特許第6339949号(P6339949)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6339949
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】ダンパおよびダンパの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/12 20060101AFI20180528BHJP
   F16B 21/06 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   F16F9/12
   F16B21/06 Z
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-31605(P2015-31605)
(22)【出願日】2015年2月20日
(65)【公開番号】特開2016-153667(P2016-153667A)
(43)【公開日】2016年8月25日
【審査請求日】2016年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】100082669
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 賢三
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100095061
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 恭介
(72)【発明者】
【氏名】小野 貴志
【審査官】 長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−506256(JP,A)
【文献】 特開2012−145156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 9/12
F16B 21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成された外筒部と、この外筒部より小径の円筒状に形成された内筒部とが同心円状に配置され、一端である下方に底部が形成され、他である上方に開口端部が形成されている収納体と、前記収容体に収容される可動体が備えられると共に、前記外筒部の内周に形成した溝部に係合される突起部が形成された蓋体と、を備えると共に、前記外筒部および前記内筒部と前記蓋体との間を各々シールするOリングをえたダンパにおいて、
前記外筒部における前記溝部と前記底部との間であって、前記Oリングと対向する箇所の外面に、凹部を形成することで前記外筒部よりも肉薄の薄肉部形成た、
ことを特徴とするダンパ。
【請求項2】
前記薄肉部が、前記外筒部における前記溝部と前記底部との間である中間部よりも前記溝部側に形成された、
ことを特徴とする請求項1に記載されたダンパ。
【請求項3】
筒状に形成された外筒部と、この外筒部より小径の円筒状に形成された内筒部とが同心円状に配置され、一端である下方に底部が形成され、他である上方に開口端部が形成されている収納体と、前記開口端部から挿入されて前記収容体に収容されるロータまたはピストンが備えられると共に、前記外筒部の内周に形成した溝部に係合される突起部が形成された蓋体と、を備えると共に、前記外筒部および前記内筒部と前記蓋体との間を各々シールするOリングをえたダンパにおいて、
前記外筒部における前記溝部と前記底部との間である中間部よりも前記溝部側であって、前記Oリングと対向する箇所の外面に、凹部を形成することで前記外筒部よりも肉薄の薄肉部形成た、
ことを特徴とするダンパ。
【請求項4】
筒状に形成された外筒部と、この外筒部より小径の円筒状に形成された内筒部とが同心円状に配置され、一端である下方に底部が形成され、他である上方に開口端部が形成されている収納体と、前記開口端部から挿入されて前記収容体に収容されるロータが備えられると共に、前記外筒部の内周に形成した溝部に係合される突起部が形成された蓋体と、を備えると共に、前記外筒部および前記内筒部と前記蓋体との間を各々シールするOリングをえたダンパにおいて、
前記外筒部における前記溝部と前記底部との間である中間部よりも前記溝部側であって、前記Oリングと対向する箇所の外面に、凹部を形成することで前記外筒部よりも肉薄の薄肉部形成た、
ことを特徴とするダンパ。
【請求項5】
