特許第6340010号(P6340010)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6340010ターボ機械の中で使用するためのシールシステムおよびそれを製作する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6340010
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】ターボ機械の中で使用するためのシールシステムおよびそれを製作する方法
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/453 20060101AFI20180528BHJP
   C23C 4/10 20160101ALI20180528BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20180528BHJP
   F01D 5/20 20060101ALI20180528BHJP
   F01D 11/12 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   F16J15/453
   C23C4/10
   F01D25/00 M
   F01D25/00 L
   F01D5/20
   F01D11/12
【請求項の数】20
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2015-543477(P2015-543477)
(86)(22)【出願日】2013年11月27日
(65)【公表番号】特表2016-508202(P2016-508202A)
(43)【公表日】2016年3月17日
(86)【国際出願番号】EP2013074893
(87)【国際公開番号】WO2014083069
(87)【国際公開日】20140605
【審査請求日】2016年11月24日
(31)【優先権主張番号】13/687,369
(32)【優先日】2012年11月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513243790
【氏名又は名称】ヌオーヴォ ピニォーネ ソチエタ レスポンサビリタ リミタータ
【氏名又は名称原語表記】NUOVO PIGNONE S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ガスリプアー,ファーシャド
(72)【発明者】
【氏名】ジョヴァンネッティ,イアコポ
(72)【発明者】
【氏名】ジャンノッジ,マッシーモ
(72)【発明者】
【氏名】アナンド,クリシュナムルシー
(72)【発明者】
【氏名】シェン,ヌオ
(72)【発明者】
【氏名】ピシェ,ニコラ・バーバラ
(72)【発明者】
【氏名】ルブラン,リュック・ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ハス,ウェイン・チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン,ウォーレン・アーサー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス,ポール・マシュー
(72)【発明者】
【氏名】グレイ,デニス・マイケル
【審査官】 杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−349290(JP,A)
【文献】 特開昭61−019351(JP,A)
【文献】 特開2010−156286(JP,A)
【文献】 特開2010−043351(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0203224(US,A1)
【文献】 特開2009−041059(JP,A)
【文献】 特開2002−256449(JP,A)
【文献】 特開2002−256808(JP,A)
【文献】 特表2001−507774(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02444593(EP,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02444515(EP,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0099971(US,A1)
【文献】 英国特許出願公開第02475850(GB,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02241648(EP,A2)
【文献】 欧州特許出願公開第02196631(EP,A2)
【文献】 欧州特許出願公開第01967699(EP,A1)
【文献】 米国特許第05704759(US,A)
【文献】 英国特許出願公開第02226050(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/453
C23C 4/10
F01D 5/20
F01D 11/12
F01D 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な部分と、前記回転可能な部分の少なくとも一部分の上に延在する静止部分とを含む装置のためのシールシステム(200、300、400、500)であって、前記静止部分は、内側表面(188)を含み、前記回転可能な部分は、それに連結されている少なくとも1つのエーロフォイルアッセンブリを含み、前記少なくとも1つのエーロフォイルアッセンブリは、基材(184)を含み、前記シールシステム(200、300、400、500)は、
前記内側表面(188)の少なくとも一部分の上に形成されている、アブレイダブル材料の少なくとも1つのアブレイダブル層を含むアブレイダブル部分(202)と、
前記基材(184)の少なくとも一部分の上に配設されているアブレイディング部分(204、304、404、504)と、
を含み、
前記アブレイディング部分(204、304、404、504)は、
前記基材(184)の少なくとも一部分の上に形成されている少なくとも1つのアブレイディング層(212、312、412、512)と、
前記少なくとも1つのアブレイディング層(212、312、412、512)の中に埋め込まれている複数の研磨粒子(218、318、418、518)と、
前記アブレイディング層と前記基材(184)との間に形成された中間層(536)と、
を含み、
前記複数の研磨粒子(218、318、418、518)は、
炭化ケイ素(SiC)粒子、および、
炭化タンタル(TaC)、酸化アルミニウム(Al23)、およびジルコニア(ZrO2)のうちの1つの実質的にすべて、
所定の比率の立方晶窒化ホウ素(cBN)およびAl23
所定の比率のcBN、Al23、およびZrO2
所定の比率の一緒に溶融されたAl23およびZrO2、ならびに、
所定の比率のTaCおよびAl23
のうちの少なくとも1つ
を含み、
前記中間層(536)は、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、ジルコニア強化アルミナ、アルミナ強化ジルコニア、Al23、およびハフニア(HfO2)のうちの少なくとも1つを含むセラミック材料から形成されている、
シールシステム(200、300、400、500)。
【請求項2】
前記複数の研磨粒子(218、318、418、518)が、
おおよそ50.8ミクロン(μ)からおおよそ500μの間の範囲の中にサイズ決めされている前記複数の研磨粒子(218、318、418、518)、および、
おおよそ20μからおおよそ500μの間のスペーシング範囲によって互いから分離されている前記複数の研磨粒子(218、318、418、518)
のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載のシールシステム(200、300、400、500)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのアブレイディング層(212、312、412、512)が、アブレイディング層表面(216、316、416、516)を画定し、前記複数の研磨粒子(218、318、418、518)の少なくとも一部分が、前記粒子サイズ設定のおおよそ0%から前記粒子サイズ設定の40%の間の範囲の中の距離だけ、前記アブレイディング層表面(216、316、416、516)を越えて延在している、請求項1または請求項2記載のシールシステム(200、300、400、500)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのアブレイディング層(212、312、412、512)が、少なくとも1つの金属層および少なくとも1つのセラミック層のうちの少なくとも1つを含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシールシステム(200、300、400、500)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのアブレイディング層(212、312、412、512)が、第1の硬度値を有しており、前記複数の研磨粒子(218、318、418、518)が、第2の硬度値を有しており、前記第2の硬度値は、前記第1の硬度値よりも大きい、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシールシステム(200、300、400、500)。
【請求項6】
前記複数の研磨粒子(218、318、418、518)が、Al23およびムライトのうちの少なくとも1つを含む外部不活性粒子コーティングを含む少なくともいくつかの炭化ケイ素(SiC)粒子をさらに含む、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシールシステム(200、300、400、500)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのアブレイディング層(212、312、412、512)が、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、ジルコニア強化アルミナ、アルミナ強化ジルコニア、Al23、およびハフニア(HfO2)のうちの少なくとも1つを含む、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシールシステム(200、300、400、500)。
【請求項8】
前記少なくとも1つのアブレイディング層(212、312、412、512)が、
クロム−アルミニウム−イットリウム合金(MCrAlY)であって、Mは、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、および鉄(Fe)のうちの少なくとも1つをその任意の組み合わせで含む、クロム−アルミニウム−イットリウム合金(MCrAlY)、
クロム−アルミニウム合金(MCrAlX)であって、Mは、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、および鉄(Fe)のうちの少なくとも1つをその任意の組み合わせで含み、Xは、ハフニウム(Hf)、Y、Si、およびTaのうちの少なくとも1つをその任意の組み合わせで含む、クロム−アルミニウム合金(MCrAlX)、ならびに
ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、およびプラチナ(Pt)のうちの少なくとも2つをその任意の組み合わせで含む合金
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシールシステム(200、300、400、500)。
【請求項9】
前記少なくとも1つのアブレイディング層(212、312、412、512)が、おおよそ50.8μからおおよそ500μの間の範囲の中の厚さを有している、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のシールシステム(200、300、400、500)。
【請求項10】
前記アブレイダブル部分(202)が、
