特許第6339917号(P6339917)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6339917
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】シャッター制御装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/82 20060101AFI20180528BHJP
【FI】
   E06B9/82 H
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-201144(P2014-201144)
(22)【出願日】2014年9月30日
(65)【公開番号】特開2016-69949(P2016-69949A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年1月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】師岡 聖
(72)【発明者】
【氏名】真原 裕
(72)【発明者】
【氏名】橋本 衛
【審査官】 桐山 愛世
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−081839(JP,A)
【文献】 特開2002−174076(JP,A)
【文献】 特公平02−027510(JP,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0099151(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00
9/02
9/06−9/18
9/40−9/50
9/56−9/92
E05F 15/00−15/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャッターカーテンを開閉駆動するモータにかかる負荷を検出する検出部と、
前記シャッターカーテンの開動作中において、現在の前記負荷と過去の前記負荷との差分値に基づいて前記負荷の微分値を算出する微分値算出部と、
前記負荷の微分値が予め定められた第1閾値を超える場合、前記シャッターカーテンが全開状態であると判定する判定部と、
を有し、
前記検出部は、前記モータの回転に応じた位置パルスのパルス数をカウントし、
前記微分値算出部は、前記位置パルスのカウント値が第2閾値を超えた場合に、前記微分値を算出し、
前記第2閾値は、前記シャッターカーテンが全閉状態から全開状態までの位置パルス数から所定のパルス数を差し引いた値であることを特徴とするシャッター制御装置。
【請求項2】
前記モータの負荷は、前記位置パルスのパルス幅で示される請求項1に記載のシャッター制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッター制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシャッター制御装置は、シャッターカーテンの最下端の巾木がマグサに接触したことを検知した場合に、シャッターカーテンを開閉駆動するモータ(以下、「モータ」という。)にかかる負荷の大きさにより、そのモータの開作動を制御する(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
例えば、従来のシャッター制御装置は、モータにかかる負荷(例えば、モータの回転速度)が設定値を超えた場合に、シャッターカーテンの最下端の巾木がマグサに接触したと判定することでシャッターカーテンが全開したことを検知する(以下、「全開検知」という。)。ただし、風圧等の外力がシャッターカーテンに加わることでモータに大きな負荷がかかる場合があり、その負荷が設定値を超えてしまうことで、シャッター装置はシャッターカーテンが全開検知であると誤検知してしまう場合がある。そこで、従来のシャッター装置では、上記誤検知を防止するため、風等の外力による負荷の増大に対して十分なマージンを有した設定値を用いる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−28897号公報
