特許第6340003号(P6340003)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エアロジェット ロケットダイン インコーポレイテッドの特許一覧

特許6340003冷却材喪失事故後の軽減用閉じ込め火炎システム
<>
  • 特許6340003-冷却材喪失事故後の軽減用閉じ込め火炎システム 図000002
  • 特許6340003-冷却材喪失事故後の軽減用閉じ込め火炎システム 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6340003
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】冷却材喪失事故後の軽減用閉じ込め火炎システム
(51)【国際特許分類】
   G21C 9/00 20060101AFI20180528BHJP
   G21D 3/08 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   G21C9/00 100
   G21D3/08 F
【請求項の数】15
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-526530(P2015-526530)
(86)(22)【出願日】2013年5月31日
(65)【公表番号】特表2015-524569(P2015-524569A)
(43)【公表日】2015年8月24日
(86)【国際出願番号】US2013043647
(87)【国際公開番号】WO2014025446
(87)【国際公開日】20140213
【審査請求日】2016年1月20日
(31)【優先権主張番号】61/680,008
(32)【優先日】2012年8月6日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】594203852
【氏名又は名称】エアロジェット ロケットダイン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】クディジャ,ジュニアー,チャールズ ティー.
【審査官】 道祖土 新吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−111692(JP,A)
【文献】 特開平06−214078(JP,A)
【文献】 特開昭58−085192(JP,A)
【文献】 特開2009−257925(JP,A)
【文献】 特開昭62−179694(JP,A)
【文献】 特開平07−063891(JP,A)
【文献】 特公昭48−007040(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C9/00
G21C9/04
G21D3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内において一次格納器構造からの第1の格納器ガスおよび二次格納器構造からの第2の格納器ガスを爆燃させるための火炎供給源を提供し、
火炎供給源に電力を供給するための電源であって、熱電カフである電源を提供し、
水素を含む第1の格納器ガスが流れるように弁を開にし、
入口火炎防止装置を通して空気を含む第2の格納器ガスを抜き出し、
隔離された爆燃ゾーン内で第1および第2の格納器ガスを燃焼させ、
燃焼した第1および第2の格納器ガスを、爆燃ゾーンを取り囲んで電源を提供する熱電要素で冷却し、
第1および第2の格納器ガスの混合物の燃焼によって生成され、冷却された生成物ガス混合物を出口火炎防止装置を通して排気する、
ことを含むことを特徴とする、LOCAにおいて水素の燃焼を制御する方法。
【請求項2】
入口および出口火炎防止装置の間の隔離された爆燃ゾーン内で第1および第2の格納器ガスを燃焼させることをさらに含むことを特徴とする請求項1記載のLOCAにおいて水素の燃焼を制御する方法。
【請求項3】
隔離された爆燃ゾーンをハウジング内に配置することをさらに含むことを特徴とする請求項1記載のLOCAにおいて水素の燃焼を制御する方法。
【請求項4】
隔離された爆燃ゾーン内に放出される燃焼熱から電力を生成することをさらに含むことを特徴とする請求項1記載のLOCAにおいて水素の燃焼を制御する方法。