緻密な垂直亀裂(DVC)イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、および、
緻密な垂直亀裂(DVC)ジズプロシア安定化ジルコニア(DySZ)
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のシールシステム(200、300、400、500)。
【請求項11】
前記DVC YSZが、5%未満の多孔率値を有している、請求項10に記載のシールシステム(200、300、400、500)。
【請求項12】
前記DVC DySZが、5%未満の多孔率値を有している、請求項10記載のシールシステム(200、300、400、500)。
【請求項13】
前記アブレイダブル部分(202)が、少なくともおおよそ500μの厚さを有して形成されている、請求項1乃至12のいずれか1項に記載のシールシステム(200、300、400、500)。
【請求項14】
装置のためのシールシステム(200、300、400、500)を組み立てる方法であって、前記方法は、
回転可能な部分を提供するステップであって、前記回転可能な部分は、それに連結されている少なくとも1つのエーロフォイルアッセンブリを含み、前記少なくとも1つのエーロフォイルアッセンブリは、基材(184)を含む、ステップと、
前記回転可能な部分の少なくとも一部分の上に静止部分を延在させるステップであって、前記静止部分は、内側表面(188)を含む、ステップと、
前記内側表面(188)の少なくとも一部分の上にアブレイダブル材料の少なくとも1つの層を形成するステップと、
前記基材(184)の少なくとも一部分の上に少なくとも1つのマトリックス層(212、312、412、512)を形成するステップであって、前記少なくとも1つのマトリックス層(212、312、412、512)は、前記少なくとも1つのマトリックス層(212、312、412、512)の中に埋め込まれている複数の研磨粒子(218、318、418、518)を含む、ステップと、
前記アブレイディング層と前記基材(184)との間に中間層(536)を形成するステップと、
を含み、
前記複数の研磨粒子(218、318、418、518)は、
炭化ケイ素(SiC)粒子、および、
炭化タンタル(TaC)、酸化アルミニウム(Al23)、およびジルコニア(ZrO2)のうちの1つの実質的にすべて、
所定の比率の立方晶窒化ホウ素(cBN)およびAl23
所定の比率のcBN、Al23、およびZrO2
所定の比率の一緒に溶融されたAl23およびZrO2、ならびに、
所定の比率のTaCおよびAl23
のうちの少なくとも1つ、
を含み、
前記中間層(536)は、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、ジルコニア強化アルミナ、アルミナ強化ジルコニア、Al23、およびハフニア(HfO2)のうちの少なくとも1つを含むセラミック材料から形成されている、
装置のためのシールシステム(200、300、400、500)を組み立てる方法。
【請求項15】
前記内側表面(188)の上にアブレイダブル材料の少なくとも1つの層を形成するステップが、緻密な垂直亀裂(DVC)イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、および、緻密な垂直亀裂(DVC)ジズプロシア安定化ジルコニア(DySZ)のうちの少なくとも1つを前記内側表面(188)の上に溶射することを含み、アブレイダブル材料の前記少なくとも1つの層が、第1の硬度値を有し、前記複数の研磨粒子(218、318、418、518)が、第2の硬度値を有し、前記第2の硬度値が、前記第1の硬度値よりも大きい、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つのマトリックス層(212、312、412、512)を形成するステップが、シリコン(Si)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ホウ素(B)およびジルコニウム(Zr)のうちの少なくとも1つと、ニッケルクロム(NiCr)およびNiのうちの少なくとも1つを混合することを含む、ろう付けマトリックスを形成することを含む、請求項14または請求項15に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つのマトリックス層(212、312、412、512)を形成するステップが、
クロム−アルミニウム−イットリウム合金(MCrAlY)マトリックスを形成するステップであって、Mは、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、および鉄(Fe)のうちの少なくとも1つをその任意の組み合わせで含む、ステップと、
少なくとも1つのMCrAlYマトリックス層を、電解プロセスを通して形成するステップと、
を含む、請求項14または請求項15に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1つのマトリックス層(212、312、412、512)を形成するステップが、
シリコン(Si)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ホウ素(B)およびジルコニウム(Zr)のうちの少なくとも1つと、ニッケルクロム(NiCr)およびNiのうちの少なくとも1つを混合することを含む、ろう付け化合物を形成するステップと、
前記基材(184)の前記少なくとも一部分に前記ろう付け化合物を適用するステップと、
前記基材(184)に前記複数の粒子をろう付けするステップと、
MCrAlYマトリックス化合物を形成することを含む電解化合物を形成するステップであって、Mは、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、および鉄(Fe)のうちの少なくとも1つをその任意の組み合わせで含む、ステップと、
前記ろう付けされている粒子に前記電解化合物を適用するステップと、
それらの間のスペーシングの少なくとも一部分を充填するステップと、
を含む、請求項14または請求項15に記載の方法。
【請求項19】
回転可能な部分と、前記回転可能な部分の少なくとも一部分の上に延在する静止部分とを含む装置を動作させる方法であって、前記静止部分は、内側表面(188)を含み、前記回転可能な部分は、それに連結されている少なくとも1つのエーロフォイルアッセンブリを含み、前記方法は、
シールシステム(200、300、400、500)のアブレイディング部分(204、304、404、504)が、前記シールシステム(200、300、400、500)のアブレイダブル部分(202)に対抗して擦れるように、前記回転可能な部材の中の回転を引き起こすステップであって、前記アブレイダブル部分(202)は、前記静止部分の上に形成されている緻密な垂直亀裂(DVC)イットリア安定化ジルコニア(YSZ)および緻密な垂直亀裂(DVC)ジズプロシア安定化ジルコニア(DySZ)のうちの少なくとも1つからなる少なくとも1つの層を含み、前記アブレイダブル部分(202)は、第1の硬度値を有しており、前記アブレイディング部分(204、304、404、504)は、少なくとも1つのマトリックス層(212、312、412、512)の中に埋め込まれている複数の研磨粒子(218、318、418、518)と中間層(536)とを含み、前記複数の研磨粒子(218、318、418、518)は、前記第1の硬度値よりも大きい第2の硬度値を有しており、前記複数の研磨粒子(218、318、418、518)は、
炭化ケイ素(SiC)粒子、および、
炭化タンタル(TaC)、酸化アルミニウム(Al23)、およびジルコニア(ZrO2)のうちの1つの実質的にすべて、
所定の比率の立方晶窒化ホウ素(cBN)およびAl23
所定の比率のcBN、Al23、およびZrO2
所定の比率の一緒に溶融されたAl23およびZrO2、ならびに、
所定の比率のTaCおよびAl23
のうちの少なくとも1つ
を含む、ステップと、
前記アブレイダブル部分(202)の少なくとも一部分を前記アブレイディング部分(204、304、404、504)によって除去するステップと、
を含み、
前記中間層(536)は、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、ジルコニア強化アルミナ、アルミナ強化ジルコニア、Al23、およびハフニア(HfO2)のうちの少なくとも1つを含むセラミック材料から形成されている、
装置を動作させる方法。
【請求項20】
前記アブレイダブル部分(202)が、実質的に滑らかな表面およびパターン付きの表面のうちの少なくとも1つによって形成される、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、概して、ターボ機械に関し、より具体的には、エーロフォイルの先端部に適用された研磨材料、ならびに、静止した部分に適用された耐高温性および耐浸食性材料を含むターボ機械シールシステムに関し、また、それを適用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
少なくともいくつかの公知のターボ機械は、少なくとも1つのローターアッセンブリの上に延在する少なくとも1つの静止アッセンブリを含むタービンエンジンである。ローターアッセンブリは、円周方向に間隔を置いて配置された回転可能な金属製のタービンブレードまたはバケットの少なくとも1つの列を含む。また、少なくともいくつかの公知のタービンエンジンは、円周方向に間隔を置いて配置された回転可能な金属製の圧縮機ブレードの少なくとも1つの列も含むガスタービンエンジンである。バケットおよびブレードは、プラットフォームから金属製の先端部へ半径方向外向きに延在する金属製のエーロフォイルを含む。そのような金属製のエーロフォイルの多くは、ニッケル(Ni)およびコバルト(Co)合金などのような材料から製作されている。
【0003】
タービンエンジンのいくつかの公知の静止アッセンブリは、高温ガスフラックスに定常的に曝され得る金属製のシュラウドを形成する表面を含む。そのような金属製の表面のいくつかは、適用された金属ベースのMCrAlYコーティング、および/または、適用されたセラミック遮熱コーティング(TBC)を含み、それは、静止アッセンブリの上にシュラウドを形成する。代替的に、いくつかのそのような金属製の表面は、保護遮熱コーティングの有無にかかわらず、適用されたセラミックマトリックス複合材料(CMC)を含む。
【0004】
金属製の先端部および金属製のシュラウドは、それらの間に先端部クリアランスを画定している。しかし、金属製のシュラウドおよび金属製のバケットの両方を含むそのようなタービンエンジンは、利用可能なエンジン動作条件の範囲にわたって、ラビングのない(rub−free)エンジン動作を促進させるために、十分に大きい先端部クリアランスを伴って構成されている。しかし、そのような先端部クリアランスは、低温および低効率タービンエンジンにとってのみ適切であり、より高い効率を必要とするより高温のユニットにとっては適切でないこととなる。
【0005】
他の公知のタービンエンジンのいくつかは、静止アッセンブリの上に形成されたアブレイダブルシュラウドを含む。典型的に、そのようなシュラウドは、TBCの緻密な垂直亀裂(DVC)形態を含む、パターン付きのアブレイダブル遮熱コーティング(TBC)によって形成されている。先端部は、コーティングされておらず、先端部の硬度値は、シュラウドコーティングの硬度値よりも大きいので、先端部は、ローターアッセンブリが静止アッセンブリの中で回転するときにシュラウドを研磨する。その後に、アブレイダブルシュラウドおよび先端部は、それらの間に先端部クリアランスを画定する。相対的に硬くないアブレイダブルTBCシュラウドコーティングは、相対的に硬いバケット/ブレードに対する損傷の可能性を減少させる。しかし、相対的な柔らかさに起因して、そのようなシュラウドコーティングは、特に、パターン付きの輪郭に沿って、粒子浸食に起因して、材料損失を起こしやすい。粒子浸食に対抗するために、いくつかのタービンエンジンは、金属製のバケット/ブレードによって研磨される、より頑丈な耐浸食性のDVC−TBCを含む。しかし、硬度の増加に起因して、そのようなDVC−TBCコーティングされたシュラウドは、ラビングの間に、バケット/ブレード先端部摩耗の増加を促進させ、ラビン
グによって引き起こされる温度上昇に起因して、破砕する傾向を示している。
