(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
移動体の脚部に取付けられた車輪は、前記移動体の全てのコースの移動を許容するフリー状態と、前記移動体の一方向のコースのみの移動を許容するコースロック状態と、前記移動体の移動を阻止するロック状態とに切り替えられるキャスタ装置であって、
前記車輪を回転自在に支持するホルダ部材と、
前記ホルダ部材を旋回自在に支持し、前記移動体の脚部の延在方向に往復移動可能に支持されたガイド部材とを備え、
前記ガイド部材は、移動方向において、前記車輪のフリー位置と、前記ホルダ部材の旋回を止めるコースロック位置と、前記車輪の回転を止めるロック位置とに往復移動されることを特徴とするキャスタ装置。
前記脚部側に、前記ホルダ部材のコースロック位置への移動時に、前記ホルダ部材と前記車輪との間の隙間に入り込んで旋回を止めるコースロック用旋回止め部と、前記ホルダ部材のロック位置への移動時に、前記車輪を当て止めるロック用回転止め部とが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のキャスタ装置。
前記コースロック用旋回止め部は、前記ホルダ部材の移動方向の手前となり、前記ロック用回転止め部は、前記ホルダ部材の移動方向の奥となるように、前記脚部の端部のキャップ部材に一体的に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のキャスタ装置。
前記移動体に、前記ガイド部材をフリー位置とコースロック位置とロック位置とに往復移動させる操作部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のキャスタ装置。
前記操作部材の操作で、前記4輪の前記キャスタ装置を同時に、フリー位置とコースロック位置とロック位置とに切り替える連動機構が設けられていることを特徴とする請求項4または5に記載のキャスタ装置。
前記片脚テーブルは、テーブルがベッドの上方をオーバーハングし、4輪の内の残り2輪のキャスタ装置が前記ベッドと前記フロアとの間の隙間から内方に入り込む、オーバーベッドテーブルであることを特徴とする請求項5または6に記載のキャスタ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、4輪の内の残り2輪のキャスタ装置は、ベッド(設置物)とフロア(床)との間の隙間から内方に入り込むことから、ベッドとフロアとの間の隙間が狭い場合、高床(大型)のキャスタ装置は採用することができないという問題があった。
【0010】
本発明は、前記問題を解消するためになされたもので、フリー位置とコースロック位置とロック位置とに切り替えられる低床(小型)のキャスタ装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本発明は、移動体の脚部に取付けられた車輪は、前記移動体の全てのコースの移動を許容するフリー状態と、前記移動体の一方向のコースのみの移動を許容するコースロック状態とに切り替えられる。また、前記移動体の移動を阻止するロック状態に切り替えられるキャスタ装置である。前記車輪を回転自在に支持するホルダ部材と、前記ホルダ部材を旋回自在に支持し、前記移動体の脚部の延在方向に往復移動可能に支持されたガイド部材とを備えている。前記ガイド部材は、移動方向において、前記車輪のフリー位置と、前記ホルダ部材の旋回を止めるコースロック位置と、前記車輪の回転を止めるロック位置とに往復移動される。
【0012】
本発明によれば、車輪を回転自在に支持するホルダ部材をガイド部材で旋回自在に支持して、このガイド部材を移動体の脚部の延在方向に往復移動可能に支持する。そして、このガイド部材を、移動方向において、車輪のフリー位置と、ホルダ部材の旋回を止めるコースロック位置と、車輪の回転を止めるロック位置とに往復移動させるようにする。
【0013】
すなわち、それ自体にフリー位置とコースロック位置とロック位置との切り替え機構を内蔵した高床(大型)のキャスタ装置と比較して、低床(小型)のキャスタ装置となる。
【0014】
したがって、例えば片脚のオーバーベッドテーブルで、4輪の内の残り2輪のキャスタ装置として採用すれば、ベッド(設置物)とフロア(床)との間の狭い隙間から内方に入り込ませることができるようになる。
