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特許6339927電磁流量計のテスト方法およびテストシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6339927
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】電磁流量計のテスト方法およびテストシステム
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/58 20060101AFI20180528BHJP
   G01F 25/00 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   G01F1/58 Q
   G01F25/00 C
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-247664(P2014-247664)
(22)【出願日】2014年12月8日
(65)【公開番号】特開2016-109572(P2016-109572A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2017年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】岡山 喜彦
【審査官】 細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−043521(JP,U)
【文献】 特表平10−509261(JP,A)
【文献】 特開平08−153052(JP,A)
【文献】 特開2004−003960(JP,A)
【文献】 特開2003−186503(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/170247(WO,A1)
【文献】 特開平08−110252(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/111454(WO,A1)
【文献】 特開2014−006184(JP,A)
【文献】 特開平07−146165(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/58, 1/60
G01F 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テスト装置が電磁流量計の変換器の状態を擬似的に変更するための命令を含む命令フレームを生成する第1のフレーム生成ステップと、
前記テスト装置が前記命令フレームを前記変換器に送信する第1のフレーム送信ステップと、
前記変換器が前記命令フレームを受信する第1のフレーム受信ステップと、
前記変換器が外部からの入力のためにソフトウェア的に生成した入力バッファに、前記変換器が受信した命令フレームに含まれる命令に応じた疑似入力を与える疑似入力実行ステップと、
前記変換器が外部への出力のためにソフトウェア的に生成した出力バッファの内容を読み出す読出ステップと、
前記変換器が前記読出ステップで読み出した出力バッファの内容を含むレスポンスフレームを生成する第2のフレーム生成ステップと、
前記変換器が前記レスポンスフレームを前記テスト装置に送信する第2のフレーム送信ステップと、
前記テスト装置が前記レスポンスフレームを受信する第2のフレーム受信ステップと、
前記テスト装置が前記変換器から受信したレスポンスフレームに含まれる出力バッファの内容と予め記憶されている期待値とを比較する比較ステップとを含み、
前記第1のフレーム生成ステップは、電磁流量計の検出器からの流量信号に相当する疑似入力に任意の振幅のノイズを印加する命令を生成するステップを含み、
前記読出ステップは、前記出力バッファの内容として、少なくとも前記変換器が前記流量信号に相当する疑似入力から演算した流量値を読み出すステップを含むことを特徴とする電磁流量計のテスト方法。
【請求項2】
テスト装置が電磁流量計の変換器の状態を擬似的に変更するための命令を含む命令フレームを生成する第1のフレーム生成ステップと、
前記テスト装置が前記命令フレームを前記変換器に送信する第1のフレーム送信ステップと、
前記変換器が前記命令フレームを受信する第1のフレーム受信ステップと、
前記変換器が外部からの入力のためにソフトウェア的に生成した入力バッファに、前記変換器が受信した命令フレームに含まれる命令に応じた疑似入力を与える疑似入力実行ステップと、
前記変換器が外部への出力のためにソフトウェア的に生成した出力バッファの内容を読み出す読出ステップと、
前記変換器が前記読出ステップで読み出した出力バッファの内容を含むレスポンスフレームを生成する第2のフレーム生成ステップと、
前記変換器が前記レスポンスフレームを前記テスト装置に送信する第2のフレーム送信ステップと、
前記テスト装置が前記レスポンスフレームを受信する第2のフレーム受信ステップと、
前記テスト装置が前記変換器から受信したレスポンスフレームに含まれる出力バッファの内容と予め記憶されている期待値とを比較する比較ステップとを含み、
前記第1のフレーム生成ステップは、電磁流量計の検出器からの流量信号に相当する疑似入力の値を時間的に変化させる命令を生成するステップを含み、
前記読出ステップは、前記出力バッファの内容として、少なくとも前記変換器が前記流量信号に相当する疑似入力から演算した流量の積算パルス数を読み出すステップを含むことを特徴とする電磁流量計のテスト方法。
【請求項3】
テスト装置が電磁流量計の変換器の状態を擬似的に変更するための命令を含む命令フレームを生成する第1のフレーム生成ステップと、
前記テスト装置が前記命令フレームを前記変換器に送信する第1のフレーム送信ステップと、
前記変換器が前記命令フレームを受信する第1のフレーム受信ステップと、
前記変換器が外部からの入力のためにソフトウェア的に生成した入力バッファに、前記変換器が受信した命令フレームに含まれる命令に応じた疑似入力を与える疑似入力実行ステップと、
前記変換器が外部への出力のためにソフトウェア的に生成した出力バッファの内容を読み出す読出ステップと、
