特許第6339937号(P6339937)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6339937
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】新規組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/46 20060101AFI20180528BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20180528BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   A61K8/46
   A61Q11/00
   A61K8/44
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-524358(P2014-524358)
(86)(22)【出願日】2012年8月7日
(65)【公表番号】特表2014-521707(P2014-521707A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】EP2012065378
(87)【国際公開番号】WO2013020960
(87)【国際公開日】20130214
【審査請求日】2015年7月3日
(31)【優先権主張番号】1113754.4
(32)【優先日】2011年8月9日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】397009934
【氏名又は名称】グラクソ グループ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100122389
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 栄一
(74)【代理人】
【識別番号】100111741
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 夏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100169971
【弁理士】
【氏名又は名称】菊田 尚子
(74)【代理人】
【識別番号】100125508
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 愛
(74)【代理人】
【識別番号】100182992
【弁理士】
【氏名又は名称】江島 孝毅
(72)【発明者】
【氏名】ホジキンソン,ジョン
【審査官】 岩下 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−510538(JP,A)
【文献】 特表2011−500975(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/46
A61K 8/44
A61Q 11/00
CAplus/REGISTRY(STN)
KOSMET(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
剤を含んでなる非水性歯磨剤組成物であって、該基剤が組成物の0.1〜7.5重量%の量で存在する増粘剤としてのカルボマー、及び界面活性剤系を含み、
該界面活性剤系は、第1の界面活性剤と第2の界面活性剤との組合せからなり、
該第1の界面活性剤は、組成物の0.05から4重量%までの量で存在する、コカミドプロピルベタインであり、
該第2の界面活性剤は、組成物の0.5から2重量%までの量で存在する、ココイルメチルタウリンナトリウムであるか、もしくは組成物の0.5から1.5重量%までの量で存在する、ラウリル硫酸ナトリウムであるか、またはそれらの混合物である、
前記組成物。
【請求項2】
前記コカミドプロピルベタインが、組成物の0.2から2重量%までの量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ココイルメチルタウリンナトリウムが唯一の第2の界面活性剤である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記第2の界面活性剤が、ココイルメチルタウリンナトリウムとラウリル硫酸ナトリウムとの混合物である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
フッ化物源、脱感作剤、抗歯石剤、抗侵蝕剤、抗菌剤、抗プラーク剤、ホワイトニング剤、口臭薬、およびそれらのうち少なくとも2つの混合物から選択される口腔ケア活性物質を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