【0015】
前記脚部側に、前記ホルダ部材のコースロック位置への移動時に、前記ホルダ部材と前記車輪との間の隙間に入り込んで旋回を止めるコースロック用旋回止め部が設けられている。また、前記ホルダ部材のロック位置への移動時に、前記車輪を当て止めるロック用回転止め部が設けられている構成とすることができる。
【0016】
この構成によれば、脚部側に、コースロック用旋回止め部とロック用回転止め部とを設けることで、構造が簡素化しコスト安になる。
【0017】
前記コースロック用旋回止め部は、前記ホルダ部材の移動方向の手前となり、前記ロック用回転止め部は、前記ホルダ部材の移動方向の奥となるように、前記脚部の端部のキャップ部材に一体的に設けられている構成とすることができる。
【0018】
この構成によれば、脚部の端部のキャップ部材に、コースロック用旋回止め部とロック用回転止め部とを一体的に設けることで、構造がより簡素化し、よりコスト安になる。
【0019】
前記移動体に、前記ガイド部材をフリー位置とコースロック位置とロック位置とに往復移動させる操作部材が設けられている構成とすることができる。
【0020】
この構成によれば、移動体に設けた操作部材で、ガイド部材をフリー位置とコースロック位置とロック位置とに往復移動させることで、切り替え操作をワンタッチで行えるようになる。
【0021】
前記移動体は、設置物の上方をオーバーハングする片脚テーブルであり、前記片脚テーブルの前記脚部に、4輪のキャスタ装置が設けられている。前記設置物の外側に位置する、前記4輪の内の2輪のキャスタ装置は、それ自体にフリー位置とコースロック位置とロック位置との切り替え機構を内蔵した高床のキャスタ装置である。そして、前記設置物とフロアとの間の隙間から内方に入り込む4輪の内の残り2輪のキャスタ装置は、前記切り替え機構を内蔵しない低床の前記キャスタ装置である構成とすることができる。
【0022】
この構成によれば、移動体が片脚テーブルであれば、設置物の外側に、4輪の内の2輪のキャスタ装置として、それ自体にフリー位置とコースロック位置とロック位置との切り替え機構を内蔵した高床のキャスタ装置を採用することができる。また、設置物とフロアとの間の狭い隙間から内方に入り込む4輪の内の残り2輪のキャスタ装置として、切り替え機構を内蔵しない低床のキャスタ装置を採用することができる。
【0023】
前記操作部材の操作で、前記4輪の前記キャスタ装置を同時に、フリー位置とコースロック位置とロック位置とに切り替える連動機構が設けられている構成とすることができる。
【0024】
この構成によれば、高床のキャスタ装置と低床のキャスタ装置とを、操作部材のワンタッチ操作で、フリー位置とコースロック位置とロック位置とに同時に切り替えることができる。
【0025】
前記片脚テーブルは、テーブルがベッドの上方をオーバーハングし、4輪の内の残り2輪のキャスタ装置が前記ベッドと前記フロアとの間の隙間から内方に入り込む、オーバーベッドテーブルである構成とすることができる。
【0026】
この構成によれば、片脚のオーバーベッドテーブル用として、好適に採用することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ベッド等の設置物とフロアとの間の狭い隙間から内方に入り込むことができ、しかもフリー位置とコースロック位置とロック位置とに切り替えられる低床(小型)のキャスタ装置を実現化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態である片脚オーバーベッドテーブル1の機構部分の斜視図である。
図2は片脚オーバーベッドテーブル1であり、(a)は左側から見た斜視図、(b)は右側から見た斜視図である。
図3は片脚オーバーベッドテーブル1であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【0030】
片脚オーバーベッドテーブル1は、ベッド(設置物)10〔
図3(b)参照〕の上方をオーバーハングするテーブル板2を備え、テーブル板2の下面の一側(
図2では左側)にはI字形状の縦脚3が取付けられている。縦脚3の下端には、テーブル板2の他側方向に延在する、平面視でH字形状の横脚(脚部)4が取付けられている。
【0031】
