(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
地面に左右間隔を有して一直線に複数のパイプ支柱を立設し、前記各パイプ支柱の奥行き方向へ前後間隔を有して列状に複数のパイプ支柱を立設し、列状に設けた前記各パイプ支柱の上端部よりも下部位置を前後連結パイプで連結することにより構成した支柱列と、 前記支柱列における前記各パイプ支柱の上端部に左右間隔を跨いで両端が連結され、左右中間部がアーチ状に上方へ突出した後部湾曲パイプと、該後部湾曲パイプよりも手前の位置において、左右間隔を跨いで両端が前記前後連結パイプに連結され、左右中間部がアーチ状に上方へ突出した前部湾曲パイプと、
左右端部の前記支柱列におけるパイプ支柱の上端部の間に張設して前記後部湾曲パイプの形状を保持する後部張線と、左右端部の前記支柱列における前記前後連結パイプに前記前部湾曲パイプが連結された連結部の間に張設して前記前部湾曲パイプの形状を保持する前部張線と、
左端部の前記支柱列における前記パイプ支柱の上端部と、左端部の前記支柱列における前記前後連結パイプに対する前記前部張線の固定部を左側外部の地面に固定する外側アンカと、右端部の前記支柱列における前記パイプ支柱の上端部と、右端部の前記支柱列における前記前後連結パイプに対する前記前部張線の固定部を右側外部の地面に固定する外側アンカと、
を有する発電モジュール取付台を構成し、
前記発電モジュール取付台の前記後部湾曲パイプと前記前部湾曲パイプの上部に渡るように太陽光発電モジュールを固定したことを特徴とする太陽光発電設備。
前記パイプ支柱と前記前後連結パイプには、前記後部湾曲パイプ及び前記前部湾曲パイプの端部に嵌合して前記後部湾曲パイプ及び前記前部湾曲パイプを前記パイプ支柱及び前記前後連結パイプに連結するアーチジョイントを備えたことを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電設備。
前記各支柱列における前後の前記パイプ支柱は、前記後部湾曲パイプ及び前記前部湾曲パイプの上部に設けられる太陽光発電モジュールの前後の間が、平面視で太陽光発電モジュールの前後の幅に対して同等以上の採光間隔を有して太陽光を地面に導くことができる前後間隔で配置されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の太陽光発電設備。
【背景技術】
【0002】
近年、火力発電によって排出されるCO
2による地球温暖化防止対策の手段として、又、原子力発電によって生じる放射性廃棄物の処理の問題を解決する手段として、再生可能エネルギーの一つである太陽光発電が注目され、急速に拡大されつつある。
【0003】
しかし、太陽光発電は、設置面積に比して発電量が少ないことから、利用価値の高い都市近郊の土地に太陽光発電設備を設置することは経済的な面から難しい。このため、太陽光発電設備は、主に公共施設の建物の屋根、住宅の屋根、工場の屋根等に設置することが進められている。
【0004】
一方、畑等で生産する作物には太陽から照射される光を全て必要とはせず、その光量の一部であっても十分に生育するものがあり、現在でも太陽光を遮断した屋内において少ない光量により野菜等を育てることが行われている。このため、農地においても太陽光発電設備を設置して、作物を栽培しつつ太陽光発電を行うことは可能であったが、農地転用に関する制度等のために、農地での作物の栽培と太陽光発電を両立させることは行われていなかった。
【0005】
一方、近年、農林水産省より「パイプ支柱を立てて営農を継続する太陽光発電設備等についての農地転用許可制度上の取扱について」(24農振第2657号、平成25年3月31日)とする通知があり、この制度を利用することにより、農地での営農を継続するという条件を満たすことで農地に太陽光発電設備を設置することが可能になった。
【0006】
しかし、農地に太陽光発電設備を設置した場合には、太陽光発電設備による所定の発電量が得られるようにすると共に、作物の栽培に必要な光量が農地の地面に届くように工夫する必要がある。
【0007】
農地等に設置するようにした太陽光発電設備としては、特許文献1、2に示すものがある。特許文献1は、農地に設けた平面視で狭い幅に対して長さが長い細長の架台に、発電用セルやモジュールを敷き詰めて細長のアレイを構成している。このアレイは、夫々の幅に対して、アレイの長手方向と直交する方向へ大きい空間で配置している。
