(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ポリスチレンフォーム、ウレタンフォーム、フェノールフォーム、グラスウール、ロックウール等の断熱材からなる芯材に表面材を貼り合わせた建築用パネル等の建築部材は数多く販売されている。建築部材では国土交通省不燃材料の認定取得が一般的に行われている。認定を受けるためには、断熱材と表面材を貼り合わせた状態で不燃試験に合格する必要がある。さらに、人目に触れる場所に施工される用途の建築用パネルは外観の良さも必要であり、表面材には凸凹を拾わない強度、面質の良さ、印刷等の意匠付与ができるといった特性を求められる。
【0003】
通常、建築部材の製造方法としては、意匠性を付与してある表面材を、成形した断熱材に接着剤等で貼り合わせる方法が一般的である。しかし、工程を簡素化するために、断熱材を成形しながら表面材を貼り合わせる方法も提案されている。この場合、表面材には意匠性を付与した状態で断熱材成形時の高熱に晒されても、形状が変化せず、かつ通気性を保持した状態で断熱材と強く接着するという性能が求められている。しかし、こうした高いハードルをクリアできる表面材は今までに存在しなかった。
【0004】
例えば、断熱材からなる芯材の一面に設けられる建築部材用複合シートとして、ガラス繊維と木材パルプとバインダー繊維とを含有する不織布と合成樹脂フィルムとを貼り合わせた複合シートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、不織布と合成樹脂フィルムとを貼り合わせたシートは、通気性がなく、断熱材の成形に障りが出る場合があった。
【0005】
また、ガラス繊維、パルプを含む表面材用不織布シートに、樹脂バインダーとフッ素系撥水撥油剤との混合物を分散した液体を含浸した、通気性を有する表面材用不織布シートが記載されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、この表面材用不織布シートでは、断熱材との接着強度が足りないという問題があった。
【0006】
また、ガラス繊維とセピオライトを必須成分として含有する表面材が記載されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、この表面材では、断熱材の接着強度と通気性が十分ではないという問題があった。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
建築部材用ガラス繊維含有不織布複合体は、ガラス繊維含有不織布の片面にホットメルトがスプレー状に塗布され、フラジール通気度が50cm
3/cm
2・sec以上であり、かつ不織布を構成する繊維のうちのパルプ比率が50質量%
未満であることを特徴とする。
【0012】
本発明の
建築部材用ガラス繊維含有不織布複合体では、ガラス繊維含有不織布の片面にホットメルトがスプレー状に塗布されていることにより、通気性が確保され、断熱材との貼り合わせ時に断熱材成形を支障なく行うことができる。また、断熱材との十分な接着強度を持つことが可能となる。さらに、
建築部材用ガラス繊維含有不織布複合体がガラス繊維を含有することにより、不燃認定をクリアすることができ、表面材としての寸法安定性と強度を保持することができる。
【0013】
本発明におけるガラス繊維含有不織布に使用するガラス繊維は、折れ難くシートの構成能力があればいずれのガラス繊維でも使用することができる。ガラス繊維の繊維径は2〜20μmが好ましく、5〜10μmがより好ましい。ガラス繊維の繊維径が2μm未満であると、寸法安定性が劣る場合がある。一方、繊維長が20μmを超えた場合、不織布を形成する際に地合が悪化し、表面平滑性が劣る恐れがある。ガラス繊維の繊維長は2〜30mmが好ましく、5〜10mmがより好ましい。ガラス繊維の繊維長が2mm未満であると、寸法安定性が劣る場合がある。一方、繊維長が30mmを超えた場合は、抄紙時に分散しにくくなり、形成された不織布が不均一になる恐れがある。
【0014】