横脚4の四隅には4輪のキャスタ装置5A,5B,5C,5Dが設けられている。ベッド10の外側に位置する外横脚部4Aの両端部に設けられる、4輪の内の2輪のキャスタ装置は、それ自体にフリー位置とコースロック位置とロック位置との切り替え機構を内蔵した高床(大型)のキャスタ装置5A,5Bである。また、ベッド10とフロア(床)Fとの間の狭い隙間Tから内方に入り込む内横脚部4Bの両端部に設けられる、4輪の内の残り2輪のキャスタ装置は、切り替え機構を内蔵しない低床(小型)のキャスタ装置5C,5Dである。
【0032】
片脚オーバーベッドテーブル1は、4輪のキャスタ装置5A,5B,5C,5Dによって、フロアFの上を前後左右、斜め等の全てのコースを自由に移動させることができる。
【0033】
縦脚3は、テーブル板2に固定の外筒体3Aと、横脚4に固定の内筒体3Bとで構成され、横脚4の内筒体3Bに、テーブル板2の外筒体3Aが上下移動可能に外嵌めされている。
【0034】
内筒体3Bと外筒体3Aの内部には、テーブル板2の昇降をアシストするためのダンパー(不図示)が組み込まれ、テーブル板2の下面の左側部には、ダンパーのロック・ロック解除操作をするための昇降レバー6が取付けられている。この昇降レバー6をロック解除操作すると、ダンパーのアシストでテーブル板2を軽力で昇降させることができ、昇降レバー6をロック操作すると、その昇降位置でテーブル板2をロックすることができる。このダンパーや昇降レバー6等は、公知技術を採用しているために、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0035】
ベッド10の外側に位置する高床(大型)のキャスタ装置5A,5Bは、本実施形態では、特許文献2の公知のキャスタ装置をそのまま採用しているために、以下では、その概略を説明することとする。
【0036】
横脚4の外横脚部4Aの下面には、
図5、
図6および
図9(a)のように、側面視で略U字形状のブラケット13の左右のフランジ部13aがねじ等で固定されている。ブラケット13の両側壁13fの間の底部13cには窪み部13dが形成され、この窪み部13dには、小判状のかしめ用孔13eが形成されている。
【0037】
主軸部材15は、上下方向に延在する円筒状体で構成され、中心穴15aが上下方向に貫通して、この中心穴15aには、シャフト部材17が上中下の3段で移動自在に支持されている。ここで、
図6は下段(ロック位置)、
図7は中段(コースロック位置)、
図8は上段(フリー位置)の各移動状態を示している。
【0038】
ブラケット13の両側壁13fの間に突出するシャフト部材17の上頭部17aには、下向き半球状で、ブラケット13の両側壁13fに間に延在する滑動体30が嵌め込まれている。また、ブラケット13の両側壁13fの間で往復移動可能にガイドされる第2連結部材32Bには、シャフト部材17を貫通させるためにフォーク状のスリット32dが形成された部位に、下部32aと中部32bと上部32cとが階段状に形成されている。
【0039】
そして、第2連結部材32Bの移動で、滑動体30が下部32aに位置すると(
図6参照)、それに倣ってシャフト部材17が下段に移動される。また、滑動体30が中部32bに位置すると(
図7参照)、それに倣ってシャフト部材17が中段に移動される。さらに、滑動体30が上部32cに位置すると(
図8参照)、それに倣ってシャフト部材17が上段に移動されるようになる。
【0040】
横脚4の外横脚部4Aの内部には、
図1のように、外横脚部4Aの方向に延在する第1連結部材32Aが往復移動可能に配置されている。
【0041】
横脚4の外横脚部4Aの両端部に設けられたキャスタ装置5A,5Bの各第2連結部材32Bは、第1連結部材32Aにねじ33(
図6参照)で連結されている。
【0042】
主軸部材15の上部には、大径のフランジ部15bと、ブラケット13のかしめ用孔13eに下方から嵌入する小判状のかしめ部15cとが形成されている。そして、フランジ部15bをブラケット13の窪み部13dの下面に当てがい、かしめ用孔13eに嵌入したかしめ部15cを外向きにかしめることで、主軸部材15が軸回りに位置決めされた状態で、ブラケット13に一体的に固定されるようになる。
【0043】