【特許文献2】特開平11−81839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のシャッター制御装置では、風等の外力による負荷の増大に対して十分なマージンを有した設定値を用いるため、モータの負荷が設定値を超える場合には、マグサに対して強い力が必要になる。したがって、巾木がマグサに接触してもモータは駆動し続け、マグサは巾木に強く押し付けられる。その結果、マグサは変形し、あるいは破損するという問題がある。したがって、シャッター制御装置は、モータの負荷が設定値を超えた場合、マグサの変形を低減するために、シャッターカーテンを巻き戻し、巾木の位置を下げるという無駄な動作を実施する必要がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、従来と比較して巾木がマグサに接触したことを検知する検知感度が高く、シャッターカーテンの巻き戻し動作を必要としないシャッター制御装置及びシャッター制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、シャッターカーテンを開閉駆動するモータにかかる負荷を検出する検出部と、前記シャッターカーテンの全開動作中において、現在の前記負荷と過去の前記負荷との差分値に基づいて前記負荷の微分値を算出する微分値算出部と、前記負荷の微分値が予め定められた第1閾値を超える場合、前記シャッターカーテンが全開状態であると判定する判定部と、を有し、前記検出部は、前記モータの回転に応じた位置パルスのパルス数をカウントし、前記微分値算出部は、前記位置パルスのカウント値が第2閾値を超えた場合に、前記微分値を算出し、前記第2閾値は、前記シャッターカーテンが全閉状態から全開状態までの位置パルス数から所定のパルス数を差し引いた値であることを特徴とするシャッター制御装置である。
【0009】
また、本発明の一態様は、上述のシャッター制御装置であって、前記モータの負荷は、前記位置パルスのパルス幅で示される。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、従来と比較して巾木がマグサに接触したことを検知する検知感度が高く、シャッターカーテンの巻き戻し動作を必要としないシャッター制御装置及びシャッター制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態のシャッター制御装置を有するシャッター装置の外観を示す概略図である。
図2】本実施形態のシャッター制御装置43の機能を表す機能ブロック図の一例を示す図である。
図3】本実施形態の負荷記憶部416に記憶されているカウント値及びパルス幅の一例を示す図である。
図4】本実施形態のシャッターカーテン20の全開状態を検知する検知動作のフローチャートである。
図5】従来の全開動作における負荷検知を説明する図である。
図6】本実施形態の全開動作における負荷検知を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施形態のシャッター制御装置を、図面を用いて説明する。図1は、本実施形態のシャッター制御装置を有するシャッター装置の外観を示す概略図である。図1に示すように、本実施形態におけるシャッター装置1は、シャッターカーテン20、マグサ部30、シャッターボックス40、ガイドレール50及びガイドレール60を備えている。
【0014】
シャッターカーテン20は、上下方向に連結された長尺な複数のスラット10及び最下端に設けられた巾木部70を有する。
巾木部70は、最下端のスラット10に接続された矩形断面を有する長尺部材である。巾木部70は、シャッターカーテン20が全開状態になる場合にマグサ部30に接触するように突出形成されている。巾木部70は、シャッターカーテン20の全閉状態時には床面に接触する。巾木部70は、シャッターカーテン20の全開状態時にはマグサ部30に接触する。
マグサ部30は、シャッターボックス40の下部に設けられている。マグサ部30は、シャッターカーテン20が上昇することで形成されるシャッター装置1の開口部の見切り部材である。
【0015】
シャッターボックス40は、シャッター装置1の上部に設けられている。シャッターボックス40は、シャフト41、モータ42及びシャッター制御装置43を有している。シャフト41は、シャッターカーテン20の上端部とモータ42とに連結されている。シャフト41は、モータ42によって正逆方向に回転駆動される。このシャフト41の回転に応じて、スラット10(シャッターカーテン20)の巻き戻し(シャッターカーテン20の閉動作時)、又は、巻き取り(シャッターカーテン20の開動作時)が行われる。シャフト41に巻き取られたスラット10は、シャッターボックス40内に収容されるようになっている。
モータ42は、シャフト41を回転駆動させる駆動部であり、例えば直流モータから構成されている。モータ42は、シャッター制御装置43からの駆動信号に基づいて正回転、逆回転、又は回転停止する。
【0016】