前記溝部および前記突起部が環状に形成され、この溝部に沿って、前記薄肉部が環状に形成された、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載されたダンパ。
【請求項6】
筒状に形成された外筒部の一端に底部が形成され、前記外筒部の他端に、開口端部が形成されると共に内周に溝部が形成された収容体を成形する工程と、前記収容体に収容される可動体が備えられると共に、前記溝部に係合される突起部が形成された蓋体を成形する工程とが含まれ、前記収容体と前記蓋体とを合体させてダンパを製造するダンパ製造方法において、
前記外筒部における前記溝部と前記底部との間である中間部よりも前記溝部側に、前記外筒部よりも肉薄の薄肉部を成形する工程が含まれ、
前記開口端部を前記外筒部の内側の型から離型する際、前記薄肉部によって前記外筒部を弾性変形させる
ことを特徴とするダンパ製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝や制動を目的として用いられるダンパおよびダンパの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ダンパは、例えば自動車の内装であるアシストグリップなどに備えられ、バネなどの復元力によってアシストグリップが元の位置に戻る際の動きを制動するものである。このようなダンパとして、例えば、下記特許文献1に記載されたダンパ装置、および下記特許文献2の記載されたアンダーカット部を有する樹脂成形体の製造方法がある。
【0003】
特許文献1の記載されたダンパ装置は、ロータである円筒状のインナーパーツと、ハウジングである円筒状のアウターパーツとが、同心円状に合体したものである。各パーツは、インナーパーツの外周に形成された環状の突起と、アウターパーツの内周に形成された環状の溝とが嵌合することで合体する。各パーツの成形における突起および溝は、一般的に、いわゆるアンダーカットである。
【0004】
一方、特許文献2の記載されたアンダーカット部を有する樹脂成形体の製造方法は、内側スライド成形型と、外側スライド成形型とで樹脂成形体を製造するものである。内側スライド成形型は、樹脂成形体の内周に環状の溝を形成するための環状の突起が形成され、樹脂成形体から抜去される方向に向かうにつれて拡径したテーパが形成されている。樹脂成形体から内側スライド成形型が抜去される際、テーパによって、突起が樹脂成形体の溝から抜け出しやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−145156号公報
【特許文献2】特許第5210578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したアンダーカットは、成形において、成形型から離型する際に成形品を変形させてしまう場合がある。すなわち、特許文献1に記載されたダンパ装置は、アウターパーツの成形においてコアピンから離型する際、アウターパーツの内周に溝を成形するためのコアピンの突起によって、アウターパーツの縁が内側から離型方向に向けて捲り上がり、いわゆるメクレが生じる場合がある。このことは、成形時間を短縮するために、アウターパーツが完全に硬化する前にコアピンから離型した場合に顕著である。この場合、メクレがアウターパーツとインナーパーツとの嵌合状態を不安定にし、このことによってトルクが不安定となり、ダンパの性能が低下する。
【0007】
一方、特許文献2の記載されたアンダーカット部を有する樹脂成形体の製造方法によれば、内側スライド成形型は、樹脂成形体から抜去される方向に向かうにつれて拡径したテーパが形成されているため、メクレが生じ難いが、テーパによって成形品もテーパ形状となり、設計が制限される。
【0008】
本発明は、この様な実情に鑑みて提案されたものである。すなわち、設計の制限を極力受けずにトルクを安定させることができるダンパおよびダンパの製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係るダンパは、筒状に形成された外筒部の一端に底部が形成され、前記外筒部の他端に、開口端部が形成されると共に内周に溝部が形成された収容体と、前記収容体に収容される可動体が備えられると共に、前記溝部に係合される突起部が形成された蓋体と、が備えられたダンパにおいて、前記外筒部における前記溝部と前記底部との間に、前記外筒部よりも肉薄の薄肉部が形成された、ことを特徴とする。
【0010】
本発明に係るダンパは、前記薄肉部が、前記外筒部における前記溝部と前記底部との間である中間部よりも前記溝部側に形成された、ことを特徴とする。
【0011】
