特許第6339935号(P6339935)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6339935作業順序計画装置、作業順序計画方法及び作業順序計画プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6339935
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】作業順序計画装置、作業順序計画方法及び作業順序計画プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20180528BHJP
   B62D 65/18 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   G05B19/418 Z
   B62D65/18 D
【請求項の数】11
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-266944(P2014-266944)
(22)【出願日】2014年12月29日
(65)【公開番号】特開2016-126529(P2016-126529A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2017年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000153443
【氏名又は名称】株式会社 日立産業制御ソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】相田 真
(72)【発明者】
【氏名】水谷 潤
【審査官】 大野 明良
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−348850(JP,A)
【文献】 特開平04−105855(JP,A)
【文献】 特開2001−154721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
B62D 41/00 −67/00
B65G 1/137
B65G 61/00
G06Q 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の個数を前記物品の種類ごとに受け付け、
前記受け付けた物品の個数に基づいて、減算値を前記物品の種類ごとに算出し、
前記算出した減算値に基づいて、各物品に共通の初期値を算出し、
初回処理として、
前記初期値から前記減算値を減算した結果である判定値を前記物品の種類ごとに算出し、
前記判定値が最小となる前記物品の種類を作業対象として決定し、
次回処理として、
前記初回処理又は直前の次回処理において作業対象として決定した物品の種類の判定値に対して前記初期値を加算し、
前記加算後の判定値及び前記作業対象として決定した物品の種類以外の物品の種類の判定値から前記減算値を減算した結果である判定値を前記物品の種類ごとに算出し、
前記加算後の判定値及び前記作業対象として決定した物品の種類以外の物品の種類の判定値から前記減算値を減算した結果である判定値が最小となる前記物品の種類を作業対象として決定し、
前記初回処理の終了後、前記次回処理を所定の回数だけ繰り返す制御部と、
前記決定した作業対象を前記初回処理及び前記次回処理の順序に関連付けて格納する記憶部と、
を備えることを特徴とする作業順序計画装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記順序のうち、変更を要する作業対象に関連付けられた順序を受け付け、
前記受け付けた順序の前記初回処理又は前記次回処理を起点として、前記受け付けた順序以降の前記初回処理又は前記次回処理を繰り返すこと、
を特徴とする請求項1に記載の作業順序計画装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記判定値が最小となる前記物品の種類が複数存在する場合は、
所定の優先順位に基づき、前記作業対象を1つ決定すること、
を特徴とする請求項2に記載の作業順序計画装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記物品の種類ごとの前記物品の個数が前記物品の総数に占める百分率に基づいて、前記減算値を算出すること、
を特徴とする請求項3に記載の作業順序計画装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記物品の種類ごとに算出した減算値の合計値を前記初期値とすること、
を特徴とする請求項4に記載の作業順序計画装置。
【請求項6】
前記制御部は、
変更後の前記減算値又は変更後の前記初期値を受け付け、
前記受け付けた変更後の前記減算値又は変更後の前記初期値に基づき、前記初回処理又は前記次回処理を実行すること、
を特徴とする請求項5に記載の作業順序計画装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記決定した作業対象を前記順序に関連付けて表示すること、
を特徴とする請求項6に記載の作業順序計画装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記算出した判定値を前記順序に関連付けて表示すること、
を特徴とする請求項7に記載の作業順序計画装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記変更を要する作業対象に関連付けられた順序を受け付けた後に決定した作業対象、及び、前記変更を要する作業対象に関連付けられた順序を受け付ける前に決定した作業対象を前記順序ごとに表示すること、
を特徴とする請求項8に記載の作業順序計画装置。
【請求項10】
制御部は、
物品の個数を前記物品の種類ごとに受け付け、
前記受け付けた物品の個数に基づいて、減算値を前記物品の種類ごとに算出し、
前記算出した減算値に基づいて、各物品に共通の初期値を算出し、
初回処理として、
前記初期値から前記減算値を減算した結果である判定値を前記物品の種類ごとに算出し、
前記判定値が最小となる前記物品の種類を作業対象として決定し、
次回処理として、
前記初回処理又は直前の次回処理において作業対象として決定した物品の種類の判定値に対して前記初期値を加算し、
前記加算後の判定値及び前記作業対象として決定した物品の種類以外の物品の種類の判定値から前記減算値を減算した結果である判定値を前記物品の種類ごとに算出し、
前記加算後の判定値及び前記作業対象として決定した物品の種類以外の物品の種類の判定値から前記減算値を減算した結果である判定値が最小となる前記物品の種類を作業対象として決定し、
前記初回処理の終了後、前記次回処理を所定の回数だけ繰り返し、
記憶部は、
前記決定した作業対象を前記初回処理及び前記次回処理の順序に関連付けて格納すること、
を特徴とする、前記制御部及び前記記憶部を備える作業順序計画装置の作業順序計画方法。
【請求項11】
作業順序計画装置の制御部に対して、
物品の個数を前記物品の種類ごとに受け付け、
