(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(E)前記(C)成分及び前記(D)成分以外の多官能(メタ)アクリル酸エステルをさらに含有する、請求項1又は2に記載のインクジェットエッチングレジスト用紫外線硬化性組成物。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示のインクジェットエッチングレジスト用紫外線硬化性組成物(以下「紫外線硬化性組成物」ともいう)は、(A)染料と、(B)光重合開始剤と、(C)カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物と、を含有する。(A)染料は、アントラキノン骨格とアミノ基とを有する染料、ナフタレン骨格とアミノ基とを有する染料、及び、フタロシアニン骨格を有する染料、から選ばれる少なくとも1つの染料を含む。(B)光重合開始剤は、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤を含む。
【0014】
(A)成分は、染料である。染料により着色したインクが硬化して塗膜を形成し、レジストパターンが明瞭になる。染料は、着色剤として機能する。アントラキノン骨格とアミノ基とを有する染料、ナフタレン骨格とアミノ基とを有する染料、及び、フタロシアニン骨格を有する染料の使用により、色抜けが抑制される。これらの染料は骨格が比較的剛直である。そのため、色抜けの抑制効果が高いものと推測される。
【0015】
アントラキノン骨格とアミノ基とを有する染料としては、例えば、ソルベントレッド122、ソルベントブルー35が挙げられる。
【0016】
ソルベントレッド122の構造式を下記に示す。
【0018】
ソルベントブルー35の構造式を下記に示す。
【0020】
ナフタレン骨格とアミノ基とを有する染料としては、例えば、ソルベントブルー5、ベーシックブルー7が挙げられる。
【0021】
ソルベントブルー5の構造式を下記に示す。
【0023】
ベーシックブルー7の構造式を下記に示す。
【0025】
フタロシアニン骨格を有する染料としては、例えば、ダイレクトブルー87が挙げられる。
【0026】
ダイレクトブルー87の構造式を下記に示す。
【0028】
上記の染料の含有量は、紫外線硬化性組成物全量に対して、0.01〜3質量%であることが好ましい。染料の含有量がこの範囲になることで、着色された良好な硬化塗膜を得ることができ、耐酸性が向上する。染料の含有量が少なくなると、着色性が十分でなくなる可能性がある。染料の含有量が多くなると硬化性が十分でなくなる可能性がある。染料の含有量は、0.03〜2質量%であることがより好ましく、0.05〜1質量%であることがさらに好ましい。染料の含有量は、さらに0.2質量%以上となってもよい。染料の含有量は、さらに0.5質量%以下となってもよい。
【0029】
アントラキノン骨格とアミノ基とを有する染料、ナフタレン骨格とアミノ基とを有する染料、及び、フタロシアニン骨格を有する染料のいずれにも該当しない染料としては、例えば、アシッドブルー9が挙げられる。アシッドブルー9のみを使用した塗膜では、色抜けが確認されている。
【0030】
なお、紫外線硬化性組成物は、染料として、アントラキノン骨格とアミノ基とを有する染料、ナフタレン骨格とアミノ基とを有する染料、及び、フタロシアニン骨格を有する染料以外の染料を含んでいてもよい。ただし、アントラキノン骨格とアミノ基とを有する染料、ナフタレン骨格とアミノ基とを有する染料、及び、フタロシアニン骨格を有する染料の方が、それ以外の染料よりも、含有量が多いことが好ましい。染料は一種類を単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
【0031】
(B)成分は光重合開始剤である。光重合開始剤として、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤を使用することにより、本配合における硬化性が特に向上し、色抜けが効果的に抑制される。その理由は、着色した塗膜の硬化が良好に進行するため、光酸化による色抜けの原因物質であるオゾンへの耐性が向上し、耐侯性も向上するからと推測される。
【0032】
アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィン酸メチルエステル、2−メチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルフォスフィン酸イソプロピルエステル等のモノアシルフォスフィンオキサイド系や、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ジフェニルフォスフィンオキサイド、(2,5,6−トリメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイド系が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
【0033】
アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤の含有量は、紫外線硬化性組成物全量に対して、1〜30質量%であることが好ましい。アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤の含有量がこの範囲になることで、着色された良好な硬化塗膜を得ることができる。アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤の含有量が少なくなりすぎると、硬化性が十分でなくなる可能性がある。アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤の含有量が多くなりすぎるとインクジェット塗布が容易でなくなる可能性がある。アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤の含有量は、3〜25質量%であることがより好ましく、7〜20質量%であることがさらに好ましい。アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤の含有量は、さらに11質量%以上であってもよい。アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤の含有量は、さらに16質量%以下であってもよい。
【0034】
なお、紫外線硬化性組成物は、光重合開始剤として、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤以外の光重合開始剤を含んでいてもよい。光重合開始剤としては、アルキルフェノン系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤、オキシムエステル系光重合開始剤、カチオン系光重合開始剤が挙げられる。ただし、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤の方が、それ以外の光重合開始剤よりも、含有量が多いことが好ましい。さらに、紫外線硬化性組成物は、光重合開始剤として、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤のみを含んでいてもよい。
【0035】
(C)成分は、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物である。(C)成分は、重合性モノマー(単量体)であり、重合に寄与する。本明細書において重合性モノマーとは、光重合するモノマーを意味する。不飽和炭素炭素結合は光重合性を発揮し得る。カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物を使用することにより、色抜けが効果的に抑制されるとともに耐酸性が向上する。その理由は、上記に示す染料の塩基性置換基と(C)成分のカルボキシル基が相互作用を有するからと推測される。カルボキシル基の存在が色抜けの抑制、耐酸性の向上に寄与していると考えられる。(C)成分の使用により、良好な塗膜が得られる。
【0036】
カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物としては、フタル酸系の(メタ)アクリル酸エステル、コハク酸系の(メタ)アクリル酸エステルが例示される。このような(メタ)アクリル酸エステルとして、例えば、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−フタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルテトラヒドロフタル酸が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。特に、これらのうちの2種以上を併用することにより、良好な紫外線硬化性組成物が得られる。フタル酸系の(メタ)アクリル酸エステルと、コハク酸系の(メタ)アクリル酸エステルとの併用は、良好な塗膜を形成するために特に好ましい。これ以外のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレート、クロトン酸、桂皮酸、β−カルボキシエチルアクリレート、マレイン酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]を挙げることができる。このように、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物は、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルであってもよいし、置換基の導入された(メタ)アクリル酸であってもよいし、その他の構造を有する化合物であってもよい。
【0037】
なお、本明細書において、(メタ)アクリルとは、アクリルとメタクリルを総称している。例えば、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸とメタクリル酸とを総称している。
【0038】
カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物の含有量は、紫外線硬化性組成物全量に対して、1〜50質量%であることが好ましい。カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物の含有量がこの範囲になることで、着色された耐酸性良好な硬化塗膜を得ることができる。カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物の含有量が少なくなりすぎると、色抜けの抑制効果が十分でなくなる可能性があり、エッチングレジストとして剥離性を維持できなくなる。カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物の含有量が多くなりすぎるとインクジェット塗布が容易でなくなる可能性がある。カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物の含有量は、5〜40質量%であることがより好ましく、8〜35質量%であることがさらに好ましい。インクジェット塗布を容易にするためには、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物の含有量は、30質量%以下であることがさらに好ましく、25質量%以下であることがよりさらに好ましい。色抜けを抑制するためには、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物の含有量は、10質量%以上であることがさらに好ましく、15質量%以上であることがよりさらに好ましい。
【0039】
インクジェットエッチングレジスト用紫外線硬化性組成物は、(D)アミド基を有する重合性モノマーをさらに含有することが好ましい。それにより、色抜けがさらに抑制される。アミド基は、色抜けの抑制に寄与すると推測される。また、アミド基を有する重合性モノマーは、インク粘度を大きく下げる効果があり、インクジェット塗布性を大きく向上させ、塗膜の基本的な物性を向上させ得る。
【0040】
(D)成分であるアミド基を有する重合性モノマーとしては、例えば、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、4−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ターシャリーブチル(メタ)アクリルアミド、N−ターシャリーオクチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミドが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
【0041】
(D)成分であるアミド基を有する重合性モノマーとしては、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、及び、4−(メタ)アクリロイルモルホリンから選ばれる少なくとも1つが特に好ましい。これらの重合性モノマーは、上記の染料と相性がよく、塗膜の色抜けを効果的に抑制することができる。これらは単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
【0042】
(D)成分の重合性モノマーの含有量は、紫外線硬化性組成物全量に対して、1〜70質量%であることが好ましい。上記のモノマーの含有量がこの範囲になることで、着色された良好な硬化塗膜を得ることができ、特にサテライトの発生を抑制するため、シャープなラインを形成できる。サテライトとは、いわゆる塗料の飛び散りである。(D)成分の重合性モノマーの含有量が少なくなりすぎると、色抜けの抑制効果が十分でなくなる可能性があり、インクジェット塗布が容易でなくなる可能性がある。(D)成分の重合性モノマーの含有量が多くなりすぎると硬化性が十分でなくなる可能性がある。(D)成分の重合性モノマーの含有量は、5〜60質量%であることがより好ましく、20〜55質量%であることがさらに好ましい。(D)成分の重合性モノマーの含有量は、さらに25質量%以上であってもよい。(D)成分の重合性モノマーの含有量は、さらに45質量%以下であってもよく、40質量%以下であってもよい。
【0043】
インクジェットエッチングレジスト用紫外線硬化性組成物は、(E)成分として、上記(C)成分及び上記(D)成分以外の多官能(メタ)アクリル酸エステルをさらに含有してもよい。(E)成分は、重合性モノマー(単量体)であり、重合に寄与する。(E)成分の多官能(メタ)アクリル酸エステルを使用することにより、塗膜硬度、耐酸性良好な硬化塗膜が得られやすくなる。その理由は、レジスト用の塗膜として硬化性が進みやすい性能を付与し得るからと推測される。
【0044】
(E)成分の(メタ)アクリル酸エステルは、多官能の(メタ)アクリル酸エステルである。多官能とは、(メタ)アクリル酸系官能基を2以上含むことを意味する。
【0045】
