(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、トラックの荷台とトレーラーの荷台との間で人が行き来できないため、荷物の出し入れが煩雑であるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明者らは、先に特許出願した特願2014−101485号において、前部車両と後部車両とを揺動接続部で揺動自在に接続することにより多軸化した多軸高積載トラックを提案するとともに、前部車両の荷台の床と後部車両の荷台の床とを接続する通路部を設けることで、前部車両の荷台と後部車両の荷台との間の行き来を可能とすることを提案した。なお、特願2014−101485号は、現時点において公開されていない。
【0006】
このような多軸高積載トラックでは、通路部として、後部車両又は前部車両に対して回転する回転台(ロータリーテーブル)を採用すると、回転台と後部車両又は前部車両の荷台の床との間に隙間が生じる。しかしながら、回転台と荷台の床との間の隙間を所定範囲に収めるためには、荷台及び揺動接続部の組み付けを高精度に行う必要があるため、回転台と荷台の床との間の隙間の管理が難しいという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、回転台と荷台の床との間の隙間の管理を容易に行うことができる多軸高積載トラックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る多軸高積載トラックは、3以上の車軸を備える多軸高積載トラックであって、第一荷台を有する第一車両と、第二荷台を有する第二車両と、車両前後方向において第一車両と第二車両とを揺動自在に接続する揺動接続部と、第一荷台と第二荷台とに架け渡されるとともに、第二荷台に対して回転自在となる、略円板状の回転台と、を備え、第二荷台の床は、回転台から離れた位置に配置されて、第二車両の車体に対して固定される固定床と、固定床の回転台側に配置されて、車体に対して位置調整可能に固定される位置調整床と、を有する。
【0009】
本発明に係る多軸高積載トラックでは、第二荷台の床が、回転台から離れた位置に配置される固定床と、固定床の回転台側に配置される位置調整床と、を有している。そして、位置調整床は、車体に対して位置調整可能に固定されるため、車体に対する位置調整床の固定位置を調整することで、回転台と第二荷台の床との間の隙間の管理を容易に行うことができる。
【0010】
この場合、位置調整床は、車体に対して車両前後方向に位置調整可能としてもよい。この多軸高積載トラックでは、位置調整床が、車体に対して車両前後方向に位置調整可能であるため、回転台と第二荷台の床との間の隙間の管理を容易に行うことができる。
【0011】
また、位置調整床は、車体に対して車両前後方向及び車幅方向の双方に位置調整可能としてもよい。この多軸高積載トラックでは、位置調整床が、車体に対して車両前後方向及び車幅方向の双方に位置調整可能であるため、回転台と第二荷台の床との間の隙間をより細かく管理することができる。
【0012】
また、位置調整床及び車体の少なくとも一方には、位置調整床を車体に締結するボルトが挿入されてボルトの径よりも大径の貫通孔が形成されていてもよい。この多軸高積載トラックでは、位置調整床及び車体の少なくとも一方に形成された貫通孔がボルトの径よりも大径であるため、車体に対する位置調整床の固定位置を容易に調整することができる。
【0013】
また、位置調整床の回転台側の端面には、円弧状に切り欠かれた円弧状切欠部が形成されており、回転台の位置調整床側の端部は、円弧状切欠部に挿入されていてもよい。この多軸高積載トラックでは、回転台の第二荷台側の端部が、位置調整床に形成された円弧状切欠部に挿入されている。このため、第二荷台に回転台を確実に架けることができるとともに、回転台と第二荷台との間の通路が極端に狭くなるのを抑制することができる。なお、この場合であっても、車体に対する位置調整床の固定位置を調整することで、回転台と第二荷台の床との間の隙間の管理を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、回転台と後部車両の床との間の隙間の管理を容易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施形態に係る多軸高積載トラックについて、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、以下の説明では、車両前後方向における前方及び後方を単に前方及び後方ともいう。
【0017】
図1は、多軸高積載トラックの概略側面図である。
