(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
作動媒体が循環する循環経路上に設けられ、該循環経路上に設けられた蒸発器で外部から供給される熱源により蒸気にされた該作動媒体で回転されるインペラと、該インペラと一体回転するシャフトと、該シャフトの回転により発電する発電機と、該シャフトを回転自在に支持する軸受と、該循環経路の一部を構成するとともに該インペラ、該シャフト、該発電機および該軸受が収容されるケーシングと、グリス供給装置から該軸受にグリスを供給するためのグリス供給路とを備える廃熱発電装置で実行されるグリス供給方法であって、
前記廃熱発電装置の作動前であって、前記循環経路に前記作動媒体を封入する前に、前記グリス供給路にグリスを充填するステップと、
前記循環経路または前記ケーシングに連通された真空ポンプにより、該循環経路を真空引きするステップと、
前記真空引き後に、前記循環経路に前記作動媒体を注入するステップと、
前記作動媒体の注入後に、前記真空引きにより前記グリス供給路に発生するとされる空隙を少なくとも含む容量だけ該グリス供給路に前記グリスを供給するステップと、
前記廃熱発電装置の作動中に、前記グリス供給装置から前記グリス供給路を介して前記軸受に、所定間隔毎に前記グリスを一定量ずつ供給するステップと、
を有するグリス供給方法。
作動媒体が循環する循環経路上に設けられ、該循環経路上に設けられた蒸発器で外部から供給される熱源により蒸気にされた該作動媒体で回転されるインペラと、該インペラと一体回転するシャフトと、該シャフトの回転により発電する発電機と、該シャフトを回転自在に支持する軸受と、該循環経路の一部を構成するとともに該インペラ、該シャフト、該発電機および該軸受が収容されるケーシングと、グリス供給装置から該軸受にグリスを供給するためのグリス供給路と、該グリス供給路を開閉するバルブとを備える廃熱発電装置で実行されるグリス供給方法であって、
前記廃熱発電装置の作動前であって、前記循環経路に前記作動媒体を封入する前に、前記バルブを閉じるステップと、
前記循環経路または前記ケーシングに接続された真空ポンプにより、該循環経路を真空引きするステップと、
前記真空引き後に、前記循環経路に前記作動媒体を注入するステップと、
前記作動媒体の注入後に前記バルブを開くステップと、
前記グリス供給路のうちの少なくとも前記バルブから前記軸受側の先端までの間の容積分だけ、該グリス供給路に前記グリスを供給するステップと、
前記廃熱発電装置の作動中に、前記グリス供給装置から前記グリス供給路を介して前記軸受に、所定間隔毎に前記グリスを一定量ずつ供給するステップと、
を有するグリス供給方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、蒸気の廃熱発電装置では、作動媒体が循環する循環経路に作動媒体を封入する際、循環経路内の空気を取り除くため真空ポンプにより真空引きが行われる。このとき、グリス供給路にグリスが充填されていると、グリスがケーシング内に引き込まれ、グリス供給路に空隙が発生してしまう。グリス供給路に空隙が発生すると、廃熱発電装置の作動中に、軸受にグリスが適切に供給されないおそれがある。
【0006】
そこで本発明は、このような課題に鑑み、軸受にグリスを適切に供給することが可能なグリス供給方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のグリス供給方法は、廃熱発電装置の作動媒体の循環経路を真空引きするステップと、真空引きされた循環経路に作動媒体を注入するステップと、循環経路が真空引きされた後に、廃熱発電装置が含む軸受に接続されたグリス供給路にグリスを供給するステップと、グリスを供給するステップの後、廃熱発電装置の作動を開始するステップとを有する。本発明では、真空引き後にグリス供給路にグリスが供給され、そのグリスの供給の後に廃熱発電装置の作動を開始するため、グリス供給路にグリスの空隙が発生しても当該空隙は真空引き後に供給されたグリスで充填されるか、あるいは空隙が発生しないようにグリス供給路にグリスが供給される。
【0008】
また、循環経路に作動媒体を注入するステップより前に、グリス供給路にグリスを充填するステップをさらに有し、グリスを供給するステップでは、真空引きによりグリス供給路に発生するとされる空隙を少なくとも含む量だけグリス供給路にグリスを供給するようにしてもよい。
【0009】
また、循環経路に作動媒体を注入するステップより前においては、グリス供給路にはグリスが充填されておらず、グリスを供給するステップでは、グリス供給路が充填される量のグリスをグリス供給路に供給するようにしてもよい。