前記受け付けた物品の個数に基づいて、減算値を前記物品の種類ごとに算出し、
前記算出した減算値に基づいて、各物品に共通の初期値を算出し、
初回処理として、
前記初期値から前記減算値を減算した結果である判定値を前記物品の種類ごとに算出し、
前記判定値が最小となる前記物品の種類を作業対象として決定し、
次回処理として、
前記初回処理又は直前の次回処理において作業対象として決定した物品の種類の判定値に対して前記初期値を加算し、
前記加算後の判定値及び前記作業対象として決定した物品の種類以外の物品の種類の判定値から前記減算値を減算した結果である判定値を前記物品の種類ごとに算出し、
前記加算後の判定値及び前記作業対象として決定した物品の種類以外の物品の種類の判定値から前記減算値を減算した結果である判定値が最小となる前記物品の種類を作業対象として決定し、
前記初回処理の終了後、前記次回処理を所定の回数だけ繰り返す処理を実行させ、
前記作業順序計画装置の記憶部に対して、
前記決定した作業対象を前記初回処理及び前記次回処理の順序に関連付けて格納する処理を実行させること、
を特徴とする前記作業順序計画装置を機能させるための作業順序計画プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業順序計画装置、作業順序計画方法及び作業順序計画プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車体は、多くの部品から構成され、組み立て等の工程の数も多い。ある1つの工程の例として、バンパ(緩衝器)を塗装する作業を想定する。例えば、異なる車体の種類のバンパが、1個ずつ作業場に搬出される。すると、工員がバンパに対して塗装を行う。他の例では、異なる車体の種類のバンパが一列になって次々に作業場に流れてくる。すると、産業ロボットが、その流れに対して、車体の種類ごとに異なる仕様で塗装を行う。このとき、複数の車体の種類のバンパを、どのような順序で作業場に搬出するか又は流すかが問題となる。なぜならば、作業順序によっては、作業効率に大きな差が生じるからである。そこで、近時、生産拠点における作業順序をコンピュータで計画することが盛んに行われている。
【0003】
特許文献1は、“PBS(ペインテッド・ボディー・ストレージ)用搬出車体決定方法”を開示している。特許文献1の図2に注目すると、車体の種類ごとに複数本並列にならんだ貯留レーンのいずれかから、車体が1台ずつトリムバッファに搬出される。このとき、当該搬出車体決定方法は、どの種類の車体をどのような順序で搬出するかという搬出順序を“ターリー計算”によって計画する。ターリー計算の詳細については後記するが、ここでは、その決定方法の要点を説明する。
【0004】
当該搬出車体決定方法は、(i)車体の種類ごとの個数を総数で除算し、車体の種類ごとの出現確率を求める。例えば、車体の種類が3種類(A、B及びC)存在し、Aの出現確率が“0.2”であり、Bの出現確率が“0.3”であり、Cの出現確率が“0.5”であるとする。(ii)当該搬出車体決定方法は、3つの種類に共通の初期値を“0.0”に設定し、その初期値に対して、それぞれの出現確率“0.2”、“0.3”及び“0.5”を加算していく。このようにすると、n回目の加算において、加算された値が車体の種類ごとに算出される。この加算された値を“判定値”と呼ぶ。
【0005】
(iii)そして、例えばn回目の加算によって、Cの判定値が“1.0”に達した場合、Cを搬出するものとする。複数の車体の種類の判定値が“1.0”に達した場合、複数の車体を一度に搬出するものとする。さらに、いずれの車体の種類の判定値も“1.0”に達しない場合、搬出する車体は“なし”とする。(iv)このような処理を繰り返すと、“(なし,C,なし,B及びC,A,・・・)”という順列型式の作業順序が得られる。この例では、10回目の加算までに、Aが2回搬出され、Bが3回搬出され、Cが5回搬出されることになり、これらの比率は、出現確率に一致している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−348850号公報(段落0018〜20、図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
実際の現場においては、作業に必要な原材料等の備蓄状態、工員の出勤状態、産業ロボットの利用可能性等の諸条件が日常的に変化する。よって、出現確率を基準にするターリー計算によって計画されていた作業順序を、ユーザ(工場管理者)が手動で変更しなければならない場合が頻繁に生じる。
【0008】
例えば、車体の種類Aに対する作業を後回しにしてCの作業を先に行わなければならない事情が発生したとする。つまり、ユーザは、“m”回目に搬出されるべき車体の種類をAからCに変更したい。そのためには、“m”回目のAの判定値を“x”だけ減少させて、その代わりにCの判定値を“y”だけ増加させればよい”と考える。しかしながら、ユーザがこのような判断及び実際の操作を直感的に行うことは非常に困難である。なぜならば、前記の“(なし,C,なし,B及びC,A,・・・)”に再度注目すると、n回目に対応する車体の種類がない場合、及び、複数存在する場合がある。つまり、n回目と車体の種類とが1対1に対応していないからである。
そこで、本発明は、ユーザが直感的に変更しやすい作業順序を作成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の作業順序計画装置は、物品の個数を物品の種類ごとに受け付け、受け付けた物品の個数に基づいて、減算値を物品の種類ごとに算出し、算出した減算値に基づいて、各物品に共通の初期値を算出し、初回処理として、初期値から減算値を減算した結果である判定値を物品の種類ごとに算出し、判定値が最小となる物品の種類を作業対象として決定し、次回処理として、初回処理又は直前の次回処理において作業対象として決定した物品の種類の判定値に対して初期値を加算し、加算後の判定値及び作業対象として決定した物品の種類以外の物品の種類の判定値から減算値を減算した結果である判定値を物品の種類ごとに算出し、加算後の判定値及び作業対象として決定した物品の種類以外の物品の種類の判定値から減算値を減算した結果である判定値が最小となる物品の種類を作業対象として決定し、初回処理の終了後、次回処理を所定の回数だけ繰り返す制御部と、決定した作業対象を初回処理及び次回処理の順序に関連付けて格納する記憶部と、を備える。
その他の手段については、発明を実施するための形態のなかで説明する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザが直感的に変更しやすい作業順序を作成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】作業内容を説明する図である。
図2】既存技術における作業予定表を説明する図である。
図3】本実施形態における作業予定表を説明する図である。
図4】作業内容の他の例を説明する図である。
図5】(a)は、既存技術における出現確率の一例である。(b)、(c)及び(d)は、既存技術における判定値推移表の一例である。
図6】(a)は、本実施形態における減算値の一例である。(b)及び(c)は、本実施形態における判定値推移表の一例である。
