(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両に搭載され又は前記車両に乗車した運転者が保持する装置であって、ナビゲーションシステムの少なくとも一部を構成する装置から、時刻情報に対応付けられた前記車両の位置情報および道路の区間を示す道路のリンク情報を、定期的に車両の運転回数を導出するための情報として取得する取得部と、
前記取得部により、前記定期的に取得された情報であって、1周期において取得された時刻情報に対応付けられた道路のリンク情報および位置履歴を1つのレコードとして蓄積し、
前記蓄積した複数のレコードを参照し、駐車場内において、前記車両が一度停車し、所定時間以内に走行を開始し、再度、所定距離以内で停車したと推定される場合、前記車両は駐車位置を変更したとみなし、前記所定時間以内に開始したと推定される走行に対応するレコードを1回の運転としてカウントせず、
前記蓄積した複数のレコードを参照し、所定時間以上、前記車両が停車せずに所定距離以上走行したと推定されるレコードの集合を1回の運転としてカウントし、
前記車両または前記車両を運転する運転者の運転回数を導出し、導出した運転回数に基づいて、前記車両または前記車両を運転する運転者についての保険条件を決定する保険条件決定部と、
を備える保険条件決定装置。
前記取得部は、前記車両を運転する運転者が保持する端末装置と、前記車両に搭載された車載制御装置との通信結果に基づいて、前記運転回数を導出するための情報を取得する、
請求項1から4のうちいずれか1項記載の保険条件決定装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の保険条件決定装置、保険条件決定方法、およびプログラムの実施形態について説明する。
【0010】
<1.第1実施形態>
<1−1.構成>
図1は、第1実施形態に係る保険条件決定装置を含むシステムの構成図である。本実施形態の保険条件決定装置は、一以上のプロセッサにより実現される。本実施形態の保険条件決定装置は、ナビゲーションサーバ100の一部または全部を含んでもよい。また、保険会社サーバ300は、ナビゲーションサーバ100に統合されてもよく、ナビゲーションサーバ100と、保険会社サーバ300とが統合されて保険条件決定装置を構成してもよい。
図1では1台の車両Vhおよび端末装置TMのみ示しているが、複数の端末装置TMがネットワークNWに接続されてよい。
【0011】
端末装置TM、ナビゲーションサーバ100、および保険会社サーバ300は、ネットワークNWを介して通信する。ネットワークNWは、例えば、WAN(Wide Area Network)やLAN(Local Area Network)、インターネット、プロバイダ装置、無線基地局、専用回線などのうち一部または全部を含む。
【0012】
端末装置TMは、車両Vhに乗車する運転者によって使用される。端末装置TMは、スマートフォンなどの携帯電話やタブレット端末などである。端末装置TMは、ナビゲーションサーバ100と連携するナビアプリが起動されることで、ナビゲーションシステムの一部を構成するナビゲーション装置として機能する。端末装置TMは、車両Vhに搭載されたナビゲーション装置(据え置き型の車載制御装置)であってもよい。以下、端末装置TMは、携帯電話やタブレット端末などであるものとして説明する。
【0013】
端末装置TMは、GPS(Global Positioning System)受信機などの位置測位装置、ネットワークNWに接続するための通信装置、三軸式の加速度センサ、タッチパネルなどの入出力装置、スピーカ、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを有する。位置測位装置は、衛星から受信した電波に基づく測位を行って、端末装置TMの位置(すなわち車両Vhの位置)を特定する。また、端末装置TMは、通信装置が接続した無線基地局の位置から端末装置TMの位置を推定してもよい。
【0014】
端末装置TMは、位置測位装置などによって特定された端末装置TMの位置を定期的に(例えば数[sec]おきに)ナビゲーションサーバ100に送信する。また、端末装置TMは、運転者により設定された目的地をナビゲーションサーバ100に送信して経路を取得する。
【0015】
