【実施例】
【0053】
実施例1:ピロクトンオラミンを含有する様々なオイル組成物の調製
活性な剤をエタノールまたはイソプロピルアルコール(IPA)に溶解することによって、組成物を調製した。次いで、オレイルアルコールを添加し、均質溶液が得られるまで撹拌した。流動パラフィン以外の他の賦形剤または添加剤を添加し、撹拌し、透明溶液を得た。最後に重量を流動パラフィンで調整し、均質溶液が得られるまで撹拌した。最終製剤は透明なオイル溶液であった。表1は、様々な賦形剤または添加剤を使用する、抗真菌剤としてピロクトンオラミンを含有する抗真菌透明オイル組成物を示す。
【0054】
結果:
1.ピロクトンオラミンを含有する、基油として流動パラフィンを使用する組成物は、透明なオイル溶液であった。
2.他の賦形剤、例えば、ティーツリー油、シクロメチコン(D
4)、酢酸トコフェロールなどの添加は、透明なオイル溶液に見える組成物としての製剤の物理的安定性に影響を与えなかった。
【0055】
実施例2:ケトコナゾールを含有する様々なオイル組成物の調製
活性な剤をエタノールに溶解することによって、組成物を調製した。次いで、オレイルアルコールを添加し、均質溶液が得られるまで撹拌した。流動パラフィン以外の他の賦形剤または添加剤を添加し、撹拌し、透明溶液を得た。最後に重量を流動パラフィンで調整し、均質溶液が得られるまで撹拌した。最終製剤は透明なオイル溶液であった。表2は、様々な賦形剤または添加剤を使用する、抗真菌剤としてケトコナゾールを含有する抗真菌透明オイル組成物を示す。
【0056】
結果:
1.ケトコナゾールを含有する、基油として流動パラフィンを使用する組成物は、透明なオイル溶液であった。
2.他の賦形剤、例えば、ティーツリー油、テルペン-4-オール、カプリル酸、シクロメチコン(D
4)などの添加は、製剤の物理的安定性に影響を与えず、組成物は透明なオイル溶液のように見えた。
【0057】
実施例3:インビトロ条件下でのM.フルフルの増殖についての栄養素の供給源として脂肪酸/エステルを含有するオイルの研究
マラセチア種は、ある条件下で病原性であり得る皮膚の片利共生生物として認識されている、親油性で単極性の酵母である(Indian Journal of Medical Microbiology, (2004) 22 (3):179-181)。フケ/脂漏性皮膚炎と最も密接に関連している真菌の脂質要件を比較するために、最も良く研究されるマラセチア種はM.フルフルである。脂質同化インビトロアッセイを設計し、M.フルフル(MTCC 1374)の増殖に対する脂質効果を調べた。
【0058】
方法:簡潔には、サブローデキストロース含有低融点寒天を融解し、38℃へ冷却した。脂肪酸/エステル成分、例えば、カプリン酸、カプリル酸、リノール酸、オレイン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、および脂肪酸/エステルを含有するオイル、例えば、ヤシ油、カラシ油などを添加し、真菌の増殖を研究した(Kaw Bing CHUA, et al Malaysian J Pathol (2005) 27(2): 99)。凝固後、無菌的に、適切なcfu/mlに調節されたM.フルフル接種物を寒天平板培地に画線した。2%オリーブ油を含む陽性対照、および脂肪物質を含まない陰性対照も維持した。
【0059】
結果:
1.結果は、6日間までに、インビトロ条件において脂肪酸/エステルまたはオイルの非存在下でM.フルフルの増殖がなかったことを示した(
図1)。
2.脂肪酸またはエステル、例えば、リノール酸、オレイン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、および脂肪酸/エステルを含有するオイル、例えば、ヤシ油、カラシ油などを含有した培養培地は、6日間までに、真菌のコンフルエントな増殖を示した。
3.低級炭素脂肪酸(C≦10)、例えば、カプリル酸(C8)およびカプリン酸(C10)を含む培養培地は、真菌の増殖についての栄養素を提供せず、6日間までに、増殖は観察されなかった。
【0060】
実施例4:M.フルフルに対する実施例1に記載のオイル組成物の生物活性
最小発育阻止濃度(MIC)は、抗真菌効能を示すための指標と考えられる。従って、組成物のMICの値が低いほど、その抗真菌効能はよりよい。
【0061】