本発明において、ガラス繊維含有不織布を構成する繊維のうちのガラス繊維比率は50〜98質量%が好ましい。ガラス繊維比率が50質量%未満であると、通気性を確保しにくくなるが故に、加工時の蒸気により、表面にボコツキ(凸凹)を発生させる可能性が高くなる。ガラス繊維の含有量が98質量%を超えると、強度を保持した不織布の作製自体が困難になる場合がある。最終的に、最適なガラス繊維比率は、貼り合わせられる断熱材や加工方法に応じて決定されるが、経済的な面をさらに加味しても、60〜90質量%であることがより好ましい。
【0015】
本発明において、ガラス繊維含有不織布には、必要に応じてガラス繊維以外の繊維を含有させることができる。このような繊維としては、例えば木材あるいは非木材パルプ、バインダー繊維、レーヨン、キュプラ、リヨセル繊維などの再生繊維、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリアクリル系、ビニロン系、ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ベンゾエート、ポリクラール、フェノール系などのバインダー能力のない合成繊維などを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0016】
本発明において、ガラス繊維含有不織布にパルプを使用することは、コストの面において望ましいが、ガラス繊維含有不織布を構成する繊維のうちのパルプ比率が50質量%以上になると、加工時に必要な通気性の確保が困難になる可能性や、加工時の蒸気により、表面のボコツキが大きくなり、意匠性を阻害する可能性があるため、不織布を構成する繊維のうちのパルプ比率は50質量%未満である。
【0017】
本発明において、ガラス繊維含有不織布に含まれるパルプは、NBKP、LBKP、GP、その他いずれの種類のパルプでも良いが、強度の点からNBKPが好ましい。また、叩解度は300mLCSF以上であることが好ましい。叩解度が300mLCSF未満であると、ガラス繊維含有不織布の寸法安定性が低下する場合、通気度を下げる要因となる場合、ガラス繊維含有不織布の強度が低下する場合などの不都合が発生することがある。
【0018】
本発明において、ガラス繊維含有不織布は、ガラス繊維の他にバインダー繊維を含有することが好ましい。バインダー繊維としては、ポリビニルアルコール(PVA)繊維、ビスコース繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維などが挙げられる。特に、水中分散性、不織布強度の点から、PVA繊維が好ましい。また、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、あるいはこれら樹脂の変性物等、繊維形状ではないバインダー樹脂を塗工あるいは含浸等により含有させても良い。
【0019】
バインダー繊維の繊維径は4〜40μmが好ましく、10〜18μmがより好ましい。バインダー繊維の繊維径が4μm未満であると、抄紙時に抄紙ワイヤーから脱落し、バインダー能力が低下する場合がある。一方、バインダー繊維の繊維径が40μmを超えた場合には、繊維の比表面積が相対的に低下し、バインダー能力が低下することがあり、また不織布表面の平滑性が劣る場合がある。バインダー繊維の繊維長は1〜20mmが好ましく、3〜10mmがより好ましい。バインダー繊維の繊維長が1mm未満であると、バインダー能力が低下する場合がある。一方、バインダー繊維の繊維長が20mmを超えた場合、抄紙時の分散性が悪くなり、形成されたガラス繊維含有不織布が不均一になる恐れがある。
【0020】
本発明において、ガラス繊維含有不織布を構成する繊維のうちのバインダー繊維比率は、5〜40質量%が好ましく、10〜25質量%がより好ましい。バインダー繊維の含有量が5質量%未満であると、引張強度が弱く、湿式抄紙の際に断紙する恐れがある。バインダー繊維の含有量が40質量%を超えると、通気性が低下して断熱材との加工段階で断熱材の成形が悪くなる恐れがある。
【0021】
ガラス繊維含有不織布には、必要に応じてクレー、カオリン、焼成カオリン、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタン等の填料や、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸マグネシウム等の自己消火性を有する填料等を含有させることができる。
