(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のヨウ素除去装置および原子力プラントの実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する各実施形態および各変形例において同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
≪第1実施形態≫
図1は、第1実施形態に係るヨウ素除去装置1およびこれを用いた原子力プラント100の構成図の例である。
図1に示すヨウ素除去装置1は、原子炉100aを格納した原子炉格納容器100bから排出されるガスを処理ガスとし、この処理ガス中のヨウ素を除去するための装置である。このヨウ素除去装置1は、原子炉100aおよび原子炉格納容器100bと共に、原子力プラント100を構成する要素ともなっている。
【0012】
このようなヨウ素除去装置1は、原子炉100aを格納した原子炉格納容器100bから延設された配管11を備えている。配管11の経路上には、原子炉格納容器100b側から順に、フィルタベント13、発熱タンク15、およびヨウ素吸着タンク17が、直列に配置されている。
【0013】
以下、これらの構成要素の詳細を説明するのに先立ち、ヨウ素除去装置1が併設される原子炉100aおよび原子炉格納容器100bの構成を説明し、次いでヨウ素除去装置1の各構成要素の詳細を説明する。
【0014】
<原子炉100a>、
原子炉100aは、原子炉格納容器100bおよびヨウ素除去装置1と共に、原子力プラント100を構成するものである。このような原子炉100aは、その型式が限定されることはない。原子炉100aは、沸騰水型(Boiling Water Reactor:BWR)、加圧水型(Pressurized Water Reactor:PWR)、または高速増殖炉(Fast Breeder Reactor:FBR)の何れであってもよい。ここでは一例としてBWR型を図示して原子炉100aの説明を行う。
【0015】
BWR型の原子炉100aは、核燃料の集合体である炉心101を、炉水Lに浸漬させた状態で収容する圧力容器103を備えている。この圧力容器103は、原子炉格納容器100b内に格納されている。また圧力容器103には、主蒸気配管107、復水配管109、および循環配管111が接続されている。
【0016】
このうち主蒸気配管107は、圧力容器103の上部に接続され、原子炉格納容器100bの外に延設されている。この主蒸気配管107は、原子炉格納容器100bの外部において、ここでの図示を省略したタービンおよび復水器に接続される。一方、復水配管109は、圧力容器103の下部と、主蒸気配管107に接続された復水器とに接続される。また循環配管111は、圧力容器103の下部に接続され、圧力容器103内の炉水Lを循環させる。この循環配管111は、圧力容器103と共に原子炉格納容器100b内に格納されている。
【0017】
<原子炉格納容器100b>
原子炉格納容器100bは、上述した原子炉100aを格納するものである。格納する原子炉100aがBWR型である場合、この原子炉格納容器100bは、内部に圧力抑制用の冷却水L1が貯留される圧力抑制プールを備えたサプレッションチャンバー113を有し、また内部が窒素ガス(N
2)で満たされている。原子炉格納容器100bの限界温度および限界圧力は、それぞれ200℃、0.7MPaであり、設計圧力の2倍程度である。
【0018】
<配管11>
配管11は、原子炉格納容器100bの上方部分、および原子炉格納容器100bにおけるサプレッションチャンバー113の上部に接続されている。この配管11は、原子炉格納容器100bの内部圧力が上昇した場合に、原子炉格納容器100b内のガスを排出して原子炉格納容器100bの破損を防止するためのものである。したがって、配管11は、原子炉格納容器100bとの接続部が最上流であり、その延設方向が下流側となる。
【0019】
このような配管11は、フィルタベント13よりも上流側の供給配管11a、フィルタベント13と発熱タンク15との間の接続配管11b、発熱タンク15とヨウ素吸着タンク17との間の接続配管11c、およびヨウ素吸着タンク17の下流側のガス排出管11dとで構成されている。
【0020】
配管11におけるフィルタベント13よりも上流側の供給配管11aは、原子炉格納容器100bの上方部分および原子炉格納容器100bにおけるサプレッションチャンバー113の上部のそれぞれに接続されている。これらの供給配管11aには、個別に自動開閉弁11eが設けられており、例えば図示したように、フィルタベント13の上流側で1本に統合された状態でフィルタベント13に接続されている。各供給配管11aに設けられた自動開閉弁11eは、原子炉格納容器100bの内部が所定圧力にまで上昇した場合に供給配管11aを開く。自動開閉弁11eによって供給配管11aが開かれる所定圧力は、原子炉格納容器100bの限界圧力よりも小さい値に設定される。なお、2つの供給配管11aのうちの何れの供給配管11aを開くか、または両方を開くかは、原子炉格納容器100b内の状況によって適宜に判断される。
【0021】
ここで、原子力プラントの事故では、圧力容器103から原子炉格納容器100bへ、水蒸気、放射性物質、水素が漏洩する可能性がある。この場合、原子炉格納容器100bは高温高圧となる。このヨウ素除去装置1においては、事故発生時に原子炉格納容器100b内が所定圧力にまで達すると、原子炉格納容器100bが破損する前に配管11に設けた自動開閉弁11eが開く。これにより、原子炉格納容器100b内のガスが、処理ガスとして配管11(供給配管11a)に供給される構成となっている。