ナビゲーションサーバ100は、経路探索部110を備える。経路探索部110は、例えば、ナビゲーションサーバ100のプロセッサがプログラムを実行することで実現されてもよいし、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアによって実現されてもよい。経路探索部110は、端末装置TMからのリクエストに応じて経路探索を行い、経路情報を端末装置TMに送信する。また、ナビゲーションサーバ100の記憶部には、地図情報120が記憶される。地図情報120は、例えば、リンクの集合で道路を表現した情報である。
図2は、地図情報120の内容の一例を示す図である。地図情報120は、道路を表現したリンクの識別情報であるリンクIDに対して、リンク情報として、車線の両端座標、接続リンク、車線数、および勾配や、曲率などのその他の情報が対応付けられた情報である。
【0016】
ナビゲーションサーバ100は、地図情報120から、端末装置TMから受信した端末装置TMの位置を中心とした領域の地図情報(部分地図情報)を抽出し、端末装置TMに送信する。
【0017】
端末装置TMは、ナビゲーションサーバ100から受信した情報に対してマップマッチング処理を行う。マップマッチング処理とは、地図情報(部分地図情報である場合も含む)に含まれる要素(例えばリンク)のうち、どの要素に沿って端末TMが移動しているか(すなわち車両Vhがどのリンクを走行しているか)を判定する処理であり、地図情報に含まれるリンク以外の要素(例えばポリゴンなど)をマッチング対象に含めてもよいし、地図情報がマッチング対象以外の要素を含んでもよい。典型的に、リンクを対象とする場合、マップマッチング処理によって、端末TMの位置(車両Vhの位置)が、いずれかのリンクに対応付けられる。マップマッチング処理は、例えば、端末TMの位置に最も近い位置にあるリンクを選択することを基本として、種々の要素を加味して行われる。端末装置TMは、ナビゲーションサーバ100から受信した部分地図情報と、マップマッチング処理の結果とに基づいて、ナビゲーション画面を生成し、音声案内と共に表示する。
【0018】
端末装置TMは、マップマッチング処理の結果および自装置の位置情報を対応付けて、保険会社サーバ300に送信する。なお、マップマッチング処理は、ナビゲーションサーバ100が、端末装置TMから受信した端末装置TMの位置と地図情報120とに基づいて行ってもよい。
【0019】
ナビゲーションサーバ100では、端末装置TMから取得した端末装置TMの位置および目的地と、地図情報120とを用いて経路探索を行うと共に、初期マップマッチング処理を行い、それらの結果を端末装置TMまたは保険会社サーバ300に送信する。また、端末装置TMは、端末装置TMを特定するための端末識別情報(例えばSIMカードに付与されたIDや、MACアドレス、任意の登録IDなど)や、ナビゲーションサーバ100または保険会社サーバ300にログインする際のログインID等の運転者を特定するための情報、車両Vhから取得した情報などを保険会社サーバ300に送信してよい。
【0020】
保険会社サーバ300は、情報取得部310と、集計部320と、分析部330と、保険条件決定部340とを備える。情報取得部310、集計部320と、分析部330、および保険条件決定部340のそれぞれは、例えば、保険会社サーバ300のプロセッサがプログラムを実行することで実現されてもよいし、LSIやASIC、FPGAなどのハードウェアによって実現されてもよい。また、保険会社サーバ300は、記憶部にマップマッチング情報350と、集計情報360と、条件情報370と、分析対象情報380とを記憶させる。
【0021】
<1−2.情報の取得と集計>
情報取得部310は、端末装置TMにおいて行われたマップマッチング処理の結果を示す情報(マップマッチング情報)およびマップマッチング情報に対応付けられた位置情報を、NWを介して定期的に取得し、マップマッチング情報350として記憶部に記憶させる。マップマッチング結果は、端末装置TMから直接的に取得されてもよいし、ナビゲーションサーバ100を介して取得されてもよい。
【0022】
情報取得部310は、端末装置TMにより送信された情報(車両の運転回数を導出するための情報)を取得する。
【0023】
集計部320は、情報取得部310により取得された情報に基づいて、車両Vhの運転回数を導出し、導出した車両Vhの運転回数を集計情報360として記憶部に格納する。分析部330は、運転回数と事故リスクとの相関関係を分析する。
【0024】