主軸部材15の下部には、六角形状のかしめ部15dが形成され、このかしめ部15dには、板状の旋回制動体16の六角形状のかしめ用孔16aが下方から嵌入される。そして、かしめ部15dを外向きにかしめることで、軸回りに位置決めされた状態で、旋回制動体16が主軸部材15に一体的に固定されるようになる。
【0044】
旋回制動体16には、かしめ用孔16aの軸直交方向の左右2箇所に、係合凸部16bがそれぞれ形成されている。
【0045】
ホルダ部材18は、車輪19よりもやや小径で、厚みのある略円板形状に形成され、車軸穴18aの周囲には肉抜き凹部18bが形成されている。この車軸穴18aに貫通支持された車軸20で、ホルダ部材18の両側位置における左右一対の車輪19が回転自在に支持されている。
図2においては、右側の車輪19の図示を省略している。
【0046】
ホルダ部材18には、車軸穴18aから偏心した位置で、上下方向に貫通する貫通穴18cが形成されている。この貫通穴18cを主軸部材15に下方から嵌合させることで、車輪19を回転自在に支持したホルダ部材18が主軸部材15で旋回可能に保持されるようになる。なお、主軸部材15のフランジ部15bとホルダ部材18の上端との間には、スペーサ21aとキャップ21bとが介設されている。
【0047】
ホルダ部材18の貫通穴18cの下部位置には、貫通穴18cよりも広がった四角形状の収納凹部18dが形成され、この収納凹部18dには、制動ブロック23が回転しないように、上下移動可能に収納されている。この制動ブロック23は、収納凹部18dの上壁と制動ブロック23の上面との間の縮装されたコイルバネ24で下動方向に付勢されている。
【0048】
制動ブロック23には、主軸部材15の下部が貫通する小径の貫通穴23bが形成されている。この貫通穴23bの下方には、下方に開口した大径の筒状穴23cが形成され、この筒状穴23c内には、主軸部材15のかしめ部15dにかしめられた旋回制動体16が位置するようになる。
【0049】
この筒状穴23cの下方開口には大径のスリーブ26aが嵌合固定され、このスリーブ26aの中心穴には、下方から小径のスリーブ26bが嵌合されている。そして、シャフト部材17の下部が小径のスリーブ26bの中心穴から下方に突出され、この突出部にEリング27が嵌め込まれて、シャフト部材17が上方に抜けないようにしている。
【0050】
したがって、シャフト部材17を第2連結部材32Bの中部32bと上部32cで中段・上段に上動させると、Eリング27、小径のスリーブ26b、大径のスリーブ26aを介して制動ブロック23がコイルバネ24の付勢力に抗して上動されるようになる。また、シャフト部材17を第2連結部材32の中部32bと上部32cで強制的に上動させないようすると(フリー状態)、コイルバネ24の付勢力で、制動ブロック23とともにシャフト部材17も下動されるようになる。
【0051】
制動ブロック23の下部には、側方に突出する下向きの櫛歯23dが形成され、この櫛歯23dに対向する車輪19の内周面の円周方向には、制動ブロック23の下動時に、櫛歯23dが噛み合って係合する複数のギア部19aが形成されている。
【0052】
したがって、シャフト部材17の下段の下動に連係して、制動ブロック23が下動すると、制動ブロック23の櫛歯23dが車輪19のギア部19aに噛み合うことで、車輪19の回転が阻止されるようになる(車輪ロック)。また、シャフト部材17の中段・上段の上動に連係して、制動ブロック23が上動すると、制動ブロック23の櫛歯23dが車輪19のギア部19aに噛み合わなくなることで、車輪19の回転が許容されるようになる(車輪フリー)。
【0053】
制動ブロック23の上側部には、筒状穴23cに貫通する挿入溝23eが形成され、この挿入溝23eには、矩形状板のストッパ部材28が側方から挿入されて回り止めされるようになる。このストッパ部材28は、制動ブロック23がホルダ部材18の収納凹部18dに収納されることで、挿入溝23eから抜けないようになる。
【0054】
ストッパ部材28は、主軸部材15の下部にかしめられた旋回制動体16の上方に位置するようになる。ストッパ部材28には、
図9(b)に詳細に示すように、旋回制動体16の左右2箇所の係合凸部16bが係合可能な係合凹部28bがそれぞれ形成されている。
【0055】
ストッパ部材28の係合凹部28bと旋回制動体16の係合凸部16bは、片脚オーバーベッドテーブル1を前後方向〔