生体活性ガラスである、水性環境と不適合であるか、または不安定である、歯磨剤添加物を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
25から3500ppmのフッ化物イオンをもたらすの量の、アルカリ金属フッ化物、フッ化ナトリウム、アルカリ金属モノフルオロリン酸塩、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化スズ、またはアミンフッ化物から選択されるフッ化物源を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は組成物、特に、新規界面活性剤系を含有する非水性歯磨剤組成物に関する。より詳細には、本発明は、界面活性剤の組み合わせ、すなわち、ベタインおよびタウリン塩の界面活性剤;またはベタインおよびアルキルスルホン酸塩の界面活性剤;またはベタイン、タウリン塩、およびアルキルスルホン酸塩の界面活性剤を含有する、非水性歯磨剤組成物に関する。このような歯磨剤組成物は、心地よい官能特性を示し、口腔ケアに有用である。
【背景技術】
【0002】
典型的な歯磨き製剤の水溶液系と併せて配合することができない、多数の歯磨剤添加物が存在する。この配合禁忌の問題を克服する一つの方法は、非水性(無水)製剤中でこのような添加物を調合することである。しかしながら、こうした製剤は、水との配合禁忌の問題を回避することに加えて、消費者に受け入れられるという観点からも成功しなければならず、たとえば、受け入れられる味、粘度、および歯磨き時の十分な泡立ちを示さなければならない。
【0003】
US 3,574,824(Warner-Lambert)は、なかでも油を含有し、ポリエチレングリコールと、グリセリドの混合物である毒性のない非イオン性乳化剤とを組み合わせて含有する、無水練り歯磨き基剤を記載している。US 3,574,824は、植物油または超軽質流動パラフィンなどの油性の液体、および適当な界面活性剤を用いて、実験的な練り歯磨きが作製されたことを明らかにする。しかしながら、ブラッシング中に練り歯磨きを水と接触させたときに、口腔内で泡立ちが不十分であった。これは、発泡剤(ラウリル硫酸ナトリウム)が無水練薬の中で妨害されて、ブラッシング中に空気-水界面に集まって気泡もしくは泡沫を形成することができないからであると考えられる。
【0004】
US 4,647,451(Colgate-Palmolive Company)は、多糖類ガムおよびグリセリン湿潤剤を含有し、望ましいレオロジー特性、官能特性、および衛生上の特性を有する、無水歯磨剤組成物を記載する。US 4,647,451によれば、このような組成物は有機界面活性剤を含有するが、これは本来、陰イオン性でも、非イオン性でも、両性でも、陽イオン性でもよい。そこに例示された組成物は、唯一の界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウムを含有する。
【0005】
US 5,670,137(L’Oreal)は、グリセリン、少なくとも1つのヒドロキシエチルセルロース、少なくとも1つの焼成シリカを含んでなる無水溶媒を含有する、歯磨剤組成物を記載する。US 5,670,137によると、こうした組成物は1つもしくは複数の発泡性界面活性剤も含有しており、これは陰イオン性でも、両性でも、両性イオン性でも、陽イオン性でも、非イオン性でもよい。そこに例示された組成物は、唯一の界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウムを含有する。
【0006】
WO96/03108(SmithKline Beecham plc)、およびWO 2002/038119(SmithKline Beecham plc)はいずれも、非水性歯磨剤組成物を記載する。陰イオン、陽イオン、非イオン、および両性界面活性剤が、適当な界面活性剤として使用するために開示されている。特に好ましい陰イオン界面活性剤は、Adinol CT 95の名称で販売されるココイルメチルタウリンナトリウムであると特定されており、これが、その組成物に使用するために例示された唯一の界面活性剤である。
【0007】
WO2005/063185(Novamin Technology Inc.)は、US 5,882,630 (Gates)に記載されたタイプの非水性基剤中の、生体活性ガラス粒子の非水性組成物を記載する。US 5,882,630は、上記WO96/03108に由来する米国特許に相当する。WO2005/063185によれば、その組成物は、たとえばラウリル硫酸ナトリウムなどの発泡剤を含めて、歯磨き製剤において従来使用されている化学物質を適宜含有することができる。そこに例示された組成物は、唯一の界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウムを含有する。