【0006】
残りの公知のタービンエンジンのいくつかは、静止アッセンブリの上に形成された同様のアブレイダブルTBCシュラウドコーティングを含み、バケット/ブレード先端部は、バケット/ブレード材料およびアブレイダブルコーティングよりも大きい硬度値を有する、その上に形成された研磨材料を含む。ローターアッセンブリが静止アッセンブリの中で回転するときに、研磨材料が、シュラウドコーティングを研磨する。アブレイダブルシュラウドコーティングおよび研磨先端部は、それらの間に先端部クリアランスを画定している。先端部クリアランスは、ブレードおよびバケットをバイパスする、タービンエンジンを通る軸線方向の流れを低減させることを促進させるのに十分に小さく、それによって、タービンエンジンの効率および性能の向上を促進させる。また、先端部クリアランスは、利用可能なエンジン動作条件の範囲にわたって、ラビングのないエンジン動作を促進させるのに十分に大きい。そのうえ、上記に説明されているように、多くのそのようなTBC材料は、耐浸食性のDVC−TBCであり、ラビングによって引き起こされる温度上昇に起因して破砕する傾向を示している。
【0007】
加えて、アブレイダブルTBCシュラウドと、バケット/ブレードの上に形成された研磨材料とを含むこれらの公知のタービンエンジンのいくつかは、それらの硬度特性に起因して、研磨材料に関して、炭化ケイ素(SiC)または立方晶窒化ホウ素(cBN)のいずれかを使用する。しかし、おおよそ摂氏927度(℃)(華氏1700度(°F))を超える温度に関して、cBNは、不安定になり、酸化しやすくなる。また、SiCは、おおよそ927℃(1700°F)を上回る温度を耐え抜くのにより適しているが、SiC研磨剤は、Ni/Co合金基材を攻撃し得る遊離シリコンを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2444593号公報
【発明の概要】
【0009】
1つの態様では、シールシステムが提供される。シールシステムは、エーロフォイルがそれに連結されている回転可能な部分と、内側表面を有する静止部分とを含む装置のためのものである。シールシステムは、内側表面の上に形成されている、アブレイダブル材料の少なくとも1つのアブレイダブル層を含むアブレイダブル部分を含む。また、シールシステムは、エーロフォイルの基材の少なくとも一部分の上に配設されているアブレイディング(abrading)部分を含む。アブレイディング部分は、基材の少なくとも一部分の上に形成されている少なくとも1つのアブレイディング層と、アブレイディング層の中に埋め込まれている複数の研磨粒子とを含む。複数の研磨粒子は、炭化タンタル(TaC)、酸化アルミニウム(Al23)、またはジルコニア(ZrO2)のうちの1つの実
質的にすべてを含むことが可能である。また、複数の研磨粒子は、立方晶窒化ホウ素(cBN)およびAl23を所定の比率で含むことが可能である。さらに、複数の研磨粒子は、cBN、Al23、およびZrO2を所定の比率で含むことが可能である。そのうえ、
複数の研磨粒子は、一緒に溶融されたAl23およびZrO2を所定の比率で含むことが
可能である。また、複数の研磨粒子は、TaCおよびAl23を所定の比率で含むことが可能である。
【0010】
さらなる態様では、装置のためのシールシステムを組み立てる方法は、回転可能な部分を提供するステップを含む。回転可能な部分は、それに連結されている少なくとも1つのエーロフォイルアッセンブリを含み、少なくとも1つのエーロフォイルアッセンブリは、基材を含む。この方法は、回転可能な部分の少なくとも一部分の上に静止部分を延在させるステップを含む。静止部分は、内側表面を含む。また、この方法は、内側表面の少なく
とも一部分の上にアブレイダブル材料の少なくとも1つの層を形成するステップを含む。この方法は、基材の少なくとも一部分の上に少なくとも1つのマトリックス層を形成するステップをさらに含む。少なくとも1つのマトリックス層は、少なくとも1つのマトリックス層の中に埋め込まれている複数の研磨粒子を含む。複数の研磨粒子は、炭化タンタル(TaC)、酸化アルミニウム(Al23)、またはジルコニア(ZrO2)のうちの1
つの実質的にすべてを含むことが可能である。また、複数の研磨粒子は、立方晶窒化ホウ素(cBN)およびAl23を所定の比率で含むことが可能である。さらに、複数の研磨粒子は、cBN、Al23、およびZrO2を所定の比率で含むことが可能である。その
うえ、複数の研磨粒子は、一緒に溶融されたAl23およびZrO2を所定の比率で含む
ことが可能である。また、複数の研磨粒子は、TaCおよびAl23を所定の比率で含むことが可能である。
【0011】
別の態様では、回転可能な部分と、回転可能な部分の少なくとも一部分の上に延在する静止部分とを含む装置を動作させる方法が提供される。静止部分は、内側表面を含み、回転可能な部分は、それに連結されている少なくとも1つのエーロフォイルアッセンブリを含む。この方法は、シールシステムのアブレイディング部分が、シールシステムのアブレイダブル部分に対抗して擦れるように、回転可能な部材の中の回転を引き起こすステップを含む。アブレイダブル部分は、静止部分の上に形成されている緻密な垂直亀裂(DVC)イットリア安定化ジルコニア(YSZ)および緻密な垂直亀裂(DVC)ジズプロシア安定化ジルコニア(DySZ)のうちの少なくとも1つからなる少なくとも1つの層を含む。アブレイダブル部分は、第1の硬度値を有している。アブレイディング部分は、少なくとも1つのマトリックス層の中に埋め込まれている複数の研磨粒子を含む。複数の研磨粒子は、第1の硬度値よりも大きい第2の硬度値を有している。複数の研磨粒子は、炭化タンタル(TaC)、酸化アルミニウム(Al23)、またはジルコニア(ZrO2)の
うちの1つの実質的にすべてを含むことが可能である。また、複数の研磨粒子は、立方晶窒化ホウ素(cBN)およびAl23を所定の比率で含むことが可能である。さらに、複数の研磨粒子は、cBN、Al23、およびZrO2を所定の比率で含むことが可能であ
る。そのうえ、複数の研磨粒子は、一緒に溶融されたAl23およびZrO2を所定の比
率で含むことが可能である。また、複数の研磨粒子は、TaCおよびAl23を所定の比率で含むことが可能である。また、この方法は、アブレイダブル部分の少なくとも一部分をアブレイディング部分によって除去するステップを含む。
【0012】
本発明のこれらの特徴、態様、および利点、ならびに、他の特徴、態様、および利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読むと、より良好に理解されることとなる。図面において、同様の文字は、図面の全体を通して、同様のパーツを表している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】例示的なガスタービンエンジンの概略ダイアグラムである。
図2図1に示されているガスタービンエンジンとともに使用され得る例示的なタービンバケットの概略図である。
図3図1に示されているガスタービンエンジンとともに使用され得る例示的なシールシステムの概略図である。
図4図3に示されている例示的なシールシステムの拡大概略図である。
図5図3に示されているガスタービンエンジンとともに使用され得る代替的な例示的なシールシステムの拡大概略図である。
図6図3に示されているガスタービンエンジンとともに使用され得る別の代替的な例示的なシールシステムの拡大概略図である。
図7図3に示されているガスタービンエンジンとともに使用され得るさらなる別の代替的な例示的なシールシステムの拡大概略図である。
図8図3に示されているガスタービンエンジンとともに使用され得るシールシステムを組み立てる例示的な方法のフローチャートである。
図9図8のシールシステムを組み立てる方法の続きである。
図10図3に示されているガスタービンエンジンとともに使用され得る実質的に滑らかな表面を有する例示的なアブレイダブルシュラウドの例示的な部分の概略図である。
図11】線11−11に沿って見た、図10に示されているアブレイダブルシュラウドの一部分の拡大概略図である。
図12図3に示されているガスタービンエンジンとともに使用され得るパターン付きの表面を有する例示的なアブレイダブルシュラウドの例示的な部分の概略図である。
図13】線13−13に沿って見た、図12に示されているアブレイダブルシュラウドの一部分の拡大概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
別段の指示がない限り、本明細書で適用されている図面は、本発明の重要な発明的特徴を図示することを意図している。これらの重要な発明的特徴は、本発明の1つまたは複数の実施形態を含む多種多様なシステムに適用可能であると考えられる。そのため、図面は、本発明の実施のために必要とされる当業者によって知られているすべての従来の特徴を含むことを意図していない。
【0015】
以下の明細書および特許請求の範囲において、多数の用語が参照されることとなり、用語は、以下の意味を有するように定義されるべきである。
【0016】
単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が明確にそうでないことを示していなければ、複数参照を含む。
【0017】
「随意的な」または「随意的に」は、その後に説明される事象または状況が生じる可能性があるか、または、生じない可能性があるということ、ならびに、説明が、事象が生じる場合と、事象が生じない場合とを含むということを意味している。
【0018】
明細書および特許請求の範囲の全体を通して本明細書で使用されているように、近似言語は、それが関連する基本的な機能の変化を結果として生じさせることなく、許容範囲で変化することが可能な任意の定量的表現を修正するために適用され得る。したがって、「約」および「実質的に」などのような1つまたは複数の用語によって修正される値は、特定されている正確な値に限定されるべきではない。少なくともいくつかの場合では、近似言語は、値を測定するための機器の精度に対応し得る。ここで、明細書および特許請求の範囲の全体を通して、範囲限定を組み合わせおよび/または交換することが可能であり、文脈または文言が、そうでないということを示していなければ、そのような範囲は、特定され、その中に含有されるすべてのサブレンジを含む。
【0019】
図1は、回転機械の概略図である。すなわち、ターボ機械、およびより具体的には、タービンエンジンである。例示的な実施形態では、タービンエンジンは、ガスタービンエンジン100である。代替的に、回転機械は、任意の他のタービンエンジンおよび/または回転機械であり、それらに限定されないが、蒸気タービンエンジン、遠心圧縮機、およびターボチャージャーを含む。例示的な実施形態では、ガスタービンエンジン100は、空気取り入れ口セクション102および圧縮機セクション104を含み、圧縮機セクション104は、取り入れ口セクション102から下流に連結されており、取り入れ口セクション102に流れが連通している。圧縮機セクション104は、圧縮機ケーシング105の中に囲まれている。燃焼器セクション106は、圧縮機セクション104から下流に連結されており、圧縮機セクション104に流れが連通しており、タービンセクション108は、燃焼器セクション106から下流に連結されており、燃焼器セクション106に流れ
が連通している。タービンエンジン108は、タービンケーシング109の中に囲まれており、タービンセクション108から下流にある排気セクション110を含む。そのうえ、例示的な実施形態では、タービンセクション108は、ローターアッセンブリ112を介して、圧縮機セクション104に連結されており、ローターアッセンブリ112は、それらに限定されないが、圧縮機ローター、またはドライブシャフト114、および、タービンローター、またはドライブシャフト115を含む。
【0020】
例示的な実施形態では、燃焼器セクション106は、複数の燃焼器アッセンブリ、すなわち、圧縮機セクション104に流れが連通してそれぞれ連結されている燃焼器116を含む。また、燃焼器セクション106は、少なくとも1つの燃料ノズルアッセンブリ118を含む。それぞれの燃焼器116は、少なくとも1つの燃料ノズルアッセンブリ118に流れが連通している。そのうえ、例示的な実施形態では、タービンセクション108および圧縮機セクション104は、ドライブシャフト114を介して、負荷120に回転可能に連結されている。たとえば、負荷120は、それらに限定されないが、発電機、および/または、機械的な駆動用途、たとえば、ポンプを含むことが可能である。代替的に、ガスタービンエンジン100は、航空機エンジンとすることが可能である。