図7】作業順序計画装置の構成を説明する図である。
図8】作業順序作成処理手順のフローチャートである。
図9】作業順序再作成処理手順のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以降、本発明を実施するための形態(“本実施形態”という)を、図等を参照しながら詳細に説明する。本実施形態は、車体に取り付けるバンパを塗装する作業に本発明を適用する例である。もちろん、本発明を他の作業に適用することも可能であるし、車体関連物品以外の物品に対する作業に適用することも可能である。
【0013】
(作業内容の例)
図1に沿って、作業内容を説明する。未塗装スペースに、10個のバンパが仮置きされている。これらのバンパは、ある1日において塗装を完了するべきバンパである。バンパの種類は、車体A用のバンパA(図1では“バA”と略して記載、他のバンパも同様)、車体B用のバンパB及び車体C用のバンパCの3種類である。
作業順序1において、未塗装スペースに仮置きされているバンパのうち1個が、作業対象として作業場に搬出される。ここでは、例えば “バンパC”が搬出される。すると、工員(図示せず)は、作業場においてバンパCに対し所定の塗装を施す。その後、塗装済のバンパは、塗装済スペースに移動される。
【0014】
時間が経過し、作業順序2において、未塗装スペースに仮置きされているバンパのうち1個が、作業対象として作業場に搬出される。ここでは、例えば“バンパB”が搬出される。すると、工員は、作業場においてバンパBに対し所定の塗装を施す。その後、塗装済のバンパは、塗装済スペースに移動される。同様に、さらに時間が経過し、作業順序3においてはバンパAが、その後、作業順序4においてはバンパCが作業場において塗装される。当然のことながら、バンパの種類によって、塗装の仕様は異なる。よって、作業場で作業する工員の技能、使用される塗料、塗装の方法、作業時間等の作業内容は、バンパの種類ごとに異なる。
【0015】
図1では、バンパAに対して30分の作業時間、バンパBに対して40分の作業時間、バンパCに対して45分の作業時間が割り当てられている。ここでは、わかり易さを優先して、作業時間を長めに設定している。実際には、最新鋭の生産現場においては、作業時間はこの例よりも遥かに短い。
【0016】
図1は、ターリー計算によって、(C,B,A,C,・・・)という作業順序が作成された場合に対応している。この作業順序に含まれるC,B,A,C,・・・のそれぞれは、一見、 “n回目”の出現確率の加算に関連付けられているように見える。しかしながらそうではない。前記したように、ターリー計算においては、n回目の加算によって、あるバンパの種類の判定値が“1.0”に達した場合、当該種類のバンパを搬出する。
【0017】
逆にいえば、n回目の加算によって、いずれのバンパの種類の判定値も“1.0”に達しない場合、搬出するべきバンパの種類は決定されない。さらに、n回目の加算によって、複数のバンパの種類の判定値が“1.0”に達した場合、搬出するべきバンパの種類が2つ決定されることになる。つまり、(C,B,A,C,・・・)という作業順序の各成分は、“n回目”の加算の結果という位置座標的な番号に1対1に関連付けられているのではなく、単に、搬出するべきバンパの種類として出力された結果を、出力された順で並べたものに過ぎない。
【0018】
(C,B,A,C,・・・)という作業順序の各成分が、偶然“n回目”に1対1に関連付けられている場合もある。前記から明らかなように、n回目の出現確率の加算の際に、搬出するべき唯一のバンパの種類が決定されれば、(C,B,A,C,・・・)という作業順序の各成分は、“n回目”に1対1に関連付けられることになる。しかしながら、この結果はあくまでも偶然の所産である。
【0019】
以降、“n回目”と“バンパの種類”とが1対1に対応している計算結果を “理想型”と呼ぶことがある。一般にターリー計算は、各種のバンパがほぼ同時に未塗装スペースからなくなることを担保する。さらに理想型は、“n回目”と“バンパの種類”が1対1に対応しているので、ユーザによる作業順序の事後変更が行いやすいという特徴も備える(詳細後記)。このような“理想型”の作業順序を必ず決定できるのが本発明の特徴である。
【0020】
以降では、まず、作業順序を作成・変更することが具体的にどのようなことであるかを、“作業予定表”の例で説明する。次いで、本発明の特徴をさらに明確にするために、作業内容の他の例をもう1つ説明する。その後、実際に作業順序計画装置1(後記の図7参照)が作業順序を作成・変更する処理を“判定値推移表”の例で説明する。
【0021】
(作業予定表)
図2に沿って、既存技術における作業予定表を説明する。図2の作業予定表51は、公知のターリー計算により作成された作業順序を示している。作業工程表51は、10月30日の作業予定を示しており、例えば前日夜間のバッチ処理にて作成される。作業予定表51には、作業順序欄52に記載された作業順序に関連付けて、作業時間帯欄53には作業時間帯が、作業対象欄54には作業対象となるバンパの種類が記載されている。
【0022】
作業予定表51は、前記した“(なし,C,なし,B及びC,A,・・・)”に対応している。つまり、作業順序欄52の作業順序は、“n回目の出現確率の加算”に対応し、作業対象欄54の作業対象は、作業場に搬出されるべきものとして決定された“バンパの種類”に対応している。作業時間帯欄53の作業時間には、その作業順序において作業対象が発生する場合に限り、作業時間(開始時刻と終了時刻)が記載されている。
【0023】
当該作業順序は、以下の通り、理想型ではない。
・作業順序1、3及び9において、作業対象が記載されていない。よって“遊び時間”が発生してしまい、ユーザは、これらの作業順序に、何らかの作業対象を設定する必要が生じる。もちろん“遊び時間”の作業順序に、次の作業順序のバンパに対する作業を前倒しで当てはめればよいことには違いない。しかしながら、出力結果に対して何らかの加工(手作業)が必要になる。
・作業順序4及び10において、複数の作業対象が重複して記載されている。よって、作業場の広さに余裕がない場合、ユーザは、これらの作業順序において、いずれか1個の作業対象を選択する必要がある。やはり、出力結果に対して何らかの加工(手作業)が必要になる。
【0024】
そこで、ユーザは、10月30日の朝、作業予定表51を作業予定表61に変更する。変更点は、以下の通りである。
・作業順序1、3及び9において、作業対象としてそれぞれ、例えばバンパC、バンパC及びバンパBを記載する。
・作業順序4及び10において、唯一の作業対象としてそれぞれ、例えばバンパC及びバンパAを選択する。
これで一応は、すべての作業順序に対して1つのバンパの種類が対応する理想型が完成することになる。そして、作業順序1〜10において、バンパA、バンパB及びバンパCの出現回数が、それぞれ、2回、3回及び5回となっている。しかしながら、実際にはユーザが試行錯誤することなくこのような理想型に変更することは難しい。
【0025】