【0008】
WO2010/115037(Colgate-Palmolive Company)は、カラギーナンもしくはカルボキシメチルセルロースガム、湿潤剤、および生体に受け入れられ生体活性のあるガラスを含んでなる、非水性組成物を記載する。WO2010/115037によれば、その組成物は、たとえばラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤を含めて、歯磨剤組成物において従来使用されている添加物を含有することができる。そこに例示された組成物は、唯一の界面活性剤として、ラウリル硫酸ナトリウムを含有する。
【0009】
先行技術において記載された非水性組成物は、水性の系と併せて配合できない歯磨剤添加物を調合することで遭遇する問題の一部に対処しているが、それにもかかわらず依然として代案が必要である。理想的には、そのような代わりとなる組成物は、たとえば消費者に受け入れられる官能特性を有することを含めて、消費者の受け入れを促進する重要な要素となる1つもしくは複数の特性を追加して示すべきである。理想的には、このような組成物の官能特性は、同等の市販の非水性歯磨剤製品で見られる特性よりも、好ましくは改善されているか、または少なくとも同程度に良好である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第3,574,824号
【特許文献2】米国特許第4,647,451号
【特許文献3】米国特許第5,670,137
【特許文献4】国際公開第96/03108号
【特許文献5】国際公開第2002/038119号
【特許文献6】国際公開第2005/063185号
【特許文献7】米国特許第5,882,630号
【特許文献8】国際公開第2010/115037号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、そのような組成物を作製することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
ある態様において、本発明は、第2の界面活性剤と組み合わせた第1の界面活性剤からなる界面活性剤系で構成される基剤を含有する、非水性の歯磨剤組成物を提供するが、この第1の界面活性剤はベタインであり、第2の界面活性剤は、タウリン塩、もしくはアルキル硫酸塩、またはそれらの混合物である。
【0013】
驚くべきことには、界面活性剤の組み合わせ、具体的には、ベタインおよびタウリン塩、またはベタインおよびC10-20アルキル硫酸塩からなる、界面活性剤系を含有する非水性組成物が、ただ1つの界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム)だけを含有する組成物について観察されたよりも、有意に優れた官能特性をもたらすことが明らかになった。こうした優れた官能特性には、改善された口当たり、改善された泡の分散および粘度、ならびに改善された泡の特徴、たとえば強度および密度、のうち1つもしくは複数が含まれるが、これらはすべて、歯磨剤組成物において望ましい特質である。一部の実施形態において、泡の特徴は、味覚性について著しく変更することなしに改善される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の詳細な説明
本明細書で使用される「非水性」という用語は、無水であること、または実質的に水を含まないことを意味する。非水性組成物の個々の成分は、その組成物全体が実質的に依然として水を含まない状態である限り、限られた量の水を含有してもよい。
【0015】
本明細書で使用される「歯磨剤」という用語には、個体の口腔の全体、もしくは一部を清掃するときに使用するための、ペースト状、クリーム状、またはジェル状の任意の半固形製剤が含まれる。
【0016】
本明細書で使用される「口腔」という用語は、歯を歯肉縁および/または歯周ポケットに至るまで含むすべての歯周領域を含めて、個体の歯および歯ぐきを意味する。
【0017】
本発明の組成物は、界面活性剤系を含有する。界面活性剤系は、第1の界面活性剤および第2の界面活性剤からなる。ある実施形態において、界面活性剤系は、第1の界面活性剤および第2の界面活性剤からなり、この第2の界面活性剤は界面活性剤の混合物からなる。
【0018】