【0021】
また、例示的な実施形態では、圧縮機セクション104は、少なくとも1つの圧縮機ブレードアッセンブリ122および少なくとも1つの隣接する静翼アッセンブリ123を含む。圧縮機ブレードアッセンブリ122および隣接する静翼アッセンブリ123のそれぞれの組み合わせは、圧縮機段130を画定している。また、それぞれの圧縮機ブレードアッセンブリ122は、複数の圧縮機ブレード(図1には示されていない)を含み、それぞれの静翼アッセンブリ123は、複数の圧縮機翼(図1には示されていない)を含む。そのうえ、それぞれの圧縮機ブレードアッセンブリ122は、圧縮機ドライブシャフト114に取り外し可能に連結されており、それぞれの静翼アッセンブリ123は、圧縮機ケーシング105に取り外し可能に連結されており、圧縮機ケーシング105によって支持されている。
【0022】
さらに、例示的な実施形態では、タービンセクション108は、少なくとも1つのタービンブレード、すなわち、バケットアッセンブリ124、および、少なくとも1つの隣接する静止ノズルアッセンブリ125を含む。タービンバケットアッセンブリ124および隣接する静止ノズルアッセンブリ125のそれぞれの組み合わせは、タービン段140を画定している。また、それぞれのタービンバケットアッセンブリ124は、複数のタービンバケット(図1には示されていない)を含み、それぞれの静止ノズルアッセンブリ125は、複数のタービンノズル(図1には示されていない)を含む。そのうえ、それぞれのタービンバケットアッセンブリ124は、タービンドライブシャフト115に取り外し可能に連結されており、それぞれの静止ノズルアッセンブリ125は、タービンケーシング109に取り外し可能に連結されており、タービンケーシング109によって支持されている。
【0023】
動作時に、空気取り入れ口セクション102は、圧縮機セクション104に向けて空気150を導く。圧縮機セクション104は、燃焼器セクション106に向けて圧縮空気152を吐出する前に、入口空気150をより高い圧力および温度まで圧縮する。圧縮空気152は、燃料ノズルアッセンブリ118へ導かれ、燃料(図示せず)と混合され、それぞれの燃焼器116の中で燃焼させられ、燃焼ガス154を発生させ、燃焼ガス154は、タービンセクション108に向けて下流に導かれる。燃焼器116の中で発生させられる燃焼ガス154は、タービンセクション108に向けて下流に導かれる。タービンバケットアッセンブリ124に衝突した後、熱エネルギーは、機械的な回転エネルギーに変換され、機械的な回転エネルギーは、ローターアッセンブリ112を駆動するために使用される。タービンセクション108は、ドライブシャフト114および115を介して、圧
縮機セクション104および/または負荷120を駆動し、排気ガス156は、排気セクション110を通して周囲雰囲気へ吐出される。
【0024】
図2は、ガスタービンエンジン100(図1に示されている)とともに使用され得る例示的なタービンバケット160の概略図である。タービンバケット160は、ルート部分162と、ルート部分162に連結されているエーロフォイル部分164とを含む。エーロフォイル部分164は、エーロフォイル先端部分166、前縁部168、および後縁部170を画定している。それぞれのタービンバケット160は、ローターアッセンブリ112のタービンドライブシャフト115(両方とも図1に示されている)に、ダブテールシステム(図示せず)を通して取り外し可能に連結されている。圧縮機ドライブシャフト114(図1に示されている)に取り外し可能に連結されているそれぞれの圧縮機ブレード180のために、同様の配置および構成を使用することが可能である。
【0025】
図3は、ガスタービンエンジン100とともに使用され得る例示的なシールシステム200の概略図である。シールシステム200は、圧縮機セクション104およびタービンセクション108とともに使用することが可能である。ガスタービンエンジン100は、複数の圧縮機段130および複数のタービン段140を含む。それぞれの圧縮機段130は、複数の圧縮機ブレード180を含み、それぞれのタービン段140は、複数のタービンバケット160を含む。それぞれの圧縮機ブレード180は、エーロフォイル先端部基材182を含み、それぞれのタービンバケット160は、エーロフォイル先端部基材184を含む。エーロフォイル先端部基材182および184は、ニッケル(Ni)基合金およびコバルト(Co)基合金のうちの1つから形成されている。代替的に、エーロフォイル先端部基材182および184は、本明細書で説明されているようなガスタービンエンジン100およびシールシステム200の動作を可能にする任意の材料から形成されている。圧縮機ケーシング105は、内側表面186を含み、タービンケーシング109は、内側表面188を含む。
【0026】
例示的な実施形態では、および、タービンセクション108に焦点を合わせると、シールシステム200は、アブレイダブル部分、すなわち、内側表面188の上に形成されているシュラウド202を含む。代替的に、シュラウド202を、標準的なステーターの(statoric)ボンドコートの上に形成することが可能である。アブレイダブルシュラウド202は、第1の硬度値を有している。また、シールシステム200は、エーロフォイル先端部基材184の上に配設されているアブレイディング部分204を含む。アブレイディング部分204は、第1の硬度値よりも大きい第2の硬度値を有している。ガスタービンエンジン100の動作時に、回転運動206が、タービンドライブシャフト115の中に引き起こされ、アブレイディング部分204が、アブレイダブルシュラウド202に対抗して擦れるようになっており、クリアランスギャップ208が、エーロフォイル先端部分166の上に形成されているアブレイディング部分204と、タービンケーシング109の上に形成されているアブレイダブルシュラウド202との間に画定されている。アブレイダブルシュラウド202は、実質的に滑らかな表面およびパターン付きの表面(いずれも示されていない)のうちの1つを画定するように擦り減らされる。代替的に、実質的に滑らかな表面および/またはパターン付きの表面は、アブレイダブルシュラウド202の製造の間に形成することが可能である(さらに以下に議論されている)。クリアランスギャップ208は、タービンバケット160とタービンケーシング109との間の作動流体の流れ(図3には示されていない)を低減させることを促進させる所定の範囲の値を有しており、それによって、ガスタービンエンジン100の効率を向上させ、一方、タービンケーシング109とのタービンバケット160のラビングも低減させ、それによって、タービンバケット160の予想耐用年数を増加させる。代替的に、表面188の上に直接的にアブレイダブルシュラウド202を形成するというよりも、第1の層の高温材料が、表面188の上に形成されている。そのような第1の層は、それらに限定されない
が、クロム−アルミニウム−イットリウム合金(MCrAlY)を含む材料から形成することが可能であり、ここで、Mは、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、および鉄(Fe)のうちの少なくとも1つを任意の組み合わせで含む。その後に、アブレイダブルシュラウド202が、第1の層の上に形成される。
【0027】
図4は、領域4(図3に示されている)に沿って見た例示的なシールシステム200の拡大概略図である。図4の中の物体は、実寸大で示されてはいない。例示的な実施形態では、および、タービンセクション108(図1および図3に示されている)に焦点を合わせると、シールシステム200は、内側表面188の上に形成されているアブレイダブルシュラウド202を含む。いくつかの実施形態では、アブレイダブルシュラウド202は、5%未満の多孔率値を有する緻密な垂直亀裂(DVC)イットリア安定化ジルコニア(YSZ)から形成されている。代替的に、他の実施形態では、アブレイダブルシュラウド202は、5%未満の多孔率値を有するDVCジズプロシア安定化ジルコニア(DySZ)から形成されている。また、代替的に、アブレイダブルシュラウド202は、35%未満の多孔率、および、好ましくは、25%未満の多孔率を有する標準的なYSZおよびDySZのうちの1つから形成されている。
【0028】
例示的な実施形態では、アブレイダブルシュラウド202は、内側表面188からタービンバケット160に向かって延在しており、少なくともおおよそ500ミクロン(μ)(20ミル、すなわち、0.020インチ))の厚さ210を有しており、表面211を有している。代替的に、アブレイダブルシュラウド202は、本明細書で説明されているようなシールシステム200の動作を可能にする任意の厚さ値210を有している。また、例示的な実施形態では、アブレイダブルシュラウド202は、DVC YSZまたはDVC DySZのいずれかのうちの少なくとも1つの層(図示せず)を内側表面188の上に溶射することによって形成されている。アブレイダブルシュラウド202は、おおよそ400からおおよそ1200の間のビッカース硬度(HV0.3)値の範囲を有している
【0029】
また、シールシステム200は、エーロフォイル先端部基材184の上に配設されているアブレイディング部分204を含む。例示的な実施形態では、アブレイディング部分204は、おおよそ50.8μ(2ミル)からおおよそ500μ(20ミル)の間の範囲の中にある厚さ214を有する少なくとも1つのアブレイディングマトリックス層212を含む。アブレイディングマトリックス層212は、アブレイディングマトリックス層表面216を画定している。アブレイディング部分204は、エーロフォイル先端部基材184の上に直接的に形成するか、または、標準的なエーロフォイルボンドコートの層の上に形成することが可能である。
【0030】
また、例示的な実施形態では、アブレイディングマトリックス層212は、金属材料およびセラミック材料のうちの1つから形成されている単一のマトリックス層を含む。代替的に、アブレイディングマトリックス層212は、本明細書で説明されているようなガスタービンエンジン100およびシールシステム200の動作を可能にする任意の数の層を含む。いくつかの実施形態では、金属マトリックス材料は、MCrAlYとすることが可能である。他の実施形態では、金属マトリックス材料は、クロム−アルミニウム合金(MCrAlX)とすることが可能であり、ここで、Mは、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、および鉄(Fe)のうちの少なくとも1つを任意の組み合わせで含み、Xは、ハフニウム(Hf)、Y、Si、およびタンタル(Ta)のうちの少なくとも1つを任意の組み合わせで含む。さらに、例示的な実施形態では、MCrAlYマトリックス層またはMCrAlXマトリックス層のいずれかを電解プロセスを通して形成することによって、アブレイディングマトリックス層212が形成される。いくつかの他の実施形態では、アブレイディングマトリックス層212は、Ni、アルミニウム(Al)、およびプラチナ(
Pt)のうちの少なくとも2つを任意の組み合わせで含む合金を含むことが可能な金属材料から、電解プロセスを通して形成することが可能である。代替的に、金属マトリックス材料は、本明細書で説明されているようなガスタービンエンジン100およびシールシステム200の動作を可能にする任意の方法によって、エーロフォイル先端部基材184の上に形成される任意の金属材料とすることが可能である。金属製アブレイディングマトリックス層212は、おおよそ400からおおよそ1200の間のビッカース硬度値の範囲を有している。
【0031】
そのうえ、いくつかの実施形態では、アブレイディングマトリックス層212は、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、ジルコニア強化アルミナ、アルミナ強化ジルコニア、Al23、およびハフニア(HfO2)のうちの少なくとも1つを含むセラミック材料