本発明に係るダンパは、筒状に形成された外筒部の一端に底部が形成され、前記外筒部の他端に、開口端部が形成されると共に内周に溝部が形成された収容体と、前記開口端部から挿入されて前記収容体に収容されるロータまたはピストンが備えられると共に、前記溝部に係合される突起部が形成された蓋体と、が備えられたダンパにおいて、前記外筒部における前記溝部と前記底部との間である中間部よりも前記溝部側に、前記外筒部よりも肉薄の薄肉部が形成された、ことを特徴とする。
【0012】
本発明に係るダンパは、筒状に形成された外筒部の一端に底部が形成され、前記外筒部の他端に、開口端部が形成されると共に内周に溝部が形成された収容体と、前記開口端部から挿入されて前記収容体に収容されるロータが備えられると共に、前記溝部に係合される突起部が形成された蓋体と、前記収容体と前記蓋体とを貫通する貫通路と、が備えられたダンパにおいて、前記外筒部における前記溝部と前記底部との間である中間部よりも前記溝部側に、前記外筒部よりも肉薄の薄肉部が形成された、ことを特徴とする。
【0013】
本発明に係るダンパは、前記溝部および前記突起部が環状に形成され、この溝部に沿って、前記薄肉部が環状に形成された、ことを特徴とする。
【0014】
また、上記目的を達成するために、本発明に係るダンパ製造方法は、筒状に形成された外筒部の一端に底部が形成され、前記外筒部の他端に、開口端部が形成されると共に内周に溝部が形成された収容体を成形する工程と、前記収容体に収容される可動体が備えられると共に、前記溝部に係合される突起部が形成された蓋体を成形する工程とが含まれ、前記収容体と前記蓋体とを合体させてダンパを製造するダンパ製造方法において、前記外筒部における前記溝部と前記底部との間である中間部よりも前記溝部側に、前記外筒部よりも肉薄の薄肉部を成形する工程が含まれた、ことを特徴とする。
【0015】
本発明に係るダンパ製造方法は、前記開口端部を前記外筒部の内側の型から離型する際、前記薄肉部によって前記外筒部を弾性変形させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るダンパおよびダンパ製造方法は上記した構成である。この構成により、ダンパの成形において成形型から離型する際、収容体に溝部を形成するための成形型の突部によって収容体の開口端部が押し広げられ、開口端部が薄肉部を基点として外側に向けて弾性変形し、開口端部が一時的に拡径する。成形型から離型した後、収容体は復元する。このことにより、メクレが生じず、開口端部が平坦となるため、収容体と蓋体とが寸法どおりに嵌合する。したがって、主に収容体の内側にシリコンオイルを介して配置される可動体との間隔によって決まる剪断トルクを安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係るダンパが示され、(a)が上方から視した平面斜視図、(b)が下方から視した底面斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るダンパを側面から視した部分断面側面図である。
図3】本発明の実施形態に係るダンパの収容体が示され、(a)が上方から視した平面斜視図、(b)が下方から視した底面斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係るダンパの収容体が示され、(a)が平面図、(b)が側面部分断面図、(c)がA−A正面断面図、(d)が要部Bの拡大図である。
図5】本発明の実施形態に係るダンパの蓋体が示され、(a)が上方から視した平面斜視図、(b)が下方から視した底面斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係るダンパの蓋体が示され、(a)が平面図、(b)が側面部分断面図、(c)がC−C正面断面図、(d)が部分Dの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施形態に係るダンパを図面に基づいて説明する。図1および図2は、本発明の実施形態に係るダンパ10が示され、図3および図4は、本発明の実施形態に係るダンパ10の収容体20が示され、図5および図6は、本発明の実施形態に係るダンパ10の蓋体30が示されている。なお、以下の説明では、図2を基準として、上方および下方とし、外筒部21を基準として外側および内側とする。
【0019】
<ダンパ>
図1および図2に示されているとおり、本実施形態に係るダンパ10は、中心が貫通されて貫通路2が形成された円柱状であり、収容体20(図3および図4参照)と蓋体30(図5および図6参照)とが嵌合して形成されている。