【0022】
<フィルタベント13>
フィルタベント13は、配管11の経路上において自動開閉弁11eの下流に設けられている。このフィルタベント13は、一般的な構成であってよく、タンク13a、タンク13a内に貯留された薬液L2、タンク13a内に設けられた金属フィルタ13bを有している。
【0023】
このうちタンク13aは、薬液L2の貯留部において原子炉格納容器100bから延設された供給配管11aに連通して接続され、またタンク13aの上部において、発熱タンク15側に延設される接続配管11bに連通して接続されている。
【0024】
薬液L2は、原子炉格納容器100bから排出されるガス中の放射性エアロゾルを捕集するためのものであり、例えば硫酸またはチオ硫酸ナトリウムと水酸化ナトリウムを添加したアルカリ性のスクラバ水である。
【0025】
金属フィルタ13bは、薬液L2と接続配管11bとの間を隔離する状態で、薬液L2の液面と平行に配置されている。この金属フィルタ13bは、薬液L2を通過したガス中の液滴や粒径の小さな放射性エアロゾルをトラップし捕集する。このような金属フィルタ13bは、例えば、ステンレス製のメッシュ構造のものが用いられ、プレフィルタ、およびメインフィルタによって構成される。
【0026】
このような構成のフィルタベント13において、原子炉格納容器100bから配管11に排出された処理ガスは、先ずフィルタベント13内の薬液L2中に供給される。これにより、処理ガス中の放射性エアロゾルは、薬液L2中に捕集される。さらに薬液L2を通過した処理ガスは、薬液L2の上部に配置された金属フィルタ13bを通過する。これにより、処理ガス中の液滴や粒径の小さな放射性エアロゾルは、金属フィルタ13bに捕集される。そして金属フィルタ13bを通過した処理ガスは、接続配管11bを介して発熱タンク15に供給される。なお、処理ガスは、フィルタベント13を通過することにより、ほとんどの放射性物質が取り除かれるが、一部の放射性ヨウ素と非凝縮性の水素や酸素はフィルタベント13において除去しきれずに、接続配管11bに排出される。
【0027】
<発熱タンク15>
発熱タンク15は、内部に発熱部材15aを収容したものであり、配管11の経路上においてフィルタベント13とヨウ素吸着タンク17との間に配置されている。この発熱タンク15は、フィルタベント13側の接続配管11bとヨウ素吸着タンク17側の接続配管11cとに連通する状態で設けられている。そして、フィルタベント13側の接続配管11bから供給された処理ガスが、発熱タンク15を通過してヨウ素吸着タンク17側の接続配管11cに排出される構成となっている。したがって、発熱タンク15内においての処理ガスの処理効果を高めるためには、接続配管11bと接続配管11cとは、最も遠い位置において発熱タンク15に接続されていることが好ましい。
【0028】
[発熱部材15a]
発熱タンク15内に収容された発熱部材15aは、原子炉格納容器100bから排出された処理ガス中の成分と反応して発熱する。ここでは特に処理ガス中の水素と反応して反応熱を発するものであることとする。このような発熱部材15aは、例えば、水素再結合触媒、金属酸化物触媒、アンモニア合成触媒、および水素吸蔵合金のうちの少なくとも1種を用いて構成される。
【0029】
このうち水素再結合触媒は、水素と酸素とを反応させる再結合触媒であり、水素と酸素との再結合反応に伴う反応熱を発する。このような水素再結合触媒として、パラジウム、白金などの金属が用いられる。
【0030】
金属酸化物触媒は、金属酸化物表面において水素と酸素とを反応させる再結合触媒であり、水素と酸素との再結合反応に伴う反応熱を発する。このような金属酸化物触媒として、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、ニッケル、銅、ストロンチウム、銀、セリウムなどの金属の酸化物が用いられる。
【0031】
アンモニア合成触媒は、水素と窒素を反応させてアンモニアを生成する触媒であり、アンモニアの生成に伴う反応熱を発する。このようなアンモニア合成触媒として、鉄、モリブデン、ルテニウム、オスミウムなどの金属が用いられる。
【0032】
水素吸蔵合金は、結晶中に水素を取り込む性質を有する合金であり、水素吸蔵反応に伴う反応熱を発する。このような水素吸蔵合金として、リチウム、マグネシウム、チタン、鉄、ニッケル、ランタンなどの金属が用いられる。
【0033】
以上のような材料を用いて構成される発熱部材15aは、例えば上記材料を無機担体に添着して構成される。具体的な一例として水素再結合触媒であるパラジウムを用いた発熱部材15aであれば、アルミナ担体にパラジウムが添着され、さらに表面を疎水コートされた構成のものが発熱部材15aとして用いられる。このように疎水コートが施された発熱部材15aは、発熱タンク15に水蒸気が流入した場合であっても、発熱性能が大きく低下することはない。
【0034】
このような発熱部材15aは、発熱タンク15内に充填されている。発熱タンク15内における発熱部材15aの充填状態が限定されることはないが、処理ガスが供給された場合に高い発熱効率が発揮されるような構成であることが好ましい。このため、発熱タンク15内には、粒状の発熱部材15aが、そのまま充填されていてもよいし、粒状の発熱部材15aを担持させた複数のカートリッジを収容してもよい。
【0035】