本発明の組成物の界面活性剤系に用いる第1の界面活性剤は、ベタインとして知られる化合物群に属する。ベタイン化合物は構造的に、メチレン部分で隔てられた、カルボン酸官能基などの陰イオン性官能基、および四級窒素官能基などの陽イオン性官能基を含有する。ベタイン化合物には、n-アルキルベタイン、たとえばセチルベタインおよびベヘニルベタインなど、ならびにn-アルキルアミドベタイン、たとえばコカミドプロピルベタインなどがある。ある実施形態において、ベタインは、Tego Betainの商標名で市販されている、コカミドプロピルベタインである。ベタインは、非水性組成物の約0.05から約4重量%、たとえば非水性組成物の約0.2から約2.0重量%までの量で存在することが適当である。
【0019】
本発明の組成物の界面活性剤系に用いる第2の界面活性剤は、タウリン塩、またはC10-20アルキル硫酸塩界面活性剤から選択される。本発明に有用なタウリン塩界面活性剤は、N-メチルタウリンの脂肪酸アミドの塩である。これは一般に、構造式:
RC(O)N(CH3)CH2CH2SO3M
に従うが、式中、RC(O)-は脂肪酸基を表し、Mはナトリウム、カリウム、アンモニウム、もしくはトリエタノールアミンを表す。ヤシ油、パーム油、およびトール油由来のものを含めて、10から20までの炭素鎖長を有する脂肪酸が使用される。ある実施形態において、脂肪酸はココヤシから得られる。ある実施形態において、ナトリウム塩が使用される。ある実施形態において、タウリン塩は、ココイルメチルタウリンナトリウムである。このタウリン塩界面活性剤は、CrodaからAdinol CTの商標で販売されている。
【0020】
タウリン塩(タウレート)界面活性剤は、非水性組成物の約0.1から約10%までの量で存在することができる。ある実施形態において、タウリン塩(タウレート)界面活性剤は、非水性組成物の約0.1から約5重量%までの量で存在する。ある実施形態において、タウリン塩(タウレート)界面活性剤は、非水性組成物の約0.5から約2.0重量%までの量で存在する。
【0021】
本発明に有用なアルキル硫酸塩界面活性剤は、以下の構造式:
R1OSO3M
を有するが、R1は、脂肪アルコール部分を表し、Mはナトリウム、カリウム、アンモニウム、またはトリエタノールアミンを表す。ヤシ油、パーム油、およびトール油由来のものを含めて、約10から約20までの炭素鎖長を有する脂肪アルコール。ある実施形態において、脂肪アルコールはラウリルアルコールである。ある実施形態において、ナトリウム塩が使用される。ある実施形態において、アルキル硫酸塩はラウリル硫酸ナトリウムである。
【0022】
アルキル硫酸塩界面活性剤は、非水性組成物の約0.1から約10%までの量で存在することができる。ある実施形態において、アルキル硫酸塩界面活性剤は、非水性組成物の約0.1から約5重量%までの量で存在することができる。ある実施形態において、アルキル硫酸塩界面活性剤は、非水性組成物の約0.5から約2重量%までの量で存在する。
【0023】
ある実施形態において、界面活性剤系は、上記のような、ベタインである第1の界面活性剤、ならびにタウリン塩およびC10-20アルキル硫酸塩界面活性剤の混合物からなる第2の界面活性剤で構成される。ある実施形態において、界面活性剤系は、ベタインである第1の界面活性剤、ならびにココイルメチルタウリンナトリウムおよびラウリル硫酸ナトリウムの混合物からなる第2の界面活性剤で構成される。
【0024】
ある態様において、本発明の組成物は、水性の環境と不適合であるか、または不安定である歯磨剤添加物を含有する。
【0025】
こうした添加物の例は、WO96/10985、WO 97/27158、およびWO 99/13852に記載されたタイプの生体活性ガラスである。水性の環境において、このような生体活性ガラスは、歯磨剤中に含まれる何らかの添加剤の安定性に(特に長期保存について)悪影響を及ぼす可能性のある、pHの有意な上昇を引き起こすイオンを放出する。本発明の非水性歯磨剤中に生体活性のある石英系ガラスを調合することは、歯磨剤内部でのイオンの放出を妨げ、それによってpHは制御され、歯磨剤の長期保存安定性が高まる。
【0026】
ある実施形態において、本発明で用いる生体活性ガラスは、約45重量%二酸化ケイ素、約24.5重量%酸化ナトリウム、約6重量%酸化リン、および約24.5重量%酸化カルシウムからなる組成を有する。このような生体活性ガラスの1つは、NovaMin(登録商標)の商標名で市販されており、45S5 Bioglass(登録商標)としても知られている。
【0027】
生体活性ガラスは、非水性組成物の約1から約20重量%までの量で存在する。ある実施形態において、生体活性ガラスは、非水性組成物の約1から約15重量%までの量で存在する。別の実施形態において、非水性組成物中の生体活性ガラスは、非水性組成物の約1から約10重量%までの量で存在する。また別の実施形態では、生体活性ガラスは、非水性組成物の約2から約8重量%までの量で存在する。
【0028】
本発明のある実施形態において、以下の重量パーセントの成分を含有する歯磨剤組成物が調製される:
生体活性ガラス 約1〜約10
ベタイン 約0.05〜約4
タウリン塩 約0.5〜約2
カルボマー 約0.3〜約1
グリセリン 約50〜約70
ポリエチレングリコール 約15〜約25。
【0029】
本発明のある実施形態において、以下の重量パーセントの成分を含有する歯磨剤組成物が調製される:
生体活性ガラス 約1〜約10
ベタイン 約0.05〜約4
SLS 約0.5〜約2
カルボマー 約0.3〜約1
グリセリン 約50〜約70
ポリエチレングリコール 約15〜約25。
【0030】
界面活性剤系を含有する基剤は、非水性基剤であり、実質的に生体活性ガラス粒子(または水性の環境と不適合であるか、または不安定である、他の歯磨剤添加物)と反応性でなく、歯磨剤組成物に用いるのに適している。適当な非水性基剤は、たとえばGatesらに発行された米国特許第5,882,630号(1999)に記載されている。
【0031】
本発明に有用な非水性基剤は、典型的には、増粘剤、および1つもしくは複数の製剤溶媒を含有する。必要に応じて、歯科として許容される研磨剤を非水性基剤中に含めることができる。
【0032】
増粘剤が製剤中に存在して、従来の歯磨剤に近いレオロジーを製品にもたらすことは有利である。増粘剤はカルボマーなどのカルボキシビニルポリマーを含むことが適当である。カルボマーは、アクリル酸の合成高分子量架橋ポリマーを包含する。アクリル酸の繰り返し単位で形成されるポリマー鎖は、たとえば下記で架橋することができる:アリルスクロースで架橋して、Carbopol(登録商標)934としての一形態で市販されているカルボマーを作製することができる;ペンタエリトリトールのエーテルで架橋して、Carbopol(登録商標)974としての一形態で市販されているカルボマーを作製することができる;ジビニルグリコールで架橋することができ、Noveon(登録商標)AA-1としての一形態で市販されている。Carbopol(登録商標)ポリマーは、B.F. Goodrich Company製である。ある実施形態において、カルボキシビニルポリマーはCarbopol(登録商標)974を含む。カルボキシビニルポリマーは非水性組成物の約0.1から約7.5重量%までの範囲で存在することができる。ある実施形態において、カルボキシビニルポリマーは非水性組成物の約0.3から約1.0重量%までの量で存在する。
【0033】
当然のことながら、本発明の組成物は、シリカ増粘剤などの無機増粘剤をさらに含有することができる。この増粘剤はやはり、シリカ増粘剤、たとえばコロイド状ケイ酸であり、それはたとえばSident 22SまたはSyloid 244FPとして市販されている。ある実施形態において、シリカ増粘剤は、非水性組成物の約0から約15重量%までの量存在するが、約5.0から約15.0重量%までが適当である。
【0034】
本発明での使用に適した溶媒には、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、またはそれらの混合物がある。ある実施形態において、溶媒はグリセリンを含む。市販のグリセリンが、グリセリンに付随して存在する0.1-2.0重量%の水を含有する可能性があることはよく知られている。典型的には、この量はグリセリンに対して<0.5重量%であり、たとえば0.1-0.5重量%である。この少量の水はグリセリンと結びついているので、他の成分には利用できない。当業者は、グリセリン含有組成物をそれでも非水性であると考えるであろう。溶媒はいかなる場合も、可能な限り無水とすべきである。
【0035】
ある実施形態において、溶媒はポリエチレングリコールを含む。ポリエチレングリコールはPEG 300、PEG 400およびそれらの混合物から選択されるのが適当である。ある実施形態において、ポリエチレングリコールはPEG400を含む。
【0036】
ある実施形態において、溶媒はグリセリンおよびポリエチレングリコールの混合物を含む。
【0037】
製剤溶媒は、製剤を100%にまで満たすために使用されるが、当然のように、溶媒の総量は、非水性組成物の約20から約95重量%までの範囲で存在してよい。
【0038】
溶媒は約35から約75%まで存在するグリセリンを含むことが適当である。ある実施形態において、グリセリンは非水性組成物の約50から70重量%まで存在する。
【0039】
溶媒は水性組成物の約0.1重量%から約40重量%まで存在するポリエチレングリコールを含むことが適当である。ある実施形態において、ポリエチレングリコールは非水性組成物の約15から約25重量%存在する。
【0040】
なめらかであって、粘つく兆候が全く見られない組成物を作製するために、カルボキシビニルポリマーのポリエチレングリコールに対する、特定の比率を用いることが望ましい。