シャッター制御装置43は、リモコン等の操作部200(後述する)からシャッターカーテン20の巻き取り、巻き戻し、又は停止を指示する操作信号を受信する。シャッター制御装置43は、操作信号に基づいてモータ42に正転、逆転、又は回転停止の制御に対応した指令を出力する。シャッター制御装置43は、シャッターカーテン20を全開状態にする場合、以下に示す負荷検知を実行する。すなわち、シャッター制御装置43は、モータ42に対して正転の指令を出力してシャッターカーテン20を上昇させる。そして、シャッター制御装置43は、シャッターカーテン20が全開位置に到達して、巾木部70がマグサ部30に接触することでモータ42に負荷がかかると、モータ42に対して回転停止の指令を出力してシャッターカーテン20の上昇を止める。
【0017】
ガイドレール50及びガイドレール60は、シャッターカーテン20の幅方向の両端に設けられ、床面から天井部分にかけて底面に対して垂直に立設されている。ガイドレール50及びガイドレール60は、シャッターカーテン20を構成する各スラット10の横ずれを規制する。
【0018】
図2は、シャッター制御装置43の機能を表す機能ブロック図である。この図において、シャッター装置1は、操作部200、出力部100、シャッター制御装置43及びモータ42を備えている。
【0019】
操作部200は、シャッター制御装置43に接続され、シャッター制御装置43に対して制御指令(操作信号)を入力する手段を有している。例えば、操作部200は、開スイッチ、閉スイッチ及び停止スイッチが設けられている。ユーザは、これらのスイッチを押下することで、シャッターカーテン20の巻き取り、巻き戻し、又は停止を行うことができる。操作部200は、ユーザによっていずれかのスイッチが押下されると、シャッター制御装置43にスイッチに応じた信号である操作信号を出力する。この操作部200とシャッター制御装置43との通信は、有線でもよいし、無線によって行ってもよい。
【0020】
出力部100は、モータ42の駆動状況を出力する機能を有する。出力部100は、例えばモータ42に内蔵されたエンコーダである。出力部100は、モータ42の回転に応じた位置パルスを出力する。出力部100は、モータ42が1回転すると1つの位置パルスをシャッター制御装置43に出力する。なお、出力部100は、エンコーダに限らず、例えばモータ42の回転角量を計測する等、巻取り軸やモータ42の回転量を把握できる構成であれば任意に選択できる。
【0021】
シャッター制御装置43は、制御部400及び駆動部401を備えている。
制御部400は、例えばCPU(Central Processing Unit)や記憶装置などから構成され、操作部200のスイッチの操作に応じてモータ42の駆動を制御する。
制御部400は、駆動制御部411、検出部412、第1判定部413、測定部415、負荷記憶部416、微分値算出部417、第2判定部418及び閾値記憶部419を備えている。
【0022】
駆動制御部411は、操作部200から開スイッチに対応する操作信号が供給された場合、モータ42の駆動によりシャッターカーテン20をシャフト41に巻き取らせて上昇させる指令(以下、「開指令」という。)を駆動部401に対して出力する。
駆動制御部411は、操作部200から閉スイッチに対応する操作信号が供給された場合、モータ42の駆動によりシャッターカーテン20をシャフト41から巻き出させて下降させる指令(以下、「閉指令」という。)を駆動部401に対して出力する。
駆動制御部411は、操作部200から停止スイッチに対応する操作信号が供給された場合、モータ42の駆動を停止することでシャッターカーテン20の動作を停止させる指令(以下、「停止指令」という。)を駆動部401に対して出力する。また、駆動制御部411は、第2判定部418から制御信号が供給された場合、停止指令を駆動部401に出力する。
【0023】
検出部412は、出力部100から供給された位置パルスを検出し、検出した位置パルスをカウントする。
第1判定部413は、シャッターカーテン20の開動作時に、検出部412でカウントした位置パルスのカウント値を一定周期毎に取得する。第1判定部413は、取得したカウント値と閾値記憶部419に記憶された判定閾値(第2閾値)とを比較する。第1判定部413は、カウント値が判定閾値を超えた場合、測定部415に測定開始信号を出力する。これにより、第1判定部413は、シャッターカーテン20が全開状態付近に位置していることを判定する。判定閾値は、シャッターカーテン20が全開状態付近であることを示す位置パルスのカウント値である。例えば、シャッター制御装置43は、予めシャッターカーテン20の全閉状態から全開状態までの位置パルスのパルス数(以下、「全開パルス数」という)をカウントする。シャッター制御装置43は、全開パルス数から予め決められたパルス数を差し引いた値を判定閾値に設定する。予め決められたパルス数とは、実験やモータ42にかかる負荷に対するノイズの大きさ等から決定されるパルス数である。例えば、シャッター制御装置43は、全開パルス数が225であり、かつ予め決められたパルス数が50である場合、判定閾値を175に設定する。