作業予定表61に変更した後、例えば、16:30頃に、“バンパA用の塗料が切れ、塗料メーカに緊急発注したが、現場に届くのに60分かかる“ということが判明したとする。そこで、ユーザは、作業予定表61を作業予定表71に変更する。変更点は、以下の通りである。
・作業順序8において、作業対象をパンパAからバンパBに変更する。
・作業順序9において、作業対象をパンパBからバンパAに変更する。
【0026】
今度は、図3に沿って、本実施形態における作業予定表を説明する。図3の作業予定表81は、本実施形態の改良ターリー計算により作成された作業順序を示している。作業工程表81は、10月30日の作業予定を示しており、例えば前日夜間のバッチ処理にて作成される。作業予定表81においては、作業順序欄52の作業順序(1,2,・・・,10)と作業対象欄54の作業対象(バンパの種類)とが1対1に対応している。したがって、図2における作業予定表51から作業予定表61への変更のような処理は不要である。
【0027】
例えば、10:30頃に、“バンパA用の塗料が切れ、塗料メーカに緊急発注したが、現場に届くのに60分かかる”ということが判明したとする。そこで、ユーザは、作業予定表81を作業予定表91に変更する。変更点は、“作業順序3において、作業対象をパンパAからバンパCに変更する”である。
すると、作業順序計画装置1が、作業順序4〜10における作業対象を変更する。作業予定表81及び作業予定表91の作業順序1〜10において、作業対象のバンパA、バンパB及びバンパCの出現回数が、それぞれ、2回、3回及び5回となっている。
【0028】
(作業内容の他の例)
図4に沿って、作業内容の他の例を説明する。当該例は、既存技術の問題点及び本実施形態の効果をより明確にする。複数のバンパA(図4では“A”と略して記載、他のバンパも同様)、複数のバンパB及び複数のバンパCが未塗装スペースに3列に並べられている。各バンパの個数は任意であるが、個数の比率は、A:B:C=2:3:5であるとする。バンパA、バンパB又はバンパCが未塗装スペースから1つずつ、編成ヤードに搬出される。編成ヤードに搬出されたバンパは、左側から順に、あたかも列車のように1行に並べられる。
【0029】
この列車のような一群のバンパを“編成”と呼ぶ。編成は、10個のバンパごとにまとめられ、一種の産業ロボットである“塗装プラットフォーム”にベルトコンベアで運搬される。塗装プラットフォームの左右の長さは、編成の長さに等しい。そして、編成の前端(左端)の位置が塗装プラットフォームの左端の位置に揃った時点で、編成は停止する。図4では、“編成”は、編成ヤードを出発した後塗装プラットフォームに停止している。編成を作成するに際して、作業順序計画装置1は、編成ヤードに対して、[C,B,C,A,C,B,C,A,B,C]という編成指示を送信している。
【0030】
塗装プラットフォームは、バンパに対して塗料を噴霧する板状の10枚のパッケージP1〜P10が左右方向に10枚重なった構造を有する。各パッケージP1〜P10は、上から下に向かって、バンパA用の塗料を噴霧するノズルA、バンパB用の塗料を噴霧するノズルB、及び、バンパC用の塗料を噴霧するノズルCを有している。各パッケージの左右方法の位置は固定されている。
【0031】
しかしながら、塗装プラットフォームは、各パッケージを上下方向に3段階にスライドさせることによって、いずれかのノズルを塗装レベルにあわせる。10両連結の各編成の左(先頭)から1番目〜10番目のバンパの塗装プラットフォームでの左右の位置は、それぞれ、パッケージP1〜P10のノズルの左右の位置に一致している。塗装レベルにあるノズルに信号が送られると、各バンパに対応する塗料がバンパに対して噴霧され、10個のバンパが同時に塗装される。
【0032】
編成を塗装するに際して、作業順序計画装置1は、塗装プラットフォームに対して、〈C,B,C,A,C,B,C,A,B,C〉という塗装指示を送信している。この塗装指示は、当然のことながら、編成指示[C,B,C,A,C,B,C,A,B,C]に対応している。塗装プラットフォームが正常に機能している限り、作業順序計画装置1は、前記のような、バンパの種類の順列だけを示した編成指示及び塗装指示を送信すれば十分である。
【0033】
いま、作業順序計画装置1は、次の編成(図示せず)のための編成指示[C,C,B,A,C,B,C,A,B,C]及び塗装指示〈C,C,B,A,C,B,C,A,B,C〉を作成し終わっている(故障前)。しかしながら、作業順序計画装置1は、これらの指示を、編成ヤード及び塗装プラットフォームには未だ送信していない。この段落で、塗装プラットフォームの左から4番目のパッケージP4が故障し、ノズルAが塗料を噴霧できなくなったことが判明したとする。この事態に対処するために、作業順序計画装置1は、変更後の編成指示[C,C,B,B,C,A,C,A,B,C]及び変更後の塗装指示〈C,C,B,B,C,A,C,A,B,C〉を、それぞれ編成ヤード及び塗装プラットフォームに送信しなければならない(故障後)。右肩の“♭”は“変更後”を意味する。なお、ここでの変更後の編成指示及び変更後の塗装指示は、その左から4番目が“A”以外であるものであればどのようなものでもよい。
【0034】
そこで、既存の技術において、パッケージP4の故障という事態に対応しなければならないユーザは、変更前の編成指示及び変更前の塗装指示を見て、まず、左から4番目(“4回目” の出現確率の加算を意味しない)の“A”を探し当てる。次いで、その“A”が搬出されるべきであると決定された処理において、代替的に例えば“B”が搬出されるようにするために、“B”の判定値を手動で増加させる。仮にユーザが、正しくは左から4番目であるところを、誤って左から8番目の“A”を探し当て、その“A”が搬出されるべきであると決定された処理における“B”の判定値を手動で増加させてしまうと、不良品が発生する。つまり、左から4番目のパッケージP4のノズルAが故障していることに起因して、左から4番目のバンパAが全く塗装されない。
【0035】
このような誤りは、編成指示及び塗装指示がバンパの種類を単純に並べただけの構成になっていることに起因する。例えば、塗装指示が、〈1;C,2;C,3;B,4;A,5;C,6;B,7;C,8;A,9;B,10;C〉のように、パッケージの左からの位置(座標値)にバンパの種類を1対1に関連付ける構成になっていれば、ユーザは間違いなく“4;A”を探し当てることができる。
【0036】
(作業順序と処理順序)
ここまで説明してきた“作業順序”という語は、もっぱら作業場で作業を行う工員又は産業ロボットの立場から見た順序であるともいえる。工員等は、作業順序作成装置1がどのような情報処理を行っているかには関心がない。そこで、新たに“処理順序”という語を導入する。
【0037】
処理順序とは、判定値に対する出現確率の加算(既存技術)、又は、判定値からの減算値の減算(本実施形態、詳細後記)という繰り返し処理を実行する作業順序作成装置1が情報処理の観点から見た順序である。端的にいえば、処理順序とは、繰り返し処理の回数を始めからカウントした順番である。つまり、作業順序計画装置1は、1つの“処理順序”に関連付けて、1つのバンパの種類(作業対象)を決定し、それをそのまま“作業順序”としても採用することによって問題を解決する。なお、“作業順序作成装置”という名称は、工員又は産業ロボットの立場から採用されている。そして、請求項における“処理の順序”及び“前記順序”がここでの“処理順序”に相当する。