【0008】
又、特許文献2は、農地の上部に水平棚を設け、この水平棚に、南北に幅が狭く東西に長い棒状または翼状、板状の太陽光発電素子傾斜保持部材と太陽光発電モジュールとを一体にしたものを取り付けている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1においては、細長い架台に、発電用セルやモジュールを敷き詰めた複数のアレイが、アレイの幅に対して大きい空間を隔てて独立して設置されているため、各の強度を高めることが難しく、積雪による大きな重量の作用、或いは、風の吹き降ろしや吹き上げの負荷に耐えることが難しいという問題がある。
【0011】
又、特許文献2においては、水平棚が独特の形状を有しているために水平棚を新たに製作する必要があり、更に、多数の細長い太陽光発電モジュールを水平棚に支持するための特別な形状の太陽光発電素子傾斜保持部材を多数製作する必要があり、このために太陽光発電設備全体が非常に高価になるという問題がある。
【0012】
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、既存の材料を用いて安価に製作することができ、しかも高い強度が保持される太陽光発電設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、地面に左右間隔を有して一直線に複数のパイプ支柱を立設し、前記各パイプ支柱の奥行き方向へ前後間隔を有して列状に複数のパイプ支柱を立設し、列状に設けた前記各パイプ支柱の上端部よりも下部位置を前後連結パイプで連結することにより構成した支柱列と、
前記支柱列における前記各パイプ支柱の上端部に左右間隔を跨いで両端が連結され、左右中間部がアーチ状に上方へ突出した後部湾曲パイプと、該後部湾曲パイプよりも手前の位置において、左右間隔を跨いで両端が前記前後連結パイプに連結され、左右中間部がアーチ状に上方へ突出した前部湾曲パイプと、
左右端部の前記支柱列におけるパイプ支柱の上端部の間に張設して前記後部湾曲パイプの形状を保持する後部張線と、左右端部の前記支柱列における前記前後連結パイプに前記前部湾曲パイプが連結された連結部の間に張設して前記前部湾曲パイプの形状を保持する前部張線と、
左端部の前記支柱列における前記パイプ支柱の上端部と、左端部の前記支柱列における前記前後連結パイプに対する前記前部張線の固定部を左側外部の地面に固定する外側アンカと、右端部の前記支柱列における前記パイプ支柱の上端部と、右端部の前記支柱列における前記前後連結パイプに対する前記前部張線の固定部を右側外部の地面に固定する外側アンカと、
を有する発電モジュール取付台を構成し、
前記発電モジュール取付台の前記後部湾曲パイプと前記前部湾曲パイプの上部に渡るように太陽光発電モジュールを固定したことを特徴とする太陽光発電設備、に係るものである。
【0014】
上記太陽光発電設備において、前記パイプ支柱と前記前後連結パイプには、前記後部湾曲パイプ及び前記前部湾曲パイプの端部に嵌合して前記後部湾曲パイプ及び前記前部湾曲パイプを前記パイプ支柱及び前記前後連結パイプに連結するアーチジョイントを備えることが好ましい。
【0015】
又、上記太陽光発電設備において、前記支柱列の前記パイプ支柱に筋交パイプを備えることが好ましい。
【0016】
又、上記太陽光発電設備において、前記支柱列の前記パイプ支柱を地面に固定する内側アンカを備えることが好ましい。
【0017】
又、上記太陽光発電設備において、前記各支柱列における前後の前記パイプ支柱は、前記後部湾曲パイプ及び前記前部湾曲パイプの上部に設けられる太陽光発電モジュールの前後の間が、平面視で太陽光発電モジュールの前後の幅に対して同等以上の採光間隔を有して太陽光を地面に導くことができる前後間隔で配置されることが好ましい。
【0018】
又、上記太陽光発電設備において、前記前部湾曲パイプに、採光間隔からの太陽光を散乱させる光散乱材を吊り下げて設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、既存の材料を用いて安価に製作することができ、しかも高い強度が保持された太陽光発電設備を提供できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】(a)は農地に設けた本発明の太陽光発電設備の実施例を示す平面図、(b)は(a)をIB−IB方向から見た正面図、(c)は(b)をIC−IC方向から見た側面図である。
