特許第6339911号(P6339911)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6339911
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】センサ固定器具
(51)【国際特許分類】
   F16B 2/12 20060101AFI20180528BHJP
   F16B 2/10 20060101ALI20180528BHJP
   F16B 2/06 20060101ALI20180528BHJP
   F16B 37/00 20060101ALI20180528BHJP
   F16B 7/04 20060101ALI20180528BHJP
   G01K 1/14 20060101ALI20180528BHJP
   G01D 11/30 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   F16B2/12 A
   F16B2/10 B
   F16B2/06 A
   F16B37/00 H
   F16B7/04 301P
   G01K1/14 E
   G01D11/30 L
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-193110(P2014-193110)
(22)【出願日】2014年9月22日
(65)【公開番号】特開2016-65554(P2016-65554A)
(43)【公開日】2016年4月28日
【審査請求日】2017年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(72)【発明者】
【氏名】田中 義明
(72)【発明者】
【氏名】湯本 秀昭
【審査官】 保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−170686(JP,A)
【文献】 特開平11−118615(JP,A)
【文献】 特開2002−168224(JP,A)
【文献】 特開2014−076532(JP,A)
【文献】 特開2000−059039(JP,A)
【文献】 実開昭60−110792(JP,U)
【文献】 特許第5762644(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B2/00−2/26
7/00−7/22
23/00−43/02
F16K37/00
G01D11/00−13/28
G01K1/00−19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状のケーシングを有するセンサを上記ケーシングの先端を測定対象物に接触させて固定するセンサ固定器具であって、
上記ケーシングの外形よりも大きく形成され該ケーシングが挿入される挿入孔を有する保持部材と、
片側が球面状に形成され、上記挿入孔に挿入された上記ケーシングにおける上記保持部材よりも先端側の部分の外周に上記球面が上記挿入孔の内縁部に接するように設けられる当接部材と、
上記保持部材の両端に回動可能に接続され、上記測定対象物を挟持して上記保持部材および上記当接部材を介して上記ケーシングの先端を上記測定対象物に押し付ける一対の挟持部材とを備えている
ことを特徴とするセンサ固定器具。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサ固定器具において、
上記ケーシングは、外周面に雄ねじ部が形成された円柱状に形成され、
上記当接部材は、上記ケーシングの外周に螺合する座ナットである
ことを特徴とするセンサ固定器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサを測定対象物に接触させて固定するセンサ固定器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
センサを測定対象物に接触させて固定する固定器具として、例えば特許文献1に開示されているものがある。この固定器具は、センサが取り付けられる保持部材と、測定対象物(スチームトラップの入口部)を保持部材とで挟持する挟持部材とを備えている。センサは、保持部材の連結孔にネジ締結されて取り付けられる。そして、センサが取り付けられた保持部材と挟持部材とで測定対象物を挟持することで、センサの先端が測定対象物に接触した状態でセンサが固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−170686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したような固定器具では、センサが測定対象物の接触面に対し傾いて固定される虞があった。即ち、測定対象物が例えば多角形の配管等である場合、挟持部材の位置を強固に挟持できる適切な位置にずらす必要がでてくることがある。ところが、挟持部材の位置をずらすとセンサの位置もずれて測定対象物に対するセンサの接触角度が変わってしまうという虞があった。センサの接触角度が変わると、センサの検出精度が損なわれるという問題があった。