【0038】
(判定値推移表)
図5に沿って、既存技術における出現確率及び判定値推移表を説明する。図5(a)は、バンパの種類に関連付けて出現確率を記憶している。ある作業期間(例えば1日)に作業を終了しなければならないバンパが全部で10個あるとする。そして、その内訳は、バンパAが2個であり、バンパBが3個であり、バンパCが5個であるとする。すると、バンパAの出現確率は0.2(=2/10)となり、バンパBの出現確率は0.3(=3/10)となり、バンパCの出現確率は0.5(=5/10)となる。
【0039】
図5(b)は、バッチ処理によって作成された判定値推移表101であり、図2の作業予定表51に対応する。判定値推移表101の横軸のうち、“n回目”と“n+1回目”の間の“−1.0”(詳細後記)以外は、出現確率の加算回数(何回目であるか)である。この意味で、横軸は、前記した“処理順序”である。しかしながら、当該“処理順序”に対して常に1つのバンパの種類が対応しているとは限らない。したがって、作業予定表51等において、ユーザの手作業による変更が必要となる。縦軸は、バンパの種類及び選択結果である。選択結果とは、図1において、未塗装スペースから作業場へ搬出されるバンパの種類である。縦軸と横軸の交点に判定値が記憶される。
【0040】
作業順序計画装置1は、以下の処理を行う(図5(b)参照)。
(1回目)各バンパの初期値に対して、各バンパの出現確率を加算し、1回目の各バンパの判定値とする。各バンパの初期値は、いずれも“0.0”である。よって、1回目のバンパAの判定値は“0.2”となり、1回目のバンパBの判定値は“0.3”となり、1回目のバンパCの判定値は“0.5”となる。3つの判定値のいずれもが“1.0”に達していない。よって、“1回目のすぐ右の−1.0”の列を飛ばして2回目に進む。
【0041】
(2回目)1回目の各バンパの判定値に対して、各バンパの出現確率を加算し、2回目の各バンパの判定値とする。すると、2回目のバンパAの判定値は“0.4”となり、2回目のバンパBの判定値は“0.6”となり、2回目のバンパCの判定値は“1.0”となる。2回目のバンパCの判定値は、“1.0”に達している。そこで、バンパCを搬出すべきバンパとして選択する。なお、選択されたバンパの判定値に網掛けを施している(以下同じ)。
【0042】
さらに、“2回目のすぐ右の−1.0”の列に進み、当該列に各バンパの判定値を記憶する。このとき、2回目において選択されたバンパCの判定値については、2回目のバンパCの判定値“1.0”から“1.0”(各バンパの出現確率の和)を減算した値“0.0”を記憶する。選択されていないバンパA及びバンパBの判定値については、2回目の判定値をそのまま記憶する。よって、“2回目のすぐ右の−1.0”の列においては、バンパAの判定値は“0.4”のままであり、バンパBの判定値も“0.6”のままであり、バンパCの判定値は“0.0”となっている。
【0043】
(3回目)“2回目のすぐ右の−1.0”の列における各バンパの判定値に対して、各バンパの出現確率を加算し、3回目の各バンパの判定値とする。すると、3回目のバンパAの判定値は“0.6”となり、3回目のバンパBの判定値は“0.9”となり、3回目のバンパCの判定値は“0.5”となる。3つの判定値のいずれもが“1.0”に達していない。よって、“3回目のすぐ右の−1.0”の列を飛ばして4回目に進む。
【0044】
(4回目)3回目の各バンパの判定値に対して、各バンパの出現確率を加算し、4回目の各バンパの判定値とする。すると、4回目のバンパAの判定値は“0.8”となり、4回目のバンパBの判定値は“1.2”となり、4回目のバンパCの判定値は“1.0”となる。4回目のバンパBの判定値及び4回目のバンパCの判定値は、“1.0”に達して(超えて)いる。そこで、バンパB及びバンパCを搬出すべきバンパとして選択する(重複)。
【0045】
さらに、“4回目のすぐ右の−1.0”の列に進み、当該列に4回目の各バンパの判定値を記憶する。このとき、4回目において選択されたバンパBの判定値については、4回目のバンパBの判定値“1.2” から“1.0” (各バンパの出現確率の和)を減算した値“0.2”を記憶する。同様に、4回目において選択されたバンパCの判定値についても、4回目のバンパCの判定値“1.0” から“1.0” (各バンパの出現確率の和)を減算した値“0.0”を記憶する。選択されていないバンパAの判定値については、4回目の判定値をそのまま記憶する。よって、“4回目のすぐ右の−1.0”の列においては、バンパAの判定値は“0.8”のままであり、バンパBの判定値は“0.2”となり、バンパCの判定値は“0.0”となっている。
【0046】
(5回目以降)5回目以降の処理は、4回目までの処理と同様であるので、詳細な説明は省略する。結果的には、5回目、6回目、7回目及び8回目において、それぞれ1つ(1種類)のバンパが選択されている。9回目においては、バンパは選択されていない。10回目においては、3つ(3種類)のバンパが選択されている。そして、10回目までに、バンパAは2回選択され、バンパBは3回選択され、バンパCは5回選択されている。この結果は、出現確率に一致している。
【0047】
図5(c)は、バッチ処理によって作成された判定値推移表101(図5(b))に対して手作業で変更を加えた判定値推移表102である。ユーザは、判定値推移表101を見て、1回目においてバンパが選択されていないことが問題であると考えている。そして、ユーザは、1回目においていずれかのバンパが選択されるようにいずれかの判定値を変更(手動入力)しようとしている。例えば、ユーザは、1回目のバンパCの判定値“0.5”に対して“0.5”を手動で加算し、“1.0”とする。なお、変更されたバンパの判定値にやや濃い(ドットがより細かい)網掛けを施している(以下同じ)。
【0048】
すると、作業順序計画装置1は、1回目においてバンパCを選択する。作業順序計画装置1は、その後の処理も連続的に実行する。しかしながら、2回目、6回目及び8回目においては、バンパが選択されておらず、5回目、7回目及び10回目においては2つ(2種類)のバンパが選択されているので、問題の完全解決には至らない。
【0049】
図5(d)は、判定値推移表102(図5(c))に対して手作業で変更を加えた判定値推移表103である。ユーザは、判定値推移表102を見て、2回目においてバンパが選択されていないことが問題であると考えている。そして、ユーザは、2回目においていずれかのバンパが選択されるようにいずれかの判定値を変更(手動入力)しようとしている。例えば、ユーザは、2回目のバンパBの判定値“0.6”に“0.4”を手動で加算し、“1.0”とする。すると、作業順序計画装置1は、2回目においてバンパBを選択する。作業順序計画装置1は、その後の処理も連続的に実行する。しかしながら、4回目及び8回目においては、バンパが選択されておらず、5回目及び9回目においては2つ(2種類)のバンパが選択されているので、問題の完全解決には至らない。
【0050】