保険条件決定部340は、車両の運転回数に基づいて、車両Vhまたは車両Vhを運転する運転者についての保険条件を決定する。本実施形態において保険会社サーバ300を運営する保険会社の提供する保険は、運転回数に応じて保険条件が決定される保険である。そして、この保険の保険条件は、保険料の他、免責額、保険金の支払いに伴う保険料の変動量(等級の変動量)、その他の種々の条件が含まれる。走行した経路の情報は、ナビアプリとナビゲーションサーバ100を介して取得されてもよいし、端末装置TMにおいて保険会社の提供するアプリ(保険アプリ)が実行されることで、端末装置TMの位置測位装置が特定した位置が保険会社サーバ300に送信されることで取得されてもよい。また、走行した経路の情報は、車載制御装置である端末装置TMから取得されてもよい。
【0025】
ナビゲーションサーバ100、および保険会社サーバ300(以下、「各サーバ」)の記憶部は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリなどにより実現される。また、記憶部は、各サーバが保有する記憶装置に限らず、NAS(Network Attached Storage)などの外部記憶装置により実現されてもよい。
【0026】
図3は、第1実施形態に係る保険条件決定装置を含むシステムにおいて実行される処理の流れを示すシーケンス図である。まず、端末装置TMにおいてナビアプリが起動し、運転者による目的地の設定を受け付ける(S1)。端末装置TMは、位置測位装置によって特定された端末装置TMの位置(以下、「自装置の位置」)および目的地をナビゲーションサーバ100に送信する(S2)。ナビゲーションサーバ100では、位置および目的地と、地図情報120とを用いて経路探索を行う(S3)。ナビゲーションサーバ100は、探索結果としての経路と、端末装置TMの位置を中心とした領域の部分地図情報とを端末装置TMに送信する(S4)。
【0027】
端末装置TMは、自装置の位置と部分地図情報に含まれるリンクとに対してマップマッチング処理を行い、マップマッチング処理の結果(以下、「マップマッチング結果」)と、部分地図情報とに基づいてナビゲーション画面を生成し、音声情報と共に表示する(S5)。
【0028】
端末装置TMは、定期的に、自装置の位置およびマップマッチング結果をナビゲーションサーバ100に送信する(S6)。ナビゲーションサーバ100は、マップマッチング結果を保険会社サーバ300に送信する(S7)。保険会社サーバ300は、受信したマップマッチング結果を記憶部に記憶させる(S8)。前述したように、ナビゲーションサーバ100と保険会社サーバ300は統合されて「ナビゲーション/保険会社サーバ」として機能してよく、この場合、ナビゲーション/保険会社サーバが、端末装置TMから受信したマップマッチング結果を記憶部に記憶させる。ナビゲーションサーバ100は、位置に対応する部分地図情報を端末装置TMに送信する(S9)。こうしてS5〜S9の処理が繰り返し実行される。
【0029】
図4は、マップマッチング情報350の内容の一例を示す図である。図示するように、マップマッチング情報350は、例えば、運転者の識別情報である運転者IDごとに、端末装置TMの位置情報と、マップマッチング処理の結果として導出されたリンクIDと、ナビゲーションサーバ100または保険会社サーバ300における受信時刻(または端末装置TMにおいてマップマッチングがなされた時刻)とが対応付けられた情報である。
【0030】
図5は、保険会社サーバ300により実行される処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、選択された運転者(運転者ID)ごとに実行される。まず、保険会社サーバ300は、前述したようにマップマッチング情報350を端末装置TMから取得する(S11)。次に、保険会社サーバ300の集計部320が、運転回数を導出する(S12)。
【0031】
図4で示すように集計部320は、1回の運転に相当するレコードの集合を導出し、導出したレコードの集合を1回の運転としてカウントする。1回の運転に相当するとは、例えば、車両が、所定時間以上停車している状態を含まずに、所定距離以上走行したことである。例えば、集計部320は、店舗内の駐車場内で車両Vhを駐車する位置を変えるため、或いは道路において車両Vhを停車する位置を少し変更するため、数〜数十メートル車両Vhが移動したような場合は、1回の運転とカウントしない。一方、集計部320は、パーキングエリアに車両Vhを停車させ、運転者が所定時間以上の休憩を取った後、車両Vhを走行させた場合、運転回数を2回とカウントする。1回の運転としてカウントするための条件は、上記に限らず任意に設定してもよい。