前記変換器が前記読出ステップで読み出した出力バッファの内容を含むレスポンスフレームを生成する第2のフレーム生成ステップと、
前記変換器が前記レスポンスフレームを前記テスト装置に送信する第2のフレーム送信ステップと、
前記テスト装置が前記レスポンスフレームを受信する第2のフレーム受信ステップと、
前記テスト装置が前記変換器から受信したレスポンスフレームに含まれる出力バッファの内容と予め記憶されている期待値とを比較する比較ステップとを含み、
前記第1のフレーム生成ステップは、電磁流量計の検出器からの流量信号に相当する疑似入力を与える命令を生成するステップを含み、
前記読出ステップは、前記出力バッファの内容として、少なくとも前記変換器が前記流量信号に相当する疑似入力から演算した流量値の時間的変化を読み出すステップを含むことを特徴とする電磁流量計のテスト方法。
【請求項4】
テスト装置が電磁流量計の変換器の状態を擬似的に変更するための命令を含む命令フレームを生成する第1のフレーム生成ステップと、
前記テスト装置が前記命令フレームを前記変換器に送信する第1のフレーム送信ステップと、
前記変換器が前記命令フレームを受信する第1のフレーム受信ステップと、
前記変換器が外部からの入力のためにソフトウェア的に生成した入力バッファに、前記変換器が受信した命令フレームに含まれる命令に応じた疑似入力を与える疑似入力実行ステップと、
前記変換器が外部への出力のためにソフトウェア的に生成した出力バッファの内容を読み出す読出ステップと、
前記変換器が前記読出ステップで読み出した出力バッファの内容を含むレスポンスフレームを生成する第2のフレーム生成ステップと、
前記変換器が前記レスポンスフレームを前記テスト装置に送信する第2のフレーム送信ステップと、
前記テスト装置が前記レスポンスフレームを受信する第2のフレーム受信ステップと、
前記テスト装置が前記変換器から受信したレスポンスフレームに含まれる出力バッファの内容と予め記憶されている期待値とを比較する比較ステップとを含み、
前記第1のフレーム生成ステップは、前記変換器の故障を発生させるパラメータを前記入力バッファに書き込む命令を生成するステップを含み、
前記読出ステップは、前記出力バッファの内容として、少なくとも前記変換器の状態を示すパラメータを読み出すステップを含むことを特徴とする電磁流量計のテスト方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電磁流量計のテスト方法において、
前記第1のフレーム生成ステップは、事前に作成されたスクリプトに従って前記命令を含む命令フレームを生成するステップを含むことを特徴とする電磁流量計のテスト方法。
【請求項6】
電磁流量計の変換器とテスト装置とからなる電磁流量計のテストシステムにおいて、
前記テスト装置は、
電磁流量計の変換器の状態を擬似的に変更するための命令を含む命令フレームを生成する第1のフレーム生成手段と、
前記命令フレームを前記変換器に送信する第1のフレーム送信手段と、
前記変換器からのレスポンスフレームを受信する第1のフレーム受信手段と、
前記レスポンスフレームに含まれる内容と予め記憶されている期待値とを比較する比較手段とを備え、
前記変換器は、
前記命令フレームを受信する第2のフレーム受信手段と、
外部からの入力のためにソフトウェア的に生成された入力バッファに、前記命令フレームに含まれる命令に応じた疑似入力を与える疑似入力書込手段と、
前記入力バッファに書き込まれた内容に応じた処理を実行する制御手段と、
この制御手段の処理の結果が出力される、外部への出力のためにソフトウェア的に生成された出力バッファの内容を読み出す状態読出手段と、
この状態読出手段が読み出した出力バッファの内容を含むレスポンスフレームを生成する第2のフレーム生成手段と、
前記レスポンスフレームを前記テスト装置に送信する第2のフレーム送信手段とを備え
前記第1のフレーム生成手段は、電磁流量計の検出器からの流量信号に相当する疑似入力に任意の振幅のノイズを印加する命令を生成し、
前記状態読出手段は、前記出力バッファの内容として、少なくとも前記変換器が前記流量信号に相当する疑似入力から演算した流量値を読み出すことを特徴とする電磁流量計のテストシステム。
【請求項7】
電磁流量計の変換器とテスト装置とからなる電磁流量計のテストシステムにおいて、
前記テスト装置は、
電磁流量計の変換器の状態を擬似的に変更するための命令を含む命令フレームを生成する第1のフレーム生成手段と、
前記命令フレームを前記変換器に送信する第1のフレーム送信手段と、
前記変換器からのレスポンスフレームを受信する第1のフレーム受信手段と、
前記レスポンスフレームに含まれる内容と予め記憶されている期待値とを比較する比較手段とを備え、
前記変換器は、
前記命令フレームを受信する第2のフレーム受信手段と、
外部からの入力のためにソフトウェア的に生成された入力バッファに、前記命令フレームに含まれる命令に応じた疑似入力を与える疑似入力書込手段と、
前記入力バッファに書き込まれた内容に応じた処理を実行する制御手段と、
この制御手段の処理の結果が出力される、外部への出力のためにソフトウェア的に生成された出力バッファの内容を読み出す状態読出手段と、
この状態読出手段が読み出した出力バッファの内容を含むレスポンスフレームを生成する第2のフレーム生成手段と、
前記レスポンスフレームを前記テスト装置に送信する第2のフレーム送信手段とを備え、
前記第1のフレーム生成手段は、電磁流量計の検出器からの流量信号に相当する疑似入力の値を時間的に変化させる命令を生成し、
前記状態読出手段は、前記出力バッファの内容として、少なくとも前記変換器が前記流量信号に相当する疑似入力から演算した流量の積算パルス数を読み出すことを特徴とする電磁流量計のテストシステム。
【請求項8】
電磁流量計の変換器とテスト装置とからなる電磁流量計のテストシステムにおいて、
前記テスト装置は、
電磁流量計の変換器の状態を擬似的に変更するための命令を含む命令フレームを生成する第1のフレーム生成手段と、
前記命令フレームを前記変換器に送信する第1のフレーム送信手段と、
前記変換器からのレスポンスフレームを受信する第1のフレーム受信手段と、
前記レスポンスフレームに含まれる内容と予め記憶されている期待値とを比較する比較手段とを備え、
前記変換器は、
前記命令フレームを受信する第2のフレーム受信手段と、
