(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態における部材選定システムは、建具の構造部材を選定する部材選定システムである。本実施形態における部材選定システムは、構造部材の選定条件を入力する入力部と、選定条件とする建具の必要強度を満たす構造部材を選定する第1選定部と、必要強度を満たさない構造部材のうち、他の条件を適用することで必要強度を満たす構造部材を選定する第2の選定部とを備える。
具体的には、本実施形態における部材選定システムは、物件の扉やサッシ等の建具に使用される構造部材を選定する。部材選定システムは、構造部材の強度が所望の値(以下、「必要強度」という。)を満たしている構造部材の中で、所望の長さの構造部材1本あたりの価格と廃棄される端材の値段との合計値が最安値である定尺の構造部材を選定する。また、部材選定システム1は、構造部材の強度が必要強度を満たしていない構造部材の中で、補強部材を取り付けることで必要強度を確保できる構造部材とその補強部材とを選定する。なお、以下に示す実施形態において、サッシに使用される構造部材を選定する部材選定システムについて説明する。
【0013】
以下、本実施形態の部材選定システムを、図面を用いて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の部材選定システム1の概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態における部材選定システム1は、入力部2、選定部3、記憶部4及び表示部5を備える。
【0014】
入力部2は、部材選定システム1が所定のサッシに使用される構造部材の選定に必要な条件(以下、「選定条件」という。)を選定部3に入力する。選定条件には、選定部3が実施する構造部材の強度計算に必要な条件が含まれる。例えば、選定条件は、所定のサッシの情報、所定のサッシが使用される物件の情報、たわみ量の許容値(以下、「許容たわみ量」という。)δmax及び応力限界σbである。許容たわみ量δmax及び応力限界σbは、法令により定められた値を満たすとともに、顧客等の要求する値である。サッシの情報とは、受圧幅W及び受圧高Hである。物件の情報とは、耐風圧強度P及び風力係数Kである。なお、選定条件において、防火設備に関する情報、ガラスを取り付ける溝の長さ、方立の見付寸法及び方立の見込寸法が含まれてもよい。入力部2が選定条件を選定部3に入力する方法には、キーボード、ポインティングデバイス、手書き文字認識、OCR(optical character recognition)、音声認識等、一般的に用いられる様々な方法を用いることができる。
【0015】
選定部3は、入力部2から入力された選定条件に基づいて、構造部材の強度が必要強度を満たす構造部材を、記憶部4に記憶されている複数の構造部材の中から選定する。選定部3は、選定した構造部材の中から、所望の長さの構造部材1本あたりの価格が最安値である構造部材を選定する。また、選定部3は、構造部材の強度が必要強度を満たしていない構造部材の中で、補強部材を取り付けることで、必要強度を確保できる安価な構造部材を記憶部4に記憶されている複数の構造部材の中から選定する。
【0016】
記憶部4には、サッシに用いることができる複数種の構造部材の情報が予め記憶されている。例えば、記憶部4は、サッシに用いることができる複数種の構造部材の情報を構造部材情報テーブルとして予め記憶している。例えば、構造部材の情報は、構造部材毎の仕様及び図面を含む。
図2は、本実施形態における記憶部4が記憶する構造部材情報テーブルの一例を示す図である。
図2に示すように、構造部材情報テーブルは、構造部材の商品コード毎に、構造部材の商品名、品種、ガラス分類、単価、定尺の長さ、卸価格、断面二次モーメントIx及び断面係数Zを対応させた構造を備える。なお、構造部材には、互いに異なる商品コードが予め付与されている。
商品コードは、構造部材毎に割り当てられた識別子である。品種とは、構造部材のシリーズである。ガラス分類は、サッシに組み込まれるガラスが単板又は複層かを示す。単価は、所望の長さの構造部材1本あたりの価格を示し、例えば1mあたりの値段である。定尺の長さは、各構造部材に定められた基準寸法である。卸価格は、生産者やメーカーが、卸売り業者や直接小売業者等に販売する際の構造部材の定尺における価格である。通常、卸売り業者や直接小売業者は、所定の構造部材を定尺単位で購入する。断面二次モーメントIx及び断面係数Zは、商品コード毎に予め設定されており、下記に示すたわみ量δ及び応力値σの計算に使用される。
【0017】
図3は、本実施形態における選定部3の概略構成図を示す図である。選定部3は、強度計算部31、判定部32、選定制御部33及び出力部36を備える。選定制御部33は、第1選定部34及び第2選定部35を備える。
強度計算部31は、入力部2から入力されたサッシの情報や物件の情報等の選定条件に基づいてたわみ量δ及び応力値σを商品コードが示す構造部材毎に算出する。なお、たわみ量δ及び応力値σの算出方法は、既存技術を用いればよいため詳細な説明は省略する。