以上で明らかなように、既存の技術は、出現確率を加算する“n回目”と“バンパの種類”とを常に1対1に対応させて決定するとは限らない。このことに起因して、以下の不具合が発生する。
・バッチ処理により作成された作業予定表(判定値推移表)は、ユーザによって手動変更されなければならない場合が多い。
・ユーザが変更する際、何回目のどの判定値をどれだけ増加させればよいかが、直感的に分かりにくい。
・1対1の理想型に至るまでに、ユーザは変更作業を繰り返さざるを得ない。
【0051】
図6に沿って、本実施形態における減算値及び判定値推移表を説明する。図6(a)は、バンパの種類に関連付けて減算値を記憶している。図5の例と同様に、バンパが全部で10個あり、その内訳は、バンパAが2個であり、バンパBが3個であり、バンパCが5個である。すると、バンパAの減算値は20(=2/10×100)となり、バンパBの減算値は30(=3/10×100)となり、バンパCの減算値は50(=5/10×100)となる。
【0052】
図6(b)は、バッチ処理によって作成された判定値推移表111であり、図3の作業予定表81に対応する。判定値推移表111の横軸のうち、“n回目”と“n+1回目”の間“+100”(詳細後記)以外は、減算値の減算回数(何回目であるか)である。この意味で、横軸は、前記した“処理順序”である。そして、本実施形態においては、1つの処理順序に対して、常に1つのバンパの種類が対応している。すると、処理順序が“作業順序”に一致する。つまり、処理順序は、作業予定表81等の“作業順序”に一致する。縦軸は、バンパの種類及び選択結果である。縦軸と横軸の交点に判定値が記憶される。
【0053】
作業順序計画装置1は、以下の処理を行う(図6(b)参照)。
(1回目)各バンパの初期値から、各バンパの減算値を減算し、1回目の各バンパの判定値とする。各バンパの初期値は、いずれも“100” (初期値=各バンパの減算値の合計)である。よって、1回目のバンパAの判定値は“80”となり、1回目のバンパBの判定値は“70”となり、1回目のバンパCの判定値は“50”となる。3つの判定値のうち最小であるのは、バンパCの“50”である。そこで、バンパCを搬出すべきバンパとして選択する。
【0054】
さらに、“1回目のすぐ右の+100”の列に進み、当該列に1回目の各バンパの判定値を記憶する。このとき、1回目で選択されたバンパCの判定値については、1回目のバンパCの判定値“50”に対して初期値“100”(100=各バンパの減算値の合計)を加算した値“150”を記憶する。選択されていないバンパA及びバンパBの判定値については、1回目の判定値をそのまま記憶する。よって、“1回目のすぐ右の+100”の列においては、バンパAの判定値は“80”のままであり、バンパBの判定値も“70”のままであり、バンパCの判定値は“150”となっている。
【0055】
(2回目)“1回目のすぐ右の+100”の列における各バンパの判定値から、各バンパの減算値を減算し、2回目の各バンパの判定値とする。すると、2回目のバンパAの判定値は60となり、2回目のバンパBの判定値は40となり、3回目のバンパCの判定値は100となる。3つの判定値のうち最小であるのは、バンパBの“40”である。そこで、バンパBを搬出すべきバンパとして選択する。
【0056】
さらに、“2回目のすぐ右の+100”の列に進み、当該列に2回目の各バンパの判定値を記憶する。このとき、2回目で選択されたバンパBの判定値については、2回目のバンパBの判定値“40”に対して初期値“100”(100=各バンパの減算値の合計)を加算した値“140”を記憶する。選択されていないバンパA及びバンパCの判定値については、2回目の判定値をそのまま記憶する。よって、“2回目のすぐ右の+100”の列においては、バンパAの判定値は“60”のままであり、バンパCの判定値も“100”のままであり、バンパBの判定値は“140”となっている。
【0057】
(3回目以降)3回目以降の処理は、2回目までの処理と同様であるので、詳細な説明は省略する。なお、3回目において“A用塗料切れ”は、専ら図6(c)の説明のためのものであるので、図6(b)の説明においては無視する。結果的には、“n回目”と“バンパの種類”が1対1に対応している。10回目までの選択回数も、バンパAが2回、バンパBが3回、バンパCが5回であり、これらは、バンパの種類ごとの個数と一致している。なお、5回目において、バンパBの判定値は“50”であり、バンパCの判定値も“50”である。このとき、予め設定した優先順位(例えば優先順位が高い順にA→B→Cである場合、CよりもBの方が優先順位が高い)に基づいて、バンパBが選択されている。因みに、判定値推移表111は、減算値を減算する繰り返し処理の順序である“n回目”と“バンパの種類”が1対1に対応している理想型である。
【0058】
図6(c)は、バッチ処理によって作成された判定値推移表111(図6(b))に対して手作業で変更を加えた判定値推移表112であり、図3の作業予定表91に対応する。ユーザは、例えば、10:30頃に、“バンパA用の塗料が切れ、塗料メーカに緊急発注したが、現場に届くのに60分かかる”ということを知ったとする。このとき、とりあえずバンパAの作業を後回しにするために、ユーザは、3回目のバンパCの判定値“50”から“20”を手動で減算し、“30”とする。すると、作業順序計画装置1は、3回目においてバンパCを選択する。作業順序計画装置1は、その後の処理も連続的に実行する。判定値推移表112もまた理想型であり、ユーザはその後の追加変更を行う必要がない。
【0059】
(作業順序計画装置)
図7に沿って、作業順序計画装置1の構成を説明する。作業順序計画装置1は、一般的なコンピュータであり、中央制御装置11、入力装置12、出力装置13、主記憶装置14及び補助記憶装置15を有する。これらは、バスによって相互に接続されている。補助記憶装置15は、作業予定表81(91)及び判定値推移表111(112)を記憶している。主記憶装置14における、作業順序作成部21及び作業順序再作成部22はプログラムである。以降、“○○部は”と主体を記した場合は、中央制御装置11が、補助記憶装置15から各プログラムを読み出し、主記憶装置14にロードしたうえで、各プログラムの機能(詳細後記)を実現するものとする。
【0060】
(処理手順)
以降、本実施形態の処理手順を説明する。処理手順は2つ存在し、それらは、作業順序作成処理手順及び作業順序再作成処理手順である。作業順序作成処理手順は主として夜間のバッチ処理として実行される。作業順序再作成処理手順は、作業順序作成処理手順が既に実行されていることを前提とし、作業計画表及び判定値推移表の変更が必要な場合のみ実行される。
【0061】
(作業順序作成処理手順)
図8に沿って、作業順序作成処理手順を説明する(適宜図6(b)も参照)。
ステップS201において、作業順序計画装置1の作業順序作成部21は、バンパごとに減算値を算出する。具体的には、第1に、作業順序作成部21は、ユーザが入力装置12を介して、所定の期間において作業対象となるバンパの個数をバンパの種類ごとに入力するのを受け付ける。ここで作業順序作成部21は、“(バンパの種類,個数)=(A,2),(B,3),(C,5)”を受け付けたとする。
【0062】
