特許第6340047号(P6340047)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6340047-樹脂ボトル用プリフォーム 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6340047
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】樹脂ボトル用プリフォーム
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/06 20060101AFI20180528BHJP
【FI】
   B29C49/06
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-164773(P2016-164773)
(22)【出願日】2016年8月25日
(62)【分割の表示】特願2012-100233(P2012-100233)の分割
【原出願日】2012年4月25日
(65)【公開番号】特開2016-193618(P2016-193618A)
(43)【公開日】2016年11月17日
【審査請求日】2016年9月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391026058
【氏名又は名称】ザ コカ・コーラ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Coca‐Cola Company
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】特許業務法人 小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 則次
(72)【発明者】
【氏名】吉田 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】松岡 建之
【審査官】 辰己 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭54−091564(JP,A)
【文献】 特開2004−090425(JP,A)
【文献】 特表2010−531247(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C49/00−49/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開放端及び閉鎖端を有する樹脂成型ボトル用プリフォームであって、
前記開放端を構成するネック部と、
前記ネック部に接続される管状の胴部と、
前記閉鎖端を構成し、前記閉鎖端に向かうにつれて外径が狭まる形状を有する底部と、
前記胴部と前記底部とを接続し、かつ、前記胴部の中心軸を含む断面において、外面及び内面を構成する曲線が円弧状である屈曲部とを備え、
前記胴部の中心軸に対して直交する方向における前記屈曲部の厚みの最大値と最小値との差が、前記中心軸に直交する方向における前記屈曲部の厚みの最小値の0〜15%の範囲内であり、
前記断面において、前記胴部の外面を構成する直線と前記底部の外面を構成する直線とを接続する前記屈曲部の外面を構成する曲線上の点であって、かつ、前記屈曲部の外面を構成する曲線の両端を結ぶ直線から最も遠い点である第1の点と、前記胴部の内面を構成する直線と前記底部の内面を構成する直線とを接続する前記屈曲部の内面を構成する曲線上の点であって、かつ、前記屈曲部の内面を構成する曲線の両端を結ぶ直線から最も遠い点である第2の点とが、前記胴部の中心軸に対して直交する同一直線上に配置されない、樹脂成型ボトル用プリフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂ボトルをブロー成型により製造するために用いられる樹脂ボトル用プリフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
飲料や調味料等の液体用の包装容器として、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂材料で成型された樹脂ボトルが広く利用されている。樹脂ボトルの製造方法として、射出成型によって樹脂製のプリフォームを成型し、このプリフォームをブロー成型によって中空のボトル状に成型する手法が一般に行われている。
【0003】
図2は、従来の樹脂ボトル用プリフォームの縦断面図である。図2は、プリフォーム91の中心軸AX’を含む平面を切断面とする断面を表す。
【0004】
プリフォーム91は、ネック部92と、ネック部92に接続される胴部93と、胴部93に接続される底部94とを有する。ネック部92は、プリフォーム91の開放端を構成しており、外周面にはキャップを螺合させるためのネジ山が設けられている。底部94は、プリフォーム91の閉鎖端を構成しており、ほぼ半球状の外観形状を有する。胴部92は、ネック部92と底部94とを接続する管状の部分である。
【0005】
樹脂ボトルの成型時には、まず、胴部93及び底部94を外側からヒーターで加熱して樹脂材料を軟化させた後、加熱したプリフォーム91をボトル成型用の金型に挿入し、ネック部92からプリフォーム91の内部へと空気を吹き込んで胴部93及び底部94を膨らませることによってボトルを成型する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−240136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、樹脂ボトルの軽量化及び薄肉化に対する要請が高まっており、図2に示した従来のプリフォームよりも樹脂量を低減したプリフォームが求められている。ただし、従来よりも薄肉化したペットボトルの成型条件はよりシビアであり、成形機の成型条件が安定するまでに要する時間が従来よりも長くなったり、成型機を一旦停止した後、再スタートした際の不良品率が高くなったりして、歩留まりの低下に繋がる。特に、プリフォームの加熱後に、温度の不均一な部分があると、ブロー成型後に、当該温度の不均一な部分が白化する場合があり、品質面で好ましくない。したがって、プリフォームの樹脂量を単に低減するだけでは、軽量化及び薄肉化した樹脂ボトルを安定して製造することは困難である。
【0008】
それ故に、本発明は、軽量かつ薄肉の樹脂ボトルを歩留まり良く製造することができる樹脂ボトル用プリフォームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