【0018】
判定部32は、強度計算部31で算出されたたわみ量δと、入力部2から入力された選定条件である許容たわみ量δmaxとを商品コード毎に比較する。判定部32は、強度計算部31で算出された応力値σと、入力部2から入力された選定条件である応力限界σbとを商品コード毎に比較する。判定部32は、たわみ量δが許容たわみ量δmax以下であり、且つ応力値σが応力限界σb以下である構造部材の商品コードのグループ(以下、「第1の商品コード群」という。)を抽出する。判定部32は、第1の商品コード群を第1選定部34に出力する。第1の商品コード群は、顧客等の要求する強度を有する構造部材のグループを示す。
判定部32は、たわみ量δが許容たわみ量δmaxを超える、又は応力値σが応力限界σbを超える構造部材の商品コードのグループ(以下、「第2の商品コード群」という。)を抽出する。判定部32は、第2の商品コード群の商品コードと第2の商品コード群の商品コードが示す構造部材毎に計算されたたわみ量δとを関連づけて第2選定部35に出力する。第2の商品コード群は、顧客等の要求する強度を有しない構造部材のグループを示す。
【0019】
第1選定部34は、判定部32から供給された第1の商品コード群の商品コード毎に対応付けられた単価の情報を記憶部4から読み出す。第1選定部34は、読み出した単価の情報において、単価が最安値の構造部材の商品コードを抽出する。第1選定部34は、抽出した商品コード毎に対応付けられた情報(以下、「第1の表示情報」という。)を記憶部4から読み出し、第1の表示情報を出力部36に出力する。第1の表示情報は、表示部5に表示させる情報であり、例えば構造部材の仕様(品種、ガラスを取り付ける溝の幅、防火設備に関する情報、単板か複層かを指定する情報)、商品名、商品コード、強度情報及び単価である。
【0020】
図4は、本実施形態における第2選定部35の概略構成図を示す図である。第2選定部35は、構造部材選定部351、補強部材選定部352、強度計算部353、判定部354及び第1部材決定部355を備える。
構造部材選定部351は、判定部32から供給された第2の商品コード群と第2の商品コード群の商品コード毎に対応付けられたたわみ量δとを取得する。構造部材選定部351は、取得した第2の商品コード群の商品コード毎のたわみ量δの中で、たわみ量δが許容たわみ量δmaxに最も近い構造部材の商品コードを選定する。なお、構造部材選定部351は、取得した第2の商品コード群の商品コード毎の断面二次モーメントの中で、断面二次モーメントが予め設定された閾値以上の構造部材の商品コードを選定してもよい。すなわち、構造部材選定部351は、顧客等の要求する強度を有しない構造部材の中で最も強度が高い、又は一定の強度を有する構造部材を選定する。
【0021】
補強部材選定部352は、選定した商品コードが示す構造部材に取り付ける補強部材を選定する。補強部材は、構造部材の強度を高め、サッシの必要強度を確保させる目的で必要強度を満たしていない構造部材に対して取り付けられる。例えば、補強部材は、スチール製の部材である。構造部材に用いることのできる補強部材の情報は、補強部材情報テーブルとして予め記憶部4に記憶されている。例えば、上記補強部材の情報は、補強部材毎の仕様及び図面を含む。
図5は、本実施形態における記憶部4が記憶する補強部材情報テーブルの一例を示す図である。
図5に示すように、補強部材情報テーブルは、補強部材コード毎に、補強部材の商品名、強度情報、単価及び卸価格を備える。なお、構造部材には、互いに異なる商品コードが予め付与されている。補強部材コードは、補強部材毎に割り当てられた識別子である。強度情報は、補強部材の強度を示す情報なら特に限定されないが、例えば断面二次モーメントや断面係数である。補強部材選定部352は、必要強度と選定した商品コードが示す構造部材の強度との差分値以上の強度を有する補強部材を補強部材情報テーブルから選定する。すなわち、補強部材選定部352は、必要強度に対する構造部材(たわみ量δが許容たわみ量δmaxに最も近い構造部材)の強度の強度不足分を補える強度を有する補強部材の補強部材コードのグループ(以下、「第1の補強部材コード候補群」という。)を補強部材情報テーブルから抽出する。補強部材選定部352は、第1の補強部材コード候補群とたわみ量δが許容たわみ量δmaxに最も近い構造部材の商品コードとを強度計算部353に出力する。
【0022】
強度計算部353は、たわみ量δが許容たわみ量δmaxに最も近い構造部材に第1の補強部材コード候補群が示す補強部材を取り付けた場合の構造部材(以下、「補強された構造部材」という。)の強度を第1の補強部材コード候補群が示す補強部材毎に計算する。例えば、補強された構造部材の強度は、補強される前の構造部材の強度に補強部材の強度を加算した値である。
【0023】
強度計算部353は、入力部2から入力された選定条件に基づいて、補強された構造部材のたわみ量δ及び応力値σを第1の補強部材コード候補群が示す補強部材毎に算出する。
【0024】
判定部354は、強度計算部353で算出された補強された構造部材のたわみ量δと、入力部2から入力された選定条件である許容たわみ量δmaxとを第1の補強部材コード候補群が示す補強部材毎に比較する。