【0010】
また、グリス供給路は第1のグリス供給路と、第1のグリス供給路とは別であって第1のグリス供給路より複雑な構造を有する第2のグリス供給路を含み、第1のグリス供給路に対しては、循環経路に作動媒体を注入するステップより前に、第1のグリス供給路にグリスを充填しておき、グリスを供給するステップでは、真空引きにより第1のグリス供給路に発生するとされる空隙を少なくとも含む量のグリスを第1のグリス供給路に供給し、第2のグリス供給路に対しては、循環経路に作動媒体を注入するステップより前においては、第2のグリス供給路にはグリスが充填せず、グリスを供給するステップでは、グリス供給路が充填される量のグリスをグリス供給路に供給する。
【0011】
また、本発明のグリス供給方法は、作動媒体が循環する循環経路上に設けられ、循環経路上に設けられた蒸発器で外部から供給される熱源により蒸気にされた作動媒体で回転されるインペラと、インペラと一体回転するシャフトと、シャフトの回転により発電する発電機と、シャフトを回転自在に支持する軸受と、循環経路の一部を構成するとともにインペラ、シャフト、発電機および軸受が収容されるケーシングと、グリス供給装置から軸受にグリスを供給するためのグリス供給路とを備える廃熱発電装置で実行されるグリス供給方法であって、廃熱発電装置の作動前であって、循環経路に作動媒体を封入する前に、グリス供給路にグリスを充填するステップと、循環経路またはケーシングに連通された真空ポンプにより、循環経路を真空引きするステップと、真空引き後に、循環経路に作動媒体を注入するステップと、作動媒体の注入後に、真空引きによりグリス供給路に発生するとされる空隙を少なくとも含む容量だけグリス供給路にグリスを供給するステップと、廃熱発電装置の作動中に、グリス供給装置からグリス供給路を介して軸受に、所定間隔毎にグリスを一定量ずつ供給するステップと、を有する。
【0012】
また、本発明のグリス供給方法は、作動媒体が循環する循環経路上に設けられ、循環経路上に設けられた蒸発器で外部から供給される熱源により蒸気にされた作動媒体で回転されるインペラと、インペラと一体回転するシャフトと、シャフトの回転により発電する発電機と、シャフトを回転自在に支持する軸受と、循環経路の一部を構成するとともにインペラ、シャフト、発電機および軸受が収容されるケーシングと、グリス供給装置から軸受にグリスを供給するためのグリス供給路と、グリス供給路を開閉するバルブとを備える廃熱発電装置で実行されるグリス供給方法であって、廃熱発電装置の作動前であって、循環経路に作動媒体を封入する前に、バルブを閉じるステップと、循環経路またはケーシングに接続された真空ポンプにより、循環経路を真空引きするステップと、真空引き後に、循環経路に作動媒体を注入するステップと、作動媒体の注入後にバルブを開くステップと、グリス供給路のうちの少なくともバルブから軸受側の先端までの間の容積分だけ、グリス供給路にグリスを供給するステップと、廃熱発電装置の作動中に、グリス供給装置からグリス供給路を介して軸受に、所定間隔毎にグリスを一定量ずつ供給するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、軸受にグリスを適切に供給することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0016】
図1は、廃熱発電装置100の全体構成を示す概略図である。
図1に示すように、廃熱発電装置100は、蒸発器102、タービン発電機104、凝縮器106、ポンプ108、グリス供給装置110、流路112(112a〜112d)を含んで構成される。廃熱発電装置100は、ランキンサイクルを利用し、工場や焼却施設等から放出される約300℃以下の温水(低温廃熱)を用いて発電を行う。
【0017】
廃熱発電装置100では、蒸発器102、タービン発電機104、凝縮器106、ポンプ108が流路112を介して連通されている。具体的には、蒸発器102とタービン発電機104とが流路112aを介して連通され、タービン発電機104と凝縮器106とが流路112bを介して連通され、凝縮器106とポンプ108とが流路112cを介して連通され、ポンプ108と蒸発器102とが流路112dを介して連通されている。そして、廃熱発電装置100では、流路112を介して、蒸発器102、タービン発電機104、凝縮器106およびポンプ108の順に作動媒体が循環する。
【0018】