図2は、多軸高積載トラックの一部を示す平面図である。
図3は、多軸高積載トラックの荷台内部を後部荷台側から前部荷台側に見た図である。
図1〜
図3に示すように、本実施形態の多軸高積載トラック1は、3以上の車軸を備える多軸高積載トラックである。具体的に説明すると、多軸高積載トラック1は、前部車両2と、後部車両3と、揺動接続部4と、回転台5と、幌6と、を備える。
【0018】
前部車両2は、多軸高積載トラック1の車両前後方向前側に配置される駆動車両である。前部車両2は、車両前後方向に延びる前部フレーム21を備える。前部フレーム21には、車両前後方向前側に位置して一以上の車軸で構成される前側車軸部22と、車両前後方向後側に位置して一以上の車軸で構成される後側車軸部23と、が取り付けられている。前側車軸部22に連結される車輪のうち、少なくとも左右一対の車輪は、操舵機構に連結された操舵輪となっている。後側車軸部23の少なくとも一軸は、プロペラシャフト及びデファレンシャルギア等に連結された駆動軸となっている。
【0019】
また、前部フレーム21には、荷物が積載される前部荷台24(第一荷台)が固定されている。前部荷台24は、前部荷台用車体25と、前部荷台用車体25に対してボルト等の締結部材により固定される前部荷台用床26と、を備える。前部荷台24の後面には、前部荷台24の外部と連通する開口(不図示)が形成されている。
【0020】
後部車両3は、多軸高積載トラック1の車両前後方向後側に配置される従動車両である。後部車両3は、車両前後方向に延びる後部フレーム31を備える。後部フレーム31には、車両前後方向中央に位置する中央車軸部32が取り付けられている。中央車軸部32は、二つの車軸で構成されている。このため、後部車両3は、前部車両2から分離された状態でも自立可能なセンタアクスル方式の車両となっている。
【0021】
また、後部フレーム31には、荷物が積載される後部荷台34(第二荷台)が固定されている。後部荷台34は、後部荷台用車体35と、後部荷台用車体35に固定される後部荷台用床36と、を備える。なお、後部荷台用床36の詳細については後述する。後部荷台34の前面には、後部荷台34の外部と連通する開口(不図示)が形成されている。
【0022】
揺動接続部4は、車両前後方向において前部車両2と後部車両3とを揺動自在に接続する。具体的に説明すると、揺動接続部4は、前部車両2と後部車両3との間において車両上下方向に延びる軸線Aを揺動中心として、前部車両2と後部車両3とを揺動自在に接続する。なお、揺動接続部4は、トレーラー(牽引車)のように前部車両2と後部車両3とを容易に着脱可能に接続するのではなく、前部車両2と後部車両3とを着脱不能に接続している。但し、メンテナンスを行う場合等の特段の事情があるときは、ボルト等の締結部材を外すことにより、前部車両2と後部車両3とを分離することが可能となっている。揺動接続部4の構造は、特に限定されるものではなく、軸線Aを揺動中心として前部車両2と後部車両3とを揺動自在に接続することができれば、如何なる接続構造であってもよい。
【0023】
回転台5は、前部荷台24と後部荷台34とに架け渡されており、前部荷台24と後部荷台34との間を行き来するための通路として機能する。回転台5は、略円板状(円板状)に形成されている。具体的に説明すると、回転台5は、前部荷台24から後部荷台34に至る円板状の円板部51を備えており、前部荷台24との接続部付近が、所定幅となるように広がっている。
【0024】
回転台5の前部車両2側の端部は、前部荷台用床26との間の隙間が所定範囲となるように前部荷台24に固定されている。円板部51の後部車両3側の端部52は、後部荷台34に対して摺動可能となるように後部荷台34に架けられている。つまり、回転台5は、後部車両3に固定されておらず、後部荷台34に対して軸線Aを中心として回転自在となっている。端部52の端面は、円弧状に形成されており、その半径方向中心は、軸線A上に位置している。なお、回転台5は、通路部として機能するため、前部荷台24の床である前部荷台用床26及び後部荷台34の床である後部荷台用床36と略面一(車高方向において同じ高さ)になっている。
【0025】
また、回転台5は、後部荷台34に固定された支持台(不図示)により下方から支持されており、この支持台には、円板部51の後部荷台34側の車幅方向における両側に配置される補助板部53が取り付けられている。なお、補助板部53は、回転台5とともに通路部として機能するため、円板部51と近接した位置に配置されるとともに、円板部51と略面一(車高方向において同じ高さ)になっている。
【0026】