以上のような発熱部材15aが充填された発熱タンク15には、フィルタベント13を通過した処理ガスが接続配管11bから供給される。この処理ガスには水素が含有されているため、発熱タンク15内の発熱部材15aと水素との反応によって反応熱が発生する。これにより、処理ガス中の水素が除去されると共に、処理ガスが加熱される。そして発熱部材15aによって加熱された処理ガスが、接続配管11cを介してヨウ素吸着タンク17に供給される。
【0036】
<ヨウ素吸着タンク17>
ヨウ素吸着タンク17は、内部にヨウ素吸着部材17aを収容したものであり、配管11の経路上において発熱タンク15の下流側に配置されている。このヨウ素吸着タンク17は、発熱タンク15側の接続配管11cとガス排出管11dとに連通する状態で設けられている。これにより、発熱タンク15内において発生した反応熱によって加熱された処理ガスの供給経路に、ヨウ素吸着部材17aが配置される構成となっている。また、発熱タンク15側の接続配管11cから供給された処理ガスが、ヨウ素吸着タンク17を通過してガス排出管11dに排出される構成となっている。したがって、ヨウ素吸着タンク17内においての処理ガスの処理効果を高めるためには、接続配管11cとガス排出管11dとは、最も遠い位置においてヨウ素吸着タンク17に接続されていることが好ましい。
【0037】
[ヨウ素吸着部材17a]
ヨウ素吸着タンク17内に収容されたヨウ素吸着部材17aは、原子炉格納容器100bから排出された処理ガス中のヨウ素を吸着する。ここで用いるヨウ素吸着部材17aは、固形吸着剤であり、ゼオライト、セラミックス、シリカ、アルミナなどの無機担体に銀または銀塩を添着したものが用いられる。この他にも、活性炭にヨウ化カリウム(KI)を添着したKI添着活性炭や、活性炭にトリエチレンジアミン(TEDA;Triethylene Diamine)を添着したTEDA炭などが用いられる。
【0038】
以上のようなヨウ素吸着部材17aは、ヨウ素吸着タンク17内に充填されている。ヨウ素吸着タンク17内におけるヨウ素吸着部材17aの充填状態が限定されることはないが、処理ガスが供給された場合に十分なヨウ素除去効果が発揮されるような構成であることが好ましい。このため、ヨウ素吸着タンク17内には、粒状のヨウ素吸着部材17aが、そのまま充填されていてもよいし、粒状のヨウ素吸着部材17aを担持させた複数のカートリッジを収容してもよい。
【0039】
以上のようなヨウ素吸着部材17aが充填されたヨウ素吸着タンク17には、発熱タンク15を通過することによって加熱された処理ガスが接続配管11cから供給される。この加熱された処理ガス中のヨウ素は、ヨウ素吸着タンク17を通過する際に、ヨウ素吸着部材17aに吸着され、処理ガス中から除去される。そしてヨウ素が除去された処理ガスが、ガス排出管11dから排出される。
【0040】
<発熱部材15aおよびヨウ素吸着部材17aの充填量の設計について>
次に、発熱タンク15内における発熱部材15aの充填量と、ヨウ素吸着タンク17内におけるヨウ素吸着部材17aの充填量の設計について述べる。
【0041】
先ず、ヨウ素吸着タンク17内には、ヨウ素吸着タンク17内に流入する可能性のあるヨウ素の全量を吸着可能な充填量で、ヨウ素吸着部材17aを充填する。一方、発熱タンク15内には、ヨウ素吸着タンク17に供給される処理ガスが、ヨウ素吸着タンク17内において結露することのない程度に、ヨウ素を含有する処理ガスを加熱し続けることが可能な充填量で、発熱部材15aを充填する。具体的には以下の通りである。
【0042】
[ヨウ素吸着部材17aの充填量]
例えば、ヨウ素吸着部材17aとして、銀が添着されたゼオライト(銀ゼオライト)を用いた場合を想定する。銀ゼオライトの代表的な仕様は、ヨウ素吸着のための操作適正温度80〜200℃、活性点の安定性400℃以下、ゼオライト構造の安定性900℃以下、銀含有率12重量%以上、ペレット形状、嵩密度720±30kg/m
3である。
【0043】
標準的な規模の原子力プラント100においては、原子力プラント100の事故発生時に原子炉格納容器100bから排出されるヨウ素の全量を吸着可能な上記仕様の銀ゼオライトの充填量は実量500kgである。なお、実量500kgの上記仕様の銀ゼオライト(ヨウ素吸着部材17a)を収容するヨウ素吸着タンク17は、およそ1m
3の設備容量が必要となる。
【0044】
[発熱部材15aの充填量]
原子力プラント100の事故事象によってフィルタベント13の下流に排出される処理ガスの条件は様々であるが、代表的な条件下において、圧力は1気圧、温度は90℃以下とされている。また、フィルタベント13から排出される処理ガスは水蒸気を含むガスであるため、そのままヨウ素吸着タンク17に流入することで、ヨウ素吸着タンク17内において水蒸気が結露してしまう可能性がある。そのため、ヨウ素吸着タンク17の内部には、発熱部材15aによって加熱された処理ガスによって、100℃以上に保たれるようにすることが好ましい。
【0045】
一例として、発熱部材15aが、アルミナ担体にパラジウムを添着し、さらに表面を疎水コートしたものである場合を想定する。この場合、処理ガス中の水素との再結合反応は、下記反応式(1)で示される。
【0046】
H
2+1/2O
2→H
2O+ΔH(−242kJ/mol)…(1)
ΔH:エンタルピー変化
【0047】
ここで、ヨウ素吸着部材17aとして例示した銀ゼオライトの比熱を0.80kJ/kg・Kとすると、500kgの銀ゼオライト(ヨウ素吸着部材17a)を25℃から100℃以上(ΔT>75K)に加熱するには、3×10
4kJの熱が必要である。また、再結合反応によって3×10
4kJの熱を10分で得るには、276リットル/分の水素ガス流量が必要である。そして、フィルタベント13から排出される処理ガスの組成を91%窒素、6%水素、3%酸素とすると、276リットル/分の水素ガス流量を得るには、処理ガス全体で約5m