【0022】
また、ガラス繊維含有不織布には、耐湿性や撥水性を持たせる等、必要に応じてサイズ剤を配合することができる。サイズ剤としては、本発明の所望の効果を損なわないものであれば強化ロジンサイズ剤、ロジンエマルジョンサイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、合成サイズ剤、中性ロジンサイズ剤、アルキルケテンダイマー(AKD)などのサイズ剤のいずれをも用いることができる。
【0023】
また、この他に、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、あるいは両性の歩留まり向上剤、濾水剤、分散剤、紙力向上剤や粘剤が必要に応じて適宜選択して使用される。また、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙用添助剤を目的に応じて適宜添加することができる。
【0024】
下記に本発明の
建築部材用ガラス繊維含有不織布複合体を構成する不織布の製造方法の一例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0025】
本発明の
建築部材用ガラス繊維含有不織布複合体を構成するガラス繊維含有不織布は、湿式抄紙法で製造することができる。ガラス繊維含有不織布は2層以上の多層シートであってもよく、製造する方法としては、2種以上の抄紙方式で抄き上げた湿紙ウェブを湿潤状態にあるうちに積層する抄き合わせ法、一方の湿紙ウェブを形成した後に、この湿紙ウェブの上に繊維を分散した原料スラリーを流して積層して多層シートを形成する方法等が挙げられる。また、乾燥したウェブの上に繊維を分散した原料スラリーを流して、多層シートを形成する方法でも良い。
【0026】
抄き合わせ法に使用する抄紙機としては、長網式、
円網式、傾斜ワイヤー式等の抄紙方式から同種又は異種の2以上の抄紙方式がオンラインで設置されているコンビネーション抄紙機を使用することができる。これらの抄紙機で抄造された湿紙ウェブは加熱乾燥される。加熱乾燥手段としては、シリンダードライヤー、エアドライヤー、サクションドラム式ドライヤー、赤外
線方式ドライヤーなどの方式を用いることができる。
【0027】
湿式抄紙法の一例を説明する。水に分散剤を添加した後、ガラス繊維を投入して攪拌する。分散剤としては特に限定はないが、ノニオン系分散剤を用いることが好ましい。その後、高分子ポリアクリルアミド水溶液又は高分子ポリエチレンオキシド水溶液といった粘剤類を添加し、往復攪拌機で攪拌した状態でガラス繊維スラリーとして貯蔵する。また、水に叩解後のパルプに、場合によってバインダー繊維、サイズ剤を混合分散した後、パルプスラリーとして、別の貯蔵タンクに送る。ガラス繊維スラリーとパルプスラリーとを一定量ずつ貯蔵タンク又は抄紙機に送り、必要であれば、混合して目標の混合比率と坪量になるように湿紙ウェブを抄造する。得られた湿紙ウェブをドライヤーで加熱乾燥することによって、ガラス繊維含有不織布が製造される。バインダー繊維が含有されている場合、ドライヤーでバインダー繊維を効率良く融着させる。
【0028】
また、ガラス繊維含有不織布に意匠性を付与するために、通気性を著しく低下させない程度の印刷加工やエンボス加工、めっき加工、アルミ蒸着加工等その他の加工をしても良く、加工順はホットメルト塗布前と後のどちらでも構わない。
【0029】
本発明におけるガラス繊維含有不織布の坪量は、特に限定しないが、40g/m
2以上が好ましい。40g/m
2未満では、断熱材と貼り合わせた際に凸凹感を拾う場合があり、見た目に問題が生じることがある。
【0030】
本発明では、ガラス繊維含有不織布の片面にホットメルトがスプレー状に塗布される。なお、本発明における「ホットメルトがスプレー状に塗布される」状態とは、ガラス繊維含有不織布上の平面に対して、幅広く分散しているドット状・ネット状等の、比較的均一であり通気性を完全に遮断しないような形状でホットメルトが接着している状態を指す。
【0031】