【
図2】後部湾曲パイプ及び後部湾曲パイプを連結するアーチジョイントの説明図である。
【
図3】
図1の太陽光発電設備の詳細を示す正面図である。
【
図4】(a)はパイプ支柱に後部張線を固定するフックバンドの正面図、(b)は(a)をIVB−IVB方向から見た平面図である。
【
図5】(a)は前後連結パイプに前部張線を固定するフックバンドの正面図、(b)は(a)をVB−VB方向から見た平面図である。
【
図6】太陽光発電モジュールの相互間に設けられる間隔保持部材の上面斜視図である。
【
図7】太陽光発電モジュールの端部に設けられる端部保持部材の上面斜視図である。
【
図8】(a)は
図6の間隔保持部材の正面図、(b)は(a)をVIIIB−VIIIB方向から見た平面図、(c)は(a)をVIIIC−VIIIC方向から見た側面図である。
【
図9】(a)は
図7の端部保持部材の正面図、(b)は(a)をIXB−IXB方向から見た平面図、(c)は(a)をIXC−IXC方向から見た側面図である。
【
図10】(a)は太陽光発電モジュールの位置ずれ防止部材の側面図、(b)は(a)をXB−XB方向から見た平面図である。
【
図11】
図1の実施例に更に別の特徴を備えた実施例を示す太陽光発電設備の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0022】
図1(a)は農地に設けた本発明の太陽光発電設備の実施例を示す平面図、
図1(b)は
図1(a)をIB−IB方向から見た正面図、
図1(c)は
図1(a)をIC−IC方向から見た側面図である。
【0023】
本発明の太陽光発電設備を設置する農地Nには、地面に対して左右間隔Kを保持するように一直線に複数のパイプ支柱1を立設する。更に、この各パイプ支柱1の奥行き方向へ前後間隔Lを有して複数のパイプ支柱1を列状に立設する。2は地面に立設するパイプ支柱1の埋め込み部である。前後方向に列状に配置した各パイプ支柱1の上端部1aよりも下部位置には前後連結パイプ3を配置し、この前後連結パイプ3を市販の直交クランプ(図示せず)を用いてパイプ支柱1に連結することにより複数の支柱列4を構成する。
【0024】
各支柱列4における左右に隣接したパイプ支柱1の上端部1aには、左右間隔Kを跨ぐように配置した後部湾曲パイプ5の両端部を連結する。この後部湾曲パイプ5は、左右中間部がアーチ状に上方へ突出した湾曲形状を有している。
【0025】
前後連結パイプ3における後部湾曲パイプ5が連結されたパイプ支柱1よりも手前の位置には、左右間隔Kを跨ぐように配置した前部湾曲パイプ6の両端部を連結する。この前部湾曲パイプ6は、左右中間部がアーチ状に上方へ突出した湾曲形状を有している。
【0026】
前記各支柱列4における最も手前のパイプ支柱1の更に手前の位置には、追加支柱1'が立設してあり、この追加支柱1'の上端に前後連結パイプ3の前端が連結され、更に、前後連結パイプ3の前端に、前部湾曲パイプ6の両端部が連結される。
【0027】
後部湾曲パイプ5は、
図2に示すように、パイプ支柱1の上端部1aに対してクランプ具7により固定されたアーチジョイント8によってパイプ支柱1に連結されており、前部湾曲パイプ6は、
図2に示すように、前後連結パイプ3にクランプ具7により固定されたアーチジョイント9によって前後連結パイプ3に連結されている。アーチジョイント8,9はクランプ具7を溶接により一体化した構成を有する。
【0028】
アーチジョイント8,9は、左右方向へ上向きに傾斜して延長された支持アーム10を有しており、この支持アーム10に後部湾曲パイプ5及び前部湾曲パイプ6の端部5',6'を嵌合することにより、後部湾曲パイプ5をパイプ支柱1に連結し、前部湾曲パイプ6を前後連結パイプ3に連結することができる。
【0029】
図1(a)、(b)及び
図3に示すように、左端部の支柱列4のパイプ支柱1の上端部1aと右端部の支柱列4のパイプ支柱1の上端部1aの間には、フックバンド(