ここで、廃熱発電装置100で用いられる作動媒体は、沸点(大気圧条件下における沸点)が90℃以下の媒体を用い、かつ、詳しくは後述する循環経路の圧力が最大で1MPa(G)(ゲージ圧で1MPa)以下であることが望ましい。例えば、作動媒体は、ハイドロフルオロエーテル(HFE)、フルオロカーボン、フルオロケトン、パーフルオロポリエーテル等を適応することができる。
【0019】
蒸発器102は、熱源流路120が内部に配されており、工場等の外部から放出される温水(低温廃熱)が熱源流路120に流入(供給)される。そして、蒸発器102では、熱源流路120を流れる温水により作動媒体(凝縮液)が蒸発する。蒸発した作動媒体(蒸気)は、流路112aに排出され、流路112aを介してタービン発電機104に導入される。
【0020】
タービン発電機104は、蒸発器102で蒸発し、流路112aを介して導入された作動媒体(蒸気)によりインペラ130が回転され、インペラ130にシャフト132を介して接続された発電機134により発電を行う。インペラ130を回転させた作動媒体(蒸気)は、流路112bに排出され、流路112bを介して凝縮器106に導入される。なお、タービン発電機104の詳細な構成については後述する。
【0021】
凝縮器106は、冷却水が流入される冷水源流路122が内部に配されており、流路112bを介して導入された作動媒体(蒸気)を、冷水源流路122を流れる冷水により冷却して凝縮させる。凝縮器106で凝縮した作動媒体(凝縮液)は、流路112cに排出され、流路112cを介してポンプ108に導入される。
【0022】
ポンプ108は、凝縮器106で凝縮し、流路112cを介して導入された作動媒体(凝縮液)を加圧し、流路112dを介して蒸発器102に向けて送出する。
【0023】
グリス供給装置110は、タービン発電機104に設けられている軸受136、138にグリスを供給する。
【0024】
このように、廃熱発電装置100では、ポンプ108によって作動媒体が蒸発器102に送出され、蒸発器102に導入される温水(低温廃熱)の廃熱エネルギーによって作動媒体(凝縮液)が沸騰蒸発する。蒸発器102で蒸発した作動媒体(蒸気)は、タービン発電機104に供給されてタービン発電機104のインペラ130を回転駆動し、タービン発電機104の発電機134で発電が行われる。タービン発電機104を介した作動媒体(蒸気)は、凝縮器106で冷却水によって冷却されることにより凝縮する。凝縮器106によって凝縮された作動媒体(凝縮液)は、ポンプ108によって加圧されて再び蒸発器102に向けて送出される。このように、廃熱発電装置100では、作動媒体の蒸発および凝縮が繰り返され、ランキンサイクルにより、低温廃熱の廃熱エネルギーを用いた発電が行われる。
【0025】
図2は、タービン発電機104およびグリス供給装置110の構成を示す説明図である。なお、
図2では、タービン発電機104およびグリス供給装置110を側断面図で図示している。
【0026】
図2に示すように、タービン発電機104は、インペラ130、シャフト132、発電機134、軸受136、138、ケーシング140、コネクタ142、予圧バネ144を含んで構成される。インペラ130は、蒸発器102で蒸発した作動媒体(蒸気)により回転駆動される回転翼である。具体的には、インペラ130は、径方向外側から供給される作動媒体(蒸気)により回転駆動され、回転軸方向の一方側から膨張した作動媒体(蒸気)を排出する。
【0027】
シャフト132は、インペラ130の回転軸方向に延在して設けられており、一端部にはインペラ130がネジ止め等で固定されており、インペラ130と一体回転する。
【0028】
発電機134は、シャフト132の外周面に沿って配列された複数の永久磁石を有してシャフト132に固定されたロータ134aと、ロータ134aの外周面に対向するように配列された複数のコイルを有してケーシング140に固定されたステータ134bとにより構成される。発電機134は、インペラ130の回転駆動力によりロータ134aが回転され、ロータ134aとステータ134bとの回転方向の相対的な位置が変化することで発電が行われる。
【0029】
軸受136、138は、ケーシング140内に設置されており、シャフト132を回転自在に支持する。軸受136、138は、転がり軸受であり、例えば、アンギュラ玉軸受が適応される。なお、軸受136、138は、アンギュラ玉軸受に限らず、深溝玉軸受、円錐ころ軸受等のラジアル荷重およびスラスト荷重が支持できる軸受を適応してもよい。
【0030】