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、測定対象物に対するセンサの接触角度を保持しつつ、挟持部材の挟持位置を調整することが可能なセンサ固定器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、柱状のケーシングを有するセンサを上記ケーシングの先端を測定対象物に接触させて固定するセンサ固定器具を対象としている。本発明に係るセンサ固定器具は、保持部材と、当接部材と、一対の挟持部材とを備えている。上記保持部材は、上記ケーシングの外形よりも大きく形成され該ケーシングが挿入される挿入孔を有している。上記当接部材は、片側が球面状に形成され、上記挿入孔に挿入された上記ケーシングにおける上記保持部材よりも先端側の部分の外周に上記球面が上記挿入孔の内縁部に接するように設けられるものである。上記一対の挟持部材は、上記保持部材の両端に回動可能に接続され、上記測定対象物を挟持して上記保持部材および上記当接部材を介して上記ケーシングの先端を上記測定対象物に押し付けるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、片側が球面状に形成され、挿入孔に挿入されたケーシングにおける保持部材よりも先端側(即ち、測定対象物側)の部分の外周に球面が挿入孔の内縁部に接する状態で設けられる当接部材を備えるようにした。つまり、保持部材はセンサのケーシングとは接続されておらず当接部材の球面で支持されている。また、保持部材の挿入孔はケーシングの外形よりも大きく形成されている。そのため、図3に示すように、挟持部材を適切な位置にずらすと、挟持部材に接続されている保持部材もずれるが、その際、保持部材は当接部材の球面上を移動するだけでセンサのケーシングおよび当接部材は動かない。したがって、測定対象物に対するセンサの接触角度は変化せず保持される。以上より、測定対象物に対するセンサの接触角度を保持しつつ、挟持部材の挟持位置を調整することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るセンサ固定器具の概略構成をセンサ装置と共に示す正面図である。
図2図2は、実施形態に係るセンサ固定器具を拡大して示す正面図である。
図3図3は、実施形態に係るセンサ固定器具を拡大して示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0010】
図1に示すように、本実施形態のセンサ固定器具10は、センサ装置1を測定対象物に接触させて固定するものである。本実施形態において、測定対象物はスチームトラップの入口部9である。
【0011】
センサ装置1は、例えば上下方向に延びる状態で入口部9に固定される。センサ装置1は、センサ本体2と、アンテナ3と、接続軸4とを備えている。接続軸4は、中空軸であり、両端がナット5,6によってセンサ本体2とアンテナ3に連結されている。センサ本体2は、略円柱状のケーシング2aを有し、入口部9に接触して入口部9の振動や温度を検出する。アンテナ3は、図示しないが、信号処理回路や発信部が内蔵されており、センサ本体2によって検出された測定対象物の振動や温度に関する信号が送られる。
【0012】
図2にも示すように、センサ固定器具10は、保持部材11と、一対の挟持部材21,25と、締付け部材35とを備えている。
【0013】
保持部材11は、図2において左右に延びる部材であり、両端部が下方に向かってやや屈曲している。保持部材11の中央には、1つの挿入孔12が形成されており、その挿入孔12にセンサ本体2のケーシング2aが挿入される。ケーシング2aの外周面には、雄ねじ部2bが形成されている。挿入孔12は、その内径がケーシング2aの外径(外形)よりも大きく形成されている。保持部材11は、例えばアルミニウムの削り出しまたはアルミダイカスト等により作製される。
【0014】
一対の挟持部材21,25は、それぞれ、薄板(例えば、ステンレス製)を間隔をおいて二枚重ねることにより作製されている。なお、図1図3では片側の板のみを示している。一対の挟持部材21,25は、左右対称の略S字状に形成されている。具体的に、挟持部材21,25は、それぞれ、第1湾曲部22,26と第2湾曲部23,27とを有し、第1湾曲部22,26と第2湾曲部23,27との間の切返し部分に突起部24,28を有している。突起部24,28は、挟持部材21,25における中央部よりもやや下方の位置に形成され、測定対象物である入口部9側に突出している。挟持部材21,25は、それぞれ、一端(上端)が保持部材11の両端にリベット14によって回動可能に接続(連結)されている。挟持部材21,25は、入口部9をその左右から挟持するものである。つまり、挟持部材21,25は、それぞれの突起部24,28が入口部9の左右に接して挟持する。
【0015】
挟持部材21,25の他端(下端)には、締付け部材35が設けられている。締付け部材35は、一対の挟持部材21,25を連結して挟持方向に締付けるものである。締付け部材35は、ボルト36とナット38を有する。また、挟持部材21,25の他端(下端)には、二枚の薄板を連結する連結板31,32が設けられている。挟持部材21,25の他端は、ボルト36が各連結板31,32の貫通孔に挿入されてナット38で固定されることにより連結される。つまり、ナット38を締付けることにより、挟持部材21,25がその挟持方向に変位する。