図4(a)のフックバンド14aを参照)によってパイプ支柱1に固定したターンバックル11により緊張した後部張線12を張設している。この後部張線12により後部湾曲パイプ5は湾曲形状が保持されるようになっている。
【0030】
又、左端部の支柱列4における前後連結パイプ3に前部湾曲パイプ6を連結した連結部と、右端部の支柱列4における前後連結パイプ3に前部湾曲パイプ6を連結した連結部との間にはターンバックル11により緊張した前部張線13を張設している。この前部張線13により前部湾曲パイプ6は湾曲形状が保持されるようになっている。
【0031】
左端部の支柱列4のパイプ支柱1と右端部の支柱列4のパイプ支柱1を除く左右方向中間のパイプ支柱1の上端部1aと前後連結パイプ3には、後部張線12及び前部張線13を固定するフックバンド14a,14bが設けられている。
【0032】
図4は、パイプ支柱1に後部張線12を固定するフックバンド14aを示しており、固定ねじ15で鉛直のパイプ支柱1に固定したフックバンド14aの前面には、手前に張り出して上方へ曲げられたフック16が形成してあり、このフック16に後部張線12を嵌合させた後、フック16を叩いてフックバンド14a側へ変形させることにより後部張線12をパイプ支柱1に固定している。更に、後部張線12とパイプ支柱1にステンレス線等の補強ワイヤ17を巻き付けて固定しており、これにより、左右のパイプ支柱1は相互に固定される。
【0033】
図5は、前後連結パイプ3に前部張線13を連結固定するフックバンド14bを示しており、固定ねじ15で水平の前後連結パイプ3に固定したフックバンド14bの上面には、上方に張り出して手前へ曲げられたフック16が形成してあり、このフック16に前部張線13を嵌合させた後、フック16を叩いてフックバンド14b側へ変形させることにより前部張線13を前後連結パイプ3に固定している。更に、前部張線13と前後連結パイプ3にステンレス線等の補強ワイヤ17を巻き付けて固定しており、これにより、左右の前後連結パイプ3は相互に固定される。
【0034】
図1(c)に示すように、各支柱列4における最も手前側の追加支柱1'と最も奥側のパイプ支柱1には、各支柱列4の内側へ傾斜した筋交パイプ18を設けている。更に、各支柱列4の夫々のパイプ支柱1の前後には下方へ緊張させて地面に固定する内側アンカ19を設けている。各支柱列4は、地面に立設されたパイプ支柱1と筋交パイプ18と内側アンカ19によって、前後方向に高い強度を有している。
【0035】
図1(a)、(b)及び
図3に示すように、左端部の支柱列4におけるパイプ支柱1の上端部1aに対する後部張線12の固定部と、左端部の支柱列4における前後連結パイプ3に対する前部張線13の固定部には、左側外部の地面に緊張して固定するようにした外側アンカ20を設ける。又、右端部の支柱列4におけるパイプ支柱1の上端部1aに対する後部張線12の固定部と、右端部の支柱列4における前後連結パイプ3に対する前部張線13の固定部には、右側外部の地面に緊張して固定するようにした外側アンカ20を設ける。
【0036】
上記したように、支柱列4と、左右の支柱列4の上部に左右間隔Kを跨いで連結する後部湾曲パイプ5及び前部湾曲パイプ6と、後部湾曲パイプ5及び前部湾曲パイプ6の湾曲を保持するように張設した後部張線12及び前部張線13と、後部張線12及び前部張線13の張力を保持するように左右外側の地面に設けた外側アンカ20とにより、発電モジュール取付台21が構成される。このように、左右の支柱列4を連結する後部湾曲パイプ5及び前部湾曲パイプ6と、後部湾曲パイプ5及び前部湾曲パイプ6の湾曲を保持するように張設した後部張線12及び前部張線13と、後部張線12及び前部張線13の張力を保持するように左右外側の地面に設けた外側アンカ20とを有する発電モジュール取付台21は、左右方向の高い強度を保持することができる。
【0037】
図1、
図3に示すように、発電モジュール取付台21を構成する後部湾曲パイプ5と前部湾曲パイプ6の上部に渡るように太陽光発電モジュール22が固定される。この時、後部湾曲パイプ5と前部湾曲パイプ6は高さが異なっているため、太陽光発電モジュール22は手前に向かって低くなるように傾斜して固定される。
図3ではこの太陽光発電モジュール22が後部湾曲パイプ5及び前部湾曲パイプ6の長手方向(左右方向)へ複数固定されている。このように、発電モジュール取付台21に太陽光発電モジュール22を設置することにより、太陽光発電設備が構成される。