から形成されている。Si、チタン(Ti)、タングステン(W)、ホウ素(B)およびジルコニウム(Zr)のうちの少なくとも1つを、ニッケルクロム(NiCr)およびNiのうちの少なくとも1つと混合し、ろう付けマトリックスを形成することによって、そのようなセラミックベースのアブレイディングマトリックス層212を形成することが可能である。代替的に、セラミックマトリックス材料は、本明細書で説明されているようなガスタービンエンジン100およびシールシステム200の動作を可能にする任意の方法によって、エーロフォイル先端部基材184の上に形成される任意のセラミック材料とすることが可能である。セラミックアブレイディングマトリックス層212は、おおよそ400からおおよそ1200の間のビッカース硬度値の範囲を有している。
【0032】
また、例示的な実施形態では、アブレイディング部分204は、アブレイディングマトリックス層212の中に埋め込まれている複数の研磨粒子218を含む。研磨粒子218は、炭化タンタル(TaC)、酸化アルミニウム(Al23)、またはジルコニア(ZrO2)のうちの1つの実質的にすべてを含むことが可能である。また、研磨粒子218は
、立方晶窒化ホウ素(cBN)およびAl23を所定の比率で含むことが可能である。さらに、研磨粒子218は、cBN、Al23、およびZrO2を所定の比率で含むことが
可能である。そのうえ、研磨粒子218は、一緒に溶融されたAl23およびZrO2
所定の比率で含むことが可能である。また、研磨粒子218は、TaCおよびAl23を所定の比率で含むことが可能である。さらに、研磨粒子218は、多結晶アルミナ(ゾルゲル)を含むことが可能である。
【0033】
研磨粒子218は、おおよそ1000からおおよそ4800の間のビッカース硬度値の範囲を有している。研磨粒子218の硬度値は、アブレイディングマトリックス層212の硬度値よりも大きく、そして、アブレイディングマトリックス層212の硬度値は、アブレイダブルシュラウド202の硬度値よりも大きい。
【0034】
さらに、例示的な実施形態では、研磨粒子218は、おおよそ50.8μ(2ミル)からおおよそ500μ(20ミル)の間の範囲にある等価直径220を有するようにサイズ決めされている。また、研磨粒子218は、アブレイディングマトリックス層212の中に埋め込まれているときに、おおよそ20μ(1ミル未満)からおおよそ500μ(20ミル)の間の範囲にある均等なスペーシング222によって、互いから分離されている。研磨粒子218は、実質的に球形として示されている。しかし、研磨粒子218は、本明細書で説明されているようなガスタービンエンジン100およびシールシステム200の動作を可能にする任意の形状および構成を有することが可能であり、それは、それらに限定されないが、多面的なものを含む。
【0035】
代替的に、アブレイディングマトリックス層212は、2段階のプロセスを通して形成される。第1の段階は、ろう付け化合物(図示せず)を形成することを含み、それは、Si、Ti、W、B、およびZrのうちの少なくとも1つと、NiCrおよびNiのうちの
少なくとも1つを混合することを含む。また、第1の段階は、ろう付け化合物を基材184に適用することを含む。第1の段階は、複数の研磨粒子218を基材184にろう付けすることをさらに含む。第2の段階は、電解化合物(図示せず)を形成することを含み、それは、MCrAlYマトリックス化合物(図示せず)を形成することを含む。また、第2の段階は、基材184にろう付けされている研磨粒子218に電解化合物を適用することと、研磨粒子218同士の間のスペーシングの少なくとも一部分をMCrAlYマトリックス化合物で充填することとを含む。第2の段階は、電解方法を使用し、埋め込まれている研磨粒子218とともにアブレイディングマトリックス層212を仕上げ形成することをさらに含む。
【0036】
アブレイディング部分204は、アブレイダブルシュラウド202の硬度値よりも大きい硬度値を有している。ガスタービンエンジン100の動作時に、回転運動206(図3に示されている)が、タービンドライブシャフト115(図3に示されている)の中に引き起こされ、アブレイディング部分204が、アブレイダブルシュラウド202に対抗して擦れ、クリアランスギャップ208が、アブレイダブルシュラウド202とアブレイディング部分204との間に画定されるようになっている。図4に示されているように、研磨粒子218は、アブレイディングマトリックス層表面216に対して、半径方向に、軸線方向に、および円周方向に、位置を変化させることが可能である。したがって、アブレイダブルシュラウド202は、実質的に滑らかな表面およびパターン付きの表面(いずれも示されてはいない)のうちの1つを画定するように擦り減らされ得る。クリアランスギャップ208は、タービンバケット160とタービンケーシング109との間(両方とも図3に示されている)の作動流体の流れ(図4には示されていない)を低減させることを促進させる所定の範囲の値を有しており、それによって、ガスタービンエンジン100の効率を向上させ、一方、タービンケーシング109とのタービンバケット160のラビングも低減させ、それによって、タービンバケット160の予想耐用年数を増加させる。
【0037】
図5は、ガスタービンエンジン100とともに使用され得る、領域4(両方とも図3に示されている)に沿って見た、代替的な例示的なシールシステム300の拡大概略図である。図5の中の物体は、実寸大で示されてはいない。例示的な実施形態では、および、タービンセクション108(図1および図3に示されている)に焦点を合わせると、シールシステム300は、内側表面188の上に形成されているアブレイダブルシュラウド202を含む。アブレイダブルシュラウド202は、表面211を有している。
【0038】
また、シールシステム300は、エーロフォイル先端部基材184の上に配設されている代替的なアブレイディング部分304を含む。アブレイディング部分304は、エーロフォイル先端部基材184の上に直接的に形成するか、または、標準的なエーロフォイルボンドコートの層の上に形成することが可能である。例示的な実施形態では、アブレイディング部分304は、おおよそ50.8μ(2ミル)からおおよそ500μ(20ミル)の間の範囲の中にある厚さ314を有する少なくとも1つのアブレイディングマトリックス層312を含む。アブレイディングマトリックス層312は、アブレイディングマトリックス層表面316を画定している。また、例示的な実施形態では、アブレイディングマトリックス層312は、金属材料およびセラミック材料のうちの1つから形成されている単一のマトリックス層を含み、それは、アブレイディングマトリックス層212(図4に示されている)に関して説明されているものと実質的に同様である。代替的に、アブレイディングマトリックス層312は、本明細書で説明されているようなガスタービンエンジン100およびシールシステム300の動作を可能にする任意の数の層を含む。
【0039】
さらに、例示的な実施形態では、アブレイディング部分304は、アブレイディングマトリックス層312の中に埋め込まれている複数の研磨粒子318を含む。研磨粒子318は、材料およびサイズに関して研磨粒子218(図4に示されている)と実質的に同様
であり、すなわち、研磨粒子318は、おおよそ50.8μ(2ミル)からおおよそ500μ(20ミル)の間の範囲にある等価直径320を有するようにサイズ決めされている。また、研磨粒子318は、アブレイディングマトリックス層312の中に埋め込まれているときに、おおよそ20μ(1ミル未満)からおおよそ500μ(20ミル)の間の範囲にある均等なスペーシング322によって、互いから分離されている。研磨粒子318は、実質的に球形として示されている。しかし、研磨粒子318は、本明細書で説明されているようなガスタービンエンジン100およびシールシステム300の動作を可能にする任意の形状および構成を有することが可能であり、それは、それらに限定されないが、多面的なものを含む。
【0040】
シールシステム200とは対照的に、研磨粒子318は、アブレイディングマトリックス層312の中に埋め込まれており、研磨粒子318の少なくとも一部分が、アブレイディングマトリックス層表面316を距離324だけ越えて延在するようになっている。例示的な実施形態では、距離324は、等価直径320のおおよそ0%から40%の間の範囲の中にある。アブレイダブルシュラウド202は、クリアランスギャップ326を画定するように擦り減らされ、距離328が、アブレイディングマトリックス層表面316とアブレイダブル表面211との間に画定されるようになっている。距離328は、アブレイディングマトリックス層312とアブレイダブルシュラウド202との間の接触の可能性を低減させることを促進させるようにサイズ決めされている。クリアランスギャップ326は、タービンバケット160とタービンケーシング109との間(両方とも図3に示されている)の作動流体の流れ(図5には示されていない)を低減させることを促進させる所定の範囲の値を有しており、それによって、ガスタービンエンジン100の効率を向上させ、一方、タービンケーシング109とのタービンバケット160のラビングも低減させ、それによって、タービンバケット160の予想耐用年数を増加させる。また、シールシステム300は、アブレイディングマトリックス層312のより薄い層を形成することに関連付けされるコストを減少させることを促進させる。さらに、距離328を増加させることは、より低密度のアブレイディングマトリックス層312の使用を促進させる。
【0041】
図6は、ガスタービンエンジン100とともに使用され得る、領域4(両方とも図3に示されている)に沿って見た、別の代替的な例示的なシールシステム400の拡大概略図である。図6の中の物体は、実寸大で示されてはいない。例示的な実施形態では、および、タービンセクション108(図1および図3に示されている)に焦点を合わせると、シールシステム400は、内側表面188の上に形成されているアブレイダブルシュラウド202を含む。アブレイダブルシュラウド202は、表面211を有している。
【0042】
また、シールシステム400は、エーロフォイル先端部基材184の上に配設されている代替的なアブレイディング部分404を含む。アブレイディング部分404は、エーロフォイル先端部基材184の上に直接的に形成するか、または、標準的なエーロフォイルボンドコートの層の上に形成することが可能である。例示的な実施形態では、アブレイディング部分404は、おおよそ50.8μ(2ミル)からおおよそ500μ(20ミル)の間の範囲の中にある厚さ414を有する少なくとも1つのアブレイディングマトリックス層412を含む。アブレイディングマトリックス層412は、アブレイディングマトリックス層表面416を画定している。また、例示的な実施形態では、アブレイディングマトリックス層412は、金属材料およびセラミック材料のうちの1つから形成されている単一のマトリックス層を含み、それは、アブレイディングマトリックス層212(図4に示されている)に関して説明されているものと実質的に同様である。
【0043】
さらに、この代替的な例示的な実施形態では、アブレイディング部分404は、アブレイディングマトリックス層412の中に埋め込まれている複数のコーティングされていない研磨粒子418を含む。コーティングされていない研磨粒子418は、材料およびサイ
ズに関して研磨粒子218(図4に示されている)と実質的に同様であり、すなわち、コーティングされていない研磨粒子418は、おおよそ50.8μ(2ミル)からおおよそ500μ(20ミル)の間の範囲にある等価直径420を有するようにサイズ決めされている。また、コーティングされていない研磨粒子418は、アブレイディングマトリックス層412の中に埋め込まれているときに、おおよそ20μ(1ミル未満)からおおよそ500μ(20ミル)の間の範囲にある均等なスペーシング422によって、互いから分離されている。コーティングされていない研磨粒子418は、実質的に球形として示されている。しかし、コーティングされていない研磨粒子418は、本明細書で説明されているようなガスタービンエンジン100およびシールシステム400の動作を可能にする任意の形状および構成を有することが可能であり、それは、それらに限定されないが、多面的なものを含む。
【0044】