【0020】
<収容体>
図3および図4に示されているとおり、収容体20は、円筒状に形成された外筒部21と、この外筒部21より小径の円筒状に形成された内筒部22とが、同心円状に配置されている。収容体20は、一端である下方に底部23が形成され、他端である上方に開口端部24が形成されている。すなわち、外筒部21の下方端と内筒部22の下方端とは、環状に形成された底部23によって連接され、外筒部21の上方端および内筒部22の上方端は、開放されて開口端部24が形成されている。外筒部21と内筒部22との間の空間は収容区域25であり、下方端が底部23によって閉塞され、上方端が開放端部24によって解放されている。
【0021】
外筒部21は、開口端部24の上方端である外筒上方端部26が平坦に形成され、開口端部24側の内周面に、溝部27が形成されている。溝部27は、内周に沿って環状に連続している。また、外筒部21は、溝部27と底部23との間である中間部よりも溝部27側で、溝部27の近傍の外周面に、外筒部21よりも肉薄の薄肉部28が形成されている。薄肉部28は、外筒部21の外周面が陥没したことで形成され、外周に沿って環状に連続している。
【0022】
内筒部22は、開放端部24側に、内筒部22よりも肉薄で階段状に陥没した内筒段部29が形成されている。内筒段部29は、外周に沿って環状に連続している。
【0023】
<蓋体>
図5および図6に示されているとおり、蓋体30は、円筒状に形成された可動体としてのロータ31と、このロータ31が備えられた蓋本体部32とから構成されている。
【0024】
ロータ31は、収容体20の収容区域25に収まる大きさに形成され、収容区域25に収容される。ロータ31は上方に蓋本体部32が連接されている。蓋本体部32は、円盤状に形成され、収容体20(外筒部21)の溝部27に係合される突起部33が形成されている。突起部33は、外周に沿って環状に連続している。蓋本体部32とロータ31との間は、外周に沿って陥没して蓋段部34が形成されている。蓋段部34は、外周に沿って環状に連続している。
【0025】
蓋体30と収容体20とを合体させてダンパ10を形成する場合、まず、収容体20の内筒段部29、および蓋体30の蓋段部34にOリング1を取り付け(図2参照)、適宜シリコンオイル(図示省略)を収容体20の収容区域25に充填する。次に、収容体20の収容区域25に蓋体のロータ31を挿入する。蓋体30のロータ31の下方端を、収容体20の収容区域25における底部23に至らせ、蓋体30(蓋本体部32)の突起部33と、収容体20(外筒部21)の溝部27とを嵌合させる。収容体20の開口端部24は、外筒上方端部26が平坦に形成されているため、蓋体30(蓋本体部32)に適合し、適切な嵌合状態となる。これにより、収容体20とロータ30とが同軸上で相対的に回転するダンパ10が形成される。
【0026】
なお、ダンパが、例えばシリンダ式ダンパ(図示省略)である場合、収容体は、内筒部が形成されていない。すなわち、ダンパは、円筒状に形成された外筒部の一端に底部が形成され、外筒部の他端に、開口端部が形成されると共に内周に溝部が形成された収容体と、収容体に収容される可動体としてのシリンダが備えられると共に、溝部に係合される突起部が形成された蓋体とから構成される。
【0027】
次に、本発明の実施形態に係るダンパ10の収容体20を成形するための成形型(図示省略)について説明する。なお、蓋体の成形型および成型方法は従来どおりであるため、説明を省略する。
【0028】
収容体20を成形する成形型として、例えば、図4(c)において、底部23側に配置される固定側プレートと、底部23を貫通して内筒部22の内側(貫通路2)に配置される固定側コアピンと、外筒部21および開口端部24の外周に配置されるスライダと、開口端部24を通じて収容区域25に配置される可動側コアピンと、開口端部24側に配置され、スライダが外筒部21および開口端部24の外側からスライドした後に外筒上方端部26に接触して可動側コアピンに付いている収容体20を剥がすように離型方向に押し出すストリッパープレートとから構成されている。
【0029】