3/分の流量と算出される。
【0048】
原子炉格納容器100bの大きさが約10000m
3であるとした場合、事故時における原子炉格納容器100b内の圧力は、最大で0.7MPaになる。したがって、原子炉格納容器100bから配管11に供給される処理ガスの流量は、上記算出された5m
3/分の流量が十分に得られる値となる。
【0049】
また、発熱部材15aにおける水素再結合触媒(一例としてパラジウム)の再結合性能は、0.05リットル/分・gであるとする。この場合、発熱部材15aの充填量としては、6%の水素濃度のガスが5m
3/分で発熱タンク15に流入した時、水素全量を再結合させる量として、5.5kg以上の水素再結合触媒(パラジウム)を含有する発熱部材15aが必要となる。
【0050】
<その他>
なお、ここで例示したBWR(沸騰水型)の原子炉100aは、原子炉格納容器100b内が窒素(N
2)ガスで置換されている。このため、原子炉格納容器100bから配管11に供給される処理ガスは、酸素濃度が著しく少ないものとなる。したがって、発熱部材15aに水素再結合触媒を用いている場合であれば、発熱部材15aにおける再結合反応を促進するために、配管11に酸素供給装置19を接続することが好ましい。ただし、原子炉がPWRまたはFBRである場合、または発熱部材15aが金属酸化物、アンモニア合成触媒、および水素吸蔵合金の何れかを用いたものである場合には、酸素供給装置19を設ける必要はない。
【0051】
<第1実施形態の効果>
以上説明したように第1実施形態のヨウ素除去装置1は、フィルタベント13とヨウ素吸着タンク17との間の配管11の経路上に、処理ガス中の成分(水素)との反応によって反応熱を発する発熱部材15aを配置した構成である。これにより、発熱部材15aによって加熱された処理ガスをヨウ素吸着部材17aが充填されたヨウ素吸着タンク17に供給し、さらにこの加熱された処理ガスによってヨウ素吸着部材17aを直接的に効率よく加熱することができる。
【0052】
したがってこのヨウ素除去装置1は、加熱された処理ガスがヨウ素吸着部材17aに供給されることにより、ヨウ素吸着部材17aにおいて処理ガスの結露が発生し難い構成となっている。しかも、加熱された処理ガスによってヨウ素吸着部材17aが直接的に効率よく加熱されることによっても、結露が発生し難い構成となっている。また、ヨウ素吸着部材17aが直接的に効率よく加熱されることにより、ヨウ素吸着部材17aが、短時間で操作適正温度まで加熱される構成でもある。さらに加えて、発熱部材15aにより、フィルタベント13から放出された処理ガス中の水素濃度が著しく低減される構成でもある。
【0053】
以上より、第1実施形態のヨウ素除去装置1によれば、原子力プラント100が全ての交流電源を喪失した場合においても、ヨウ素吸着部材17aにおいての処理ガスの結露を効果的に防止することができ、ヨウ素の吸着効率を高く維持できる。この結果、原子炉格納容器100bの外部への放射性ヨウ素の排出を防止しつつ、原子炉格納容器100b内のガスを安全に放出することが可能となる。また、発熱部材15aによって処理ガス中の水素濃度を低減できることによっても、原子炉格納容器100b内のガスを安全に放出する効果を得ることができる。
【0054】
≪第1実施形態の変形例1≫
図2は、第1実施形態に係るヨウ素除去装置の変形例1の構成図である。
図2に示す変形例1のヨウ素除去装置1aが、
図1を用いて説明した構成と異なるところは、発熱部材15aとヨウ素吸着部材17aとが、配管11の経路上に設けられた1つの処理タンク21内において接触させて収容された構成にある。他の構成は
図1を用いて説明した構成と同様である。
【0055】
<処理タンク21>
処理タンク21は、配管11の経路上において、フィルタベント13から延設された接続配管11bと、ガス排出管11dとの間に配置されている。また発熱部材15aは、処理タンク21内における接続配管11b側、すなわち上流側に収容されている。一方、ヨウ素吸着部材17aは、処理タンク21内におけるガス排出管11d側、すなわち下流側に収容されている。
【0056】
処理タンク21内において、発熱部材15aとヨウ素吸着部材17aとは、直接的に接触して設けられていることが好ましい。この他にも、粒状の発熱部材15aを担持させたカートリッジと、粒状のヨウ素吸着部材17aを担持させたカートリッジとを隣接して配置する構成であってもよい。
【0057】
このような変形例1の構成であれば、発熱部材15aとヨウ素吸着部材17aとを1つの処理タンク21内に接触した状態で収容したことにより、発熱部材15aで発生した反応熱をヨウ素吸着部材17aに直接伝達し、ヨウ素吸着部材17aを直接加熱することができる。これにより、ヨウ素吸着部材17aの加熱効率がさらに高められるため、これによるさらに大きな効果を得ることが可能である。
【0058】
≪第1実施形態の変形例2≫
図3は、第1実施形態に係るヨウ素除去装置の変形例2の構成図である。
図3に示す変形例2のヨウ素除去装置1bが、
図1を用いて説明した構成と異なるところは、発熱タンク15とヨウ素吸着タンク17とを、複数に分けて配管11の経路上に交互に配置したところにある。他の構成は
図1を用いて説明した構成と同様である。
【0059】
この場合、配管11の上流側の発熱タンク15と、その下流側のヨウ素吸着タンク17とを1組とし、配管11の経路上に直列に発熱タンク15とヨウ素吸着タンク17とを交互に配置する。
【0060】