軸受136は、インペラ130が固定されたシャフト132の一端部側を支持しており、軸受138は、シャフト132の他端部側を支持している。軸受136、138には、グリス供給装置110から、円滑な回転を維持するためのグリスがそれぞれ供給される。
【0031】
ケーシング140は、インペラ130、シャフト132、発電機134、軸受136、138を収容する。ケーシング140は、スクロールケーシング150、ケーシング本体152、軸受支持部154、156を含んで構成される。
【0032】
スクロールケーシング150は、吸入口150a、スクロール室150b、ノズル150cおよび排出口150dが形成されており、インペラ130の一方側を囲むように設けられる。吸入口150aは、流路112aに連通され、蒸発器102で蒸発しインペラ130を回転駆動する作動媒体(蒸気)が導入される。スクロール室150bは、インペラ130を囲んで環状に形成されており、一端が吸入口150aに連通され、他端がノズル150cに連通される。ノズル150cは、インペラ130を囲んで環状に形成されており、スクロール室150bを介して作動媒体(蒸気)が導入される。排出口150dは、流路112cに連通され、インペラ130を回転駆動した後の膨張した作動媒体(蒸気)が流路112cに排出される。
【0033】
ケーシング本体152には、略円筒形状に形成され、発電機134およびシャフト132が収容されている。また、ケーシング本体152には、タービン発電機104で発電された電力を外部に取り出すためのコネクタ142が形成されている。タービン発電機104の外部からコネクタ142にケーブル(図示せず)が接続されることにより、発電機134で発電された電力がケーブルを介して外部に取り出される。なお、コネクタ142と発電機134のステータ134bに設けられたコイルとは、所定の配線によって電気的に接続されている。
【0034】
軸受支持部154は、一側面にスクロールケーシング150が締結ボルト等を用いて着脱自在に取り付けられ、他側面にケーシング本体152が締結ボルト等を用いて着脱自在に取り付けられる。軸受支持部154の中央部には、軸受136が設置されており、シャフト132は、軸受支持部154を貫通した状態で軸受136に回転自在に支持されている。
【0035】
軸受支持部156は、有底の円筒状に形成され、ケーシング本体152の軸受支持部154が取り付けられる側とは反対側に、円筒部156aがケーシング本体152内に配設されるように、その底部156bが締結ボルト等を用いて着脱自在に取り付けられる。軸受支持部156の円筒部156a内における空間の開口部には、軸受138が配置されており、シャフト132は、その一部が空間に介挿された状態で軸受138に回転自在に支持されている。
【0036】
軸受支持部156の空間内には、軸受138を軸受136側に向かって付勢する予圧バネ144が設けられている。なお、軸受138はシャフト132を介して軸受136と連結されているため、予圧バネ144の付勢力は軸受138だけでなく軸受136にも伝わり、軸受136、138の双方に対して回転軸方向の付勢力が加えられる。上記したように、軸受136、138はアンギュラ玉軸受であることから、回転軸方向に適切な付勢力が加えられることで、転動体(玉)が適切な位置に保持され、回転に伴う振動や騒音等が低減される。
【0037】
ここで、軸受支持部154、156には、円滑な回転を可能にするグリスを軸受136、138に供給するグリス流路160、162がそれぞれ形成されている。グリス流路160は、一端が軸受支持部154の中央部に配置された軸受136の上方に配設され、他端が軸受支持部154の外周上に設けられたグリス供給口164に連通するようにL字形に形成されている。グリス流路162は、一端が軸受支持部156の円筒部156a内に配置された軸受138の外周近傍に配設され、他端が軸受支持部156の底部156bに設けられたグリス供給口166に連通するように形成されている。
【0038】
図3は、
図2のIII−III線断面を示した図である。
図3に示すように、軸受支持部156には、軸受138を囲むように環状流路168が形成されている。グリス流路162は、一端が環状流路168に連通し、他端がグリス供給口166に連通している。これにより、グリス供給口166からグリス流路162を介して供給されたグリスが、環状流路168を介して軸受138の径方向外側の全周に亘って供給される。
【0039】
また、軸受138の外輪には、径方向に向けて貫通する複数の貫通孔138aが形成されている。よって、環状流路168内のグリスが、複数の貫通孔138aを介して軸受138の内部に供給され、転動体(玉)の円滑な転動を維持することが可能となる。