第2に、作業順序作成部21は、所定の減算値算出式に基づき、減算値を算出する。ここで所定の減算値算出式は、“減算値=当該バンパの個数/バンパの総数×100”であったとする。この場合、バンパAの減算値は20となり、バンパBの減算値は30となりバンパCの減算値は50となる。
【0063】
ステップS202において、作業順序作成部21は、バンパごとに初期値を算出する。具体的には、作業順序作成部21は、ステップS201の“第2”において算出した各バンパの減算値の合計を各バンパに共通の初期値とする。すなわち、バンパAの初期値、バンパBの初期値及びバンパCの初期値は、すべて100となる。作業順序作成部21は、ユーザが入力装置12を介して、他の初期値を入力するのを受け付けてもよい。
【0064】
ステップS203において、作業順序作成部21は、“処理順序1”を計算開始順序とする。具体的には、作業順序作成部21は、処理中の繰り返し処理の順序(n回目)を示すカウンタ変数“n”に“1”を代入する。
【0065】
ステップS204において、作業順序作成部21は、計算開始順序における判定値として初期値を代入する。具体的には、作業順序作成部21は、(n回目,バンパAの判定値,バンパBの判定値,バンパCの判定値)=(1,100,100,100)を保持する。
【0066】
ステップS205において、作業順序作成部21は、バンパごとに判定値から減算値を減算する。具体的には、作業順序作成部21は、(1,100,100,100)を一時的に保持したうえで、(1,100−20,100−30,100−50)=(1,80,70,50)をさらに一時的に保持する(図6(b)の“1回目”の各判定値に対応)。(1,80,70,50)を以降“1回目判定値ベクトル”と呼ぶことがある。同様にn回目の減算結果を “n回目判定値ベクトル”と呼ぶことがある。
【0067】
ステップS206において、作業順序作成部21は、判定値が最小であるバンパを選択する。具体的には、第1に、作業順序作成部21は、ステップS205における“1回目判定値ベクトル”の判定値のうち最小であるものに対応するバンパの種類を選択する。判定値“80”、判定値“70”及び判定値“50”のうち最小の判定値は“50”である。よって、バンパCが選択される。仮に最小の判定値が複数存在しても、作業順序作成部21は、所定の優先順位に基づいて、1つのバンパの種類を選択する。
第2に、作業順序作成部21は、[n回目,選択バンパ]=[1,C]を一時的に保持する(図6(b)の“1回目”の選択結果に対応)。[1,C]を、以降“1回目選択情報”と呼ぶ場合がある。同様にn回目の選択結果を “n回目選択情報”と呼ぶことがある。
【0068】
ステップS207において、作業順序作成部21は、判定値が最小であるバンパの判定値に初期値を加算する。具体的には、作業順序作成部21は、1回目判定値ベクトル(1,80,70,50)のバンパCの判定値に対して初期値“100”を加算し、(1*,80,70,50+100)=(1*,80,70,150)を一時的に保持する(図6(b)の“1回目”のすぐ右の“+100”の各判定値に対応)。なお、ここでの初期値“100”は、各バンパの減算値の合計である。そしてバンパCの判定値に初期値を加算したのは、バンパCの判定値が最小であるからである。すなわち、1回目選択情報が、選択バンパ“C”を含むからである。(1*,80,70,150)を、以降“1回目右判定値ベクトル”と呼ぶ場合がある。同様にn回目の加算結果を “n回目右判定値ベクトル”と呼ぶことがある。処理順序“1”の右上に添付された記号“*”は、自身を含むベクトルが“右判定値ベクトル”であることを示す。
【0069】
ステップS207の後、作業順序作成部21は、カウンタ変数“n”を“1”だけインクリメントした上でステップS205に戻る。その後、作業順序作成部21は、ステップS205〜S207の処理を所定の回数だけ繰り返す。所定の回数は、通常、バンパの総数に等しい。すると、図6(b)の判定値推移表111のもとになるデータが次々に生成される。
【0070】
なお、n(n≧2)回目以降の繰り返しループにおけるステップS205において、“バンパごとに判定値から減算値を減算する”とあるのは、“n−1回目右判定値ベクトルの判定値から減算値を減算する”と読み替える。そして、最終回の繰り返しループでは、作業順序作成部21は、ステップS207を実行しない。
【0071】
作業順序作成部21は、繰り返しループの処理を10回実行した後、ループを抜け出す。この時点で作業順序作成部21が一時的に保持している情報(“ループ処理取得情報”と呼ぶ)は以下の通りである。
・n回目判定値ベクトル(n=1,2,・・・,10)
・n回目右判定値ベクトル(n=1,2,・・・,9)
・n回目選択情報(n=1,2,・・・,10)
【0072】
ステップS208において、作業順序作成部21は、作業対象及び判定値を表示し、登録する。具体的には、第1に、作業順序作成部21は、ループ処理取得情報に基づいて、作業予定表81及び判定値推移表111を作成し、出力装置13に表示する。このとき、作業順序作成部21は、作業対象及び判定値を処理順序に関連付けて表示する。
第2に、作業順序作成部21は、作業予定表81及び判定値推移表111を補助記憶装置15に記憶する。このとき、補助記憶装置15は、作業対象及び判定値を処理順序に関連付けて格納する。
その後、作業順序作成処理手順を終了する。
【0073】
(作業順序再作成処理手順)
図9に沿って、作業順序再作成処理手順を説明する。
ステップS221において、作業順序計画装置1の作業順序再作成部22は、バンパごとに減算値を算出する。当該処理は、ステップS201と同じである。但し、バンパの種類又は所定の期間において作業対象となるバンパの個数に変更点がある場合に限り当該ステップを経由するものとする。変更点がない場合、作業順序再作成部22は、ステップS221を省略する。
【0074】
ステップS222において、作業順序再作成部22は、バンパごとに初期値を設定する。当該処理は、ステップS202と同じである。但し、バンパの種類又は所定の期間において作業対象となるバンパの個数に変更点がある場合に限り当該ステップを経由するものとする。変更点がない場合、作業順序再作成部22は、ステップS222を省略する。
【0075】
ステップS223において、作業順序再作成部22は、計算再開始順序を受け付ける。いま、作業順序再作成部22は、出力装置13に、作業予定表81(図3(a))又は判定値推移表111(図6(b))を表示している。これらの表は、図4の説明において前記した“変更前の編成指示及び変更前の塗装指示”にも対応する。ユーザはこれらを見ており、“3回目”において選択されているバンパAを、例えばバンパCに変更しようとしているとする。このとき、作業順序再作成部22は、ユーザが入力装置12を介して“3回目”を入力するのを受け付ける。そして、カウンタ変数“n”に“3”を代入する。なお、この“3回目”は、繰り返し処理の起点となる。
【0076】