図2(a)参照照)に移動させる車輪19の向きでのみ係合して、ホルダ部材18の旋回を阻止するように、その向きが設定されている。
【0056】
また、ストッパ部材28と旋回制動体16は、シャフト部材17の中段・下段の移動に連係して、ストッパ部材28と旋回制動体16とが係合することで、ホルダ部材18の旋回を阻止する。そして、シャフト部材17の上段の移動に連係して、ストッパ部材28と旋回制動体16との係合を解除することで、ホルダ部材18の旋回を許容するように、その上下位置が設定されている。
【0057】
ここで、シャフト部材17、制動ブロック23、ストッパ部材28、滑動体30等は、切り替え機構を構成する。
【0058】
一方、
図1および
図2のように、片脚オーバーベッドテーブル1のテーブル板2の下面には、手動で回動操作可能な操作部材35が支軸34で取付けられている。
【0059】
縦脚3の外筒体3Aと横脚4の内筒体3Bとの内部には伝達シャフト36が回転可能に配置され、この伝達シャフト36は、テーブル板2側の外筒シャフト体36Aと、横脚4側の内筒シャフト体36Bとで構成されている。そして、横脚4側の内筒シャフト体36Bに、テーブル板2側の外筒シャフト体36Aが上下移動可能で回転不能に外嵌めされている。外筒シャフト体36Aは、テーブル板2の昇降に追従して上下動するようになる。
【0060】
外筒シャフト体36Aの上端部には、リンク37a,37bを介して操作部材35が連結され、内筒シャフト体36Bの下部にはリンク37cを介して第1連結部材32Aが連結されている。
【0061】
これにより、操作部材35を
図1の「フリー位置」に操作すると、リンク37a,37bを介して伝達シャフト36が矢印a方向に回転される。そして、リンク37cを介して第1連結部材32Aとともに第2連結部材32Bが矢印b方向に移動して、上部32cでシャフト部材17を上段に移動させる。また、操作部材35を
図1の「コースロック位置」に操作すると、同様にして伝達シャフト36が矢印c方向に回転され、第2連結部材32Bが矢印d方向に移動して、中部32bでシャフト部材17を中段に移動させる。さらに、操作部材35を
図1の「ロック位置」に操作すると、同様にして伝達シャフト36が矢印c方向にさらに回転され、第2連結部材32Bが矢印d方向にさらに移動して、下部32aでシャフト部材17を下段に移動させる。
【0062】
すなわち、操作部材35のワンタッチ操作で、ベッド10の外側に位置する外横脚部4Aの両端部の2輪のキャスタ装置5A,5Bを、同時に、「フリー位置」「コースロック位置」「ロック位置」に操作することができる。
【0063】
次に、ベッド10の内側に位置する低床(小型)のキャスタ装置5C,5Dを説明する。
【0064】
横脚4の内横脚部4Bの内部には、
図10および
図11のように、内横脚部4Bの方向に延在し、下方が開口したアクセサリーシュー状のガイドカバー40が固定されている。ガイドカバー40内には四角筒状のガイド部材41が往復移動可能に嵌合支持されている。
【0065】
左右に車輪42を回転自在に支持した車軸43を保持するホルダ部材44が設けられ、このホルダ部材44は、車軸43から偏心した位置で、ガイド部材41で支持された主軸部材45で旋回可能に保持されるようになる。
図4に、低床(小型)のキャスタ装置5C,5Dの車輪42の外径D1(例えば30mm程度)を、高床(大型)のキャスタ装置5A,5Bの車輪19の外径D2(例えば70mm程度)と対比するために示している。
【0066】
内横脚部4Bの内部の両端部には、キャップ部材46がそれぞれ固定されている。キャップ部材46には、ホルダ部材44のコースロック位置(
図13参照)とロック位置(
図14参照)との間の移動時に、ホルダ部材44と車輪42との間の隙間に入り込むことで、ホルダ部材44の旋回を止める、櫛歯状のコースロック用旋回止め部46aが設けられている。また、ホルダ部材44のロック位置(
図14参照)への移動時に、車輪42の外周面を当て止める、ブレーキシュー状のロック用回転止め部46bが設けられている。
【0067】
コースロック用旋回止め部46aは、ホルダ部材44のコースロック位置からロック位置に移動する手前側で、ロック用回転止め部46bは、その奥側がとなるように、キャップ部材46に一体的に設けられている。