【0040】
図2に戻って説明すると、グリス供給装置110は、ケーシング140の外部に設置され、軸受136、138にグリスを供給する。このグリス供給装置110の内部には、一対のシリンジ170、ピストン172、コンロッド174、駆動装置176が設けられている。
【0041】
一対のシリンジ170には、それぞれ第1供給管180および第2供給管182が接続されている。第1供給管180は、一方のシリンジ170と軸受支持部154のグリス供給口164とが連結されている。また、第2供給管182は、他方のシリンジ170と軸受支持部156のグリス供給口166とが連結されている。
【0042】
また、第1供給管180のシリンジ170側の一端部にはバルブ184が設けられ、バルブ184が開閉されることにより、第1供給管180内の流路が開放および閉鎖される。第2供給管182のシリンジ170側の一端部にはバルブ186が設けられ、バルブ186が開閉されることにより、第2供給管182内の流路が開放および閉鎖される。なお、バルブ184、186は、バルブ開閉装置(図示せず)または手動により開閉される。
【0043】
シリンジ170内には、グリスが充填されており、駆動装置176が駆動することにより、コンロッド174に固定されたピストン172が駆動装置176とは反対側に移動する。そうすると、シリンジ170内のグリスが加圧され、第1供給管180、第2供給管182を介して軸受136、138にグリスが供給される。駆動装置176は、予め設定された一定量を所定間隔毎に軸受136、138に供給するように駆動される。なお、ピストン172は、コンロッド174を介して駆動装置176に固定されており、駆動装置176による駆動以外の要因により移動することはない。なお、駆動装置176は、軸受136、138にグリスを連続的に供給するように駆動してもよい。
【0044】
次に、主に、廃熱発電装置100の作動前の初期設定時であって、循環経路に作動媒体が封入される際に、廃熱発電装置100で実行されるグリス供給方法について説明する。
【0045】
以下では、グリス供給装置110から軸受136にグリスを供給するための流路であるグリス流路160、グリス供給口164および第1供給管180をまとめてグリス供給路(第1のグリス供給路)200ともよぶ。また、グリス供給装置110から軸受138にグリスを供給するための流路であるグリス流路162、グリス供給口166、環状流路168および第2供給管182をまとめてグリス供給路(第2のグリス供給路)202ともよぶ。また、蒸発器102、タービン発電機104、凝縮器106、ポンプ108および流路112のうち、作動媒体が循環する流路を循環経路ともよぶ。
【0046】
ところで、廃熱発電装置100では、作動前(発電前)の初期設定時に、循環経路に作動媒体が封入される。廃熱発電装置100では、循環経路に空気等が混在していると、廃熱発電装置100の発電効率が低下するため、循環経路に作動媒体が封入される際、一旦、真空ポンプにより循環経路が真空引きされ、循環経路が真空となった状態で、外部から作動媒体が循環経路に注入される。
【0047】
図4は、従来のグリス供給方法を示す説明図である。
図4(a)に示すように、従来のグリス供給方法では、例えばグリス供給路202にグリスGR(図中、ハッチングで示す)が予め充填されている状態で、循環経路204またはケーシング140に連通された真空ポンプ210が作動され、循環経路204が真空引きされる。そうすると、
図4(b)に示すように、ケーシング140内が負圧(真空)になり、グリス供給路202内のグリスGRがケーシング140内に引きこまれ、グリス供給路202に空隙AGが発生する。その後、循環経路204に作動媒体が注入され、循環経路204の圧力が作動媒体の飽和圧力に達するが、空隙AGがそのままグリス供給路202に残ってしまうことになる。そして、廃熱発電装置100では、作動を開始すると、グリス供給装置110からグリスGRが所定間隔毎に一定量ずつ供給される。
【0048】
このように、従来のグリス供給方法では、グリス供給路202に空隙AGが発生すると、グリス供給装置110からグリスGRを供給する際、所定間隔毎に一定量ずつグリスGRを供給しても、空隙AGが発生した容量分だけグリスGRが供給されるまで、つまり、グリス供給路202にグリスGRが充填されるまでは、供給されたグリスGRが空隙AGを埋めるだけで、軸受138にグリスGRを供給することができない。したがって、従来のグリス供給方法では、軸受138にグリスGRを供給することができない期間に、グリスGRの不足により軸受138が発熱し、破損するおそれがある。そこで、本実施形態では、第1グリス供給方法により軸受138にグリスGRを供給するとともに、第2グリス供給方法により軸受136にグリスGRを供給する。