外部からの入力のためにソフトウェア的に生成された入力バッファに、前記命令フレームに含まれる命令に応じた疑似入力を与える疑似入力書込手段と、
前記入力バッファに書き込まれた内容に応じた処理を実行する制御手段と、
この制御手段の処理の結果が出力される、外部への出力のためにソフトウェア的に生成された出力バッファの内容を読み出す状態読出手段と、
この状態読出手段が読み出した出力バッファの内容を含むレスポンスフレームを生成する第2のフレーム生成手段と、
前記レスポンスフレームを前記テスト装置に送信する第2のフレーム送信手段とを備え、
前記第1のフレーム生成手段は、電磁流量計の検出器からの流量信号に相当する疑似入力を与える命令を生成し、
前記状態読出手段は、前記出力バッファの内容として、少なくとも前記変換器が前記流量信号に相当する疑似入力から演算した流量値の時間的変化を読み出すことを特徴とする電磁流量計のテストシステム。
【請求項9】
電磁流量計の変換器とテスト装置とからなる電磁流量計のテストシステムにおいて、
前記テスト装置は、
電磁流量計の変換器の状態を擬似的に変更するための命令を含む命令フレームを生成する第1のフレーム生成手段と、
前記命令フレームを前記変換器に送信する第1のフレーム送信手段と、
前記変換器からのレスポンスフレームを受信する第1のフレーム受信手段と、
前記レスポンスフレームに含まれる内容と予め記憶されている期待値とを比較する比較手段とを備え、
前記変換器は、
前記命令フレームを受信する第2のフレーム受信手段と、
外部からの入力のためにソフトウェア的に生成された入力バッファに、前記命令フレームに含まれる命令に応じた疑似入力を与える疑似入力書込手段と、
前記入力バッファに書き込まれた内容に応じた処理を実行する制御手段と、
この制御手段の処理の結果が出力される、外部への出力のためにソフトウェア的に生成された出力バッファの内容を読み出す状態読出手段と、
この状態読出手段が読み出した出力バッファの内容を含むレスポンスフレームを生成する第2のフレーム生成手段と、
前記レスポンスフレームを前記テスト装置に送信する第2のフレーム送信手段とを備え、
前記第1のフレーム生成手段は、前記変換器の故障を発生させるパラメータを前記入力バッファに書き込む命令を生成し、
前記状態読出手段は、前記出力バッファの内容として、少なくとも前記変換器の状態を示すパラメータを読み出すことを特徴とする電磁流量計のテストシステム。
【請求項10】
請求項6乃至9のいずれか1項に記載の電磁流量計のテストシステムにおいて、
前記第1のフレーム生成手段は、事前に作成されたスクリプトに従って前記命令を含む命令フレームを生成することを特徴とする電磁流量計のテストシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁流量計のテスト方法およびテストシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁流量計のテストは、図6に示すように、電磁流量計の検出器1またはキャリブレータ3を電磁流量計の変換器2に接続して、変換器2から出力される励磁電流に同期した流量信号を検出器1またはキャリブレータ3から変換器2に入力し、変換器2のコンソールで各種設定を行って、変換器2に接続されるオシロスコープ、マルチメータ、パルスカウンタなどの測定器の測定結果や、変換器2のLCD表示器の内容を確認していた(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−146165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のテスト方法では、作業員が手動操作でテストを行うため、テスト項目が多数の場合、入力作業や確認作業が増えて作業員の負担が大きくなるという問題点があった。また、変換器2に流量信号を入力する必要があるテスト項目の場合、変換器2に検出器1を接続して、検出器1に実際に流体を流す必要があり、検出器1の代わりにキャリブレータ3を用意し、手動で操作して、擬似入力を与えるという作業を繰り返す必要があった。また、従来のテスト方法では、作業員が手動操作でテストを行うため、テストの網羅率が低いという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、大量のテストを手間をかけずに自動で実施することができる電磁流量計のテスト方法およびテストシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電磁流量計のテスト方法は、テスト装置が電磁流量計の変換器の状態を擬似的に変更するための命令を含む命令フレームを生成する第1のフレーム生成ステップと、前記テスト装置が前記命令フレームを前記変換器に送信する第1のフレーム送信ステップと、前記変換器が前記命令フレームを受信する第1のフレーム受信ステップと、前記変換器が外部からの入力のためにソフトウェア的に生成した入力バッファに、前記変換器が受信した命令フレームに含まれる命令に応じた疑似入力を与える疑似入力実行ステップと、前記変換器が外部への出力のためにソフトウェア的に生成した出力バッファの内容を読み出す読出ステップと、前記変換器が前記読出ステップで読み出した出力バッファの内容を含むレスポンスフレームを生成する第2のフレーム生成ステップと、前記変換器が前記レスポンスフレームを前記テスト装置に送信する第2のフレーム送信ステップと、前記テスト装置が前記レスポンスフレームを受信する第2のフレーム受信ステップと、前記テスト装置が前記変換器から受信したレスポンスフレームに含まれる出力バッファの内容と予め記憶されている期待値とを比較する比較ステップとを含み、前記第1のフレーム生成ステップは、電磁流量計の検出器からの流量信号に相当する疑似入力に任意の振幅のノイズを印加する命令を生成するステップを含み、前記読出ステップは、前記出力バッファの内容として、少なくとも前記変換器が前記流量信号に相当する疑似入力から演算した流量値を読み出すステップを含むことを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明の電磁流量計のテスト方法は、テスト装置が電磁流量計の変換器の状態を擬似的に変更するための命令を含む命令フレームを生成する第1のフレーム生成ステップと、前記テスト装