【0041】
カルボキシビニルポリマーのポリエチレングリコールに対する比率は、約1:15から約1:30の範囲内であることが有利である。
【0042】
歯科として許容される研磨剤を、必要に応じて非水性組成物に添加してもよい。有利なことに、歯科として許容される研磨剤の有無、ならびにそうした研磨剤の量によって、本発明の非水性組成物で作製される歯磨剤組成物の研磨性を選択的にコントロールすることができる。例として、生体活性ガラスは、もし存在すれば、最終的な用途に応じて、許容される程度の研磨性を非水性組成物に与えることができる。他の例として、望ましい量の、歯科として許容される研磨剤を添加して、非水性組成物全体の研磨性を高めることができる。
【0043】
非水性組成物での使用に適した研磨剤は、たとえば、非晶質シリカ、ゲル状シリカ、沈降シリカ、もしくはヒュームド・シリカ、オルトリン酸亜鉛、炭酸水素ナトリウム(ベーキングソーダ)、プラスチック粒子、アルミナ、アルミナ水和物、炭酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、不溶性メタリン酸塩、またはそれらの混合物などである。
【0044】
シリカ研磨剤は、天然非晶質シリカ、たとえば珪藻土;または合成非晶質シリカ、たとえば沈降シリカとすることができる。例として、シリカ研磨剤には、それぞれHuber、 Degussa、Ineos、およびRhodiaから次の商標、Zeodent、Sident、Sorbosil、またはTixosilで販売されているものがある。
【0045】
シリカ研磨剤は、組成物全体の約25重量%まで、たとえば組成物全体の2から20重量%まで、たとえば5から15重量%までの量で存在することが適当である。
【0046】
概して、本発明の非水性組成物に使用するのに適した研磨剤の量は、当技術分野で周知の技法にしたがって、許容される水準の清掃および研磨をもたらすように、実験的に決定することができる。研磨剤は、非水性組成物の約0から約60重量%、典型的には約5から約30重量%までの量で存在することが適当である。
【0047】
本発明の非水性組成物は、必要に応じて、従来から歯磨剤製剤で使用される1つもしくは複数の口腔ケア活性物質を追加して含有してもよい。このような活性物質には、たとえば、フッ化物源、脱感作剤、抗歯石剤、抗侵蝕剤、抗菌剤、抗プラーク剤、ホワイトニング剤、口臭薬、またはそれらのうち少なくとも2つの混合物を含めることができる。
【0048】
本発明の組成物に使用するのに適したフッ化物源としては、25から3500ppm、好ましくは100から1500ppmまでのフッ化物イオンをもたらす量の、フッ化ナトリウムなどのアルカリ金属フッ化物、モノフルオロリン酸ナトリウムなどのアルカリ金属モノフルオロリン酸塩、フッ化スズ、またはアミンフッ化物が挙げられる。
【0049】
生体活性ガラスに加えて、またはその代わりに、たとえばWO 02/15809 (Block)に記載の、さらに他の脱感作剤、たとえば細管遮断剤または神経脱感作剤、およびそれらの混合物などを、本発明の組成物に含めることができる。このような追加的に選択できる脱感作剤には、ストロンチウム塩、たとえば、塩化ストロンチウム、酢酸ストロンチウム、もしくは硝酸ストロンチウムなど、またはカリウム塩、たとえば、クエン酸カリウム、塩化カリウム、炭酸水素カリウム、グルコン酸カリウム、なかでも硝酸カリウムなどがある。
【0050】
ポリリン酸塩は、歯石の形成を遅らせるのを助けることが知られており、本発明に使用するのに適した抗歯石剤の実例である。ポリリン酸塩は一般に、当然のことながら、主として直鎖状の配置をとる2つ以上のリン酸基からなるが、環状の誘導体も存在する。本発明に有用なポリリン酸塩には、ピロリン酸塩、3つ以上のポリリン酸基を有するポリリン酸塩、たとえばトリポリリン酸ナトリウムなど、ならびに4つ以上のポリリン酸基を有するポリリン酸塩、なかでもテトラポリリン酸塩およびヘキサメタリン酸塩などがある。
【0051】
本発明の組成物はさらに、抗侵蝕剤、たとえばWO 04/054529 (Procter & Gamble)に記載の無機高分子界面活性剤を含有することができる。
【0052】
本発明の組成物は、追加の配合物質、たとえば香味料、甘味料、乳白剤もしくは着色剤、および防腐剤を含有することができるが、これらはそうした目的のために口腔衛生組成物の技術分野で従来から使用されている物質から選択されるものである。
【0053】
概して、任意選択可能な物質は、製剤全体に対して少量もしくは低率で、使用することができる。たとえば、このような成分は通常、非水性組成物の約0.001から約5重量%までの量で存在する。
【0054】