そのうえ、この代替的な例示的な実施形態では、複数のコーティングされていない研磨粒子418のうちの少なくとも一部分が、少なくとも1つのコーティング層428によってコーティングされ、複数のコーティングされた研磨粒子430を形成している。コーティングされた研磨粒子430は、おおよそ50.8μ(2ミル)からおおよそ500μ(20ミル)の間の範囲の中にある等価直径432を有するコーティングされていない研磨粒子418を含む。また、コーティングされた研磨粒子430は、おおよそ0.5μ(0.02ミル)からおおよそ20μ(0.8ミル)の間の範囲にある厚さ434の値を有するコーティング層428を含む。コーティングされた研磨粒子430は、等価直径432およびコーティング厚さ434を含むサイズ設定で示されており、それは、等価直径420と実質的に均等である。代替的に、コーティングされた研磨粒子430は、本明細書で説明されているようなガスタービンエンジン100およびシールシステム400の動作を可能にする任意のサイズ設定を含む。また、シールシステム400は、本明細書で説明されているようなガスタービンエンジン100およびシールシステム400の動作を可能にする、コーティングされていない研磨粒子418に対するコーティングされた研磨粒子430の任意の比率を含む。
【0045】
この代替的な例示的な実施形態では、コーティングされた研磨粒子430は、炭化ケイ素(SiC)から形成されているコーティングされていない研磨粒子418を含む。また、コーティング層428は、それらに限定されないが、Al23およびムライトを含む、外部不活性粒子コーティング材料である。コーティング層428は、コーティングされていない研磨粒子418のSiC材料とエーロフォイル先端部基材184との間の化学的な相互作用の可能性を減少させることを促進させる。
【0046】
アブレイダブルシュラウド202は、アブレイディングマトリックス層表面416とアブレイダブル表面211との間にクリアランスギャップ426を画定するように擦り減らされる。クリアランスギャップ426は、アブレイディングマトリックス層412とアブレイダブルシュラウド202との間の接触の可能性を低減させることを促進させるようにサイズ決めされている。クリアランスギャップ426は、タービンバケット160とタービンケーシング109との間(両方とも図3に示されている)の作動流体の流れ(図6には示されていない)を低減させることを促進させる所定の範囲の値を有しており、それによって、ガスタービンエンジン100の効率を向上させ、一方、タービンケーシング109とのタービンバケット160のラビングも低減させ、それによって、タービンバケット160の予想耐用年数を増加させる。
【0047】
図7は、ガスタービンエンジン100(図3に示されている)とともに使用され得る、さらに別の代替的な例示的なシールシステム500の拡大概略図である。図7の中の物体は、実寸大で示されてはいない。例示的な実施形態では、および、タービンセクション108(図1および図3に示されている)に焦点を合わせると、シールシステム500は、
内側表面188の上に形成されているアブレイダブルシュラウド202を含む。アブレイダブルシュラウド202は、表面211を有している。
【0048】
また、シールシステム500は、エーロフォイル先端部基材184の上に配設されている代替的なアブレイディング部分504を含む。アブレイディング部分504は、エーロフォイル先端部基材184の上に直接的に形成するか、または、標準的なエーロフォイルボンドコートの層の上に形成することが可能である。例示的な実施形態では、アブレイディング部分504は、おおよそ50.8μ(2ミル)からおおよそ500μ(20ミル)の間の範囲の中にある厚さ514を有する少なくとも1つのアブレイディングマトリックス層512を含む。アブレイディングマトリックス層512は、アブレイディングマトリックス層表面516を画定している。また、例示的な実施形態では、アブレイディングマトリックス層512は、金属材料およびセラミック材料のうちの1つから形成されている単一のマトリックス層を含み、それは、アブレイディングマトリックス層212(図4に示されている)に関して説明されているものと実質的に同様である。代替的に、アブレイディングマトリックス層512は、本明細書で説明されているようなガスタービンエンジン100およびシールシステム500の動作を可能にする任意の数の層を含む。
【0049】
さらに、例示的な実施形態では、アブレイディング部分504は、アブレイディングマトリックス層512の中に埋め込まれている複数の研磨粒子518を含む。研磨粒子518は、材料およびサイズに関して研磨粒子218(図4に示されている)と実質的に同様であり、すなわち、研磨粒子518は、おおよそ50.8μ(2ミル)からおおよそ500μ(20ミル)の間の範囲にある等価直径520を有するようにサイズ決めされている。また、研磨粒子518は、アブレイディングマトリックス層512の中に埋め込まれているときに、おおよそ20μ(1ミル未満)からおおよそ500μ(20ミル)の間の範囲にある均等なスペーシング522によって、互いから分離されている。研磨粒子518は、実質的に球形として示されている。しかし、研磨粒子518は、本明細書で説明されているようなガスタービンエンジン100およびシールシステム500の動作を可能にする任意の形状および構成を有することが可能であり、それは、それらに限定されないが、多面的なものを含む。
【0050】
そのうえ、この代替的な例示的な実施形態では、複数の研磨粒子518の少なくとも一部分は、SiCから形成されている。したがって、研磨粒子518のSiC材料とエーロフォイル先端部基材184との間の化学的な相互作用の可能性を減少させることを促進させるために、アブレイディング部分504は、アブレイディングマトリックス層512と基材184との間に形成される中間層536を含む。この代替的な例示的な実施形態では、中間層536は、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、ジルコニア強化アルミナ、アルミナ強化ジルコニア、Al23、およびハフニア(HfO2)のうちの少なくとも1
つを含むセラミック材料から形成されている。Si、Ti、W、B、およびZrのうちの少なくとも1つを、NiCrおよびNiのうちの少なくとも1つと混合し、ろう付けマトリックスを形成することによって、そのようなセラミックベースの中間層536を形成することが可能である。代替的に、セラミック材料は、本明細書で説明されているようなガスタービンエンジン100およびシールシステム500の動作を可能にする任意の方法によって、エーロフォイル先端部基材184の上に形成される任意のセラミック材料とすることが可能である。また、代替的に、中間層536は、それに限定されないが、金属を含む任意の材料から、ならびに、本明細書で説明されているようなガスタービンエンジン100およびシールシステム500の動作を可能にする任意の方法によって、形成することが可能である。中間層536は、本明細書で説明されているようなガスタービンエンジン100およびシールシステム500の動作を可能にする任意の値を有する層厚さ538を画定している。例示的な実施形態では、層厚さ538は、おおよそ50.8μ(2ミル)からおおよそ76.2μ(3ミル)の間の値を有している。
【0051】
アブレイダブルシュラウド202は、アブレイディングマトリックス層表面516とアブレイダブル表面211との間にクリアランスギャップ526を画定するように擦り減らされる。クリアランスギャップ526は、アブレイディングマトリックス層512とアブレイダブルシュラウド202との間の接触の可能性を低減させることを促進させるようにサイズ決めされている。クリアランスギャップ526は、タービンバケット160とタービンケーシング109との間(両方とも図3に示されている)の作動流体の流れ(図7には示されていない)を低減させることを促進させる所定の範囲の値を有しており、それによって、ガスタービンエンジン100の効率を向上させ、一方、タービンケーシング109とのタービンバケット160のラビングも低減させ、それによって、タービンバケット160の予想耐用年数を増加させる。
【0052】
図8は、ガスタービンエンジン100(図3に示されている)とともに使用され得るシールシステム200、300、400、および500(図4図5図6、および図7にそれぞれ示されている)を組み立てる例示的な方法600のフローチャートである。図9は、方法600の続きである。
【0053】
例示的な実施形態では、および、タービンセクション108(図1および図3に示されている)に焦点を合わせると、アブレイダブルシュラウド202(図3図4図5図6、および図7に示されている)が、内側表面188(図3図4図5図6、および図7に示されている)の上に形成される602。いくつかの実施形態では、アブレイダブルシュラウド202は、5%未満の多孔率値を有するDVC YSZの少なくとも1つの層を内側表面188に溶射する604ことによって形成される。代替的に、他の実施形態では、アブレイダブルシュラウド202は、5%未満の多孔率値を有するDVC DySZの少なくとも1つの層を内側表面188に溶射する606ことによって形成される。また、代替的に、35%未満の、および、好ましくは25%未満の多孔率値を有する標準的なYSZまたはDySZのいずれかを使用することが可能である。所定の多孔率値は、アブレイディング部分204(図3図4図5図6、および図7に示されている)による効果的なアブレイディングに関して、アブレイダブルシュラウド202のアブレイダブル特徴を決定する。少なくともおおよそ700μ(28ミル)の厚さ210(図3図4図5図6、および図7に示されている)が表面211(図3図4図5図6、および図7に示されている)とともに達成されるまで、少なくとも1つの層のアブレイダブルシュラウド202が形成される608。代替的に、アブレイダブルシュラウド202は、本明細書で説明されているようなシールシステム200の動作を可能にする任意の厚さ値210を有している。アブレイダブルシュラウド202は、おおよそ400からおおよそ1200の間のビッカース硬度値の所定の範囲を有している。
【0054】
また、例示的な実施形態では、アブレイディング部分204、304、404、および504は、タービンバケット160(図3に示されている)のエーロフォイル先端部基材184(両方とも図3図4図5図6、および図7に示されている)の上に配設される620。
【0055】
いくつかの実施形態では、エーロフォイル先端部基材184の上にアブレイディング部分204、304、404、および504を配設する620ことを促進させるために、ろう付け方法630が使用される。ろう付け方法630は、YSZ、ジルコニア強化アルミナ、アルミナ強化ジルコニア、Al23、およびHfO2のうちの少なくとも1つを含む
セラミック材料からろう付けマトリックスを形成すること632を含む。また、ろう付け方法630は、Si、Ti、W、B、およびZrのうちの少なくとも1つを、NiCrおよびNiのうちの少なくとも1つと混合し634、ろう付けマトリックスを形成すること632を促進させることを含む。代替的に、セラミックマトリックス材料は、本明細書で
説明されているようなガスタービンエンジン100ならびにシールシステム200、300、400、および500の動作を可能にする、エーロフォイル先端部基材184の上に形成される任意のセラミック材料とすることが可能である。
【0056】
ろう付け方法630は、使用されることとなる複数の研磨粒子218、318、418、および518(図4図5図6、および図7にそれぞれ示されている)を選択すること636をさらに含む。研磨粒子218、318、418、および518は、実質的にすべてのTaCを含むことが可能である。また、研磨粒子218、318、418、および518は、cBNおよびAl23を所定の比率で含むことが可能である。さらに、研磨粒子218、318、418、および518は、cBN、Al23、およびZrO2を所定
の比率で含むことが可能である。そのうえ、研磨粒子218、318、418、および518は、TaCおよびAl23を所定の比率で含むことが可能である。また、研磨粒子218、318、418、および518は、TaCおよびAl23を所定の比率で含むことが可能である。さらに、研磨粒子218、318、418、および518は、多結晶アルミナ(ゾルゲル)を含むことが可能である。
【0057】
cBNおよびAl23の所定の比率またはパーセンテージの例は、それらに限定されないが、おおよそ20%からおおよそ50%の間のcBNの範囲、および、おおよそ80%からおおよそ50%の間のAl23の範囲を含む。また、TaCおよびAl23の所定の比率またはパーセンテージの例は、それらに限定されないが、おおよそ20%からおおよそ80%の間のTaCの範囲、および、おおよそ80%からおおよそ20%の間のAl2
3の範囲を含む。研磨粒子218、318、418、および518は、おおよそ50.