置が前記命令フレームを前記変換器に送信する第1のフレーム送信ステップと、前記変換器が前記命令フレームを受信する第1のフレーム受信ステップと、前記変換器が外部からの入力のためにソフトウェア的に生成した入力バッファに、前記変換器が受信した命令フレームに含まれる命令に応じた疑似入力を与える疑似入力実行ステップと、前記変換器が外部への出力のためにソフトウェア的に生成した出力バッファの内容を読み出す読出ステップと、前記変換器が前記読出ステップで読み出した出力バッファの内容を含むレスポンスフレームを生成する第2のフレーム生成ステップと、前記変換器が前記レスポンスフレームを前記テスト装置に送信する第2のフレーム送信ステップと、前記テスト装置が前記レスポンスフレームを受信する第2のフレーム受信ステップと、前記テスト装置が前記変換器から受信したレスポンスフレームに含まれる出力バッファの内容と予め記憶されている期待値とを比較する比較ステップとを含み、前記第1のフレーム生成ステップは、電磁流量計の検出器からの流量信号に相当する疑似入力の値を時間的に変化させる命令を生成するステップを含み、前記読出ステップは、前記出力バッファの内容として、少なくとも前記変換器が前記流量信号に相当する疑似入力から演算した流量の積算パルス数を読み出すステップを含むことを特徴とするものである。
また、本発明の電磁流量計のテスト方法は、テスト装置が電磁流量計の変換器の状態を擬似的に変更するための命令を含む命令フレームを生成する第1のフレーム生成ステップと、前記テスト装置が前記命令フレームを前記変換器に送信する第1のフレーム送信ステップと、前記変換器が前記命令フレームを受信する第1のフレーム受信ステップと、前記変換器が外部からの入力のためにソフトウェア的に生成した入力バッファに、前記変換器が受信した命令フレームに含まれる命令に応じた疑似入力を与える疑似入力実行ステップと、前記変換器が外部への出力のためにソフトウェア的に生成した出力バッファの内容を読み出す読出ステップと、前記変換器が前記読出ステップで読み出した出力バッファの内容を含むレスポンスフレームを生成する第2のフレーム生成ステップと、前記変換器が前記レスポンスフレームを前記テスト装置に送信する第2のフレーム送信ステップと、前記テスト装置が前記レスポンスフレームを受信する第2のフレーム受信ステップと、前記テスト装置が前記変換器から受信したレスポンスフレームに含まれる出力バッファの内容と予め記憶されている期待値とを比較する比較ステップとを含み、前記第1のフレーム生成ステップは、電磁流量計の検出器からの流量信号に相当する疑似入力を与える命令を生成するステップを含み、前記読出ステップは、前記出力バッファの内容として、少なくとも前記変換器が前記流量信号に相当する疑似入力から演算した流量値の時間的変化を読み出すステップを含むことを特徴とするものである。
また、本発明の電磁流量計のテスト方法は、テスト装置が電磁流量計の変換器の状態を擬似的に変更するための命令を含む命令フレームを生成する第1のフレーム生成ステップと、前記テスト装置が前記命令フレームを前記変換器に送信する第1のフレーム送信ステップと、前記変換器が前記命令フレームを受信する第1のフレーム受信ステップと、前記変換器が外部からの入力のためにソフトウェア的に生成した入力バッファに、前記変換器が受信した命令フレームに含まれる命令に応じた疑似入力を与える疑似入力実行ステップと、前記変換器が外部への出力のためにソフトウェア的に生成した出力バッファの内容を読み出す読出ステップと、前記変換器が前記読出ステップで読み出した出力バッファの内容を含むレスポンスフレームを生成する第2のフレーム生成ステップと、前記変換器が前記レスポンスフレームを前記テスト装置に送信する第2のフレーム送信ステップと、前記テスト装置が前記レスポンスフレームを受信する第2のフレーム受信ステップと、前記テスト装置が前記変換器から受信したレスポンスフレームに含まれる出力バッファの内容と予め記憶されている期待値とを比較する比較ステップとを含み、前記第1のフレーム生成ステップは、前記変換器の故障を発生させるパラメータを前記入力バッファに書き込む命令を生成するステップを含み、前記読出ステップは、前記出力バッファの内容として、少なくとも前記変換器の状態を示すパラメータを読み出すステップを含むことを特徴とするものである。
また、本発明の電磁流量計のテスト方法の1構成例において、前記第1のフレーム生成ステップは、事前に作成されたスクリプトに従って前記命令を含む命令フレームを生成するステップを含むことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明は、電磁流量計の変換器とテスト装置とからなる電磁流量計のテストシステムにおいて、前記テスト装置は、電磁流量計の変換器の状態を擬似的に変更するための命令を含む命令フレームを生成する第1のフレーム生成手段と、前記命令フレームを前記変換器に送信する第1のフレーム送信手段と、前記変換器からのレスポンスフレームを受信する第1のフレーム受信手段と、前記レスポンスフレームに含まれる内容と予め記憶されている期待値とを比較する比較手段とを備え、前記変換器は、前記命令フレームを受信する第2のフレーム受信手段と、外部からの入力のためにソフトウェア的に生成された入力バッファに、前記命令フレームに含まれる命令に応じた疑似入力を与える疑似入力書込手段と、前記入力バッファに書き込まれた内容に応じた処理を実行する制御手段と、この制御手段の処理の結果が出力される、外部への出力のためにソフトウェア的に生成された出力バッファの内容を読み出す状態読出手段と、この状態読出手段が読み出した出力バッファの内容を含むレスポンスフレームを生成する第2のフレーム生成手段と、前記レスポンスフレームを前記テスト装置に送信する第2のフレーム送信手段とを備え、前記第1のフレーム生成手段は、電磁流量計の検出器からの流量信号に相当する疑似入力に任意の振幅のノイズを印加する命令を生成し、前記状態読出手段は、前記出力バッファの内容として、少なくとも前記変換器が前記流量信号に相当する疑似入力から演算した流量値を読み出すことを特徴とするものである。