判定部354は、強度計算部353で算出された補強された構造部材の応力値σと、入力部2から入力された選定条件である応力限界σbとを第1の補強部材コード候補群が示す補強部材毎に比較する。
判定部354は、補強された構造部材のたわみ量δが許容たわみ量δmax以下であり、且つ応力値σが応力限界σb以下である補強された構造部材に取り付けられた補強部材の補強部材コードのグループ(以下、「第2の補強部材コード候補群」という。)を抽出する。判定部354は、第2の補強部材コード候補群を第1部材決定部355に出力する。
【0025】
第1部材決定部355は、判定部354から供給された第2の補強部材コード候補群の補強部材コード毎に対応付けられた単価の情報を記憶部4から読み出す。第1部材決定部355は、読み出した単価の情報において、単価が最安値の補強部材の補強部材コードを抽出する。第1部材決定部355は、抽出した補強部材コードに対応付けられた情報(以下、「第2の表示情報」という。)とたわみ量δが許容たわみ量δmaxに最も近い構造部材の商品コードに対応付けられた情報(以下、「第3の表示情報」という。)を記憶部4から読み出し、第2の表示情報及び第3の表示情報を出力部36に出力する。第2の表示情報は、表示部5に表示させる情報であり、例えば、補強部材の商品名、単価等である。なお、第2の表示情報は、補強部材の材質や断面図等の形状に関する情報を含んでもよい。第3の表示情報は、表示部5に表示させる情報であり、例えばたわみ量δが許容たわみ量δmaxに最も近い構造部材の仕様(品種、ガラス溝の幅、防火設備に関する情報、単板か複層かを指定する情報)、商品名、商品コード、強度情報、必要強度に対する強度不足分及び単価である。
【0026】
出力部36は、第1の表示情報と第2の表示情報と第3の表示情報とを表示部5に出力する。これにより、出力部36は、第1の表示情報と第2の表示情報と第3の表示情報とを表示部5に表示させる。
【0027】
表示部5は、第1の表示情報と第2の表示情報と第3の表示情報とを自身の表示装置に表示する。
図6は、本実施形態の表示部5が第1の表示情報と第2の表示情報と第3の表示情報とを表示する表示画面の例を示す図である。
図6(a)は、表示部5が第1の表示情報を表示する表示画面の例を示す。
図6(b)は、表示部5が第2の表示情報及び第3の表示情報を表示する表示画面の例を示す。
表示部5は、第1の表示情報を表示するためのレイアウトを設定する第1表示ファイルと第2の表示情報及び第3の表示情報を表示するためのレイアウトを設定する第2表示ファイルとを備える。第1表示ファイルで設定される表示項目は、第1の表示情報である。第2表示ファイルで設定される表示項目は、第2の表示情報及び第3の表示情報である。表示部5は、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、選定条件を満たし、かつ最も安価な構造部材を商品体系の系統別に表示する。すなわち、例えば、商品体系の系統別とは、品種別、取り付け可能なガラスが単層か複層か、防火又は非防火か、取り付け可能なガラスの溝の幅等である。
【0028】
次に、本実施形態の部材選定システム1における建具に使用される構造部材の選定方法ついて、
図7のフローチャートに基づいて説明する。
図7は、本実施形態の部材選定システム1の構造部材の選定方法のフローチャートである。
【0029】
ステップS101において、入力部2は、選定条件を選定部3に入力する。
ステップS102において、強度計算部31は、入力部2から入力された選定条件に基づいて、構造部材の強度(たわみ量δ及び応力値σ)の計算を実施する。
【0030】
ステップS103において、判定部32は、強度計算部31で算出されたたわみ量δが許容たわみ量δmax以下か否かを判定する。また、判定部32は、強度計算部31で算出された応力値σが応力限界σb以下か否かを判定する。判定部32は、たわみ量δが許容たわみ量δmax以下であり、且つ応力値σが応力限界σb以下である場合、ステップS104の処理を実行する。判定部32は、たわみ量δが許容たわみ量δmaxを超える、又は応力値σが応力限界σbを超える場合、ステップS107の処理を実行する。
【0031】
ステップS104において、判定部32は、たわみ量δが許容たわみ量δmax以下であり、且つ応力値σが応力限界σb以下である第1の商品コード群を抽出する。判定部32は、第1の商品コード群を第1選定部34に出力する。
【0032】
ステップS105において、第1選定部34は、判定部32から供給された第1の商品コード群の商品コード毎に対応付けられた単価の情報を記憶部4から読み出す。第1選定部34は、読み出した単価の情報において、単価が最安値の構造部材の商品コードを抽出する。
【0033】
ステップS106において、第1選定部34は、抽出した商品コード毎に対応付けられた第1の表示情報を記憶部4から読み出し、第1の表示情報を出力部36に出力する。
【0034】