【0016】
なお、ボルト36の頭部37は円錐状に形成されている。また、ナット38は、いわゆる球座ナットが用いられており、そのため、連結板32との接触面積を平面座ナットよりも大きくすることができる。したがって、挟持部材21,25の他端をより強固に締付けることが可能である。
【0017】
さらに、本実施形態のセンサ固定器具10は、ケーシング2aの雄ねじ部2bに螺合する座ナット40を備えている。座ナット40は、片側が球面状に形成された球面部41を有し、本発明に係る当接部材を構成している。座ナット40は、保持部材11の挿入孔12に挿入されたケーシング2aにおける保持部材11よりも先端2c側(即ち、入口部9側)の部分の外周に螺合される(設けられる)。座ナット40は、球面部41(球面)が挿入孔12の下側の内縁部13に接する位置に螺合される。つまり、座ナット40は、挿入孔12に挿入されたケーシング2aの先端2cが入口部9に接した状態のケーシング2aにおいて挿入孔12の内縁部13に接する位置に螺合される。
【0018】
本実施形態のセンサ固定器具10では、締付け部材35によって挟持部材21,25の他端(下端)が締付けられることにより挟持部材21,25が入口部9を左右から挟持し、その挟持部材21,25の挟持動作によって保持部材11が座ナット40を入口部9側へ押し付けるようになっている。これにより、ケーシング2aの先端2cが入口部9の表面に押し付けられて固定される。つまり、挟持部材21,25は、入口部9を挟持する挟持動作を行い、その挟持動作に伴い保持部材11および座ナット40を介してケーシング2aの先端2cを入口部9に押し付けている。センサ本体2は、ケーシング2aの先端2cが入口部9に接触することで入口部9の振動や温度を検出する。
【0019】
ここで、図3に示すように、例えば入口部9の外形が非対称な形状等の場合、挟持部材21,25の挟持位置(即ち、挟持部材21,25の突起部24,28の接触位置)を強固に挟持できる位置にずらす必要がある。つまり、挟持部材21,25の位置を適切な位置に調整(微調整)する必要がある。挟持部材21,25を入口部9の周方向にずらす(本実施形態では左回りにずらす)と、挟持部材21,25に接続されている保持部材11も同様にずれる。その際、保持部材11は座ナット40の球面部41上を移動する一方、ケーシング2a(センサ装置1)および座ナット40は動かない。つまり、保持部材11は挿入孔12とケーシング2aとの間の隙間の分だけ移動することができ、その隙間以下で保持部材11が移動する限り、ケーシング2aおよび座ナット40は動かない。また、保持部材11は移動しても座ナット40の球面部41に接しているため、ケーシング2aの先端2cは入口部9の表面に押し付けられて固定された状態が保持される。このように、挟持部材21,25の挟持位置が調整されても、ケーシング2aは動かないため入口部9に対するケーシング2aの接触角度は保持される。
【0020】
以上のように、上記実施形態のセンサ固定器具10によれば、保持部材11においてケーシング2aが挿入される挿入孔12をケーシング2aの外径よりも大きく形成すると共に、片側に球面部41を有し、ケーシング2aにおける保持部材11よりも先端2c側の部分に球面部41が挿入孔12の内縁部13に接する状態で螺合される座ナット40を備えるようにした。そのため、ケーシング2aを動かす(変位させる)ことなく、挟持部材21,25の挟持位置をずらすことができる。したがって、測定対象物である入口部9に対するケーシング2a(センサ装置1)の接触角度を保持しつつ、挟持部材21,25の挟持位置を調整することが可能である。よって、センサ装置1の検出精度が損なわれるのを防止することができる。
【0021】
また、上記実施形態のセンサ固定器具10では、挟持部材21,25において外方に突出する第1湾曲部22,26を設けているため、入口部9の径に幅広く対応することができる。
【0022】
なお、上記実施形態ではセンサ本体2のケーシング2aが略円柱状に形成されたものについて説明したが、本発明は、ケーシング2aが角柱等に形成されたものであってもよい。
【0023】
また、上記実施形態ではケーシング2aの外周に当接部材(座ナット40)を螺合することによって固定するようにしたが、本発明は、当接部材をケーシング2aの外周に溶接等で固定してもよいし、当接部材(当接部)をケーシング2aの外周に一体成型するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、センサを測定対象物に接触させて固定するセンサ固定器具について有用である。
【符号の説明】
【0025】
1 センサ装置
2a ケーシング
2b 雄ねじ部
2c 先端
9 入口部(測定対象物)
10 センサ固定器具
11 保持部材
12 挿入孔
13 内縁部
21,25 挟持部材
40 座ナット(当接部材)
41 球面部(球面)
図1
図2
図3