また、本発明は、電磁流量計のテストシステムにおいて、テスト装置は、電磁流量計の変換器の状態を擬似的に変更するための命令を含む命令フレームを生成する第1のフレーム生成手段と、前記命令フレームを前記変換器に送信する第1のフレーム送信手段と、前記変換器からのレスポンスフレームを受信する第1のフレーム受信手段と、前記レスポンスフレームに含まれる内容と予め記憶されている期待値とを比較する比較手段とを備え、前記変換器は、前記命令フレームを受信する第2のフレーム受信手段と、外部からの入力のためにソフトウェア的に生成された入力バッファに、前記命令フレームに含まれる命令に応じた疑似入力を与える疑似入力書込手段と、前記入力バッファに書き込まれた内容に応じた処理を実行する制御手段と、この制御手段の処理の結果が出力される、外部への出力のためにソフトウェア的に生成された出力バッファの内容を読み出す状態読出手段と、この状態読出手段が読み出した出力バッファの内容を含むレスポンスフレームを生成する第2のフレーム生成手段と、前記レスポンスフレームを前記テスト装置に送信する第2のフレーム送信手段とを備え、前記第1のフレーム生成手段は、電磁流量計の検出器からの流量信号に相当する疑似入力の値を時間的に変化させる命令を生成し、前記状態読出手段は、前記出力バッファの内容として、少なくとも前記変換器が前記流量信号に相当する疑似入力から演算した流量の積算パルス数を読み出すことを特徴とするものである。
また、本発明は、電磁流量計のテストシステムにおいて、テスト装置は、電磁流量計の変換器の状態を擬似的に変更するための命令を含む命令フレームを生成する第1のフレーム生成手段と、前記命令フレームを前記変換器に送信する第1のフレーム送信手段と、前記変換器からのレスポンスフレームを受信する第1のフレーム受信手段と、前記レスポンスフレームに含まれる内容と予め記憶されている期待値とを比較する比較手段とを備え、前記変換器は、前記命令フレームを受信する第2のフレーム受信手段と、外部からの入力のためにソフトウェア的に生成された入力バッファに、前記命令フレームに含まれる命令に応じた疑似入力を与える疑似入力書込手段と、前記入力バッファに書き込まれた内容に応じた処理を実行する制御手段と、この制御手段の処理の結果が出力される、外部への出力のためにソフトウェア的に生成された出力バッファの内容を読み出す状態読出手段と、この状態読出手段が読み出した出力バッファの内容を含むレスポンスフレームを生成する第2のフレーム生成手段と、前記レスポンスフレームを前記テスト装置に送信する第2のフレーム送信手段とを備え、前記第1のフレーム生成手段は、電磁流量計の検出器からの流量信号に相当する疑似入力を与える命令を生成し、前記状態読出手段は、前記出力バッファの内容として、少なくとも前記変換器が前記流量信号に相当する疑似入力から演算した流量値の時間的変化を読み出すことを特徴とするものである。
また、本発明は、電磁流量計のテストシステムにおいて、テスト装置は、電磁流量計の変換器の状態を擬似的に変更するための命令を含む命令フレームを生成する第1のフレーム生成手段と、前記命令フレームを前記変換器に送信する第1のフレーム送信手段と、前記変換器からのレスポンスフレームを受信する第1のフレーム受信手段と、前記レスポンスフレームに含まれる内容と予め記憶されている期待値とを比較する比較手段とを備え、前記変換器は、前記命令フレームを受信する第2のフレーム受信手段と、外部からの入力のためにソフトウェア的に生成された入力バッファに、前記命令フレームに含まれる命令に応じた疑似入力を与える疑似入力書込手段と、前記入力バッファに書き込まれた内容に応じた処理を実行する制御手段と、この制御手段の処理の結果が出力される、外部への出力のためにソフトウェア的に生成された出力バッファの内容を読み出す状態読出手段と、この状態読出手段が読み出した出力バッファの内容を含むレスポンスフレームを生成する第2のフレーム生成手段と、前記レスポンスフレームを前記テスト装置に送信する第2のフレーム送信手段とを備え、前記第1のフレーム生成手段は、前記変換器の故障を発生させるパラメータを前記入力バッファに書き込む命令を生成し、前記状態読出手段は、前記出力バッファの内容として、少なくとも前記変換器の状態を示すパラメータを読み出すことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業員が手動操作で電磁流量計のテストを行う必要がなくなるので、大量のテストを手間をかけずに実施することができ、網羅率の高いテストを実施することができる。本発明では、変換器とテスト装置だけでテストを実施することができる。また、本発明では、表示器や測定器の内容を記録する必要がないので、確認ミスを低減することができ、製品やテストに熟練した作業員でなくてもテストできる。また、本発明では、テストを自動で実施することができ、テストの実施中に作業員がいる必要がないので、休日や夜間等でもテストを実施することができる。また、本発明では、変換器のソフトウェアに問題が見つかった場合でも、ソフトウェアの修正後のテストで問題がなければよいので、修正後の確認を容易に行うことができる。
【0011】
また、本発明では、電磁流量計の検出器からの流量信号に相当する疑似入力に任意の振幅のノイズを印加する命令を生成し、出力バッファの内容として、変換器が流量信号に相当する疑似入力から演算した流量値を読み出すことにより、電磁流量計の検出器の測定管に異物が付着しているかどうかを診断する付着診断機能をテストしたり、流量信号のデジタル値のダンピング処理機能や移動平均算出機能の効果をテストしたりすることができる。
【0012】
また、本発明では、電磁流量計の検出器からの流量信号に相当する疑似入力の値を時間的に変化させる命令を生成し、出力バッファの内容として、変換器が流量信号に相当する疑似入力から演算した流量の積算パルス数を読み出すことにより、積算パルスの妥当性を確認することができる。
【0013】
また、本発明では、入力バッファに疑似入力が与えられた時点から、外部から指定された遅延時間の経過後に出力バッファの内容を読み出すことにより、表示や各種出力に処理時間を要するものであっても安定した値を読み出すことができる。
【0014】
また、本発明では、電磁流量計の検出器からの流量信号に相当する疑似入力を与える命令を生成し、出力バッファの内容として、変換器が流量信号に相当する疑似入力から演算した流量値の時間的変化を読み出すことにより、流量信号のデジタル値のダンピング処理機能や移動平均算出機能などの時間の要素を含む機能をテストすることができる。