幌6は、前部荷台24と後部荷台34との間の通路を画成するための部材である。幌6は、前部荷台24の後面の開口と後部荷台34の前面の開口とを連通し、揺動接続部4及び回転台5を覆う。幌6は、伸縮可能な蛇腹状の幌で構成されている。
【0027】
次に、後部荷台用床36について詳しく説明する。
図4は、回転台と後部荷台との接続部分を示す平面図である。
図5は、
図4に示すV−V線における断面図である。
図4及び
図5に示すように、後部荷台用床36は、回転台5から車両前後方向後方に離れた位置に配置される固定床37と、固定床37の回転台5側に配置される位置調整床38と、を有する。
【0028】
固定床37は、後部荷台用車体35に対して締結部材であるボルト71により固定されている。後部荷台用車体35に対して固定床37に固定する手段としては、特に限定されるものではないが、例えば、次の手段を採用することができる。後部荷台用車体35には、固定床37を固定する領域に、ボルト71がねじ込まれる複数のボルト穴35aが形成されている。固定床37には、各ボルト穴35aに対応する位置に、ボルト71が挿入される貫通孔37aが形成されている。そして、貫通孔37aに挿入されたボルト71が、ボルト穴35aにねじ込まれている。これにより、後部荷台用車体35に対して固定床37が固定されている。
【0029】
また、固定床37は、矩形板状に形成されている。固定床37の位置調整床38側の端面37bは、車幅方向と平行な直線状に形成されている。
【0030】
位置調整床38は、後部荷台用車体35に対して締結部材であるボルト72により位置調整可能に固定されている。なお、本実施形態では、位置調整床38の上面に、位置調整床38を保護する断面L字状の保護プレート73が載置されている。後部荷台用車体35に対して位置調整床38及び保護プレート73を位置調整可能に固定する手段としては、特に限定されるものではないが、例えば、次の手段を採用することができる。
【0031】
図6は、後部荷台用車体に形成された貫通孔とボルトとの寸法関係を説明するための概略図である。
図4〜
図6に示すように、後部荷台用車体35には、ボルト72のロッド部72aが挿入される複数の貫通孔35bが形成されている。ロッド部72aは、表面に雄ネジが形成された棒状の部位である。位置調整床38には、各貫通孔35bに対応する位置に、ロッド部72aが挿入される貫通孔38aが形成されている。保護プレート73には、各貫通孔38aに対応する位置に、ロッド部72aが挿入される貫通孔73aが形成されている。そして、貫通孔73a、貫通孔38a及び貫通孔35bに挿入されたロッド部72aが、座金74を介してナット75にねじ込まれている。これにより、位置調整床38の上面に保護プレート73が載置された状態で、後部荷台用車体35に対して位置調整床38及び保護プレート73が固定されている。
【0032】
ここで、貫通孔35bの内径は、ロッド部72aの外径よりも大きくなっている。つまり、ロッド部72aと貫通孔35bとの間に隙間が形成されるため、貫通孔35bにロッド部72aを挿入した状態で、ボルト72を後部荷台用車体35に対して車両前後方向及び車幅方向の双方に移動させることが可能となっている。これにより、位置調整床38は、ロッド部72aと貫通孔35bとの間に形成される隙間の分だけ、後部荷台用車体35に対する固定位置を調整することが可能となっている。なお、座金74の外径、又は座金74及びナット75の外径は、貫通孔35bの内径よりも大きくなっている。
【0033】
また、位置調整床38は、車幅方向に延びる細長い略矩形板状に形成されている。具体的に説明すると、位置調整床38の固定床37側の端面38bは、固定床37の端面37bと同様に、車幅方向と平行な直線状に形成されている。そして、端面38bと固定床37との間に、所定寸法範囲内の隙間が形成されている。
【0034】
一方、位置調整床38の回転台5側(固定床37とは反対側)の端面38cには、円弧状に切り欠かれた円弧状切欠部38dが形成されている。円弧状切欠部38dは、車幅方向中央に形成されている。そして、円弧状切欠部38dに、回転台5の位置調整床38側の端部52が挿入されており、端部52と円弧状切欠部38dとの間に所定寸法範囲内の隙間が形成されている。
【0035】
次に、位置調整床38と固定床37及び回転台5との間の隙間の調整方法について説明する。
【0036】
まず、後部荷台用車体35に対して固定床37が固定する。また、揺動接続部4により前部車両2と後部車両3とを揺動自在に接続する。そして、前部荷台24に固定された回転台5(円板部51)の端部52を後部荷台34に架けて、回転台5を前部荷台24と後部荷台34に架け渡す。
【0037】