【0038】
前記太陽光発電モジュール22は、
図6、
図7に示すように、太陽光を電気エネルギー(電力)に変換する太陽光発電用セル23と、太陽光発電用セル23を支持するフレーム24と、ガラス及びバックシート等(省略)を備えた矩形の形状を有している。
【0039】
後部湾曲パイプ5及び前部湾曲パイプ6の上部に設置する太陽光発電モジュール22は左右の隣接した相互間に、
図6及び
図8に示す間隔保持部材25を設けている。この間隔保持部材25は、コの字形の両端部に外側へ曲げた爪部26を形成し、コの字形の底部27にねじ孔28を形成した保持金具29と、後部湾曲パイプ5及び前部湾曲パイプ6に嵌合するU字形の両端部にフランジ部30を形成し、該フランジ部30に固定孔31を形成した留め金具32とにより構成されている。爪部26が太陽光発電モジュール22のフレーム24の上面に掛かるように保持金具29をフレーム24間に配置し、後部湾曲パイプ5及び前部湾曲パイプ6に嵌合させた留め金具32の固定孔31に前記保持金具29のねじ孔28を一致させて、固定孔31とねじ孔28に固定ねじ33を通して締め付ける。これにより、隣接した太陽光発電モジュール22は後部湾曲パイプ5及び前部湾曲パイプ6に対して所要の間隔を保持して支持される。
【0040】
又、後部湾曲パイプ5及び前部湾曲パイプ6に沿って設けられた端部の太陽光発電モジュール22のアーチジョイント8,9の側には、
図7、
図9に示す端部保持部材34を設けている。この端部保持部材34は、一端に爪部35が形成され、他端にねじ孔36が形成された底部37を有するZ字形に曲げられた固定金具38と、
図8と同一の形状を有する留め金具32とにより構成されている。爪部35が端部の太陽光発電モジュール22のフレーム24の上面に掛かるように固定金具38を配置し、後部湾曲パイプ5及び前部湾曲パイプ6に嵌合させた留め金具32の固定孔31に前記固定金具38のねじ孔36を一致させて、固定孔31とねじ孔36に固定ねじ33を通して締め付ける。これにより、左右方向端部に配置された太陽光発電モジュール22は後部湾曲パイプ5及び前部湾曲パイプ6に対して支持される。
【0041】
更に、
図10に示すように、傾斜して支持される太陽光発電モジュール22と間隔保持部材25との間には、太陽光発電モジュール22の位置ずれを防止するための位置ずれ防止部材39を設ける。
図10の位置ずれ防止部材39は、太陽光発電モジュール22のフレーム24の側面24aにおける間隔保持部材25の上端に対応する位置に、隣接する太陽光発電モジュール22の相互間へ突出するようにした位置決めねじ40を設けている。前記太陽光発電モジュール22は、
図10(a)に示すように、フレーム24に支持した太陽光発電用セル23の下側が解放された空間となっているので、この空間部分に位置決めねじ40を設けることができる。傾斜した間隔保持部材25の上端に位置するように太陽光発電モジュール22のフレーム24に位置決めねじ40を設けたので、位置決めねじ40が間隔保持部材25に当接することで、太陽光発電モジュール22が下方へ位置ずれすることは防止される。
【0042】
図10に示したように、間隔保持部材25の上端に対応するように太陽光発電モジュール22のフレーム24に位置決めねじ40を設けることに加えて、間隔保持部材25の下端に対応するように太陽光発電モジュール22のフレーム24に位置決めねじ40を設けてもよい。又、上記したように太陽光発電モジュール22と間隔保持部材25との間に設けた位置ずれ防止部材39は、
図7、
図9に示す太陽光発電モジュール22と端部保持部材34との間にも同様に設けることができる。
【0043】
太陽光発電モジュール22は、
図11に示すように、太陽に向かうよう地面に対して例えば20°〜60°の角度αで設けることができる。この時、各支柱列4の前後方向に設けられるパイプ支柱1の前後間隔Lは、後部湾曲パイプ5及び前部湾曲パイプ6の上部に設けられて前後に配置される太陽光発電モジュール22の間を通して太陽光の一部が地面に導かれる採光間隔Yを形成するように配置される。即ち、