ステップS107において、判定部32は、たわみ量δが許容たわみ量δmaxを超える、又は応力値σが応力限界σbを超える第2の商品コード群を抽出する。そして、判定部32は、抽出した第2の商品コード群を構造部材選定部351に出力する。構造部材選定部351は、取得した第2の商品コード群の商品コード毎のたわみ量δの中で、たわみ量δが許容たわみ量δmaxに最も近い構造部材を選定する。
【0035】
ステップS108において、補強部材選定部352は、必要強度に対して選定した構造部材の必要強度に対する強度不足分を算出する。補強部材選定部352は、強度不足分を補える強度を有する補強部材の第1の補強部材コード候補群を補強部材情報テーブルから抽出する。
【0036】
ステップS109において、強度計算部353は、補強部材で補強された構造部材の強度を第1の補強部材コード候補群が示す補強部材毎に計算する。例えば、構造部材の強度は、たわみ量δ及び応力値σである。
【0037】
ステップS110において、判定部354は、補強された構造部材のたわみ量δが許容たわみ量δmax以下であり、且つ応力値σが応力限界σb以下である補強された構造部材に取り付けられた補強部材の補強部材コードである第2の補強部材コード候補群を抽出する。判定部354は、第2の補強部材コード候補群を第1部材決定部355に出力する。
【0038】
ステップS111において、第1部材決定部355は、判定部354から供給された第2の補強部材コード候補群の補強部材コード毎に対応付けられた単価の情報を記憶部4から読み出す。第1部材決定部355は、読み出した単価の情報において、補強された構造部材の強度が必要強度を満たし単価が最安値の補強部材を選定する。
【0039】
ステップS112において、第1部材決定部355は、選定した補強部材の補強部材コードに対応付けられた第2の表示情報を出力部36に出力する。また、第1部材決定部355は、たわみ量δが許容たわみ量δmaxに最も近い構造部材の商品コードに対応付けられた第3の表示情報を出力部36に出力する。
【0040】
ステップS113において、出力部36は、第1の表示情報と第2の表示情報と第3の表示情報を表示部5に出力する。表示部5は、第1の表示情報と第2の表示情報と第3の表示情報とを自身の表示装置に表示する。
【0041】
上述したように、第1の実施形態の部材選定システム1は、構造部材の強度が必要強度を満たしている構造部材の中で、単価が最安値の構造部材を選定する。また、部材選定システム1は、構造部材の強度が必要強度を満たしていない構造部材の中で、補強部材を取り付けることで必要強度を確保できる安価な構造部材とその補強部材とを選定する。これにより、部材選定システム1は、補強部材を考慮した安価な構造部材を選定することができる。したがって、部材選定システム1は、必要強度を確保しつつ、より安価な構造部材を選定することができる。
【0042】
また、上述した第1の実施形態の部材選定システム1は、選定条件を満たした構造部材を商品体系の系統別に表示部5に表示する。これにより、ユーザは、表示部5に表示された選定結果を確認することで、異なる商品体系の構造部材のコスト等を容易に比較することができる。
【0043】
また、従来、構造部材に補強部材を取り付ける場合、設計者は、構造部材に適した補強部材の形状を設計する。また、設計者は、構造部材に適した補強部材の強度を計算する。そして、設計者は、設計した補強部材の形状や計算した強度に適した補強部材を選定する。上述した第1の実施形態の部材選定システム1は、構造部材の強度が必要強度を満たしていない構造部材の中で、補強部材を取り付けることで必要強度を確保できる安価な構造部材とその補強部材を選定する。これにより、設計者による補強部材の形状の設計や補強部材の強度計算の手間を省くことができる。
【0044】
上述の第1の実施形態の部材選定システム1において、入力部2は、選定条件として、構造部材の断面形状、構造部材の寸法(方立見付寸法又は方立見込寸法)ガラスの種類又は防火設備の要否等の詳細条件を選定部3に入力するようにしてもよい。これにより、部材選定システム1は、設計者によるサッシの断面形状、構造部材の寸法、ガラスの種類又は防火設備の要否等の確認の手間を省くことができる。
【0045】
上述の第1の実施形態の部材選定システム1において、表示部5は、
図6(b)に示すように必要強度を満たしていない構造部材の必要強度に対する強度不足分を表示する。これにより、設計者により新たに補強部材を選定する場合が発生した場合、設計者は表示部5に表示されている強度不足分の値を確認し、その強度不足分を補える強度を持つ補強部材を選定する。したがって、設計者は、必要強度を満たしていない構造部材の必要強度に対する強度不足分を計算せずに、容易に補強部材を選定することができる。
【0046】
上述の第1の実施形態の部材選定システム1において、表示部5は、選定条件を満たし、かつ最も安価な構造部材及び補強部材を商品体系の系統別に表示したが、これに限定されない。例えば、表示部5は、選定条件を満たした構造部材又は補強部材を列挙するように表示してもよい。
【0047】
