特許第6339875号(P6339875)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6339875
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】信号用の表示装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/095 20060101AFI20180528BHJP
【FI】
   G08G1/095 M
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-135019(P2014-135019)
(22)【出願日】2014年6月30日
(65)【公開番号】特開2016-12325(P2016-12325A)
(43)【公開日】2016年1月21日
【審査請求日】2017年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 充広
(72)【発明者】
【氏名】松本 一宏
(72)【発明者】
【氏名】北田 裕己
【審査官】 吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−018625(JP,A)
【文献】 特開2010−026863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/095
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般色覚者用の基本色の光を射出する基本発光デバイスと、色覚特異者が認識可能な追加色の光を射出する追加発光デバイスとを配列してなり、所定のパターンを表示する表示領域を備え、
前記基本発光デバイスは、前記表示領域の全体に分布し、前記追加発光デバイスは、前記基本発光デバイスよりも少ない占有面積で前記表示領域の全体に均一に分散して発光時に前記所定のパターンと略同一のパターンを表す、信号用の表示装置。
【請求項2】
前記基本発光デバイスの密度を前記追加発光デバイスの密度よりも大きくすることによって、前記追加発光デバイスを前記表示領域中に分散させる、請求項1に記載の信号用の表示装置。
【請求項3】
前記基本色と前記追加色とは、同系色である、請求項1及び2のいずれか一項に記載の信号用の表示装置。
【請求項4】
前記基本発光デバイス及び前記追加発光デバイスは、固体発光素子である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の信号用の表示装置。
【請求項5】
前記表示領域は、表示枠内の局所的な領域に形成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の信号用の表示装置。
【請求項6】
前記表示領域は、歩行者用信号機に設けられている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の信号用の表示装置。
【請求項7】
前記表示領域は、交通信号機に付随する情報表示機に設けられている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の信号用の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通信号機に組み込まれる交通信号灯器等として用いられる表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用信号灯器として、例えば青色の灯器において、青色発光ダイオードと緑色発光ダイオードとを交互に均等に配列したものや、灯器の中央領域で青色発光ダイオードのみを配列し、その周囲の外側領域で青色発光ダイオードと緑色発光ダイオードとを交互に均等に配列したものが公知となっている(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、青色の灯器において青色発光及び緑色発光のダイオードを交互に均等に配列した例は、特定の意味を持たせたパターンを表示するものでなく、また、2色のダイオードの密度をバランスさせているので組み合わせるべき一対の色に制限が生じやすい。他方、青色の灯器において中央領域及び外側領域でダイオードの色パターンを変更する例では、一般色覚者(すなわち色覚健常者)と、色覚特異者(すなわち色弱者)とで認識するパターンが異なるものとなり、好ましくない場合も生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−271298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、色の選択に関する自由度を高めつつ特定の意味を持たせたパターンを表示可能であり、一色覚者と色覚特異者とが同一のパターンを認識できる信号用の表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため信号用の表示装置は、一般色覚者用の基本色の光を射出する基本発光デバイスと、色覚特異者が認識可能な追加色の光を射出する追加発光デバイスとを配列してなり、所定のパターンを表示する表示領域を備え、基本発光デバイスは、表示領域の全体に分布し、追加発光デバイスは、基本発光デバイスよりも少ない占有面積で表示領域の全体に均一に分散する。