【0015】
また、本発明では、変換器の故障を発生させるパラメータを入力バッファに書き込む命令を生成し、出力バッファの内容として、変換器の各種出力や異常表示を読み出すことにより、変換器の故障発生時の挙動をテストすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態に係る電磁流量計のテストシステムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態に係る電磁流量計の変換器のCPUの機能ブロック図である。
図3】本発明の実施の形態に係る電磁流量計のテストシステムのテスト装置の構成を示すブロック図である。
図4】本発明の実施の形態に係る電磁流量計のテスト方法を説明するフローチャートである。
図5】本発明の実施の形態におけるテスト装置のテスト画面の1例を示す図である。
図6】電磁流量計の従来のテスト方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態に係る電磁流量計のテストシステムの構成を示すブロック図である。本実施の形態のテストシステムは、電磁流量計の変換器2aと、PC(Personal Computer)からなるテスト装置4とから構成される。
【0018】
変換器2aは、励磁電流を出力する励磁回路20と、入力された流量信号を増幅する増幅回路21と、増幅された流量信号を流量値や流速値に変換するCPU(Central Processing Unit)22と、変換器2aの設定や電磁流量計のユーザへの情報表示のための設定・表示器23と、HART(Highway Addressable Remote Transducer)通信やSFC(Smart Field Communicator)通信、フィールドバス通信などでテスト装置4と通信を行うための通信インタフェース24と、流量値や流速値を示すアナログ信号を出力するアナログ出力回路25と、流量値や流速値を示すデジタル信号を出力するデジタル出力回路26と、例えば流量レンジ切り換えやゼロ調整、流量積算値のセット/リセットなどのための接点入力回路27と、警報出力や状態情報出力などの外部出力のための接点出力回路28と、断線や、空検知、電源異常などの機器の状態入力のためのポート入力回路29とを備えている。
【0019】
CPU22は、図2に示すように、AD(Analog-to-Digital)コンバータ220と、記憶手段221とを有すると共に、外部からの入力のための入力バッファ222と、入力バッファ222に書き込まれた内容に応じた処理や変換器2aの状態に応じた処理を行う制御手段223と、外部への出力のための出力バッファ224と、テスト装置4からの命令フレームを受信するフレーム受信手段225と、受信した命令フレームに含まれる命令を解析する命令解析手段226と、命令に応じた疑似入力を入力バッファ222に与える疑似入力書込手段227と、出力バッファ224の内容を読み出す状態読出手段228と、状態読出手段228が読み出した出力バッファ224の内容を含むレスポンスフレームを生成するフレーム生成手段229と、レスポンスフレームをテスト装置4に送信するフレーム送信手段230とを構成している。
【0020】
通常の計測時には、変換器2aは、電磁流量計の検出器の励磁コイルに励磁電流を供給し、検出器から入力される流量信号(起電力)を増幅回路21で増幅する。増幅された流量信号は、CPU22内のADコンバータ220によってデジタル信号に変換される。
【0021】
制御手段223は、ソフトウェア的に生成された入力バッファ222を介してADコンバータ220の出力値を受け取り、この出力値を流量値や流速値に変換し、ソフトウェア的に生成された出力バッファ224を介して流量値や流速値をアナログ出力回路25やデジタル出力回路26、あるいは設定・表示器23に出力する。こうして、流量値や流速値をアナログ出力回路25やデジタル出力回路26を介して外部に出力したり、設定・表示器23で表示したりする。
【0022】
また、制御手段223は、設定・表示器23から入力バッファ222を介して受け取った押しボタン入力、接点入力回路27から入力バッファ222を介して受け取った外部接点入力、またはポート入力回路29から入力バッファ222を介して受け取ったポート入力に応じた処理を行うと共に、電磁流量計の状態情報や異常発生時の警報などを出力バッファ224を介して接点出力回路28に出力する。ただし、本実施の形態では、変換器2aとテスト装置4のみで電磁流量計のテストを行うため、変換器2aに検出器を接続する必要はない。
【0023】
通信インタフェース24と接続されるテスト装置4は、図3に示すように、変換器2aと通信を行うための通信インタフェース40と、テスト用の命令を含む命令フレームを生成するフレーム生成手段41と、命令フレームを変換器2aに送信するフレーム送信手段42と、テスト装置4からのレスポンスフレームを受信するフレーム受信手段43と、受信したレスポンスフレームに含まれる内容を取り出すレスポンス解析手段44と、レスポンス解析手段44が取り出した内容と後述する記憶手段に予め記憶されている期待値とを比較する比較手段45と、記憶手段46と、キーボードやマウス等の入力装置47と、液晶ディスプレイ等の表示装置48とを備えている。
【0024】
以下、本実施の形態のテスト方法を図4のフローチャートを用いて説明する。変換器2aのCPU22は、CPU22の内部に配置される記憶手段221に格納されたプログラムまたは外部に配置される記憶装置(不図示)に格納されたプログラムに従って入力バッファ222、制御手段223、出力バッファ224、フレーム受信手段225、命令解析手段226、疑似入力書込手段227、状態読出手段228、フレーム生成手段229、フレーム送信手段230として機能し、以下の処理を実行する。
【0025】
まず、テスト装置4のフレーム生成手段41は、記憶手段46に格納されたスクリプト(プログラム)に従ってテスト用の命令文を生成し、この命令文を含む命令フレームを生成する(図4ステップS1)。
テスト装置4のフレーム送信手段42は、フレーム生成手段41によって生成された命令フレームを、通信インタフェース40を介して変換器2aに送信する(図4ステップS2)。
【0026】