本発明では、ホットメルトがスプレー状に塗布されていることによって、意匠性付与のための印刷等の加工が、ホットメルトが塗布される前に行うことも可能であるし、ホットメルトが塗布された後に行うことも可能である。印刷等の加工とホットメルトの塗布の製造順番がフレキシブルに変更可能であることにより、生産効率を上げることができる。また、柄違いの多品番への受注即生産に対応することができ、ユーザーニーズに素早く対応することが可能となった。例えば、ホットメルトの塗布状態がライン状である場合には、ホットメルトによる凸凹が激しく、その後に印刷等の加工を行うことには適さないため、好ましくない。
【0032】
本発明において、ホットメルトの材料としては、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリアミド、アクリル、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン及びそれらの変性樹脂等の合成樹脂が使用される。また、無機や有機の顔料を練りこんで着色した樹脂を用いても良い。中でも、廉価で安全で、不織布への染み出しがないという点でEVAを用いることが好ましい。
【0033】
本発明において、ホットメルトの塗布量は10〜50g/m
2であることが好ましく、40〜50g/m
2であることがより好ましい。塗布量が10g/m
2未満だと、十分な接着効果が得られない場合がある。50g/m
2超だと、通気性や平滑性が損なわれたり、ホットメルトの浸み出しにより意匠性を損ねたりする場合がある。
【0034】
ホットメルトのスプレー状は前述の通り、通気性を完全に遮断しないような形状であればドット状・ネット状等から自由に選定できるが、連続操業性及びムラのない接着のためにネット状(網の目状)が好ましい。
【0035】
不織布にスプレー状にホットメルトを塗布する方法としては、走行する不織布の上に、熱溶融押出機を用いて、スリットダイから熱可塑性の合成樹脂組成物を加熱溶融した状態でスプレー状に塗布する方法、スプレー式ホットメルトハンドガンを用いた方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
本発明において、
建築部材用ガラス繊維含有不織布複合体のフラジール通気度は、50cm
3/cm
2・sec以上であり、100cm
3/cm
2・sec以上であることがより好ましい。フラジール通気度が50cm
3/cm
2・sec未満であると、貼り合わせている断熱材の成形が悪くなる。フラジール通気度を50cm
3/cm
2・sec以上にする方法としては、ガラス繊維含有不織布の坪量、ガラス繊維比率、ホットメルト塗布量を調整する方法が挙げられる。特に好ましいガラス繊維含有不織布の坪量は40〜60g/m
2であり、特に好ましいガラス繊維比率は60〜90質量%であり、特に好ましいホットメルトの塗布量は40〜50g/m
2である。また、パルプ比率を増加させると、フラジール通気度は下がり、ガラス繊維比率を増加させると、通気度が上がる傾向がある。
【実施例】
【0037】
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部数や百分率は質量基準である。実施例12及び13は参考例である。
【0038】
実施例1
表1に示す比率で、ガラス繊維(繊維径9μm×繊維長6mm)、パルプ(NBKP)及びバインダー繊維(PVA繊維、1dtex×3mm)を含有するガラス繊維含有不織布を抄造し、ドライヤーで乾燥して坪量40g/m
2のガラス繊維含有不織布を得た。ガラス繊維含有不織布に対して、スプレー状ホットメルト(EVA)を50g/m
2吹きつけ、建築部材用ガラス繊維含有不織布複合体を得た。
【0039】
【表1】
【0040】
実施例2〜4
実施例1のガラス繊維、パルプ及びバインダー繊維の比率を表1に示す比率に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例2〜4の建築部材用ガラス繊維含有不織布複合体を得た。
【0041】
実施例5
実施例1のガラス繊維含有不織布の坪量を50g/m
2に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例5の建築部材用ガラス繊維含有不織布複合体を得た。