【0007】
上記表示装置によれば、基本発光デバイスが表示領域の全体に分布するので、一色覚者は、表示領域に表示された所定のパターンを信号として認識することができる。また、追加発光デバイスが基本発光デバイスよりも少ない占有面積で表示領域の全体に均一に分散するので、一色覚者のパターン認識が阻害されることを防止しつつ、色覚特異者にとっても、表示領域に表示された所定のパターンを信号として認識することができる。
【0008】
本発明の具体的な側面では、基本発光デバイスの密度を追加発光デバイスの密度よりも大きくすることによって、追加発光デバイスを表示領域中に分散させる。この場合、基本発光デバイスと追加発光デバイスとの密度比によって基本色と追加色の輝度比を調整することができる。
【0009】
本発明の別の側面では、基本色と追加色とは、同系色である。ここで、同系色とは、例えばHSV(Hue、Saturation Chroma、Value Lightness Brightness)色空間で90°以下の色相差となっているような場合を意味する。基本色と追加色とを同系色とすることで、一色覚者に、表示領域に表示された所定のパターンを本来の色の信号と認識させることが容易になり、信号の誤認を確実に回避することができる。
【0010】
本発明のさらに別の側面では、基本発光デバイス及び追加発光デバイスは、固体発光素子である。固体発光素子は、一般に発光ピークの半値幅が狭くなる傾向があるが、上記のように基本色と追加色とを併用することで、一色覚者にとって違和感がなく色覚特異者とって認識が容易な信号用の表示装置を提供することができる。
【0011】
本発明のさらに別の側面では、表示領域は、表示枠内の局所的な領域に形成されている。ここで、表示枠内の表示領域を除いた非表示領域については、射出光の少ない黒っぽいものとすることで所定のパターンを目立たせることができる。
【0012】
本発明のさらに別の側面では、表示領域は、歩行者用信号機に設けられている。この場合、一色覚者だけでなく色覚特異者の往来の安全を図ることができる。
【0013】
本発明のさらに別の側面では、表示領域は、交通信号機に付随する情報表示装機に設けられている。この場合、一色覚者や色覚特異者に交通情報その他の多様な情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】信号用の表示装置を説明する図である。
図2図1の表示装置を組み込んだ信号制御システムを説明する図である。
図3】(A)は、表示装置の表示領域における発光デバイスの一配置例を説明する図であり、(B)は、発光デバイスの別の配置例を説明する図である。
図4】発光デバイスの発光特性等を説明する図である。
図5】発光デバイスの断面構造を説明する概念図である。
図6】変形例の信号制御システムを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態である信号用の表示装置について詳細に説明する。
【0016】
図1に例示する信号用の表示装置10は、外観上、赤色の第1灯11と、青色の第2灯12と、カバー14と、フード19とを備える。
【0017】
第1灯11は、進行不可信号であり、実質的に赤色に点灯する。第1灯11は、矩形の表示枠15内に、立ち止まった人(停止者)のシルエットに対応するパターン状の表示領域11aと、表示領域11aを囲む暗い背景状の非表示領域11bとを有する。表示領域11aは、表示枠15内の中央の局所的な領域に形成されていると言える。表示領域11aは、後に詳述するが、2種類以上の有機EL素子等からなる多数の固体発光素子を2次元的に配列することによって形成されている。表示領域11aは、準赤色に発光する点灯状態と黒に近い暗い消灯状態とに切り替えることができる。なお、非表示領域11bには、固体発光素子を配置する代わりに光吸収体を配置しており、常に暗い消灯状態となっている。このため、表示領域11aが点灯状態のとき、非表示領域11bは、準赤色の表示領域11aを囲む黒っぽい背景領域となる。一方、表示領域11aが消灯状態のとき、表示領域11a及び非表示領域11b、つまり矩形の表示枠15内は、全体として黒っぽい領域となる。