【請求項5】
ハウジングと、
ハウジング内に水素を含む第1の格納器ガスおよび空気を含む第2の格納器ガスの爆燃を閉じ込めるための取り入れ口火炎防止装置および排気口火炎防止装置と、
ハウジング内において一次格納器構造からの第1の格納器ガスおよび二次格納器構造からの第2の格納器ガスを爆燃させるための火炎供給源と、
火炎供給源に電力を供給するための電源であって、ハウジングの隔離された爆燃ゾーン内で燃焼した第1および第2の格納器ガスを、爆燃ゾーンを取り囲んで冷却して、電力を生成する熱電カフである電源と、
を備えることを特徴とする、水冷式原子炉用の閉じ込め火炎システム。
【請求項6】
第1の格納器ガスを一次格納器構造からハウジング内へ伝達する一次導管をさらに備えることを特徴とする請求項5記載のシステム。
【請求項7】
一次導管を通る第1の格納器ガスの流れを制御するための弁システムをさらに備えることを特徴とする請求項6記載のシステム。
【請求項8】
火炎供給源は、増強火花点火器であることを特徴とする請求項5記載のシステム。
【請求項9】
電源は、第1の格納器ガスと連通するタービンであることを特徴とする請求項5記載のシステム。
【請求項10】
ハウジングに埋め込まれた熱ダイオードをさらに備えることを特徴とする請求項5記載のシステム。
【請求項11】
一次格納器構造と、
一次格納器構造を取り囲む二次格納器構造と、
冷却材喪失事故(「LOCA」)時に一次格納器構造からの水素を含む第1の格納器ガスを二次格納器構造からの空気を含む第2の格納器ガスと爆燃させるための閉じ込め火炎システムと、
ハウジング内において一次格納器構造からの第1の格納器ガスおよび二次格納器構造からの第2の格納器ガスを爆燃させるための火炎供給源と、
火炎供給源に電力を供給するための電源であって、ハウジングの隔離された爆燃ゾーン内で燃焼した第1および第2の格納器ガスを、爆燃ゾーンを取り囲んで冷却して、電力を生成する熱電カフである電源と、
を備えることを特徴とする水冷式原子炉。
【請求項12】
第1の格納器ガスを一次格納器構造から閉じ込め火炎システム内へ伝達する一次導管をさらに備えることを特徴とする請求項11記載の水冷式原子炉。
【請求項13】
一次導管を通る第1の格納器ガスの流れを制御するための弁システムをさらに備えることを特徴とする請求項12記載の水冷式原子炉。
【請求項14】
第1の格納器ガスと第2の格納器ガスの混合物の爆燃を開始するための増強火花点火器をさらに備えることを特徴とする請求項13記載の水冷式原子炉。
【請求項15】
弁システムおよび増強火花点火器に電力を供給するための電源をさらに備えることを特徴とする請求項14記載の水冷式原子炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に原子炉のSCRAM(緊急停止)および同時に起こる施設停電後の核発電所のための閉じ込め火炎システムに関する。
【0002】
本開示は2012年8月6日に出願された出願番号第61/680,008号の米国仮出願特許の開示に対して優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
沸騰水炉(boiling water reactor)(BWR)型の核発電所は、世界中の多数の電力会社用の電力生成を容易にする。BWR型原子炉は通常、「ゼロ放出の設計目標思想」によって放射性核種の放出を防止する複数の壁に依存する放射性核種危険物閉じ込め方法を用いて設計する。
【0004】
複数壁方法の通常の手段は、核燃料ペレット自体の組成および設計によって代表される第1の壁、通常「燃料ピン」と呼ばれる密封格納器によって代表される第2の壁を含む。多数の燃料ピンが燃料棒と呼ばれる着脱可能な構造体内に支持され配置されており、隣接する多数の燃料棒が原子炉の「炉心」を構成する。
【0005】
第3の壁は、核燃料「炉心」を囲む密封一次冷却材水圧ループと、充填物の一次冷却材水とによって代表され、一次冷却材水は、一次冷却材ポンプ、1つまたは複数の一次−二次冷却材ループ熱交換器、および付属制御装置、計測装置および他の一次ループ支持装置に沿った相互接続配管などの残りの一次ループ構成要素と連通する一次原子炉構造体によって囲まれる。炉心の外囲容器内の液体の水は、炉心から過剰の熱を除去し、それによって構造物の炉心材料をその作動限界より低い温度に維持する設計戦略における基本的特徴物である。