【0068】
横脚4の内横脚部4Bの両端部に設けられたキャスタ装置5C,5Dの各ガイド部材41には第3連結部材47の外端部がそれぞれ差し込まれて固定されている。
【0069】
図1のように、各第3連結部材47の内端部は、内横脚部4Bの内部に支軸48で水平旋回可能に取付けられた第4連結部材49の長穴49a,49bにピンで連結されている。
【0070】
横脚4の内横脚部4Bと外横脚部4Aとを連結する連結脚部4Cの内部には、第5連結部材50が左右方向に移動自在に配置されている。
【0071】
第5連結部材50の外端部は、リンク37dを介して伝達シャフト36の内筒シャフト体36Bの下端部に連結されている。また、第5連結部材50の内端部は、第4連結部材49の長穴49cにピンで連結されている。
【0072】
そして、操作部材35を
図1の「フリー位置」に操作すると、伝達シャフト36が回転され、リンク37dを介して第5連結部材50が外方に移動して第4連結部材49を左旋させることで、各第3連結部材47が内方に移動される。これにより、ガイド部材41とともにホルダ部材44が内方に移動されることで、車輪42が
図12のフリー位置に移動する。
【0073】
また、操作部材35を
図1の「コースロック位置」に操作すると、同様にして第5連結部材50が内方に移動して第4連結部材49を右旋させることで、各第3連結部材47が外方に移動される。これにより、ガイド部材41とともにホルダ部材44が外方に移動されることで、車輪42が
図13のコースロック位置に移動する。
【0074】
さらに、操作部材35を
図1の「ロック位置」に操作すると、同様にして第5連結部材50がさらに内方に移動して第4連結部材49をさらに右旋させることで、各第3連結部材47がさらに外方に移動される。これにより、ガイド部材41とともにホルダ部材44が外方に移動されることで、車輪42が
図14のロック位置に移動する。ここで、第5連結部材50、リンク37d、第4連結部材49、第3連結部材47等は連動機構を構成する。
【0075】
ここで、操作部材35を「コースロック位置」に操作し、さらに「ロック位置」に操作するに際しては、いずれもホルダ部材44が外方に移動されることになる。これにより、主軸部材45はいずれも外方に先行し、これに伴ってホルダ部材44とともに車輪42が後方に旋回することになる。したがって、ホルダ部材44のコースロック位置とロック位置との間の移動時に、内横脚部4Bの両端部のキャップ部材46のコースロック用旋回止め部46aに、各ホルダ部材44と車輪42との間の隙間がそれぞれ入り込んで、各ホルダ部材44の旋回が止められることになる。また、ホルダ部材44のロック位置への移動時に、キャップ部材46のロック用回転止め部46bに車輪42の外周面が当て止められて、各車輪42の回転が止められることになる。
【0076】
このように、操作部材35のワンタッチ操作で、ベッド10の内側に位置する内横脚部4Bの両端部の2輪のキャスタ装置5C,5Dを、同時に、「フリー位置」「コースロック位置」「ロック位置」に操作することができる。
【0077】
したがって、操作部材35のワンタッチ操作で、ベッド10の外側の2輪のキャスタ装置5A,5Bと内側の2輪のキャスタ装置5C,5D、つまり、4輪のキャスタ装置を同時に、「フリー位置」「コースロック位置」「ロック位置」に操作することができる。
【0078】
前記のように、キャスタ装置を構成すれば、操作部材35を「フリー位置」に回動操作すると、前述のようにして、4輪のキャスタ装置5A,5B,5C,5Dの各車輪19,42の回転が許容されるようになる(車輪フリー)。また、各ホルダ部材18,44の旋回も許容されるようになる(旋回フリー)。
【0079】
これにより、車輪19,42の回転と旋回とが同時に許容されることで、片脚オーバーベッドテーブル1を前後左右、斜め等の全てのコースを自由に移動させることができる(車輪フリー・旋回フリー)。
【0080】
次に、操作部材35を「コースロック位置」に回動操作すると、4輪のキャスタ装置5A,5B,5C,5Dの車輪19,42の回転が許容されるようになる(車輪フリー)。また、ホルダ部材18,44の旋回が阻止されるようになる(旋回ロック)。
【0081】