このような変形例2の構成であれば、下流側に配置された発熱タンク15内に収容された発熱部材15aの放射性物質の被毒による発熱性能の低下を抑制することができる。これにより、下流側に配置されたヨウ素吸着タンク17内に収容されたヨウ素吸着部材17aの結露が確実に防止され、ヨウ素の除去効果を確実とすることができる。
【0061】
なお、この変形例2の構成は、
図2を用いて説明した変形例1の構成と組み合わせてもよい。この場合、配管11の経路上に設けた1つの処理タンク内に、上流側から順に発熱部材15a、ヨウ素吸着部材17aを交互に収容する。これにより、発熱部材15aの熱でヨウ素吸着部材17aを直接加熱することができるため、ヨウ素吸着部材17aの加熱効率を高めることができる。
【0062】
≪第1実施形態の変形例3≫
図4は、第1実施形態に係るヨウ素除去装置の変形例3の構成図である。
図4に示す変形例3のヨウ素除去装置1cが、
図1を用いて説明した構成と異なるところは、配管11を複数の分岐管11-1,11-2,11-3に分岐し、それぞれの経路上に発熱部材15aとヨウ素吸着部材17aを収容した処理タンク21’を配置したところにある。他の構成は
図1を用いて説明した構成と同様である。
【0063】
<分岐管11-1,11-2,11-3>
分岐管11-1,11-2,11-3は、例えばフィルタベント13から延設された接続配管11bにおいて分岐されている。これらの分岐管11-1,11-2,11-3の経路上には、処理タンク21’が配置され、各処理タンク21’に対してガス排出管11dが接続されている。
【0064】
<処理タンク21’>
各処理タンク21’内には配管11の上流側から順に発熱部材15a、ヨウ素吸着部材17aが交互に収容されている。各処理タンク21’は、隣接する処理タンク21’における発熱部材15aの収容部分とヨウ素吸着部材17aの収容部分とを隣接させて設置されることが好ましい。これにより、処理タンク21’間において発熱部材15aの熱がヨウ素吸着部材17aに伝わり易くする。
【0065】
このような変形例3の構成であれば、配管11を分岐させたことにより、各分岐管11-1,11-2,11-3の経路上に設けた発熱部材15aおよびヨウ素吸着部材17aに供給される処理ガスの流速を遅くできる。これにより、発熱部材15aにおいて十分に加熱された処理ガスをヨウ素吸着部材17aに供給し、さらにヨウ素吸着部材17aにおける処理ガスの停滞時間を長くして十分なヨウ素吸着を行うことが可能になり、ヨウ素の除去効果の向上を図ることが可能になる。
【0066】
なお、配管11の分岐箇所は、フィルタベント13から延設された接続配管11bに限定されることはなく、例えばフィルタベント13から直接分岐させてもよい。またこの変形例3で示したような配管11を分岐させる構成は、
図1を用いて説明した第1実施形態、
図2を用いて説明した変形例1、または
図3を用いて説明した変形例2の構成と組み合わせてもよく、この組み合わせによりそれぞれの効果を合わせて得ることができる。
【0067】
≪第1実施形態の変形例4≫
図5は、第1実施形態に係るヨウ素除去装置の変形例4の構成図である。
図5に示す変形例4のヨウ素除去装置1dが、
図1を用いて説明した構成と異なるところは、配管11の経路上に設けられた1つの処理タンク21”内に、発熱部材15aとヨウ素吸着部材17aとを混在した状態で収容したところにある。他の構成は、
図1を用いて説明した構成と同様である。
【0068】
<処理タンク21”>
処理タンク21”は、配管11の経路上において、フィルタベント13から延設された接続配管11bと、ガス排出管11dとの間に配置されている。この処理タンク21”内には、発熱部材15aとヨウ素吸着部材17aとが混在した状態で収容されている。これにより発熱部材15aにおいて発生した反応熱が、処理ガスを加熱すると共に、ヨウ素吸着部材17aに供給される構成となっている。
【0069】
このような変形例4の構成であっても、発熱部材15aで発生した反応熱によって加熱された処理ガスの供給経路に、ヨウ素吸着部材17aが配置されることになるため、加熱された処理ガスがヨウ素吸着部材17aに供給されることになる。さらに、発熱部材15aにおいて発生した反応熱がヨウ素吸着部材17aに直接供給されるため、ヨウ素吸着部材17aの加熱効率の向上を図ることができる。
【0070】
なお、この変形例4の構成は、
図4を用いて説明した変形例3の構成と組み合わせてもよい。この場合、配管11を複数の分岐管11-1,11-2,11-3に分岐させ、それぞれの経路上に発熱部材15aとヨウ素吸着部材17aとが混在させて収容した処理タンク21”を配置する。これにより、さらに変形例3の効果を得ることができる。
【0071】
≪第2実施形態≫
図6は、第2実施形態に係るヨウ素除去装置2の構成図の例である。
図6に示すヨウ素除去装置2は、
図2を用いて説明した第1実施形態の変形例1の構成において、発熱部材15aおよびヨウ素吸着部材17aを収容した処理タンク21に、配管11の一部で構成された伝熱管23を敷設した構成である。
【0072】
<伝熱管23>
伝熱管23は、配管11における自動開閉弁11eとフィルタベント13との間の供給配管11a部分を用いて構成されている。この伝熱管23は、処理タンク21の内部および外部の少なくとも一方に敷設され、配管11に供給された処理ガスによって処理タンク21を内側または外側から加熱する構成となっている。
【0073】
図示した例において伝熱管23は、先ず上流側から処理タンク21内に導入されて発熱部材15aおよびヨウ素吸着部材17aの収容部に敷設される。そして、処理タンク21から導出された部分は、処理タンク21の外周に巻き付けられた状態で敷設され、その下流側が供給配管11aとしてフィルタベント13に接続された状態となっている。