変換器2aのフレーム受信手段225は、通信インタフェース24を介してテスト装置4からの命令フレームを受信する(図4ステップS3)。
変換器2aの命令解析手段226は、受信した命令フレームから命令文を取り出して、命令文を解析する(図4ステップS4)。
【0027】
変換器2aの疑似入力書込手段227は、命令文の解析結果に応じた処理を実行する(図4ステップS5)。具体的には、疑似入力書込手段227は、命令文で指定された疑似入力を入力バッファ222に書き込む。
【0028】
テスト装置4のフレーム生成手段41が生成する命令としては、設定・表示器23の押しボタン入力に相当する疑似入力を与える命令、接点入力回路27からの外部接点入力に相当する疑似入力を与える命令、ポート入力回路29からのポート入力に相当する疑似入力を与える命令、流量信号のデジタル値(ADコンバータ220の出力値)に相当する疑似入力を与える命令、例えば流量レンジや検出器の口径などのパラメータを書き込む命令、パラメータを読み出す命令などがある。
【0029】
疑似入力書込手段227は、命令解析手段226が解析した命令が、押しボタン入力に相当する疑似入力を与える命令であった場合、当該押しボタン入力と同等の状態になるように入力バッファ222に対して値の書き込みを行う。これにより、制御手段223は、入力バッファ222に書き込まれた値に応じて、押しボタン入力時と同じ所定の処理を行い、必要に応じて処理結果を出力バッファ224に書き込む。
【0030】
疑似入力書込手段227は、命令解析手段226が解析した命令が、外部接点入力に相当する疑似入力を与える命令であった場合、当該外部接点入力と同等の状態になるように入力バッファ222に対して値の書き込みを行う。これにより、制御手段223は、入力バッファ222に書き込まれた値に応じて、外部接点入力時と同じ所定の処理を行い、必要に応じて処理結果を出力バッファ224に書き込む。
【0031】
疑似入力書込手段227は、命令解析手段226が解析した命令が、ポート入力に相当する疑似入力を与える命令であった場合、当該ポート入力と同等の状態になるように入力バッファ222に対して値の書き込みを行う。これにより、制御手段223は、入力バッファ222に書き込まれた値に応じて、ポート入力時と同じ所定の処理を行い、必要に応じて処理結果を出力バッファ224に書き込む。
【0032】
疑似入力書込手段227は、命令解析手段226が解析した命令が、流量信号のデジタル値に相当する疑似入力を与える命令であった場合、当該流量信号の入力と同等の状態になるように入力バッファ222に対して値の書き込みを行う。これにより、制御手段223は、入力バッファ222に書き込まれた値に応じて、流量信号入力時と同じ流量値演算処理または流速値演算処理を行い、必要に応じて処理結果を出力バッファ224に書き込む。
【0033】
疑似入力書込手段227は、命令解析手段226が解析した命令が、パラメータを書き込む命令であった場合、この命令で指定されたパラメータを入力バッファ222に書き込む。これにより、指定されたパラメータが制御手段223に設定されることになる。制御手段223は、パラメータの設定に対し、必要に応じて所定の処理を行い、処理結果を出力バッファ224に書き込む。
【0034】
次に、変換器2aの状態読出手段228は、出力バッファ224の内容を読み出す(図4ステップS6)。
変換器2aのフレーム生成手段229は、状態読出手段228が読み出した出力バッファ224の内容を含むレスポンスフレームを生成する(図4ステップS7)。
変換器2aのフレーム送信手段230は、フレーム生成手段229によって生成されたレスポンスフレームを、通信インタフェース24を介してテスト装置4に送信する(図4ステップS8)。
【0035】
テスト装置4のフレーム受信手段43は、通信インタフェース40を介して変換器2aからのレスポンスフレームを受信する(図4ステップS9)。
テスト装置4のレスポンス解析手段44は、受信したレスポンスフレームから出力バッファ224の内容を取り出し(図4ステップS10)、取り出した内容を記憶手段46に記録する(図4ステップS11)。
【0036】
次に、テスト装置4の比較手段45は、ステップS11で記憶手段46に記録された出力バッファ224の内容と、記憶手段46に予め記憶されている期待値とを比較する(図14ステップS12)。期待値は、ステップS1,S2で送信した命令に応じて変換器2aで実行される処理の結果として出力バッファ224に書き込まれる内容の期待される値を示している。
【0037】
比較手段45は、ステップS11で記憶手段46に記録された内容と期待値とが一致する場合、正常と判定し、一致しない場合、異常(エラー)と判定する。比較手段45の判定結果は、表示装置48の画面に表示される。こうして、電磁流量計のテストが終了する。スクリプト(プログラム)で定められたテスト項目が複数ある場合には、図4の処理を繰り返し実行することになる。
【0038】
図5はスクリプトの生成とテストの実行を行うテスト装置4のテスト画面の1例を示す図である。図5に示すように、テスト装置4の画面には、変換器2aの設定・表示器23のLCD表示器に対応する表示を行うための表示部50と、設定・表示器23の入力キーに対応する疑似入力を行うためのキー入力部51と、スクリプトを表示するスクリプト表示部52と、外部接点入力やポート入力に対応する疑似入力を行うためのポート入力部53と、パラメータ入出力のためのパラメータ入出力部54と、流量信号のデジタル値に対応する疑似入力を行うためのAD入力部55と、スクリプトファイルの操作のためのファイル操作部56などが表示されている。
【0039】
作業員は、図5に示したような画面に対して操作を行うことにより、電磁流量計のテストの内容をテスト装置4に対して指示するためのプログラムであるスクリプトを作成する。スクリプトの作成後に、作業員がファイル操作部56を操作すると、テスト装置4は、スクリプトに従って図4で説明した一連の処理を実行して結果をスクリプト表示部52に表示する。また、出力バッファ224の内容のうち、設定・表示器23のLCD表示器の表示内容は表示部50に表示される。
【0040】