8μ(2ミル)からおおよそ500μ(20ミル)の間の範囲の中の等価直径220、320、420、および520を有するように、それぞれサイズ決めされる。複数の研磨粒子218、318、418、および518は、ろう付けされていないアブレイディング部分204、304、404、および504を形成するために、エーロフォイル先端部基材184に適用される640ろう付けマトリックスの中に埋め込まれる638。研磨粒子218、318、418、および518は、おおよそ20μ(1ミル未満)からおおよそ500μ(20ミル)の間の範囲にある均等なスペーシング222、322、422、および522によって、それぞれ互いから分離されている。
【0058】
ろう付けされていないアブレイディング部分204、304、404、および504を有するタービンバケット160は、ろう付けされているアブレイディング部分204、304、404、および504を形成するために、ろう付けされる642。ろう付けすること642が完了すると、アブレイディング部分204、304、404、および504は、おおよそ50.8μ(2ミル)からおおよそ500μ(20ミル)の間の範囲の中の厚さ214、314、414、および514をそれぞれ有する、少なくとも1つのアブレイディングマトリックス層212、312、412、および512をそれぞれ含む。アブレイディングマトリックス層212、312、412、および512は、アブレイディングマトリックス層表面216、316、416、および516をそれぞれ画定する。
【0059】
また、ろう付けすること642が完了すると、研磨粒子218、318、418、および518は、おおよそ1000からおおよそ4800の間のビッカース硬度値の範囲を有する。セラミックアブレイディングマトリックス層212、312、412、および512は、おおよそ400からおおよそ1200の間のビッカース硬度値の範囲を有する。したがって、研磨粒子218、318、418、および518の硬度値は、アブレイディングマトリックス層212、312、412、および512の硬度値よりもそれぞれ大きく、そして、アブレイディングマトリックス層212、312、412、および512の硬度値は、アブレイダブルシュラウド202の硬度値よりも大きい。
【0060】
いくつかの実施形態では、コーティングされていない研磨粒子418の一部分は、等価直径432を有するSiCから形成され、少なくとも1つのコーティング層428によってコーティングされ、複数のコーティングされた研磨粒子430(すべて図6に示されている)を形成することが可能である。また、いくつかの実施形態では、ボンドコートの層、すなわち、セラミック下層が、ろう付けされていないアブレイディング部分204をエーロフォイル先端部基材184に適用する638前に、エーロフォイル先端部基材184の上に形成され、コーティングされていない研磨粒子418(SiCから形成される)ならびに/またはコーティングされた研磨粒子430および基材184の間の接触の可能性を減少させることが可能である。
【0061】
いくつかの実施形態では、アブレイディング部分204、304、404、および504をエーロフォイル先端部基材184の上に配設すること620を促進させるために、電解方法650が使用される。電解方法650は、MCrAlYおよびMCrAlXのうちの1つを含み、また、金属材料、たとえば、それらに限定されないが、Ni、Al、およびPtを、任意の組み合わせで含み得る、電解液を形成すること652を含む。また、電解方法650は、使用されることとなる複数の研磨粒子218、318、418、および518(図4図5図6、および図7にそれぞれ示されている)を選択すること654を含む。
【0062】
研磨粒子218、318、418、および518は、炭化タンタル(TaC)、酸化アルミニウム(Al23)、またはジルコニア(ZrO2)のうちの1つの実質的にすべて
を含むことが可能である。また、研磨粒子218、318、418、および518は、立方晶窒化ホウ素(cBN)およびAl23を所定の比率で含むことが可能である。さらに、研磨粒子218、318、418、および518は、cBN、Al23、およびZrO2を所定の比率で含むことが可能である。そのうえ、研磨粒子218、318、418、
および518は、一緒に溶融されたAl23およびZrO2を所定の比率で含むことが可
能である。また、研磨粒子218、318、418、および518は、TaCおよびAl23を所定の比率で含むことが可能である。さらに、研磨粒子218、318、418、および518は、多結晶アルミナ(ゾルゲル)を含むことが可能である。
【0063】
cBNおよびAl23の所定の比率またはパーセンテージの例は、それらに限定されないが、おおよそ20%からおおよそ50%の間のcBNの範囲、および、おおよそ80%からおおよそ50%の間のAl23の範囲を含む。また、TaCおよびAl23の所定の比率またはパーセンテージの例は、それらに限定されないが、おおよそ20%からおおよそ80%の間のTaCの範囲、および、おおよそ80%からおおよそ20%の間のAl2
3の範囲を含む。研磨粒子218、318、418、および518は、おおよそ50.
8μ(2ミル)からおおよそ500μ(20ミル)の間の範囲の中の等価直径220、320、420、および520を有するように、それぞれサイズ決めされる。複数の研磨粒子218、318、418、および518が、電解液の中に混合される656。エーロフォイル先端部基材184は、電解液の中に位置決めされ658、アブレイディング部分204、304、404、および504をエーロフォイル先端部基材184の上に形成する。研磨粒子218、318、418、および518、ならびに、金属製アブレイディングマトリックス層212、312、412、および512が、それぞれ、エーロフォイル先端部基材184の上に堆積させられる660。
【0064】
電解方法650が完了すると、タービンバケット160は、それぞれ、おおよそ50.8μ(2ミル)からおおよそ500μ(20ミル)の間の範囲の中の厚さ214、314、414、および514をそれぞれ有する、少なくとも1つの金属製アブレイディングマトリックス層212、312、412、および512を含むアブレイディング部分204、304、404、および504を含む。アブレイディングマトリックス層212、31
2、412、および512は、アブレイディングマトリックス層表面216、316、416、および516をそれぞれ画定する。加えて、研磨粒子218、318、418、および518は、おおよそ20μ(1ミル未満)からおおよそ500μ(20ミル)の間の範囲にある均等なスペーシング222、322、422、および522によって、それぞれ互いから分離されている。
【0065】
また、電解方法650が完了すると、研磨粒子218、318、418、および518は、おおよそ1000からおおよそ4800の間のビッカース硬度値の範囲を有する。金属製アブレイディングマトリックス層212、312、412、および512は、おおよそ300からおおよそ500の間のビッカース硬度値の範囲を有する。したがって、研磨粒子218、318、418、および518の硬度値は、アブレイディングマトリックス層212、312、412、および512の硬度値よりもそれぞれ大きく、そして、アブレイディングマトリックス層212、312、412、および512の硬度値は、アブレイダブルシュラウド202の硬度値よりも大きい。
【0066】
いくつかの実施形態では、コーティングされていない研磨粒子418の一部分は、等価直径432を有するSiCから形成され、少なくとも1つのコーティング層428によってコーティングされ、複数のコーティングされた研磨粒子430を形成することが可能である。また、いくつかの実施形態では、ボンドコートの層、すなわち、セラミック下層が、エーロフォイル先端部基材184を電解液の中に位置決めする658前に、エーロフォイル先端部基材184の上に形成され、コーティングされていない研磨粒子418(SiCから形成される)ならびに/またはコーティングされた研磨粒子430および基材184の間の接触の可能性を減少させることが可能である。
【0067】
いくつかの実施形態では、アブレイディング部分204、304、404、および504は、電解およびろう付け方法の両方の一部分を含む2段階のハイブリッドプロセス670を通して、エーロフォイル先端部基材184の上に配設させられる620。第1の段階は、ろう付け化合物を形成すること672を含み、それは、Si、Ti、W、B、およびZrのうちの少なくとも1つと、NiCrおよびNiのうちの少なくとも1つを混合することを含む。また、第1の段階は、複数の研磨粒子218、318、418、および518をろう付け化合物の中に混合すること674を含む。第1の段階は、ろう付け化合物を基材184に適用すること676をさらに含む。また、第1の段階は、ろう付けすること678を含む。第2の段階は、MCrAlYを含む電解化合物を形成すること680を含む。また、第2の段階は、電解化合物の中に基材184を位置決めすること682と、研磨粒子218、318、418、および518同士の間のスペーシングの少なくとも一部分をMCrAlYマトリックス化合物で充填すること684とを含む。第2の段階は、方法630および650に関して個別に上記に説明されているように、電解方法を使用し、埋め込まれている研磨粒子218、318、418、および518とともにアブレイディングマトリックス層212、312、412、および512を仕上げ形成することをさらに含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、アブレイディング部分204、304、404、および504は、溶射690によって、エーロフォイル先端部基材184の上に配設される620。MCrAlYおよびMCrAlXのうちの1つを含み、および金属材料、たとえば、それらに限定されないが、Ni、Al、およびPtを、任意の組み合わせで含み得る、溶射溶液が混合される692。また、溶射方法690は、実質的にすべてのAl23を含む複数の研磨粒子218、318、418、および518を溶射溶液の中へ混合すること694を含む。ホットスプレーが、基材184の上に適用され696、溶融したマトリックスおよびAl23粒子が、その上で冷却し698、上記に説明されているように、埋め込まれている研磨粒子218、318、418、および518とともにアブレイディングマトリ
ックス層212、312、412、および512を形成する。
【0069】
図10は、ガスタービンエンジン100(図3に示されている)とともに使用され得る、実質的に滑らかな表面702を備えるアブレイダブルシュラウド202の例示的な部分700の概略図である。図11は、線11−11(図10に示されている)に沿って見た、アブレイダブルシュラウド202の部分700の拡大概略図である。例示的な実施形態では、アブレイダブルシュラウド202の部分700は、その上に形成されたDVC DySZの少なくとも1つの層704を含む。ガスタービンエンジン100の動作の間、DVC DySZ層704の表面702は、高温燃焼ガス154(図1に示されている)に直接的に曝される。また、例示的な実施形態では、層704は、おおよそ0.5ミリメートル(mm)(20ミル)からおおよそ1.5mm(60ミル)の間の範囲を有する厚さ706を有しており、おおよそ1mm(40ミル)の好適な厚さを有する。DVC DySZ層704は、5%未満の多孔率値を有する。さらに、例示的な実施形態では、タービンケーシング内側表面188の上に形成されている、高温材料、たとえば、それらに限定されないが、TBCの第1の層708の上に、DVC DySZ層704が形成される。代替的に、DVC DySZ層704が、表面188の上に直接的に形成される。層708は、おおよそ0.05ミリメートル(mm)(2ミル)からおおよそ0.15mm(6ミル)の間の範囲を有する厚さ710を有しており、おおよそ0.1mm(4ミル)の好適な厚さを有する。
【0070】