【0024】
測定部415は、モータ42の負荷を測定する。例えば、測定部415は、第1判定部413から測定開始信号が供給されると、検出部412から位置パルス及びカウント値を取得する。そして、測定部415は、位置パルスのパルス幅をカウント値毎に測定する。位置パルスは、モータ42の回転速度が遅くなるにつれてそのパルス幅が大きくなり、モータ42の回転速度が速くなるにつれてそのパルス幅が小さくなる。すなわち、シャッターカーテン20が全開位置に到達して、巾木部70がマグサ部30に接触すると、モータ42に負荷がかかる。そのため、モータ42の回転速度が遅くなり、位置パルスのパルス幅が大きくなる。したがって、測定部415は、検出部412から供給される位置パルス毎(カウント値毎)に、その位置パルスのパルス幅を測定することにより、モータ42のパルス幅を負荷として算出する。測定部415は、測定した位置パルスのパルス幅と、位置パルスのカウント値とを関連づけて負荷記憶部416に記憶する。
【0025】
微分値算出部417は、モータ42の負荷の微分値、すなわちモータ42の負荷の変化率(以下、「負荷微分値」という。)を算出する。例えば、微分値算出部417は、負荷記憶部416に記憶されているカウント値毎のパルス幅をリアルタイムで読み取る。微分値算出部417は、読み取ったパルス幅において、現在のカウント値に対応するパルス幅と現在のカウント値から所定のパルス数前のカウント値に対応するパルス幅を差し引いた値(以下、「パルス幅差分値」という。)を求める。微分値算出部417は、このパルス幅差分値を負荷微分値として算出する。すなわち、微分値算出部417は、モータ42の現在の負荷とモータ42の過去の負荷との差分値を負荷微分値として算出する。なお、所定のパルス数は、予め実験等で決定される。したがって、モータ42の過去の負荷は、現在を基準として直前のモータ42の負荷でもよい。本実施形態では、過去の負荷は、判定閾値のパルス数から全開パルス数まで間の所定のパルス数に対応するモータ42の負荷となる。
【0026】
図3は、負荷記憶部416に記憶されているカウント値及びパルス幅の一例を示す図である。例えば、上記所定のパルス数が10パルス、且つ現在のカウント値が221である場合、微分値算出部417は、現在のカウント値221に対応するパルス幅41.468msから10パルス前のカウント値211に対応するパルス幅41.256msを差し引き、パルス幅差分値0.212を算出する。このように、微分値算出部417は、現在のパルス値毎にパルス幅差分値を算出し、算出したパルス幅差分値を負荷微分値として第2判定部418に出力する。
【0027】
第2判定部418は、微分値算出部417から供給された負荷微分値を取得する。第2判定部418は、閾値記憶部419から全開閾値(第1閾値)を取得する。第2判定部418は、取得した負荷微分値が全開閾値を超えるか否かを判定することで、シャッターカーテン20が全開状態であるか否かを検出する。全開閾値は、シャッターカーテン20が全開状態であることを判定する値であり、シャッターカーテン20の巾木部70がマグサ部30に接触したときのモータ42の負荷の値(例えば、位置パルスのパルス幅)である。この全開閾値は、例えば全閉状態から全開状態になるまでのシャッターカーテン20の移動距離に応じて決められる固定値でもよいし、標準偏差等で変動するような変数であってもよい。
第2判定部418は、取得した負荷微分値が全開閾値を超えた回数(以下、「判定回数」という。)nが規定回数に達した場合、シャッターカーテン20が全開状態であると判定する。第2判定部418は、シャッターカーテン20が全開状態であると判定した場合、駆動制御部411に制御信号を出力する。
【0028】
閾値記憶部419は、第1記憶部419−1及び第2記憶部419−2を備えている。第1記憶部419−1は、判定閾値を記憶している。第2記憶部419−2は、全開閾値を記憶している。
【0029】
駆動部401は、制御部400からの指令に基づいて、モータ42の駆動信号を生成しモータ42に出力することでモータ42の制御を行っている。
【0030】