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態の部材選定システム1Aについて、図を用いて説明する。
図8は、第2の実施形態の部材選定システム1Aの概略構成図である。なお、以下の説明において、上述の実施形態と同じ構成には、同じ符号を付してその説明を省略する。
図8に示すように、部材選定システム1Aは、入力部2、選定部3A、記憶部4A及び表示部5Aを備える。
選定部3Aは、入力部2から入力された選定条件に基づいて構造部材の強度が必要強度を満たしている構造部材を記憶部4Aに記憶されている複数の構造部材の中から選定する。選定部3Aは、選定した構造部材の中で、所望の長さの構造部材1本あたりの価格と廃棄される端材の値段との合計値が最安値である定尺の構造部材を選定する。また、選定部3Aは、構造部材の強度が必要強度を満たしていない構造部材の中で、補強部材を取り付けることで必要強度を確保でき、所望の長さの構造部材1本あたりの価格と廃棄される端材の値段との合計値が最安値である定尺の構造部材を選定する。
【0048】
図9は、第2の実施形態における選定部3Aの概略構成図を示す図である。選定部3Aは、建具条件判定部30A、強度計算部31A、判定部32、選定制御部33A及び出力部36を備える。
建具条件判定部30Aは、建具の仕様条件を構造部材の仕様が満たすか否かを判定する。例えば、建具条件判定部30Aは、構造部材の定尺の長さ(以下、「定尺長」という。)Tが入力部2から入力された受圧高H以上か否かを構造部材毎に判定する。建具条件判定部30Aは、定尺長Tが受圧高H以上である構造部材の商品コードを強度計算部31Aに出力する。
【0049】
強度計算部31Aは、入力部2から入力された選定条件に基づいてたわみ量δ及び応力値σを商品コードが示す構造部材毎に算出する。
【0050】
選定制御部33Aは、第1選定部34A及び第2選定部35Aを備える。
図10は、第2の実施形態における第1選定部34Aの概略構成図を示す図である。第1選定部34Aは、歩留り計算部341A及び第2部材決定部342Aを備える。
【0051】
歩留り計算部341Aは、第1の商品コード群で示される構造部材毎に歩留りを計算する。本実施形態における歩留りは、廃棄される端材の値段である。
まず、歩留り計算部341Aは、第1の商品コード群の商品コード毎に対応付けられた定尺長Tを記憶部4Aから読み出す。第1選定部34Aは、読み出した定尺長Tを受圧高Hから算出した使用部材長で除算することで所望の長さの構造部材の取り数(以下、単に「構造部材の取り数」という。)Xを、第1の商品コード群で示される構造部材毎に算出する。
【0052】
歩留り計算部341Aは、記憶部4Aから単価の情報を第1の商品コード群で示される構造部材毎に読み出す。歩留り計算部341Aは、単価(例えば1mmあたりの単価)に受圧高Hから算出した使用部材長で乗算することで所望の長さの構造部材1本あたりの価格Y1を第1の商品コード群で示される構造部材毎に算出する。
【0053】
歩留り計算部341Aは、第1の商品コード群で示される構造部材毎に端材の寸法を算出する。歩留り計算部341Aは、単価(例えば1mmあたりの単価)に端材の寸法を乗算することで廃棄される端材の価格Y2を算出する。
【0054】
第2部材決定部342Aは、第1の商品コード群で示される構造部材の中で、価格Y1と価格Y2との合計値(Y1+Y2)が最小となる構造部材を選定する。第2部材決定部342Aは、選定した構造部材の商品コードを抽出する。第2部材決定部342Aは、抽出した商品コードに対応付けられた情報(以下、「第4の表示情報」という。)を記憶部4Aから読み出し、第4の表示情報を出力部36に出力する。第2部材決定部342Aは、価格Y1と価格Y2との合計値(Y1+Y2)が最小となる構造部材が複数ある場合、構造部材の取り数Xが最も大きい構造部材を選定する。すなわち、第2部材決定部342Aは、価格Y1と価格Y2との合計値(Y1+Y2)が最小であり、且つ構造部材の取り数Xが最も大きい構造部材を選定する。第4の表示情報は、表示部5Aに表示させる情報であり、例えば構造部材の仕様(品種、ガラスを取り付ける溝の幅、防火設備に関する情報、単板か複層かを指定する情報)、商品名、商品コード、強度情報、単価及び構造部材の取り数Xである。
【0055】
図11は、第2の実施形態における第2選定部35Aの概略構成図を示す図である。第2選定部35Aは、歩留り計算部351A、第3部材決定部352A、補強部材選定部353A、強度計算部354A、判定部355A及び第4部材決定部356Aを備える。
【0056】
歩留り計算部351Aは、第2の商品コード群で示される構造部材毎に歩留りを計算する。なお、歩留り計算部351Aによる歩留りを計算方法は、歩留り計算部341Aと同様であるため、詳細を省略する。歩留り計算部351Aは、構造部材の取り数Xを、第2の商品コード群で示される構造部材毎に算出する。歩留り計算部351Aは、所望の長さの構造部材1本あたりの価格Y1を第2の商品コード群で示される構造部材毎に算出する。歩留り計算部351Aは、単価(例えば1mmあたりの単価)に端材の寸法を乗算することで廃棄される端材の価格Y2を第2の商品コード群で示される構造部材毎に算出する。