【0006】
「LOCA」という用語は、水によって提供される熱除去機能が喪失しているか、実質的に損なわれているときに、炉心内に存在する状況を言う。LOCAの結果、炉心材料温度は上昇し、最終的に、設計限界温度を上回る温度範囲への炉心の過熱状態に至る。ある時点で、残留水蒸気が燃料クラッド材料であるジルコニウムと化学的に反応して、酸化ジルコニウムと水素ガスを生成する。水素ガスと水蒸気は周囲構造物に対する加圧の問題を提起する。
【0007】
一次ループ構成要素は、第4の壁内に収容されて放射性核種の放出を防止する。この第4の壁は「一次格納器」と呼ばれ、一次ループ構成要素全体を密封する。通常、一次格納器の雰囲気は、その領域に水素が放出された場合に水素の燃焼を防止するために不活性ガスである。一次格納器は通常、漏れなしで内部加圧に耐えるようかなり丈夫だがしかし有限の能力の鉄筋コンクリート構造である。
【0008】
第5の壁は、二次格納器と呼ばれる密封構造である。多くのBWR型原子炉建設設計では、この第5の壁は、空気雰囲気で満たされており、外部雰囲気の周囲加圧と比べてそれほど高くない内圧に耐えるように設計される。燃料クラッドの一次冷却材水蒸気との反応によって生成した水素ガスが第4の壁すなわち一次格納器構造を破った場合、二次格納器雰囲気内の水素ガス濃度レベルは、空気、水素、水蒸気の混合物が可燃性になり得る点まで上昇することになる。そのような場合、原子炉の炉心内の放射性核種の貯蔵物と外部環境との間の最後の第5の壁は、電力火花または静電気放電などの何らかの形態の発火源によって二次格納器の雰囲気が発火する際に過度に加圧される結果として、破損し得る。
【0009】
とは言うものの、現在の水冷式原子炉は、極めて安全であり、給電、配水、運転員の行動への依存を最小限にしてフェイルセーフ動作を行い、原子炉の炉心内の核反応を停止または「SCRAM」させて熱出力レベルを公称運転出力レベルに比べて非常に小さいレベルに低減する。SCRAM後に原子炉の炉心内に依然として存在する核分裂生成物物質の放射壊変により生じる残存低熱出力レベルは、炉心を通る一次冷却材流が維持または回復されない場合、原子炉の炉心を過熱するのに極めて十分である。バッテリや発電機セットなどのバックアップ電源が使い尽くされるか、そうでなければ利用できない状態になり得るほどまで長期間、送電線網からのオフサイト電力が一時停止する場合、発電所は敷地内停電を経験し得る。
【0010】
原子炉はまた、非LOCAの影響からの緩慢な水素蓄積を軽減するさまざまな受動的システムを使用する。例えば、予め不活性化することで、運転開始前、運転開始中、さらには連続した発電運転中に、一次格納器内に酸素を減少させた雰囲気を生成する。発電所を最初に建設するとき、または非稼動のある期間に、不活性ガス(通常は窒素)を一次格納器内へと放出してその空間内の空気と置換する。この方法は、水素燃焼に必要なレベルより下に不活性空間内の酸素の活性を低減する。さらなる別の受動的システムは、触媒水素再結合器である。水素再結合器は、燃焼限界を下回る混合比で水素と酸素を結合して水を生成し、格納器内の水素濃度を低減する。
【0011】
LOCA後の水素生成は相当に速いものであり、極めて稀な施設停電シナリオの際のいくつかの受動的水素軽減システムを圧倒することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】開示された状態にある閉じ込め火炎システムで増強された複数壁の設計方法を示す、原子炉建屋の概略図。
図2】開示された非限定的な一実施例による閉じ込め火炎システムの概略分解図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
当業者には、開示された非限定的な実施例についての以下の詳細な説明からさまざまな特徴が明らかとなるであろう。詳細な説明に付随する図面は、上記のように簡単に説明可能である。
【0014】