ステップS224において、作業順序再作成部22は、計算再開始順序の直前における判定値を取得する。具体的には、作業順序再作成部22は、(n回目,バンパAの判定値,バンパBの判定値,バンパCの判定値)=(2*,60,140,100)を保持する(図6(b)の“2回目”のすぐ右の“+100”の各判定値に対応)。当該(2*,60,140,100)は、ステップS221及びS222が省略された場合、すなわちバンパの種類にも、所定の期間において作業対象となるバンパの個数にも変更点がない場合の“2回目右判定値ベクトル”である。
【0077】
ステップS221及び/又はS222を経由する場合は、作業順序再作成部22は、変更後の減算値及び/又は初期値に基づき、図8のステップS205〜S207の処理を“2回目のすぐ右の+100”の列まで再度実行する。そして、作業順序再作成部22は、再度実行後の“2回目右判定値ベクトル”を使用する。以降では、単純化のため、ステップS221及びS222が省略された場合を説明する。
【0078】
ステップS225において、作業順序再作成部22は、計算再開始順序における変更後の判定値を受け付ける。いま、変更前の3回目判定値ベクトルは、(3,40,110,50)である。ユーザは、例えばバンパCの判定値“50”を例えば“30”に変更したいと考えている。このとき、作業順序再作成部22は、ユーザが“バンパC”及び“30”を入力するのを受け付ける(図6(c)の“3回目”のバンパCの判定値に対応)。そして、変更前後の判定値の差分“20”(20=50−30)を一時的に保持する。
【0079】
ステップS226において、作業順序再作成部22は、バンパごとに判定値から減算値を減算する。具体的には、作業順序再作成部22は、2回目右判定値ベクトルの判定値から減算値を減算する。つまり、(2*,60,140,100)から減算値を減算した、変更後の3回目判定値ベクトル(3,60−20,140−30,100−70)=(3,40,110,30)を一時的に保持する(図6(c)の“3回目”の各判定値に対応)。ここで、作業順序再作成部22は、バンパCの判定値“100”から“70”を減算している。この“70”のうち“50”は本来減算されるべき減算値であり、残りの“20”は、ステップS225において保持された “差分”である。
【0080】
ステップS227において、作業順序再作成部22は、判定値が最小であるバンパを選択する。当該処理は、ステップS206と同じである。
【0081】
ステップS228において、作業順序再作成部22は、判定値が最小であるバンパの判定値に初期値を加算する。当該処理は、ステップS207と同じである。
【0082】
作業順序再作成部22は、繰り返しループの処理を8(8=10−(3−1))回実行した後、ループを抜け出す。この時点で作業順序再作成部22が一時的に保持しているループ処理取得情報は以下の通りである。
・n回目判定値ベクトル(n=3,4,・・・,10)
・n回目右判定値ベクトル(n=3,4,・・・,9)
・n回目選択情報(n=3,4,・・・,10)
【0083】
ステップS229において、作業順序再作成部22は、作業対象及び判定値を表示し、登録する。具体的には、第1に、作業順序再作成部22は、ループ処理取得情報(n=3以降については、作業順序再作成処理手順にて更新された値)に基づいて、作業予定表91及び判定値推移表112を作成し、出力装置13に表示する。このとき、作業順序再作成部22は、作業対象及び判定値を処理順序に関連付けて表示する。なお、作業順序再作成部22は、同じ処理順序の作業対象に変更があった場合、変更内容を強調表示してもよい。
【0084】
第2に、作業順序再作成部22は、作業予定表91及び判定値推移表112を補助記憶装置15に記憶する。このとき、補助記憶装置15は、作業対象及び判定値を処理順序に関連付けて格納する。
その後、作業順序作成再処理手順を終了する。
【0085】
(減算値及び初期値についての補足説明)
前記したように、本実施形態においては、“各バンパの減算値=当該バンパの個数/バンパの総数×100”及び“初期値=各バンパの減算値の合計”が成立している。当然のことながら、これらの少なくとも一方が成立しなくても作業順序計画装置1は十分機能する。しかしながら、すべてのバンパについて、未塗装のものがほぼ同じタイミングでなくなるという、ターリー計算の長所を活かすためには、これらの両者を成立させることが望ましい。9回目、10回目という終盤においてユーザが選択される作業対象(バンパの種類)を変更したとする。このとき、10回目までに選択された各作業対象の数が全数に占める比率は、出現確率と完全に一致しないことはあり得る。しかしながら、さらに選択回数が増えれば、当該比率は出現確率(理論値)に収束していくことが知られている。
【0086】
(実施形態の効果)
本実施形態の作業順序計画装置1は、以下の効果を奏する。
(1)繰り返し処理の順序と作業対象が1対1に対応するように記憶する。よって、ユーザは、当該記憶内容が表示されると、感覚的に自然にかつ容易に、変更するべき作業対象(その処理順序において作業の対象として選択される物品)を探し当てることができる。
(2)作業対象の変更が必要なときに、その起点となる処理順序を受け付ける。よって、ユーザは、例えば“n回目”というわかりやすい情報をキーにして作業対象の変更ができる。
(3)判定値が最小となる複数の作業対象のうち、所定の優先順位に基づいて1つの作業対象を決定する。よって、処理順序と作業対象が1対1に対応することが担保される。
【0087】
(4)減算値を、種類ごとの物品の個数が物品の総数に占める百分率に基づいて物品の種類ごとに算出する。よって、公知のターリー計算の長所を活かすことができる。
(5)初期値を、物品の種類ごとに算出した減算値の合計値としている。よって、公知のターリー計算の長所を活かすことができる。
(6)変更後の減算値又は初期値を受け付ける。よって、物品の個数の変更に柔軟に対応できる。
【0088】
(7)処理順序ごとに作業対象を表示する。よって、作業対象の変更時に、起点となる処理順序を判断しやすい。
(8)処理順序ごとに判定値を表示する。よって、作業対象の変更時に、判定値をどれだけ変化させるべきかがわかりやすい。
(9)変更前後の作業対象を処理順序ごとに表示する。よって、ユーザは、所望の処理順序において作業内容の変更が行われたことを確認しやすい。
【0089】
なお、本発明は前記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施例は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウエアで実現してもよい。また、前記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウエアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆どすべての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 作業順序計画装置
11 中央制御装置(制御部)
12 入力装置
13 出力装置
14 主記憶装置(記憶部)
15 補助記憶装置(記憶部)
21 作業順序作成部
22 作業順序再作成部
81 作業予定表
111 判定値推移表
図1
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図9