歯磨剤組成物は典型的には、口腔に適用するのに適した粘性を有する。粘性は、作製される歯磨剤組成物のタイプ、およびその最終的な用途に応じて、さまざまとすることができる。当業者は、本明細書で与えられる教示から、口腔で使用するのに適した粘性を有する組成物を、容易に調製することができる。
【0055】
本発明の組成物は、成分材料を、都合のよい任意の順序で、適当な相対量で混合することによって調製することができる。
【0056】
(実施例)
本発明を以下の実施例によってさらに説明する。
【実施例1】
【0057】
非水性組成物(ベタインをタウリン塩と併用)
【表1】
【実施例2】
【0058】
非水性組成物(ベタインをアルキル硫酸塩と併用)
【表2】
【実施例3】
【0059】
本発明の非水性組成物の官能評価
研究目的
本研究は、いくつかの洗剤系のテクスチャープロファイルを評価することを目的とした。
【0060】
1.検討1 - 特性診断テスト
評価を行う歯磨剤組成物には、対照製剤1-3(唯一の界面活性剤成分としてSLSを含有する)および本発明の歯磨剤組成物、D1-D2が含まれる。
【表3】
【0061】
評価を行う官能特性は、テクスチャー特性(泡の強度、泡の粘度、泡の分散、泡の密度);歯のきれいさの感覚、および口当たりの全体的な好みとした。プロジェクトチームから7人のパネリストを採用した。サンプルは盲検とし、3桁の数字のラベルを付け、ランダムにパネリストに渡された。パネリストの人数が少ないため、統計分析は適用しなかった。
【0062】
サンプルは次のように認知された:
【表4】
【0063】
2.検討2 - AD/TBおよびSLS/TBの記述プロファイル
本研究は、練り歯磨き製剤(上記D1およびD2)を対照製剤 - 対照4(1.1% w/w SLS)と対比して、味および口当たりのプロファイルについて完全な比較を得ることを目的とした。
【0064】
対照4の組成物の製剤詳細は以下の通りとした:
【表5】
【0065】
サンプルは盲検とし、3桁の数字のラベルを付けて、ランダムに15人の熟練したパネリストに渡された。
【0066】
評価を行う官能特性は、テクスチャー特性(泡の強度、泡の密度、泡の分散、なめらかさ)および味の特性(甘味強度、苦味強度、風味強度)、ならびに歯のきれいさの感覚とした。サンプルの官能プロファイルは次のように認知された:
【表6】
【0067】
結論:
Tego Betain/AdinolおよびTego Betain/SLS洗剤系は、有意に味の特性を変更することなく、組成物の泡の特性を、SLS単独の系と比べて改善した。Tego Betain/Adinol組成物は、泡に関して最高の性能を提供した。
【0068】
検討3 - Tego Betain (TB)およびAdinol (AD)の単独製剤および混合組成物の記述プロファイル
本研究は、SLS、Tego Betain、またはAdinolを唯一の界面活性剤として含有する製剤と、界面活性剤の組み合わせ、すなわちTego Betain / AdinolおよびTego Betain / SLSを含有する製剤との間で、テクスチャー要素の違いを識別し、数値化することを目的とした。
【0069】
テストした練り歯磨きの組成は、以下の通りとした。
【表7】
【0070】
サンプルは盲検とし、3桁の数字のラベルを付けて、ランダムに15人の熟練したパネリストに渡された。
【0071】
練り歯磨きの口当たりの特徴を表す5つの官能特性を評価した。その特性は、泡の強度、泡の密度、泡の粘度、泡の分散、および泡立ちとした。α= 5% でANOVAを適用し、LSDを計算して、サンプルと対照との有意な差異を立証した。
【0072】
サンプルの官能プロファイルは、次のように認知された。
【表8】
【0073】
ns = 練り歯磨き組成物とSLS製剤との間に有意な差はない
* = 練り歯磨き組成物とSLS製剤との間の有意差 (p<0.001)
・1.2% w/w Tego Betainを有する製剤は、泡の強度、泡の密度、泡の粘度、および泡立ちの点で1.2% w/w SLS含有製剤と有意な差異はなかった。
【0074】
・1.2% w/w Adinolを含有する製剤は、泡の強度、泡の密度、および泡立ちの点で1.2% w/w SLS含有製剤と有意な差異はなかったが、泡の粘度は有意に(p<0.001)濃厚であった。
【0075】
・0.4% w/w Tego Betainを含有する1.2% w/w SLS製剤の泡の特性(強度、密度、粘度、および泡立ち)は、1.2% w/w SLSだけを含有する製剤より有意に(p<0.001)優れていた。
【0076】
・1.2% w/w Adinolを含有する1.2% w/w Tego Betain製剤の泡の特性(強度、密度、粘度、および泡立ち効果)は、1.2% w/w SLSだけを含有する製剤より有意に(p<0.001)優れていた。
【0077】