図1は、外部環境に関連して水冷式原子炉10を概略的に例示する。発電運転中および運転後に、水冷式原子炉10は、一次ループ冷却材を使用して熱を燃料クラッド12に収容された原子炉の炉心から熱交換器へと移動させ、熱交換器は熱を二次冷却材水ポンプ送りループ内へと移動させて、電力を生成する水蒸気タービンを駆動し、また過剰の熱を除去および廃棄する。内部熱源と過剰の熱が放出される外部環境との温度差が大きければ大きいほど、より効率的に発電機の回転などのタービンの機械的仕事が実現される。従って、内部が高温で、外部環境が低温であるのが望ましい。これにより、効率的な発電のために水供給源または他の低温熱貯蔵器に隣接して水冷式原子炉10を配置するのが望ましいものとなる。
【0015】
水冷式原子炉10は通常、燃料クラッド12内に集合して密封された核燃料ペレットを備えており、周囲の一次冷却材ループ14の構造が一次格納器構造16内に収容される。二次格納器構造18が一次格納器構造16を取り囲んでおり、一次冷却材ループと熱的に連通する二次冷却材ループ20や、限定される訳ではないが、タービン、発電機、燃料補給区画、水蒸気発電機区画、ポンプ室、および同様のものなど(図示せず)を含む他の機械空間を含む。
【0016】
冷却材喪失事故(loss−of−coolant accident)(「LOCA」)は、燃料クラッド12の露出、結果としての燃料温度の上昇をもたらす可能性があり、燃料温度の上昇は、残留する過熱水蒸気と反応するジルコニウム合金である燃料クラッド12の酸化をもたらす可能性がある。この反応は発熱を伴い、水素を生成し、水素は、一次冷却材ループ14が損なわれる場合、水蒸気と共に一次格納器構造16内へと漏出する可能性がある。水素の質量放出速度は、kg/sのオーダーであり得る。ジルコニウム−水反応が進行するにつれ、一次冷却材ループ14の内容物は、温度上昇を経験し、その結果として、一次冷却材ループ14内の圧力が上昇し、ループ構成要素の設計圧力を上回り得るレベルに到達する。運転員は、周囲の一次格納器構造16内へと一次冷却材ループ14の内容物の一部をベントすることによって一次冷却材ループ内の圧力を低減するか、または周囲の一次格納器構造16内への制御されていない放出点への圧力による損壊点まで一次冷却材ループ14の一部が損なわれるまで待つという選択肢を有する。この時点では、一次冷却材ループ14から来る混合した水蒸気および水素の導入に起因して、周囲の一次格納器構造16内の圧力が上昇する。
【0017】
結果として得られる放出された水蒸気および水素と一次格納器構造16内に通常保持される不活性雰囲気との混合物は、その空間内に空気が存在していないので、発火の危険性はない。しかしながら、圧力が上昇するにつれ、一次格納器構造16は、少し前に一次冷却材ループ14で存在した状況と同じ状況を経験する。一次格納器構造16内の過剰な圧力の結果は、加圧された水蒸気、水素および不活性ガスの一次冷却材ループ14から一次格納器構造16内への放出とは性質も異なり、より過酷である。その理由は、二次格納器構造18の空気雰囲気内へ放出される混合物の水素含有量が、二次格納器雰囲気内で可燃性混合物を生成する可能性があり、この可燃性混合物は、発火すると、急速な加圧が生じ、原子炉燃料から飛沫同伴された放射性核種負荷物と外部雰囲気の間の格納器壁のうちの最後の第5の壁の損傷が生じる可能性があるからである。二次格納器雰囲気内の水素活性を発火限界より下に維持するシステムが使用されないと、非常に発火の可能性のある気体混合物が、二次格納器雰囲気内で生じ得る。
【0018】
閉じ込め火炎システム30は、一次格納器構造16内の取り入れ口32、二次格納器構造18内の取り入れ口34、および二次格納器構造18内へ戻る排気口36を備える。核産業での過酷な要求および高度の期待を満たす核認可電磁弁などの弁システム38が、一次格納器構造16から閉じ込め火炎システム30内への流れを制御する。さまざまなフェールセーフシステムが付加的に設けられ得ることを理解された。閉じ込め火炎システム30は、二次格納器構造18内のLOCA後の水素燃焼シナリオを未然に防止するように作動する。
【0019】
図2を参照すると、図1の文脈において、閉じ込め火炎システム30は通常、ハウジング40、二次格納器構造18からの流入ガス用の取り入れ口火炎防止装置42、一次格納器構造16からの流入ガス用の取り入れ口火炎防止装置53、不活性ガス注入器44、火炎供給源46、電源48、および排気口火炎防止装置50を備える。さまざまな他の構成要素およびサブシステムを代替としてまたは付加的に設けることができることを理解されたい。