方法:マラセチア・フルフル(MTCC 1374)に対する、ピロクトンオラミンを含有するオイル組成物のいくつかのインビトロ活性を、寒天希釈法(Jan Faergemann, et al Acta Derm Venereol, (2006), 86:312; Irith Wiegand, et al Nature Protocols (2008), 3:163)によって測定した。可溶化抗真菌組成物の適切な希釈物を、融解したLeeming Notman培地へ添加した。平板培地が凝固した後、適切なcfu/mlに調節されたM.フルフル接種物を寒天平板培地上に画線し、6日間インキュベートした。インキュベーション後、目に見えるM.フルフル増殖について第3日および第6日に平板培地を観察した。MICは、目に見える真菌の増殖を阻害する抗真菌剤の最小濃度と定義される。
【0062】
結果:
1.異なる溶媒、それぞれ、イソプロピルアルコール、オレイルアルコール、およびエタノールを含む、ピロクトンオラミン含有オイル組成物VPO-018、VPO-022、およびVPO-028は32μg/mlのMICを示し、これは陽性対照のMICと同様であった。ここで、薬物は表3に示されるのと同一の濃度でDMSO中に溶解されている。
他の添加剤、例えば、カプリル酸、シクロメチコン(D
4)、酢酸トコフェロールなどの添加は、表1に示す濃度で使用した場合、オイル組成物のMICに影響を与えなかった。
【0063】
実施例5:M.フルフルに対する実施例2に記載のオイル組成物の生物活性
方法:マラセチア・フルフル(MTCC 1374)に対するケトコナゾールを含有する、オイル組成物のいくつかのインビトロ活性を、寒天希釈法によって測定した。抗真菌組成物の適切な希釈物を、融解したLeeming Notman培地へ添加した。平板培地が凝固した後、適切なcfu/mlに調節されたM.フルフル接種物を寒天平板培地上に画線し、6日間インキュベートした。インキュベーション後、目に見えるM.フルフル増殖について第3日および第6日に平板培地を観察した。MICは、真菌を増殖させない、抗真菌活性物の最小試験希釈と定義される。
【0064】
結果:
1.ケトコナゾール含有オイル組成物は0.25μg/mlのMICを示し、これは陽性対照のMICと同様であった。ここで、薬物は表4に示されるのと同一の濃度でDMSO中に溶解されている。
【0065】
実施例6:M.フルフルのインビトロ増殖に対する様々な脂肪酸/エステルの効果
A)インビトロ条件下でのM.フルフルの増殖についてのグリセロールまたはグリコールエステル(炭素数C-11未満)である様々なオイルの研究
マラセチア種は、ある条件下で病原性であり得る皮膚の片利共生生物として認識されている、親油性で単極性の酵母である。フケ/脂漏性皮膚炎と最も密接に関連している真菌の脂質要件を比較するために、最も良く研究されるマラセチア種はM.フルフルである。脂質同化インビトロアッセイを設計し、M.フルフル(MTCC 1374)の増殖に対するC-11未満の脂肪酸またはそれらのエステルの脂質効果を調べた。
【0066】
簡潔には、サブローデキストロース含有低融点寒天を融解し、38℃へ冷却した。真菌の増殖を研究するために、脂肪酸/エステル成分、例えば、カプリル酸、カプリン酸、およびプロピレングリコールのモノカプリレートを2%濃度で添加した。凝固後、無菌的に、適切なcfu/mlに調節されたM.フルフル接種物を寒天平板培地に画線した。2%オリーブ油を含む陽性対照、および脂肪物質を含まない陰性対照も維持した。
【0067】
低級炭素脂肪酸(C-11未満)、例えば、カプリル酸(C-8)およびカプリン酸(C-10)を含む培養培地は、真菌の増殖についての栄養素として役立たず、6日間までに、増殖は観察されなかった。一方、2%オリーブ油が補われた培地は、同一期間内に真菌のコンフルエントな増殖を示した。これを
図2に示す。
【0068】
B)インビトロ条件下でのM.フルフルの増殖についてのC-11以上の脂肪酸またはそれらのエステルである様々なオイルの研究