(E)成分の多官能(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性トリ(メタ) アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ε ― カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、ペンタエリスリトールトリ/テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ/トリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ/トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、ウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
【0046】
(E)成分の多官能(メタ)アクリル酸エステルとしては、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートが特に好ましい。このモノマーにより、良好な塗膜がより形成されやすくなる。
【0047】
(E)成分の多官能(メタ)アクリル酸エステルの含有量は、紫外線硬化性組成物全量に対して、1〜60質量%であることが好ましい。上記のモノマーの含有量がこの範囲になることで、着色された良好な硬化塗膜を得ることができる。(E)成分の多官能(メタ)アクリル酸エステルの含有量が少なくなりすぎると、良好な塗膜を形成しにくくなる可能性がある。(E)成分の多官能(メタ)アクリル酸エステルの含有量が多くなりすぎると、相対的に上記(A)〜(C)の成分が減少して、色抜けの抑制効果が十分でなくなる可能性がある。(E)成分の多官能(メタ)アクリル酸エステルの含有量は、5〜30質量%であることがより好ましい。
【0048】
インクジェットエッチングレジスト用紫外線硬化性組成物は、(F)成分として、上記(C)成分、上記(D)成分、及び上記(E)成分以外の単官能(メタ)アクリル酸エステルをさらに含有してもよい。(F)成分の単官能の(メタ)アクリル酸エステルと、(E)成分の多官能の(メタ)アクリル酸エステルとが併用されることより、良好な塗膜が得られやすくなる。
【0049】
(F)成分の単官能(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の直鎖、分岐或は脂環式アルキル系(メタ)アクリレート類;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等のエチレングリコールエステル系(メタ)アクリレート類、及び同様なメトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のプロピレングリコール系(メタ)アクリレート類、ブチレングリコール系モノ(メタ)アクリレート類;2−(メタ)アクリルアミドエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、3−(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有(メタ)アクリレート類;グリセロールモノ(メタ)アクリレート等のグリセロール系モノ(メタ)アクリレート類;ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類;フェノキシエチル(メタ)アクリレート、べンジル(メタ)アクリレート等の芳香族系の(メタ)アクリレート類が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
【0050】
(F)成分の単官能(メタ)アクリル酸エステルとしては、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートから選ばれる1つ以上が特に好ましい。これらのモノマーにより、良好な塗膜がより形成されやすくなる。
【0051】
インクジェットエッチングレジスト用紫外線硬化性組成物は、上記(A)〜(F)成分以外に、適宜の成分を含んでいてもよい。例えば、インクジェットエッチングレジスト用紫外線硬化性組成物は、上記以外の重合性モノマー、添加剤、有機溶剤を含み得る。
【0052】
重合性モノマーとしては、分子内に炭素炭素二重結合を有する化合物が用いられ得る。重合性モノマーとして、例えば、スチレン、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン、α−メチルスチレン、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、o−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、m−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ビニルベンジルアルコール等のビニル芳香族化合物類;マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド類;酢酸ビニル、ビニルエーテル類、(メタ)アリルアルコール、シアン化ビニリデン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルピロリドン、(メタ)アクリロニトリルが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