【0049】
図5は、本実施形態における第1グリス供給方法のフローチャートである。
図6は、本実施形態における第1グリス供給方法を説明する図である。
図5および
図6(a)に示すように、本実施形態の第1グリス供給方法では、廃熱発電装置100の作動前の初期設定時であって、循環経路204に作動媒体が封入される前に、グリス供給装置110からグリス供給路202にグリスGRが充填される(S300)。なお、ここでは、グリスガン等によりグリス供給路202にグリスGRが充填されるようにしてもよい。ここで、グリス供給路202は、グリス供給路200よりも複雑な構造である。したがって、循環経路204に作動媒体が封入される前に、予めグリス供給路202にグリスGRを充填させる方が、後述する第2グリス供給方法のように、循環経路204に作動媒体が封入された後に、グリス供給路202にグリスGRを充填させるよりも、グリス供給路202に空隙AGが発生する可能性が減少する。
【0050】
その後、
図6(b)に示すように、真空ポンプ210が作動され、循環経路204が真空引きされた後(S302)、外部から循環経路204に作動媒体が注入(封入)される(S304)。ここで、循環経路204が真空引きされる際、循環経路204およびケーシング140内が負圧になるので、グリス供給路202に充填されたグリスGRがケーシング140内に引き込まれ、グリス供給路202に空隙AGが発生する。
【0051】
そこで、グリス供給装置110の駆動装置176を起動させ、グリス供給路202のうち、空隙AGが発生しているとされる箇所を含む所定容量分だけグリスGRをグリス供給路202に供給する(S306)。なお、ここでは、グリスガンなどにより外部からグリス供給路202にグリスGRを供給してもよい。このように、本実施の形態では、作動媒体の循環経路204が真空引きされた後に、廃熱発電装置100が含む軸受138に接続されたグリス供給路202にグリスGRを供給するステップが実行され、さらに、グリスGRを供給する当該ステップの後、廃熱発電装置100の作動を開始するステップが実行される。これにより、本発明では、真空引き後にグリス供給路202にグリスGRが供給され、そのグリスGRの供給の後に廃熱発電装置100の作動を開始するため、グリス供給路202にグリスの空隙AGが発生しても当該空隙AGは真空引き後に供給されたグリスGRで充填されるか、あるいは空隙AGが発生しないようにグリス供給路202にグリスGRが供給される。なお、この第1の実施の形態では、グリス供給路にグリスGRの空隙AGが発生しても当該空隙AGは真空引き後に供給されたグリスGRで充填される。
【0052】
ここで、グリス供給路202に発生する空隙AGの位置および大きさは、グリス供給路202の形状、真空引きの時間や循環経路204の真空圧力に依存する。したがって、廃熱発電装置100において、予め循環経路204を真空引きした際に発生する空隙AGの位置および大きさを計測しておけば、グリス供給路202に供給すべきグリスGRの供給量は既知となり、同一の形式の廃熱発電装置100に適用できる。そこで、上記ステップS304では、予め計測した空隙AGの位置および大きさに基づいて、グリスGRが供給される。例えば、上記ステップS304では、予め計測した空隙AGの位置に基づいて、最もグリス供給装置110側で発生する空隙AGの位置から、グリス供給路202の軸受138側の先端までの容量分だけグリスGRを供給する。
【0053】
そうすると、
図6(c)に示すように、空隙AGがケーシング140内に押し出され、グリス供給路202には、空隙AGがなくグリスGRだけで満たされる。ここまでの工程(S300〜S306)が廃熱発電装置100の作動前に行われる。
【0054】
その後、廃熱発電装置100の作動が開始されると、グリス供給装置110が、所定間隔毎に一定量のグリスGRを、グリス供給路202を介して軸受138に供給する(S308)。
【0055】
このように、第1グリス供給方法では、廃熱発電装置100の作動前であって、循環経路204に作動媒体が注入される前に、真空引きにより発生したグリス供給路202内の空隙AGをケーシング140内に押し出すことにより、廃熱発電装置100の作動前にグリス供給路202にグリスGRを隙間なく充填することができ、グリスGRの不足による軸受138の発熱、破損を防止することができる。かくして、廃熱発電装置100では、作動中に、グリスGRを軸受138に適切に供給することができる。