【0020】
取り入れ口火炎防止装置53は、取り入れ口32の下流でハウジング40内に配置されて、一次格納器構造16から弁システム38を通って閉じ込め火炎システムの内部へと水素および水蒸気混合物を伝達する一次導管52内および周りを密封する。取り入れ口火炎防止装置42、53、および排気口火炎防止装置50は、狭すぎて火炎の進行を許容できない流路に火炎前線を通すことで燃料燃焼を停止させる火炎捕捉器として作動する。これらの流路は、ワイヤメッシュまたは金属アパーチャプレートなどにあるように規則的、またはランダムパッキングにある流路などのように不規則的とすることができる。すなわち、取り入れ口火炎防止装置42、53、および排気口火炎防止装置50は、隔離爆燃ゾーン54および高温生成物ガスゾーン56までハウジング40内に爆燃を閉じ込める。これらの高温爆燃ゾーンおよび生成物ガスゾーンは、閉じ込め火炎ハウジング40の外部にある通常はより低温で大量にある二次格納器ガスに対する自然対流のおかげで、抜き出される二次格納器ガスの処理量を向上させる。
【0021】
その結果、取り入れ口32は、空気を二次格納器構造18から取り入れ口火炎防止装置42を通し、次いで排気ポート36の上流の排気口火炎防止装置50を通して抜き出すエダクターとして作動する。この構成は、ハウジング40内に可燃性ガス混合物の爆燃を閉じ込める。エダクターは、弁システム38によって放出される高速で不燃性の一次格納器ガスジェットによって提供される運動エネルギーによって不燃性の二次格納器ガスに対する吸引力を生成するように流体力学を利用する。一次格納器から放出されるガスジェットは、可動部品なしで、従って保守不要で、ポンプ送りまたは混合を生じさせることができる。取り入れ口火炎防止装置42、53、および排気口火炎防止装置50は、火炎を停止させ、それによって水素爆燃がハウジング40の外部へ移動するのを防止する安全装置として作動する。さらに、取り入れ口火炎防止装置42、53、および排気口火炎防止装置50は、損傷から保護され得る。
【0022】
増強火花点火器(augmented spark igniter)(ASI)などの火炎供給源46は、一次格納器構造16からの水素および二次格納器構造18からの空気を点火させるように継続的に作動する。火炎供給源46は、一次格納器からの一次導管52の出口に隣接して配置される。この導管52にも、爆燃ゾーン54から離れて一次冷却材構造16の内部の方へ火炎が移動するのを防止するように火炎防止装置53が設けられる。
【0023】
閉じ込め火炎システム30は、制御モジュール56(概略的に示す)と、閉じ込め火炎システム30に沿った一組の複数のセンサ58(概略的に示す)とを備える制御サブシステム54に応答して作動し得る。制御サブシステム54は通常、プロセッサ、メモリ、およびインターフェースを備える。プロセッサは、所望の性能特性を有する任意の種類の既知のマイクロプロセッサとすることができる。メモリは、本願明細書に記載されるような論理などの制御アルゴリズムおよびデータを記憶および放出する所望の性能特性も有する任意のコンピュータ加読媒体とすることができる。インターフェースは、弁システム38、火炎供給源46、および電源48などの他の構成要素との通信を容易にする。制御サブシステム54は、例えば、不活性ガス注入器44を通る液体窒素供給源からの窒素などの不活性ガスの選択的注入を通して爆燃を制御する制御論理を実行する。
【0024】
電源48は、独立した自給電力を、例えば、弁システム38、火炎供給源46、および制御サブシステム54に供給するように作動する。電源48によってさまざまな他の構成要素およびサブシステムに代替としてまたは付加的に電力供給できることを理解されたい。開示された非限定的な一実施例では、タービン60が、弁システム38の下流に一次導管52と流体連通して配置される。一次導管52を通る水素水蒸気および不活性ガス混合物の比較的高い圧力および流量が、タービン60に動力を供給して、電源48の発電機62を駆動し、それによって、火炎供給源46、制御サブシステム54、および関連する閉じ込め火炎装置に電力を供給する電力を生成する。