【0032】
集計部320は、運転回数を所定期間ごとに集計した結果を、集計情報360として記憶部に格納する。
図6は、集計情報360の内容の一例を示す図である。集計情報360は、運転者IDに対して、所定期間ごとの運転回数が対応付けられた情報である。なお、運転者IDに代えて、車両Vhの識別情報に対して運転回数が集計されてもよい。
【0033】
集計部320は、所定期間内の運転回数を集計したか否かを判定する(S13)。所定期間内の運転回数を集計していない場合、S11の処理に戻る。所定期間内の運転回数を集計した場合、保険条件決定部340は、運転者の運転回数に基づいて、保険条件を決定する(S14)。これにより本フローチャートの1ルーチンは終了する。
【0034】
<1−3.分析と保険条件の決定>
保険条件決定部340は、集計情報360および条件情報370に基づいて、保険条件を決定する。保険条件決定部340は、保険条件を決定するための基準を、例えば、分析部330により分析された運転回数と事故リスクとの相関関係に基づいて決定する。
図7は、条件情報370の内容の一例を示す図である。条件情報370は、例えば、等級および運転回数に対して、保険の基準(図中、A、B、C等)が対応付けられた情報である。保険の基準とは、走行距離あたりの保険料、免責条件、保険請求時の等級の変更程度などを含む。
【0035】
そして、保険条件決定部340は、例えば式(1)に基づいて、所定期間における保険料Pを決定する。式中、L(k)は所定期間における各回(1〜n)の運転における走行距離であり、CDは、所定期間における運転回数に基づいて決定された条件であり、fは基準に基づいて保険料を導出する関数である。
P=Σ
k=1n[L(k)×f(CD)] …(1)
【0036】
このように、保険条件決定部340は、車両Vhの運転回数に基づいて、車両Vhまたは車両Vhを運転する運転者の保険条件を決定するため、より適切に保険条件を決定することができる。
【0037】
図8は、分析部330により実行される処理の流れの一例を示す図である。分析部330は、運転回数と事故リスクとの相関関係を分析し、
図7に示す保険の基準を決定する。
【0038】
まず、分析部330が、分析対象情報380から運転回数および事故情報を取得する(S21)。分析対象情報380は、運転者ごとの車両の走行履歴と、その走行履歴における事故に関する事故情報とが対応付けられた情報である。分析対象情報380は、保険条件の決定のために収集された情報とは別に収集された情報であってもよいし、保険条件の決定のために収集された情報を含んでもよい。車両の走行履歴は、保険会社と提携または保険会社の保険に加入している加入者の端末装置TMから取得する。事故情報は、保険会社が、事故を起こした保険加入者から連絡を受けた履歴に基づく情報や、行政機関等から取得する。また、事故情報は、端末装置TMから取得されてもよい。例えば、運転者が事故を起こした際、所望の操作を端末装置TMに対して行うと、端末装置TMにインストールされたナビアプリが保険会社サーバ300に運転者や、現在地等の情報を自動的に送信する。
【0039】
次に、分析部330は、運転回数および事故情報の相関関係を分析する(S22)。分析部330は、分析対象情報380を参照し、期間ごとの事故の回数を抽出する。分析部330は、例えば、運転回数が多い人の事故の回数が多いのか、運転回数が多い人の事故の回数が少ないのかを分析する。相関関係の分析手法としては、相関係数を求める手法など、種々の手法を採用することができる。
【0040】
上述した例では、集計部320が、マップマッチング情報350に基づいて、運転回数を導出するものとしたが、集計部320は、運転者が保持する端末装置TMの位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて、運転回数を導出してもよい。例えば、保険会社サーバ300は、記憶部に地図情報を記憶してよい。集計部320は、端末装置TMの位置情報と、記憶部に記憶された地図情報とを比較し、端末装置TMの移動履歴が所定速度以上で、(鉄道路線や海路でない)道路に沿って移動している場合、端末装置TMを保持する運転者は運転中であると判定し、端末装置TMの移動履歴に基づいて運転回数を導出する。こうすれば、集計部320は、ナビアプリが起動していない場合であっても、運転回数を導出することができる。
