置及びボール供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ボール(例えば鋼球)は、各種工業品に用いられている。例えば、車両用シートトラック装置においては、床面に固定されるロアレールと、シートに固定されるアッパレールとの間に、複数のボールを回転自在に支持したボールガイドを挿入することが行われており、ボールは、ボールガイドに形成されたボール保持孔に打ち込み支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-17966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、高所に設けたボール貯留部と、このボール貯留部に一端部が取り付けられボールが自重により内部を転がり落ちる供給部(供給ホース)と、この供給部の他端部に設置される作業機とを備えたボール供給装置を提案している。この重力利用のボール供給装置は、ボール搬送に特別な動力源を必要としないという利点がある反面、ボール貯留部を作業機より高所に設置する必要があるため、装置が大型化(高背化)し、また、ボール貯留部へのボールの供給(補充)作業が困難である。また、ボール貯留部から供給部へ1つずつボールを取り出す(切り出す)ための取出構造が複雑化し、供給ホースの出口部(作業機との接続部)でボール詰まりが発生しやすいという問題がある。
【0005】
本発明は、大型化(高背化)を招くことなく(低背で)、ボールを1個ずつ確実に取り出すことができるボール供給装置及びボール供給方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のボール供給装置は、磁性体からなる多数のボールを投入するホッパーと、前記ホッパー内に昇降可能に支持されるとともに、前記ボールを吸着するマグネットが設けられたボール持ち上げ面を有するボール持ち上げ体と、前記ボール持ち上げ体が進退可能な進退孔と、前記進退孔の周囲の壁面によって構成されるとともに前記マグネットに吸着された余分なボールを掻き落とす掻き落とし体と、を有するホッパー蓋体と、前記ボール持ち上げ体によって持ち上げられたボールを把持して搬送する搬送体と、を有することを特徴としている。
【0007】
前記ボール持ち上げ体の前記ボール持ち上げ面は、1個のボールを受け取る大きさとすることができる。
【0008】
前記搬送体は、前記ボール持ち上げ体の前記ボール持ち上げ面上のボールが押し込まれるボール保持孔を備えることができる。
【0009】
前記搬送体は、前記ボール持ち上げ体の前記ボール持ち上げ面上のボールを挟む一対の開閉アームを備えることができる。
【0010】
本発明のボール供給方法は、上述したいずれかのボール供給装置によるボール供給方法であって、前記ホッパーに多数のボールを投入するステップと、前記ボール持ち上げ体を下降させた状態で、前記ボール持ち上げ面の前記マグネットにより前記ボールを吸着するステップと、前記ボール持ち上げ体を上昇させることにより前記ボール持ち上げ体を前記進退孔に進入させるとともに、前記掻き落とし体により余分なボールを掻き落とすステップと、前記進退孔に進入した前記ボール持ち上げ体が保持したボールを前記搬送体によって把持して搬送するステップと、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、低背で、ボールを1個ずつ確実に取り出すことができるボール供給装置及びボール供給方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のボール供給装置の一実施形態を示す側面図である。
図2図1のボール供給装置の平面図である。
図3】ボールホッパーの蓋体がボール掻き落とし体を兼ねる実施形態を示す斜視図である。
図4】ボール搬送機構の一実施形態を示す断面図である。
図5】(A)、(B)、(C)は、ボール取出機構、ボール搬送機構及び作業機間のボールの移動順を示す断面図である。
図6】ボール搬送機構の別の実施形態を示す断面図である。
図7】ボールを打ち込むワークとして例示するボールガイドの斜視図である。
図8図7のVIII-VIII線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1図2は、本発明によるボール供給装置の一実施形態の全体を示している。本実施形態は、取り出すべき多数のボールBを投入するホッパー(ボール貯留部)10、このホッパー10に配置したボール取出機構20、及びこのボール取出機構20によって取り出したボールBを把持して作業機40に搬送するボール搬送機構30を主たる構成要素としている。この実施形態では、ボールBはマグネットによって吸着される磁性体からなる。
【0016】
ホッパー10は、周壁11と底壁12を有する容器である。底壁12は、最深部13に向かって傾斜する傾斜壁からなる。底壁12の傾斜の大きさは、ボールBが重力によって、底壁12上を最後の1つまで、最深部13に向かって滑落するように定められる。
【0017】
ボール取出機構20は、ホッパー10の最深部13の下方に、上下方向(重力方向)に向けて配置したエアシリンダ装置21を有し、このエアシリンダ装置21のピストンロッド(ボール持ち上げ体)22は、最深部13からホッパー10内に昇降運動する。ピストンロッド22の上端部には、マグネット23が備えられている。ピストンロッド22(マグネット23)の上端部のボール持ち上げ面22aは最も下降した位置では、最深部13より下方に位置する。また、図3に示すように、ホッパー10の蓋体14には、ピストンロッド22(だけ)が進退する進退孔14aが設けられている。
【0018】