図11において、平面視で太陽光発電モジュール22の前後の幅Xに対して、採光間隔Yが同等以上の間隔になるようにパイプ支柱1を前後間隔Lで配置する。すると、採光間隔Yを通って太陽光の一部が地面に導かれるようになる。ここで、採光間隔Yを通って太陽光が地面を照射する位置は、時間及び季節によって変化するため、太陽光発電設備が設置された全ての地面に対して太陽光を届かせることができる。
【0044】
図11、
図12は、
図1の実施例に更に別の特徴を備えた実施例を示している。
図11、
図12の実施例では、前部湾曲パイプ6に、採光間隔Yからの太陽光Rを散乱させるようにした光散乱材41を吊り下げて設けている。この光散乱材41には、光反射性のテープ等を用いることができ、前部湾曲パイプ6の長手方向に所要の間隔で取り付ける。上記した光散乱材41を備えると、採光間隔Yからの太陽光Rを散乱させることができるため、太陽光発電モジュール22によって地面の影となっている部分Dにも太陽光の一部が届くようになる。
【0046】
図1に示すように、前後に立設した各パイプ支柱1の上端部1aよりも下部位置を前後連結パイプ3で連結した支柱列4を、左右方向に左右間隔Kを有して複数構成する。各支柱列4における最も手前側の追加支柱1'と最も奥側のパイプ支柱1には、各支柱列4の内側へ傾斜した筋交パイプ18を設け、更に、各支柱列4のパイプ支柱1の前後には下方へ緊張させて地面に固定した内側アンカ19を設ける。支柱列4は、地面に立設されたパイプ支柱1と筋交パイプ18と内側アンカ19によって、前後方向に高い強度を保持することができる。
【0047】
更に、左右の支柱列4のパイプ支柱1の上端部1aに左右間隔Kを跨いで連結した後部湾曲パイプ5と、前後連結パイプ3における後部湾曲パイプ5が連結されたパイプ支柱1よりも手前の位置において、左右間隔Kを跨いで連結した前部湾曲パイプ6と、後部湾曲パイプ5及び前部湾曲パイプ6の湾曲形状を保持するように左右端部の支柱列4間に張設した後部張線12及び前部張線13と、後部張線12及び前部張線13の張力を保持するように左右端部の支柱列4を左右外側の地面に固定する外側アンカ20とにより、発電モジュール取付台21を構成する。
【0048】
上記した発電モジュール取付台21は、パイプと、張線と、アンカ等の既存の簡略な構成部材の組み合わせによって組み立てることができ、しかも前後・左右方向に対して高い強度を保持することができる。
【0049】
ここで、パイプ支柱1と前後連結パイプ3に、後部湾曲パイプ5及び前部湾曲パイプ6の端部5',6'に嵌合して後部湾曲パイプ5及び前部湾曲パイプ6をパイプ支柱1及び前後連結パイプ3に連結するためのアーチジョイント8,9を備えることにより、パイプ支柱1及び前後連結パイプ3に対して後部湾曲パイプ5及び前部湾曲パイプ6を連結する操作を容易に行うことができる。
【0050】
そして、
図1、
図3に示すように構成された発電モジュール取付台21の後部湾曲パイプ5と前部湾曲パイプ6の上部に太陽光発電モジュール22を配置し、
図6、
図8に示す間隔保持部材25、
図7、
図9に示す端部保持部材34、及び
図10に示す位置ずれ防止部材39により、太陽光発電モジュール22を後部湾曲パイプ5と前部湾曲パイプ6に固定する。これにより、太陽光発電設備が構成される。
【0051】
上記太陽光発電設備では、
図11に示すように、前後に配置される太陽光発電モジュール22の間を通して太陽光Rの一部が地面に導かれる採光間隔Yが形成される。従って、太陽光Rの一部が採光間隔Yを通って地面に導かれるようになり、更に、採光間隔を通って太陽光Rが地面を照射する位置は、時間及び季節によって変化することから、太陽光発電設備が設置された全ての地面に対して太陽光Rを届かせることができる。
【0052】
従って、上記太陽光発電設備によれば、農地での作物の栽培と発電を両立させることができる。
【0053】
又、
図11、
図12に示すように、前部湾曲パイプ6に対して、採光間隔Yからの太陽光Rを散乱させるようにした光散乱材41を吊り下げて設けると、採光間隔Yからの太陽光Rが散乱し、太陽光発電モジュール22によって地面の影となっている部分Dにも太陽光Rの一部が届くようになる。従って、地面に届く太陽光Rを平均化させることにより、作物の栽培をより向上させることができる。
【0054】
尚、本発明の太陽光発電設備は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。