次に、シャッター装置1のシャッター制御装置43の動作について、図4のフローチャートに基づいて説明する。図4は、本実施形態におけるシャッターカーテン20の全開状態を検知する負荷検知のフローチャートである。ここでは、シャッターカーテン20の初期状態として、シャッターカーテン20が全閉状態である場合を説明する。
【0031】
ステップS101において、制御部400は、ユーザが開スイッチを押下することで操作部200から開操作の操作信号が入力された場合、駆動部401に開指令を出力する。駆動部401は、モータ42に対し開指令に基づいた駆動信号を送信することで、モータ42をシャッターカーテン20を巻き取る方向に駆動させる。これにより、モータ42に連結されたシャフト41が巻き取る方向に回転するため、シャフト41によりスラット10が巻き取られ、シャッター装置1の開動作が行われる。
【0032】
ステップS102において、検出部412は、シャッターカーテン20の開動作中に、出力部100から出力される位置パルスをカウントする。第1判定部413は、検出部412でカウントした位置パルスのカウント値を一定周期毎に取得する。第1判定部413は、閾値記憶部419から判定閾値を読み出す。第1判定部413は、取得したカウント値が判定閾値を超えた場合(S102:YES)、測定部415に測定開始信号を出力する。一方、第1判定部413は、取得したカウント値が判定閾値以下である場合(S102:NO)、ステップS102の処理を実行する。
【0033】
ステップS103において、測定部415は、第1判定部413から測定開始信号が供給されると、検出部412から位置パルス及びカウント値を取得する。そして、測定部415は、位置パルスのパルス幅(負荷)をカウント値毎に測定する。測定部415は、測定した位置パルスのパルス幅と、位置パルスのカウント値とを関連づけて負荷記憶部416に記憶する。
【0034】
ステップS104において、微分値算出部417は、負荷記憶部416に記憶されているカウント値毎のパルス幅をリアルタイムで読み取る。微分値算出部417は、読み取ったパルス幅において、パルス幅差分値を算出する。微分値算出部417は、算出したパルス幅差分値を負荷微分値として第2判定部418に出力する。
【0035】
ステップS105において、第2判定部418は、微分値算出部417から供給された負荷微分値を取得する。第2判定部418は、閾値記憶部419から全開閾値を取得する。第2判定部418は、取得した負荷微分値が全開閾値以上か否かを判定する。第2判定部418は、取得した負荷微分値が全開閾値を超える場合、ステップS106の処理を実行する。第2判定部418は、取得した負荷微分値が全開閾値以下である場合、ステップS102の処理を実行する。
【0036】
ステップS106において、第2判定部418は、ステップS105で、負荷微分値が全開閾値を超えていると判定された場合、判定回数nを1インクリメントする。第2判定部418は、判定回数nを1インクリメントした後、ステップS107の処理に進む。
【0037】
ステップS107において、第2判定部418は、判定回数nが規定値以上か否かを判定する。第2判定部418は、判定回数nが規定値以上である場合(ステップS107:YES)、駆動制御部411に制御信号を出力する。一方、第2判定部418は、判定回数nが規定値未満である場合(ステップS107:NO)、ステップS104の処理を実行する。
【0038】
ステップS108において、駆動制御部411は、第2判定部418から制御信号を取得すると、駆動部401に停止指令を出力する。駆動部401は。制御部400からの停止指令に基づいて、モータ42に対する駆動信号の出力を停止する。これより、シャッターカーテン20の巻き取りが停止され、シャッターカーテン20は、全開状態となる。
【0039】
ステップS109において、第2判定部418は、判定回数nを0(ゼロ)にリセットする。
【0040】
次に、従来の全開動作における負荷検知と本実施形態の全開動作における負荷検知とについて説明する。図5は、従来の全開動作における負荷検知を説明する図である。図5に示すように、縦軸は、モータの負荷であり、横軸は時間を示す。なお、モータの負荷は、モータの回転速度の逆数(パルス幅に対応する)とする。したがって、モータの回転速度の逆数の値が大きくなるほど、モータの回転速度が遅くなり、位置パルスのパルス幅が大きくなる。また、図5に示す白抜きの四角形は、実際に測定したモータの回転数の逆数(制御対象)である。図5に示す黒く塗りつぶした菱形は、初期設定の際に測定したモータの回転数の逆数の基準値である。従来のシャッター制御装置は、図5に示す黒く塗りつぶした菱形で示した基準値に対してマージンを加えた値をモータの負荷の閾値として設定する。