スクリプトに記述される命令としては、例えば初期化(工場出荷時設定に戻す)ことを命令する「INI」、設定・表示器23の入力キーの操作と同じ状態を作り出すことを命令する「KEY」、外部接点入力やポート入力を強制的にON/OFFすることを命令する「FSW」、外部接点入力やポート入力を強制的に解除することを命令する「RSW」、指定した値のパラメータを書き込むことを命令する「SET」、パラメータを読み出して比較することを命令する「CHK」、出力バッファ224の履歴を読み出してチェックする命令「TRN」、流量信号のデジタル値を疑似入力することを命令する「ADC」などがある。
【0041】
また、出力バッファ224の内容としては、例えば設定・表示器23のメインLCDの表示内容、設定・表示器23のサブLCDの上段の表示内容、設定・表示器23のサブLCDの下段の表示内容、外部接点入力やポート入力、接点出力の状態を示す値、変換器2aの状態を示す内部ステータスフラグ、流量値を示す4〜20mAの電流値、流量値とその単位、予め決められた流量が積算される毎に制御手段223から出力される積算パルスの数、積算パルス数に所定の重みを掛けた積算値などがある。
【0042】
こうして、本実施の形態では、作業員が手動操作で電磁流量計のテストを行う必要がなくなるので、大量のテストを手間をかけずに実施することができ、網羅率の高いテストを実施することができる。本実施の形態では、変換器とテスト装置だけでテストを実施することができる。スクリプトは再利用できるので、退行テストを自動化することができる。また、本実施の形態では、表示器や測定器の内容を記録する必要がないので、確認ミスを低減することができ、製品やテストに熟練した作業員でなくてもテストできる。また、本実施の形態では、テストを自動で実施することができ、テストの実施中に作業員がいる必要がないので、休日や夜間等でもテストを実施することができる。テストの進捗は、スクリプトとエラーの件数で定量的に把握することができる。また、本実施の形態では、変換器2aのソフトウェアに問題が見つかった場合でも、ソフトウェアの修正後のテストで問題がなければよいので、修正後の確認を容易に行うことができる。
【0043】
なお、本実施の形態によれば、単純なテストでなく、より網羅率の高いテストを実施することが可能である。
(1)例えば、AD入力部55を操作してスクリプトを作成することで、流量信号のデジタル値(ADコンバータ220の出力値)に相当する疑似入力に、乱数により任意の振幅のノイズを印加することができる。この入力に対して、出力バッファ224の内容を読み出すことにより、制御手段223の機能をテストすることができる。具体的には、電磁流量計の検出器の測定管に異物が付着している場合現れる高周波ノイズで付着診断機能が正しく動作するかをテストしたり、流量信号のデジタル値のダンピング処理機能や移動平均算出機能の効果をテストしたりすることができる。
【0044】
(2)また、AD入力部55を操作してスクリプトを作成することで、流量信号のデジタル値を、ゼロ点→指定時間任意の値→ゼロ点、というパターンで変化させることができる。出力バッファ224の内容として、積算パルス数を読み出すことにより、積算パルスの妥当性を確認することができる。
【0045】
(3)また、パラメータ入出力部54を操作してスクリプトを作成し、遅延時間を設定することで、擬似入力後に出力バッファ224を読みにいく時間を1ms単位で遅らせることができる。状態読出手段228は、入力バッファ222に疑似入力が与えられた時点から、指定された遅延時間の経過後に出力バッファ224の内容を読み出すので、表示や出力が安定したところで出力バッファ224の内容を読み出すことができ、テストの再現性を向上させることができる。
【0046】
(4)また、パラメータ入出力部54を操作してスクリプトを作成することで、流量信号のデジタル値の疑似入力後の流量値の過渡状態を例えば最大1000点(20秒)にわたって読み出すことができる。これにより、流量信号のデジタル値のダンピング処理機能や移動平均算出機能などの時間の要素を含む機能をテストすることができる。
【0047】
(5)また、パラメータ入出力部54を操作してスクリプトを作成することで、変換器2aのハードウェアに設定されているパラメータ、例えばハードウェアタイマの設定値を出力バッファ224を介して読み出すことができる。これにより、流量値を示す4〜20mAのPWM(Pulse Width Modulation)出力タイミングや、励磁電流の出力タイミング、ADコンバータ220のサンプルホールドのタイミングなどを決めているハードウェアタイマに設定した値をチェックすることができ、外部の測定器が無くてもソフトウェアとしての機能はすべてテストすることができる。
【0048】
(6)また、パラメータ入出力部54を操作してスクリプトを作成し、パラメータを書き込むことで、変換器2aの重故障を強制的に発生させることができる。このパラメータの書き込みに対して、出力バッファ224の内容として、変換器2aの状態を示すパラメータ(内部ステータスフラグ)や変換器の各種出力や異常表示などを読み出すことにより、変換器2aの重故障発生時の挙動をテストすることができる。
【0049】
本実施の形態で説明したテスト装置4は、CPU、記憶装置及びインタフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。テスト装置4のCPUは、記憶装置に格納されたプログラムに従って本実施の形態で説明した処理を実行する。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、電磁流量計をテストする技術に適用することができる。
【符号の説明】
【0051】
2a…変換器、4…テスト装置、20…励磁回路、21…増幅回路、22…CPU、23…設定・表示器、24…通信インタフェース、25…アナログ出力回路、26…デジタル出力回路、27…接点入力回路、28…接点出力回路、29…ポート入力回路、40…通信インタフェース、41…フレーム生成手段、42…フレーム送信手段、43…フレーム受信手段、44…レスポンス解析手段、45…比較手段、46…記憶手段、47…入力装置、48…表示装置、220…ADコンバータ、221…記憶手段、222…入力バッファ、223…制御手段、224…出力バッファ、225…フレーム受信手段、226…命令解析手段、227…疑似入力書込手段、228…状態読出手段、229…フレーム生成手段、230…フレーム送信手段。
図1
図2
図3
図4
図5
図6