【0056】
図7は、本実施形態における第2グリス供給方法のフローチャートである。
図8は、本実施形態における第2グリス供給方法を説明する図である。
図7および
図8(a)に示すように、本実施形態の第2グリス供給方法では、廃熱発電装置100の作動前の初期設定時であって、循環経路204に作動媒体が封入される前に、バルブ184が閉じられ(S400)、グリス供給路200が閉鎖される。その後、
図8(b)に示すように、真空ポンプ210が作動され、循環経路204が真空引きされた後(S402)、外部から循環経路204に作動媒体が注入(封入)される(S404)。ここで、循環経路204が真空引きされる際、循環経路204およびケーシング140内が負圧になり、これとともに、グリス供給路200のうちのバルブ184よりも軸受136側が負圧になるが、グリス供給路200にグリスGRが充填されていないため空隙AGが発生することはない。
【0057】
その後、バルブ184が開かれ(S406)、グリス供給路200が開放されると、グリス供給装置110の駆動装置176を起動させ、グリス供給路200のうち、バルブ184よりも軸受136側の容積分だけのグリスGRがグリス供給路200に供給される(S408)。なお、ここでは、グリスガンなどにより外部からグリス供給路200にグリスGRを供給してもよい。
【0058】
そうすると、
図8(c)に示すように、グリス供給路200には、空隙AGがなくグリスGRだけで満たされる。ここまでの工程(S400〜S408)が廃熱発電装置100の作動前に行われる。
【0059】
その後、廃熱発電装置100の作動が開始されると、グリス供給装置110が、所定間隔毎に一定量のグリスGRを、グリス供給路200を介して軸受136に供給する(S410)。このように、第2の実施の形態でも、作動媒体の循環経路204が真空引きされた後に、廃熱発電装置100が含む軸受136に接続されたグリス供給路200にグリスGRを供給するステップが実行され、さらに、グリスGRを供給する当該ステップの後、廃熱発電装置100の作動を開始するステップが実行される。これにより、本発明では、真空引き後にグリス供給路200にグリスGRが供給され、そのグリスGRの供給の後に廃熱発電装置100の作動を開始するため、グリス供給路200にグリスGRの空隙AGが発生しても当該空隙AGは真空引き後に供給されたグリスGRで充填されるか、あるいは空隙AGが発生しないようにグリス供給路200にグリスGRが供給される。なお、この第2の実施の形態では、空隙AGが発生しないようにグリス供給路200にグリスGRが供給される。
【0060】
このように、本実施形態における第2グリス供給方法では、廃熱発電装置100の作動前であって、循環経路204に作動媒体が注入される前に、グリス供給路200に設けられたバルブ184を閉じた状態で真空引きを行い、その後、バルブ184を開けてグリス供給路200にグリスGRを供給する。これにより、廃熱発電装置100の作動前にグリス供給路200にグリスGRを充填することができ、グリスGRの不足による軸受136の発熱、破損を防止することができる。かくして、廃熱発電装置100では、作動中に、グリスGRを軸受136に適切に供給することができる。
【0061】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0062】
例えば、上記実施形態において、第1グリス供給方法によりグリス供給路202にグリスGRを供給するようにし、第2グリス供給方法によりグリス供給路200にグリスGRを供給するようにした。しかしながら、第1グリス供給方法によりグリス供給路200、202にグリスGRを供給するようにしてもよく、また、第2グリス供給方法によりグリス供給路200、202にグリスGRを供給するようにしてもよい。また、第1グリス供給方法によりグリス供給路200にグリスGRを供給するようにし、第2グリス供給方法によりグリス供給路202にグリスGRを供給するようにしてもよい。
【0063】
ただし、グリス供給路202は、グリス供給路200よりも複雑な構造であるため、第2グリス供給方法によりグリスGRを供給する場合には、グリス供給路202に空隙AGが生じてしまう可能性があるため、第1グリス供給方法によりグリスGRを供給するほうが、より空隙AGが発生してしまう可能性を減少することができる。また、グリス供給路200は、グリス供給路202よりも簡易な構造であるため、第1グリス供給方法よりも第2グリス供給方法の方が、容易にグリスGRを供給することができる。