【0025】
代替としてまたは付加的に、熱電カフ64が爆燃ゾーン54を取り囲んで電源を提供する。熱電カフ64は、爆燃ゾーン54内で放出される燃焼熱を直接利用して電力を生成する。LOCAシナリオからのエネルギー放出を利用するさまざまな付加的なまたは代替の電源システムが実現可能であり、そのようにして生成された電力を利用して、閉じ込め火炎システム装置を作動させ、例えば機械的ファンまたは空気移動器に電力を供給して二次格納器から閉じ込め火炎システム内へ抜き出される流量を補うなどといった火炎システムの機能および効率を向上させることを理解されたい。
【0026】
高温生成物ガスゾーン56は、高温生成物ガスと熱結合するようにハウジング40に埋め込まれるとともに、周囲の二次格納器雰囲気内にある低温ガス混合物と熱結合するように周囲の二次格納器雰囲気内へ延在する一組の熱ダイオード66(時としてヒートパイプまたは還流ボイラーと呼ばれる)によって取り囲まれることができる。熱ダイオード66は本質的に、ハウジング40から二次格納器雰囲気内へ熱を散逸させるように作動する一連の熱パイプである。再度、さまざまな他の構成および組み合わせが本願明細書から利益を得ることができることを理解されたい。
【0027】
閉じ込め火炎システム30は、流入する水素濃度を調節し、爆燃ゾーン54内の保護された燃焼の効率を向上させるように、ハウジング40内へ注入される不活性ガス流を利用することができる。閉じ込め火炎システム30は自己閉じ込めおよび自給電力であり、制御された抜き出し、使用済みガス再循環、煙突効果、および低温貯蔵器効果を利用して、極めて稀な施設停電シナリオの際でさえ、運転を容易にする外部電力の要求が少ない場合、または全くない場合に、これを実現する。
【0028】
記述の文脈内(特に添付の請求項の文脈内)における「ある」、「その」という用語および同様の言及の使用は、明細書中で別段の定めがない場合、または文脈によって具体的に矛盾する場合を除き、単数、複数両方を含むものとして解釈されるべきである。数量に関連して使用する「約」という修飾語は、提示された値を含み、文脈が規定する意味を有する(例えば、それは、特定の量の測定に付随する程度の誤差を含む)。明細書に開示される全ての範囲は、端点を含み、複数の端点は独立して互いに結合可能である。「前部」、「後部」、「上部」、「下部」、「上方」、「下方」および同様のものなどの相対位置の用語は、装置の通常の運転姿勢に関連しており、それ以外に限定して考えるべきでないことを理解されたい。
【0029】
異なる非限定的な実施例が特定の例示の構成要素を有するとはいえ、本発明の実施例は、それらの特定の組み合わせに限定されない。非限定的な実施例のいずれかからの構成要素または特徴のいくつかを、他の非限定的な実施例のいずれかからの特徴または構成要素と組み合わせて使用することができる。例えば、この教示に基づいて、高い圧力流体を有する一次冷却材ループ14の密封体積部を実質的に低い流体圧力を有する一次格納器構造16の密封体積部と接続する安全導管内に取り付けられたターボ発電機セットの使用などの、この種のシナリオに存在する他のエネルギー貯蔵器から電力生成のための付加的なエネルギーが引き出され得るであろうことが考えられる。
【0030】
同様の参照符号がいくつかの図面に亘って対応するまたは同様の要素を特定することを理解されたい。特定の構成要素の構成を例示の実施例に開示するとはいえ、他の構成が本願明細書から利益を得られることを理解されたい。
【0031】
特定の工程一続きを示し、記載し、請求するとはいえ、工程は、別段の定めがない場合、別々または組み合わせで任意の順序で実施可能であること、また本開示からなお利益を得られることを理解されたい。
【0032】
上述の説明は、そこでの限定によって規定されるものではなく例示である。さまざまな非限定的な実施例を明細書で開示しているが、当業者ならば、上述の教示に照らしてさまざまな修正および変形が添付の請求項の範囲に含まれることを理解するであろう。従って、添付の請求項の範囲内で、具体的に記載された以外に本開示を実施できることを理解されたい。その理由で、真の範囲および内容を決定するには添付の特許請求の範囲を検討する必要がある。
図1
図2