【0041】
集計部320は、車両Vhに搭載された車載制御装置と端末装置TMとの間で通信が行われたことを示す情報を、端末装置TMから取得した場合、運転者は車両Vhを運転していると判定してもよい。例えば、車載制御装置および端末装置TMには、端末装置TMと通信し、車両Vhを識別するための識別情報および通信が確立したことを示す確立情報を端末装置TMに送信するアプリがインストールされてよい。端末装置TMは、例えばBluetooth(登録商標)などの所定の通信規格を利用して、車載制御装置と通信する。端末装置TMは、車載制御装置と通信を確立した場合、保険会社サーバ300に、端末装置TMの識別情報、車載制御装置の識別情報、通信の確立状況を示す情報などを送信する。保険会社サーバ300の集計部320は、端末装置TMの識別情報、車載制御装置の識別情報、通信の確立状況を示す情報などに基づいて、端末装置TMを保持する運転者が車両Vhを運転していると判定する。また、車載制御装置は、端末装置TMとの通信が確立した場合、端末装置TMから取得した位置情報を、車両Vhに搭載された通信装置を用いて送信してもよい。これにより、より精度よく端末装置TMの保持する運転者が運転しているか否かを判定することができる。
【0042】
<1−4.効果>
以上説明した第1実施形態によれば、車両Vhまたは車両Vhを運転する運転者の運転回数に基づいて、車両Vhまたは車両Vhを運転する運転者についての保険条件を決定することにより、より適切に保険条件を決定することができる。
【0043】
<2.第2実施形態>…統計処理の活用
以下、第2実施形態について説明する。第2実施形態の保険会社サーバ300の分析部330は、車両の期間ごとの運転回数に対して統計処理を行った結果と、事故リスクとの相関関係を分析する。
【0044】
分析部330は、所定の期間中の1週間や1カ月等の期間ごとの運転回数に対する平均値や、中央値、偏差値、分散値など、所望の統計処理によって導出した指標値を算出し、算出した指標値と、事故リスクとの相関関係を分析する。
【0045】
保険条件決定部340は、分析部330による分析結果と、車両の期間ごとの運転回数に対して統計処理を行った結果とに基づいて、予め基準を決定しておき、その基準に基づいて保険条件を決定する。「車両の期間ごとの運転回数に対して統計処理を行った結果」とは、分析部330により行われる処理と同様に、ある期間(1週間や1カ月等)ごとの運転回数に対する平均値や、中央値、偏差値、分散値など、所定の統計処理によって導出した指標値等であってもよい。
【0046】
以上説明した第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、統計処理を行った結果に基づいて保険条件を決定することで、異常値の影響などを排除することができる。
【0047】
<3.第3実施形態>…条件ごとの分析
以下、第3実施形態について説明する。第3実施形態の保険会社サーバ300の情報取得部310は、車両Vhが走行した際の走行条件を取得する。走行条件とは、曜日、時間帯、季節、日柄(正月の三が日、ゴールデンウィークなど)、天候、交通量、走行地域のうち一部または全部を含むものである。保険会社サーバ300は、これらの情報を、内蔵する時計機能や、天候情報の提供サーバ、或いは交通情報の提供サーバ(いずれも不図示)などから取得する。そして、情報取得部310は、マップマッチング情報350などの走行履歴を示す情報に、走行条件を対応付けて記憶部に記憶させる。
【0048】
集計部320は、情報取得部310により取得された情報に基づいて、走行条件ごとの運転回数を導出する。
図9は、走行条件ごとに計上された運転回数に対応する集計情報360Aの一例を示す図である。走行条件は、例えば集計情報360Aにおけるある期間の運転回数の各回に対応付けられて記憶される。図示する例では、各回に対して運転した曜日、時間、天候が対応付けられて記憶されている。
【0049】