【0042】
実施例6〜11
実施例1のスプレー状ホットメルト(EVA)塗布量を表1に示す塗布量に変えた以外は、実施例1と同様にして実施例6〜11の建築部材用ガラス繊維含有不織布複合体を得た。
【0043】
実施例12
実施例1のスプレー状ホットメルトの材質をPPに変えた以外は、実施例1と同様にして実施例12の建築部材用ガラス繊維含有不織布複合体を得た。
【0044】
実施例13
実施例1のスプレー状ホットメルトの材質をPEに変えた以外は、実施例1と同様にして実施例13の建築部材用ガラス繊維含有不織布複合体を得た。
【0045】
比較例1
実施例1のスプレー状ホットメルトを塗布しない以外は、実施例1と同様にして比較例1のガラス繊維含有不織布を得た。
【0046】
比較例2
実施例1のガラス繊維、パルプ及びバインダー繊維の配合率を表1に示す配合率に変更した以外は、実施例1と同様にして比較例2の建築部材用ガラス繊維含有不織布複合体を得た。
【0047】
比較例3
実施例1のスプレー状ホットメルトを、50g/m
2の押出成形フィルム(PP)の貼り合わせに変えた以外は、実施例1と同様にして、比較例3の建築部材用ガラス繊維含有不織布複合体を得た。
【0048】
実施例及び比較例
のガラス繊維含有不織布又は
建築部材用ガラス繊維含有不織布複合体に対して、フラジール通気度(JIS L−1096準拠)を測定した。また、性能評価として、ホットメルト剥離、グラスウールとの接着、グラスウールの成形、不織布への染み出しを調査し、結果を表1に示した。
【0049】
「ホットメルト剥離」とは、不織布とホットメルトの接着強度を調査したもので、ゴムプラスチックで、建築部材用ガラス繊維含有不織布複合体のホットメルトが塗布された側を擦り、5回以上擦っても削りくずが出ない場合を「○」とした。
【0050】
「グラスウールとの接着」とは
、ガラス繊維含有不織布又は
建築部材用ガラス繊維含有不織布複合体とグラスウール(断熱材)とを高熱(200℃)をかけて貼り合わせた際の剥離試験で、JIS K 6854−2に準拠した方法によって行った。剥離強度2.5N以上を「○」とし、未満を「×」とした。
【0051】
「グラスウールの成形」とは
、ガラス繊維含有不織布又は
建築部材用ガラス繊維含有不織布複合体とグラスウールとを貼り合わせた際に、グラスウールが通常通りに成形した場合を「○」とし、表面にボコツキが発生する等の不均一な成形になった場合を「×」とした。
【0052】
「不織布への染み出し」とは、グラスウールの成形後に
、ガラス繊維含有不織布又は
建築部材用ガラス繊維含有不織布複合体に、ホットメルトが染み出して外観に影響していないか調査したもので、外観に影響ない場合に「○」、外観にやや影響が認められた場合に「△」、外観に大きな影響がある場合に「×」とした。
【0053】
表1の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜13の
建築部材用ガラス繊維含有不織布複合体は、ガラス繊維含有不織布の片面にホットメルトがスプレー状に塗布され、フラジール通気度が50cm
3/cm
2・sec以上であり、かつ不織布を構成する繊維のうちのパルプ比率が50質量%未満であるため、グラスウールとの接着性に優れ、成形性も良く、ホットメルトの染み出しもなく、断熱材の表面材として使用が可能である。
【0054】
実施例1と比較例1を比較すると、ガラス繊維含有不織布に予めホットメルトを塗布した
建築部材用ガラス繊維含有不織布複合体では、断熱材を熱で貼り合わせた際に接着強度が十分になることが明らかである。また、実施例1〜4と比較例2を比較すると、
建築部材用ガラス繊維含有不織布複合体のフラジール通気度が50cm
3/cm
2・sec未満であり、パルプ配合率が50質量%以上である場合は、断熱材成形がうまくいかないことが明らかとなった。また、比較例3では、ホットメルトがスプレー状で塗布されてなく、押出成形で塗布されたため、
建築部材用ガラス繊維含有不織布複合体全体としては、フラジール通気度が0.3cm
3/cm
2・sec以下であった。スプレー状にホットメルトを塗布することにより、通気度を大きく低下させずに、接着強度を持たせることが可能であった。