【0018】
第2灯12は、進行許可信号であり、実質的に青色に点灯する。第2灯12は、矩形の表示枠16内に、歩行する人(横断者)のシルエットに対応するパターン状の表示領域12aと、表示領域12aを囲む暗い背景状の非表示領域12bとを有する。表示領域12aは、表示枠16内の中央の局所的な領域に形成されていると言える。表示領域12aは、後に詳述するが、2種類以上の有機EL素子等からなる多数の固体発光素子を2次元的に配列することによって形成されている。表示領域12aは、準青色に発光する点灯状態と黒に近い暗い消灯状態とに切り替えることができる。なお、非表示領域12bには、固体発光素子を配置する代わりに光吸収体を配置しており、常に暗い消灯状態となっている。このため、表示領域12aが点灯状態のとき、非表示領域12bは、準青色の表示領域12aを囲む黒っぽい背景領域となる。一方、表示領域12aが消灯状態のとき、表示領域12a及び非表示領域12b、つまり矩形の表示枠16内は、全体として黒っぽい領域となる。
【0019】
図2を参照して、図1の表示装置10を組み込んだ信号制御システム100について説明する。信号制御システム100は、一般的な信号機であり、信号制御装置40と、複数の歩行者用信号灯器20と、複数の車両用信号灯器30と、複数の音声報知器50とを有する。ここで、信号制御装置40は、制御回路41と、駆動回路42と、現示メモリー43とを有する。これらのうち、制御回路41は、全体の動作を統括し、駆動回路42は、制御回路41の指示に基づいて歩行者用信号灯器20、車両用信号灯器30等を駆動し、現示メモリー43は、信号灯器20,30の表示の切り替え手順のほか、現在の灯色、表示の残り時間等の点灯状態に関する情報を保管する。
【0020】
信号制御システム100において、歩行者用信号灯器20は、図1に示す表示装置10に相当するものである。各歩行者用信号灯器20又は表示装置10には、2色の灯器部分(第1及び第2灯11,12)を個別かつ択一的に順次点灯する際に給電等を行う付属回路10fが内蔵されている。なお、歩行者用信号灯器20と信号制御装置40とを組み合わせたものを歩行者用信号機とする。
一方、車両用信号灯器30は、車両用に設けられた一般的なものであり、詳細な説明を省略するが3色の円形の灯器部分つまり赤色灯31と青色灯32と黄色灯33とを備える。各車両用信号灯器30には、3色の灯器部分31,32,33を個別かつ択一的に順次点灯する際に給電等を行う付属回路30fが内蔵されている。各色の灯器部分31,32,33は、LED等からなる多数の固体発光素子を2次元的に配列したものである。なお、車両用信号灯器30と信号制御装置40とを組み合わせたものを車両用信号機とする。
音声報知器50は、スピーカーや駆動回路を含む。音声報知器50は、信号制御装置40からの指示に基づいて、信号灯器20,30と同期して動作する。具体的には、歩行者用信号灯器20が進行不可信号を表示する状態となっているときに横断禁止の音声ガイダンスや警告音を出力し、歩行者用信号灯器20が進行許可信号を表示する状態となっているときに横断許容の音声ガイダンスや誘導音を出力する。
【0021】
図3(A)を参照して、図1に示す表示装置(歩行者用信号灯器)10の第1灯11に設けたパターン状の表示領域11aについて説明する。ここで、図3(A)は、表示領域11a内の一部APを拡大した概念図である。表示領域11aにおいて、多数の基本発光デバイス17aは、全体に分布し、多数の追加発光デバイス17bは、基本発光デバイス17aの隙間を埋めるように全体に均一に分散する。より具体的には、基本発光デバイス17aは、矩形(正方形を含む)の発光領域17cを有し、ブロック状に2次元的に配列されている。追加発光デバイス17bは、細長い帯状の発光領域17dを有し、基本発光デバイス17aを囲んで縦横に延びる格子状に配列されている。結果的に、基本発光デバイス17aの発光領域17cは、表示領域11a内に均一に分布し、追加発光デバイス17bの発光領域17dは、基本発光デバイス17aの発光領域17cの隙間を埋めるように少ない占有面積で均一に配列されている。つまり、表示領域11aにおいて、発光領域17cの間に発光領域17dが周期的に配置され、発光領域17cの面積占有率は、発光領域17dの面積占有率よりも大きくなっている。追加発光デバイス17bの発光領域17dの格子が細いか格子間隔が狭い場合、第1灯11の表示領域11aを遠目に見ると、視力にもよるが、主たる発光領域17c中に副の発光領域17dが埋もれる。一方、追加発光デバイス17bの発光領域17dの格子が太く格子間隔が広い場合、第1灯11の表示領域11aを遠目に見ても、主たる発光領域17c中に副の発光領域17dのパターンが視認されることを想定している。