開放端及び閉鎖端を有する樹脂成型ボトル用プリフォームであって、開放端を構成するネック部と、ネック部に接続される管状の胴部と、閉鎖端を構成し、閉鎖端に向かうにつれて外径が狭まる形状を有する底部と、胴部と底部とを接続し、かつ、胴部の中心軸を含む断面において、外面及び内面を構成する曲線が円弧状である屈曲部とを備える。胴部の中心軸に対して直交する方向における屈曲部の厚みの最大値と最小値との差が、中心軸に直交する方向における屈曲部の厚みの最小値の0〜15%の範囲内である。断面において、胴部の外面を構成する直線と底部の外面を構成する直線とを接続する屈曲部の外面を構成する曲線上の点であって、かつ、屈曲部の外面を構成する曲線の両端を結ぶ直線から最も遠い点である第1の点と、胴部の内面を構成する直線と底部の内面を構成する直線とを接続する屈曲部の内面を構成する曲線上の点であって、かつ、屈曲部の内面を構成する曲線の両端を結ぶ直線から最も遠い点である第2の点とが、胴部の中心軸に対して直交する同一直線上に配置されない。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、底部を略円錐形とすることによって、半球状の底部を有するプリフォームと比べて樹脂量を低減することができるので、軽量かつ薄肉の樹脂ボトルを実現できる。また、胴部の中心軸と直交する方向における屈曲部の厚みを略一定とすることで、屈曲部の各部の熱吸収を均一化することができるので、樹脂ボトルのうち屈曲部に対応する箇所の白化を抑制し、歩留まりを向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る樹脂ボトル用プリフォームの縦断面図
図2】従来の樹脂ボトル用プリフォームの縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、実施形態に係る樹脂ボトル用プリフォームの縦断面図である。尚、図1は、プリフォーム1の中心軸AXを含む平面を切断面とする断面を表す。
【0013】
プリフォーム1は、開放端8を構成するネック部2と、ネック部1に接続される胴部3と、閉鎖端9を構成する底部4と、胴部3と底部4とを接続する屈曲部5とを備える。尚、プリフォーム1の中心軸AXは、ネック部2、胴部3、底部4及び屈曲部5のそれぞれの中心軸と一致している。
【0014】
ネック部2の外面には、キャップを螺合させるためのネジ山7が設けられている。
【0015】
胴部3は、ネック部2に接続される管状の部分である。胴部3の内面は、プリフォーム1の成型時に金型の抜き取りを容易に行えるように、僅かな順テーパー状に形成されている。
【0016】
底部4の外面は、閉鎖端9に向かうにつれて外径が狭まる略円錐形状に形成されている。また、底部4の内面もまた、開放端9に向かうにつれて内径が狭まるように形成されている。
【0017】
屈曲部5は、胴部3と底部4とを接続する部分である。屈曲部5の外面は、閉鎖端9に向かうにつれて外径が狭まる曲面であり、屈曲部5の内面は、閉鎖端9に向かうにつれて内径が狭まる曲面である。本実施形態では、図1の断面において屈曲部5の外面及び内面を構成する曲線が円弧状となるように、屈曲部5の形状が設計されている。
【0018】
中心軸AXに対して直交する方向(すなわち、半径方向)における屈曲部5の厚みは、屈曲部5と胴部3との境界から、屈曲部5と底部4との境界にまでの範囲で、略一定となるように設計されている。図1では、例として、屈曲部5と胴部3との境界における屈曲部5の厚みT1と、屈曲部5と底部4との境界における屈曲部5の厚みT2と、屈曲部5の中間部における厚みTmとを図示しているが、T1、T2及びTmが略同じとなっている。
【0019】
尚、胴部3と屈曲部5との境界は、図1の断面において胴部3の外面を構成する直線と、図1の断面において屈曲部5の外面を構成する曲線との接続箇所に相当する。また、屈曲部5と底部4との境界は、図1の断面において屈曲部5の外面を構成する曲線と、図1の断面において底部4の外面を構成する直線との接続箇所に相当する。
【0020】
ブロー成型に先立ってプリフォーム1を加熱する工程では、プリフォーム1の外側に配置した赤外線ヒーター等の熱源で胴部3、底部4及び屈曲部5が加熱される。この際、熱は、中心軸AXと直交する方向に伝導する。本実施形態では、中心軸AXと直交する方向の屈曲部5の厚みを略一定としているので、屈曲部5の熱吸収量が均一となり、加熱によって軟化した樹脂材料の柔らかさを屈曲部5の全体で均等にすることができる。この結果、ブロー成型時に、屈曲部5を延伸して形成された部分に、加熱の不均一さに起因する白化が生じることを抑制することができる。
【0021】
ここで、中心軸AXに直交する方向における屈曲部5の厚みの最大値と最小値との差が、厚みの最小値の0〜15%の範囲であることが好ましく、0〜10%であることがより好ましい。屈曲部5の厚みの最大値と最小値との差が、厚みの最小値の15%を越えると、屈曲部5の各部の厚みのばらつきが大きくなりすぎ、ブロー成型前におけるプリフォーム1の加熱時に屈曲部5の熱吸収が不均一となり、白化等の不良を生じやすい。
【0022】
以上説明したように、本実施形態に係るプリフォーム1において、底部4を略円錐形とすることによって、半球状の底部を有するプリフォーム(図2)と比べて樹脂量を低減することが可能となる。この結果、樹脂量の軽量化及び薄肉化を図ることができる。また、また、中心軸AXと直交する方向における屈曲部5の厚みを略一定とすることで、屈曲部の各部の熱吸収を均一化することができるので、樹脂ボトルのうち屈曲部に対応する箇所の白化を抑制し、歩留まりを向上させることが可能となる。従って、本実施形態に係るプリフォーム1を用いることによって、軽量かつ薄肉の樹脂ボトルを歩留まり良く製造することが可能となる。
【0023】
尚、本実施形態では、中心軸AXと直交する方向における屈曲部5の厚みを略一定とした例を説明したが、更に、中心軸AXと直交する方向における底部4の厚みを、同方向における屈曲部5の厚みとほぼ同じにしても良い。この場合、屈曲部5のみならず、底部4の各部の熱吸収量も均一化できるので、ブロー成型時における底部4の白化も抑制することができる。
【0024】
また、本実施形態では、図1の断面上において屈曲部5の外面及び内面を構成する曲線が円弧である例、すなわち、屈曲部5の外面及び内面が球面の一部である例を説明したが、中心軸AXと直交する方向の厚みを略一定にすることができれば、屈曲部5の外面及び内面の形状は任意で良い。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂材料を用いてブロー成型される樹脂ボトル用のプリフォームとして利用できる。
【符号の説明】
【0026】
1 プリフォーム
2 ネック部
3 胴部
4 底部
5 屈曲部
8 開放端
9 閉鎖端
図1
図2