【0057】
第3部材決定部352Aは、第2の商品コード群で示される構造部材の中で、価格Y1と価格Y2との合計値(Y1+Y2)が最小となる構造部材を選定する。第3部材決定部352Aは、選定した構造部材の商品コードを抽出する。第3部材決定部352Aは、価格Y1と価格Y2との合計値(Y1+Y2)が最小となる構造部材が複数ある場合、構造部材の取り数Xが最も大きい構造部材を選定する。すなわち、第2部材決定部342Aは、価格Y1と価格Y2との合計値(Y1+Y2)が最小であり、且つ構造部材の取り数Xが最も大きい構造部材を選定する。
【0058】
補強部材選定部353Aは、第3部材決定部352Aが選定した構造部材に取り付ける補強部材を選定する。なお、補強部材選定部353Aにおける補強部材の選定は、補強部材選定部352と同様であるため説明を省略する。補強部材選定部353Aは、第3部材決定部352Aで選定した構造部材における必要強度に対する強度不足分を補える強度を有する補強部材の第1の補強部材コード候補群を補強部材情報テーブルから抽出する。補強部材選定部353Aは、第1の補強部材コード候補群及び第3部材決定部352Aで選定した構造部材の商品コードを強度計算部354Aに出力する。
【0059】
強度計算部354Aは、第3部材決定部352Aで選定した構造部材に第1の補強部材コード候補群が示す補強部材を取り付けた場合の構造部材の強度を第1の補強部材コード候補群が示す補強部材毎に計算する。強度計算部354Aによる構造部材の強度計算方法は、強度計算部353と同様であるため、詳細を省略する。
【0060】
判定部355Aは、強度計算部354Aで算出された補強された構造部材のたわみ量δと、入力部2から入力された選定条件である許容たわみ量δmaxとを第1の補強部材コード候補群が示す補強部材毎に比較する。
判定部355Aは、強度計算部354Aで算出された補強された構造部材の応力値σと、入力部2から入力された選定条件である応力限界σbとを第1の補強部材コード候補群が示す補強部材毎に比較する。判定部355Aによる構造部材の強度の判定方法は、判定部354と同様であるため、詳細を省略する。判定部355Aは、第2の補強部材コード候補群を第4部材決定部356Aに出力する。
【0061】
第4部材決定部356Aは、判定部355Aから供給された第1の補強部材コード毎に対応付けられた単価の情報を記憶部4Aから読み出す。第4部材決定部356Aは、読み出した単価の情報において、単価が最も最安値の補強部材の補強部材コードを抽出する。第4部材決定部356Aは、抽出した補強部材コードに対応付けられた第5の表示情報と第3部材決定部352Aで選定した構造部材の商品コードに対応付けられた第6の表示情報を記憶部4Aから読み出し、第5の表示情報及び第6の表示情報を出力部36に出力する。第5の表示情報は、表示部5Aに表示させる情報であり、例えば、補強部材の商品名、単価等である。なお、第5の表示情報は、補強部材の材質や断面図等の形状に関する情報を含んでもよい。第6の表示情報は、表示部5Aに表示させる情報であり、例えば価格Y1と価格Y2との合計値(Y1+Y2)が最小であり、且つたわみ量δが許容たわみ量δmaxに最も近い構造部材の仕様(品種、ガラス溝の幅、防火設備に関する情報、単板か複層かを指定する情報)、商品名、商品コード、強度情報、必要強度に対する強度不足分、単価及び取り数である。
【0062】
出力部36は、第4の表示情報と第5の表示情報と第6の表示情報を表示部5Aに出力する。これにより、出力部36は、第4の表示情報と第5の表示情報と第6の表示情報とを表示部5Aに表示させる。
【0063】
表示部5Aは、第4の表示情報と第5の表示情報と第6の表示情報とを自身の表示装置に表示する。
図12は、本実施形態の表示部5Aが第4の表示情報と第5の表示情報と第6の表示情報とを表示する表示画面の例を示す図である。
図12(a)は、表示部5Aが第4の表示情報を表示する表示画面の例を示す。
図12(b)は、表示部5Aが第5の表示情報及び第6の表示情報を表示する表示画面の例を示す。
表示部5Aは、第4の表示情報を表示するためのレイアウトを設定する第1表示ファイルと第5の表示情報及び第6の表示情報を表示するためのレイアウトを設定する第2表示ファイルとを備える。第1表示ファイルで設定される表示項目は、第4の表示情報である。第2表示ファイルで設定される表示項目は、第5の表示情報及び第6の表示情報である。表示部5Aは、
図12(a)及び
図12(b)に示すように、選定条件を満たし、かつ最も安価な構造部材を商品体系の系統別に表示する。すなわち、例えば、商品体系の系統別とは、品種別、取り付け可能なガラスが単層か複層か、防火又は非防火か、取り付け可能なガラスの溝の幅等である。
【0064】
次に、第2の実施形態の部材選定システム1Aにおける建具に使用される構造部材の選定方法ついて、
図13のフローチャートに基づいて説明する。
図13は、第2の実施形態における部材選定システム1Aの構造部材の選定方法のフローチャートである。
【0065】