次に、回転台5と固定床37との間に位置調整床38を配置する。そして、貫通孔73a、貫通孔38a、貫通孔35b及び座金74に挿入したボルト72のロッド部72aをナット75にねじ込み、後部荷台用車体35に対して位置調整床38及び保護プレート73を仮止めする。
【0038】
その後、位置調整床38及び保護プレート73を後部荷台用車体35に対して車両前後方向及び車幅方向に移動させて、回転台5及び固定床37との間の隙間が所定寸法範囲内となるように、後部荷台用車体35に対する位置調整床38及び保護プレート73の位置を調整する。そして、回転台5及び固定床37との間の隙間が所定寸法範囲内となると、ボルト72のロッド部72aをナット75に更にねじ込み、後部荷台用車体35に対して位置調整床38及び保護プレート73を固定する。
【0039】
このように、本実施形態に係る多軸高積載トラック1では、後部荷台用床36が、回転台5から離れた位置に配置される固定床37と、固定床37の回転台5側に配置される位置調整床38と、を有している。そして、位置調整床38は、後部荷台用車体35に対して位置調整可能に固定されるため、後部荷台用車体35に対する位置調整床38の固定位置を調整することで、回転台5と後部荷台用床36との間の隙間の管理を容易に行うことができる。
【0040】
また、多軸高積載トラック1では、位置調整床38が、後部荷台用車体35に対して車両前後方向及び車幅方向の双方に位置調整可能であるため、回転台5と後部荷台用床36との間の隙間をより細かく管理することができる。
【0041】
また、多軸高積載トラック1では、後部荷台用車体35に形成された貫通孔がボルト72のロッド部72aの径よりも大径であるため、後部荷台用車体35に対する位置調整床38の固定位置を容易に調整することができる。
【0042】
また、多軸高積載トラック1では、回転台5の後部荷台34側の端部52が、位置調整床38に形成された円弧状切欠部38dに挿入されている。このため、後部荷台34に回転台5を確実に架けることができるとともに、回転台5と後部荷台34との間の通路が極端に狭くなるのを抑制することができる。なお、この場合であっても、後部荷台用車体35に対する位置調整床38の固定位置を調整することで、回転台5と後部荷台用床36との間の隙間の管理を容易に行うことができる。
【0043】
また、多軸高積載トラック1では、固定床37の位置調整床38側の端面37b及び位置調整床38の固定床37側の端面38bが、車幅方向と平行な直線状に形成されている。これにより、固定床37に対する位置調整床38の移動が阻害され難くなるため、回転台5と後部荷台用床36との間の隙間の管理を更に容易に行うことができる。
【0044】
また、多軸高積載トラック1では、揺動接続部4により、前部車両2と後部車両3との間に位置する軸線Aを揺動中心として前部車両2と後部車両3とが揺動自在に接続され、回転台5は、この軸線Aを中心として回転自在となる。このため、回転台5の回転を円滑に行うことができる。
【0045】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用してもよい。
【0046】
例えば、上記実施形態では、第一車両が前部車両2であり、第二車両が後部車両3であるものとして説明したが、例えば、第一車両が後部車両であり、第二車両が前部車両であってもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、後部荷台用車体35に対して位置調整床38を位置調整可能に固定する手段として、後部荷台用車体35に形成された貫通孔35bの内径を、ロッド部72aの外径よりも大きくしたが、例えば、
図7に示すように、位置調整床38に形成された貫通孔38aの内径を、ロッド部72aの外径よりも大きくしてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、位置調整床38が後部荷台用車体35に対して車両前後方向及び車幅方向の双方に位置調整可能であるものとして説明したが、前後方向のみ又は車幅方向のみに位置調整可能であるものとしてもよい。例えば、
図8の(a)に示すように、貫通孔35b又は貫通孔38aを、車両前後方向に長い長穴とすることで、位置調整床38を、後部荷台用車体35に対して車両前後方向に位置調整可能とすることができる。一方、
図8の(b)に示すように、貫通孔35b又は貫通孔38aを、車幅方向に長い長穴とすることで、位置調整床38を、後部荷台用車体35に対して車両前後方向に位置調整可能とすることができる。
【0049】
また、上記実施形態では、位置調整床38の上面に保護プレート73が載置されているものとして説明したが、保護プレート73は無くてもよく、また、位置調整床38と保護プレート73とで一つの位置調整床を構成するものとしてもよい。