なお、基本発光デバイス17aの発光領域17cと追加発光デバイス17bの発光領域17dとの面積比は、発光領域17c,17dの輝度等に応じて適宜設定することができる。
【0022】
基本発光デバイス17aは、第1種の有機EL素子であり、基本色である赤色の光を射出する。具体的には、基本発光デバイス17aは、波長620〜650nm又はそれ以上の長波長域で発光する(図4の分布A1参照)。追加発光デバイス17bは、第2種の有機EL素子であり、追加色である橙色の光を射出する。具体的には、追加発光デバイス17bは、波長580〜600nm又はその周辺の波長域で発光する(図4の分布A2参照)。なお、橙色は、赤色の同系色であり、HSV色空間で90°以下の色相差となっている。
【0023】
図5は、表示装置10の表示部11pを構成する基本発光デバイス17aの断面構造を説明する概念図である。基本発光デバイス17aは、樹脂製の基板81上に有機EL層82を一対の電極83,84で挟んだ構造を有する有機EL素子80aを発光素子として形成し、樹脂製の透明な保護層85で覆ったものである。ここで、少なくとも表側の電極84は、透明電極である。また、指向性、発散度等を考慮して、保護層85に隣接してマイクロレンズアレイ、フレネルレンズ等の光線制御部88を設けることもできる。
表示部11pを構成する基本発光デバイス17aの発光色については、有機EL層82に添加された蛍光材料その他の発光材料の選択によって調整することができる。なお、有機EL素子80aについては、不要な光をカットするためフィルターを付加することもできる。
【0024】
表示部11pを構成する追加発光デバイス17bの断面構造は、基本発光デバイス17aの断面構造と同様であるので説明を省略する。追加発光デバイス17bの場合、有機EL層82の成分が基本発光デバイス17aと異なっている。
【0025】
このように、第1灯11の表示領域11aでは、波長620nmを越える赤色発光型の基本発光デバイス17aが発光するとともに、波長580〜600nm周辺の橙色発光型の追加発光デバイス17bが発光する。さらに、基本発光デバイス17aは、比較的占有面積が広い発光領域17cに配置されて発光し、追加発光デバイス17bは、比較的占有面積が狭い発光領域17dに分散するように配置されて発光する。このため、視覚健常者にとって、表示領域11aは、大半が赤色で若干の橙色(同系色)が混ざった領域であり、略赤色に着色された停止歩行者のシルエットパターンと認識される。以下では、視覚健常者の刺激感度を基準とする(図4の感度パターンB0参照)。ところで、P型強度と呼ばれる第1色覚特異者は、赤色を殆ど感じることができず(図4の感度パターンB1参照)、基本発光デバイス17aからの光を感じることができない。その一方で、追加発光デバイス17bからの光については、発光領域の密度が低いが黄色又は緑色に属する光として発光を感じることができる。よって、P型強度の第1色覚特異者にとって、表示領域11aは、比較的暗い黄色に着色された停止歩行者のシルエットパターンと認識される。さらに、P型弱度と呼ばれる第2色覚特異者は、赤色の感度が弱く(図4の感度パターンB2参照)、基本発光デバイス17aからの光に対して感度が低い。その一方で、追加発光デバイス17bからの光については、発光領域の密度が低いが黄色に属する光として発光を感じることができる。よって、P型弱度の第2色覚特異者にとって、表示領域11aは、黄色又は橙色に着色された停止歩行者のシルエットパターンと認識される。つまり、P型強度又はP型弱度の色覚特異者であっても、第1灯11の表示領域11aにおけるパターンの有無を認識することができる。
【0026】
以上は、第1灯11の説明であったが、第2灯12にも同様の工夫を施すことができる。具体的には、第2灯12の表示領域12aにおいて、全体に分布する基本発光デバイス17aを設け、基本発光デバイスの隙間を埋めるように全体に均一に分散する追加発光デバイス17bを設ける(図3(A)参照)。第2灯12において、基本発光デバイス17aは、青色の光を射出し、波長400〜450nm辺りの短波長域で発光し、追加発光デバイス17bは、波長450〜500nm辺りの青寄りの長域で発光する。T型と呼ばれる第3色覚特異者は、青色を殆ど感じることができず、基本発光デバイス17aからの光を感じることができない。その一方で、追加発光デバイス17bからの光については、発光領域の密度が低いが緑色に属する光として発光を感じることができる。よって、T型の第3色覚特異者にとって、表示領域12aは、比較的暗い緑色に着色された横断者のシルエットパターンと認識される。つまり、T型の色覚特異者であっても、第2灯12の表示領域12aにおけるパターンの有無を認識することができる。