ステップS201において、入力部2は、選定条件を選定部3Aに入力する。
ステップS202において、建具条件判定部30Aは、定尺長Tが受圧高H以上である構造部材の商品コードを強度計算部31Aに出力する。
【0066】
ステップS203において、強度計算部31Aは、たわみ量δ及び応力値σを建具条件判定部30Aから出力された商品コードが示す構造部材毎に算出する。
【0067】
ステップS204において、判定部32は、強度計算部31Aで算出されたたわみ量δが許容たわみ量δmax以下か否かを判定する。また、判定部32は、強度計算部31Aで算出された応力値σが応力限界σb以下か否かを判定する。判定部32は、たわみ量δが許容たわみ量δmax以下であり、且つ応力値σが応力限界σb以下である場合、ステップS205の処理を実行する。判定部32は、たわみ量δが許容たわみ量δmaxを超える、又は応力値σが応力限界σbを超える場合、ステップS209の処理を実行する。
【0068】
ステップS205において、判定部32は、たわみ量δが許容たわみ量δmax以下であり、且つ応力値σが応力限界σb以下である構造部材の第1の商品コード群を抽出する。判定部32は、第1の商品コード群を第1選定部34Aに出力する。
【0069】
ステップS206において、歩留り計算部341Aは、判定部32から供給された第1の商品コード群の商品コード毎に対応付けられた定尺の長さを記憶部4Aから読み出す。第1選定部34Aは、読み出した定尺の長さを受圧高Hから算出した使用部材長で除算することで構造部材の取り数Xを、第1の商品コード群で示される構造部材毎に算出する。歩留り計算部341Aは、記憶部4Aから単価の情報を第1の商品コード群で示される構造部材毎に読み出す。歩留り計算部341Aは、単価に受圧高Hから算出した使用部材長で乗算することで所望の長さの構造部材1本あたりの価格Y1を第1の商品コード群で示される構造部材毎に算出する。歩留り計算部341Aは、第1の商品コード群で示される構造部材毎に端材の寸法を算出する。歩留り計算部341Aは、単価(例えば1mmあたりの単価)に端材の寸法を乗算することで廃棄される端材の価格Y2を算出する。
【0070】
ステップS207において、第2部材決定部342Aは、第1の商品コード群で示される構造部材の中で、価格Y1と価格Y2との合計値(Y1+Y2)が最小となる構造部材を選定する。第2部材決定部342Aは、価格Y1と価格Y2との合計値(Y1+Y2)が最小となる構造部材が複数ある場合、構造部材の取り数Xが最も大きい構造部材を選定する。
【0071】
ステップS208において、第2部材決定部342Aは、選定した構造部材の商品コードを抽出する。第2部材決定部342Aは、抽出した商品コードに対応付けられた第4の表示情報を記憶部4Aから読み出し、第4の表示情報を出力部36に出力する。
【0072】
ステップS209において、歩留り計算部351Aは、第2の商品コード群で示される構造部材毎に歩留りを計算する。歩留り計算部351Aは、構造部材の取り数Xを、第2の商品コード群で示される構造部材毎に算出する。歩留り計算部351Aは、所望の長さの構造部材1本あたりの価格Y1を第2の商品コード群で示される構造部材毎に算出する。歩留り計算部351Aは、単価(例えば1mmあたりの単価)に端材の寸法を乗算することで廃棄される端材の価格Y2を第2の商品コード群で示される構造部材毎に算出する。
【0073】
ステップS210において、第3部材決定部352Aは、第2の商品コード群で示される構造部材の中で、価格Y1と価格Y2との合計値(Y1+Y2)が最小となる構造部材を選定する。第3部材決定部352Aは、選定した構造部材の商品コードを抽出する。第3部材決定部352Aは、価格Y1と価格Y2との合計値(Y1+Y2)が最小となる構造部材が複数ある場合、構造部材の取り数Xが最も大きい構造部材を選定する。すなわち、第2部材決定部342Aは、価格Y1と価格Y2との合計値(Y1+Y2)が最小であり、且つ構造部材の取り数Xが最も大きい構造部材を選定する。
【0074】
ステップS211において、補強部材選定部353Aは、第3部材決定部352Aで選定した構造部材における必要強度に対する強度不足分を補える強度を有する補強部材の第1の補強部材コード候補群を補強部材情報テーブルから抽出する。
【0075】
ステップS212において、強度計算部354Aは、第3部材決定部352Aで選定した構造部材に第1の補強部材コード候補群が示す補強部材を取り付けた場合の構造部材の強度を第1の補強部材コード候補群が示す補強部材毎に計算する。
【0076】
ステップS213において、判定部355Aは、補強された構造部材のたわみ量δが許容たわみ量δmax以下であり、且つ応力値σが応力限界σb以下である補強された構造部材に取り付けられた補強部材の第2の補強部材コード候補群を抽出する。
【0077】
ステップS214において、第4部材決定部356Aは、判定部355Aから供給された第2の補強部材コード候補群の補強部材コード毎に対応付けられた単価の情報を記憶部4Aから読み出す。第4部材決定部356Aは、読み出した単価の情報において、補強された構造部材の強度が必要強度を満たし単価が最も最安値の補強部材を選定する。