脂質同化インビトロアッセイを設計し、M.フルフル(MTCC 1374)の増殖に対するC-10超の脂肪酸またはそれらのエステルの脂質効果を調べた。サブローデキストロース含有低融点寒天を融解し、38℃へ冷却した。真菌の増殖を研究するために、脂肪酸/エステル成分、例えば、脂肪酸またはエステル、例えば、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、リノール酸、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、カラシ油、ヤシ油を、種々の濃度で添加した。2%オリーブ油を含む陽性対照、および脂肪物質を含まない陰性対照も維持した。凝固後、無菌的に、適切なcfu/mlに調節されたM.フルフル接種物を寒天平板培地に画線した。
【0069】
高級炭素脂肪酸およびエステル(C-10を超える)、例えば、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、リノール酸、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸エチルを含んだ培養培地は、6日間までに、真菌のコンフルエントな増殖を示した。興味深いことに、
図3に示されるように、カラシ油、ヤシ油などの植物油もM.フルフルのコンフルエントな増殖を示した。さらに、2%オリーブ油が補われた培地は、同一期間内に真菌のコンフルエントな増殖を示し、一方、オイルサプリメントを含まない培地は増殖を示さなかった。
【0070】
実施例7:抗真菌剤またはそれらの組み合わせを含有する、C-11以上の脂肪酸/エステルを含まないオイル組成物の調製
A)抗真菌剤としてピロクトンオラミンを含有する、C-11以上の脂肪酸/エステルを含まないオイル組成物の調製
活性な剤をエタノールまたは他の適切な溶媒に溶解することによって、これらの組成物を調製した。次いで、オレイルアルコールを添加し、均質溶液が得られるまで撹拌した。流動パラフィン以外の他の賦形剤または添加剤を添加し、撹拌し、透明溶液を得た。最後に総体積を流動パラフィンで調整し、均質溶液が得られるまで撹拌した。最終製剤は透明なオイル溶液であり、表5に与えるように1P、2P、3Pおよび4Pとコード化した。組成物は全て透明溶液である。組成物1Pおよび2Pにおいて、カプリル酸を添加し、製剤のpHのバランスを取った。
【0071】
B)インビトロ条件下でのM.フルフルに対する、抗真菌剤ピロクトンオラミンを含有する、C-11以上の脂肪酸/エステルを含まないオイル組成物のMICの研究
表6および表7に示されるように、C-11以上の脂肪酸またはそれらのエステルを含まない、ピロクトンオラミンを含有するオイル組成物は、M.フルフルに対して16〜32μg/mlの範囲およびM.オブツサ(M.obtusa)に対して8〜16μg/mlの範囲のMICを示した。5%ヒマワリ油および10%オレイン酸と共に同様の量のピロクトンオラミンを含有する組成物は、両方の株に対して64μg/mlのMICを示した。これらの結果は、C-10を超えるトリグリセリド/遊離脂肪酸に富む植物油(ヒマワリ)の存在が、抗真菌剤の活性に対して悪影響を有することを示している。同様に、C-10を超える脂肪酸(例えば、オレイン酸)の存在も、抗真菌剤の活性に対して悪影響を有する。
【0072】
C)抗真菌剤としてケトコナゾールを含有する、C-11以上の脂肪酸/エステルを含まないオイル組成物の調製
活性な剤をエタノールまたは他の適切な溶媒に溶解することによって、これらの組成物を調製した。次いで、オレイルアルコールを添加し、均質溶液が得られるまで撹拌した。流動パラフィン以外の他の賦形剤または添加剤を添加し、撹拌し、透明溶液を得た。最後に総体積を流動パラフィンで調整し、均質溶液が得られるまで撹拌した。最終製剤は透明なオイル溶液であり、表8に与えるように、1K、2Kとコード化した。組成物は全て透明溶液である。
【0073】
D)抗真菌剤としてピロクトンオラミンおよびケトコナゾールを組み合わせて含有する、C-11以上の脂肪酸/エステルを含まないオイル組成物の調製
活性な剤をエタノールまたは他の適切な溶媒に溶解することによって、これらの組成物を調製した。次いで、オレイルアルコールを添加し、均質溶液が得られるまで撹拌した。流動パラフィン以外の他の賦形剤または添加剤を添加し、撹拌し、透明溶液を得た。最後に総体積を流動パラフィンで調整し、均質溶液が得られるまで撹拌した。最終製剤は透明なオイル溶液であり、表9に与えるように、1PK、2PKとコード化した。
【0074】
E)抗真菌剤および発毛促進剤ミノキシジルを含有する、C-11以上の脂肪酸/エステルを含まないオイル組成物の調製
組成物を上述のように調製し、表10に与えるように、1PM、2PMおよび3PMとコード化した。