図4に示すように、ピストンロッド22(マグネット23)の径Dは、ボールBの径d及びマグネット23の磁力の大きさを考慮して、ピストンロッド22(マグネット23)上の平面円形のボール持ち上げ面22aに1つのボールBが吸着される(載る)ように定める。蓋体14の進退孔14aの周囲の壁面は、マグネット23の磁力の大きさによって、ボール持ち上げ面22aだけでなく、その周囲にボールBが付着した場合に余分なボールBを掻き落とす掻き落とし体として作用する。
【0019】
ボール搬送機構30は、ボール取出機構20のピストンロッド22によって持ち上げられたボールBを把持し(受け取り)、作業機40に搬送する機能を持つ。ボール搬送機構30は、図1ないし図5の実施形態では、ボール取出機構20(ホッパー10)の上部と作業機40の上部との間を往復移動する搬送アーム31を有し、この搬送アーム31に、ボールBを挿入可能なボール保持孔32が形成されている。このボール保持孔32には、圧縮ばね33により突出方向に付勢されたストッパボール34が臨んでいる。すなわち、搬送アーム31には、ボール保持孔32に連通させて、圧縮ばね33とストッパボール34を収納したストッパ進退孔35が形成されており、ストッパ進退孔35の入口部にストッパボール34の脱落を防止する抜止突起36が形成されている。
【0020】
作業機40は、ボール搬送機構30のボール保持孔32内に保持されたボールBを合成樹脂製のボールガイド50のボール保持孔51に打ち込むものである。図7は、ボールガイド50の単体形状を示しており、その長さ方向の両端部に各2個ずつのボール保持孔51が形成されている。ボール保持孔51には、図8に示すように、弾性変形可能な脱落防止突起51aが形成されている。このボールガイド50(のボール保持孔51)は、作業機40の保持台41上の所定位置に保持されており、保持台41の上には、保持台41に対して昇降運動する打ち込みシリンダ装置42が位置している。打ち込みシリンダ装置42のピストンロッド43は、搬送アーム31のボール保持孔32内に保持されているボールBを下方に押して、圧縮ばね33の力に抗してストッパボール34を後退させ、ボールBをボールガイド50のボール保持孔51内に打ち込む。
【0021】
すなわち、上記構成の本ボール供給装置は、次のように作動する。ホッパー10内にボールBが投入されている状態において、ボール取出機構20のピストンロッド22を下降させ、そのボール持ち上げ面22aを最深部13より下方の下降端に位置させる。この状態においてピストンロッド22を上昇させると、ボール持ち上げ面22a(マグネット23)に吸着された1つのボールBが上昇する。仮に、ボール持ち上げ面22a(マグネット23)の周囲に余分なボールBが付着したとしても、その余分なボールBは、蓋体14によって掻き落とされる。
【0022】
ピストンロッド22がさらに上昇するとき、ピストンロッド22の上では、ボール搬送機構30の搬送アーム31がそのボール保持孔32をピストンロッド22の軸線上に位置させて待機している。そして、このアライン状態で、ピストンロッド22が上昇端に達すると、ボールBが圧縮ばね33の力に抗してストッパボール34を後退させながらボール保持孔32内に進入し、ストッパボール34によってボールBが搬送アーム31に保持される。
【0023】
このようにして、ボール取出機構20からボール搬送機構30へのボールBの受け渡しが終了したら、ピストンロッド22は下降端に達し、次の動作に備える。一方、ボール搬送機構30(搬送アーム31)は作業機40上に移動し、打ち込みシリンダ装置42のピストンロッド43の軸線上に、ボール保持孔32(ボールB)が位置する。このとき、作業機40の保持台41上には、ボールガイド50のいずれかのボール保持孔51が打ち込みシリンダ装置42のピストンロッド43の軸線上に位置している。このアライン状態でピストンロッド43が下降すると、搬送アーム31のボール保持孔32に保持されているボールBは、脱落防止突起51aを弾性変形させてボールガイド50のボール保持孔51に移動し、ボールBの打ち込みが終了する。
【0024】
図6は、ボール搬送機構30の別の実施形態を示している。このボール搬送機構30は、一対の開閉アーム37と、この開閉アーム37を開閉させるアクチュエータ38を備えており、ボール取出機構20のボール持ち上げ面22a(マグネット23)上のボールBは、この一対の開閉アーム37の間に把持開放される。
【0025】
以上の実施形態では、ボール取出機構20のピストンロッド22の上端部にマグネット23を設けたが、特にボールBが非磁性体の場合には、マグネット23は必須でない。ピストンロッド22のボール持ち上げ面22aに粘着性を与え、あるいは小さい(浅い)凹部を形成することで、ホッパー10内から1つずつボールBを取り出すことも可能である。
【0026】
また、以上の実施形態では、ホッパー10内に1台のボール取出機構20を設けたが、一つのホッパー10内に、複数のボール取出機構20を設ける態様も可能である。
【符号の説明】
【0027】
B ボール
10 ホッパー
11 周壁
12 底壁
13 最深部
14 蓋体(掻き落とし体)
20 ボール取出機構
21 エアシリンダ装置
22 ピストンロッド(ボール持ち上げ体)
22a ボール持ち上げ面
23 マグネット
30 ボール搬送機構
31 搬送アーム
32 ボール保持孔
33 圧縮ばね
34 ストッパボール
35 ボール進退孔
37 開閉アーム
38 アクチュエータ
40 作業機
41 保持台
42 打ち込みシリンダ装置
43 ピストンロッド
50 ボールガイド
51 ボール保持孔
51a 脱落防止突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8