【0074】
<第2実施形態の効果>
以上説明したように、第2実施形態のヨウ素除去装置2は、自動開閉弁11eとフィルタベント13との間の供給配管11aを伝熱管23として、処理タンク21に敷設した構成である。これにより、原子炉格納容器100bから放出された高温の処理ガスは、処理タンク21に敷設された伝熱管23を通過した後にフィルタベント13に供給されることになる。
【0075】
したがって、高温の処理ガスが流れる伝熱管23と処理タンク21との間の熱交換により、処理タンク21内の発熱部材15aおよびヨウ素吸着部材17aを予熱することができる。この結果、処理タンク21の上流側に設けられた発熱部材15aは、予熱によって反応性が高められ、効率的な反応によって反応熱を発生することが可能になる。また、処理タンク21の下流側に設けられたヨウ素吸着部材17aを、短時間で操作適正温度まで加熱することが可能になると共に、放射性ヨウ素の吸着効率を高めることが可能になる。
【0076】
またフィルタベント13には、先の熱交換によって低温化した処理ガスが供給されることになる。このため、フィルタベント13を通過した処理ガス中の水蒸気量が低く抑えられ、水蒸気濃度の低い処理ガスを予熱された処理タンク21に供給することができる。これによっても、ヨウ素吸着部材17aが収容された処理タンク21内においての結露の発生を防止する効果を得ることができる。
【0077】
なお、本第2実施形態の構成は、第1実施形態(
図1)および変形例2〜変形例4(
図3〜
図5)の構成と組み合わせることも可能であり、これらを組み合わせた効果を得ることができる。このうち
図1および
図3に示したように発熱タンク15とヨウ素吸着タンク17とが個別に設けられた構成と組み合わせる場合、少なくともヨウ素吸着タンク17に対して伝熱管23が敷設さる構成であればよい。さらに
図4に示したように複数の処理タンク21が設けられた構成と組み合わせる場合、少なくとも1つのタンクに対して伝熱管23が敷設される構成であってもよい。
【0078】
≪第3実施形態≫
図7は、第3実施形態に係るヨウ素除去装置3の構成図の例である。
図7に示すヨウ素除去装置3は、
図2を用いて説明した第1実施形態の変形例1の構成において、発熱部材15aおよびヨウ素吸着部材17aを収容した処理タンク21に、配管11の一部を分岐させた分岐伝熱管31を敷設した構成である。
【0079】
<分岐伝熱管31>
分岐伝熱管31は、配管11における自動開閉弁11eとフィルタベント13との間の何れかの位置において、供給配管11a部分から分岐し、供給配管11aと並列に設けられている。分岐伝熱管31における供給配管11aとの分岐部分には、ガス流量調整弁33が設けられ、供給配管11aからフィルタベント13に供給される処理ガスの流量と、分岐伝熱管31からフィルタベント13に供給される処理ガスの流量とが調整される。
【0080】
分岐伝熱管31内には、発熱部材15a’が収容されている。発熱部材15a’は、第1実施形態において説明した発熱部材15aの中から適宜に選択された構成のものを用いることができる。分岐伝熱管31内の発熱部材15a’は、処理タンク21内に収容される発熱部材15aと同様のものであってもよいし、異なるものであってもよい。
【0081】
このような分岐伝熱管31は、ガス流量調整弁33とフィルタベント13との間の部分において、処理タンク21の内部および外部の少なくとも一方に敷設され、分岐伝熱管31内に供給された処理ガスによって処理タンク21を内側または外側から加熱する構成となっている。
【0082】
図示した例において分岐伝熱管31は、先ず上流側から処理タンク21内に導入されて発熱部材15aおよびヨウ素吸着部材17aの収容部に敷設される。そして、処理タンク21から導出された部分は、処理タンク21の外周に巻き付けられた状態で敷設され、その下流側がフィルタベント13における薬液L2の貯留部に接続された状態となっている。
【0083】
<第3実施形態の効果>
以上説明したように、第3実施形態のヨウ素除去装置3は、原子炉格納容器100bに接続された供給配管11aから分岐させた分岐伝熱管31を、処理タンク21に敷設し、内部に発熱部材15a’を充填した構成である。これにより、原子炉格納容器100bから放出された高温の処理ガスの一部は分岐伝熱管31内に供給され、分岐伝熱管31内に充填された発熱部材15a’は処理ガス中の成分(水素)との反応によって反応熱を発生する。
【0084】
したがって、高温の処理ガスおよび反応熱を発生した発熱部材15a’が充填された分岐伝熱管31との間の熱交換により、処理タンク21内の発熱部材15aおよびヨウ素吸着部材17aを、効果的に予熱することができる。この結果、第2実施形態の構成と比較して、処理タンク21の上流側に設けられた発熱部材15aは、上記効果的な予熱によってさらに反応性が高められ、さらに効率的な発熱を得ることができる。そして、処理タンク21の下流側に設けられたヨウ素吸着部材17aを、さらに短時間で操作適正温度まで加熱することが可能になると共に、放射性ヨウ素の吸着効率をさらに高めることが可能になる。
【0085】
また特に、PWR(加圧水型)の原子力発電プラントでは、原子炉格納容器は窒素置換されておらず酸素雰囲気下である。このため、分岐伝熱管31内に充填する発熱部材15a’として、水素再結合触媒を用いることがこのましい。これにより、分岐伝熱管31の内部において酸素と水素との再結合反応によって効果的に反応熱を発生させることが可能となるため、ヨウ素吸着部材17aを加熱する効果が高い設計となる。