【0075】
実施例8
A)異なる抗真菌剤を含有する、C-11以上の脂肪酸/エステルを含まない様々なゲル組成物の調製
最初に、カーボポールを水へ添加し、24時間膨潤させた。フケ防止剤を最小量の溶媒に溶解し、カーボポールベースへ添加し、続いて、トリエタノールアミンまたは水酸化ナトリウムの希釈水溶液で中和し、pH 5.0〜7.0を得た。ゲル組成物を表11に示すように1G、2G、3G、4G、5Gおよび6Gとコード化した。
【0076】
B)インビトロ条件下でのM.フルフルに対する抗真菌剤ピロクトンオラミンを含有する、C-11以上の脂肪酸/エステルを含まないゲル組成物の阻止帯(ZOI(zone of inhibition))の研究
ゲル組成物の効能を研究するために、ZOIを寒天ウェル拡散(Agar Well Diffusion)法によって測定した。観察を表12に示した。
【0077】
結果:
表12に示されるように、ピロクトンオラミンを含有するゲル組成物(1G)は、M.フルフルに対して1.2〜0.9 cmの範囲のZOI(阻止帯)を示した。一方、4%プロピレングリコールモノカプリレートと共に同様の量のピロクトンオラミンを含有する組成物(2G)は、M.フルフルに対してZOI 1.5〜1.3 cmを示した。ベース製剤1Gに10 %オレイン酸を含めると、阻止帯は観察されなかった。これらの結果は、C-10を超える遊離脂肪酸であるオレイン酸の存在は抗真菌剤の活性に対して悪影響を有することを示した。
【0078】
実施例9:異なる抗真菌剤を含有する、C-11以上の脂肪酸/エステルを含まない様々なクリーム組成物の調製
クリームを溶融法によって調製し、ここで、全ての油溶性成分を計量し、60〜80℃の温度で融解させた。水相を同一の温度で維持し、絶えず撹拌しながら油相を水相へ注ぎ、続いて適度に撹拌しながら徐冷した。クリーム組成物を表13に示すように1C、2C、3C、4Cとコード化した。
【0079】
本発明において開示される抗真菌組成物は、従って、実際的で容易な様式で得られる。好ましい局面および実施例構成を記載および説明したが、様々なさらなる修飾物および追加の構成が当業者に明らかとなるであろうことが理解される。本明細書に開示される具体的な態様および構成は、本発明を実施する好ましい性質およびベストモードを説明し、本発明の範囲に対する限定と解釈されるべきではないことが意図される。
【0080】
(表1)ピロクトンオラミン−オイル組成物
C−透明、ST−僅かに濁っている、PO−ピロクトンオラミン、IPA−イソプロピルアルコール、OA−オレイルアルコール、Cap.A−カプリル酸、Toco.Ace.−酢酸トコフェロール、TTO−ティーツリー油、LLP−軽質流動パラフィン、App−外観
【0081】
(表2)ケトコナゾール−オイル組成物
C−透明、ST−僅かに濁っている
【0082】
(表3)ピロクトンオラミンのオイル組成物についてのMICの結果
「+」は真菌の増殖を示し、「-」は真菌の増殖が無いことを示す
【0083】
(表4)ケトコナゾールのオイル組成物についてのMICの結果
「+」は真菌の増殖を示し、「-」は真菌の増殖が無いことを示す
【0084】
(表5)抗真菌剤としてピロクトンオラミンを含有するオイル組成物
*q.s. 十分な量
【0085】
(表6)M.フルフルに対するピロクトンオラミンを含有するオイル組成物のMIC
「+」は真菌の増殖を示し、「--」は真菌の増殖が無いことを示す
【0086】
(表7)M.オブツサに対するピロクトンオラミンを含有するオイル組成物についてのMIC
「+」は真菌の増殖を示し、「-」は真菌の増殖が無いことを示す
【0087】
(表8)抗真菌剤としてケトコナゾールを含有するオイル組成物
*q.s. 十分な量
【0088】
(表9)ピロクトンオラミンおよびケトコナゾールを組み合わせて含有するオイル組成物
*q.s. 十分な量
【0089】
(表10)抗真菌剤としてのピロクトンオラミンおよびミノキシジルを含有するオイル組成物
*q.s. 十分な量
【0090】
(表11)C-11以上の脂肪酸/エステルを含まない抗真菌剤を含有するゲル組成物
*q.s. 十分な量
【0091】
(表12)M.フルフルに対するピロクトンオラミンを含有するゲル組成物の阻止帯
【0092】
(表13)抗真菌剤ピロクトンオラミンまたはケトコナゾールを含有するクリーム組成物の調製
*q.s. 十分な量