【0078】
ステップS215において、第4部材決定部356Aは、選定した補強部材の補強部材コードに対応付けられた第5の表示情報を出力部36に出力する。また、第4部材決定部356Aは、第3部材決定部352Aで選定した構造部材の商品コードに対応付けられた第6の表示情報を出力部36に出力する。
【0079】
ステップS216において、出力部36は、第4の表示情報と第5の表示情報と第6の表示情報を表示部5Aに出力する。表示部5Aは、第4の表示情報と第5の表示情報と第6の表示情報とを自身の表示装置に表示する。
【0080】
上述したように、第2の実施形態の部材選定システム1Aは、定尺長Tが受圧高H以上である構造部材において、所望の長さの構造部材1本あたりの価格が最安値であり、且つ廃棄される端材の値段が最安値である定尺の構造部材を選定する。また、選定部3Aは、構造部材の強度が必要強度を満たしていない構造部材の中で、補強部材を取り付けることで必要強度を確保でき、所望の長さの構造部材1本あたりの価格が最安値で且つ廃棄される端材の値段が最安値である定尺の構造部材及びその補強部材を選定する。これにより、部材選定システム1Aは、廃棄される端材の値段を考慮した定尺の構造部材を選定することができる。したがって、部材選定システム1Aは、必要強度を確保しつつ、より安価な構造部材を選定することができる。
【0081】
また、上述した第2の実施形態の部材選定システム1Aは、選定条件を満たした構造部材を商品体系の系統別に表示部5Aに表示する。これにより、ユーザは、表示部5Aに表示された選定結果を確認することで、異なる商品体系の構造部材のコスト等を容易に比較することができる。
【0082】
また、従来、構造部材に補強部材を取り付ける場合、設計者は、構造部材に適した補強部材の形状を設計する。また、設計者は、構造部材に適した補強部材の強度を計算する。そして、設計者は、設計した補強部材の形状や計算した強度に適した補強部材を選定する。上述した第2の実施形態の部材選定システム1Aは、構造部材の強度が必要強度を満たしていない構造部材の中で、補強部材を取り付けることで必要強度を確保できる安価な定尺の構造部材とその補強部材を選定する。これにより、設計者による補強部材の形状の設計や補強部材の強度計算の手間を省くことができる。
【0083】
上述の第2の実施形態の部材選定システム1Aにおいて、入力部2は、選定条件として、構造部材の断面形状、構造部材の寸法(方立見付寸法又は方立見込寸法)ガラスの種類又は防火設備の要否等の詳細条件を選定部3Aに入力するようにしてもよい。これにより、部材選定システム1Aは、設計者によるサッシの断面形状、構造部材の寸法、ガラスの種類又は防火設備の要否等の確認の手間を省くことができる。
【0084】
上述の第2の実施形態の部材選定システム1Aにおいて、表示部5Aは、
図12(b)に示すように必要強度を満たしていない構造部材の必要強度に対する強度不足分を表示する。これにより、設計者により新たに補強部材を選定する場合が発生した場合、設計者は表示部5Aに表示されている強度不足分の値を確認し、その強度不足分を補える強度を持つ補強部材を選定する。したがって、設計者は、必要強度を満たしていない構造部材の必要強度に対する強度不足分を計算せずに、容易に補強部材を選定することができる。
【0085】
上述の第2の実施形態の部材選定システム1Aにおいて、表示部5Aは、選定条件を満たし、かつ最も安価な構造部材及び補強部材を商品体系の系統別に表示したが、これに限定されない。例えば、表示部5Aは、選定条件を満たした構造部材又は補強部材を列挙するように表示してもよい。
【0086】
また、本発明の部材選定システムにおいて、上述の第2の実施形態に第1の実施形態を組み合わせてもよい。例えば、部材選定システム1Aは、少なくとも第1選定部34又は第2選定部35のいずれか一方の機能を備えてもよい。例えば、部材選定システム1Aは、表示部5Aに、
図6に示す表示項目と
図12に示す表示項目とを表示させてもよい。
【0087】
また、上述の実施形態において、例えば表示部5又は表示部5Aの表示画面に表示されている商品コードをユーザが選択(例えば、ポインティングデバイスでクリックする)すると、表示部5又は表示部5Aは、選択した商品コードが示す構造部材の断面図を表示画面に表示させてもよい。また、表示部5又は表示部5Aの表示画面に表示されている補強部材コードをユーザが選択(例えば、ポインティングデバイスでクリックする)すると、表示部5又は表示部5Aは、選択した補強部材コードが示す補強部材の断面図を表示画面に表示させてもよい。
また、上述の実施形態において、計算された上記取り数Xや上記強度不足分は、適宜記憶部4Aに記憶又は更新されてもよい。
【0088】
上述した実施形態における部材選定システム1又は部材選定システム1Aをコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0089】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。