固定側プレートは、底部23を成形するための円盤状の窪みが形成され、窪みの中心に固定側コアピンが備えられている。固定側コアピンは、固定側プレートに形成された円盤状の窪みの中心を通って固定側プレートに対して上下方向に可動し、外筒部21の貫通路2を成形する。スライダは、二つの部材で構成され、合体することで、外筒部21の外形を成形するための円柱状の空間が形成される。スライダは、薄肉部28を成形するための環状の凸型部が内周に形成されている。可動側コアピンは、円柱状に形成されると共に、溝部27を成形するための環状の凸型部が外周に形成され、固定側コアピンが挿入される受入穴が軸方向に形成されている。この可動側コアピンが、スライダによって形成された円柱状の空間に配置されることで、スライダと可動側コアピンとの間に外筒部21が成形され、可動側コアピンと固定側コアピンとの間に内筒部22が成形され、これらと共に収容区域25が成形される。
【0030】
次に、本発明の実施形態に係るダンパ10の収容体20を成形するための成形方法について説明する。
【0031】
各成形型が所定の位置に配置され、収容体20と同じ形状のキャビティが形成された状態で、溶融された樹脂などの所定の材料をキャビティに注入する。溶融した樹脂を冷却して硬化させる際、樹脂が完全に硬化する前に型を開き、収容体20を成形する。
【0032】
詳説すれば、型開きの際、まず、固定側コアピンを下方に引き抜き、次いでスライダを分離させて外側に開く。その際、スライダに形成された凸型部によって、外筒部21の外周に沿って、外周面が陥没し、外筒部21に、溝部27と底部23との間である中間部よりも溝部27側で、溝部27の近傍の外周面に、外筒部21よりも肉薄の薄肉部28が成形される。
【0033】
次いで、収容体20(外筒部21)の外筒上方端部26にストリッパープレートを当て、さらにストリッパープレートが、可動側コアピンに付いた収容体20を剥がすように押し出して離型する。外筒部21の溝部27が可動側コアピンの凸型部から離型する際、凸型部によって外筒部21の開口端部24側が押し広げられ、開口端部24が薄肉部28を基点として外側に向けて弾性変形し、開口端部24が一時的に拡径する。可動側コアピンの凸型部が開口端部24を通過して収容体20が離型した後、外筒部21が復元する。
【0034】
上記のとおり成形された収容体20と、蓋体30とを、同心円状に合体させ、図1および図2に示されているダンパ10を製造する。
【0035】
なお、薄肉部28の位置は、外筒部20の溝部27から可動側コアピンの凸型部が引き抜かれる際、凸型部によって外筒部21の開口端部24側が押し広げられ、開口端部24が薄肉部28を基点として外側に向けて弾性変形し、凸型部が開口端部24を通過して収容体20から引き抜かれた後、外筒部21が復元するという作用を実現することができるものであれば、溝部27と底部23との間において、任意である。ただし、外筒部21のリブ3の位置を避ける必要がある。
【0036】
次に、本発明の実施形態に係るダンパ10の効果を説明する。
【0037】
上記したとおり、本実施形態に係るダンパ10によれば、外筒部21は、溝部27と底部23との間である中間部よりも溝部27側で、溝部27の近傍の外周面に、外筒部21よりも肉薄の薄肉部28が形成されている。この構成により、収容部20の成形において、外筒部21の溝部27から可動側コアピンの凸型部が離型する際、凸型部によって外筒部21の開口端部24側が押し広げられ、開口端部24が薄肉部28を基点として外側に向けて弾性変形し、開口端部24が一時的に拡径する。可動側コアピンの凸型部が開口端部24を通過して収容体20から離型した後、外筒部21が復元する。このことにより、メクレが生じず、開口端部24が平坦となるため、収容体20と蓋体30とが寸法どおりに嵌合する。したがって、主に外筒部21の内面と内筒部22の外面の隙間(収容区域25)にシリコンオイルを介して配置されるロータ31との間隔によって決まる剪断トルクを安定させることができる。
【0038】
本実施形態に係るダンパ10によれば、溶融した樹脂を冷却して硬化させる際、樹脂が完全に硬化する前に型を開き、収容体20を成形する。すなわち、硬化する前に可動側コアピンから離型するため、外筒部21が薄肉部28を基点として弾性変形し易い。したがって、成形品の精度を向上させることができ、また、成形時間を短縮することでコストを抑えることができる。
【0039】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。そして本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 Oリング
2 貫通路
3 リブ
10 ダンパ
20 収容体
21 外筒部
22 内筒部
23 底部
24 開口端部
25 収容区域
26 外筒上方端部
27 溝部
28 薄肉部
29 内筒段部
30 蓋体
31 ロータ(可動体)
32 蓋本体部
33 突起部
34 蓋段部
図1
図2
図3
図4
図5
図6