・ブラッシング中の泡の分散に関して、単独の製剤と混合された配合と1.2% w/w SLS対照との間に有意な差異は存在しなかった。
【0078】
・混合された配合は全体として、単独の製剤より有意に(p<0.001)よく泡立った。これらの二洗剤系は細かい泡でいっぱいであり、ブラッシングを開始するとすぐに泡が出現した。単独の製剤、または混合された配合において、泡の特性に関して差はなかった。
【0079】
結論:
・泡の特性に関して、1.2 % w/w SLSもしくは1.2% w/w Tego Betainを含有する練り歯磨き製剤の間に等価性が存在した。1.2% w/w Adinol製剤も、泡の粘度が濃厚である点を除いて、同じ発泡特性(強度、密度、および泡立ち)を示した。
【0080】
・1.2% w/w SLS製剤へのTego Betain (0.4% w/w)の添加は、有意に(p<0.001)練り歯磨きの泡の特性を改善した。この練り歯磨きは、より泡立ち、泡は質がよく(細かい泡で満ちている)、練り歯磨きはブラッシングの始めから泡立った(泡立ち)。
【0081】
・Adinol/ Tego Betain混合物を含有する練り歯磨き製剤は、SLSだけを含有する製剤より有意に泡立った。泡は細かい泡で満ちており、この練り歯磨きはブラッシングを始めるとすぐに泡立った。
【0082】
・泡が口いっぱいに広がる(泡の分散)度合いは、洗剤系の組成によって影響を受けなかった。
[1] 界面活性剤系を含有する基剤を含んでなる非水性歯磨剤組成物であって、該基剤は、ベタインである第1の界面活性剤と、タウリン塩もしくはC10-20アルキル硫酸塩またはそれらの混合物である第2の界面活性剤との組合せから構成される界面活性剤系を含有する、前記組成物。
[2] ベタインがコカミドプロピルベタインである、1に記載の組成物。
[3] ベタインが、組成物の0.05から約4重量%、たとえば、約0.2から約2重量%までの量で存在する、1または2に記載の組成物。
[4] 第2の界面活性剤がタウリン塩を含む、1〜3のいずれか1つに記載の組成物。
[5] タウリン塩が唯一の第2の界面活性剤である、4に記載の組成物。
[6] タウリン塩がココイルメチルタウリンナトリウムである、1〜5のいずれか1つに記載の組成物。
[7] タウリン塩が組成物の0.5から2重量%までの量で存在する、1〜6のいずれか1つに記載の組成物。
[8] 第2の界面活性剤がC10-20アルキル硫酸塩を含む、1〜4、6、および7のいずれか1つに記載の組成物。
[9] C10-20アルキル硫酸塩が唯一の第2の界面活性剤である、8に記載の組成物。
[10] C10-20アルキル硫酸塩がラウリル硫酸ナトリウムである、1〜4および6〜9のいずれか1つに記載の組成物。
[11] C10-20アルキル硫酸塩が組成物の0.5から約1.5重量%までの量で存在する、1〜4および6〜10のいずれか1つに記載の組成物。
[12] 第2の界面活性剤がタウリン塩およびC10-20アルキル硫酸塩からなる、1〜4および6〜8および10〜11のいずれか1つに記載の組成物。
[13] 基剤がカルボキシビニルポリマーおよび溶媒を含有する、1〜12のいずれか1つに記載の組成物。
[14] カルボキシビニルポリマーがCarbopol(登録商標)974である、13に記載の組成物。
[15] カルボキシビニルポリマーが組成物の0.1から7.5重量%までの範囲で存在する、13または14に記載の組成物。
[16] 溶媒が、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物から選択される、13〜15のいずれか1つに記載の組成物。
[17] 溶媒がグリセリンを含む、16に記載の組成物。
[18] グリセリンが組成物の35から75重量%までの量で存在する、17に記載の組成物。
[19] 溶媒がポリエチレングリコールを含む、16〜18のいずれか1つに記載の組成物。
[20] ポリエチレングリコールが非水性組成物の15から25重量%までの量で存在する、19に記載の組成物。
[21] 水性環境と不適合であるか、または不安定である、歯磨剤添加物を含有する、1〜20のいずれか1つに記載の組成物。
[22] 歯磨剤添加物が生体活性ガラスを含む、21に記載の組成物。
[23] 生体活性ガラスが、約45重量%二酸化ケイ素、約24.5重量%酸化ナトリウム、約6重量%酸化リン、および約24.5重量%酸化カルシウムを含有する、22に記載の組成物。
[24] 生体活性ガラスが、組成物の1から20重量%までの量で存在する、22または23に記載の組成物。
[25] フッ化物源、脱感作剤、抗歯石剤、抗侵蝕剤、抗菌剤、抗プラーク剤、ホワイトニング剤、口臭薬、およびそれらのうち少なくとも2つの混合物から選択される口腔ケア活性物質を含有する、1〜24のいずれか1つに記載の組成物。