これにより、片脚オーバーベッドテーブル1をベッド10の前後方向に移動させるとき、車輪19,42は回転し、ホルダ部材18,44の旋回が阻止される(コースロック)。したがって、片脚オーバーベッドテーブル1が左右方向にふらつくことなく、前後方向に真っ直ぐに移動させることができる。
【0082】
さらに、操作部材35を「ロック位置」に回動操作すると、4輪のキャスタ装置5A,5B,5C,5Dの車輪19,42の回転が阻止されるようになる(車輪ロック)。また、ホルダ部材18,44の旋回が阻止されるようになる(旋回ロック)。
【0083】
これにより、片脚オーバーベッドテーブル1を移動できなくなる。つまり、ベッド10に対して、その移動位置で固定することができる。
【0084】
前記の構成において、4輪の内の2輪のキャスタ装置は、それ自体にフリー位置とコースロック位置とロック位置との切り替え機構を内蔵した高床(大型)のキャスタ装置5A,5Bである。
【0085】
これに対して、4輪の内の残り2輪のキャスタ装置は、車輪42を回転自在に支持するホルダ部材44をガイド部材41で旋回自在に支持している。このガイド部材41を片脚オーバーベッドテーブル1の横脚4の内横脚部4Bの延在方向に往復移動可能に支持している。そして、このガイド部材41を、移動方向において、車輪42のフリー位置と、ホルダ部材44の旋回を止めるコースロック位置と、車輪42の回転を止めるロック位置とに往復移動させるようにしている。
【0086】
すなわち、それ自体にフリー位置とコースロック位置とロック位置との切り替え機構を内蔵した高床(大型)のキャスタ装置5A,5Bと比較して、切り替え機構を内蔵しない低床(小型)のキャスタ装置5C,5Dとなる。
【0087】
したがって、片脚オーバーベッドテーブル1で、4輪の内の残り2輪のキャスタ装置5C,5Dとして採用することで、ベッド10とフロア(床)Fとの間の狭い隙間Tから内方に入り込ませることができるようになる。
【0088】
また、横脚4の内横脚部4Bに、コースロック用旋回止め部46aとロック用回転止め部46bとを設けることで、構造が簡素化しコスト安になる。
【0089】
さらに、内横脚部4Bの端部のキャップ部材46に、コースロック用旋回止め部46aとロック用回転止め部46bとを一体的に設けることで、構造がより簡素化し、よりコスト安になる。
【0090】
また、片脚オーバーベッドテーブル1のテーブル板2に設けた操作部材35で、ガイド部材41をフリー位置とコースロック位置とロック位置とに往復移動させることで、切り替え操作をワンタッチで行えるようになる。
【0091】
さらに、本実施形態のような片脚オーバーベッドテーブル1であれば、ベッド10の外側に、4輪の内の2輪のキャスタ装置として、切り替え機構を内蔵した高床のキャスタ装置5A,5Bを採用することができる。また、ベッド10とフロアFとの間の狭い隙間から内方に入り込む4輪の内の残り2輪のキャスタ装置として、切り替え機構を内蔵しない低床のキャスタ装置5C,5Dを採用することができる。
【0092】
さらに、高床のキャスタ装置5A,5Bと低床のキャスタ装置5C,5Dとを、操作部材35のワンタッチ操作で、フリー位置とコースロック位置とロック位置とに同時に切り替えることができる。
【0093】
前記実施形態は、ガイド部材41の外方(押し)移動でコースロックとロックとになるように設定したが、ガイド部材41の内方(引き)移動でコースロックとロックとになるように設定することも可能である。
【0094】
前記実施形態は、4輪の内の外側2輪のキャスタ装置は、高床のキャスタ装置5A,5Bを採用したが、これに代えて、低床のキャスタ装置5C,5Dを採用、つまり、4輪の全てを低床のキャスタ装置にできることは言うまでもない。
【0095】
前記実施形態は、4輪のキャスタ装置5A,5B,5C,5Dであったが、外側2輪のキャスタ装置5A,5Bをいずれか1輪として、3輪のキャスタ装置とすることができる。逆に、内側2輪のキャスタ装置5C,5Dをいずれか1輪として、3輪のキャスタ装置とすることができる。
【0096】
前記実施形態は、操作部材35を手動で往復回動操作するものであったが、手動に限られるものではなく、また、往復回動操作するものに限られるものでもない。
【0097】
前記実施形態は、片脚オーバーベッドテーブル1を例にとったが、家庭用等のワゴン等にも適用できることは言うまでもない。