【0027】
図3(B)は、図3(A)に示す表示領域11aの変形例を示す。この場合も、表示領域11aにおいて、多数の基本発光デバイス17aは、全体に分布し、多数の追加発光デバイス17bは、基本発光デバイス17aの隙間を埋めるように少ない占有面積で全体に均一に分散する。ただし、基本発光デバイス17aは、有機EL素子に代えて、波長620nmを越える波長域で発光する赤色発光型のLED素子で構成されている。また、追加発光デバイス17bも、波長580〜600nm周辺の波長域で発光する橙色発光型のLED素子で構成されている。なお、図3(A)に示す発光デバイス17a,17bについては、LED素子に限らず、同様の配列の有機EL素子に置き換えることができる。
【0028】
以上述べたように、本実施形態に係る表示装置10によれば、基本発光デバイス17aが表示領域11aの全体に分布するので、一色覚者は、表示領域11aに表示された所定のパターンを信号として認識することができる。また、追加発光デバイス17bが基本発光デバイス17aよりも少ない占有面積で表示領域11aの全体に均一に分散するので、一色覚者のパターン認識が阻害されることを防止しつつ、色覚特異者とっても、表示領域11aに表示された所定のパターンを信号として認識することができる。

【0029】
以上の実施形態で説明された構造、形状、大きさ及び配置関係については、本発明を理解・実施できる程度に概略的に示したものに過ぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【0030】
パターン状の表示領域11a,12aは、図形、標識等に限らず、文字、記号等とすることができる。
具体的には、例えば図6に示すように、信号制御システム100に1つ以上の情報表示機60を追加し、歩行者用信号灯器20又は車両用信号灯器30と連動させて動作させる。この際、情報表示機60は、文字、記号等によって表現される交通関連情報を表示するため、有機EL素子等の発光素子からなるディスプレイ部分111と、ディスプレイ部分111に描画を行わせる駆動回路60fとを備える。ディスプレイ部分111は、それ自体で変化するパターンである表示領域111aにおいて、波長620nmを越える赤色発光型の基本発光デバイスが画素として発光するとともに、波長580〜600nm周辺の橙色発光型の追加発光デバイスが画素として発光する(図3(A)参照)。表示領域111aの外側の非表示領域111bにおいて、画素を構成する基本発光デバイス及び追加発光デバイスは消灯している。表示領域111aは、文字、記号等に対応するものであり、表示すべき交通関連情報の変更に伴って変化する動的なものとできる。交通関連情報は、例えば信号機の進行許可又は進行不可の状態を説明するものとできるが、これに限らず、事故の発生、交通制限区間、渋滞状況、コマーシャル等を表示するものとすることもできる。
なお、ディスプレイ部分111については、カラー表示とし、画像上で波長620nmを越える赤色のみが表示されるべき局所領域について、波長580〜600nm周辺の橙色を混在させるといった、色に関する画像処理を行うことによっても同等の効果を達成することができる。
【0031】
以上の実施形態では、追加発光デバイス17bに追加色として橙色の光を射出させているが、追加発光デバイス17bに黄色の光(あるいは、2種の追加発光デバイス17bに黄色又は橙色の2色の光)を射出させることもできる。
【0032】
以上では、マトリックス状に配列された矩形の基本発光デバイス17aの周囲に追加発光デバイス17bを配置しているが、配置パターンはこれに限らず様々なものとできる。例えば、基本発光デバイス17aを背景的に配置し、小面積の追加発光デバイス17bを点在させるといった手法も可能である。
【符号の説明】
【0033】
10…表示装置、 10f…付属回路、 11,12…灯器部分、 11a,12a…表示領域、 11b,12b…非表示領域、 11p…表示部、 14…カバー、 15,16…表示枠、 17a…基本発光デバイス、 17b…追加発光デバイス、 17c,17d…発光領域、 20…歩行者用信号灯器、 30…車両用信号灯器、 30f…付属回路、 31,32,33…灯器部分、 40…信号制御装置、 41…制御回路、 42…駆動回路、 43…現示メモリー、 50…音声報知器、 60…情報表示機、 100…信号制御システム、 111…ディスプレイ部分、 111a…表示領域、 111b…非表示領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6