図12は、ガスタービンエンジン100(図3に示されている)とともに使用され得る、パターン付きの表面752を備える例示的なアブレイダブルシュラウド202の例示的な部分750の概略図である。図13は、線13−13(図12に示されている)に沿って見た、アブレイダブルシュラウド202の部分750の拡大概略図である。例示的な実施形態では、アブレイダブルシュラウド202の部分750は、その上に形成されたDVC YSZの少なくとも1つのパターン付きの層754を含む。パターン付きの層754は、高さ760を画定するピーク758を有する複数のマウンド756として形成されている。高さ760は、おおよそ1mm(40ミル)からおおよそ1.5mm(60ミル)の間の範囲を有しており、おおよそ1.25mm(50ミル)の好適な高さを有する。
【0071】
また、例示的な実施形態では、アブレイダブルシュラウド202の部分750は、形成されているDVC YSZの少なくとも1つの層762を含み、その上に、DVC YSZのパターン付きの層754が形成されている。DVC YSZの層762は、実質的に滑らかな表面764を画定している。ガスタービンエンジン100の動作の間、DVC YSZのマウンド754、および、DVC YSZ層762の表面764は、高温燃焼ガス154(図1に示されている)に直接的に曝される。層762は、おおよそ0.5ミリメートル(mm)(20ミル)からおおよそ1.5mm(60ミル)の間の範囲を有する厚さ766を有しており、おおよそ1mm(40ミル)の好適な厚さを有する。
【0072】
DVC YSZ層754および762は、5%未満の多孔率値を有する。さらに、例示的な実施形態では、タービンケーシング内側表面188の上に形成されている、高温材料、たとえば、それらに限定されないが、TBCの第1の層768の上に、DVC YSZ層762が形成される。代替的に、DVC YSZ層762が、表面188の上に直接的に形成される。層768は、おおよそ5ミリメートル(mm)(200ミル)からおおよそ15mm(600ミル)の間の範囲を有する厚さ770を有しており、おおよそ10mm(400ミル)の好適な厚さを有する。
【0073】
パターン付きの表面752は、本明細書で説明されているようなガスタービンエンジン100の動作を可能にする任意の方法を通して形成することが可能であり、それは、それらに限定されないが、機械加工作業、部分的なマスキング、および、製造プロセスパラメ
ーターを変化させることを含む。
【0074】
図10から図13を参照すると、本明細書で説明されているようにアブレイダブルシュラウド202を形成することは、比較的に低いシュラウド202の多孔率値に起因して、一般的に使用されるアブレイダブルに対して、耐浸食性の増加を促進させる。そのうえ、DVC材料の使用は、シュラウド202の平均寿命を増加させることを促進させる。加えて、場合によっては、DVC DySZアブレイダブル材料は、DVC YSZ材料よりも好適である可能性がある。たとえば、DVC DySZアブレイダブル材料は、DVC
YSZアブレイダブル材料と比較して、アブレイダブルシュラウドの耐熱サイクル特性および耐浸食性を向上させる。また、DVC YSZと比較してDVC DySZの低い熱伝導率に起因して、DVC DySZアブレイダブル材料も、改善されたTBCシステムの一部分として使用することが可能である。
【0075】
上記は、タービンバケットアッセンブリのためのシールシステムに関する複数の実施形態を説明しているが、そのような実施形態は、圧縮機ブレードアッセンブリとともに使用することも可能である。
【0076】
上述のシールシステムは、動作中のターボ機械をシールするためのコスト効率の良い方法を提供する。本明細書で説明されている実施形態は、ターボ機械の効率を向上させること、静止部分に対するエーロフォイルの擦れの可能性を減少させること、および、アブレイダブルシュラウドの浸食および破砕の可能性を減少させることを促進させる、エーロフォイル先端部クリアランスを画定することを促進させる。具体的には、本明細書で説明されているシステムおよび方法は、標準的な遮熱コーティング(TBC)というよりも、シュラウドのための高密度のアブレイダブル材料を使用する。したがって、本明細書で説明されているシュラウドコーティングは、特に、パターン付きの輪郭に沿って、粒子浸食を減少させるのに十分な硬度値を有している。また、具体的には、本明細書で説明されているシステムおよび方法は、セラミックまたは金属マトリックスのいずれかの中にアンカー固定される研磨粒子を使用し、研磨粒子の硬度値が、高密度のアブレイダブル材料の硬度値よりも大きくなるようになっている。したがって、具体的には、硬化された研磨粒子が、高密度のアブレイダブル材料の中に食い込み、それによって、エーロフォイル先端部摩耗の加速、温度により引き起こされるラビング、および、その後のシュラウドの破砕の可能性を減少させる。そのうえ、硬化された研磨粒子を形成するように選択される材料は、環境的に安定しており、それらは、おおよそ927℃(1700°F)およびそれを超える上昇した動作温度において、酸化しないようになっている。そのうえ、硬化された研磨粒子を形成するために使用される材料は、エーロフォイル基材の中のベース材料と相性がよく、および/または、硬化された研磨粒子は、環境バリアコーティングの中に包み込まれ、および/または、セラミック下層が、エーロフォイル基材の上に形成され、硬化された研磨粒子と基材との間の接触の可能性を減少させる。また、硬化された研磨粒子は、アンカー固定するマトリックスの表面から所定の距離だけ延在するようにサイズ決めされ、マトリックスと高密度のアブレイダブル材料との間の接触の可能性を減少させる。
【0077】
本明細書で説明されている方法およびシステムの例示的な技術的効果は、(a)動作条件の幅の広い範囲にわたってターボ機械の効率を向上させるということ、(b)ターボ機械の静止部分に対するエーロフォイルの擦れの可能性を減少させるということ、(c)アブレイダブルシュラウドの浸食および破砕の可能性を減少させるということ、および、(d)ターボ機械の静止部分と回転部分との間の温度により引き起こされるラビングの可能性を減少させるということのうちの少なくとも1つを含む。
【0078】
ターボ機械を動作させるためのシールシステム、ならびに、システムを動作させるための方法、および、システムを形成するための方法の例示的な実施形態が、詳細に上記に説
明されている。シールシステム、ならびに、そのようなシステムを動作および形成する方法は、本明細書で説明されている特定の実施形態に限定されないが、むしろ、システムのコンポーネント、および/または、方法のステップは、本明細書で説明されている他のコンポーネントおよび/またはステップから独立しておよび別々に利用することが可能である。また、たとえば、この方法は、運転シーリングおよび方法を必要とする他のシステムと組み合わせて使用することも可能であり、本明細書で説明されているようなシールシステム、ターボ機械、および方法だけを伴う実施に限定されない。むしろ、例示的な実施形態は、多くの他のシーリング用途に関連して、実装および利用することが可能である。
【0079】
本発明の様々な実施形態の特定の特徴が、ある図面には示され、他の図面には示されていない可能性があるが、これは、単に便宜上のためである。本発明の原理にしたがって、図面の任意の特徴は、任意の他の図面の任意の特徴と組み合わせて、参照および/または特許請求され得る。
【符号の説明】
【0080】
4 領域
100 ガスタービンエンジン
102 取り入れ口セクション
104 圧縮機セクション
105 圧縮機ケーシング
106 燃焼器セクション
108 タービンエンジン、タービンセクション
109 タービンケーシング
110 排気セクション
112 ローターアッセンブリ
114 圧縮機ドライブシャフト
115 タービンドライブシャフト
116 燃焼器
118 燃料ノズルアッセンブリ
120 負荷
122 圧縮機ブレードアッセンブリ
123 静翼アッセンブリ
124 タービンバケットアッセンブリ
125 静止ノズルアッセンブリ
130 圧縮機段
140 タービン段
150 入口空気
152 圧縮空気
154 燃焼ガス
156 排気ガス
160 タービンバケット
162 ルート部分
164 エーロフォイル部分
166 エーロフォイル先端部分
168 前縁部
170 後縁部
180 圧縮機ブレード
182 エーロフォイル先端部基材
184 エーロフォイル先端部基材
186 内側表面
188 内側表面
200 シールシステム
202 アブレイダブルシュラウド
204 アブレイディング部分
206 回転運動
208 クリアランスギャップ
210 厚さ値
211 アブレイダブル表面
212 アブレイディングマトリックス層
214 厚さ
216 アブレイディングマトリックス層表面
218 研磨粒子
220 等価直径
222 スペーシング
300 シールシステム
304 アブレイディング部分
312 アブレイディングマトリックス層
314 厚さ
316 アブレイディングマトリックス層表面
318 研磨粒子
320 等価直径
322 スペーシング
324 距離
326 クリアランスギャップ
328 距離
400 シールシステム
404 アブレイディング部分
412 アブレイディングマトリックス層
414 厚さ
416 アブレイディングマトリックス層表面
418 コーティングされていない研磨粒子
420 等価直径
422 スペーシング
426 クリアランスギャップ
428 コーティング層
430 コーティングされた研磨粒子
432 等価直径
434 厚さ
500 シールシステム
504 アブレイディング部分
512 アブレイディングマトリックス層
514 厚さ
516 アブレイディングマトリックス層表面
518 研磨粒子
520 等価直径
522 スペーシング
526 クリアランスギャップ
536 中間層
538 層厚さ
600 方法
602 ケーシングの内側表面の上のアブレイダブルシュラウドを形成する
604 DVC YSZの少なくとも1つの層を溶射する
606 DVC DySZの少なくとも1つの層を溶射する
608 少なくともおおよそ700μ(28ミル)の厚さが達成されるまで、少なくとも1つの層のアブレイダブルシュラウドを形成する
620 タービンバケット/圧縮機ブレードのエーロフォイル先端部基材の上にアブレイディング部分を配設する
630 ろう付け方法
632 セラミック材料からろう付けマトリックスを形成する
634 Si、Ti、W、B、およびZrのうちの少なくとも1つを、NiCrおよびNiのうちの少なくとも1つと混合する
636 使用されることとなる複数の研磨粒子を選択する
638 ろう付けマトリックスの中に研磨粒子を埋め込む
640 埋め込まれた粒子およびろう付けマトリックスをエーロフォイル先端部基材に適用する
642 ろう付けする
650 電解方法
652 MCrAlYおよびMCrAlXのうちの1つを含む電解液を形成する
654 使用されることとなる複数の研磨粒子を選択する
656 研磨粒子を電解液の中に混合する
658 エーロフォイル先端部基材を電解液の中に位置決めする
660 研磨粒子および金属製アブレイディングマトリックス層をエーロフォイル先端部基材の上に堆積させる
670 ハイブリッドプロセス
672 Si、Ti、W、B、およびZrのうちの少なくとも1つをNiCrおよびNiのうちの少なくとも1つと混合する
674 ろう付け化合物の中に研磨粒子を混合する
676 ろう付け化合物をエーロフォイル先端部基材に適用する
678 ろう付けする
680 MCrAlYを含む電解化合物を形成する
682 電解化合物の中にエーロフォイル先端部基材を位置決めする
684 研磨粒子同士の間のスペーシングをMCrAlYマトリックス化合物で充填する
690 溶射方法
692 溶射溶液を混合する
694 研磨粒子を溶射溶液の中へ混合する
696 ホットスプレーを基材の上に適用する
698 溶融したマトリックスおよび粒子を冷却する
700 部分
702 実質的に滑らかな表面
704 DVC DySZ層
706 厚さ
708 TBCの第1の層
710 厚さ
750 部分
752 パターン付きの表面
754 パターン付きの層
756 マウンド
758 ピーク
760 高さ
762 DVC YSZ層
764 実質的に滑らかな表面
766 厚さ
768 TBCの第1の層
770 厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13