【0086】
なお、本第3実施形態の構成は、第1実施形態(
図1)および変形例2〜変形例4(
図3〜
図5)の構成と組み合わせることも可能であり、これらを組み合わせた効果を得ることができる。組み合わせる場合の分岐伝熱管31の敷設状態は、第2実施形態の構成と、第1実施形態(
図1)および変形例2〜変形例4(
図3〜
図5)何れかの構成とを組み合わせた場合においての伝熱管の敷設状態と同様である。
【0087】
≪第4実施形態≫
図8は、第4実施形態に係るヨウ素除去装置4の構成図の例である。
図8に示すヨウ素除去装置4は、
図2を用いて説明した第1実施形態の変形例1の構成において、発熱部材15aおよびヨウ素吸着部材17aを収容した処理タンク21に、配管11の一部である接続配管11bで構成された接続部伝熱管41を敷設した構成である。
【0088】
<接続部伝熱管41>
接続部伝熱管41は、配管11におけるフィルタベント13と処理タンク21との間の接続配管11b部分を用いて構成されている。この接続部伝熱管41内には、発熱部材15a’が収容されている。接続部伝熱管41内の発熱部材15a’は、第1実施形態において説明した発熱部材15aの中から適宜に選択された構成のものを用いることができる。接続部伝熱管41内の発熱部材15a’は、処理タンク21内に収容される発熱部材15aと同様のものであってもよいし、異なるものであってもよい。
【0089】
このような接続部伝熱管41は、処理タンク21の内部および外部の少なくとも一方に敷設され、接続部伝熱管41内に供給された処理ガスによって処理タンク21を内側または外側から加熱する構成となっている。
【0090】
図示した例において接続部伝熱管41は、フィルタベント13と処理タンク21との間において、処理タンク21の外周に巻き付けられた状態で敷設されている。なお、接続部伝熱管41は、このような敷設状態に限定されることはなく、処理タンク21内に導入されて発熱部材15aおよびヨウ素吸着部材17aの収容部に敷設されてもよく、処理タンク21の内部および外部に敷設されてもよい。
【0091】
<第4実施形態の効果>
以上説明したように、第4実施形態のヨウ素除去装置4は、フィルタベント13と処理タンク21との間の接続配管11bを、接続部伝熱管41として処理タンク21に敷設し、内部に発熱部材15a’を充填した構成である。これにより、フィルタベント13から放出された処理ガスは、接続部伝熱管41内に供給され、接続部伝熱管41内の発熱部材15a’が処理ガス中の成分(水素)との反応によって反応熱を発生する。
【0092】
したがって反応熱を発生した発熱部材15a’が充填された接続部伝熱管41との間の熱交換により、処理タンク21内の発熱部材15aおよびヨウ素吸着部材17aを、効果的に予熱することができる。この結果、処理タンク21の上流側に設けられた発熱部材15aは、上記効果的な予熱によって反応性が高められ、効率的な発熱を得ることができる。そして、処理タンク21の下流側に設けられたヨウ素吸着部材17aを、短時間で操作適正温度まで加熱することが可能になると共に、放射性ヨウ素の吸着効率を高めることが可能になる。
【0093】
なお、本第4実施形態の構成は、第1実施形態(
図1)および他の変形例2〜変形例4(
図3〜
図5)の構成と組み合わせることも可能であり、これらを組み合わせた効果を得ることができる。組み合わせる場合の接続部伝熱管41の敷設状態は、第2実施形態の構成と、第1実施形態(
図1)および変形例2〜変形例4(
図3〜
図5)何れかの構成とを組み合わせた場合においての伝熱管の敷設状態と同様である。
【0094】
なお、処理タンクに伝熱管を敷設する構成は、上述した第2実施形態〜第4実施形態の構成に限定されることはなく、例えば配管11の一部であるガス排出管11dを伝熱管として処理タンク21に敷設する構成であってもよい。ガス排出管11dで構成された伝熱管の内部には、発熱部材15a’を充填してもよい。このような構成であっても、ガス排出管11dで構成された伝熱管との間の熱交換により、処理タンク21内の発熱部材15aおよびヨウ素吸着部材17aを、効果的に保温することができ、同様の効果を得ることができる。
【0095】
≪第5実施形態≫
図9は、第5実施形態に係るヨウ素除去装置の構成図の例である。
図9に示すヨウ素除去装置5は、
図2を用いて説明した第1実施形態の変形例1の構成において、発熱部材15aおよびヨウ素吸着部材17aを収容した処理タンク21に、ガス循環伝熱管51を敷設した構成である。
【0096】
<ガス循環伝熱管51>
ガス循環伝熱管51は、先に
図1を用いて説明した原子炉格納容器100bとの間で処理ガスを循環させる構成であって、両端が原子炉格納容器100bに連通された状態で設けられている。ガス循環伝熱管51の一端側の経路上には、自動開閉弁53を介して送気ポンプ55が設けられている。この送気ポンプ55の作動によって、原子炉格納容器100b内の処理ガスは、ガス循環伝熱管51の一端側から導入されて他端側から再び原子炉格納容器100b内に戻される構成となっている。なお、送気ポンプ55の電源は、ここでの図示を省略した非常用直流電源を使用するものとする。
【0097】
このようなガス循環伝熱管51は、処理タンク21の内部および外部の少なくとも一方に敷設され、原子炉格納容器100bからガス循環伝熱管51内に循環供給される処理ガスによって処理タンク21を内側または外側から加熱する構成となっている。
【0098】