分析部330は、走行条件ごと、または複数の走行条件のセットごとに、運転回数と事故リスクとの相関関係を分析する。分析部330は、例えば、走行条件ごとの運転回数を取得し、走行条件ごとに運転回数と事故リスクとの相関関係を導出する。保険条件決定部340は、分析部330により導出された相関関係に基づいて、保険条件の基準、および保険条件を決定する。例えば分析部330は、土曜日および日曜日に運転する回数が多い運転者の事故リスクは、平日に運転する回数が多い運転者の事故リスクに比して、高いといった相関関係を導出することができる。この場合、保険条件決定部340は、土曜日および日曜日に運転する回数が多い運転者の保険条件の基準を、平日に運転する回数が多い運転者の保険条件の基準より厳しくする。
【0050】
一例として、走行条件のうち曜日ごとに保険条件の基準を決定することについて説明する。
図10は、曜日ごとの運転回数に対する保険条件の基準が規定された条件情報370Aの一例を示す図である。保険条件決定部340は、集計部320により導出された運転者の曜日ごとの運転回数に対して、条件情報370Aに含まれる該当曜日の条件を適用することで、保険条件を決定する。
【0051】
以上説明した第3実施形態によれば、第1実施形態に比して、より精密な分析を行うことができる。この結果、より適切に保険条件を決定することができる。
【0052】
<4.第4実施形態>…走行距離の加味
以下、第4実施形態について説明する。第4実施形態の保険会社サーバ300の保険条件決定部340は、更に運転者の走行距離を加味して、保険条件の基準、または保険条件を決定する。
【0053】
第4実施形態の保険会社サーバ300の集計部320は、予め走行距離に関する情報と事故情報とを収集する。第4実施形態の分析部330は、例えば、走行距離と事故リスクとの相関関係を分析する。この分析結果は、例えば、1回の走行において走行距離が長い方が距離あたりの事故リスクが高いか否かを示す情報である。そして、保険条件決定部340は、第1〜第3実施形態で説明した手法で導出した保険条件に対して、走行距離に基づく補正を行って、保険条件を導出する。
【0054】
保険条件決定部340は、例えば式(2)に基づいて、所定期間における保険料Pを決定する。式中、L(k)は所定期間における各回(1〜n)の運転における走行距離であり、α{L(k)}は走行距離L(k)に対応した補正係数であり、CDは、所定期間における運転回数に基づいて決定された条件であり、fは基準に基づいて保険料を導出する関数である。
P=Σ
k=1n[L(k)×α{L((k)}×f(CD)] …(2)
【0055】
補正係数αは、例えば、分析部により「走行距離が長い程、走行距離あたりの事故リスクが高い」という分析結果を得た場合、走行距離L(k)が長くなる程大きくなり、走行距離L(k)が短くなる程小さくなる係数である。一方、補正係数αは、分析部により「走行距離が短い程、走行距離あたりの事故リスクが高い」という分析結果を得た場合、走行距離L(k)が長くなる程小さくなり、走行距離L(k)が短くなる程大きくなる係数である。
【0056】
以上説明した第4実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する他、より精密な分析を行うことができる。この結果、更に適切に保険条件を決定することができる。
【0057】
<5.ハードウェア構成>
図11は、端末装置TM、並びにナビゲーションサーバ100、および保険会社サーバ300のハードウェア構成の一例を示す図である。本図は、端末装置TMがスマートフォンなどの携帯電話である例を示している。端末装置TMは、例えば、CPU401、RAM402、ROM403、フラッシュメモリなどの二次記憶装置404、タッチパネル405、および無線通信モジュール406が、内部バスあるいは専用通信線によって相互に接続された構成となっている。ナビアプリは、ネットワークNWを介してダウンロードされ、二次記憶装置404に格納される。
【0058】
各サーバは、例えば、NIC501、CPU502、RAM503、ROM504、フラッシュメモリやHDDなどの二次記憶装置505、およびドライブ装置506が、内部バスあるいは専用通信線によって相互に接続された構成となっている。ドライブ装置506には、光ディスクなどの可搬型記憶媒体が装着される。二次記憶装置505、またはドライブ装置506に装着された可搬型記憶媒体に記憶されたプログラムがDMAコントローラ(不図示)などによってRAM503に展開され、CPU502によって実行されることで、各サーバの機能部が実現される。
【0059】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。