【0053】
なお、インクジェットエッチングレジスト用紫外線硬化性組成物は、上記(A)〜(F)成分のみで構成されてもよいし、上記(A)〜(E)成分のみで構成されてもよいし、上記(A)〜(D)成分のみで構成されてもよいし、上記(A)〜(C)成分のみで構成されてもよい。
【0054】
インクジェットエッチングレジスト用紫外線硬化性組成物は、液状であることが好ましい。それにより、インクジェット塗布機により容易に塗布を行うことができる。インクジェットエッチングレジスト用紫外線硬化性組成物は、液体成分内に固体成分が溶解又は分散している状態であり得る。
【0055】
インクジェットエッチングレジスト用紫外線硬化性組成物は、25℃での粘度が40mPa・s以下であることが好ましい。それにより、インクジェット塗布機で良好に塗布を行うことができる。インクジェット塗布では、通常、加温されてインクが吐出される。このとき、インクは粘度が10mPa・s程度になるような温度に加温される。25℃での粘度が40mPa・sを超えると、塗布時のインクの温度を高くすることが求められ、効率が低下するおそれがある。また、25℃での粘度が40mPa・sを超えると、インクジェット塗布によって形成された塗膜のパターンが不明瞭になりやすくなる。そのため、25℃での粘度が40mPa・s以下となるのが好適である。インクジェットエッチングレジスト用紫外線硬化性組成物は、25℃での粘度が30mPa・s以下であることがより好ましく、25mPa・s以下であることがさらに好ましく、20mPa・s以下であることがよりさらに好ましい。
【0056】
インクジェットエッチングレジスト用紫外線硬化性組成物は、25℃での粘度が5mPa・s以上であることが好ましい。それより、インクジェット塗布の際に、吐出ノズルからインクがこぼれ落ちることが抑制される。インクジェットエッチングレジスト用紫外線硬化性組成物は、25℃での粘度が8mPa・s以上であることがより好ましい。インクジェットエッチングレジスト用紫外線硬化性組成物の粘度は、B型粘度計などで測定することができる。
【0057】
インクジェットエッチングレジスト用紫外線硬化性組成物は、非水系であることが好ましい。非水系とは、水を含有しないことを意味する。水は硬化性を阻害するため、インクジェットエッチングレジスト用紫外線硬化性組成物が水を含有しないことで、色抜けの抑制された硬化性良好な塗膜を得ることができる。なお、インクジェットエッチングレジスト用紫外線硬化性組成物が非水系であるとは、積極的に水が配合されていないことを意味しており、インクジェットエッチングレジスト用紫外線硬化性組成物は、吸湿性を有する材料を原因として少量の水を含んでいる場合も、非水系となる。ただし、非水系の場合、組成物中に検出される水の含有量は、1質量%以下が好ましい。
【0058】
インクジェットエッチングレジスト用紫外線硬化性組成物は、上記(A)〜(F)の成分、及び、その他必要に応じて添加される添加成分を、所定量配合させることで調製することができる。この配合時には必要に応じて、アルコール類、ケトン類等の希釈溶剤を添加してもよいし、添加しなくてもよい。液状の原料は、溶剤としての機能を兼ね備えることができる。無溶剤の場合、塗布後の溶剤の揮発が簡略化され得る。
【0059】
上記のインクジェットエッチングレジスト用紫外線硬化性組成物を用いれば、例えば、導体パターンを形成することができる。導体パターンの形成により、プリント配線板を製造することができる。インクジェットエッチングレジスト用紫外線硬化性組成物は、直描方式にて基板上に塗布され得る。直描方式による塗布とは、ノズルからインクジェットエッチングレジスト用紫外線硬化性組成物(以下「レジストインク」ともいう)を吐出させて基板上にレジストインクを塗布することで、レジストインク層を所望の形状にあわせて形成させることをいう。所望の形状が配線形状であれば、パターン状の配線の形成が可能になる。
【0060】
上記直描方式では、例えば、一般的に市販されているインクジェット塗布装置を用いることができる。具体的には、エッチングレジストインクとして調製された上記レジストインクを、ピエゾ型のインクジェットヘッドを用いて基板に向けて吐出し、基板上にレジストインク層を形成するようにすればよい。この場合、レジストインクを粘度が10mPa・s程度になるような温度に加温すれば、解像性がより向上するという点で好ましい。加温の温度は、例えば、25〜60℃の範囲内であってよい。
【0061】
上記基板としては、適宜の基板を使用することができる。基板として、例えば、樹脂基板、セラミック基板、金属基板などが挙げられる。基板として、絶縁基板を用いてもよい。また、導電体を有する積層板を基板として用いてもよい。積層板として銅張り積層板が例示される。
【0062】