マージンを加える理由は、風圧等の外力による負荷検知の誤動作を防ぐためである。すなわち、風圧等の外力がシャッターカーテンに加わることでモータに大きな負荷がかかる場合がある。したがって、その負荷が設定値を超えてしまうと、シャッター制御装置は、シャッターカーテンが全開検知であると誤検知してしまう場合がある。そこで、従来のシャッター装置では、上記誤検知を防止するため、風等の外力による負荷の増大に対して十分なマージンを有した閾値を用いる。しかしながら、図5に示すように、風等の外力による負荷の増大に対して十分なマージンを有した閾値を用いて、モータの負荷が設定値を超える場合には、マグサ部に対して強い力が必要になる。その結果、シャッター制御装置は、モータの負荷Aが閾値を超えるまで、すなわち巾木部がマグサ部に接触してからもモータを正転方向に回転し続けるため、マグサ部に強い力が加わり、場合によっては変形してしまうおそれがある。
【0041】
図6は、本実施形態の全開動作における負荷検知を説明する図である。図6(a)は、モータ42の回転数の逆数と時間との関係を示す図である。縦軸は、モータ42の回転数の逆数であり、横軸は時間を示す。図6(b)は、モータ42の回転数の逆数の微分値と時間との関係を示す図である。縦軸は、モータ42の回転数の逆数の微分値であり、横軸は時間を示す。
【0042】
本実施形態のシャッター制御装置43は、図6(a)に示すモータ42の負荷を逐次記録し、記録した負荷と現在の負荷との差異を負荷微分値として算出する。これにより、図6(b)に示すように、シャッター制御装置43は、モータの負荷を微分することで、図6(a)のBに示すような風力等の外力により発生したモータ42の負荷の基準を下げることができる。したがって、上記マージンを加えることのない全開閾値Aを設定することができる。また、シャッター制御装置43は、判定閾値を設定し、負荷検知の実行する範囲をシャッターカーテン20の全開状態付近(領域C)に限定することにより、モータの負荷の閾値として、全開閾値Aよりも低い全開閾値Bを設定することができる。したがって、本実施形態のシャッター制御装置43は、巾木部70がマグサ部30に接触した時点でモータの負荷Aが閾値(全開閾値A又は全開閾値B)を超える。そのため、本実施形態のシャッター制御装置43は、従来の全開検知の検知方法と比較して、巾木部70がマグサ部30に接触したことを検知する検知感度が高い。
【0043】
上述したように、本実施形態のシャッター制御装置43は、モータ42の現在の負荷とモータ42の過去の負荷との差分値に基づいて、シャッターカーテン20の全開状態を判定する。これにより、シャッター制御装置43は、従来と比較して、巾木部70がマグサ部30に接触したことを早く検知することができる。したがって、マグサ部30は、巾木部70に強く押し付けられることがない。そのため、シャッター制御装置43は、マグサ部30の変形や破損を防ぐことができる。また、シャッター制御装置43は、マグサ部30の変形や破損を防ぐことができるため、シャッターカーテン20の巻き戻し動作を実施する必要がない。これにより、シャッター制御装置43は、シャッターカーテン20の巻き戻し動作という不要な動作を削減でき、シャッター装置1の省エネに寄与する。
【0044】
また、シャッター制御装置43は、マグサ部30が巾木部70に強く押し付けられる前にモータ42を停止することが可能であるため、マグサ部30が巾木部70に強く接触することで発生する音を抑制することができる。
【0045】
なお、本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
【0046】
上述の実施形態において、制御部400は、エンコーダから得られる位置パルスのパルス幅をモータ42の負荷として測定したが、これに限定されない。例えば、制御部400は、エンコーダからの位置パルスのパルス幅から算出される回転速度をモータ42の負荷としてもよい。また、制御部400は、モータ42に流れる負荷電流をモータ42の負荷としても算出してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 シャッター装置
20 シャッターカーテン
30 マグサ部
40 シャッターボックス
41 シャフト
42 モータ
43 シャッター制御装置
50、60 ガイドレール
70 巾木部
100 出力部
200 操作部
400 制御部
401 駆動部
411 駆動制御部
412 検出部
413 第1判定部
415 測定部
416 負荷記憶部
417 微分値算出部
418 第2判定部
419 閾値記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6