図示した例においてガス循環伝熱管51は、先ず自動開閉弁53を介して送気ポンプ55が設けられた一端側から処理タンク21内に導入され、発熱部材15aおよびヨウ素吸着部材17aの収容部に敷設される。そして、処理タンク21から導出された部分は、処理タンク21の外周に巻き付けられ、二股に分岐した2つのガス循環伝熱管51の端部が、それぞれ自動開閉弁57を介して原子炉格納容器100bに接続された状態となっている。
【0099】
ここで、ガス循環伝熱管51に設けた自動開閉弁53,57は、原子炉格納容器100bの内部が所定圧力にまで上昇した場合にガス循環伝熱管51を開く。この際の所定圧力は、自動開閉弁11eによって供給配管11a(配管11)が開かれる所定圧力よりも低いこととする。これにより、原子炉格納容器100bから配管11に処理ガスが供給される前に、ガス循環伝熱管51に処理ガスが供給される構成となっている。また、送気ポンプ55は、自動開閉弁53,57が開くと同時に作動して、処理ガスを循環させる。
【0100】
<第5実施形態の効果>
以上説明したように、第5実施形態のヨウ素除去装置5は、原子炉格納容器100bとの間で処理ガスを循環させるガス循環伝熱管51を処理タンク21に敷設した構成である。これにより、原子炉格納容器100bとの間で高温の処理ガスが循環供給されるガス循環伝熱管51との間の熱交換により、処理タンク21内の発熱部材15aおよびヨウ素吸着部材17aを、効果的に予熱することができる。この結果、処理タンク21の上流側に設けられた発熱部材15aは、上記効果的な予熱によって反応性が高められ、効率的な発熱を得ることができる。そして、処理タンク21の下流側に設けられたヨウ素吸着部材17aを、短時間で操作適正温度まで加熱することが可能になると共に、放射性ヨウ素の吸着効率を高めることが可能になる。
【0101】
なお、本第5実施形態の構成は、第1実施形態(
図1)および他の変形例2〜変形例4(
図3〜
図5)の構成と組み合わせることも可能であり、これらを組み合わせた効果を得ることができる。組み合わせる場合のガス循環伝熱管51の敷設状態は、第2実施形態の構成と、第1実施形態(
図1)および変形例2〜変形例4(
図3〜
図5)何れかの構成とを組み合わせた場合においての伝熱管の敷設状態と同様である。
【0102】
≪第6実施形態≫
図10は、第6実施形態に係るヨウ素除去装置6およびこれを用いた原子力プラント106の構成図の例である。
図10に示すヨウ素除去装置6は、
図9を用いて説明した第5実施形態の構成において、ガス循環伝熱管51に対して、給水配管61および循環排水管63を接続した構成である。
【0103】
<給水配管61>
給水配管61は、ガス循環伝熱管51における送気ポンプ55と自動開閉弁57との間における上流側に、バルブ61aを介して一端を接続させて設けられている。また給水配管61の他端は、二股に分岐している。二股に分岐した一方の他端は、バルブ61bを介して、原子炉格納容器100bの圧力抑制プールにおける冷却水L1の貯留部分に接続されている。二股に分岐した他方の他端は、バルブ61bを介して、非常用復水器Sにおける外部冷却水L3の貯留部に接続されている。なお、外部冷却水L3は、海水であってもよい。
【0104】
このような給水配管61には、ガス循環伝熱管51に冷却水L1および外部冷却水L3が供給されるように、給水ポンプ61cが設けられている。なお、給水ポンプ61cの電源は、ここでの図示を省略した非常用直流電源を使用するものとする。
【0105】
<循環排水管63>
循環排水管63は、ガス循環伝熱管51における送気ポンプ55と自動開閉弁57との間における下流側に、バルブ63aを介して一端が接続されている。また循環排水管63の他端は、二股に分岐している。二股に分岐した一方の他端は、バルブ63bを介して、原子炉格納容器100bに接続されている。二股に分岐した他方の他端は、バルブ63bを介して非常用復水器Sに接続されている。
【0106】
<第6実施形態の効果>
この様な構成の第6実施形態のヨウ素除去装置6は、処理タンク21に敷設したガス循環伝熱管51に対して、給水配管61および循環排水管63を接続させた構成である。これにより、ガス循環伝熱管51内に、原子炉格納容器100bの冷却水L1または非常用復水器Sにおける外部冷却水L3を循環させることができる。この場合、先ず、ガス循環伝熱管51の自動開閉弁53,57を閉じる共に、送気ポンプ55を停止する。その後、給水配管61のバルブ61a,61bおよび循環排水管63のバルブ63a,63bを開くと共に、給水配管61の給水ポンプ61cを作動させる。
【0107】
これにより、処理タンク21内に充填したヨウ素吸着部材17aの温度が、ヨウ素吸着の操作適正温度以上になった場合、給水配管61および循環排水管63を介してガス循環伝熱管51内に冷却水L1または外部冷却水L3が循環供給される。この際、圧力抑制プールの冷却水L1のみを循環供給したい場合であれば、給水配管61のバルブ61bおよび循環排水管63のバルブ63bのうち、原子炉格納容器100b側のバルブのみを開く。一方、非常用復水器Sの外部冷却水L3のみを循環供給したい場合であれば、給水配管61のバルブ61bおよび循環排水管63のバルブ63bのうち、非常用復水器S側のバルブのみを開く。
【0108】
そして、以上のようなガス循環伝熱管51内への冷却水L1または外部冷却水L3の循環供給により、ヨウ素吸着部材17aを操作適正温度にまで冷却することができる。
【0109】
なお、本発明は上記した実施形態および変形例に限定されるものではなく、さらに様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明をわかりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。