レジストインクのインクジェット塗布を行ってパターン状のレジストインク層を形成した後、硬化処理を行う。例えば、レジストインク層に直接または間接的に紫外線を照射し、硬化塗膜を形成させるようにすればよい。紫外線の照射は、例えば、ケミカルランプ、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ又はメタルハライドランプ、LED−UVランプ等を用いればよい。また、硬化工程においては紫外線の他、電子線なども採用することもでき、モノマー等の分子を重合又は架橋させ得る程度のエネルギー量子を有する活性エネルギー線であれば特に制限はない。紫外線照射量は特に限定されるものではないが、例えば、100〜1000mJ/cm
2の範囲内であってよい。
【0063】
尚、上記のように硬化塗膜を形成した後、さらに追加で紫外線を照射することが好ましく、この場合、より確実にレジストインクを硬化させることができ、未反応物も残りにくくすることができる。追加で紫外線を照射する場合、紫外線照射量の合計(元の照射量と追加の照射量を合わせた量)は、例えば、1000〜3000mJ/cm
2の範囲内であってよい。
【0064】
金属などの導電層を有する基板を用いた場合、上記硬化処理を行った後、エッチング処理工程を経ることによって、基板上にパターン状の導電体を容易に形成することができる。エッチング工程では、例えば、エッチング液を用いて、導電層を部分的に除去する。それにより、レジストパターンと同様のパターンの導電層が形成される。
【0065】
レジストインク層は、レジスト剥離液を用いて膨潤剥離させることができる。膨潤剥離工程では、レジストインク層、すなわち、インクジェットエッチングレジスト用紫外線硬化性組成物が硬化されて形成された硬化塗膜が、レジスト剥離液で膨潤し、接着面から剥離し得る。
【0066】
レジスト剥離液としては、アルカリ溶液であることが好ましい。アルカリ溶液は、アルカリ性の水溶液であることが好ましい。それにより、容易に膨潤剥離を行うことができる。例えば、レジスト剥離液として、水酸化ナトリウム水溶液を使用することができる。なお、アルカリ溶液として、アルカリ性の成分を含む有機溶剤を使用してもよいし、有機溶剤を含んだアルカリ性の水溶液を使用してもよい。
【0067】
硬化塗膜の膨潤剥離の方法としては、浸漬させる方法、スプレー塗布により膨潤剥離させる方法、浸漬後に超音波等を照射させる方法等を用いることができる。浸漬させる方法により膨潤剥離を行う場合、例えば、30〜60℃のレジスト剥離液に30秒〜10分間浸漬させるようにすればよい。このような操作は1回行うのみでもよいし、同じ操作を複数回実施してもよい。
【0068】
以上のように、レジストインク層が膨潤剥離されることで、所望のパターンの導電層が得られる。このような工程を経て形成されるパターン状の導電体は、配線回路導体として使用され得る。
【0069】
レジストインク層は、優れた耐酸性を発揮し得る。例えば、レジストインク層は、金属エッチング液中で剥離が生じにくくなる。レジストインク層は良好な硬度を有し得る。例えば、レジストインク層は、鉛筆硬度が高くなり得る。
【0070】
上記のインクジェットエッチングレジスト用紫外線硬化性組成物は、インクジェット塗布に適したものであるため、インクジェット塗布機による塗布で、良好なレジストパターンが形成され得る。そのため、微細な導体パターンを良好に形成することができる。上記のインクジェットエッチングレジスト用紫外線硬化性組成物で形成された塗膜は、色抜けが抑制されているため、パターン形状の確認が容易であり、微細なパターンを歩留まりよく効果的に形成することができるものである。
【0071】
インクジェットエッチングレジスト用紫外線硬化性組成物を硬化させて形成した塗膜は、アルカリ水溶液によって、容易に膨潤剥離され得る。そのため、有用なレジストが提供される。インクジェットエッチングレジスト用紫外線硬化性組成物は、プリント配線板等の製造に有用である。
【実施例】
【0072】
以下、実施例を説明する。本開示のインクジェットエッチングレジスト用紫外線硬化性組成物は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0073】
(実施例1〜20、比較例1〜4)
表1に示す配合組成に従い、実施例及び比較例のインクジェットエッチングレジスト用紫外線硬化性組成物(レジストインク)を調製した。原料の詳細を以下に示す。
【0074】
[(A)成分:染料]
・ソルベントブルー5(オリエント化学製「オイルブルー613」)
・ベーシックブルー7(保土谷化学製「ビクトリアピュアブルーBOH」)
・ソルベントレッド122(BASF製「オラゾールレッド395」)
・ソルベントブルー35(オリエント化学製「オイルブルー2N」)
・ダイレクトブルー87(オリエント化学製「バリファストブルー1621」)
・アシッドブルー9(洛東化学製「ブリリアントブルーFCF」)
[(B)成分:光重合開始剤]
・トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASF製「イルガキュアTPO」、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤)
・ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(BASF製「イルガキュア819」、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤)
・2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(BASF製「イルガキュア651」、アルキルフェノン系光重合開始剤)
[(C)成分:カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル]
・2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸(共栄社製「ライトアクリレートHOA−HH)
・2−アクリロイロキシエチルコハク酸(共栄社製「ライトアクリレートHOA−MS)
[(D)成分:アミド基を有する重合性モノマー]
・N,N−ジエチルアクリルアミド(KJケミカル製「DEAA」)
・4−アクリロイルモルホリン(KJケミカル製「ACMO」)
[(E)成分:上記以外の多官能(メタ)アクリル酸エステル]
・ジプロピレングリコールジアクリレート(ダイセル製「DPGDA」)
・1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(共栄社製「ライトアクリレート1.6HX−A」)
[(F)成分:上記以外の単官能(メタ)アクリル酸エステル]
・フェノキシエチルアクリレート(大阪有機化学製「ビスコート192」)
・イソボニルアクリレート(共栄社製「ライトアクリレート IB−XA」)
・テトラヒドロフルフリルアクリレート(共栄社製「ライトアクリレートTHF−A」)
尚、表1の配合組成の数値は質量部を示している。
【0075】
[調製]
上記原料を表1の配合割合で配合し、60℃まで加温し60分攪拌することでレジストインクを得た。
【0076】
[粘度]
B型粘度計(東京計器製BL型、No.1ローター、60rpm)にて、25℃でのレジストインクの粘度を測定した。また、レジストインクを加温し、粘度が10mPa・sになる温度を測定した。
【0077】
[試験品の作製]
以下の方法により、試験基板を作製した。レジストインクの塗布には、インクジェット塗布装置(マイクロクラフト社製MJP2013KI−DU)を用いた。インクジェットタンクにレジストインクを投入した。次に、レジストインクの粘度が10mPa・sになるように温度を設定し、銅張積層板の上に、膜厚約20μmになるようにレジストインクを塗布した。塗布後、アイグラフィックス社製メタルハライドランプで、塗膜の紫外線硬化(積算光量400mJ/cm
2(オーク製作所製UV−350測定))を行った。塗布パターンとしては、次の2つのパターンで行った。
・塗布パターン1:範囲20mm×70mmのベタ塗り。
・塗布パターン2:櫛形状(ライン幅120μm、スペース幅120μm)。
【0078】
[色抜け]
塗布パターン1の試験基板について、塗膜色調を目視確認して、紫外線照射前の塗膜と比べて色が薄くなっているかどうかを確認した(400mJ/cm
2での色抜け)。また、色調の確認後、追加で紫外線を1600mJ/cm
2で照射(合計2000mJ/cm
2)して、塗膜色調を確認した(2000mJ/cm
2での色抜け)。次の基準により、色抜けを判定した。
○:色調変化なし。
△:やや薄くなる(色が抜ける)。
×:完全に色が抜けて無色になる。
【0079】
[硬度]
塗布パターン1の試験基板について、塗膜硬度に関するJIS K5600−5−4の試験法に準じ、三菱ユニの鉛筆(三菱鉛筆社製)で傷がつかない最も高い硬度を塗膜硬度(鉛筆硬度)とした。
【0080】
[耐酸性]
塗布パターン1の試験基板について、塩化第二鉄水溶液中に40℃で60分間浸漬させた後、水洗し、乾燥後、テープ密着性試験を行った。テープ密着性試験では、セロハン粘着テープによるピーリング試験後の塗膜の剥離の状態を目視により、次の基準に従い判定した。
○:剥離を生じなかった。
△:一部剥離を生じた。
×:全面に剥離を生じた。
【0081】
[アルカリ膨潤剥離性]
塗布パターン1の試験基板について、30℃の3%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、塗膜の膨潤剥離を目視により確認し、次の基準に従い判定した。
○:60秒未満で膨潤剥離した。
△:60秒以上10分未満で膨潤剥離した。
×:10分未満に剥離しなかった。
【0082】
[インクジェット塗布性(ライン明瞭性)]
塗布パターン2の試験基板について、塗膜のライン形状をマイクロスコープで観察し、次の基準に従い判定した。
○:シャープなラインを形成し、サテライト等の飛び散りが発生していない。
△:ラインを形成した。ただし、ラインに僅かな太り細りや、僅かなサテライト等の飛び散りが見られる(パターン形成には影響しない程度)。
×:吐出はするものの、ニジミが大きくラインがつぶれている。
【0083】
[結果]
表1に示すように、実施例のレジストインクから得られた塗膜は、比較例のレジストインクから得られた塗膜よりも色抜けが抑制され、インクジェットエッチングレジストとしての物性が良好な結果が得られている。
【0084】
【表1】